特許第6376276号(P6376276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6376276
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】イオン光学装置および質量分析装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 49/06 20060101AFI20180813BHJP
【FI】
   H01J49/06
【請求項の数】16
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-502983(P2017-502983)
(86)(22)【出願日】2015年9月2日
(65)【公表番号】特表2018-503931(P2018-503931A)
(43)【公表日】2018年2月8日
(86)【国際出願番号】CN2015088841
(87)【国際公開番号】WO2016034125
(87)【国際公開日】20160310
【審査請求日】2017年1月18日
(31)【優先権主張番号】201410448494.X
(32)【優先日】2014年9月4日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン シャオチィアン
(72)【発明者】
【氏名】ジン チャオ
(72)【発明者】
【氏名】スン ウェンジャン
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特表2016−514896(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0084156(US,A1)
【文献】 特開2006−332003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 40/00−49/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属パターンで覆われて電極アレイを形成する少なくとも1枚の平面状の絶縁基板を備え、前記電極アレイが複数のセル電極を備え、該複数のセル電極が事前に規定された、イオンをガイドする方向に従って配列されて前記電極アレイの幾何学的パターン分布を形成し、該事前に規定されたイオンをガイドする方向が第1の方向として規定され、
隣接するセル電極の各々には、イオンを閉じ込めるための異なる位相を有するRF電圧が印加され、イオンを駆動して前記第1の方向に移動させるためのDC電圧勾配も前記電極アレイ中の前記セル電極の少なくとも一部に沿って印加され、前記電極アレイの前記幾何学的パターン分布によって対応する電場分布が形成され、これが前記イオンを駆動して前記第1の方向と実質的に直交する第2の方向に移動させ、これによりイオンの偏向、集束、またはデフォーカスを実現し、
前記電極アレイ中の前記セル電極の少なくとも一部が、折れ線の幾何学形状または湾曲線の幾何学形状であって、該折れ線の幾何学形状または湾曲線の幾何学形状が、前記第1の方向の中心線に関して対称であることを特徴とするイオン光学装置。
【請求項2】
前記電極アレイ中の前記セル電極の少なくとも一部が、前記電極アレイの前記幾何学的パターン分布に対応する電場分布を形成するために設けられていることを特徴とする請求項1に記載のイオン光学装置。
【請求項3】
それぞれのセル電極が前記第2の方向において互いに対向し、対となった平面状の絶縁基板の間に電場分布を形成するように配置される、少なくとも1対の前記平面状の絶縁基板を備え、これにより、前記イオンを前記第2の方向に偏向、集束、またはデフォーカスさせることを特徴とする請求項1に記載のイオン光学装置。
【請求項4】
金属パターンで覆われて電極アレイを形成する少なくとも1枚の平面状の絶縁基板を備え、前記電極アレイが複数のセル電極を備え、該複数のセル電極が事前に規定された、イオンをガイドする方向に従って配列されて前記電極アレイの幾何学的パターン分布を形成し、該事前に規定されたイオンをガイドする方向が第1の方向として規定され、
隣接するセル電極の各々には、イオンを閉じ込めるための異なる位相を有するRF電圧が印加され、イオンを駆動して前記第1の方向に移動させるためのDC電圧勾配も前記電極アレイ中の前記セル電極の少なくとも一部に沿って印加され、前記電極アレイの前記幾何学的パターン分布によって対応する電場分布が形成され、これが前記イオンを駆動して前記第1の方向と実質的に直交する第2の方向に移動させ、これによりイオンの偏向、集束、またはデフォーカスを実現するイオン光学装置であって、
縁部接合によって形成される共通の縁部を有する少なくとも2枚の前記平面状の絶縁性基板、または角部接合によって形成される共通の角部を有する少なくとも3枚の前記平面状の絶縁基板を備え、漸進的に縮小するサイズを有する複数の前記セル電極が、前記共通の縁部上の点または前記共通の角部に前記セル電極がより近付く方向に配置され、この結果、前記イオンが前記共通の縁部上の前記点または前記共通の角部に向けて集束されることを特徴とするイオン光学装置。
【請求項5】
金属パターンで覆われて電極アレイを形成する少なくとも1枚の平面状の絶縁基板を備え、前記電極アレイが複数のセル電極を備え、該複数のセル電極が事前に規定された、イオンをガイドする方向に従って配列されて前記電極アレイの幾何学的パターン分布を形成し、該事前に規定されたイオンをガイドする方向が第1の方向として規定され、
隣接するセル電極の各々には、イオンを閉じ込めるための異なる位相を有するRF電圧が印加され、イオンを駆動して前記第1の方向に移動させるためのDC電圧勾配も前記電極アレイ中の前記セル電極の少なくとも一部に沿って印加され、前記電極アレイの前記幾何学的パターン分布によって対応する電場分布が形成され、これが前記イオンを駆動して前記第1の方向と実質的に直交する第2の方向に移動させ、これによりイオンの偏向、集束、またはデフォーカスを実現するイオン光学装置であって、
取り囲むように接合されてイオンガイドチャンバを形成する少なくとも4枚の前記平面状の絶縁基板を備え、リング電極のアレイが前記第1の方向において前記イオンガイドチャンバ内の表面に離間されるように形成されており、少なくとも2枚の前記平面状の絶縁基板上の複数の前記リング電極の少なくとも一部が斜めの絶縁ストリップによってそれぞれ2つのセグメントへと分割されて第1のセル電極および第2のセル電極を形成し、前記第1のセル電極および前記第2のセル電極は前記事前に規定されたイオンをガイドする方向において長さが漸進的に変化し、前記イオンを駆動して前記第2の方向に偏向させながら集束させるために前記第1のセル電極と前記第2のセル電極との間にDC電圧バイアスが印加されることを特徴とするイオン光学装置。
【請求項6】
金属パターンで覆われて電極アレイを形成する少なくとも1枚の平面状の絶縁基板を備え、前記電極アレイが複数のセル電極を備え、該複数のセル電極が事前に規定された、イオンをガイドする方向に従って配列されて前記電極アレイの幾何学的パターン分布を形成し、該事前に規定されたイオンをガイドする方向が第1の方向として規定され、
隣接するセル電極の各々には、イオンを閉じ込めるための異なる位相を有するRF電圧が印加され、イオンを駆動して前記第1の方向に移動させるためのDC電圧勾配も前記電極アレイ中の前記セル電極の少なくとも一部に沿って印加され、前記電極アレイの前記幾何学的パターン分布によって対応する電場分布が形成され、これが前記イオンを駆動して前記第1の方向と実質的に直交する第2の方向に移動させ、これによりイオンの偏向、集束、またはデフォーカスを実現するイオン光学装置であって、
取り囲むように接合されてイオンガイドチャンバを形成する少なくとも4枚の前記平面状の絶縁基板を備え、複数のセル電極が、前記第1の方向および前記第2の方向において、前記イオンガイドチャンバの内側の各表面に離間して配置され、様々なDC電圧が複数の前記セル電極の少なくとも一部に沿って印加されて、前記イオンを駆動して前記第2の方向に偏向、集束、またはデフォーカスさせるための対応する電場分布を形成することを特徴とするイオン光学装置。
【請求項7】
前記電極アレイの前記幾何学的パターン分布を決定するパラメータが、前記電極アレイ中の前記セル電極の長さ、半径、および曲率、ならびに前記第1の方向に対する夾角のうちの1つ、またはこれらの1乃至複数の組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載のイオン光学装置。
【請求項8】
前記パラメータが前記第1の方向において漸進的に変化して対応する電場分布を形成することを特徴とする請求項に記載のイオン光学装置。
【請求項9】
前記平面状の絶縁基板が矩形であることを特徴とする請求項1に記載のイオン光学装置。
【請求項10】
前記平面状の絶縁基板がプリント回路基板の基板であり、前記金属パターンがプリント回路であることを特徴とする請求項1に記載のイオン光学装置。
【請求項11】
前記DCまたはRF電場を形成するための電子部品の前記少なくとも一部が前記プリント回路基板上に配置されることを特徴とする請求項1に記載のイオン光学装置。
【請求項12】
前記金属パターンで覆われない前記平面状の絶縁基板の一部分が、切り欠きスロットを備えるか、または高い抵抗値を有するコーティングで覆われることを特徴とする請求項1に記載のイオン光学装置。
【請求項13】
前記平面状の絶縁基板および前記金属パターンが、マイクロ/ナノ加工工程によって得られることを特徴とする請求項1に記載のイオン光学装置。
【請求項14】
イオンのガイドのために請求項1に記載のイオン光学装置を備えることを特徴とする質量分析装置。
【請求項15】
前記イオン光学装置と組み合わせて使用される質量分析計を備えることを特徴とする、請求項14に記載の質量分析装置。
【請求項16】
前記イオン光学装置と組み合わせて使用されるイオン移動度分析計を備えることを特徴とする、請求項14に記載の質量分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分光分析(mass spectrographic analysis)の技術分野に関し、特に質量分析装置用のイオン光学装置および質量分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
質量分析装置において、イオン光学装置は主に、生成されたイオンをイオン源から質量分析計内に導入するための、イオン輸送(transmission)デバイスまたはイオンガイドデバイスとして使用される。電極アレイの形態のイオン光学装置、たとえば米国特許第US6107628号および第US8581181号、中国特許第CN201210203634号等に記載のものは、その設計および機能の柔軟性により産業界で広く使用されている。
【0003】
現在、電極アレイを製作するための工程は主として、個別の純金属電極デバイスを直接製作し、次いでこれを位置決めし固定工具で固定するステップを含む。純金属電極による製作には、以下の利点がある。第1に、機械加工精度を非常に高くすることができ、これはイオン光学デバイスの要件を容易に満たし得る。第2に、デバイスはそれ自体絶縁部分を有さず、したがって電荷の蓄積が回避される。しかしながら、そのような工程は通常、電極アレイの数が多いために、非常に複雑で、多くの時間がかかり、比較的高価である。また、電極アレイによって非常に大きな静電容量が導入されることになり、したがって、非常に大きい電力を出力する電源が必要とされる。製作コストおよび静電容量を低減するためにより良い手法は、積層されたプリント回路基板(PCB)を使用することであり、PCBの縁部が電極として金属コーティングで被覆され、一方、金属コーティングで覆われていない他の部分のPCBは絶縁層としての役割を果たし、次いで複数のPCBが積層されて電極アレイを形成する。PCB工程は成熟したものであるが、複数片を積層する工程における位置決めのためのツーリング(tooling)が必要とされ、この位置決めには比較的複雑な手順が含まれる。イオン光学デバイスを形成するために、PCBの縁部に加えて、PCBの表面も電極でめっきされる場合があり、たとえば、米国特許第US6316768号では、飛行時間型質量分析装置のフライトチューブ、加速電極、ミラー電極、等を製作するためにPCB工程が使用され、また、米国特許第US7498569号では、平面状の線形イオントラップを製作するためにPCB工程が使用される。
【0004】
加えて、近年では、マイクロ/ナノ加工技術および微小電気機械システム(MEMS)の急速な発展に伴い、多くの人がこれらをイオン光学デバイス、特にイオントラップの製作に適用し始めている。従来のIC工程におけるPCB技術と比較すると、ナノ加工技術は3次元構造に重きを置いているが、現在のイオン光学デバイスにおける電極としては、絶縁層の表面への平面的な金属コーティングが主として使用される(たとえば、米国特許第US7217922号、米国特許第US7402799号、米国特許第US8213118号、および米国特許第US8299443号を参照されたい)。
【0005】
イオン光学デバイスに適用される、成熟したPCB工程および急速に発展しているMEMS工程の多数の例が存在しているが、電極アレイ自体のセル電極はこれまで、電圧印加点または表面としてしか使用されておらず、したがってセル電極は、点、線、または矩形などの、単純な幾何学的構成の形状をとっている。したがって、特定の複雑なポテンシャルの分布を得るためには多数のセル電極およびマッチング電力供給システム(matching power supply system)が必要とされるか、または、所望の対応する空間的電場分布を形成するためには非常に複雑な構造を有する3次元電極しか使用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行技術の上記の欠点に鑑みて、本発明の目的は、電極アレイにおいて複雑なポテンシャルの分布を実現するのが比較的困難である、または、たとえそれが実現され得るとしても複雑な構造および困難な工程が必要とされるなどの先行技術における技術的問題を解決する、質量分析装置において用いられるイオン光学装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的および他の関連する目的を達成するために、本発明は、金属パターンで覆われて電極アレイを形成する少なくとも1枚の平面状の絶縁基板を備えるイオン光学装置を提供し、該イオン光学装置において、電極アレイは複数のセル電極を備え、該複数のセル電極は事前に規定されたイオンをガイドする方向に従って配列されて前記電極アレイの幾何学的パターン分布を形成し、該事前に規定されたイオンをガイドする方向は第1の方向として規定され、隣接するセル電極の各々には、イオンを閉じ込めるための異なる位相を有するRF電圧が印加され、イオンを駆動して第1の方向に移動させるために前記電極アレイ中の複数の前記セル電極の少なくとも一部に沿ってDC電圧勾配も印加され、また、前記電極アレイの前記幾何学的パターン分布によって対応する電場分布が形成され、これがイオンを駆動して第1の方向と実質的に直交する第2の方向に移動させ、これによりイオンの偏向、集束、またはデフォーカスが実現される。実装時には、様々な平面状の幾何学形状を有するセル電極をPCBまたはMEMS工程によってプリントすることができ、これにより、低コスト、高精度、高い柔軟性、等の利点が得られる。
【0008】
任意選択で、前記電極アレイ中の複数の前記セル電極の少なくとも一部の幾何学形状は、前記電極アレイの前記幾何学的パターン分布に対応する電場分布を形成するための、折れ線または曲線である。
【0009】
任意選択で、前記イオン光学装置は、それぞれの複数のセル電極が第2の方向において互いに対向し、対となった平面状の絶縁基板の間に電場分布を形成するように配置される、少なくとも1対の平面状の絶縁基板を備え、これにより、イオンを第2の方向に偏向、集束、またはデフォーカスする。
【0010】
任意選択で、前記イオン光学装置は、縁部接合によって形成される共通の縁部を有する少なくとも2枚の前記平面状の絶縁性基板、または、角部接合によって形成される共通の角部を有する少なくとも3つの前記平面状の絶縁基板を備え、徐々にサイズが小さくなる前記セル電極は、前記共通の縁部上の点または前記共通の角部に前記セル電極がより近付く方向に前記平面状の絶縁基板上に分布し、この結果、前記イオンは前記共通の縁部上の点または前記共通の角部に向けて集束される。
【0011】
任意選択で、前記イオン光学装置は、取り囲むように接合されてイオンガイドチャンバを形成する少なくとも4枚の前記平面状の絶縁基板を備え、複数のリング電極のアレイが、前記イオンガイドチャンバの内面に前記第1の方向において離間されるように形成されており、少なくとも2枚の前記平面状の絶縁基板上の複数の前記リング電極の少なくとも一部が、斜めの絶縁ストリップによって2つのセグメントに分離されてセグメント前記第1のセル電極および前記第2のセル電極を形成し、このとき該第1のセル電極および該第2のセル電極は、事前に規定されたイオンをガイドする方向に長さが漸進的に変化するようになっており、前記イオンを駆動して前記第2の方向に偏向しながら集束させるように、前記第1のセル電極と前記第2のセル電極との間にDC電圧バイアスが印加される。
【0012】
任意選択で、前記イオン光学装置は、取り囲むように接合されてイオンガイドチャンバを形成する少なくとも4枚の前記平面状の絶縁基板を備え、複数のセル電極が、前記イオンガイドチャンバの内側の各表面に、前記第1の方向および前記第2の方向において離間されるように配置され、複数の前記セル電極の少なくとも一部に沿って異なるDC電圧が印加されて、前記イオンを駆動して前記第2の方向に偏向、集束、またはデフォーカスさせるように対応する電場分布を形成する。
【0013】
任意選択で、前記DC駆動電場は、前記イオンを駆動して偏向、集束、またはデフォーカスさせるために前記第2の方向において異なる強度を有する複数の疑似電位障壁を生成する、RF電場によって置き換えられ得る。
【0014】
任意選択で、前記電極アレイの幾何学的パターン分布を含むパラメータは、前記電極アレイ中の複数の前記セル電極の長さ、半径、および曲率、ならびに前記第1の方向に対する夾角のうちの1つ、または1乃至複数のこれらの組み合わせを含む。
【0015】
任意選択で、前記パラメータは、第1の方向において漸進的に変化して、対応する電場分布を形成する。
【0016】
任意選択で、前記平面状の絶縁基板は、矩形形状である。
【0017】
任意選択で、前記平面状の絶縁基板はプリント回路基板(circuit board)の基板(substrate)であり、金属コーティングはプリント回路である。
【0018】
任意選択で、前記DC電場またはRF電場を形成するための電子部品の少なくとも一部が、前記プリント回路基板上に配置される。
【0019】
任意選択で、前記金属パターンで覆われない前記平面状の絶縁基板の一部分は、切削されたスロットを備えるか、または高い抵抗値を有するコーティングで覆われる。
【0020】
任意選択で、前記平面状の絶縁基板および前記金属パターンは、マイクロ/ナノ加工工程によって得られる。
【0021】
上記の目的および他の関連する目的を達成するために、本発明は、イオンのガイドのための前記イオン光学装置を備える質量分析装置を提供する。
【0022】
任意選択で、前記質量分析装置は、前記イオン光学装置と組み合わせて使用される質量分析計を備える。
【0023】
任意選択で、前記質量分析装置は、イオン光学装置と組み合わせて使用されるイオン移動度分析計を備える。
【0024】
上記のように、本発明は、イオン光学装置および質量分析装置を提供する。前記イオン光学装置は、金属パターンで覆われて複数のセル電極を備える電極アレイを形成する少なくとも1枚の平面状の絶縁基板を備え、該複数のセル電極は事前に規定されたイオンをガイドする方向(すなわち第1の方向)に従って配列されて電極アレイの幾何学的パターン分布を形成し、隣接するセル電極の各々には、イオンを閉じ込めるための異なる位相を有するRF電圧が印加され、イオンを駆動して前記電極アレイに沿った第1の方向に移動させるためのDC電圧勾配も前記電極アレイ中の複数の前記セル電極の少なくとも一部に沿って印加され、その幾何学的パターン分布によって対応する電場分布が形成され、これがイオンを駆動して前記第1の方向と実質的に直交する第2の方向に移動させ、これによりイオンの偏向、集束、またはデフォーカスが実現される。本発明では、前記平面状の電極の前記幾何学的な構造および分布によって、様々な所望の空間的電場分布が形成される。1つの好ましい実施形態では、ただ2つの平坦なPCBによって、イオンをより広い圧力範囲内で効果的に集束させることができ、また、別の好ましい実施形態では、軸外しの態様でイオンを輸送し集束させて、中性ノイズを低減することができる。実装において、様々な平面状の幾何学形状を有するセル電極が、PCBまたはMEMS工程によってプリントされ、これにより、低コスト、高精度、高い柔軟性、等の利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1a】本発明のイオン光学装置の実施形態の概略構造図である。
図1b図1aの実施形態によるコンピュータシミュレーションによって得られるイオン軌道図である。
図1c】イオン集束を実施するための本発明のイオン光学装置の実施形態の概略構造図である。
図2a】イオン集束を実施するための本発明のイオン光学装置の実施形態の概略構造図である。
図2b図2aの部分概略構造図である。
図2c図2aの断面概略構造図である。
図3a】イオン集束を実施するための本発明のイオン光学装置の実施形態の概略構造図である。
図3b】イオン集束を実施するための本発明のイオン光学装置の実施形態の断面概略構造図である。
図3c】イオン集束を実施するための本発明のイオン光学装置の実施形態の概略構造図である。
図4a】イオン集束を実施するための本発明のイオン光学装置の実施形態の概略構造図である。
図4b】イオン集束を実施するための本発明のイオン光学装置の実施形態の概略構造図である。
図4c図4bの実施形態によるコンピュータシミュレーションによって得られるイオン軌道図である。
図5a】周期的な集束およびデフォーカスを実施するための本発明のイオン光学装置の実施形態の概略構造図である。
図5b】周期的な集束およびデフォーカスを実施するための本発明のイオン光学装置の実施形態の概略構造図である。
図6】イオンパケットへの閉じ込めを実施するための本発明のイオン光学装置の実施形態の概略構造図である。
図7a】イオンの偏向を実施するための本発明のイオン光学装置の実施形態の概略構造図である。
図7b】イオンの偏向を実施するための本発明のイオン光学装置の実施形態の概略構造図である。
図8図2bの実施形態の具体的な実装の概略構造図である。
図9a】本発明のイオン光学装置の実施形態の概略構造図である。
図9b】本発明のイオン光学装置の実施形態の概略構造図である。
図10】本発明のイオン光学装置において使用される質量分析装置の実施形態の概略構造図である。
図11a】本発明のイオン光学装置の一体構造の実施形態の概略構造図である。
図11b】本発明のイオン光学装置の一体構造の実施形態の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態が具体的な特定の例を通して以下に記載され、当業者は、本明細書において開示される内容を通して本発明の他の利点および効果を容易に理解できる。本発明は、他の異なる特定の実施形態を通して実装または適用することもでき、また、本発明の精神から逸脱することなく、異なる考え方および用途に基づいて、本明細書中の様々な詳細に対して様々な修正または変更を行うこともできる。矛盾しない限りにおいて、本出願における実施形態および実施形態における特徴を、互いに組み合わせることができることに留意されたい。
【0027】
本発明のイオン光学装置における改善の1つは、少なくとも1枚の平面状の絶縁基板が金属パターンで覆われて、電極アレイを形成し、電極アレイの幾何学的パターン分布によって、イオンを駆動して所望の方向または位置に向けて移動させるための所望の電場分布が形成され、適合する金属パターンがプリントされた複数の絶縁基板を組み合わせて、既存の3次元電極の電場分布効果を達成できることである。1つの実施形態では、平面状の絶縁基板を金属パターンで覆うことは、PCBプリント方式によって、またマイクロ/ナノ加工工程(MEMS)によっても、実現され得る。
【0028】
図1aを参照すると、この実施形態では、イオン光学装置は、金属パターンで覆われて電極アレイを形成する1枚の平面状の絶縁基板101を備え、電極アレイは複数のセル電極1011を備え、該複数のセル電極1011は、電極アレイの幾何学的パターン分布を形成するように配列され、該平面状の絶縁基板101は矩形、方形などとすることができ、その上に配置された電極アレイ中のセル電極1011の少なくとも一部の幾何学形状は、図示されるように折れ線の形状とすることができる。さらに任意選択で、折れ線は中心対称である、すなわち、2つの折れ線のセグメントが、接続点が位置する中心線に対して左右対称である。さらに、イオンを閉じ込めイオンが壁に衝突するのを防止するために、イオン光学装置は、電源により、隣接し相互に絶縁されたセル電極1011の各々に異なる位相を有するRF電圧を供給して、イオンを閉じ込めることができる。1つの実施形態において、前記異なる位相は、隣接するセル電極に印加するRF電圧は、振幅は等しいが位相が反対であることを意味する。さらに、電源により、電極アレイ中の複数のセル電極1011の少なくとも一部に沿って、DC電圧勾配も印加され、たとえば、振幅は、低から高へとまたは高から低へと、漸進的に変化する。すなわち、この実施形態では、たとえば、複数のセル電極1011の各々に印加されるDC電圧の振幅がz軸の正の方向に減少し、また、図示されるようにイオンが矢印Aの方向に従って電極アレイの電場内に入射すると、それらのイオンは、反対側から出射するまでの間、高ポテンシャルの電極から低ポテンシャルの電極へと移動し、これによりイオンのガイドが実現される。しかしながら、電極アレイによって形成された電場内に入射した各イオンは、電極アレイに沿って事前に規定されたイオンをガイドする方向に移動することになり、該事前に規定されたイオンをガイドする方向を、ここでおよびこれ以降、第1の方向として規定するものとし、また、該事前に規定されたイオンをガイドする方向、すなわちイオンガイド軸の事前に規定された方向を、チャンバ内である場合は、中心対称であるイオンガイドチャンバの中心軸方向(軸方向と略称し、z軸の方向として示す)とするものとし、これは、本実施形態において、前記1枚の平面状の絶縁基板101の外側の電極アレイに沿ったイオンのガイド方向とすることができ、また、軸方向に実質的に直交する方向を径方向と規定することができる。本実施形態において記載される軸方向および放射方向は、円筒および立方体などの3次元形状のものとは異なって規定されるが、このことは当業者には、明細書の内容および図面から理解され得るであろう。複数のセル電極1011を備える電極アレイにDC電圧で印加されると、その幾何学的パターン分布によって、イオンの各々を駆動して第1の方向と実質的に直交する第2の方向に偏向、集束またはデフォーカスさせるための、対応する電場分布が形成される。本実施形態では、偏向を集束と組み合わせる手法が提供されるが、当然ながら、そこからデフォーカスの実装手法を導くこともできる。これは後記する。
【0029】
任意選択で、上記のセル電極1011は全て、同じ構造および間隔を有するものとすることができ、DC電場によって集束されるが、一方で、RF電場は、イオンを閉じ込めイオンが壁にぶつかることを防止するためだけに使用され、RFトラッピングを引き起こすことがなく、これにより、低質量イオンの選別が回避される。しかしながら、従来の形態では、出口における非常に小さい電極開口または大きい電極間隔のために、RF電圧は四重極イオントラップを形成して低質量イオンをトラップすることになり、このためこれらのイオンを後段に効率的に輸送することができない、本発明の設計では、このような問題を回避できる。
【0030】
併せて図1bを参照すると、図1aの実施形態のイオン軌道シミュレーションの結果が示されており、これから電場分布、すなわち図示されるような個々の電場線201の分布が、上記の複数のセル電極を備える電極アレイの幾何学的パターン分布に似ており、かつ、z軸の正の方向およびy軸の原点の両方に向かう集束電場であることが理解され得るであろう。イオンの各々は、図示されるように、z軸の正の方向に電場に入射した直後に、電場分布の作用下でy軸に移動し、図示される中央線(すなわちz軸が位置する場所)に向けて集束され、中央線上に位置しないイオンはy軸方向に偏向し中央線に向かって移動して集束される。
【0031】
図1cを参照すると、本実施形態では、1対の同一の上側絶縁基板101および下側絶縁基板102が使用され、これらは互いに平行に配置することができ、これらのそれぞれの複数のセル電極1011および1021が第2の方向、すなわち図示されるx方向に互いに対向するように配置される。先の実施形態と比較すると、本実施形態は、イオンが上側基板と下側基板との間を通過し、これによりイオンを閉じ込めることに関してより有利であり得るという利点を有するが、図1aにおける構造では、イオンを絶縁基板のより近くに位置させる必要があり、さもなければおそらく、外部からの作用によりイオンが電場から逃げ出すことになる。本実施形態では、電圧印加に関して、上側電極アレイと下側電極アレイとの間にDC電圧のバイアスを印加することができ(すなわち、対になる対向配置された複数のセル電極1011および1021の間にDC電圧のバイアスが印加される)、この結果、イオンビームを一方の絶縁基板へと向かわせ、こうしてx方向においても集束が実現される。
【0032】
実際には、デフォーカスを実現する必要がある場合は、上記の実施形態において、イオン出口においてイオンビームを逆方向に入射することができ、それぞれの複数のセル電極1011に沿って逆にDCポテンシャルの勾配が設けられ、たとえば、先の実施例において、電圧の振幅はz軸の正の向きに沿って減少する。しかし、この実施例において、電圧の振幅はz軸の正の向きに沿って増加することができる。そのため、イオンが導かれる方向は、先の実施例の反対方向となる。このようにして、イオンのデフォーカスが実現できる。
【0033】
さらに、上記の実施形態では、示されるセル電極1011は折れ線の形状をとるが、他の実施形態では、これらの形状は円弧であってもよく、また各セル電極は2つの独立した直線状の電極から成っていてもよく、これらによっても同様の電場分布を実現することができる。
【0034】
独立した電極の幾何学的寸法の漸進的な変化により、事前に規定されたイオンをガイドする方向(すなわち軸方向)と実質的に直交する放射方向に集束電場を形成する方法を例示するために、別の例が引かれる。図2aおよび図2bに示されるように、少なくとも4枚の前記平面状の絶縁基板201、202、203、および204を取り囲むように接合してイオンガイドチャンバを形成するように使用することができ、図2bには(平面状の絶縁基板202の構造に似た構造を有する)平面状の絶縁基板201を簡単に例示しており、第1の方向(すなわち軸方向)が図示されるようなz軸の正方向として設定される。併せて図2cを参照すると、図2aのz軸断面図が示されており、イオンガイドチャンバ全体が、z軸の方向から見た時のx軸と一致する対角線を有する四角形として構成され、複数のリング電極を備える電極アレイが、イオンガイドチャンバ内の表面に、z軸(すなわち軸方向)において離間して配置される。本実施形態では、4枚の矩形の平面状の絶縁基板を使用して取り囲むような形態で直方体のイオンガイドチャンバを形成するので、複数のリング電極は方形形状であるが、この形状は限定的なものではなく、当然ながら例示的なものに過ぎない。併せて図2bを参照すると、斜めの絶縁ストリップ2013および2023を有する、2枚の下側の平面状の絶縁基板201および202が示されている。図2cを参照すると、2枚の下側の平面状の絶縁基板201および202上の複数のリング電極は、斜めの絶縁ストリップによって2つのセグメントに分離され、斜めの絶縁ストリップと軸方向との間にたとえば0〜90°、好ましくは15〜60°の角度が存在し、この結果、斜めの絶縁ストリップ2013および2023の両側にある個々のセグメントの長さが、前記事前に規定されたイオンをガイドする方向、すなわち第1の方向において漸進的に変化する。記載の便宜上、平面状の絶縁基板201上の斜めの絶縁ストリップ2013は、複数のリング電極の各々を下側電極2011および上側電極2012へと切り離し、平面状の絶縁基板202上の斜めの絶縁ストリップ2023は、複数のリング電極の各々を下側電極2021および上側電極2022へと切り離しており、電極2011および2021は接続されて第1のセル電極を形成し、電極2012、2031、2041、および2022は電気的に接続されて第2のセル電極を形成し、これにより、それぞれが下側の第1の電極アレイおよび上側の第2の電極アレイを形成する。イオンを閉じ込めるために、軸方向に隣接する電極間に、同じ振幅および反対の位相を有するRF電圧が印加され、イオンは電極アレイに近付き過ぎると跳ね返され、第1の電極アレイおよび第2の電極アレイにはそれぞれ、イオンを駆動して第1の方向に移動させるための、軸方向(すなわち図示されるz軸の正方向)に降下するDC電圧が印加され、複数のリング電極の少なくとも一部によって切り離された個々の対応する第1のセル電極と第2のセル電極との間に、電圧バイアスを与えるためのDC電場を印加することができ、これにより、イオンガイドチャンバ内のイオンを駆動して軸方向と実質的に直交する径方向(すなわち第2の方向)に偏向、集束、またはデフォーカスさせるための、対応する電場分布を形成する。具体的には、たとえば、第1の電極アレイ中の個々の第1のセル電極のDC電圧が下側の第2のセル電極のDC電圧よりも大きい場合、イオンは、電場の作用によりx軸の負の方向に向かって偏向し、そうでなければ、イオンはx軸の正の方向に向かって偏向する。平面状の絶縁基板201および202ならびにその表面の電極セグメント2011および2021は、x軸方向に関して対称である。1つの実施形態では、イオン光学装置は、典型的な圧力、たとえば1torrから30torrまでの範囲の圧力で動作する。
【0035】
具体的には、上流側に位置するイオン源からのイオンがイオン光学装置に入射し軸方向に移動するとき、これらのイオンは該装置内で上記の電場の軸方向の作用によりz軸の正の方向に輸送され、第1の電極アレイと第2の電極アレイとの間のDC電圧バイアスのために、イオンは径方向に漸進的にx軸の負の方向に偏向し、絶縁ストリップと軸方向との間に夾角が存在する、すなわち電極アレイの電極長さが軸方向において漸進的に減少するため、これらのイオンは径方向に漸進的に集束され、次いで下流側に位置する質量分析計または他の分析装置内へと輸送される。
【0036】
本実施形態ではイオン集束機能の実装が提供されるが、当業者は、前記の内容に従って逆の操作を完全に実行して、たとえば、イオンが逆方向に注入される、および逆のDC電圧が印加される、等によりイオンのデフォーカス機能を達成することができることに留意すべきであるが、これらは例としては記載しない。
【0037】
図3aは、図2bにおける実施形態の簡単な実施形態を示す。この実施形態は、先の実施形態とは以下のように異なる。本実施形態では、複数のセル電極がイオンガイドチャンバ内の各表面(すなわち各平面状の絶縁基板301の内側の表面)上に、第1の方向(すなわちz軸の方向として示される軸方向)およびその直交方向において離間されるように配置される、すなわち、図3aにおける基板のような4枚の平面状の絶縁基板301が取り囲むように接合されて、上記のイオンガイドチャンバを形成し、また任意選択で、それぞれの平面状の絶縁基板301上の複数のセル電極は、本実施形態ではリング上のセル電極が分離し独立しているという点を除いて、先の実施形態と同様に同期的に(synchronously)z軸に沿って配置され、すなわち同じリング上に配置され、イオンガイドチャンバ内のイオンを軸方向への移動中に駆動して径方向に偏向、集束、またはデフォーカスするように対応する電場分布が形成される。以降で、イオン集束の実施を例にとると、図3aに示すように、xz平面において、各平面状の絶縁基板301は、その上に少なくとも2つの電極を備え、また任意選択で、図示されるようにその表面に3つの電極を備えており、z方向において隣接する電極間に印加されるRF電圧は正確に同じであり、同時に、イオンを駆動してz軸に沿って輸送するための、漸進的に減少するDC電圧が印加される。しかしながら、隣接するセル電極は、同じ振幅およびx方向に反対の位相を有するRF電圧を有し、これにより、図3bに示されるように近似的に12段のフィールド(approximate twelve-stage field)を形成することができ、同時に、xおよびy方向にイオンビームを圧縮し集束するための様々なDC電圧が印加される。たとえば、イオンビームをxy平面の原点(z軸の方向)に圧縮する必要がある場合、たとえば、イオンがセル電極3012の近くに移動するように、セル電極3011および3012の間にDC電圧バイアスを印加することができる。図2aにおける実施形態と比較すると、積層された電極アレイの輸送効果に似た輸送効果を、本実施形態では多段フィールド構造および径方向のDC電場を使用して得ることができるが、使用する電極の数がより少なく、これにより回路接続が単純化される。異なる輸送効果、たとえばより良好な径方向の集束、粗い質量分離、またはそれと同様のものを得る必要がある場合、より少ない段を有する多段フィールド(たとえば4段のフィールド)を得ることができる。
【0038】
さらに別の実施形態では、より単純に、1次元方向の圧縮または集束のみが必要とされる場合に、2枚の対向する平面状の絶縁基板401のみを使用することができ、xy平面におけるこれらの断面構造は、図3cに示されるようなものとすることができ、両側部にある複数のセル電極4011には同じDC電圧が印加され、一方、複数のセル電極4012には両側部にあるセル電極4011に対するDC電圧バイアスが印加され、このように形成されたDC電場によりイオンをy軸の原点の近傍に収束させることができ、これより図において破線の箱によって示されるようにx軸に長いストリップ形状にイオンビームを分布させる。そのような分布は、直交型の飛行時間型質量分析装置の加速電極の前段において使用することができる。より単純には、1つの実施形態では、イオンを駆動して偏向、集束、またはデフォーカスさせるための様々な強度を有する疑似電位障壁がRF電場によって第2の方向に生成されるように、DC電場がRF電場によって置き換えられる。しかしながら、上記の実施形態を例にとると、複数のセル電極4011上のRF振幅を複数のセル電極4012上の振幅よりも大きくすることができ、複数のセル電極4012の近傍により強いRF疑似電位障壁が生成され、イオンはy方向の原点の近傍に集束されることになり、RFの電場強度比(field intensity ratio)を調節することによって、イオンの集束の程度を制御することができる。そのような手法は、z軸において分布する円形のリング電極アレイまたは楕円形のリング・アレイを提供する。言い換えれば、平坦な板の電極構造によって、3次元空間の電場分布が実現される。
【0039】
上記の実施形態ではイオン集束機能の実装が提供されるが、当業者は、前記の内容に従って逆の操作を完全に実行して、たとえば、イオンが逆方向に注入される、および逆のDC電圧が印加される、等によりイオン・デフォーカス機能を達成することができることに留意すべきであるが、これらは例としては記載しない。
【0040】
3次元アレイの電場実装手法は上記の実施形態のみに限定されないことから、複数の上記の絶縁基板上に平面状の電極構造を備える3次元アレイの、他の電場分布を例示するために、いくつかの実施形態が以降で再び使用されることになる。
【0041】
図4aから図4cに示すように、イオン光学装置は、角部接合によって形成される共通の角部を有する3枚の前記平面状の絶縁基板を備えることができ、3つの平面状の絶縁基板上に、漸進的に縮小するサイズを有するセル電極が、セル電極が中心としての共通の角部により近付く方向において離間されるように形成され、この結果、イオンの各々が前記共通の角部に向かって集束される。具体的には、1つの実施形態では、図4aに示すように、より良好な効果を有する3枚の平面状の絶縁基板501、502、および503が用いられ角部接合により共通の角部を形成しているが、これは当然ながら例示的なものに過ぎない。本発明の精神によれば、上記の実施形態の技術的解決法から、1枚の平面状の絶縁基板を取り除き、縁部によって接合される2枚の平面状の絶縁基板のみによっても同様の効果を得ることができ、漸進的に縮小するサイズを有する複数のセル電極が、セル電極が中心としての共通の縁部により近付く方向において、平面状の絶縁基板上に配置される。したがって、平面状の絶縁基板の数は、示されるような3枚に限定されない。
【0042】
3枚の平面状の絶縁基板501、502、および503は、互いに組み合わされて立体角構造を形成し、ストリップ状の金属電極が、各基板上にセル電極5011、5021、および5031として配置され、これらのストリップ状電極は本実施形態では直線の形状をとるが、他の実施形態では上記のように折れ線、曲線などとすることもでき、また当業者は、本発明の原理と関連して変更を行うことができる。それぞれの平面状の絶縁基板501、502、および503上のストリップ電極は同じ間隔で配置され、また、それぞれの平面状の絶縁基板501、502、および503上のストリップ状電極が共通の角部504から同じ距離で配置され電気的に接続される。本実施形態では3枚の平面状の絶縁基板が存在するため、接続されたストリップ状電極は三角形の電極(電気的に接続されたセル電極5011、5021、および5031で形成された三角形の電極を、一体の「セル電極」と見なすこともできる)を形成し、共通の角部504に近づくにつれて三角形の電極の面積が小さくなる、すなわち、個々のセル電極5011、5021、および5031の長さが短くなる。ただし、2枚の平面状の絶縁基板が存在する場合は、これらは折れ線の電極と考えることができ、共通の角部に近いほどサイズが小さくなる。任意選択で、装置がイオンビームをより良好に閉じ込めることができるように、上記のように、隣接するセル電極(たとえば隣接するセル電極5011、隣接するセル電極5021、または隣接するセル電極5031)の間に、等しい振幅および反対の位相を有するRF電圧を印加することができ、イオンは電極アレイに近付き過ぎると跳ね返され、また、漸進的に減少するDC電圧が電極アレイに印加され、これにより共通の角部504に向かわせる集束電場が形成される。任意選択で、図4bに示すとおり、図示されるような縞状に離間する(stripe-spaced)電極アレイを有する2枚の平面状の絶縁基板505および506を、図4aに示すように左側面および上側面に追加することができ、これにより、取り囲むように直方体状のイオンガイドチャンバを形成する。また、左側面および上側面の平面状の絶縁基板505および506上の縞状電極(stripe electrode)は、軸方向において前記直方体に対して平行または垂直であり、他の平面状の絶縁基板上の縞状電極と電気的に接続されるように、他の平面上の縞状電極と同じ間隔を有するように作成され、これにより、より3次元的な電場分布が形成される。図の矢印Eの方向にイオンが入射すと、それらのイオンは電場分布によって共通の角度にガイドおよび集束され、その後、最小の三角形のセル電極から出射し、それらのイオンは、たとえばイオン分析装置などの次段の装置に接続されているかまたは直接接続している取り出しレンズ(extraction lens)によって、共通の角部504から出射し、その後、Fの方向において次段の装置に入射する。
【0043】
図4cは、本実施形態におけるコンピュータシミュレーションによって得られたイオン軌道を示し、これらは平面状の絶縁基板501の視点から観察され、図示されるようにy軸の負の方向から見たとき、E方向に入射する拡散イオンビームが、この装置によって良好に集束され、その後、たとえば取り出しレンズによって、共通の角部から出射している。
【0044】
上記の実施形態ではイオン集束機能の実装が提供されるが、当業者は、前記の内容に従って逆の操作を完全に実行して、たとえば、イオンが逆方向に注入される、および逆のDC電圧が印加される、等によりイオン・デフォーカス機能を達成することができることに留意すべきであるが、これらは例としては記載しない。
【0045】
図5aおよび下の図5bに示す2つの実施形態は、周期的なイオンの集束またはデフォーカスを実現するための、電極アレイの幾何学的パターン分布の使用に関連する。
【0046】
図5aに示すように、さらに別の実施形態が提供される。上記の原理を参照すると、本実施形態では、セル電極6011および6012はもはや同じ方向には配置されない、すなわち、たとえば、2つの折れ線のセル電極6011および6012は、もはや同じ方向に向かって開いておらず、開口部の一部が対向して配置され、この結果、切り替わるまたは交番するように、イオンを集束およびデフォーカスさせることができる。
【0047】
図5bに転じ、イオンの集束とデフォーカスを周期的に交番するための、電極アレイのより好ましい配置を示す。本実施形態では、より柔軟で多様な幾何学形状を有する複数のセル電極がこのように使用され複雑な機能を実現する。平面状の絶縁基板701上の複数のセル電極が凸状の複数の電極7012および凹状の複数の電極7011へと分割されており、電極7011および7012のDCポテンシャルは、図のx軸の正方向において漸進的に減少する。アレイ中の凸状の複数の電極7012および凹状の複数の電極7011は互い違いに配置され、この結果、周期的に集束およびデフォーカスする電場が形成されており、これによりイオンがそれらの輸送中に、図のx軸の正方向において周期的に集束およびデフォーカスされ、これにより図示されるような軌道Cを形成する。そのような周期的な電場は、たとえばより高真空の環境において多くの用途を有し、イオンビームの空間的な位相分布を調節するために電場を使用して、たとえばアインツェルレンズ(Einzel lens)の機能と似た機能を実現することができる。さらに、周期的な電場は、特定の圧力下でイオンを閉じ込めるRF電場の代わりに使用可能であり、またいくつかの実施形態では、イオン移動チューブとしての役割も果たすことができる。
【0048】
電極アレイの幾何学的パターン分布を使用して、拘束されたイオンパケットを形成することもできる。図6に示すように、1つの実施形態では、平面状の絶縁基板801上の複数のセル電極はグリッド電極8011および該グリッド電極内のブロック電極8012を含むことができ、該グリッド電極8011と該ブロック電極8012の間にDC電圧バイアスが印加され(たとえば、グリッド電極にはブロック電極8012よりも高いDC電圧が印加される)、この結果、各グリッドにDCポテンシャルの障壁「ピット(pit)」を形成することができ、イオンは平面状の絶縁基板801の上方の位置に入射すると個々のピット内に拘束され、同時に前記グリッド電極8011と前記ブロック電極8012との間にRF電圧を印加してそれらのイオンが電極表面にぶつかることを防止できる。これらの分離され拘束されたイオンパケットを使用して、イオン貯蔵、粗いイオン・スクリーニング、およびイオン反応などの、様々な形態のイオン操作を実行することができる。
【0049】
以降では、図7aおよび図7bに、イオンが移動する軸方向と実質的に直交する径方向のイオン偏向を実現するための電極アレイの幾何学的パターン分布の使用を示す。
【0050】
1つの実施形態では、図7aに示すように、この実施形態は径方向のイオン偏向を実現するための手法を例示する役割を果たし、電極アレイは平面状の絶縁基板901上に配置され、y軸の負方向に向かうイオンビームをx軸の正方向へと向かわせるために、電極アレイをx軸の正の方向において漸進的に分布させ漸進的に減少するDC電位を印加することができ、また、角部における電場を比較的均一にするように、角部にある複数のセル電極9011を(図示のように)台形とすることができ、これによりDで示されるようなイオン移動軌道が与えられる。質量分析装置において径方向のイオン偏向は広く使用され、たとえば、そのような偏向により中性ノイズを減少させもしくは装置のサイズを縮小することができ、またいくつかの特別な目的を実現するための周期構造において使用され得る。
【0051】
1つの実施形態として、図7bに2つのイオンビームを収束または偏向させる方法を示す。図示される電極アレイは平面状の絶縁基板1001にめっきするだけでよく、セル電極1001aの幾何学形状は円弧であり、円弧半径(arcuate radius)または漸進的な中心角の変化gradual change radian)または円弧の方向の漸進的な変化を用いることによって、図示されるようなイオンビームの収束および偏向などの機能性を持たせることができる。このようにして質量分析装置内でイオン反応を実行することができる、また、多経路導入(multi-path introduction)によって分析スループットが改善される。
【0052】
要約すると、電極アレイの幾何学的パターン分布を決定するパラメータは、電極アレイの長さ、半径、および曲率、ならびに事前に規定されたイオンをガイドする方向に対する夾角のうちの1つ、またはこれらの1乃至複数の組み合わせを含み、当業者は、本発明において提供される上記の実施形態および教示、ならびに実際の環境に関連して変更を行うことができ、上記の実施形態は限定的なものとすることは意図されていない。
【0053】
本発明のイオン光学装置の具体的な製作工程、改善、およびいくつかの変更例を、図2aの実施形態を参照して以下に記載する。
【0054】
図8は、図2bの具体的な実装に対応する実施形態を示し、平面状の絶縁基板およびその上に配置される電極アレイは、この具体的な実装では、プリント回路基板(PCB)によって製作される。4枚の平面状の絶縁基板1101、1102、1103および1104は、従来のPCB工程によって使用可能な任意の材料、たとえばFR4、PTFE、セラミック等で成るものとすることができる。さらに、電極アレイは、金属コーティングをプリントすることによって製作され、この製作工程において、金属蒸着、電気めっき、エッチング、および抵抗溶接などの、従来用いられているあらゆるPCB工程を用いることができる。以下の実施形態では、4枚の平面状の絶縁基板(1101〜1104)、すなわちプリント回路基板が、取り囲むように直方体形状のイオンガイドチャンバを形成し、金属コーティングがチャンバ内の表面に位置している。金属コーティングは、組み合わされて一体の電極アレイを形成する、上側の第1の電極アレイおよび下側の第2の電極アレイを形成し、電極アレイに印加される電圧は上記の通りであり、また、イオンガイドチャンバの外側に、電極アレイに所望の電圧を供給する電子部品1105(たとえばコンデンサ、レジスタ等)が配置され、これらは平面状の絶縁基板1101および1103の他方の側に直接配置することができる。電子部品1106は、プリント回路によって、平面状の絶縁基板上の貫通穴を介して複数の電極と電気的に接続される。ただし、異なる平面上、たとえば1102aおよび1103a上の複数のセル電極は、互いに電気的に接続する必要があるため、これらのセル電極は溶接によって直接接続することができるが、この様式は電極の形状を損なう可能性がある。損傷を回避するため、電極1103aを基板1102の背面まで延ばして、該背面に事前に配置された回路1106と溶接し、次いで平面状の絶縁基板1102の貫通穴を介してセル電極1102aと接続するようにすることができる。
【0055】
電極アレイはより多数のセル電極を有するため、より多数の溶接箇所が存在し、複数の(図示されるような)溶接箇所Gが電極の数に応じて設けられイオンガイドチャンバの軸方向と平行な方向において配線状態(wiring manner)で分布し、この結果、装置全体が、ただ溶接箇所を介して接続されていることによる変形を防止するような、ある応力(certain stress)を有し得る。実際には、イオン輸送デバイスがよりしっかり固定され、かつより変形しにくくなるように、固定デバイスおよび位置決めデバイスを追加することもできる。そのような実施形態を採ることにより、装置全体がより低コストになり、容易に大型のものを製作することができ、また、電極が表面上に分布しかつ非常に薄いため、装置全体の静電容量も大きく減少し、RF電圧を印加するときに高出力の電源を必要としない。
【0056】
また、図9aに、マイクロ/ナノ加工工程によって形成される3次元構造を有する電極の断面図を示す。マイクロ/ナノ加工工程に関する具体的な検討は本特許の範囲を超えている。ただし、一般に、本発明のイオン光学装置に適用しようとするときに製作工程に含まれる内容は限定的されない。たとえば、図9aに示すように、電極コーティング1201aおよび平面状の絶縁基板1201を、フォトリソグラフィによって形成することができる。
【0057】
上記の実施形態では、離間して配置される隣接電極の間の間隔1201aは平面状の絶縁基板1201の絶縁層であるが、RF電圧が印加されるとこの絶縁層上に静電荷が容易に蓄積することに留意されたい。図9aに転じると、絶縁層の離間された部分に切り欠きスロット1201bが配置されており、これらのスロットは乾式の工程や湿式エッチングなどによって形成することができる。電極間における切り欠きスロット1201bが存在することにより、絶縁層上に静電荷が蓄積するのを効果的に防ぐことができる、これは、電極上のRF電圧の存在により、絶縁する切り欠きスロット1201b内に電荷がより深く入るのが妨げられるためである。静電荷の蓄積はイオン光学デバイスに悪影響を与えると一般に考えられる。静電荷が蓄積されないように、切り欠きスロット1201bに加えて表面処理を施すことができ、たとえば代わりに高抵抗フィルムをめっきすることができ、また電極の周囲に誘電性材料の層を被覆することもできる。
【0058】
静電荷を排除するためのこれらの方法が、上記のPCB工程による本発明のイオン光学装置の製作にも適用されることに留意されたい。
【0059】
図9bに本実施形態の別の改良を示す。図2aと比較すると、本実施形態では斜めの絶縁層が省かれ、代わりに独立した絶縁基板1301および1302が使用されており、これにより、装置の透過性(permeability)を高まり、装置内での空気流がより均一になって渦流が回避され、その結果イオン輸送が促進されるという利点が得られる。任意選択で、任意の絶縁部分(たとえば複数の電極1301a間)において、複数の流路1301bをセグメント化することができる。
【0060】
図10に示すように、本発明のイオン光学装置は、イオンのガイドのために、質量分析装置2の質量分析計の前段部として用いることができる。任意選択で、イオン分析装置はイオン移動度分析計を備えることもできる。この実施形態では、イオン源21(たとえばエレクトロスプレーイオン源など)から生成されたイオンは、毛細管22を通って真空インタフェースを有する真空チャンバ23内のイオン光学装置24に入射する。既に記載したようなイオン光学装置24の特性を考慮するとイオンは軸方向に移動し、次いで軸外しの態様で径方向に輸送および集束され、分析のために真空インタフェース231を介して次段の装置25の中に入る。中性成分(主に、完全に除去されなかった溶媒の液滴やガス)を吸い出して装置ノイズを低減するための吸気ポート232が、イオン光学装置24の軸方向に配置される。したがって、本発明のイオン光学装置24は、イオンビームを集束してイオンの信号強度を改善するだけでなく前段からのノイズ干渉を低減することもでき、これにより装置感度が改善される。イオン漏斗などにおける積層リング構造と比較して、本発明の実施形態において提供される、矩形および複数の矩形から成る直方体状のアレイ構造は、イオン出口の近くにより強いRF電位障壁を与え、したがって低質量イオンに対してより強い閉じ込め効果を有し、これにより、質量分析装置における低質量イオンの選別が抑制されるということに留意すべきであるが、この問題はしばしば当業者を困惑させる。
【0061】
実際には、イオン光学装置は、取り囲むように形成される直方体状に限定されない。図11aおよび図11bを参照されたい。図11aに示すように、イオン光学装置24aは6枚の基板を含む構造とすることができ、入口の断面は中心対称の六角形であり、この構造の軸方向はこの六角形の中心軸の方向であり、一般に、この構造はRF多段フィールドの場合に用いることができる。上記の図11aの原理と類似の図11bの原理は、イオンの軸外し輸送のために使用され、本発明において言及するイオン光学装置24bにより製作工程が大きく単純化される。
【0062】
任意選択で、上述の実施形態では、取り囲むように接合されてイオンガイドチャンバを形成する平面状の絶縁基板の接合縁部は、本発明における軸方向の線(axial line)と平行であり、これにより、軸方向に延在するイオン光学装置を形成し、イオンを径方向に集束または偏向する。先行技術の非平行な構造と比較すると、本特許における装置では、機械加工、組み立て、および回路接続が、より容易である。
【0063】
要約すると、本発明は、イオン光学装置および質量分析装置を提供する。イオン光学装置は、金属パターンで覆われるとともに複数のセル電極を備える電極アレイを形成する少なくとも1枚の平面状の絶縁基板を備え、前記複数のセル電極は事前に規定されたイオンをガイドする方向(すなわち第1の方向)に従って配列されて電極アレイの幾何学的パターン分布を形成し、隣接し相互に絶縁されるセル電極の各々には、イオンを閉じ込めるための異なる位相を有するRF電圧が印加され、イオンを駆動して電極アレイに沿った第1の方向に移動させるためのDC電圧勾配が前記電極アレイ中の複数の前記セル電極の少なくとも一部に沿って印加され、また、幾何学的パターン分布によって対応する電場分布が形成され、この電場分布がイオンを駆動して第1の方向と実質的に直交する第2の方向に移動させ、これによりイオンの偏向、集束、またはデフォーカスを実現する。本発明では、平面状の電極の幾何学的な構造および配置によって、様々な所望の空間的電場分布が形成される。1つの好ましい実施形態では、ただ2枚の平坦なPCBによってイオンをより広い圧力範囲内で効果的に集束させることができる。また、別の好ましい実施形態では、軸外しの態様でイオンを輸送し集束させて中性ノイズを低減することができる。実装時には、様々な平面状の幾何学形状を有する複数のセル電極が、PCBまたはMEMS工程によってプリントされ、これにより、低コスト、高精度、高い柔軟性、等の利点が得られる。
【0064】
上記の実施形態は、本発明の原理および効果を例示的に記載するために使用されるに過ぎず、本発明を限定することは意図されていない。当業者であれば本発明の精神および範囲から逸脱することなく上記の実施形態に対して修正または変更を行うことができる。したがって、本発明において開示される精神および技術的思想から逸脱しない、当業者による全ての等価な修正または変更は、依然として本発明の特許請求の範囲によって包含される。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図8
図9a
図9b
図10
図11a
図11b