(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の一態様は、インペラが回転軸の一端に設けられた回転体のバランスを検査するためのバランス検査装置であって、回転軸を支持する軸受が設けられた軸受ハウジングと、軸受ハウジングの回転軸線方向の一方に配置されて、内部のインペラ収納空間にインペラを収納する治具と、治具に設けられて、インペラ収納空間に向けて開口する先端を含む吹付ノズルと、吹付ノズルに気体を供給するための気体供給部と、を備え、吹付ノズルは、気体供給部から供給された気体がインペラの回転方向とは逆向きの周方向成分を持った状態で先端から吹き付けられるように構成されている。
【0010】
このバランス検査装置によれば、インペラを収納する治具に、吹付ノズルが設けられる。吹付ノズルの先端は、インペラ収納空間に向けて開口している。気体供給部から吹付ノズルに気体が供給されると、気体は、インペラの回転方向とは逆向きの周方向成分を持った状態で先端から吹き付けられる。よって、この気体の吹付けにより、回転体を惰性運転によって停止する場合に比べて、回転体の停止に必要な時間(以下、回転停止時間という)を短縮できる。その結果として、マシンタイムの短縮化を図ることができる。
【0011】
いくつかの態様において、回転体は、タービンインペラとコンプレッサインペラとが回転軸の両端に設けられた過給機の回転体であり、治具は、インペラとしてのコンプレッサインペラを収納するコンプレッサ側治具であり、吹付ノズルは、コンプレッサ側治具に設けられて、気体供給部から供給された気体がコンプレッサインペラの回転方向とは逆向きの周方向成分を持った状態で先端から吹き付けられるように構成されている。この場合、回転体は、タービン側治具に気体が供給されることで回転する。気体供給部および吹付ノズルにより、コンプレッサインペラに気体が吹き付けられるため、回転体の回転停止時間が短縮される。
【0012】
いくつかの態様において、治具は、インペラの羽根部の周囲に設けられて羽根部に対向するシュラウド部を含み、インペラとシュラウド部の表面との間には隙間が設けられており、吹付ノズルの筒状の本体部は、シュラウド部に設けられた貫通孔に配置され、吹付ノズルの先端は、隙間には突出せず貫通孔内に収まっている。この構成によれば、吹付ノズルの先端がインペラに接触することが防止されており、インペラの羽根部が保護される。
【0013】
いくつかの態様において、吹付ノズルの筒状の本体部は、回転軸の回転軸線に対してねじれの位置に配置されており、吹付ノズルの先端は、インペラの羽根部の外周部に向けて開口している。この構成によれば、吹き付けされる気体がより大きな周方向成分を持つようになるため、より効果的にインペラを停止させることができる。
【0014】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
以下、過給機1の回転体12のバランスを検査するためのバランス検査装置30について説明する。
図1に示されるように、本実施形態のバランス検査装置30は、軸受ハウジング13内に回転体12が取り付けられた状態で、回転体12のバランス検査を行う。バランス検査装置30は、たとえば、常温域の空気を用いた運転を行う。バランス検査装置30では、過給機1の最高回転数の90%以上の高速回転域において、過給機1の回転バランス検査が可能になっている。すなわち、バランス検査装置30は、常温エア駆動の高速バランサである。
【0016】
図2を参照して、バランス検査の対象となる過給機1について説明する。
図2に示されるように、過給機1は、例えば、船舶や車両の内燃機関に適用されるものである。過給機1は、タービン2とコンプレッサ3とを備えている。タービン2は、タービンハウジング4と、タービンハウジング4に収納されたタービンインペラ6と、を備えている。タービンハウジング4は、内側の周縁部で周方向に延びるスクロール部4aを有している。コンプレッサ3は、コンプレッサハウジング5と、コンプレッサハウジング5に収納されたコンプレッサインペラ7と、を備えている。コンプレッサハウジング5は、内側の周縁部で周方向に延びるスクロール部5aを有している。
【0017】
タービンインペラ6は回転軸14の一端に設けられており、コンプレッサインペラ7は回転軸14の他端に設けられている。コンプレッサインペラ7は、回転軸14の他端に設けられたナット16によって回転軸14に固定されている。タービンハウジング4とコンプレッサハウジング5との間には、軸受ハウジング13が設けられている。回転軸14は、軸受ハウジング13内に設けられた軸受15を介して軸受ハウジング13に回転可能に支持されている。回転軸14、タービンインペラ6およびコンプレッサインペラ7は、一体の回転体12として回転軸線H周りに回転する。
【0018】
タービンハウジング4には、排気ガス流入口(図示せず)および排気ガス流出口10が設けられている。内燃機関(図示せず)から排出された排気ガス(流体)が、排気ガス流入口を通じてタービンハウジング4内に流入し、スクロール部4aを通じてタービンインペラ6に流入し、タービンインペラ6を回転させる。その後、排気ガスは、排気ガス流出口10を通じてタービンハウジング4外に流出する。
【0019】
コンプレッサハウジング5には、吸入口9および吐出口(図示せず)が設けられている。上記のようにタービンインペラ6が回転すると、回転軸14を介してコンプレッサインペラ7が回転する。回転するコンプレッサインペラ7は、吸入口9を通じて外部の空気を吸入し、圧縮して、スクロール部5aを通じて吐出口から吐出する。吐出口から吐出された圧縮空気は、前述の内燃機関に供給される。
【0020】
図4に示されるように、コンプレッサインペラ7は、回転軸14に取り付けられ回転軸線H周りに回転するハブ70と、ハブ70の外周面に周方向に沿って配設された複数のフルブレード(羽根部)71とを備えている。フルブレード71は、ハブ70の外周面上において周方向に等間隔に配置されている。フルブレード71同士の間には、複数のスプリッタブレード72が設けられている。なお、上記したコンプレッサインペラ7の形態は一例に過ぎない。羽根部を含むコンプレッサインペラ7であれば、上記とは異なる形態であってもよい。
【0021】
続いて、
図1を参照して、バランス検査装置30について説明する。バランス検査装置30は、軸受ハウジング13の回転軸線H方向の一方(図示左側)に取り付けられたタービン側治具34と、軸受ハウジング13の回転軸線H方向の他方(図示右側)に取り付けられたコンプレッサ側治具35とを備える。タービン側治具34は、過給機1のタービンハウジング4と略同様の形状を有しており、タービンインペラ6を収納する。タービン側治具34は、常温の空気が高圧で供給される流入流路(図示せず)と、空気が排出される流出流路Pcとを備えている。
【0022】
コンプレッサ側治具35は、過給機1のコンプレッサハウジング5と略同様の形状を有しており、内部のインペラ収納空間S(
図3参照)に、コンプレッサインペラ7を収納する。コンプレッサ側治具35は、空気が吸込まれる吸入流路Paと、圧縮空気の流路となるスクロール部35a(
図3参照)と、圧縮空気が吐出される吐出管37および吐出流路Pbとを備えている。スクロール部35aは、コンプレッサ3のスクロール部5aに対応している。
【0023】
上記のようにして、回転体12のバランス検査時には、過給機1のタービンハウジング4とコンプレッサハウジング5とが取り外され、回転体12を有する軸受ハウジング13に、タービン側治具34およびコンプレッサ側治具35が取り付けられる。
【0024】
バランス検査装置30は、タービン側治具34を介して軸受ハウジング13を支持する振動台31と、振動台31上に固定されて、タービン側治具34を保持する保持部32とを備えている。タービン側治具34は、たとえば防振ゴム等を含む防振支持部33を介して、保持部32上で保持されている。軸受ハウジング13とコンプレッサ側治具35との間には、Oリング36が設けられている。なお、過給機1が設置される台の形態や支持構造は、本実施形態に限定されない。過給機1の軸受ハウジング13が設置および固定され得る種々の形態を採用可能である。
【0025】
バランス検査装置30は、タービン側治具34に高圧の空気を供給する空気供給部(気体供給部)41と、空気供給部41に接続されたタービン駆動用空気供給ラインL1とを備えている。空気供給部41は、空気の圧縮装置と、タービン駆動用空気供給ラインL1の流路を開閉するためのバルブ等と、このバルブ等を開閉制御する制御部とを含んでいる。タービン駆動用空気供給ラインL1は、上記したタービン側治具34の流入流路に接続されている。
【0026】
バランス検査装置30は、さらに、加速度ピックアップ38と、回転検出器39と、演算部40とを備えている。加速度ピックアップ38は、たとえば磁石によってタービン側治具34に取り付けられている。加速度ピックアップ38は、回転体12の高速回転時に、その加速度(振動)を検出する。回転検出器39は、コンプレッサインペラ7の近傍に設置されている。回転検出器39は、回転体12の高速回転時に、コンプレッサインペラ7のアンバランス量を検出する。
【0027】
演算部40は、加速度ピックアップ38および回転検出器39にそれぞれ電気的に接続されている。演算部40は、加速度ピックアップ38および回転検出器39で検出されたデータに基づき、ナット16の削り量等を演算する。バランス検査装置30は、振動台31の側方に研削機(図示せず)を備えており、研削機によってナット16を研削することにより、回転体12のアンバランスが修正される。このように、バランス検査装置30は、回転体12の修正装置としての機能も有している。なお、演算部40は、コンプレッサインペラ7の削り量等を演算してもよく、研削機によってコンプレッサインペラ7の一部が研削されてもよい。
【0028】
本実施形態のバランス検査装置30では、回転体12を高速で回転させる検査時(トラッキング運転時)に、回転体12の回転停止時間を短縮するための吹付ノズル45が設けられている。本実施形態では、2個の吹付ノズル45が、コンプレッサ側治具35に取り付けられている。吹付ノズル45は、インペラ停止用空気供給ラインL2を介して空気供給部41に接続されている。空気供給部41は、インペラ停止用空気供給ラインL2の流路を開閉するためのバルブ等と、このバルブ等を開閉制御する制御部とを含んでいる。なお、タービン駆動用空気供給ラインL1を通じて供給される空気の供給源と、インペラ停止用空気供給ラインL2を通じて供給される空気の供給源とが別個に設けられてもよい。
【0029】
図1および
図3に示されるように、各吹付ノズル45は、コンプレッサ側治具35の外壁部35bに固定されている。より詳細には、吹付ノズル45は、円筒状のノズル本体45aを含んでおり、このノズル本体45aが、外壁部35bを貫通するように設けられる。外壁部35bにはタップ加工が施され、そのタップ部にノズル本体45aが挿入されている。外壁部35bには取付けプレート46がボルト止めされており、この取付けプレート46に、ノズル本体45aが溶接等により固定されている。ノズル本体45aとタップ部との間には、シール部材等が設けられ得る。
【0030】
図3に示されるように、コンプレッサ側治具35は、その内部にシュラウド部50を備えている。シュラウド部50は、コンプレッサインペラ7の周囲に形成されている。シュラウド部50の内周側にはインペラ収納空間Sが形成されており、シュラウド部50の外周側にはスクロール部35aが形成されている。シュラウド部50は、コンプレッサインペラ7に対向している。
【0031】
ノズル本体45aは、たとえばスクロール部35aを横断し、シュラウド部50に設けられた貫通孔52に配置されている。貫通孔52の中心軸線は、回転軸線Hとねじれの位置となるように配置されている。言い換えれば、貫通孔52の中心軸線は、回転軸線Hに交差しておらず、コンプレッサインペラ7の外周部を横切るように配置されている。貫通孔52に設けられたノズル本体45aの基端から先端45bへ向かう向きは、コンプレッサインペラ7の回転方向Rに対して順方向の接線に対して逆向きになっている。
【0032】
図5に示されるように、シュラウド部50の表面であるシュラウド面51と、フルブレード71の外周縁との間には、曲面状に延びるクリアランスとしての隙間dが設けられている。ノズル本体45aの先端45bは、貫通孔52内に収まっており、隙間dには突出していない。ノズル本体45aの先端45bは、シュラウド面51よりも回転軸線Hから遠い位置に配置されて、インペラ収納空間Sに開口している。先端45bは、フルブレード71の前端部71aに向けて開口している。
【0033】
上記の構成を有する吹付ノズル45に対して、インペラ停止用空気供給ラインL2を介して空気供給部41から空気が供給されると、その空気は、回転方向Rとは逆向きの周方向成分を持った状態で先端45bから吹き付けられる。このように、吹付ノズル45は、回転方向Rに対向するようにしてフルブレード71の前端部71aに空気を吹き付けることで(
図4に示される矢印A方向参照)、コンプレッサインペラ7の回転を停止させる方向に空気圧を及ぼす。吹付ノズル45は、いわば逆噴射ノズルである。
【0034】
図3に示されるように、2つの吹付ノズル45は、回転軸線Hに関して線対称に配置されている。言い換えれば、2つの吹付ノズル45は、2回回転対称に設けられる。したがって、コンプレッサインペラ7は、180度異なる位置において、吹付ノズル45から吹き付けられる空気を受けるように構成されている。
【0035】
バランス検査装置30において、タービン側治具34の流入流路に対する空気の供給タイミングと、吹付ノズル45における空気の吹付タイミングとは、空気供給部41のバルブ開閉制御によって切り替えられる。
【0036】
次に、バランス検査装置30を用いた過給機1の回転バランス検査方法および修正方法を説明する。まず、回転体12および軸受ハウジング13をバランス検査装置30にセットする。空気供給部41は、タービン駆動用空気供給ラインL1を介して、タービン側治具34の流入流路に常温の高圧空気を供給する。高圧空気の供給により、回転体12(タービンインペラ6、コンプレッサインペラ7および回転軸14)が高速回転する。タービン側治具34に供給された空気は、流出流路Pcを介してタービン側治具34外に流出する。一方、タービンインペラ6が回転すると、吸入流路Paを通じて空気が吸入し、圧縮される。圧縮空気は、スクロール部35aおよび吐出流路Pbを通じて排出される。
【0037】
図6に示されるように、回転体12がアンバランス量の計測を行う所定の回転速度Rbまで到達したら、加速度ピックアップ38により加速度(振動)および位相を検出する。これとともに、回転検出器39により回転体12の回転角度を検出し、コンプレッサインペラ7のアンバランス量を検出する。
【0038】
このとき、空気供給部41は、タービン駆動用空気供給ラインL1に設けられたバルブを閉じることにより、タービン側治具34の流入流路に対する空気の供給を停止する。タービン駆動用空気供給ラインL1に設けられたバルブが全閉となると、空気供給部41はインペラ停止用空気供給ラインL2に設けられたバルブを開けることにより、吹付ノズル45に空気を供給する。空気供給部41は、吹付ノズル45への空気の供給を所定の時間継続する。回転体12は、惰性運転に加えて、コンプレッサインペラ7において吹付ノズル45からの空気圧を受ける。これにより、回転体12の回転停止時間は短縮される。
【0039】
回転検出器39によって検出される回転速度が一定の回転速度Raになると、空気供給部41は、インペラ停止用空気供給ラインL2に設けられたバルブを閉じることにより、吹付ノズル45に対する空気の供給を停止する。
【0040】
演算部40は、これらの検出データに基づいて、ナット16の削り量等を演算する。この演算結果は、図示しないディスプレイまたはプリンター等に出力される。バランス検査装置30は、この演算結果に基づいて、回転バランスの修正を行う。具体的には、バランス検査装置30は、ナット16またはコンプレッサインペラ7の一部を研削する。
【0041】
以上の工程を1〜複数回繰り返し、加速度が許容値以下であることを確認したら、検査および修正工程を終了し、回転体12および軸受ハウジング13をバランス検査装置30から取り外す。
【0042】
バランス検査装置によれば、コンプレッサインペラ7を収納するコンプレッサ側治具35に、吹付ノズル45が設けられている。吹付ノズル45の先端45bは、インペラ収納空間Sに向けて開口している。空気供給部41から吹付ノズル45に空気が供給されると、空気は、コンプレッサインペラ7の回転方向Rとは逆向きの周方向成分を持った状態で、先端45bから吹き付けられる。この空気の吹付けにより、回転体12を惰性運転によって停止する場合に比べて、回転体12の停止に必要な回転停止時間が短縮される。
【0043】
図6に示されるように、実線で示される逆噴射有りの場合では、破線で示される逆噴射無しの場合に比して、回転が停止するまでの時間が短縮されている。たとえば、トラッキング運転の回数が3〜4回など、複数回であるとすると、逆噴射無しの場合に比して、マシンタイムが大きく削減されなることになる。このように、バランス検査装置30によれば、マシンタイムの短縮化を図ることができ、生産上、非常に有利である。
【0044】
吹付ノズル45は、コンプレッサ側治具35に設けられており、回転体12は、タービン側治具34に空気が供給されることで回転する。空気供給部41および吹付ノズル45により、コンプレッサインペラ7に空気が吹き付けられるため、過給機1の回転体12における回転停止時間が短縮される。特に、タービン側治具34が防振支持部33上に取り付けられ、軸受ハウジング13に対してOリング36を介してコンプレッサ側治具35が取り付けられたバランス検査装置30においては、空気の吹付けが振動計測に与える影響を最小限にできるため、本実施形態の構成は有利である。
【0045】
吹付ノズル45のノズル本体45aは、シュラウド部50に設けられた貫通孔52に配置され、吹付ノズル45の先端45bは、隙間dには突出せず貫通孔52内に収まっているため、吹付ノズル45の先端45bがコンプレッサインペラ7に接触することが防止されている。よって、コンプレッサインペラ7のフルブレード71等が保護される。また、貫通孔52を吹付空気の案内流路として利用することもできる。
【0046】
吹付ノズル45のノズル本体45aは、回転軸線Hに対してねじれの位置に配置されており、先端45bは、コンプレッサインペラ7のフルブレード71の前端部71aに向けて開口している。ノズル本体45aの基端から先端45bへ向かう向きは、コンプレッサインペラ7の回転方向Rに対して順方向の接線に対して逆向きになっているため、吹き付けされる空気がより大きな周方向成分を持つようになっている。したがって、コンプレッサインペラ7の回転方向Rとは逆向きの回転トルクが大きくなり、より効果的にコンプレッサインペラ7を停止させることができる。
【0047】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。たとえば、吹付ノズル45は2個に限られず、1個のみ設けられてよいし、周方向に3個以上設けられてもよい。吹付ノズル45の先端は、シュラウド面51とコンプレッサインペラ7の間の隙間dに僅かに突出してもよい。複数の吹付ノズル45が設けられる場合に、これらが回転軸線Hに対して線対称でなくてもよい。気体供給部によって供給される気体は、空気に限られず、たとえば窒素ガス等であってもよい。
【0048】
吹付ノズルは、上記したようなコンプレッサ側治具35に固定された単体のノズルである場合に限られず、コンプレッサ側治具35に形成された流路によって構成されてもよい。この場合、コンプレッサ側治具35には、インペラを停止させる周方向成分の吹付流が生じるように、直線状または曲線状の流路(ノズル本体部)が形成され得る。ノズル本体部は、回転軸線Hに交わる方向(すなわち径方向)に設けられてもよい。その場合、吹き付けられる気体が回転方向Rの逆向きの周方向成分を有するよう、先端がテーパ状に広げられてもよい。
【0049】
検査対象の過給機は、電動過給機であってもよい。回転軸14にタービンインペラ6およびコンプレッサインペラ7が設けられる場合に限られず、コンプレッサインペラ7のみが設けられてもよい。バランス検査装置30は、圧縮機等、過給機以外の回転機械の回転体のバランスを検査する装置であってもよい。バランス検査装置30が常温エア駆動である場合について説明したが、本発明のバランス検査装置は、加熱された空気を用いる型式であってもよい。本発明のバランス検査装置は、最高回転数の90%以上の回転数で回転体を回転させる高速バランサに限られず、最高回転数の90%以下の回転数で回転体を回転させるバランサであってもよい。
【0050】
演算部40は、振動台31から離れた場所に設けられてもよい。この場合、加速度ピックアップ38および回転検出器39からの検出信号が無線で送信される構成のバランス検査システムの態様を採ってもよい。さらに、特開2014−218903公報に示すように、パルセーションを検査するパルセーション検査部(図示せず)を設けて、パルセーション検査を、回転体のバランス検査と同時に行ってもよい。