特許第6376313号(P6376313)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6376313-表面に油膜を有する構造体 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6376313
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】表面に油膜を有する構造体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/18 20060101AFI20180813BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20180813BHJP
   B32B 1/02 20060101ALI20180813BHJP
   B65D 65/42 20060101ALI20180813BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20180813BHJP
   C10M 105/68 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   B32B27/18 Z
   B32B27/20 Z
   B32B1/02
   B65D65/42 A
   C08K3/36
   C10M105/68
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-522821(P2018-522821)
(86)(22)【出願日】2018年1月16日
(86)【国際出願番号】JP2018000977
【審査請求日】2018年5月8日
(31)【優先権主張番号】特願2017-6846(P2017-6846)
(32)【優先日】2017年1月18日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】小松 威久男
(72)【発明者】
【氏名】藤田 江里子
(72)【発明者】
【氏名】丹生 啓佑
【審査官】 河島 拓未
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/006906(WO,A1)
【文献】 特許第5673870(JP,B1)
【文献】 特開2006−111300(JP,A)
【文献】 特開平9−94903(JP,A)
【文献】 特開平5−93081(JP,A)
【文献】 特開昭59−229340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B29C 71/04
C08J 5/00−5/02
5/12−5/22
7/00−7/18
B65D 23/00−25/56
65/00−65/46
C10M 101/00−177/00
C08K 3/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂により形成された表面を有する基体と、該表面上に形成された油膜を有する構造体において、
前記滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂には、滑剤のブリーディング防止用添加剤として、シリカ粒子が分散されていることを特徴とする構造体。
【請求項2】
前記基体は、多層構造を有しており、
前記多層構造は、前記油膜が形成されている表面側から滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂層、滑剤含有オレフィン系樹脂層及びガスバリア性樹脂層をこの順に含む請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂層の厚みに対する前記滑剤含有オレフィン系樹脂層の厚みの比率が2〜6である請求項2に記載の構造体。
【請求項4】
前記滑剤が、前記滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂層中、オレフィン樹脂100質量部当り0.02〜5質量部の量で含有されている請求項1に記載の構造体。
【請求項5】
前記油膜が、グリセリン脂肪酸エステル、流動パラフィン、または食用油脂から形成されている請求項1に記載の構造体。
【請求項6】
前記基体が、含水物質を内容物とする容器である請求項1に記載の構造体。
【請求項7】
前記容器の内側から順に油膜、内表面層としての滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂層、滑剤含有オレフィン系樹脂層、ガスバリア性樹脂層並びに外表面層を有しており、
前記外表面層と滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂層とが、同一のオレフィン系樹脂により形成されている請求項6に記載の構造体。
【請求項8】
前記滑剤が不飽和脂肪酸アミドである請求項1に記載の構造体。
【請求項9】
前記シリカ粒子が親水性シリカ粒子であり、前記滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂層中に5質量%以下の量で分散している請求項8に記載の構造体。
【請求項10】
前記シリカ粒子の平均一次粒子径が1〜50μmである請求項1に記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に油膜が形成されている構造体に関するものであり、より詳細には、該油膜によって、含水物質に対する滑り性が向上した表面を有する構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックは、成形が容易であり、種々の形態に容易に成形できることなどから、各種の用途に広く使用されている。特に、容器壁の内面が低密度ポリエチレン等のオレフィン系樹脂で形成されているダイレクトブローボトルは、そのスクイズ性、絞り出し性を利用して、特に粘稠な流動性物質、例えばケチャップやマヨネーズなどを収容する容器として広く使用されている。
ところで、粘稠な流動性物質が収容される容器では、該内容物を速やかに排出し且つ容器内に残存させることなくきれいに排出して最後まで使いきるために、内容物に対して容器内面が高い滑り性を示すことが求められる。
【0003】
従来、上記のような滑り性は、容器内面を形成する樹脂に滑剤などの添加剤を配合することによって確保していたが、最近になって、樹脂製の基材表面に液膜を形成することによって、粘稠な物質に対する滑り性等の表面特性を改質する技術が種々提案されている(例えば特許文献1)。
かかる技術によれば、基材表面を形成する樹脂に滑剤などの添加剤を加える場合と比して、滑り性を飛躍的に高めることができるため、現在注目されている。
【0004】
ところで、表面に液膜を形成することにより、表面特性を改質する手段では、この液膜を表面に安定に保持することが必要である。このために、上記の特許文献1では、何れも表面に微細な凹凸を形成している。
このような微細な凹凸は、通常、液膜を形成すべき基材表面に、無機微粒子が分散されたエタノール溶液などのコーティング液をスプレー噴霧し、乾燥することにより形成することができる。また、基材表面形成用の樹脂に無機微粒子が配合された樹脂組成物を使用し、かかる樹脂組成物を用いて延伸成形等の成形を行い、所定の形状を有する基材(例えば容器)を製造するという手段も知られている(例えば、特許文献1又は特許文献2参照)。かかる手段によれば、基材表面を形成している樹脂に配合されている無機微粒子の粒径や配合量に応じて、基材表面に所定の凹凸が形成されることとなる。
【0005】
しかるに、上記のように液膜を形成して粘稠な物質に対する滑り性を向上する場合、表面の液膜が不均一に形成されることがある。このため、基材表面の一部に粘稠な物質が付着してしまうという不都合を生じる場合があった。特に、粘稠な含水物質に対する滑り性を向上させるために、基材表面に油性の膜(油膜)を形成する場合、かかる問題が生じる傾向が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5971337号
【特許文献2】特開2015−227012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、表面に形成されている油膜が安定に形成され、粘稠な含水物質に対する滑り性が表面全体にわたって安定に発揮される構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記の問題について多くの実験を行い検討した。その結果、基材表面をオレフィン系樹脂により形成し、このオレフィン系樹脂に滑剤が配合されている場合、この滑剤により油膜の形成が不安定となる知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明によれば、滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂により形成された表面を有する基体と、該表面上に形成された油膜を有する構造体において、
前記滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂には、滑剤のブリーディング防止用添加剤として、シリカ粒子が分散されていることを特徴とする構造体が提供される。
【0010】
本発明の構造体においては、
(1)前記基体は、多層構造を有しており、
前記多層構造は、前記油膜が形成されている表面側から滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂層、滑剤含有オレフィン系樹脂層及びガスバリア性樹脂層をこの順に含むこと、
(2)前記滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂層の厚みに対する前記滑剤含有オレフィン系樹脂層の厚みの比率が2〜6であること、
(3)前記滑剤が、前記滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂層中、オレフィン樹脂100質量部当り0.02〜5質量部の量で含有されていること、
(4)前記油膜が、グリセリン脂肪酸エステル、流動パラフィン、または食用油脂から形成されていること、
(5)前記基体が、含水物質を内容物とする容器であること、
(6)前記容器の内側から順に油膜、滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂層、滑剤含有オレフィン系樹脂層、ガスバリア性樹脂層並びに外表面層を有しており、
前記外表面層と滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂層とが、同一のオレフィン系樹脂により形成されていること、
(7)前記滑剤が不飽和脂肪酸アミドであること、
(8)前記シリカ粒子が親水性シリカ粒子であり、前記滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂層中に5質量%以下の量で分散していること、
(9)前記シリカ粒子の平均一次粒子径が1〜50μmであること、
が好適である。
尚、本願明細書では、親水性シリカ粒子は、特記しない限り、疎水化剤による表面処理がされていないシリカ粒子を意味する。即ち、前記親水性シリカ粒子は、その表面にシラノール基を有している。
【発明の効果】
【0011】
本発明の構造体は、表面に油膜が形成されているため、粘稠な含水物質に対する滑り性が優れている。本発明において、特に重要な特徴は、基体表面を形成しているオレフィン系樹脂に滑剤及びシリカ粒子が配合されている点にある。
【0012】
本発明では、滑り性を向上させるために、基体表面上に油膜が形成されており、この油膜によって粘稠な含水物質に対する滑り性は十分に向上する。従って、基体表面を形成するオレフィン系樹脂中の滑剤は、滑り性を向上させる目的で配合されているのではない。
オレフィン系樹脂は、分子中に極性基を有しておらず、油性液体に対する親和性が極めて高いため、油膜の保持性に優れている。このため、本発明では、オレフィン系樹脂により基体表面を形成する。前記オレフィン系樹脂としては、工業用に市販されているオレフィン系樹脂を用いることができるが、このようなオレフィン系樹脂には、初めから滑剤が配合されているものがある。オレフィン系樹脂に限らず、一般の熱可塑性樹脂の多くは、所定の成形型を用いての熱成形により、所定形状に成形されるため、離型性を持たせるため、予め滑剤を配合しておくことにより、成形時に滑剤を配合するという作業を省略できるからである。
このような滑剤の配合量は微量であるため、通常は樹脂の性状等に悪影響を与えることはない。しかし、本発明者等の研究によると、滑剤が配合されているオレフィン系樹脂を用いての成形により表面が形成されている基体では、その表面に均一な油膜を形成することが困難であることが判った。その理由は、オレフィン系樹脂に滑剤が配合されている場合、表面への滑剤のブリード量が多く、しかも、この滑剤は、油性液体に対する撥液性が高いからである。即ち、滑剤がブリードした表面に油性液体を塗布して油膜を形成する場合、滑剤がブリードした部分で油性液体がはじかれてしまうため、油膜厚みが大きくばらついたり、油膜が形成されていない部分が生じたりする。この結果、このような部分に粘稠な含水物質が付着してしまったり、又は滑り性が大きく低下しまうこととなる。
【0013】
しかるに、本発明では、このように滑剤を配合したオレフィン系樹脂に更にシリカ粒子を配合しておくことにより、滑剤の表面へのブリーディングが有効に防止される。その結果、均一な厚みの油膜を形成することが可能となり、基体表面の全体にわたって、粘稠な含水物質に対する滑り性が発揮されることとなる。即ち、シリカ粒子は、滑剤に対する親和性が極めて高いため、滑剤のブリーディング防止用添加剤として機能し、滑剤の表面へのブリーディングが有効に防止されるわけである。
【0014】
このような本発明の構造体は、含水物質に対して安定した滑り性を示すため、例えば、ケチャップ、マヨネーズ、ドレッシングなどの粘稠な含水物質が収容される容器や蓋材などの包装材として好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の構造体の要部である表面の形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<構造体の概略構造>
本発明の構造体は、少なくとも表面が滑剤とシリカ粒子含有のオレフィン系樹脂により形成されている基体1と、基体1の表面(特に内面)に形成された油膜3とからなる。
【0017】
基体1の表面形成に用いられるオレフィン系樹脂としては、それ自体公知のものが使用される。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、中又は高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などのオレフィン系ポリマーや、これらのオレフィン類の共重合樹脂やブレンド物などが使用される。特に、この構造体を、内容物を絞り出すスクイズ容器として使用する場合には、低密度ポリエチレンや直鎖低密度ポリエチレンに代表されるエチレン系樹脂を用いることが好ましい。
【0018】
また、上記オレフィン系樹脂に含まれる滑剤は、市販のオレフィン系樹脂に配合されているものであり、例えば、以下のものが例示される。
脂肪酸、例えばステアリン酸、ラウリン酸;
脂肪族アミド、例えばステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレ
イン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチ
レンビスステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、エチレンビ
スオレイン酸アミド、リノール酸アミド、リノレン酸アミド;
脂肪酸エステル、例えばブチルステアレート、硬化ヒマシ油、エチレン
グリコールモノステアレート;
アルコール、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール;
金属石ケン、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム;
【0019】
本発明は、特に、上記の中でも脂肪族アミドを滑剤として含有するオレフィン系樹脂を使用するときに最も効果を発揮する。脂肪族アミド、その中でも不飽和脂肪酸アミドであるオレイン酸アミドは、最も油性液体に対する撥液性が高い。そのため、脂肪族アミドが滑剤として配合されているオレフィン系樹脂により基体1の表面が形成されているとき、油膜3の形成が最も困難となるが、本発明では、このような滑剤が含まれている場合であっても、安定して均一な油膜3を形成することが可能となるからである。
上述した脂肪族アミドの中でも、不飽和結合を有する脂肪酸アミド、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、リノール酸アミド又はリノレン酸アミドは、分子骨格中の不飽和結合の存在により、運動性が高くブリードしやすい。このような滑剤を用いた場合にも、滑剤の基体表面へのブリーディングが有効に防止され、均一な厚みの油膜を形成することができる点で、本発明の効果が極めて顕著に発揮される。
【0020】
上述した滑剤は、離型性等の特性を付与するために配合されているものであり、その含有量は極めて少なく、オレフィン系樹脂100質量部当り0.02〜5質量部であり、ブリード量を抑制する観点から0.02〜0.08質量部であることが好ましい。
【0021】
前記シリカ粒子は、上記滑剤のブリーディングを防止するブリーディング防止用添加剤として使用されるものである。シリカ粒子の配合量は、上記オレフィン系樹脂中に含まれる滑剤100質量部当り100〜28,000質量部が好ましく、300〜20,000質量部がより好ましく、1,000〜18,000質量部が特に好ましい。即ち、このシリカ粒子を過剰に配合したとしても、ブリーディング防止効果は向上せず、むしろ、オレフィン系樹脂の成形性が損なわれたり、又は、このシリカ粒子がブリーディング防止用添加剤としてではなく、粗面化剤として機能するようになってしまい、基材表面に大きな凹凸が形成されてしまうことがある。また、このシリカ粒子の配合量が少ない場合には、当然のことながら、滑剤のブリーディング防止効果が十分得られず、油膜3を均質に形成することが困難となるおそれがある。
また、上記シリカ粒子の配合量は、上記オレフィン系樹脂100質量部当り5.5質量部以下が好ましい。尚、本発明で用いるシリカ粒子は、粗面化剤として使用されるものではないため、粗面化剤として使用される場合に比して、その配合量はかなり少なくてもよい。例えば、シリカ粒子の配合量は、オレフィン系樹脂100質量部当り1.0質量部以下、特に0.5〜0.8質量部、さらには0.5〜0.6質量部程度の微量の範囲であってもよい。
【0022】
さらに、シリカ粒子以外の無機酸化物粒子、例えばアルミナや酸化チタンなどの使用も考えられる。しかしながら、これらの無機酸化物の粒子は、滑剤のブリーディング防止機能はほとんど示さないため、均質な油膜3を形成するという本発明の目的を達成することはできない。
【0023】
本発明において、シリカ粒子は滑剤(特に脂肪酸アミド)に対し表面吸着により滑剤の基体表面へのブリーディングを防止するため、粒子の比表面積は大きいほうが好ましい。このように表面吸着の観点からは、添加したシリカ粒子の平均一次粒子径(レーザ回折散乱法によって測定される体積換算での平均径D50)は小さいほど好ましく、50μm未満、20μm未満、10μm未満、格段には1μm未満であれば、シリカ粒子の添加量に対するシリカ粒子の表面積は増加し、ブリーディング防止機能は良好となる。
一方で、1μm未満のシリカ粒子は基体であるオレフィン系樹脂中において、二次凝集をおこしやすく、均一な分散が困難になる。二次凝集が発生するとシリカ粒子の添加量に対し、表面吸着を起こすシリカ粒子の表面積は著しく小さくなるため、平均一次粒子径は1μm以上であることが好ましい。
以上の観点からオレフィン系樹脂に対して均一に分散させ、基体の表面全体にわたって均等なブリーディング防止効果を発現させるため、通常、その平均一次粒子径が1〜20μm程度の範囲にあることが好ましい。更に、好ましい範囲且つシリカ粒子を添加する層厚みよりも十分に小さな粒径を選択することで、基体表面に不要な凹凸を発生させることを回避することも可能である。
また、このようなシリカ粒子は、表面処理されていてもよいが、表面処理されていなくてもよい。シリカ粒子を表面処理する場合の表面処理剤としては、シラン化合物、シロキサン化合物、シラザン化合物などのケイ素系疎水化剤が挙げられる。本発明において、滑剤、特に脂肪酸アミドに対するブリーディング防止効果を最も有効に発揮させるためには、親水性シリカ粒子を使用することが好ましい。疎水化剤による表面処理がされていない親水性シリカ粒子の表面には、シラノール基が存在するため、このシラノール基と脂肪酸アミドのアミド基との相互作用により、脂肪酸アミドがシリカ表面に吸着され、ブリーディングが抑制されると推測されるためである。
前記親水性シリカの配合量は、上述した通りであるが、ブリーディング防止効果、分散性及び成形性のバランスの観点から、前記滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂層中に5質量%以下で分散していることが好ましい。
【0024】
本発明において、基体1の各層の厚みについては、特に制限はないが、内表面層は、胴部において10〜25μmであることが好ましい。また、前記滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂層の厚みに対する前記滑剤含有オレフィン系樹脂層の厚みの比率は2〜6であることが好ましい。即ち、滑剤含有オレフィン系樹脂層の厚みが大きい場合にも、滑剤の基体表面へのブリーディングが有効に防止され、本発明の効果が発揮される。
【0025】
上述した滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂により表面が形成されている基体1は、種々の形態で使用することができる。例えば、粘稠な含水物質を搬送するためのパイプや、粘稠な含水物質を内容物とする容器の形態を有していてよい。何れの形態においても、粘稠な含水物質が接触する側の表面が、上記のオレフィン系樹脂により形成されていればよい。
【0026】
また、基体1は、上記のようなオレフィン系樹脂による単層構造であってもよいが、通常は、かかるオレフィン系樹脂により表面が形成されていることを条件として、他の材料との積層構造を有していることが望ましい。例えば、上記オレフィン系樹脂により形成された表面樹脂層の下側に、その形態に応じて、金属箔やガラス、紙や他の樹脂層を積層することができる。このような積層構造の作成にあたっては、適宜、金属箔や他の樹脂層との接着強度を高めるために適宜の接着剤を用いることもできる。
【0027】
例えば、金属箔としては、通常、アルミ箔が使用される。このようなアルミ箔を用いた形態は、特にパウチの作成に適している。
【0028】
さらに、他の樹脂層が積層された構造は、ボトル、カップ等の容器の形態に適している。例えば、このような他の樹脂層としては、特に中間層として、エチレン−ビニルアルコール共重合体に代表されるガスバリア性樹脂の層や、被酸化性重合体と遷移金属触媒とを含む酸素吸収層、又は成形時に発生するバリ等のスクラップを含むリグラインド層などが代表的である。また、各層の接着に、それ自体公知の接着剤樹脂層を設けることもできる。
また、このような多層構造にあっては、上記のオレフィン系樹脂による表面層を内面とし、外面を他の樹脂により形成することも可能である。例えば、外面をPET等のポリエステル樹脂で形成することも可能である。
本発明において、好適な基体1の多層構造は、上記の滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂により内表面層が形成され、且つ上記ガスバリア性樹脂の層、酸素吸収層、グラインド層、接着剤樹脂などを中間層として含み、且つ外表面層がオレフィン系樹脂により形成された構造である。このような多層構造の場合には、一つのオレフィン系樹脂を用い、内表面層の形成に使用されるオレフィン系樹脂にのみ所定量のシリカ粒子を配合すればよい。即ち、内表面層及び外表面層の形成に異なるグレードのオレフィン系樹脂を使用する必要がなく、内表面層と外表面層とを同一のオレフィン系樹脂により形成することができるため、工業的に極めて有利である。しかも、内外面にオレフィン系樹脂が有する可撓性等の特性を容易に発現させることができる。
【0029】
なお、後述の実施例で説明するように、上記の滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂層により形成される内表面層と滑剤含有オレフィン系樹脂層(第二内層)とを隣接して配置した場合において、この第二内層中から滑剤が内面へブリーディングするのを有効に抑制することが可能である点も本発明の極めて優れた利点である。
係る利点を最大限に活かすために、本発明の多層構造体は、上記の滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂により形成された内表面層、この内表面層に隣接する第二内層である滑剤含有オレフィン系樹脂層、及び中間層としてのガスバリア性樹脂層をこの順に有する。
ガスバリア性樹脂層は、滑剤の移行を遮断する効果を有する。従って、第二内層中の滑剤は、ガスバリア性樹脂層側に移行することができず、内表面層側に選択的に移行することとなる。この場合、内表面層側に移行する滑剤の総量は、第二内層の隣接層としてガスバリア性樹脂層を設けない場合と比較して大きくなり、滑剤が基体表面にブリードし易くなる。しかるに、上述したように、本発明の滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂層を内表面層に用いることで、基体表面に油性液体をはじく滑剤がブリードすることを有効に防止することができるため、基体表面上に均質な油膜を形成することができる。
上記の滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂により内表面層が形成され、且つこの内表面層に隣接する第二内層として、滑剤含有オレフィン系樹脂層、中間層としてガスバリア性樹脂層の順に配置された多層構造体において、滑剤含有オレフィン系樹脂層とガスバリア性樹脂層との間には必要に応じて接着層を配置しても良い。通常、接着層は薄く、滑剤の移行にはほとんど影響を与えないと考えられるためである。ガスバリア性樹脂層としては、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(EVOH)又はポリアミドを単独またはブレンドして用いることができる。また、EVOH又はポリアミドとポリオレフィン系樹脂とのブレンド物を用いることも出来る。
【0030】
また、第二内層と外表面層を同一の滑剤含有ポリオレフィン系樹脂を用いることがコストの観点から優れている。通常、外表面層はライン搬送時に低い摩擦係数を必要とされるため、滑剤含有ポリオレフィン系樹脂を用いることが有効であるためである。
【0031】
このような単層又は多層の構造体は、その形態に応じて、それ自体公知の成形法、例えばキャスト法、Tダイ法、カレンダー法、インフレーション法などのフィルム成形法;サンドイッチラミネーション;共押出成形;共射出成形;圧縮成形;真空成形;等により成形することができる。例えば、容器においては、シート状、パイプ状、試験管状等の形態のプリフォームを成形し、次いで、プラグアシスト成形やブロー成形などの二次成形を行うことにより、カップ形状、トレイ形状又はボトル形状の容器とすることができる。
【0032】
本発明において、上記の基体1の表面に形成される油膜3は、粘稠な含水物質に対する滑り性を向上させる油性液体により形成されるものである。
かかる油性液体は、当然、大気圧下での蒸気圧が小さい不揮発性の液体、例えば沸点が200℃以上の高沸点液体でなければならない。揮発性液体を用いた場合には、容易に揮散して経時と共に消失し、油膜3を形成することが困難となってしまうからである。
【0033】
このような油性液体の具体例としては、上記のような高沸点液体であることを条件として、種々のものを挙げることができる。特に表面張力が、滑り性の対象となる粘稠な含水物質と大きく異なる油性液体ほど、潤滑効果が高く、本発明には好適である。
例えば、表面張力が10乃至40mN/m、特に16乃至35mN/mの範囲にある油性液体を用いることが好ましい。このような油性液体の代表的な例としては、グリセリン脂肪酸エステル、流動パラフィン、食用油脂(食用油)が挙げられる。特に、粘稠な含水物質が食品類である場合には、食用油脂が最適である。
このような食用油脂としては、大豆油、菜種油、オリーブオイル、米油、コーン油、べに花油、ごま油、パーム油、ひまし油、アボガド油、ココナッツ油、アーモンド油、クルミ油、はしばみ油、サラダ油などが好適に使用できる。
【0034】
上記のような油性液体による油膜3は、通常、1.0〜50g/m、特に3.0〜20g/mの量で基体1の表面(基体1が包装材である場合には内面)に形成される。本発明では、このような厚みの油膜3が基体1の表面全体にわたって均一に形成されている。言い換えると、基体1の表面には、油膜3が形成されていない領域はない。そのため、基体1の表面全体にわたって均等に優れた滑り性が発揮される。その結果、例えば、表面の一部に粘稠な含水物質が付着してしまう等の不都合を確実に防止することができる。
尚、油膜3の量又は厚みが上記範囲よりも大きい場合には、油膜3の脱落などを生じ易くなってしまい、上記範囲よりも少ない場合には、油膜3が均質に形成されず、又は油膜3が不連続に形成されてしまう。
【0035】
本発明において、上述した油膜3は、あらかじめ成形された基体1の表面に、油膜3を形成する油性液体をスプレー噴霧、浸漬、ロールコート等により塗布することにより形成される。特に、基体1の形状にかかわらず、油膜3を形成することができるという点で、スプレー噴霧により油膜3を形成することが好適である。また、基体1をブロー成形により成形する場合には、ブロー流体と共に、油性液体を供給することにより、油膜3を形成することもできる。
尚、上記の油性液体を表面形成用のオレフィン系樹脂に混合しておき、成形後のブリーディングにより表面に油膜を形成するという手法も知られているが、本発明の構造体1を製造するには、かかる手法は適当ではない。表面形成用のオレフィン系樹脂にブリーディング抑制のためのシリカ粒子が配合されているからである。
【0036】
また、本発明においては、基体1の形態によっては、油膜3の形成に先立って、それ自体公知のブラスト処理などの後加工によって、油膜3が形成されるべき基体1の表面を粗面加工するという手段も採用することができる。これにより、油膜3の保持性をより高めることができる。
【0037】
上述した本発明の構造体は、油膜3による表面特性を十分に発揮させ、粘稠な含水物質に対する滑り性を向上させることができる。従って、本発明の構造体は、ケチャップ、水性糊、蜂蜜、各種ソース類、マヨネーズ、マスタード、ドレッシング、ジャム、チョコレートシロップ、ヨーグルト、乳液等の化粧液等の粘稠な含水内容物が充填される容器、特にダイレクトブロー成形容器として好適である。
特に本発明は、表面を形成するオレフィン系樹脂にシリカ微粒子を配合しておけば、使用するオレフィン系樹脂に滑剤が配合されているか否かにかかわらず、表面に油膜を形成することにより粘稠な含水物質に対する優れた滑り性を確保することができる。そのため、工業的実施に際して、オレフィン系樹脂の組成を選択する必要がないという大きな利点を有する。
【実施例】
【0038】
本発明を以下の実験例にて説明する。
尚、以下の実験例等で行った各種の特性、物性等の測定方法は次の通りである。
【0039】
1.油の接触角測定
後述の方法で作製した構造体表面(ボトル内面)の油接触角を固液界面解析システムDropMaster700(協和界面科学(株)製)を用いて測定した。油としてサラダ油を用い、大気中において、サラダ油が構造体表面に滴下されてから60秒後の油接触角(1μL)の値を測定した。この値が10度以下であれば、油が良く濡れ拡がり、均一な油膜が塗工できると判断できる。
2.スプレー塗工性試験
後述の方法で作製した構造体表面(ボトル内面)に対し、サラダ油をスプレー塗工し、スプレー塗工性を評価した。評価基準は次の通りである。
良好:サラダ油がはじかれることなく、油膜が形成される。
不良:サラダ油がはじかれ、油膜が形成されていない部分が存在する。
【0040】
<実施例1>
4つの押出機を用い、4種6層の多層パリソンを成形した。次いで、この多層パリソンを用いての公知のダイレクトブロー成形により、下記の4種6層の層構成の多層ボトル(内容積:400ml)を得た。多層ボトルの胴部総厚みは400μmで、層構成比は下記の通りである(単位:wt%)。
外表面層(10.9)/ブレンド系ガスバリア層(2.7)/メイン層
(67.7)/ブレンド系ガスバリア層(2.4)/第二内層(12.
3)/内表面層(4.0)
【0041】
各層に用いた材料は、次のとおりである。
外表面層;
低密度ポリエチレン(LDPE)
MFR:0.3g/10min(190℃、2.16Kg)
密度:0.922g/cm
滑剤(LDPE100質量部当り0.03質量部のオレイン酸アミド)
ブレンド系ガスバリア層;
EVOH共重合体とオレフィン系樹脂のブレンド
メイン層;
低密度ポリエチレン(LDPE)
MFR:0.3g/10min(190℃、2.16Kg)
密度:0.922g/cm
滑剤(LDPE100質量部当り0.03質量部のオレイン酸アミド)
第二内層;
低密度ポリエチレン(LDPE)
MFR:0.3g/10min(190℃、2.16Kg)
密度:0.922g/cm
滑剤(LDPE100質量部当り0.03質量部のオレイン酸アミド)
内表面層;
低密度ポリエチレン(LDPE)とシリカのブレンド
LDPE:シリカ=99:1(重量比)
LDPEのMFR:0.3g/10min(190℃、2.16Kg

LDPEの密度:0.922g/cm
滑剤(LDPE100質量部当り0.03質量部のオレイン酸アミド)
【0042】
作製した構造体(多層ボトル)を用いて、上述の油の接触角測定とスプレー塗工性試験を行った。結果を表1に示した。
【0043】
<実施例2〜4>
内表面層に用いる樹脂組成物を下記の樹脂組成物に変更し、下記の層構成比に変更した以外は実施例1と同様の手順で多層ボトルを成形し、上述の油の接触角測定とスプレー塗工性試験を行った。結果を表1に示した。
内表面層;
低密度ポリエチレン(LDPE)シリカのブレンド
LDPE:シリカ=97:3(重量比)
LDPEのMFR:0.3g/10min(190℃、2.16Kg)
LDPEの密度:0.922g/cm
滑剤(LDPE100質量部当り0.03質量部のオレイン酸アミド)
実施例2における層構成比;
外表面層(10.8)/ブレンド系ガスバリア層(2.9)/中間層(
68.7)/ブレンド系ガスバリア層(2.6)/第二内層(11.9
)/内表面層(3.1)
実施例3における層構成比;
外表面層(11.2)/ブレンド系ガスバリア層(2.6)/中間層(
67.2)/ブレンド系ガスバリア層(2.2)/第二内層(12.3
)/内表面層(4.5)
実施例4における層構成比;
外表面層(10.8)/ブレンド系ガスバリア層(3.0)/中間層(
65.6)/ブレンド系ガスバリア層(2.5)/第二内層(12.6
)/内表面層(5.5)
【0044】
<実施例5〜8>
内表面層に用いる樹脂組成物を下記の樹脂組成物に変更し、下記の層構成比に変更した以外は実施例1と同様の手順で多層ボトルを成形し、上述の油の接触角測定とスプレー塗工性試験を行った。結果を表1に示した。
内表面層;
低密度ポリエチレン(LDPE)シリカのブレンド
LDPE:シリカ=95:5(重量比)
LDPEのMFR:0.3g/10min(190℃、2.16Kg)
LDPEの密度:0.922g/cm
滑剤(LDPE100質量部当り0.03質量部のオレイン酸アミド)
実施例5における層構成比;
外表面層(11.0)/ブレンド系ガスバリア層(2.8)/中間層(
68.6)/ブレンド系ガスバリア層(2.5)/第二内層(11.8
)/内表面層(3.3)
実施例6における層構成比;
外表面層(11.0)/ブレンド系ガスバリア層(2.8)/中間層(
67.2)/ブレンド系ガスバリア層(2.6)/第二内層(12.2
)/内表面層(4.2)
実施例7における層構成比;
外表面層(9.0)/ブレンド系ガスバリア層(1.7)/中間層(5
9.0)/ブレンド系ガスバリア層(2.1)/第二内層(23.4)
/内表面層(4.8)
実施例8における層構成比;
外表面層(15.9)/ブレンド系ガスバリア層(4.4)/中間層(
53.4)/ブレンド系ガスバリア層(3.7)/第二内層(17.9
)/内表面層(4.7)
【0045】
<実施例9>
内表面層に用いる樹脂組成物を下記の樹脂組成物に変更した以外は実施例1と同様の手順で多層ボトルを成形し、上述の油の接触角測定と接触角測定とスプレー塗工性試験を行った。結果を表1に示した。
内表面層;
低密度ポリエチレン(LDPE)シリカのブレンド
LDPE:シリカ=99.7:0.5(重量比)
LDPEのMFR:0.3g/10min(190℃、2.16Kg)
LDPEの密度:0.922g/cm
滑剤(LDPE100質量部当り0.03質量部のオレイン酸アミド)
【0046】
<比較例1>
内表面層に用いる樹脂組成物を下記の樹脂組成物に変更し、下記の層構成比に変更した以外は実施例1と同様の手順で多層ボトルを成形し、上述の油の接触角測定とスプレー塗工性試験を行った。結果を表1に示した。
内表面層;
低密度ポリエチレン(LDPE)
LDPEのMFR:0.3g/10min(190℃、2.16Kg)
LDPEの密度:0.922g/cm
滑剤(LDPE100質量部当り0.03質量部のオレイン酸アミド)
比較例1における層構成比;
外表面層(16.1)/ブレンド系ガスバリア層(4.0)/中間層(
54.4)/ブレンド系ガスバリア層(3.3)/第二内層(17.2
)/内表面層(5.0)
【0047】
【表1】
【0048】
表1より、内表面層がシリカ粒子及び脂肪族アミドからなる滑剤を含有するLDPEにより形成された実施例1から9においては、油接触角が5度以下の値であり、スプレー塗工性に優れている。即ち、滑剤の基体表面へのブリーディングが有効に防止されていることが分かった。一方、内表面層にシリカ粒子を含有しない比較例1においては、油接触角が20度でスプレー塗工性が不良となることが分かった。
さらに、本発明の構造体では、内表面層に対する第二内層の厚み比を2〜5に設定しても、第二内層からの脂肪族アミドからなる滑剤のブリーディングが有効に抑制できていることが確認できた。
【符号の説明】
【0049】
1:基体
3:油膜
【要約】
本発明によれば、滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂により形成された表面を有する基体と、該表面上に形成された油膜を有する構造体において、前記滑剤及びシリカ含有オレフィン系樹脂には、滑剤のブリーディング防止用添加剤として、シリカ粒子が分散されていることを特徴とする構造体が提供される。
図1