(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シランカップリング剤が、ビニル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メタクリル系シランカップリング剤、アクリル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、ポリスルフィド系シランカップリング剤、及びクロロアルキル系シランカップリング剤から選択される少なくとも一種のカップリング剤であることを特徴とする請求項2に記載の自動車用ゴム部品用耐屈曲性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の耐屈曲性組成物及び耐屈曲性組成物を架橋してなる耐屈曲性ゴム材料について詳細に説明する。本発明の耐屈曲性組成物は(A)エピクロルヒドリン系重合体、(B)表面処理シリカ、(C)架橋剤を含有する。
【0010】
(A)エピクロルヒドリン系重合体
本発明の耐屈曲性組成物に用いられる(A)エピクロルヒドリン系重合体は、エピクロルヒドリン単体重合体、エピクロルヒドリンーエチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリンープロピレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリンーエチレンオキサイドーアリルグリシジルエーテル三元共重合体、エピクロルヒドリンーエチレンオキサイドープロピレンオキサイドーアリルグリシジルエーテル四元共重合体を挙げることができる。中でも、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体であることが好ましい。これら単独重合体または共重合体の分子量は特に制限されないが、通常ムーニー粘度表示でML
1+4(100℃)=30〜150程度である重合体であることが好ましい。
【0011】
(A)エピクロルヒドリン系重合体としては、耐熱性の点で、エピクロルヒドリンに基づく重合単位を10mol%以上含有することが好ましく、20mol%以上含有することがより好ましく、25mol%以上含有することが特に好ましい。エピクロルヒドリンに基づく重合単位については、塩素含有量等より算出することができる。塩素含有量はJIS K7229に記載の方法に従い、電位差滴定法によって求めることができる。
【0012】
エピクロルヒドリンーエチレンオキサイド共重合体の場合、それら共重合割合は、エピクロルヒドリンは10mol%〜95mol%であることが好ましく、20mol%〜75mol%であることがより好ましく、25mol%〜65mol%であることが特に好ましい。エチレンオキサイドは5mol%〜90mol%であることが好ましく、25mol%〜80mol%であることがより好ましく、35mol%〜75mol%であることが特に好ましい。
【0013】
エピクロルヒドリンーエチレンオキサイドーアリルグリシジルエーテル三元共重合体の場合、それら共重合割合は、エピクロルヒドリンは10mol%〜95mol%であることが好ましく、20mol%〜75mol%であることがより好ましく、25mol%〜65mol%であることが特に好ましい。エチレンオキサイドは4mol%〜89mol%であることが好ましく、24mol%〜79mol%であることがより好ましく、34mol%〜74mol%であることが特に好ましい。アリルグリシジルエーテルは1mol%〜10mol%であることが好ましく、1mol%〜8mol%であることがより好ましく、1mol%〜7mol%であることが特に好ましい。
【0014】
(B)表面処理シリカ
本発明の耐屈曲性組成物に用いられる(B)表面処理シリカは、シリカとシランカップリング剤等とが反応することにより得られる。本発明の耐屈曲性組成物において、(B)表面処理シリカの含有量は(A)エピクロルヒドリン系重合体100重量部に対して、10〜70重量部であることが好ましく、20〜60重量部であることがより好ましく、30〜50重量部であることが特に好ましい。表面処理シリカの含有量が10重量部未満であると架橋が不十分となり、70重量部を超えるとコンパウンド粘度が増大し加工性が困難になる。
【0015】
表面処理されるシリカは、製造法を問わず用いることができ、乾式法シリカ、湿式法シリカいずれも用いることができる。湿式法シリカを用いることで、乾式法シリカと比較して、耐屈曲性組成物の加工性に優れ、耐屈曲性組成物を架橋してなる架橋物は圧縮永久歪性に優れる点で好ましい。湿式法シリカとは、ケイ酸ナトリウム水溶液をまたはアルカリ土類金属ケイ酸塩を、酸分解する等により製造される含水ケイ酸の微粒子で、二酸化ケイ素を主体としたゴム用充填材である。湿式法シリカの市販品を例示すると、カープレックス、トクシール、ニップシール、シルトンなどが挙げられる。
【0016】
湿式法シリカのBET比表面積は70〜380m
2/gであることが好ましく、100〜250m
2/gであることがより好ましく、170〜220m
2/gであることが特に好ましい。
【0017】
湿式法シリカのDBP吸油量は160〜280ml/100gであることが好ましく、180〜220ml/100gであることが特に好ましい。
【0018】
シリカを表面処理するシランカップリング剤としては、ビニル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メタクリル系シランカップリング剤、アクリル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、ポリスルフィド系シランカップリング剤およびクロロアルキル系シランカップリング剤が挙げられ、クロロアルキル系シランカップリング剤であることが好ましい。シランカップリング剤は一種を単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いても良い。
【0019】
ビニル系シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン等が例示される。
エポキシ系シランカップリング剤としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
メタクリル系シランカップリング剤としては、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン等が例示される。
アクリル系シランカップリング剤としては、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン等が例示される。
アミノ系シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
メルカプト系シランカップリング剤としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
ポリスルフィド系シランカップリング剤としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(略称TESPD)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(略称TESPT)等が例示される。
クロロアルキル系シランカップリング剤としては下記一般式(1)で表される化合物を例示することができる。
Cl(CH
2)
3Si(OR)
3 (1)
(但し、上記一般式(1)においてRはメチル基またはエチル基を表す。)
【0020】
(B)表面処理シリカの製造方法
(B)表面処理シリカの製造方法としては、シリカ100重量部に対して、シランカップリング剤を3〜15重量部を反応させることが好ましく、5〜13重量部を反応させることが好ましく、9〜11重量部を反応させることが特に好ましい。
【0021】
(B)表面処理シリカの製造方法において、シリカとシランカップリング剤との反応を促進するために、酸等を用いることができる。
【0022】
(B)表面処理シリカの製造方法としては、シリカとシランカップリング剤の反応をより促進するために加熱処理を施してもよく、加熱方法や時間、温度など特に制限はない。具体的には、ナウターミキサーやリボンブレンダー、ヘンシェルミキサーなどを用いて加熱攪拌し、その後、加熱オーブンなどで加熱する等を例示することができる。撹拌温度及び時間は、一般的には20〜200℃で、1分〜24時間である。
【0023】
(C)架橋剤
本発明の耐屈曲性組成物において、(C)架橋剤としては、エピクロルヒドリン系ゴムを架橋できるものであれば特に限定されないが、塩素原子の反応性を利用する公知の架橋剤、即ちポリアミン類、チオウレア類、チアジアゾール類、トリアジン類、キノキサリン類、ビスフェノール類等が、また、側鎖二重結合の反応性を利用する公知の架橋剤、例えば、有機過酸化物、硫黄、モルホリンポリスルフィド類、チウラムポリスルフィド類等を例示することができ、チオウレア類、キノキサリン類、トリアジン類、硫黄であることが好ましく、2−メルカプトイミダゾリン(エチレンチオウレア)、6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジンであることが特に好ましい。(C)架橋剤は一種を単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いても良い。
【0024】
ポリアミン類としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンテトラミン、p -フェニレンジアミン、クメンジアミン、N,N'−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、エチレンジアミンカーバメート、ヘキサメチレンジアミンカーバメート等が挙げられる。
チオウレア類としては、2−メルカプトイミダゾリン、1,3−ジエチルチオウレア、1,3−ジブチルチオウレア、トリメチルチオウレア等が挙げられる。
チアジアゾール類としては、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−5−チオベンゾエート等が挙げられる。
トリアジン類としては、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、2−ヘキシルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−ジエチルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−シクロヘキシルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−アニリノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン等が挙げられる。
キノキサリン類としては、2,3−ジメルカプトキノキサリン、キノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、5,8−ジメチルキノキサリン−2,3−ジチカーボネート等が挙げられる。
ビスフェノール類としてはビスフェノールAF、ビスフェノールS等が挙げられる。
有機過酸化物としては、tert− ブチルヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。
モルホリンポリスルフィド類としては、モルホリンジスルフィドが挙げられる。
チウラムポリスルフィド類としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド等が挙げられる。
【0025】
本発明の耐屈曲性組成物において、(C)架橋剤の含有量は、(A)エピクロルヒドリン系重合体100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、0.3〜5重量部であることが特に好ましい。(C)架橋剤の含有量が0.1重量部未満では架橋が不十分となり、10重量部を超えると架橋物が剛直になりすぎて、エピクロルヒドリン系ゴム組成物を架橋して得られる架橋物として通常期待される物性が得られなくなる恐れがある。
【0026】
(D)受酸剤
本発明の耐屈曲性組成物においては(D)受酸剤を含有してもよい。(D)受酸剤としては、架橋剤に応じて公知の受酸剤を使用でき、金属化合物及び/又は無機マイクロポーラス・クリスタルが用いられ、好ましくは金属化合物である。金属化合物としては、周期表第II族(2族および12族金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期表第IV族(4族および14族)の非鉛系金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩、三塩基性硫酸塩等の金属化合物が挙げられる。
【0027】
前記、金属化合物の具体例としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸ナトリウム、生石灰、消石灰、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、亜鉛華、酸化錫、ステアリン酸錫、塩基性亜リン酸錫、等を挙げることができる。特に好ましい受酸剤としては酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、消石灰、生石灰が挙げられる。
【0028】
無機マイクロポーラス・クリスタルとは、結晶性の多孔体を意味し、無定型の多孔体、例えばシリカゲル、アルミナ等とは明瞭に区別できるものである。このような無機マイクロポーラス・クリスタルの例としては、ゼオライト類、アルミナホスフェート型モレキュラーシーブ、層状ケイ酸塩、ハイドロタロサイト類、チタン酸アルカリ金属塩等が挙げられる。特に好ましい受酸剤としては、ハイドロタルサイト類が挙げられる。
【0029】
ゼオライト類は、天然ゼオライトの外、A型、X型、Y型の合成ゼオライト、ソーダライト類、天然ないしは合成モルデナイト、ZSM−5などの各種ゼオライト及びこれらの金属置換体であり、これらは単独で用いても2種以上の組み合わせで用いても良い。また金属置換体の金属はナトリウムであることが多い。ゼオライト類としては酸受容能が大きいものが好ましく、A型ゼオライトが好ましい。
【0030】
前記ハイドロタルサイト類は下記一般式(2)
Mg
XZn
YAl
Z(OH)
(2(X+Y)+3Z−2)CO
3・wH
2O (2)
[式中、xとy はそれぞれx+y=1〜10の関係を有する0〜10の実数、zは1〜5の実数、wは0〜10の実数をそれぞれ示す]で表わされる。
ハイドロタルサイト類の具体例として、Mg
4.5Al
2(OH)
13CO
3・3.5H
2O、Mg
4.5Al
2(OH)
13CO
3、Mg
4Al
2(OH)
12CO
3・3.5H
2O、Mg
5Al
2(OH)
14CO
3・4H
2O、Mg
3Al
2(OH)
10CO
3・1.7H
2O、Mg
3ZnAl
2(OH)
12CO
3・3.5H
2O、Mg
3ZnAl
2(OH)
12CO
3、Mg
4.3Al
2(OH)
12.6CO
3・3.5H
2O等を挙げることができる。
【0031】
本発明の耐屈曲性組成物において、(D)受酸剤の含有量は、(A)エピクロルヒドリン系重合体100重量部に対して、0.2〜50重量部であることが好ましく、1〜20重量部であることが特に好ましい。(D)受酸剤の含有量が0.2重量部未満では架橋が不十分となり、50重量部を超えると架橋物が剛直になりすぎて、エピクロルヒドリン系ゴム組成物を架橋して得られる架橋物として通常期待される物性が得られなくなる恐れがある。
【0032】
本発明の耐屈曲性組成物においては、カーボンブラックを更に含有しても良い。カーボンブラックは、本願発明の効果を損なわない限り、粒径、表面状態等において、限定なく用いることができる。カーボンブラックを具体的に例示すると、SAF、ISAF、HAF、FEF等が用いられる。
【0033】
本発明の耐屈曲性組成物においては、カーボンブラックの含有量は、(A)エピクロルヒドリン系重合体100重量部に対して、1〜120重量部の範囲であることが好ましく、2〜60重量部であることがより好ましい。
【0034】
本発明の耐屈曲性組成物には、公知の老化防止剤を用いることができる。公知の老化防止剤として、アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、ベンズイミダゾール系老化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤、チオ尿素系老化防止剤、有機チオ酸系老化防止剤、亜リン酸系老化防止剤が例示され、アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、ベンズイミダゾール系老化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤であることが好ましい。
【0035】
アミン系老化防止剤を具体的に例示すると、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、p−(p−トルエン・スルホニルアミド)−ジフェニルアミン、4,4’−(α,α’−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4’−ジオクチル・ジフェニルアミン、ジフェニルアミンとアセトンの高温反応生成品、ジフェニルアミンとアセトンと低温反応生成品、ジフェニルアミン、アニリンとアセトンの低温反応品、ジフェニルアミンとジイソブチレンの反応生成品、オクチル化ジフェニルアミン、ジオクチル化ジフェニルアミン、p,p’−ジオクチル・ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミンの混合品、置換ジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミンの混合品、アラルキル化ジフェニルアミンによるアルキルおよびアラルキル置換フェノールの混合品、ジフェニルアミン誘導体、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、ジアリル−p−フェニレンジアミンの混合品、フェニル,ヘキシル−p−フェニレンジアミン、フェニル,オクチル−p−フェニレンジアミン等があり、その他のアミン系として芳香族アミンと脂肪族ケトンの縮合品、ブチルアルデヒド−アニリン縮合品、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンが挙げられる。
【0036】
フェノール系老化防止剤を具体的に例示すると、2,5−ジ−(t−アミル)−ヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル等があり、モノフェノール系として1−オキシ−3−メチル−4−イソプロピルベンゼン、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−sec−ブチルフェノール、ブチル・ヒドロキシアニソール、2−(1−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、アルキル化フェノール、アラルキル置換フェノール、フェノール誘導体、2,2’-メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルクレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−(α−メチルシクロヘキシル)−5,5−ジメチル・ジフェニルメタン、アルキル化ビスフェノール、p−クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニル・アクリレート、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)−エチル〕−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、3,9−ビス〔2−{3(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ブチル酸3,3−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチレンエステル、1,3,5−トリ(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオンの3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸トリエステル、変性ポリアルキル亜リン酸塩化多価フェノール、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス−(6−tert−ブチル−o−クレゾール)、4,4’−ジ及びトリ−チオビス−(6−tert−ブチル−o−クレゾール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル・フェニル)プロピオネート、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’-ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ペンタエリスリトール−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’−ヘキサメチレビス(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−ホスホネート−ジエチルエステル、テトラキス〔メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメイト)〕メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エステル、ヒンダートフェノール、ヒンダートビスフェノール、2−ヒドロキシナフタレン−3−カーボイル−2’−メトキシアニリド、2−ヒドロキシナフタレン−3−カーボイル−2’−メチルアニリド、2−ヒドロキシナフタレン−3−カーボイル−4’−メトキシアニリド、4,4’−ビス(N,N’−ジメチルアミノ)−トリフェニルメタン、2−ヒドロキシナフタレン−3−カーボイルアニリド、1,1’−ビス(4,4’−N,N’−ジメチルアミノフェニル)−シクロヘキサンが挙げられる。
【0037】
ベンズイミダゾール系老化防止剤を具体的に例示すると、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールとフェノール縮合物の混合品、2−メルカプトベンズイミダゾールの金属塩、2−メルカプトメチルベンズイミダゾールの金属塩、4と5−メルカプトメチルベンズイミダゾール、4と5−メルカプトメチルベンズイミダゾールの金属塩が挙げられる。
【0038】
ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤を具体的に例示すると、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジイソブチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸銅、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸銅、ジベンジルジチオカルバミン酸銅が挙げられる。
【0039】
チオ尿素系老化防止剤を具体的に例示すると、1,3−ビス(ジメチル・アミノプロピル)−2−チオ尿素、トリブチルチオ尿素等が例示される。
【0040】
有機チオ酸系老化防止剤を具体的に例示すると、ジラウリル・チオジプロピオネート、ジステアリル・チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジラウリル・チオジプロピオネートが挙げられる。
【0041】
亜リン酸系老化防止剤を具体的に例示すると、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、トリス(混合モノ−及びジ−ノニルフェニル)フォスファイト、ジフェニル・モノ(2−エチルヘキシル)フォスファイト、ジフェニル・モノトリデシル・フォスファイト、ジフェニル・イソデシル・フォスファイト、ジフェニル・イソオクチル・フォスファイト、ジフェニル・ノニルフェニル・フォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリス(トリデシル)フォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)フォスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコール・ジフォスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラフォスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルフォスファイト−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチル−ジ−トリデシルフォスファイト)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)フルオロフォスファイト、4,4’−イソプロピデン−ジフェノールアルキル(C
12〜C
15)フォスファイト、環状ネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニルフォスファイト)、環状ネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−フェニルフォスファイト)、環状ネオペンタンテトライルビス(ノニルフェニルフォスファイト)、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジブチルハイドロゲンフォスファイト、ジステアリル・ペンタエリスリトール・ジフォスファイト、水添ビスフェノールA・ペンタエリスリトールフォスファイト・ポリマーが挙げられる。
【0042】
本発明の耐屈曲性組成物において、老化防止剤の配合量は、(a)エピクロルヒドリン系重合体100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、0.1〜5重量部であることがより好ましく、0.3〜3重量部であることが特に好ましい。
【0043】
本発明の耐屈曲性組成物には、本発明の効果を損なわない限り、上記以外の配合剤、例えば、滑剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填剤、可塑剤、加工助剤、難燃剤、架橋促進剤、架橋遅延剤等を任意に配合できる。さらに本発明の特性が失われない範囲で、当該技術分野で通常行われている、ゴム、樹脂等のブレンドを行うことも可能である。
【0044】
本発明による耐屈曲性組成物を製造するには、従来ポリマー加工の分野において用いられている任意の混合手段、例えばミキシングロール、バンバリーミキサー、各種ニーダー類等を用いることができる。
【0045】
本発明の架橋物は、本発明の耐屈曲性組成物を通常100〜200℃ に加熱することで得られる。架橋時間は温度により異なるが、通常0.5〜300分の間である。架橋成型の方法としては、金型による圧縮成型、射出成型、スチーム缶、エアーバス、赤外線或いはマイクロウェーブによる加熱等任意の方法を用いることができる。
【0046】
本発明の耐屈曲性ゴム材料は、通常エピクロルヒドリン系ゴムが使用される分野に広く応用することができる。例えば、自動車用途などの各種燃料系積層ホース、エアー系積層ホース、チューブ、ベルト、ダイヤフラム、シール類等ゴム材料や、一般産業用機器・装置等のゴム材料として使用できる。
【実施例】
【0047】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこの記載に限定されるものではない。
【0048】
表1に示す配合で各材料をニーダーおよびオープンロールで混練し、厚さ2〜2.5mmの未架橋シートを作製した。また、引張特性、耐熱性、屈曲耐久性の評価のために得られた未架橋シートを170℃で15分プレス架橋し、2mm厚の一次架橋物を得た。さらにこれをエア・オーブンで150℃で2時間加熱し、二次架橋物を得た。得られた二次架橋物を用い、JIS K6251に準じて引張試験を、JIS K6257促進老化試験A−2法に準じて耐熱性の試験を、JIS K6260に準じて屈曲き裂試験の評価を行った。
【0049】
各試験方法より得られた試験結果を表2に示す。各表中M
100は引張試験に定める100%伸び時の引張応力、Tbは引張試験に定める引張強さ、Ebは引張試験に定める伸び、HsはJIS K6253の硬さ試験に定める硬さをそれぞれ意味する。また屈曲き裂試験における数値の記載は、き裂発生までの屈曲回数を示し、屈曲回数が多いほど、屈曲耐久性が優れていることが示される。
【0050】
【表1】
【0051】
表1で用いられた配合剤を示す。
エピクロロヒドリン系重合体*1:ダイソー株式会社製「エピクロロヒドリン−エチレンオキシド共重合体:エピクロマーC」
FEFカーボン*2:東海カーボン株式会社製「シーストSO」
表面処理シリカ*3:130℃で24時間乾燥させ揮発分を0重量%としたシリカ(日本シリカ株式会社製、ニップシールVN-3)100重量部に対し、シランカップリング剤(ダイソー株式会社製:カブラスC、化合物名:トリエトキシシリルプロピルクロライド)10重量部を混合し、2Lヘンシェルミキサー(株式会社カワタ製、スーパーミキサーピッコロ)を用い室温にて600rpmで45分攪拌して得た。
湿式シリカ*4:日本シリカ株式会社製「ニップシールVN-3」(BET比表面積170〜220m
2/g、DBP吸油量180〜220ml/100g)
乾式シリカ*5:日本アエロジル株式会社製「AEROSIL 200」(BET比表面積200m
2/g、DBP吸油量290ml/100g)
シランカップリング剤*6:ダイソー株式会社製「シランカップリング剤:カブラスC」化合物名:トリエトキシシリルプロピルクロライド
【0052】
【表2】
【0053】
本発明の耐屈曲性組成物を架橋してなる耐屈曲性ゴム材料である実施例1は耐熱性試験後も高いTb値を有しており、優れた耐熱性を示している。また、実施例1は屈曲き裂成長試験において、き裂発生までの屈曲回数は耐熱性試験前後で大きく変化することなく、高温条件下における屈曲耐久性が優れていることが示された。
一方、比較例1〜2は、シリカを表面処理することなく、シリカとシランカップリング剤を配合した組成物を架橋してなるゴム材料であるが、屈曲き裂成長試験において、き裂発生までの屈曲回数は、耐熱性試験前と比較して耐熱性試験後は大きく低下しており、実施例1と比較して高温条件下における屈曲耐久性が劣ることが示された。
比較例3は、表面処理シリカを配合することなく、カーボンブラックを増量して配合した組成物を架橋してなるゴム材料であるが、き裂発生までの屈曲回数は耐熱性試験前後ともに少なく、実施例1と比較して屈曲耐久性が低いことが示された。