(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部が前記水側流量調節ユニット及び前記湯側流量調節ユニットが有する各前記定流量弁の流量の設定を変更する場合、前記水側流量調節ユニットの定流量弁の前記モータの駆動速度と、前記湯側流量調節ユニットの定流量弁の前記モータの駆動速度との比は、前記水側流量調節ユニットの定流量弁の前記流量絞り弁の駆動角度と、前記湯側流量調節ユニットの定流量弁の前記流量絞り弁の駆動角度との比と一致する、
請求項2乃至5のいずれか1項に記載の湯水混合装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
給水路及び給湯路を個別に開閉制御する手法による従来の湯水混合装置において、温度制御や流量制御は流量のフィードバックを含む制御方式によって実行されていたため、湯と水との間の差圧や、圧力が急に変動した場合、この変動に対応しようとしてもハンチングやオーバーシュートが発生してしまい、急な変動に十分に対応した制御を行うことが困難であった。つまり、給水路及び給湯路を個別に開閉制御する手法による従来の湯水混合装置では、安定した温度制御や流量制御を行うことが比較的困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、温度制御や流量制御を安定して行うことができる湯水混合装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、吐水部に向けて給水を行う給水路上に設けられた水温センサと、前記給水路の水流量を調節する水側流量調節ユニットと、吐水部に向けて給湯を行う給湯路上に設けられた湯温センサと、前記給湯路の湯流量を調節する湯側流量調節ユニットと、前記水側流量調節ユニット及び前記湯側流量調節ユニットを動作させる制御部と、を備え、前記制御部による制御の下で前記水側流量調節ユニット及び前記湯側流量調節ユニットにより水流量及び湯流量を調節することで、前記吐水部における吐水温度及び吐水流量を調節する混合水栓装置において、前記水側流量調節ユニット及び前記湯側流量調節ユニットは、下流側に流れ込む流量を所定流量とする定流量弁をそれぞれ備え、前記定流量弁は前記制御部により流量を設定され
、前記水側流量調節ユニット及び前記湯側流量調節ユニットはそれぞれ流量センサを有し、前記各流量センサにより検出される流量が前記制御部により設定された各定流量弁の流量に達していない場合、前記制御部は前記制御部により設定された各定流量弁の流量の比率を保った状態で、前記各定流量弁の流量を前記各流量センサにより検出された流量よりも小さくすることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、圧力や温度の外乱を受けた後も、安定した温度制御や流量制御を行うことが
可能となり、吐水部などで流量が大きく規制されるような状態や水圧、湯圧が低い場合においても、適切に温度制御や流量制御を行なうことが可能となる。
【0008】
本発明において、好ましくは、前記定流量弁は、前記給水路の一次側流路と二次側流路との間、及び前記給湯路の一次側流路と二次側流路との間に設置される弁であって、それぞれ、前記一次側流路と前記二次側流路とを接続する中間流路と、モータと、前記モータにより動作し、前記一次側流路と前記中間流路との間に形成される流路面積を変化させ、水の流量を調整する流量絞り弁と、前記中間流路から、前記二次側流路に通じる連通部の開度を調整するダイヤフラム弁機構と、を有し、前記ダイヤフラム弁機構は、前記一次側流路と連通する第一圧力室と、前記中間流路と連通する第二圧力室と、前記第一圧力室と前記第二圧力室とを仕切るダイヤフラム部と、前記ダイヤフラム部に接続され、前記中間流路から、前記二次側流路に通じる前記連通部の開度を調整する主弁と、前記ダイヤフラム部に接続された前記主弁を、前記第一圧力室側へと付勢する付勢手段と、を有する。
このように構成された本発明においては、圧力の変動を受けても流量を安定して制御することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、前記定流量弁は、前記各流量絞り弁が前記一次側流路と前記中間流路との間を閉止する際に、あわせて前記一次側流路と前記第一圧力室との間の連通を遮断する。
このように構成された本発明においては、止水状態において、ダイヤフラム弁機構のダイヤフラム部を挟んだ第一圧力室と第二圧力室の圧力が等しくなり、すなわちダイヤフラム部の両面が同圧となるため、止水状態においてダイヤフラム部に差圧が作用せず、ダイヤフラム弁機構の長期の信頼性が確保できる。
【0010】
本発明において、好ましくは、前記定流量弁は、一次側流路と二次側流路との間に設置される弁であって、それぞれ、前記一次側流路と前記二次側流路とを接続する中間流路と、モータと、前記モータにより動作し、前記中間流路と前記二次側流路との間に形成される流路面積を変化させることで流れる水の瞬間流量を調整する流量絞り弁と、前記一次側流路から、前記中間流路に通じる連通部の開度を調整するダイヤフラム弁機構と、を有し、前記ダイヤフラム弁機構は、前記中間流路と連通する第一圧力室と、前記二次側流路と連通する第二圧力室と、前記第一圧力室と前記第二圧力室とを仕切るダイヤフラム部と、前記ダイヤフラム部に接続され、前記一次側流路から、前記中間流路に通じる前記連通部の開度を調整する主弁と、前記ダイヤフラム部に接続された前記主弁を、前記第一圧力室側へと付勢する付勢手段と、を有する。
このように構成された本発明においては、圧力の変動を受けても流量を安定して制御することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記定流量弁は、前記各流量絞り弁が前記中間流路と前記二次側流路との間を閉止する際に、あわせて前記二次側流路と前記第二圧力室との間の連通を遮断する。
このように構成された本発明においては、止水状態において、ダイヤフラム弁機構のダイヤフラム部を挟んだ第一圧力室と第二圧力室の圧力が等しくなり、すなわちダイヤフラム部の両面が同圧となるため、止水状態においてダイヤフラム部に差圧が作用せず、ダイヤフラム弁機構の長期の信頼性が確保できる。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記制御部が前記水側流量調節ユニット及び前記湯側流量調節ユニットが有する各前記定流量弁の流量の設定を変更する場合、前記水側流量調節ユニットの定流量弁の前記モータの駆動速度と、前記湯側流量調節ユニットの定流量弁の前記モータの駆動速度との比は、前記水側流量調節ユニットの定流量弁の前記流量絞り弁の駆動角度と、前記湯側流量調節ユニットの定流量弁の前記流量絞り弁の駆動角度との比と一致する。
このように構成された本発明においては、流量の設定が変更された場合に、水側流量調節ユニットにおける調節と、湯側水量調節ユニットにおける調節とが同時に完了するため、温度の設定目標値からの一時的なずれを抑制することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記吐水部は、水栓装置に設けられ、前記水側流量調節ユニット及び前記湯側流量調節ユニットは前記水栓装置の外に設けられ、前記水側流量調節ユニット及び前記湯側流量調節ユニットでそれぞれ流量調節された水及び湯は、前記水栓装置内で混合される。
このように構成された本発明においては、吐水部における温度変更時のタイムラグを少なくすることができ、また、耐圧部分を少なくして耐圧信頼性を向上することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記湯温センサ及び前記水温センサは、前記水栓装置に設けられる。
このように構成された本発明においては、配管の冷えなどにより、各流量調節ユニットから水栓装置までに温度差が生じるような場合でもより適切に温度制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の湯水混合装置によれば、安定した温度制御や流量制御を行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
つぎに、添付図面により、本発明の実施形態による湯水混合装置を説明する。
図1は、本発明の各実施形態に係る湯水混合装置1の構成を概略的に示すブロック図である。各構成をブロックで示し、制御系統を破線で示し、水や湯の供給系統については実線で示している。
【0018】
給水源10は上水道やタンク等であり、第一給水路12を介して給湯器14や水側流量調節ユニット20に対して水を供給する。給湯器14はボイラーなどの給湯装置であり、第一給水路12を介して供給された水を加熱し、第一給湯路16を介して湯側流量調節ユニット30に対して湯を供給する。第一給水路12及び第一給湯路16に供給される水及び湯の水圧は比較的高いため、これら第一給水路14及び第一給湯路16は耐圧構造とすることが好ましい。
水側流量調節ユニット20で流量が調節された水はさらに第二給水路13を介して水栓装置18に送られる。同様に、湯側流量調節ユニット30で流量が調節された湯はさらに第二給湯路17を介して水栓装置18に送られる。水栓装置18の内部でこれらの水及び湯は混合される。混合された湯水は水栓装置18に設けられた吐水部19から吐水される。水栓装置18の使用者は、水栓装置18を操作して、吐水部19から吐水される湯水の温度や流量(吐水量)について、自らの希望を入力する。使用者の希望する湯水の温度や流量の情報が水栓装置18に入力されると、この情報は制御部40に送信される。続いて、制御部40は
図3及び
図5を参照して後述する制御処理を行い、水側流量調節ユニット20、湯側流量調節ユニット30を制御してそれぞれ水の流量、湯の流量を制御する。この結果、水側流量調節ユニット20で流量が調節された水と、湯側水量調節ユニット30で流量が調節された湯とが水栓装置18内で混合され、使用者の希望する温度及び流量で吐水部19から吐水される。このようにすると、混合が末端である水栓装置18内にて行われるため、吐水部19における温度変更時のタイムラグを少なくすることができるという利点がある。
なお、吐水部19には、各種シャワーヘッド(節水シャワーヘッド)等を接続することも可能である。また、水側流量調節ユニット20及び湯側流量調節ユニット30を通過する際、水の圧力、湯の圧力はそれぞれ低下しているため、第二給水路13及び第二給湯路17、水栓装置18等を第一給水路12及び第一給湯路16と同等の耐圧構造とする必要は無い。耐圧部分を少なくする一方で、耐圧信頼性を向上することができる。
また、上述した水側流量調節ユニット20、湯側流量調節ユニット30、第二給水路13、第二給湯路17、水栓装置18、吐水部19を一セットとして、これらの構成を複数セット設け、集中給湯を行うようにしてもよい。(
図2には一セットのみが示されているが、第一給水路12、第一給湯路16の延長・分岐先に同様に設けることが可能である。)
【0019】
制御部40は
図3及び
図5を参照して後述する一連の制御処理を実行する処理装置であり、本発明の各実施形態において、制御部40としてマイクロプロセッサ等を用いることが可能である。制御部40は、上述した給湯器14や水栓装置18、後述する水側流量調節ユニット20及び湯側流量調節ユニット30にそれぞれ設けられた、温度センサ105、105’や流量センサ107、107’、定流量弁200、200’のモータ203、203’と電気的に接続され、データや指示をやり取りする。制御部40と湯水混合装置1の各要素との間の接続は、有線接続であっても無線接続であっても構わない。
具体的には水栓装置18を介した使用者からの指示や、後述する温度センサ105、105’や流量センサ107、107’によって検出された値を受け取り、制御処理を行う。また、使用者からの指示への対応や、外部環境の変化に伴う水や湯の温度や流量の変動への対応のため、水側流量調節ユニット20及び湯側流量調節ユニット30に対してそれぞれ、流量を適切に変化させるように指示を送る。この他に、給湯器14の温度設定などを行うことも可能である。これらの機能はソフトウェアやファームウェア等によって提供される。
なお、このような構成を有する湯水混合装置1を動作させるため、湯水混合装置1に対して電源を供給する電源(図示せず)が接続されている。この電源として、通常は商用電源を用いるが、停電時用にバッテリーを併用してもよい。
【0020】
次に、
図2を参照して、本発明の第一の実施形態の湯水混合装置の水側流量調節ユニット20及び湯側流量調節ユニット30にそれぞれ使用される、定流量弁200、200’及びその周辺部の構造や定流量弁200,200’の動作について説明する。
図2は、本発明の第一の実施形態の湯水混合装置の水側流量調節ユニット20及び湯側流量調節ユニット30にそれぞれ使用される、定流量弁200、200’及びその周辺部の側面断面図である。水側流量調節ユニット20に使用される定流量弁200は、第一給水路12と第二給水路13の間に配置される。同様に、湯側流量調節ユニット30に使用される定流量弁200’は、第一給湯路16と第二給湯路17の間に配置される。水側流量調節ユニット20に使用される定流量弁200も、湯側流量調節ユニット30に使用される定流量弁200’も、構造は共通であるため、以下、水側流量調節ユニット20に使用されている定流量弁200を例に説明する。
【0021】
図2に示されるように、定流量弁200は、一次側流路101(すなわち第一給水路12)と二次側流路103(すなわち第二給水路13)を接続するように設置される。定流量弁200内には中間流路201が設けられており、一次側流路101と中間流路201との間に流量絞り弁202が設けられ、中間流路201と二次側流路103との間の連通部にダイヤフラム弁機構204の主弁208が設けられている。
図2において、一次側流路101から中間流路201を通って二次側流路103へ向かう数本の曲線矢印は、水の流れを示しており、一次側流路101、中間流路201、後述する第一圧力室205及び第二圧力室206、二次側流路103に複数箇所記載されているP1、P2、P3の符号は、それぞれの位置における水圧を示している。同じ符号が付されている場合、それぞれの位置における水圧は同じである。(例えば、中間流路201内の水圧と第二圧力室206内の水圧は同じ「P2」である。)
【0022】
流量絞り弁202は、一次側流路101と中間流路201との間に形成される流路面積を変化させて、通過する水の流量を調整するための弁である。流量絞り弁202はモータ203に機械的に接続されており、モータ203の回転に応じて上下移動し、その結果、一次側流路101と中間流路201との間に形成される流路面積が変化する。流路面積が広がれば、流量絞り弁202を通過する水の流量は増加し、流路面積が狭まれば、流量絞り弁202を通過する水の流量は減少する。この流量絞り弁202により制御される水の流量は、モータ203の回転角度(流量絞り弁202の位置に対応する)の関数となっている。
【0023】
ダイヤフラム弁機構204は、第一圧力室205と、第二圧力室206、これら第一圧力室205と第二圧力室206とを仕切るダイヤフラム部207、そしてダイヤフラム部207に接続された主弁208、ばね209を有している。第一圧力室205は第一連通路210により一次側流路101と連通している。第二圧力室206は第二連通路211により、中間流路201と連通している。ダイヤフラム部207は第一圧力室205と第二圧力室206とを仕切るダイヤフラムであり、付勢手段であるばね209によって第二圧力室206側から第一圧力室205側に付勢されている。ばね209は第二圧力室206内に設けられ、ダイヤフラム部207を第一圧力室205側に付勢する付勢手段である。ダイヤフラム弁機構204の主弁208は、中間流路201から二次側流路103に通じる連通部の開度を調整するための弁である。主弁208はダイヤフラム部207に接続されている。
ダイヤフラム弁機構204は、第一圧力室205と第二圧力室206との圧力差およびばね209の力により、ダイヤフラム部207を押上げたり、押下げたりする。ダイヤフラム部207の動きによって、主弁208が上下し、中間流路201から二次側流路103に通じる連通部の開度が調整される。
【0024】
定流量弁200の周辺部、二次側流路103には、温度センサ105が設けられている。この温度センサ105は、二次側流路103を流れる水の温度(水温)を検出し、制御部40に送信するための水温センサである。(なお、湯側流量調節ユニット30に設けられた定流量弁200’においては、温度センサ105’は二次側流路を流れる湯の温度(湯温)を検出し、制御部40に送信するための湯温センサとなる。)
【0025】
このような構成を有する定流量弁200の動作原理について
図2を参照して説明する。
図2に示したように、一次側流路101中の圧力をP1、中間流路201中の圧力をP2、二次側流路103中の圧力をP3とする。また、ダイヤフラム部207の面積をSとし、ばね209の力をF、この定流量弁200の(瞬間)流量をQとする。
上述したように、ダイヤフラム弁機構204の第一圧力室205は第一連通路210により一次側流路101と連通しているため、第一圧力室205中の圧力は一次側流路と同じP1となる。また、ダイヤフラム弁機構204の第二圧力室206は第二連通路211により中間流路201と連通しているため、第二圧力室206中の圧力は中間流路201と同じP2となる。ここで、ダイヤフラム弁機構204の釣合いの関係から、
P1×S=P2×S+F
という式が得られる。この式を変形すると、
P1−P2=F/S
となる。一方、流量絞り弁202において、流量Qは圧力差の1/2乗に比例することが知られている。流量絞り弁202の開度にのみ依存する定数をCとすると、
Q=C×(P1−P2)
1/2=C×(F/S)
1/2
となる。
従って、ばね209の力Fがほぼ一定と考えると、ダイヤフラム部207の面積は一定であるため、流量Qは水圧によらず一定となる。つまり、一次側流路101中の水圧が変動するような外乱があっても、流量絞り弁202の開度が一定であれば、流量Qも一定となる。
【0026】
例として、一次側流路103中の圧力P1が上昇するような外乱が発生した場合を考える。一次側流路103中の圧力P1が上昇すると、一次側流路103と第一連通路210で連通したダイヤフラム弁機構204の第一圧力室205中の圧力P1も上昇する。これにより、ダイヤフラム部207にかかる力として、第一圧力室205中の圧力P1による力が、第二圧力室206中の圧力P2及びばね209の力Fの合力よりも大きくなり、その結果、ダイヤフラム部207が押下げられる。
ダイヤフラム部207が押下げられると、ダイヤフラム部207に接続された主弁208も押下げられ、中間流路201と二次側流路103の連通部を閉鎖する方向へと移動する。この結果、中間流路201中の圧力P2が上昇する。
すると、中間流路201と第二連通路211で連通したダイヤフラム弁機構204の第二圧力室206中の圧力P2も上昇する。そして最終的にダイヤフラム部207にかかる力が釣合うようになる。
逆に一次側流路103中の圧力P1が下降するような外乱が発生した場合は、ダイヤフラム部207が押上げられ、その結果、第二圧力室206中の圧力P2が下がるようになり、最終的にダイヤフラム部207にかかる力が釣合うようになる。
このように一次側流路103中の圧力P1が変動するような外乱が発生したとしても、定流量弁200のダイヤフラム弁機構204がダイヤフラム部207について自律的に釣合いを回復させて、その結果、流量を一定に保つことが可能となる。このような定流量弁200を使用することにより、湯水混合装置の安定した流量制御が可能となる。
【0027】
なお、本実施形態に使用される定流量弁200は、モータ203により流量絞り弁202を回転させて止水する際、すなわち、一次側流路101と中間流路201との間を閉止する際、あわせて流量絞り弁202は、一次側流路101とダイヤフラム弁機構204の第一圧力室205とを連通する第一連通路210の開口部も塞ぎ、一次側流路101と第一圧力室205との間の連通を遮断する。
このようにして一次側流路101と第一圧力室205との間の連通を遮断すると、止水状態で、第一圧力室205中に水が密封される一方、中間流路201及び二次側流路103には外気が流入する。第一圧力室205に密封された水は、非圧縮性の液体として扱えるため、ダイヤフラム部207の両面にかかる圧力はそれぞれ大気圧と等しくなる。従って、止水状態においてダイヤフラム部207の両面で差圧が無いため、定流量弁200の閉止時にもダイヤフラム部207に水圧が作用せず、ダイヤフラム弁機構204の長期の信頼性が確保できる。
【0028】
つぎに、
図3に示すフローチャート図を参照して、本発明の第一の実施形態による湯水混合装置の制御処理について詳細に説明する。
図3は本発明の第一の実施形態による湯水混合装置の電源を投入してからの一連の流れを示すフローチャート図である。
まず湯水混合装置1の使用者が図示しないスイッチ等により湯水混合装置1の電源をONにする(ステップS101)。湯水混合装置1の制御部40は、続いて、水側流量調節ユニット20に設けられた定流量弁200のモータ203の初期位置(すなわち流量絞り弁202の初期位置)θc0と、湯側流量調節ユニット30に設けられた定流量弁200’のモータ203’の初期位置(すなわち流量絞り弁202’の初期位置)θh0を取得する(ステップS102)。湯水混合装置1は初期状態として止水状態にある。使用者が水栓装置18の吐水部19から吐水させたい湯水の温度と吐水量を水栓装置18に設けられた図示しない入力手段により入力し、この所望の湯水の温度と吐水量を制御部40は設定温度Tm、設定吐水量Qmとして取得する(ステップS103)。
次に、水側流量調節ユニット20に設けられた温度センサ(水温センサ)105が水温Tcを検知し、湯側流量調節ユニット30に設けられた温度センサ(湯温センサ)105’が湯温Thを検知し、制御部40がこれらの情報を取得する(ステップS104)。
制御部40はこれらの情報に基づいて、水栓装置18に供給すべき水量Qc(目標)、湯量Qh(目標)を計算する(ステップS105)。これら水量Qc、湯量Qhは、次の式に基づいて計算される。
Qc(目標)=((Th−Tm)/(Th−Tc))×Qm
Qh(目標)=((Tm−Tc)/(Th−Tc))×Qm
なお、初期状態において温度センサ105’が検知した湯温Thの値が水温Tcと同程度に低い場合は、代わりに給湯部14が給湯する湯の温度設定値で代用することも可能である。または、計算結果がQc(目標)<0の場合は、Qc(目標)=0と、Qh(目標)>Qmの場合は、Qh(目標)=Qmと置き換える。
【0029】
このようにして、制御部40が計算して得た水量Qc(目標)、湯量Qh(目標)にあわせて、制御部40は水側流量調節ユニット20に設けられた定流量弁200のモータ203の移動目標角度(流量絞り弁202の目標位置に対応する)θc(目標)と、湯側流量調節ユニット30に設けられた定流量弁200’のモータ203’の移動目標角度(流量絞り弁202’の目標位置に対応する)θh(目標)を取得する(ステップS106)。
上述したように、定流量弁200、200’の流量絞り弁202、202’により制御される水、湯の流量は、それぞれモータ203、203’の回転角度の関数となっている。事前に定流量弁200、200’のモータ203、203’の回転角度と、水、湯の流量との関係を得て、この関係を数式またはテーブルとして制御部40は保持している。制御部40はこの関係に基づいて、θc(目標)、θh(目標)を取得することが可能である。本実施形態においては、定流量弁200、200’のモータ203、203’の回転角度と、水、湯の流量とがほぼ線形の関係にある定流量弁200、200’を使用している。
【0030】
続いて、制御部40は、ステップS102で取得済みである定流量弁200、200’のモータ203、203’の初期位置θc0、θh0と、ステップS106で得られたθc(目標)、θh(目標)をもとに、水側流量調節ユニット20の定流量弁200のモータ203の角度変化量(すなわち駆動角度)Δθcと、湯側流量調節ユニット30の定流量弁200’のモータ203’の角度変化量(すなわち駆動角度)Δθhを計算する(ステップS107)。なお、本フローチャートのループによる二回目以降のステップS107においては、モータ203、203’の初期位置θc0、θh0の代わりに、後述するステップS110で逐次更新されたモータ203、203’の位置を使用する。
次に制御部40は、ステップS107で得られた角度変化量ΔθcとΔθhをもとに、水側流量調節ユニット20の定流量弁200のモータ203の駆動速度ωcと、湯側流量調節ユニット30の定流量弁200’のモータ203’の駆動速度ωhを計算する(ステップS108)。この駆動速度ωcとωhは以下のように計算される。
ωc:ωh=Δθc:Δθh
すなわち、角度変化量が多いほど駆動速度が速くなる。このような計算に基づいてモータ203、203’を駆動すると、それぞれモータ目標角度θc(目標)、θh(目標)に同じタイミングで到達する。
【0031】
ステップS108で計算された駆動速度に基づいて、制御部40は水側流量調節ユニット20の定流量弁200のモータ203と、湯側流量調節ユニット30の定流量弁200’のモータ203’とを駆動する(ステップS109)。先に説明したように、モータ203、203’はそれぞれモータ目標角度θc(目標)、θh(目標)に同じタイミングで到達する。流量の設定が変更された場合に、水側流量調節ユニット20における調節と、湯側水量調節ユニット30における調節とが同時に完了するため、温度の設定目標値からの一時的なずれを抑制することができる。また、モータ203、203’の駆動中も、水量の変化と湯量の変化の比率がほぼ一定となるため、吐水部109から吐水される湯水の温度変化が比較的滑らかとなる、という利点がある。モータ203、203’の駆動が終わると、制御部40はモータ目標角度θc(目標)、θh(目標)をそれぞれ現在の水側流量調節ユニット20の定流量弁200のモータ203の位置、湯側流量調節ユニット30の定流量弁200’のモータ203’の位置、として更新する(ステップS110)。上述したように、この値が次回のステップS107におけるモータ角度変化量計算に使用される。
このようにして、使用者が望む湯水の温度と吐水量をもって、水栓装置18の吐水部19から吐水を行うことができる。
【0032】
その後、使用者から図示しないスイッチ等により、湯水混合装置1の電源をOFFにする指示を受けたか否かを判別する(ステップS111)。電源OFFの指示を受けていない場合、使用者からの更なる湯水の温度と吐水量に関する指示を待つようにする(ステップS111のNoからステップS103)。使用者から特に湯水の温度と吐水量に関して変更する指示が無い場合も、水温や湯温の変動に備えて、所定時間間隔(数十ミリ秒から数百ミリ秒オーダーの間隔)をもって指示ステップS103からステップS111のループが反復される。
使用者から電源OFFの指示を受けた場合、湯水混合装置1の制御部40は止水処理を実行する(ステップS111のYesからステップS112)。制御部40は止水処理として、上述したステップS103からステップ110と同様の処理を行う。ただし、この場合、Qc(目標)及びQh(目標)がともに「0」となり、これに従ってモータ203、203’を駆動する。そして、最終的にモータ203、203’の位置はそれぞれの初期位置θc0、θh0に戻ることになる。制御部40はこのような止水処理を終えた後、電源をOFFとする(ステップS113)。
【0033】
このような本発明の第一の実施形態に係る湯水混合装置によると、給水路と給湯路にそれぞれ定流量弁を設けて、個別に開閉処理を行うことにより、フィードフォワード的な処理を実現することができ、外乱に対して安定した温度制御や流量制御を行なうことが可能となる。
【0034】
つぎに、本発明の第二の実施形態に係る湯水混合装置について説明する。第二の実施形態に係る湯水混合装置は、上述した吐水部19の先に、節水シャワーなど、先絞りが大きく、流量が規制されるようなものが取り付けられた場合に好適な実施形態である。節水シャワーが吐水部19の先に取付けられ、流量が規制される場合、湯水混合装置の水側流量調節ユニット20、湯側流量調節ユニット30の設定流量にも関わらず、実際に吐水される水量が変化する。この場合、適切な温度を得るために、制御部40が設定流量を調節したにも関わらず、結果的に、所望の温度の湯水が吐水されない、という問題が発生し得る。第二の実施形態はこのような問題を解決するためのものである。
【0035】
本発明の第二の実施形態に係る湯水混合装置に用いられる定流量弁及びその周辺部について
図4を参照して説明する。
図4は、本発明の第二の実施形態に係る湯水混合装置に用いられる定流量弁及びその周辺部の側面断面図であり、水側流量調節ユニット20に設けられた定流量弁200を示している。第二の実施形態に係る定流量弁200は本発明の第一の実施形態に係る湯水混合装置に用いられる定流量弁200と同じ構成を有しているが、第二の実施形態においては、定流量弁200の周辺部、二次側流路103に更に流量センサ107が設けられている点が第一の実施形態と異なっている。
図4に示すように、定流量弁200に接続する二次側流路103には、温度センサ105とともに、流量センサ107が設けられている。流量センサ107は、二次側流路103を流れる水の流量を検出するセンサである。この流量センサ107は、二次側流路103内に設けられ二次側流路103を流れる水によって回転する羽根車と、二次側流路103の外側に設けられた検出器を有している。この羽根車には磁石が取付けられており、流れる水による羽根車の回転に伴う磁石の回転運動を、検出器によって検出する。検出信号はパルス状の信号となるため、この信号から羽根車の回転速度が求められ、二次側流路103内を流れる水の流量を求めることが可能となる。流量センサ107によって求められた水の流量は制御部40に送信され、制御のための情報として使用される。なお、第二の実施形態においては、湯側流量調節ユニット30にも同様に流量センサ107’が設けられており、同様に二次側流路を流れる湯の流量を制御部40に送信する。なお、
図4に示した構成においては、定流量弁200に接続する二次側流路103に流量センサ107が設けられているが、その代わりに定流量弁200に接続する一次側流路101に流量センサ107を設けてもよい。湯側流量調節ユニット30の流量センサ107’も同様に定流量弁200に接続する一次側流路101に設けてもよい。
【0036】
このような構成を有する第二の実施形態に係る湯水混合装置の制御について、
図5のフローチャート図を参照して以下のように説明する。ただし、本発明の第二の実施形態における湯水混合装置の制御処理のうち、第一の実施形態と共通する部分については説明を省略する。具体的には、
図5のフローチャート図に示すステップS201乃至ステップS210は、
図3のフローチャート図に示すステップS101乃至ステップS110の各ステップと同様の処理を行う。
第二の実施形態に係る湯水混合装置は、水側流量調節ユニット20及び湯側流量調節ユニット30の制御を行なった後、ステップS212において、目標流量が得られているか否かを確認する。具体的には、制御部40が水側流量調節ユニット20及び湯側流量調節ユニット30にそれぞれ設けられている流量センサ107、107’により検知された、水流量Qcと湯流量Qhを取得して、これらの値を目標流量であるQc(目標)、Qh(目標)とそれぞれ比較し、以下の条件を満たしているか否か判別する(ステップS212)。
Qc/Qc(目標)>0.9 かつ、Qh/Qh(目標)>0.9
この条件を満たしている場合、すなわち、実際の水流量Qc、湯流量Qhがいずれも目標流量の9割よりも大きくなっている場合、制御部40は、目標流量が得られていると判別する。目標流量が得られていると制御部40が判別した場合、制御部は第一の実施形態と同様の処理を継続する(ステップS212のYesからステップS213)。なお、ステップS213、S214、S215は、それぞれ
図3のフローチャート図に示すステップS111、S112、S113と同様の処理を行うものであり、説明を省略する。
この条件を満たしていない場合、すなわち、実際の水流量Qc、湯流量Qhがいずれも目標流量の9割以下である場合、制御部40は、目標流量が得られていないと判別する。この場合、吐水部109の先に節水シャワーのような流量を規制する機器が取付けられている可能性があり、吐水量の設定値Qmと実際の水栓装置108や吐水部109から得られる吐水量との間に齟齬が生じているため、制御部40は吐水量の設定値Qmを以下の条件に基づいて、新たな値Qm(新)に再設定する(ステップS212のNoからステップS216)。
Qm(新)=0.9×(Qc/Qc(目標))×Qm
又は
Qm(新)=0.9×(Qh/Qh(目標))×Qm
のいずれか小さい方をQm(新)として再設定する。
【0037】
このようにして再設定された吐水量の設定値Qm(新)に基づいて、制御部40はステップS205からS212までの処理を行い、目標流量が得られるまでこのループを繰り返す。目標流量が得られた場合、通常の処理に戻る(ステップS212のYesからステップS213)。
【0038】
このような本発明の第二の実施形態に係る湯水混合装置によると、給水路と給湯路にそれぞれ定流量弁を設けて、個別に開閉処理を行うことにより、フィードフォワード的な処理を実現することができ、外乱に対して安定した温度制御や流量制御を行うことが可能となる。また、吐水部の先に流量を規制する機器が取付けられていた場合も、適切に湯水の温度制御や流量制御を行うことが可能となる。
【0039】
以上、本発明に係る湯水混合装置の各実施形態について説明したが、これらの実施形態で使用可能な定流量弁の他の構造について、
図6を参照して説明する。
図6は、
図2や
図4に示した定流量弁200とは異なる構造を有する定流量弁300の構造を示す側面断面図であり、水側流量調節ユニット20に設けられた状態を示している。
図6に示されるように、定流量弁300は、一次側流路101(すなわち第一給水路12)と二次側流路103(すなわち第二給水路13)を接続するように設置される。定流量弁300内には中間流路301が設けられており、中間流路301と二次側流路103との間に流量絞り弁302が設けられ、一次側流路101と中間流路301との間の連通部にダイヤフラム弁機構304の主弁308が設けられている。
図6において、一次側流路101から中間流路301を通って二次側流路103へ向かう数本の曲線矢印は、水の流れを示しており、一次側流路101、中間流路301、後述する第一圧力室305及び第二圧力室306、二次側流路103に複数箇所記載されているP1’、P2’、P3’の符号は、それぞれの位置における水圧を示している。別々の位置においても、同じ符号が付されている場合、それぞれの位置における水圧は同じである。(例えば、中間流路301内の水圧と第一圧力室305内の水圧は同じ「P2’」である。)
【0040】
流量絞り弁302は、中間流路301と二次側流路103との間に形成される流路面積を変化させて、通過する水の流量を調整するための弁である。流量絞り弁302はモータ303に機械的に接続されており、モータ303の回転に応じて上下移動し、その結果、中間流路301と二次側流路103との間に形成される流路面積が変化する。流路面積が広がれば、流量絞り弁302を通過する水の流量は増加する。この流量絞り弁302により制御される水の流量は、モータ303による流量絞り弁302の回転角度の関数となっている。
【0041】
ダイヤフラム弁機構304は、第一圧力室305と、第二圧力室306、これら第一圧力室305と第二圧力室306とを仕切るダイヤフラム部307、そしてダイヤフラム部307に接続された主弁308、ばね309を有している。
図2及び
図4に記載された定流量弁200における第一圧力室205や第二圧力室206とは、上下位置が反対になっている。
第一圧力室305は第一連通路310により中間流路301と連通している。第二圧力室306は第二連通路311により、二次側流路103と連通している。ダイヤフラム部307は第一圧力室305と第二圧力室306とを仕切るダイヤフラムであり、付勢手段である、ばね309によって第二圧力室306側から第一圧力室305側に付勢されている。ばね309は第二圧力室306内に設けられ、ダイヤフラム部307を第一圧力室305側に付勢する付勢手段である。ダイヤフラム弁機構304の主弁308は、一次側流路101から中間流路301に通じる連通部の開度を調整するための弁である。主弁308はダイヤフラム部307に接続されている。
ダイヤフラム弁機構304は、第一圧力室305と第二圧力室306との圧力差およびばね309の力により、ダイヤフラム部307を押上げたり、押下げたりする。ダイヤフラム部307の動きによって、主弁308が上下し、一次側流路101から中間流路301に通じる連通部の開度が調整される。
定流量弁300の周辺部、二次側流路103に、温度センサ105、流量センサ107が設けられている点は、
図2及び
図4に記載された定流量弁200と同様である。
【0042】
このような構成を有する定流量弁300の動作原理について
図6を参照して説明する。
図6に示したように、一次側流路101中の圧力をP1’、中間流路301中の圧力をP2’、二次側流路103中の圧力をP3’とする。また、ダイヤフラム部307の面積をS’とし、ばね209の力をF’、この定流量弁200の(瞬間)流量をQ’とする。
上述したように、ダイヤフラム弁機構304の第一圧力室305は第一連通路310により中間流路301と連通しているため、第一圧力室305中の圧力は中間流路301と同じP2’となる。また、ダイヤフラム弁機構304の第二圧力室306は第二連通路311により二次側流路103と連通しているため、第二圧力室306中の圧力は二次側流路103と同じP3’となる。ダイヤフラム弁機構204の釣合いの関係から、
P2’×S’=P3’×S’+F’
という式が得られる。この式を変形すると、
P2’−P3’=F’/S’
となる。一方、流量絞り弁302において、流量Qは圧力差の1/2乗に比例することが知られている。流量絞り弁302の開度にのみ依存する定数をCとすると、
Q’=C’×(P1’−P2’)
1/2=C’×(F’/S’)
1/2
となる。
従って、ばね309の力F’がほぼ一定と考えると、ダイヤフラム部307の面積S’は一定であるため、流量Q’は水圧によらず一定となる。つまり、中間流路301中の水圧が変動するような外乱があっても、流量絞り弁302の開度が一定であれば、流量Q’も一定となる。
【0043】
例として、中間流路301中の圧力P2’が上昇するような外乱が発生した場合を考える。中間流路301中の圧力P2’が上昇すると、中間流路301と第一連通路310で連通したダイヤフラム弁機構304の第一圧力室305中の圧力P2’も上昇する。これにより、ダイヤフラム部307にかかる力として、第一圧力室305中の圧力P2’による力が、第二圧力室306中の圧力P3’及びばね309の力F’の合力よりも大きくなり、その結果、ダイヤフラム部307が押上げられる。
ダイヤフラム部307が押上げられると、ダイヤフラム部307に接続された主弁308も押上げられ、一次側流路101と中間流路301の連通部を閉鎖する方向へと移動する。この結果、中間流路301中の圧力P2’が低下する。このようにして、最終的にダイヤフラム部207にかかる力が釣合うようになる。
逆に中間流路301中の圧力P2’が下降するような外乱が発生した場合は、ダイヤフラム部307が押下げられ、一次側流路101と中間流路301との連通部を開放する方向へと移動する。この結果、中間流路301中の圧力P2’は上昇し、中間流路301と第一連通路310で連通したダイヤフラム弁機構304の第一圧力室305中の圧力P2’も上昇する。最終的にダイヤフラム部307にかかる力が釣合うようになる。
このように中間流路301中の圧力P2’が変動するような外乱が発生したとしても、ダイヤフラム部307について自律的に釣合いを回復させて、その結果、流量を一定に保つことが可能となる。このような定流量弁300を使用することにより、湯水混合装置の安定した流量制御が可能となる。
【0044】
なお、本実施形態に使用される定流量弁300は、モータ303により流量絞り弁302を回転させて止水する際、すなわち、中間流路301と二次側流路103との間を閉止する際、あわせて流量絞り弁202は、二次側流路103とダイヤフラム弁機構304の第二圧力室306とを連通する第二連通路311の開口部も塞ぎ、二次側流路103と第二圧力室306との間の連通を遮断する。
このようにして二次側流路103と第二圧力室306との間の連通を遮断すると、止水状態で、第二圧力室306中に水が密封される一方、中間流路301には、一次側流路101と同じ圧力P1’がかかる。第二圧力室306に密封された水は、非圧縮性の液体として扱えるため、ダイヤフラム部307の両面にかかる圧力はそれぞれ一次側流路101と同じ圧力P1’となる。従って、止水状態においてダイヤフラム部307の両面で差圧が無いため、定流量弁300の閉止時にもダイヤフラム部307に水圧が作用せず、ダイヤフラム弁機構304の長期の信頼性が確保できる。
【0045】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、上述した構成を適宜改変することも可能である。例えば、上述した各実施形態において、温度センサ105、105’(水温センサ105、湯温センサ105’)を、それぞれ水側流量調節ユニット20、湯側流量調節ユニット30に設けていたが、これらの温度センサ105、105’を水栓装置18に設け、それぞれ湯水混合が行なわれる直前の水及び湯の温度を検出するようにしてもよい。
このような構成を有することにより、冬季など配管が冷えるようなとき、各流量調節ユニット(水側流量調節ユニット20や湯側流量調節ユニット30)から水栓装置18までに温度差が生じるような場合でも、使用者により近い位置で水及び湯の温度を検出することができるので、さらに適切に温度制御を行うことが可能となる。
【0046】
以上説明したように、本発明の各実施形態による湯水混合装置によれば、安定した温度制御や流量制御を行うことが可能となる。また、本発明の各実施形態に使用される各定流量弁において、ダイヤフラム弁機構の長期の信頼性を確保することができる。