特許第6376336号(P6376336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6376336
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】熊避けベル
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/16 20110101AFI20180813BHJP
   G10K 1/071 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   A01M29/16
   G10K1/071
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-126792(P2014-126792)
(22)【出願日】2014年6月20日
(65)【公開番号】特開2016-5435(P2016-5435A)
(43)【公開日】2016年1月14日
【審査請求日】2017年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】391041305
【氏名又は名称】株式会社東京ベル製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100082108
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】市村 晃一
(72)【発明者】
【氏名】勢畑 裕之
(72)【発明者】
【氏名】関 和治
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−15115(JP,A)
【文献】 特開2012−85562(JP,A)
【文献】 特開2012−85563(JP,A)
【文献】 特開2014−77895(JP,A)
【文献】 特開2007−167049(JP,A)
【文献】 実開昭54−65682(JP,U)
【文献】 特開2005−328815(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0211059(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 − 99/00
G10K 1/00 − 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
打撃部材を有して警告音を発生可能なベル手段と、該ベル手段に対して移動可能に設けられた切り換え部材とを備えて、ベル手段から警告音が発生する警告音発生状態とベル手段から警告音が発生しない警告音停止状態とに切り換え可能な熊避けベルであって、
上記ベル手段は、ベル本体と、磁性体からなり上記ベル本体と衝突して警告音を発生させる打撃部材とを備えており、
上記ベル手段を収容するケーシングを設けるとともに、磁石が設けられた上記切り換え部材を上記ケーシングに移動可能に取り付けて、
上記切り換え部材をベル手段に接近させて上記磁石が上記打撃部材を磁着すると打撃部材が固定されて上記警告音停止状態となり、
上記切り換え部材をベル手段から離隔させて、上記磁石による上記打撃部材の磁着状態が解除されると上記警告音発生状態となることを特徴とする熊避けベル。
【請求項2】
上記ケーシングは、上記ベル手段を収容するとともに上記切り換え部材が摺動自在に嵌合される内側筒状部材と、内側筒状部材に被せられた外側筒状部材とを備えており、
上記内側筒状部材は、その円周方向の複数箇所に切り欠き部からなる開口部が形成されており、上記外側筒状部材は、その円周方向の複数箇所に切り欠き部からなる開口部が形成されており、
上記外側筒状部材と内側筒状部材とが円周方向において所要量相対移動されると上記開口部の開放量が変更されて、ベル手段から発生する警告音の音量を調整可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の熊避けベル。
【請求項3】
上記ベル手段は、内部が空洞で球状に形成された非磁性金属からなるベル本体と、該ベル本体の内部に収容された打撃部材としての転動片とを備えることを特徴とする請求項2に記載の熊避けベル。
【請求項4】
上記ベル手段は、非磁性金属からなる音響ワン部と、磁性金属からなり上記音響ワン部内に揺動可能に設けられた打撃部材とを備えることを特徴とする請求項2に記載の熊避けベル。
【請求項5】
打撃部材を有して警告音を発生可能なベル手段と、該ベル手段に対して移動可能に設けられた切り換え部材とを備えて、ベル手段から警告音が発生する警告音発生状態とベル手段から警告音が発生しない警告音停止状態とに切り換え可能な熊避けベルであって、
上記ベル手段は、内部が空洞で球状に形成されたベル本体と、該ベル本体の内部に収容された打撃部材としての磁性体からなる転動片とを備えており、
また、上記ベル本体を支持する支持部材を設けるとともに、該支持部材に磁石を設けた上記切り換え部材を揺動可能に設け、
上記切り換え部材を揺動させて上記磁石をベル本体に接近させることにより該磁石によって上記転動片が磁着されると上記警告音停止状態となり、
上記切り換え部材を揺動させて上記磁石をベル本体から離隔させることにより該磁石による転動片の磁着状態が解除されると上記警告音発生状態となることを特徴とする熊避けベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熊避けベルに関し、より詳しくは、警告音を発生させる警告音発生状態と、警告音を発生させない警告音停止状態とに容易に切り換え可能な熊避けベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイキングや山菜取りの際に使用される熊避けベルは知られており、このような熊避けベルは、音響ワン部と該音響ワン部の内部で揺動して音響ワン部との衝突により警告音を発生させる打撃部とを備えている。
こうした従来の熊避けベルは、例えば電車や市街地などにおいて警告音が発生すると他者への迷惑となるため、警告音を発生させる警告音発生状態と警告音を発生させない警告音停止状態とに切り換え可能な熊避けベルが提案されている(例えば特許文献1)。
この特許文献1の熊避けベルは、音響ワン部のめねじ部に打撃部側のおねじを螺合させる構成となっており、警告音発生状態ではこれらを螺合させることにより打撃部の揺動を許容して警告音を発生させるようになっている。他方、警告音停止状態では、音響ワン部のめねじ部から打撃部のおねじを上方へ離脱させて該打撃部を音響ワン部の内面に保持させるようにしてあり、それにより警告音を発生させないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−328815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の熊避けベルにおいては、警告音発生状態と警告音停止状態とを切り換える場合には、音響ワン部と打撃部とを相互に回転させる必要があった。そのため、特許文献1の熊避けベルをリュックサックに装着した際には、切り換えのたびにリュックサックを下ろして切り換え操作を行う必要があり、切り換え作業が煩雑になっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、請求項1の発明は、打撃部材を有して警告音を発生可能なベル手段と、該ベル手段に対して移動可能に設けられた切り換え部材とを備えて、ベル手段から警告音が発生する警告音発生状態とベル手段から警告音が発生しない警告音停止状態とに切り換え可能な熊避けベルであって、
上記ベル手段は、ベル本体と、磁性体からなり上記ベル本体と衝突して警告音を発生させる打撃部材とを備えており、
上記ベル手段を収容するケーシングを設けるとともに、磁石が設けられた上記切り換え部材を上記ケーシングに移動可能に取り付けて、
上記切り換え部材をベル手段に接近させて上記磁石が上記打撃部材を磁着すると打撃部材が固定されて上記警告音停止状態となり、上記切り換え部材をベル手段から離隔させて、上記磁石による上記打撃部材の磁着状態が解除されると上記警告音発生状態となることを特徴とするものである。
また請求項5の発明は、打撃部材を有して警告音を発生可能なベル手段と、該ベル手段に対して移動可能に設けられた切り換え部材とを備えて、ベル手段から警告音が発生する警告音発生状態とベル手段から警告音が発生しない警告音停止状態とに切り換え可能な熊避けベルであって、
上記ベル手段は、内部が空洞で球状に形成されたベル本体と、該ベル本体の内部に収容された打撃部材としての磁性体からなる転動片とを備えており、
また、上記ベル本体を支持する支持部材を設けるとともに、該支持部材に磁石を設けた上記切り換え部材を揺動可能に設け、
上記切り換え部材を揺動させて上記磁石をベル本体に接近させることにより該磁石によって上記転動片が磁着されると上記警告音停止状態となり、
上記切り換え部材を揺動させて上記磁石をベル本体から離隔させることにより該磁石による転動片の磁着状態が解除されると上記警告音発生状態となることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の構成においても、請求項5の構成においても、小型・軽量であって、かつ警告音発生状態と警告音停止状態とを容易に切換可能な熊避けベルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例を示す断面図。
図2図1とは異なる状態を示す断面図。
図3図1に示す熊避けベルの平面図。
図4図1のIV―IV線に沿う断面図。
図5図1のV―V線に沿う要部の断面図。
図6図4と異なる状態を示す断面図。
図7図1とは異なる状態を示す断面図。
図8】本発明の第2実施例を示す断面図。
図9図8とは異なる状態を示す断面図。
図10図8とは異なる状態を示す断面図。
図11】本発明の他の実施例を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1において1は熊避けベルであり、この熊避けベル1を使用者がハイキングや山菜取りの際に所持することにより、歩行の際に警告音を発生させて熊に人間の存在を知らせるようになっている。
本実施例の熊避けベル1は、揺れた際に『チリン、チリン』という警告音を発生させる球状をしたベル手段2と、下面が開口して上記ベル手段2を内部に収容した略円筒状のケーシング3と、このケーシング3における下方側の内周面に摺動自在に設けられた切り換え部材4とを備えている。
【0009】
ベル手段2は従来公知の金属製の鈴と同様の構成を備えている。つまり、ベル手段2は、内部が中空の球状をしたベル本体2Aと、ベル本体2A内に収容された打撃部材としての転動片2Bとを備えている。ベル本体2Aは非磁性金属(例えば銅)からなり、下端部となる箇所に直線状のスリットが形成されている。転動片2Bは磁性体である鉄からなり、立方体形状となっている。ベル手段2が揺れると、打撃部材としての転動片2Bが転動してベル本体2Aに衝突して警告音が発生するようになっている。
ベル本体2Aの上端となる箇所には、連結ピン5の下端が固定されており、この連結ピン5の上端の貫通孔にリング6が取り付けられている。リング6及び連結ピン5の上端は、ケーシング3よりも上方に突出させてあり、リング6に紐やカラビナを通してリュックサック等の所要箇所に熊避けベル1を装着できるようになっている。
【0010】
ケーシング3内に切り換え部材4を深く押し込んでベル手段2に接近させると、切り換え部材4の上面に埋設した磁石11がベル本体2Aの下端部と接触し、かつ鉄製の転動片2Bを磁力によってベル本体2Aの内面に磁着して固定するようになっている。このように磁石11によってベル本体2A内に連動片2Bが固定された状態が警告音停止状態となり、この状態では、ベル手段2が揺れても警告音は発生しないようになっている。他方、ケーシング3から切り換え部材4を下方側へ下降端位置まで引き出してベル本体2Aから離隔させると、切り換え部材4の磁石11がベル本体2Aの下端部から離隔する(図1図2参照)。それにより、磁石11による転動片2Bの磁着状態が解除される。この図1図2に示す状態が警告音発生状態となっており、その状態であれば、連動片2Bはベル本体2A内で自由に転動できるので、ベル手段2が揺れるとベル本体2Aに転動片2Bが衝突して警告音が発生するようになっている。つまり、熊避けベル1が揺れると警告音が発生するようになっている。警告音発生状態と警告音停止状態との切り換えは、熊避けベル1の使用者が、切り換え部材4をケーシング3内に深く押し込むか、或いは、その状態から切り換え部材4を下方に引き出すことによって行われるようになっている。
さらに、後に詳述するが、本実施例の熊避けベル1は、警告音発生状態において、ケーシング3を構成する内側筒状部材12と外側筒状部材13とを円周方向に所要量相対回転させることにより、熊避けベル1の警告音の音量を調整できるようになっている。
【0011】
ケーシング3は、有底筒状をした内側筒状部材12と外側筒状部材13とから構成されており、開口を下方に向けた内側筒状部材12に上方側から外側筒状部材13が被せられている。内側筒状部材12の上面12Aの中央には、貫通孔12aが穿設されており、外側筒状部材13の上面13Aの中央にも貫通孔13aが穿設されている。
ベル手段2は内側筒状部材12の内部に収容されており、連結ピン5は、内側筒状部材12の貫通孔12aと外側筒状部材13の貫通孔13aを貫通させて、ケーシング3の外部上方に突出している。前述したように、連結ピン5の上端部に吊り下げ用のリング6が取り付けられている。
内側筒状部材12及び外側筒状部材13はともに合成樹脂からなり、それらの円筒部における円周方向の等間隔位置に軸方向に延びる4箇所の切り欠き部12B、13Bが形成されている。つまり、内側筒状部材12の円筒部には、開口部としての4箇所の切り欠き部12Bが形成されるとともに、それらの隣接位置に4箇所の軸方向部12Cが形成されている。内側筒状部材12の下端部は、円周方向に連続する環状部12Dとなっている。
【0012】
外側筒状部材13も上記内側筒状部材12と同様の構成を備えている。つまり、外側筒状部材13の円筒部には開口部としての4箇所の切り欠き部13Bが形成されるとともに、それらの隣接位置に4箇所の軸方向部13Cが形成されており、さらに、外側筒状部材13の下端部は円周方向に連続する環状部13Dとなっている。
図5に示すように、外側筒状部材13の環状部13Dの内周面の全域には、スプライン状の凹凸が軸方向に形成されており、他方、内側筒状部材12の外周面の4箇所に、点状の微小突起12Eが形成されている。この外側筒状部材13の環状部13Dに、内側筒状部材12の環状部12Dの外周面が嵌合されており、各微小突起12Eは対向位置の凹部に係合している。そのため、使用者がケーシング3を操作しない自然状態では、外側筒状部材13と内側筒状部材12は円周方向に相対移動しないようになっている。他方、使用者が指で掴んで外側筒状部材13と内側筒状部材12とを円周方向に相対回転するように力を加えると、僅かな摩擦抵抗を維持して外側筒状部材13と内側筒状部材12が円周方向に相対回転されるようになっている。
上記環状部12Dを含めた内側筒状部材12の下方側の内周面に、切り換え部材4が摺動自在に嵌合されている。
【0013】
切り換え部材4も有底円筒状に形成されており、その上面4Aの中央に形成された凹部4B内に円柱状の磁石11が埋設されている。切り換え部材4の上方側の外周部には環状溝4Cが形成されており、切り換え部材4の下端外周部は半径方向外方に延びたフランジ部4Dとなっている。
切り換え部材4の円筒部の外径は、上記内側筒状部材12の内径よりも僅かに小さな寸法に設定されており、そのため、切り換え部材4は内側筒状部材12に下方側から摺動自在に嵌合されている。
切り換え部材4の軸方向寸法は、内側筒状部材12の下端部からベル本体2Aの下端部までの距離よりも少し長い寸法に設定されている。そのため、熊避けベル1の使用者が、下方側から切り換え部材4を内側筒状部材12の内部に深く押し込んでベル本体2Aに接近させると、切り換え部材4の上面4Aと同一平面となっている磁石11が、ベル本体2Aの下端部に接触する(図7参照)。すると、ベル手段2内の転動片2Bが磁石11によって磁着されて、ベル本体2Aの内面に固定されるようになっている。つまり、警告音停止状態に維持されるので、図7に示す警告音停止状態では、ベル手段2、熊避けベル1全体が揺動してもベル手段2から警告音は発生しないようになっている。
【0014】
他方、図7に示す警告音停止状態から使用者が切り換え部材4を内側筒状部材12から下方へ引き出して本体部2Aから離隔させると、切り換え部材4の環状溝4Cが内側筒状部材12の環状部12Dと係合する(図1図2に示す状態)。この状態においては、切り換え部材4の磁石11はベル本体2Aの下端部から大きく離隔し、磁石11による転動片2Bの磁着状態が解除される。つまり、ベル手段2は、警告音を発生させる警告音発生状態に切り換わるようになっている。
また、図1図2に示す警告音発生状態から使用者がケーシング3における外側筒状部材13の上面13Aと切り換え部材4の下面であるフランジ部4Dに上下から指を掛けて上下方向から圧縮させると、内側筒状部材12の下端部が弾性変形して拡開されることにより、環状溝4Cが環状部12Dから離脱して、切り換え部材4が内側筒状部材12内に深く押し込まれる。それにより、切り換え部材4の磁石11がベル本体2Aの下端部に接触し、転動片2Bを磁着してベル本体2A内で固定するようになっている。つまり、図7に示す警告音停止状態に切り換わるようになっている。
このように、本実施例においては、切り換え部材4をケーシング3の内側筒状部材12に深く押し込んでベル本体2Aに接近した状態と、内側筒状部材12から引き出されて環状溝4Cに環状突起12Bが係合した状態(ベル本体2Aから離隔した状態)とに切り換えることで、警告音が発生する警告音発生状態と警告音が発生しない警告音停止状態とに切り換えることができる。
なお、環状溝4Cの隣接上方側には、ストッパ4Eとしての環状突起が形成されており、このストッパ4Eが環状部12に当接することで、切り換え部材4が内側筒状部材12から脱落しないようになっている。つまり、環状溝4Cに環状部12Dが係合している状態(図1図2の状態)は、内側筒状部材12に対して切り換え部材4が最下端まで引き出された状態となる。その状態が、警告音を発生させる警告音発生状態となっている。
【0015】
さらに、本実施例においては、図1ないし図2に示した警告音発生状態において、内側筒状部材12と外側筒状部材13との円周方向の相対位置を変更することで、熊避けベル1の警告音の音量を調整できるようになっている。
すなわち、前述したように、内側筒状部材12及び外側円筒部材13の円筒部には、開口としての4箇所の切り欠き部12B、13Bと、その隣接位置に4箇所の軸方向部12C、13Cが形成されている。
図1図4に示すように、内側筒状部材12及びそれに係合した状態の切り換え部材4を、外側筒状部材13に対して円周方向に所要量相対回転させて、内側筒状部材12の4箇所の軸方向部12Cを、外側筒状部材13の4箇所の軸方向部13Cと円周方向のずれなく完全に重合させる。この状態では、内側筒状部材12の各切り欠き部12Bと外側筒状部材13の各切り欠き部13Bとが円周方向のずれなく重合し、各切欠き部12B、13Bからなる開口部の開放量が最大となる。そのため、図1図4に示すようにケーシング3全体でみると開口部の開放量が最大となる状態においては、ベル手段2で発生する警告音が最大となる。
【0016】
他方、図1図4に示す警告音が最大となる状態から内側筒状部材12及びそれに係合した切り換え部材4を、外側筒状部材13に対して円周方向に所要角度相対回転させると、外側筒状部材13の軸方向部13Cによって内側筒状部材12の切り欠き部12Bが部分的に閉鎖されるとともに、内側筒状部材12の軸方向部12Cによって外側筒状部材13の切り欠き部13Bが部分的に閉鎖される。つまり、ケーシング3全体でみると、4箇所の開口部の開放量が小さくなる(図2図6参照)。そのため、図1図4に示した状態と比較して、ベル手段2が揺動されて警告音が発生した際の音量は、図2図6に示した状態の方が小さくなる。
このように、本実施例においては、警告音発生状態において、内側筒状部材12とそれに係合した切り換え部材4を、外側筒状部材13に対して円周方向に相対回転させることにより、図1図4に示す警告音の音量が最大となる状態からそれよりも音量が小さくなる状態に調整することができる。
【0017】
以上のように、本実施例の熊避けベル1は、警告音発生状態と警告音停止状態とを切り換える場合には、使用者は切り換え部材4を内側筒状部材12内に深く押し込んでベル本体2Aに接近させるか、或いは、内側筒状部材12から切り換え部材4を下降端まで引き出してベル本体2Aから離隔させればよい。この切り換え操作は、熊避けベル1を使用者が目で見て確認することなく片手の指を使って容易に操作することができる。そのため、例えば電車や市街地など、警告音が他の通行人等に対して迷惑となる場合や、熊が発生しそうな地域に侵入した場合において、使用者は熊避けベル1を装着したリュックサックを下す必要がなく、手探りで警告音発生状態と警告音停止状態とを容易に切り換えることができる。また、本実施例の熊避けベル1は構成が簡略であるため、従来と比較して小型・軽量の熊避けベル1を提供できる。
さらに、本実施例においては、警告音発生状態において発生する警告音を最大の音量からそれよりも所要量小さな音量に調整することができるので、熊避けベル1を使用する際の現場の状況に応じて警告音を好適な音量とすることができる。
【0018】
次に、図8ないし図10は本発明の第2実施例を示したものである。この第2実施例は、上記第1実施例における鈴状のベル手段2の代わりに、音響ワン部22と振り子形の打撃部23とからなるベル手段2を用いたものである。
すなわち、ベル手段2は、お椀状の非磁性金属からなる音響ワン部22と、磁性体(鉄)からなる棒状の打撃部23とを備えており、打撃部23の上端は、連結ピン5の下端部に揺動可能に取り付けられている。連結ピン5の上端は、音響ワン部22の頂部の貫通孔22A及び内側筒状部材12と外側筒状部材13の貫通孔12a、13aを貫通して上方に突出させてあり、この連結ピン5の上端にリング6が取り付けられている。
打撃部材23の下端部の高さは、音響ワン部22の下端部の高さと略同じ高さに維持されており、打撃部材23が揺動された際にその下端部が音響ワン部22に衝突することで警告音が発生するようになっている(図8図9参照)。
その他の構成は上述した第1実施例の構成と同じであり、第1実施例と対応する各部材に同じ部材番号を付している。このような構成を有する第2実施例であっても、上記第1実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
なお、上述した各実施例は、ケーシング3を内側筒状部材12と外側筒状部材13とから構成して、それらを円周方向に所要角度相対回転させることで警告音の音量を調整できるようになっているが、ケーシング3としては外側筒状部材13を省略した構成であってもよい。つまり、ケーシング3を内側筒状部材12のみによって構成して警告音の音量調整機能を省略して、警告音発生状態と警告停止状態とに切り換え可能に構成する。そのような構成であれば、上記各実施例と比較して、より一層、熊避けベル1を小型・軽量化することができる。
【0019】
次に、図11は本発明のさらに別の実施例を示したものであり、この実施例は上述した各実施例におけるケーシング3を省略した構成となっている。すなわち、熊避けベル1は、図1の実施例と同様の球状をしたベル手段2と、角柱状に形成されて、一端を上記ベル手段2のベル本体2Aに連結された支持部材31と、この支持部材31に揺動可能に取り付けられた切り換え部材4とを備えている。
ベル手段2は、非磁性体からなるベル本体2Aと、磁性体である鉄製の転動片2Bから構成されている。本実施例においては、切り換え部材4は棒状部材からなり、切り換え部材4の先端(一体)には磁石11が連結されている。切り換え部材4の基部(他端)はL字状に折り曲げられており、その基部を支持部材31の有底孔に嵌合させている。それにより、切り換え部材4全体が揺動可能となっている。
切り換え部材4を揺動させて磁石11をベル本体2Aに接近させると、磁石11によって鉄製の転動片2Bが磁着されて固定される。この状態が警告音停止状態となる(実線で示す状態)。他方、切り換え部材4を揺動させて磁石11をベル本体2から離隔させると、磁石11による転動片2Bの磁着状態が解除される(想像線で示す状態)。この状態が警告音発生状態となる。支持部材32の他端にはコイル状連結具32を連結してあり、このコイル状連結具32等を介して熊避けベル1を所要箇所に吊り下げるようになっている。
この図11に示す実施例であっても、上述した各実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0020】
1‥熊避けベル 2‥ベル手段
2A‥ベル本体 2B‥転動片(打撃部材)
4‥切り換え部材 11‥磁石
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11