特許第6376338号(P6376338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6376338
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20180813BHJP
   F21V 9/08 20180101ALI20180813BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20180813BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20180813BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20180813BHJP
【FI】
   F21S2/00 623
   F21V9/08 200
   H01L33/50
   H01L33/00 L
   F21Y115:10
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-177952(P2014-177952)
(22)【出願日】2014年9月2日
(65)【公開番号】特開2016-51681(P2016-51681A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】野口 瑶子
【審査官】 當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−156209(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0143334(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 9/08
H01L 33/00
H01L 33/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相関色温度3000〜6500Kの白色光源と;
xy色度図上で0.08≦x≦0.21、0.27≦y≦0.72を満たす光を発する第2の光源と;
xy色度図上で0.48≦x≦0.72、0.28≦y≦0.45を満たす光を発する第3の光源と;
を具備し、
前記第2の光源の光束が前記第3の光源の光束よりも大きく、前記白色光源の光束に対する前記第2の光源の光束比が24%未満かつ前記白色光源の光束に対する前記第3の光源の光束の比が13%未満である
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記第2の光源と前記第3の光源の光束の合計は照明装置全体の8%以上である
ことを特徴とする請求項1記載の照明装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、色再現性を向上させる照明装置および照明空間設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば競技場で用いられる投光器等の照明装置は、遠方にある照射対象物を十分な明るさで照らすため、その光源に高出力化が比較的容易なHIDランプ(高輝度放電ランプ)が広く用いられている。一方、近時、HIDランプに代わり、光源として長寿命や省電力が期待できるLED(発光ダイオード)等の高効率の発光素子が用いられるようになってきている。
【0003】
しかしながら、高効率の発光素子は概して色再現性が悪く、高効率の発光素子を用いた照明装置で照明する照明対象物の競技場内における色の見え方が不自然になるだけでなく、照明対象物をテレビカメラで撮影して放送する場合、放送を受信してテレビに映し出される映像の色再現性が悪いことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−114916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、テレビカメラで撮影して放送する場合でも照明対象物の色再現性を向上できる照明装置および照明空間設計方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の照明装置は、相関色温度3000〜6500Kの白色光源と、xy色度図上で0.08≦x≦0.21、0.27≦y≦0.72を満たす光を発する第2の光源と、xy色度図上で0.48≦x≦0.72、0.28≦y≦0.45を満たす光を発する第3の光源とを具備する。第2の光源の光束が第3の光源の光束よりも大きく、白色光源の光束に対する第2の光源の光束比が24%未満かつ白色光源の光束に対する第3の光源の光束の比が13%未満である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、テレビカメラで撮影して放送する場合でも照明対象物の色再現性が向上することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態を示す照明装置の斜視図である。
図2】同上照明装置の白色光源の相対分光分布図である。
図3】同上照明装置の青緑色光源の色度範囲を示す色度図である。
図4】同上照明装置の白色光源+青緑色光源の相対分光分布図である。
図5】同上照明装置の分光分布毎の平均演色評価数Raおよびテレビ照明用演色評価指数Qaの表である。
図6】同上照明装置の白色光源に対する青緑色光源の光束比と、平均演色評価数Raおよびテレビ照明用演色評価指数Qaと、色偏差との関係を示すグラフである。
図7】同上照明装置の白色光源+赤色光源の相対分光分布図である。である。
図8】同上照明装置の白色光源+赤色光源+青緑色光源の相対分光分布図である。である。
図9】同上照明装置の光源毎の光束および光束比の表である。
図10】同上照明装置の分光分布毎の平均演色評価数Raおよびテレビ照明用演色評価指数Qaの表である。
図11】同上照明装置の白色光源に対する青緑色光源および赤色光源の光束比と平均演色評価数Raとの関係を示すグラフである。
図12】同上照明装置の白色光源に対する青緑色光源および赤色光源の光束比とテレビ照明用演色評価指数Qaとの関係を示すグラフである。
図13】第2の実施形態を示す照明装置を設置する競技場の平面図である。
図14】第3の実施形態を示す照明装置の光源の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、第1の実施形態を、図1ないし図12を参照して説明する。
【0010】
図1に照明装置10を示す。照明装置10は、例えば、競技場で用いられる投光器である。照明装置10は、本体11と、電源ユニット12と、これら本体11および電源ユニット12を設置するための設置台13を備えている。
【0011】
本体11は、前面が開口するケース16およびケース16の前面開口を閉塞する透光カバー17を有している。本体11の内部には、複数の光源18が配置されているとともに、光源18毎に光源18からの光を集光し配光を制御する反射体19がそれぞれ配置されている。
【0012】
本実施形態では、本体11の前面から見て周辺部に6つの光源18が配置されているとともに、中央部に1つの光源18が配置されている。そして、周辺部の光源18は、白色光源18Wとされている。中央の光源18は、第2の光源としての青緑色光源(シアン色光源)18C、または、青緑色光源18Cおよび第3の光源としての赤色光源18Rの両方とされている。
【0013】
まず、照明装置10の中央の光源18が青緑色光源(シアン色光源)18Cである場合について説明する。
【0014】
白色光源18Wは、相関色温度3000〜6500Kの白色光を発する。白色光源18Wは、発光素子としての青色LEDチップ、およびこの青色LEDチップを覆う黄色蛍光体を有する白色LEDである。白色光源18Wは、青色LEDが発する青色光とこの青色光で黄色蛍光体が励起されて発する黄色光とが混光された分光分布の白色光を発する。そして、図2には、白色光源18Wが発する白色光の相対分光分布Aを示す。
【0015】
青緑色光源18Cは、ピーク波長が490〜520nm、半値幅が60nm以下であり、図3に示すxy色度図上で0.08≦x≦0.21、0.27≦y≦0.72を満たす光を発する。青緑色光源18Cは、前記色度と半値幅を有する青緑色LEDである。白色光源18Wの光束に対する青緑色光源18Cの光束の比は30%以下である。図4には、図2の相対分光分布Aに、主波長500nmおよび半値幅40nmの青緑色光源18Cが発する青緑色光が、(白色光)90:(青緑色光)10の光束比の割合で混光された相対分光分布Bを示す。
【0016】
また、電源ユニット12は、各光源18に電力を供給し、各光源18を発光させる。
【0017】
そして、照明装置10は、競技場に立設される支柱の上部や競技場の屋根等に複数設置され、競技場内に光を照射する。
【0018】
照明装置10から照射する光は、白色光源18Wからの白色光および青緑色光源18Cからの青緑色光が含まれ、図4に示す相対分光分布Bとなっている。
【0019】
図5には、白色光源18Wの相対分光分布A、および白色光源18W+青緑色光源18Cの相対分光分布Bのそれぞれについて、平均演色評価数Raおよびテレビ照明用演色評価指数(Television Lighting Consistency Index)Qaを求めた結果を示す。
【0020】
白色光と青緑色光を混光した相対分光分布Bでは、白色光のみの相対分光分布Aに比べて、平均演色評価数Raおよびテレビ照明用演色評価指数Qaとも高くなり、特に、テレビ照明用演色評価指数Qaが大幅に高くなった。
【0021】
平均演色評価数Raが高くなることにより、競技場内に居る人から見て競技場内の視対象の色再現性を向上させることができる。
【0022】
テレビ照明用演色評価指数Qaが高くなることにより、競技場内をテレビカメラで撮影して放送する場合、撮影された映像の色再現性が向上し、そのため、放送を受信してテレビに映し出される映像の色再現性を向上させることができる。
【0023】
このように、照明装置10は、白色光と青緑色光とを混光し、照射することにより、平均演色評価数Raのみでなく、テレビ照明用演色評価指数Qaを高くでき、実際の視対象の色再現性およびテレビ放送時の映像の色再現性を向上させることができる。
【0024】
さらに、白色光源18Wの光束に対する青緑色光源18Cの光束の比が30%以下であることにより、十分な色再現性を確保することができる。白色光源18Wの光束に対する青緑色光源18Cの光束の比が30%よりも大きいと、青緑色光の割合が多くなり過ぎで、色再現性が低下する影響が生じる。
【0025】
図6に、白色光源18Wの光束に対する青緑色光源18Cの光束比と、平均演色評価数Raおよびテレビ照明用演色評価指数Qaと、CIE 1960 UCS 色度図上の色偏差duvとの関係を示す。青緑色光を混光することで、RaおよびQaは向上するが、青緑色光の混光比が約30%を境にRa、Qaは維持または低下するようになる。よって青緑色光の割合は30%以下が望ましい。一方、JIS Z 8725:1999によれば、色偏差duvは−0.02≦duv≦0.02の範囲にある場合に相関色温度として表すことができるとされている。この範囲を逸脱すると、相関色温度をもつ白色として定義できなくなるため、プラス側では緑色がかった、マイナス側ではピンク色がかった不自然な光色となる。この色偏差duvの範囲において、平均演色評価数Raおよびテレビ照明用演色評価指数Qaが良好な値を示すのは、白色光源18Wの光束に対する青緑色光源18Cの光束の比が約16%以下の範囲となる。光色そのものの自然さを考慮する場合は、青緑色の混光比は17%以下とすることがより望ましいといえる。
【0026】
また、平均演色評価数Raが高くなると効率が低下する傾向があるが、青緑色光源18Cは効率の低下が少なく、白色光源18Wと青緑色光源18Cを組み合わせた照明装置10では高い効率を維持することができる。
【0027】
次に、照明装置10の中央の光源18が青緑色光源18Cおよび赤色光源18Rの両方である場合について説明する。白色光源18Wおよび青緑色光源18Cの構成および特性は上述したとおりである。
【0028】
赤色光源18Rは、ピーク波長が620〜660nmであり、xy色度図上で0.48≦x≦0.72、0.28≦y≦0.45を満たす光を発する。赤色光源18Rは、前記色度を有する赤色LEDである。そして、青緑色光源18Cの光束と赤色光源18Rの光束との合計は照明装置全体の光束の8%以上である。さらに、青緑色光源18Cの光束は赤色光源18Rの光束よりも大きい。
【0029】
図7には、図2の相対分光分布Aに、主波長640nmの赤色光源18Rが発する赤色光が、(白色光)95:(赤色光)5の光束比の割合で混光された相対分光分布Cを示す。
【0030】
図8には、図2の相対分光分布Aに、主波長500nmの青緑色光源18Cが発する青緑色光、および主波長640nmの赤色光源18Rが発する赤色光が、(白色光)90:(青緑色光)6:(赤色光)4の光束比の割合で混光された相対分光分布Dを示す。
【0031】
図9には、白色光源18W、青緑色光源18Cおよび赤色光源18Rのそれぞれの光束、および照明装置全体における光束比を示す。なお、青緑色光源18Cおよび赤色光源18Rの光束比は、青緑色光源18Cおよび赤色光源18Rを同数とし、電源ユニットで光束比を調整してもよいし、全光時に所定の光束比となるように青緑色光源18Cおよび赤色光源18Rのそれぞれの数を調整してもよい。
【0032】
照明装置10から照射する光は、白色光源18Wからの白色光、青緑色光源18Cからの青緑色光、および赤色光源18Rからの赤色光が含まれ、図8に示す相対分光分布Dとなる。
【0033】
図10には、白色光源18Wの相対分光分布A、白色光源18W+青緑色光源18Cの相対分光分布B、白色光源18W+赤色光源18Rの相対分光分布C、白色光源18W+青緑色光源18C+赤色光源18Rの相対分光分布Dのそれぞれについて、平均演色評価数Raおよびテレビ照明用演色評価指数Qaを求めた結果を示す。
【0034】
白色光と青緑色光と赤色光を混光した相対分光分布Dでは、白色光のみの相対分光分布Aに比べて、平均演色評価数Raおよびテレビ照明用演色評価指数Qaの両方とも大幅に高くなり、また、白色光と青緑色光を混光した相対分光分布Bに比べて、平均演色評価数Raおよびテレビ照明用演色評価指数Qaの両方とも高くなり、特に平均演色評価数Raが大幅に高くなり、また、白色光と赤色光とを混光した相対分光分布Cに比べて、平均演色評価数Raおよびテレビ照明用演色評価指数Qaの両方とも高くなり、特にテレビ照明用演色評価指数Qaが大幅に高くなった。
【0035】
平均演色評価数Raが高くなることにより、競技場内に居る人から見て競技場内の視対象の色再現性を向上させることができる。
【0036】
テレビ照明用演色評価指数Qaが高くなることにより、競技場内をテレビカメラで撮影して放送する場合、撮影された映像の色再現性が向上し、そのため、放送を受信してテレビに映し出される映像の色再現性を向上させることができる。
【0037】
このように、照明装置10は、白色光と青緑色光と赤色光とを混光し、照射することにより、平均演色評価数Raのみでなく、テレビ照明用演色評価指数Qaを高くでき、実際の視対象の色再現性およびテレビ放送時の映像の色再現性を向上させることができる。
【0038】
さらに、青緑色光源18Cの光束と赤色光源18Rの光束との合計は照明装置全体の光束の8%以上であることにより、十分な色再現性を確保することができる。青緑色光源18Cの光束と赤色光源18Rの光束との合計は照明装置全体の光束の8%よりも小さいと、青緑色光および赤色光の割合が少ないために十分な色再現性の向上が得られない。なお、照明装置全体の光束に対する青緑色光源18Cの光束と赤色光源18Rの光束との合計の上限は、色再現性が確保される範囲内で適宜設定されるが、25%以下が好ましい。
【0039】
さらに、青緑色光源18Cの光束は赤色光源18Rの光束よりも大きいことにより、平均演色評価数Raを向上させながら、テレビ照明用演色評価指数Qaを高くできる。
【0040】
また、照明装置10が白色光源18W、青緑色光源18Cおよび赤色光源18Rを備える場合、白色光源18Wの光束に対する青緑色光源18Cの光束比は24%未満、かつ白色光源18Wの光束に対する赤色光源18Rの光束の比は13%未満が好ましい。
【0041】
図11は、横軸に白色光源18Wに対する青緑色光源18Cの光束比、縦軸に白色光源18Wに対する赤色光源18Rの光束比をとり、それぞれの光束比で混光された光の平均演色評価数Raの分布を示している。
【0042】
図12は、横軸に白色光源18Wに対する青緑色光源18Cの光束比、縦軸に白色光源18Wに対する赤色光源18Rの光束比をとり、それぞれの光束比で混光された光のテレビ照明用演色評価指数Qaの分布を示している。
【0043】
なお、図11および図12では、相関色温度5000Kの白色光源18W、x=0.085、y=0.587の青緑色光源18C、x=0.706、y=0.292の赤色光源18Rを用いている。
【0044】
そして、図11から、平均演色評価数Raが85以上と良好な値を示すには、縦軸が13%未満、すなわち白色光源18Wの光束に対する赤色光源18Rの光束の比は13%未満程度であることが適切であるとわかる。
【0045】
図12から、テレビ照明用演色評価指数Qaが85以上と良好な値を示すには、横軸が24%未満、すなわち白色光源18Wの光束に対する青緑色光源18Cの光束比は24%未満程度であることが適切であるとわかる。
【0046】
したがって、白色光源18Wの光束に対する青緑色光源18Cの光束比が24%未満、かつ白色光源18Wの光束に対する赤色光源18Rの光束の比が13%未満である混光を呈する照明装置10は、平均演色評価数Raとテレビ照明用演色評価指数Qaがともに良好であり、実際の視対象の色再現性およびテレビ放送時の映像の色再現性を向上させることができる。
【0047】
次に、図13に第2の実施形態を示す。なお、第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を用い、その構成および作用効果についての説明を省略する。
【0048】
図13に競技場の平面図を示し、競技場30は、競技が行われるフィールド31、フィールド31を囲って設置される観客席32、および競技場30内(主にフィールド31)を照明する複数の照明装置10を備えている。複数の照明装置10は、例えば、競技場30に隣接して立設される複数の支柱33の上部に設置され、あるいは競技場30が屋根を備える場合には屋根に設置されている。
【0049】
照明装置10には、複数の第1の照明装置10a、および少なくとも1つの第2の照明装置10bが含まれている。照明装置10の基本的な構成は図1に示す構成と同様である。
【0050】
第1の照明装置10aは、相関色温度3000〜6500Kの白色光を発し、その分光分布は図2に示す相対分光分布Aと同様である。第1の照明装置10aは、図1に示す照明装置10の7つの光源18の全てが白色光源18Wの場合に相当する。
【0051】
第2の照明装置10bは、ピーク波長が490〜520nm、半値幅が60nm以下であり、図3に示すxy色度図上で0.08≦x≦0.21、0.27≦y≦0.72を満たす光を発する。第2の照明装置10bは、図1に示す照明装置10の7つの光源18の全てが青緑色光源18C、または、青緑色光源18Cと赤色光源18Rの両方の場合に相当する。
【0052】
そして、競技場30に設置された第1の照明装置10aからの光と第2の照明装置10bからの光とが混光されて、競技場30内(主にフィールド31)に照射される。
【0053】
照射面の分光分布は、第1の照明装置10aからの白色光と、第2の照明装置10bからの青緑色光、または青緑色および赤色光とが混光された分光分布となる。その分光分布は、第2の照明装置10bが青緑色光を照射し、白色光と青緑色光との光束比が90:10の場合には図4に示す相対分光分布Bと同様となり、第2の照明装置10bが青緑色光および赤色光を照射し、白色光と青緑色光と赤色光との光束比が90:6:4の場合には図8に示す相対分光分布Dと同様となる。そのため、平均演色評価数Raおよびテレビ照明用演色評価指数Qaを向上できる。
【0054】
そして、第1の照明装置10aと第2の照明装置10bとが独立しているため、競技場30に設置する第1の照明装置10aと第2の照明装置10bとの台数比を調整することにより、白色光と青緑色光との光束比、または白色光と青緑色光と赤色光との光束比を自由に設定することができる。
【0055】
このように、白色光を発する第1の照明装置10aとともに、青緑色光を発する第2の照明装置10b、または青緑色光および赤色光を発する第2の照明装置10bを用い、これらの台数比を調整して光束比を設定することにより、実際の視対象の色再現性およびテレビ放送時の映像の色再現性を向上させることができる。そして、競技場30のような照明空間における色再現性の向上を実現するための照明空間設計方法を提供できる。
【0056】
次に、図14に第3の実施形態を説明する。なお、上記実施形態と同じ構成については同じ符号を用い、その構成および作用効果についての説明を省略する。なお、照明装置10の基本的な構成は図1に示す構成と同様である。
【0057】
図14に照明装置10の光源18の断面図を示す。光源18は、基板40に複数の青色LED41が実装され、これら青色LED41を覆って蛍光体層42が形成されている。蛍光体層42は、シリコーン樹脂等の透明樹脂に黄色蛍光体43Yと緑色蛍光体43Gが含有され、均一に分散されている。
【0058】
青色LED41は400〜480nmの領域にピーク波長を有する。
【0059】
緑色蛍光体43Gは、480〜520nmの領域にピーク波長を有するとともに半値幅が50nm以下となっている。
【0060】
蛍光体層42から出射する光の相対分光分布は、エネルギーの最大値を1とすると、520〜600nmの範囲において0.6以上である。
【0061】
光源18の分光分布は、白色光と青緑色光とが混光された分光分布となる。その分光分布は、図4に示す相対分光分布Bと同様となる。
【0062】
このように、照明装置10は、光源18から白色光と青緑色光とを混光した光を照射するため、平均演色評価数Raのみでなく、テレビ照明用演色評価指数Qaを高くでき、実際の視対象の色再現性およびテレビ放送時の映像の色再現性を向上させることができる。
【0063】
また、蛍光体層42の透明樹脂には、黄色蛍光体43Yと緑色蛍光体43Gに加えて、赤色蛍光体43Rが含有され、均一に分散されていてもよい。
【0064】
赤色蛍光体43Rは、600〜680nmの領域にピーク波長を有する。
【0065】
蛍光体層42から出射する光の相対分光分布は、エネルギーの最大値を1とすると、520〜660nmの範囲において0.6以上である。
【0066】
光源18の分光分布は、白色光と青緑色光と赤色光とが混光された分光分布となる。その分光分布は、図8に示す相対分光分布Dと同様となる。
【0067】
このように、照明装置10は、光源18から白色光と青緑色光と赤色光を混光した光を照射するため、平均演色評価数Raのみでなく、テレビ照明用演色評価指数Qaを高くでき、実際の視対象の色再現性およびテレビ放送時の映像の色再現性を向上させることができる。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
10 照明装
18C 第2の光源としての青緑色光源
18R 第3の光源としての赤色光源
18W 白色光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14