(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6376346
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】往復動工具
(51)【国際特許分類】
A01G 3/04 20060101AFI20180813BHJP
A01G 3/053 20060101ALI20180813BHJP
A01D 34/13 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
A01G3/04 501B
A01G3/053
A01D34/13 C
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-263941(P2014-263941)
(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-123279(P2016-123279A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(72)【発明者】
【氏名】立花 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】中山 亜維
(72)【発明者】
【氏名】中島 朋也
【審査官】
竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−322353(JP,A)
【文献】
特開2014−068597(JP,A)
【文献】
特開2014−027911(JP,A)
【文献】
特開平08−130956(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0066325(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 3/00 − 3/08
A01D 34/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転動力源と、
前記回転動力源を収容したハウジングと、
前記回転動力源で回転駆動される駆動軸の回転を往復動に変換する往復動変換部と、
前記往復動変換部によって往復動するブレード連結体と、
前記ブレード連結体に着脱自在に連結されるブレードと、
前記ブレードを往復動自在に保持していて、前記ハウジングに着脱自在に取り付けられるブレード保持体と、
前記ブレード連結体と前記ブレードとの連結を解除するとともに、前記ハウジング側での前記ブレード保持体の保持を解除する操作部とを備えることを特徴とする往復動工具。
【請求項2】
前記操作部が前記ハウジングに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の往復動工具。
【請求項3】
前記操作部が前記ハウジングに設けられた防護カバーの背後に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の往復動工具。
【請求項4】
前記ブレード連結体と前記ブレードとが連結される第1の連結部、及び前記ハウジングと前記ブレード保持体とが連結される第2の連結部が、それぞれ前記ハウジングで覆われた位置にあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の往復動工具。
【請求項5】
前記ブレード連結体と前記ブレードとが凹凸嵌合で連結されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の往復動工具。
【請求項6】
前記ブレードに凸部が、前記ブレード連結体に穴部が設けられており、前記ブレード連結体の往復動の際に前記穴部が前記凸部の方向に移動して嵌合可能であることを特徴とする請求項5に記載の往復動工具。
【請求項7】
前記ブレード保持体は前記ハウジングに設けられた係合部材に係合することで前記ハウジングに保持され、前記係合部材は前記操作部による係合解除方向の操作によって前記ブレード保持体の保持を解除するとともに、前記ブレード連結体と前記ブレードとの連結を解除する向きの駆動力を発生することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の往復動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレードを往復動させて庭木や生垣の刈り込みを行うバリカン等の往復動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
バリカンは、動力源の回転を歯車で減速し、その歯車と一体に回転する偏芯カムにより、バリカン本体に取り付けられたブレードアッセンブリの一対になった2つのブレードを往復動に変換し、庭木や生垣等の刈り込み作業を行っている。
【0003】
図6及び
図7で従来のバリカンについて説明する。これらの図において、ハウジング1には回転動力源となるモータ7が内蔵されている。ハウジング1には、メインハンドル(リヤハンドル)1a及びサブハンドル(図示省略)が設けられる。メインハンドル1aには、使用者が操作するトリガスイッチ2が設けられる。飛散防護カバー3は、ハウジング1の前端部に立設、固定され、刈り込まれた対象物が使用者側に飛散することを防止する。ハウジング1の下部には、ブレードアッセンブリ10が取り付けられる。ブレードアッセンブリ10は、上ブレード(上刃)11、下ブレード(下刃)12、ブレードガイド14、及びブレードホルダ15を有し、上ブレード11と下ブレード12とをブレードガイド14及びブレードホルダ15で摺動自在に保持する。
【0004】
モータ7の出力軸(駆動軸)7aの先端部にはピニオン(ギヤ)8が設けられる。出力軸7aと平行に回転中心軸9がハウジング1に固定され、回転中心軸9の周囲に中空スプライン軸20が回転自在に設けられる。中空スプライン軸20の外周には、ギヤ21がこれと一体に回転するように嵌合され、ピニオン8は、ギヤ21と噛合し、モータ7の回転を所定の減速比でギヤ21に伝達する。
【0005】
図7(A)〜(D)は往復動変換部を構成するカム機構を示し、同図(A)は上ブレード11と下ブレード12の前後位置が揃った状態、同図(B)は上ブレード11が前進、下ブレード12が後退した状態、同図(C)は上ブレード11が後退、下ブレード12が前進した状態をそれぞれ示す。また、
図7(D)はカム機構を説明する分解斜視図である。
図6に示すように、カム機構の偏芯カム31,32は、中空スプライン軸20の外周に嵌合され、ギヤ21と一体となって回転する。偏芯カム31,32は、それぞれ円形板状部材であって、各円形板状部材の中心が偏芯カム回転軸芯Cを挟み同一線上にあり、回転軸周辺部で上下に重なって一体となっており、回転軸芯から外形部側面の距離が変化している。一方、上ブレード11及び下ブレード12の一端には長径がブレードの長手方向と直交するように嵌合長穴11a,12aがそれぞれ設けられている。各ブレード11,12の嵌合長穴11a,12a内側に偏芯カム31,32を取り付けた時、偏芯カム31,32の円形部外側面と上下に重なったブレード嵌合長穴11a,12aの内側面がそれぞれ嵌合し、偏芯カム31,32が回転すると上ブレード11が前進する時は下ブレード12は後退するように、上下のブレード11,12は180°位相がずれて往復運動する。このように、モータ7によって偏芯カム31,32を回転駆動することで上ブレード11及び下ブレード12の往復動に変換する。
【0006】
上記従来のバリカンにおいて、トリガスイッチ2を入れることにより、電力がハウジング内蔵のモータ7に供給され、モータ7からの出力をピニオン8及びギヤ21を介して減速し、偏芯カム31,32によって回転運動を上ブレード11、下ブレード12の相対する往復運動に変換し、枝葉等の刈り込みを行う。
【0007】
なお、上記は回転運動を往復運動に変換する構成として偏芯カムを用いているが、クランク方式等の変換構造を採用しているバリカンもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−17788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の構成からなる従来のバリカンのブレードは、ブレードを往復動させるため偏芯カムの円形部外側面に直接嵌合するように長穴が形成されている。ブレードが摩耗したり種類の異なったブレードに交換する場合、偏芯カムからブレードの嵌合を外すため偏芯カムが露出する部分まで分解しなければならない。そのため交換が非常に面倒であり、交換時の内部分解による偏芯カム等に塗布されたグリスに異物が混入するなど、交換の煩わしさに加え、製品の寿命低下の原因となり易い。本課題は回転運動を往復運動に変換する構成としてクランク方式等の変換構造を採用している場合も同様である。
【0010】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、ブレード交換を工具レスで容易に行うことが可能な往復動工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある態様は往復動工具である。この往復動工具は、回転動力源と、前記回転動力源を収容したハウジングと、前記回転動力源で回転駆動される駆動軸の回転を往復動に変換する往復動変換部と、前記往復動変換部によって往復動するブレード連結体と、前記ブレード連結体に着脱自在に連結されるブレードと、前記ブレードを往復動自在に保持していて、前記ハウジングに着脱自在に取り付けられるブレード保持体と、前記ブレード連結体と前記ブレードとの連結を解除するとともに、前記ハウジング側での前記ブレード保持体の保持を解除する操作部とを備える。
【0012】
前記態様において、前記操作部が前記ハウジングに設けられているとよい。また、前記操作部が前記ハウジングに設けられた防護カバーの背後に設けられているとよい。
【0013】
前記態様において、前記ブレード連結体と前記ブレードとが連結される第1の連結部、及び前記ハウジングと前記ブレード保持体とが連結される第2の連結部が、それぞれ前記ハウジングで覆われた位置にあるとよい。
【0014】
前記態様において、前記ブレード連結体と前記ブレードとが凹凸嵌合で連結されているとよい。
【0015】
前記態様において、前記ブレードに凸部が、前記ブレード連結体に穴部が設けられており、前記ブレード連結体の往復動の際に前記穴部が前記凸部の方向に移動して嵌合可能であるとよい。
【0016】
前記態様において、前記ブレード保持体は前記ハウジングに設けられた係合部材に係合することで前記ハウジングに保持され、前記係合部材は前記操作部による係合解除方向の操作によって前記ブレード保持体の保持を解除するとともに、前記ブレード連結体と前記ブレードとの連結を解除する向きの駆動力を発生する構成であるとよい。
【0017】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る往復動工具によれば、往復動変換部によって往復動するブレード連結体に、ブレードを着脱自在に連結する構造とし、かつ前記ブレードを摺動自在に保持するブレード保持体をハウジングに対して着脱自在に取り付ける構造としたので、操作部による簡単な操作で容易にブレードの交換が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る往復動工具の実施の形態であって、ブレードアッセンブリを装着した状態のバリカンを示す本体部分を断面とした側面図。
【
図3】実施の形態において、操作部としての操作レバーの操作によりブレードアッセンブリを連結解除状態としたときのバリカンを示す本体部分を断面とした側面図。
【
図5】実施の形態におけるブレードアッセンブリの連結動作の説明であって、(A)はブレードアッセンブリ連結前の状態を示す要部側面図、(B)は連結時の要部断面図、(C)はブレードアッセンブリ連結解除の状態を示す要部側面図、(D)は同じく要部断面図。
【
図6】従来のバリカンを示す本体部分を断面とした側面図。
【
図7】従来のバリカンのカム機構を示し、(A)は上ブレードと下ブレードの前後位置が揃った状態の部分平面図、(B)は上ブレードが前進、下ブレードが後退した状態の部分平面図、(C)は上ブレードが後退、下ブレードが前進した状態をそれぞれ示す部分平面図。(D)はカム機構を説明する分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0021】
図1乃至
図5で本発明に係る往復動工具の実施の形態としてのバリカンについて説明する。バリカンは本体50と、これにワンタッチで着脱自在なブレードアッセンブリ60とを具備する。本体50において、回転動力源としてのモータ7の回転を減速してカム機構の偏芯カム31,32を回転駆動する構成は従来例の
図6及び
図7と同様である。また、従来例のブレードアッセンブリの構成部品である2枚のブレードを2分割したときの、基端側に相当する部分がブレード連結体51,52であり、
図7と同様形状の嵌合長穴51a,52aが形成されている。嵌合長穴51a,52aの内側面はそれぞれ偏芯カム31,32の円形部外側面と嵌合し、偏芯カム31,32が回転すると上ブレードに対応するブレード連結体51が前進する時は下ブレードに対応するブレード連結体52は後退するように、ブレード連結体51,52は180°位相がずれて往復運動する。このように、モータ7によって偏芯カム31,32を回転駆動することでブレード連結体51,52の往復動に変換する。往復動変換部を構成するカム機構の底部は、底面カバー55を本体50のハウジング1に固着することで脱落しないように覆われる。
【0022】
ブレードアッセンブリ60は、上ブレード(上刃)61、下ブレード(下刃)62及びブレード61,62を重なった状態で往復動自在(ブレード長手方向に摺動自在)に支持するブレード保持体65とを具備する。2枚のブレード61,62は、従来例のブレードアッセンブリの構成部品である2枚のブレードを2分割したときの、先端側に相当する部分であり、ブレード61,62の基端部にブレード連結体51,52と嵌合可能な凸部61a,62aが形成され、またブレード連結体51,52にはブレード61,62の凸部61a,62aと嵌合可能な穴部51b,52bが形成されている。凸部61a,62aは重なり合ったブレード61,62の非対向面に形成されており、ブレード連結体51,52は重なり合ったブレード61,62を外側から挟持する配置である。ブレード連結体51,52のブレード受け入れ側の隙間はブレード61,62の肉厚の和よりも狭く設定されるが、ブレード連結体51,52の先端部は、重なり合ったブレード61,62を受け入れ易いように外側に湾曲している。
【0023】
ブレード保持体65には本体50のハウジング1内に枢着された(回動自在に取り付けられた)一対の係合部材として係合レバー70と嵌合(係合)可能な穴部65aが形成されている。ブレード保持体65の先端側(ハウジング差し込み側)はハウジング1内への差し込みを容易にするために先端に向けて肉厚が小さくなるテーパー面65bに形成されている。ハウジング1内には、ブレード保持体65の挿入時にこれを摺動自在に保持する相互に対向する凹溝57を有するガイドレール部58が設けられている。ガイドレール部58はハウジング1と一体的に形成されるか、あるいは別部品としてハウジング1に固定される。
【0024】
一対の係合レバー70は、回動支点Pを中心として回動自在にハウジング1に左右対称に取り付けられており、一端部にブレード保持体65の穴部65aに嵌合(係合)する係合凸部70aが形成されている。係合レバー70の他端部はハウジング1内の左右両側に移動自在に設けられたテーパー部品71を相互の対向距離が縮まる方向に押圧するための押圧凸部70bとなっている。テーパー部品71は先端側がブレード連結体51,52間に挿入されており、ブレード連結体51,52の対向間隔を規定する。テーパー部品71は、バネ72により相互間隔が広がる向きに付勢されている。
【0025】
ブレードアッセンブリ60の着脱操作のための操作部として、操作レバー80が飛散防護カバー3の背後位置のハウジング1に取り付けられている。操作レバー80は回動支点Qを回転中心として回動自在であり、操作レバー80の一端部である手動操作端部80aはハウジング1から外部に延びており、他端部(末端部)80bは係合レバー70の一端部と係合している。操作レバー80が操作されない状態では、
図1及び
図2のようにブレード連結体51,52の対向間隔は狭く、ブレード連結体51,52の可撓性によりブレード61,62を挟持可能となっている。ブレード連結体51,52間にブレード61,62を差し込んだときに、ブレード連結体51,52の穴部51b,52bの位置とブレード61,62の凸部61a,62aの位置とが一致していなくとも、ブレード連結体51,52の往復動開始時にブレード連結体51,52が撓むことで穴部51b,52bの位置が凸部61a,62a方向に移動して両者は嵌合可能である。以後ブレード連結体51,52の穴部51b,52bにブレード61,62の凸部61a,62aがそれぞれ嵌合した状態が維持され、ブレード連結体51,52とブレード61,62の連結状態がそれぞれ保持される。
【0026】
一方、操作レバー80の手動操作端部80aを使用者が操作すれば(手前に引けば)、
図3及び
図4のように一対の係合レバー70の一端部が引き上げられ、ブレード保持体65の穴部65aから係合凸部70aが抜けてブレード保持体65の保持を解除するとともに、他端部の押圧凸部70bの間隔が狭くなる向きに係合レバー70は回動し、テーパー部品71は、バネ72の弾性力に抗して相互間隔が狭まる向きに移動し、ブレード連結体51,52の対向間隔を大きくする。これより、ブレード連結体51,52の穴部51b,52bと、ブレード61,62の凸部61a,62aとの嵌合を外して、本体50からブレードアッセンブリ60を離脱させ得る状態となる。
【0027】
図5等を用いて本実施の形態における本体50へのブレードアッセンブリ60の着脱操作について説明する。
図5(A)のようにブレードアッセンブリ60の2枚のブレード61,62をブレード保持体65と共に矢印の方向に移動させ、ブレード連結体51,52間に挿入すれば、ブレード連結体51,52は可撓性を有するため、凸部61a,62aを有する2枚のブレード61,62を受け入れ、挟持する。尚、ブレード連結体51,52は、ブレード61,62の挿入側の端部に向けてブレード連結体51,52間の間隔が拡がるよう形成されている。これと同時にブレード保持体65の穴部65aに係合レバー70の係合凸部70aが嵌合(係合)し、ブレード保持体65がハウジング1側に保持される(このとき手動操作端部80aを操作して係合凸部70aを少し持ち上げることでブレード保持体65の挿入が円滑に行える。)。この状態ではブレード連結体51,52の穴部51b,52bと、ブレード61,62の凸部61a,62aとの嵌合が確立しているとは限らないが、トリガスイッチ2を入れてモータ7に通電し、ブレード連結体51,52を往復動させる過程で穴部51b,52bと、凸部61a,62aとが
図5(B)のように嵌合する。以後、
図1及び
図2の本体50にブレードアッセンブリ60が正常に装着された状態となり、通常のバリカンとしての刈り込み動作を実行可能である。
【0028】
ブレードアッセンブリ60を本体50から離脱させる場合は、
図5(C)のように操作レバー80を矢印の方向に操作し、同図(D)のようにブレード連結体51,52の間隔をテーパー部品71で広げて、ブレード連結体51,52の穴部51b,52bと、ブレード61,62の凸部61a,62aとの嵌合を外す(ブレード連結体51,52とブレード61,62との連結を解除する)とともに、ブレード保持体65の穴部65aから係合凸部70aを外す(ハウジング1側でのブレード保持体65の保持を解除する)。つまり、
図3及び
図4に図示の状態となる。この状態でブレードアッセンブリ60を本体50からワンタッチで引き抜き離脱させることができる。
【0029】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0030】
(1) 従来のブレードアッセンブリの構成部品である2枚のブレードを、カム機構の一部を構成して往復動するブレード連結体51と、枝葉等の刈り込みを行う本来の機能を果たす部分(上ブレード61、下ブレード62)とに2分割し、操作部としての操作レバー80の操作により2枚のブレード61,62と2枚のブレード連結体51,52との結合及び切り離しを選択可能にすると同時に、ブレードアッセンブリ60の構成部品であってブレード61,62を往復動自在(摺動自在)に保持しているブレード保持体65とハウジング1側との連結及び切り離しを選択的に実行可能である。このため、ワンタッチ操作でバリカンの本体50と、ブレードアッセンブリ60とを着脱できる。
【0031】
(2) バリカンの本体50と、ブレードアッセンブリ60とを着脱自在に連結する部分、すなわちブレード連結体51,52とブレード61,62とが連結される第1の連結部、及びハウジング1とブレード保持体65とが連結される第2の連結部が、それぞれハウジング1で覆われた位置にある。このため、外観が損なわれず、また、それらの連結部が刈り込み作業の妨げにならないので刈り込み作業性も良好である。
【0032】
(3) 操作レバー80はハウジング1に設けられた防護カバー3の背後に設けられており、使用者が操作しやすい配置である。
【0033】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0034】
往復動変換部は、カム機構の代わりにクランク方式等の変換構造を採用してブレード連結体を往復動させてもよい。また、ブレード連結体とブレードとの連結は、ブレード連結体の往復動をブレードに伝達可能であれば凹凸嵌合以外の連結構造であってもよい。また、ブレード保持体のハウジング側による保持も、穴部と係合凸部との嵌合(係合)構造に限定されないことは明である。
【符号の説明】
【0035】
1 ハウジング。2 トリガスイッチ、3 飛散防護カバー、10,60 ブレードアッセンブリ、7 モータ、11,61 上ブレード、11a,12a,51a,52a 貫通長穴、12,62 下ブレード、31,32 偏芯カム、50 本体、51,52 ブレード連結体、55 底面カバー、65 ブレード保持体、70 係合レバー、71 テーパー部品、72 バネ、80 操作レバー。