特許第6376350号(P6376350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6376350
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】包装用箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20180813BHJP
【FI】
   B65D5/54 301D
   B65D5/54 301K
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-127467(P2015-127467)
(22)【出願日】2015年6月25日
(65)【公開番号】特開2017-7723(P2017-7723A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2017年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000202154
【氏名又は名称】相互印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072213
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 一義
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100163670
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 裕史
(72)【発明者】
【氏名】光川 春
(72)【発明者】
【氏名】安井 義次
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−227036(JP,A)
【文献】 特開2014−005046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00−5/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4枚の外周壁を構成する第1側板から第4側板と内側板を少なくとも有し、折線を 介して横一方向に順次連接し、
前記第1側板の上端に第1上端折線を介して第1上蓋を設けるとともに、前記第1側板 から第4側板におけるいずれかの側板の下端に第1下端折線を介して第1下蓋を設け、
前記第1側板に、前記第1上端折線に沿って折曲される上方差し込み片を区画する第1 上方破断線を設け、前記第1下蓋が設けられる前記側板に、前記第1下端折線に沿って 折曲される下方差し込み片を区画する第1下方破断線を設け、
組み立て状態にて、前記第1側板に対向する前記第2側板の上端に第2上端折線を介し て前記第1上蓋に固定される第2上蓋を設けるとともに、前記下方差し込み片が設けら れる前記側板と対向する側板の下端に第2下端折線を介して前記第1下蓋に固定される 第2下蓋を設け、
前記内側板の上端には、固定片折線を介して固定片を設けるとともに、前記固定片折線 の一部が開口する挿通孔を少なくとも設け、
前記各折線にしたがって各構成板及び構成片を折曲し、所定箇所を貼着して組み立て、
前記内側板の内側に前記固定片が貼着され、前記第1側板の内側に前記内側板が重合し 、前記上方差し込み片の領域内に前記挿通孔を配設し、前記上方差し込み片における左 右方向の幅寸法より前記挿通孔における左右方向の幅寸法が小さくなるよう設定される ことを特徴とする包装用箱。
【請求項2】
前記挿通孔は、前記固定片折線から前記内側板にかけて広がる前方開口領域を備え る請求項1に記載の包装用箱。
【請求項3】
前記挿通孔は、前記固定片折線から前記固定片にかけて広がる後方開口領域を備え る請求項1又は請求項2に記載の包装用箱。
【請求項4】
前記上方差し込み片は、前記上方差し込み片の両端から内側方向へ切込線を設けて 形成される掛止片を備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の包装用箱。
【請求項5】
前記第1下蓋と前記下方差し込み片とを前記第1側板に設けるとともに、前記第2 下蓋を前記第2側板に設ける請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の包装用箱。
【請求項6】
前記内側板の下端に切欠部を設け、前記組み立て状態にて、前記下方差し込み片と 前記内側板の重合領域内に前記切欠部が配設される請求項5に記載の包装用箱。
【請求項7】
前記第1側板は、前記第1上方破断線に連接する開口孔を備える請求項1から請求 項6のいずれか1項に記載の包装用箱。
【請求項8】
前記挿通孔は、前記第1上端折線より下方に配設される請求項1から請求項7のい ずれか1項に記載の包装用箱。
【請求項9】
前記第2側板には、前記第2上端折線との折線に沿って折曲される押切部を区画す るように、前記第2側板側に押切用破断線を形成する請求項1から請求項8のいずれか 1項に記載の包装用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、飲料、医薬品等を収納する包装用箱に関するものであって、特に両端開口部を貼着して封止する包装用箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、食品、飲料、医薬品等を収納する包装用箱において、両端開口部を貼着して封止し、いずれか一方の開口部を再封可能とする包装用箱が公知である。
【0003】
例えば、一枚のブランクシートから形成され、正面板、第一側面板、背面板、及び第二側面板が連接される箱体形成片であって、正面板と背面板の一方には外蓋片が延設され、正面板と背面板の他方の内蓋片が延設され、組み立て状態で、筒状体の開口端を内蓋片に外蓋片を重ねて閉塞する包装用箱において、第二側面板には組み立て状態で正面板の裏面に対面して固定される裏面板が連接され、正面板には一対の破断線と端縁の折罫線とで囲まれた開口部が設けられるとともに、正面板の開口部を形成する破断線の先端部間に開封用の透孔が形成され、透孔と対面する裏面板の部分には、透孔を覆うとともに正面板の外側から押圧されると内側に凹む押圧吸収部が形成され、組み立て状態で、透孔から破断線を破断して開口部を開封した後、開口部を裏面板の内側に差し込むことによって再封可能とする包装用箱が公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−227036号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構造の包装用箱においては、上下いずれか一方の端部にて開口部が設けられており、これにより再開封可能とするものであるため、調剤時等の必要に応じて、内部に収容される患者等に不要な情報(患者の不安を煽るような情報等)が記載された添付書類を予め抜き取る等する場合であっても、当該開口部から開封しなければならないものである。すなわち、包装用箱が患者に渡される際には、包装用箱が再封された状態で渡されることから、患者に対して改ざん等の不安を与えてしまうことが懸念されるものであった。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点を解決するものであって、両端開口部を貼着して封止する包装用箱にて、一方の開口部を必要に応じて開封した場合であっても、再開封が困難となる差し込み片と挿通孔にて封緘可能とするとともに、他方の開口部を再封可能とする包装用箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記問題点を解決するために、本発明の請求項1に記載の包装用箱は、4枚の外周 壁を構成する第1側板から第4側板と内側板を少なくとも有し、折線を介して横一方向 に順次連接し、前記第1側板の上端に第1上端折線を介して第1上蓋を設けるとともに 、前記第1側板から第4側板におけるいずれかの側板の下端に第1下端折線を介して第 1下蓋を設け、前記第1側板に、前記第1上端折線に沿って折曲される上方差し込み片 を区画する第1上方破断線を設け、前記第1下蓋が設けられる前記側板に、前記第1下 端折線に沿って折曲される下方差し込み片を区画する第1下方破断線を設け、組み立て 状態にて、前記第1側板に対向する前記第2側板の上端に第2上端折線を介して前記第 1上蓋に固定される第2上蓋を設けるとともに、前記下方差し込み片が設けられる前記 側板と対向する側板の下端に第2下端折線を介して前記第1下蓋に固定される第2下蓋 を設け、前記内側板の上端には、固定片折線を介して固定片を設けるとともに、前記固 定片折線の一部が開口する挿通孔を少なくとも設け、前記各折線にしたがって各構成板 及び構成片を折曲し、所定箇所を貼着して組み立て、前記内側板の内側に前記固定片が 貼着され、前記第1側板の内側に前記内側板が重合し、前記上方差し込み片の領域内に 前記挿通孔を配設し、前記上方差し込み片における左右方向の幅寸法より前記挿通孔に おける左右方向の幅寸法が小さくなるよう設定されることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の包装用箱は、請求項1に記載の包装用箱において、前記挿通孔は、前記固定片折線から前記内側板にかけて広がる前方開口領域を備えるものである。
【0009】
また、本発明の請求項3に記載の包装用箱は、請求項1又は請求項2に記載の包装用箱において、前記挿通孔は、前記固定片折線から前記固定片にかけて広がる後方開口領域を備えるものである。
【0010】
また、本発明の請求項4に記載の包装用箱は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の包装用箱において、前記上方差し込み片は、前記上方差し込み片の両端から内側方向へ切込線を設けて形成される掛止片を備えるものである。
【0011】
また、本発明の請求項5に記載の包装用箱は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の包装用箱において、前記第1下蓋と前記下方差し込み片とを前記第1側板に設けるとともに、前記第2下蓋を前記第2側板に設けるものである。
【0012】
また、本発明の請求項6に記載の包装用箱は、請求項5に記載の包装用箱において、前記内側板の下端に切欠部を設け、前記組み立て状態にて、前記下方差し込み片と前記内側板の重合領域内に前記切欠部が配設されるものである。
【0013】
また、本発明の請求項7に記載の包装用箱は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の包装用箱において、前記第1側板は、前記第1上方破断線に連接する開口孔を備えるものである。
【0014】
また、本発明の請求項8に記載の包装用箱は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の包装用箱において、前記挿通孔は、前記第1上端折線より下方に配設されるものである。
【0015】
また、本発明の請求項9に記載の包装用箱は、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の包装用箱において、前記第2側板には、前記第2上端折線との折線に沿って折曲される押切部を区画するように、前記第2側板側に押切用破断線を形成するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の包装用箱では、両端開口部のうち、一方の開口部を必要に応じて開封した場合であっても、当該開口部が改ざん防止機能を備えるので、再度の開封を困難なものとすることができ、他方の開口部においては、繰り返しの開封を可能とする再封機能を備えるので、被収容物の出し入れを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例における包装用箱を展開した状態の裏面図である。
図2】本発明の実施例における包装用箱を図1に示す状態から折り進めた状態説明図である。
図3】本発明の実施例における包装用箱を図2に示す状態から折り進めた状態説明図である。
図4】本発明の実施例における包装用箱を組み立てた状態の斜視図である。
図5】本発明の実施例における包装用箱の図4のA−A断面図である。
図6】本発明の実施例における包装用箱を上方蓋から開封した状態の斜視図である。
図7】本発明の実施例における包装用箱の上方蓋を封緘する状態の部分拡大説明図である。
図8】本発明の実施例における包装用箱の上方蓋を封緘した状態の斜視図である。
図9】本発明の実施例における包装用箱の図8のB−B拡大拡大断面図である。
図10】本発明の実施例における包装用箱を下方蓋から開封した状態の斜視図である。
図11】本発明の実施例における包装用箱の下方蓋を再封した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態における包装用箱を図面に基づいて説明する。当該包装用箱において、上蓋が設けられる側(改ざん防止側)を当該箱の上方とし、下蓋が設けられる側(再封側)を当該箱の下方とする。また、展開図において、上下方向を縦とし、左右方向を横とする。
【0019】
当該包装用箱は、食品、飲料、医薬品等の被収容物を収容し、上下方向における両端開口部を貼着して封止するものであって、一方の開口部を必要に応じて開封した場合であっても、再開封が困難となる差し込み片と挿通孔にて封緘可能とするとともに、他方の開口部を再封可能とすることができるものである。
【実施例】
【0020】
本発明に係る包装用箱は、一枚の台紙から形成されており、図1に示すような展開図からなるものである。図1は、当該包装用箱を展開した状態の裏面図である。包装用箱は展開した状態において、4枚の外周壁を構成する第1側板から第4側板、糊代片5及び内側板6を折線a、b、c、d、eを介して横一方向に連接している。尚、本実施例においては、左側板3、前側板1、右側板4、後側板2、糊代片5及び内側板6とを折線a、b、c、d、eを介して横一方向に順次連接している。また、各構成板については、第1側板を前側板1とし、第2側板を後側板2とし、第3側板を左側板3とし、第4側板を右側板4とする。
【0021】
例えば、夫々対向する前側板1と後側板2、左側板3と右側板4は略同一形状となるよう形成される。糊代片5は、後側板2側を下底とした略台形状に形成され、糊代片5の横寸法は、左側板3に貼着するために略同等の寸法とされる。また、図1に示すように、糊代片5の表面部は、糊等が塗布される貼着部Pとされる。また、内側板6は、包装用箱の内部にて前側板1に貼着するため、略同等の寸法とされるか、上下左右方向に僅かに小さい寸法とされる。
【0022】
同図に示すように、左側板3及び右側板4には、夫々上端に折線f、gを介して上内蓋7が設けられる。一方、下端には折線h、iを介して下内蓋8が設けられる。また、前側板1には、上端に第1上端折線jを介して第1上蓋9が設けられる。また、前側板1の上端には、下方に向けて略半円形状の上方差し込み片10が設けられるとともに、第1上端折線jに沿って折曲される当該上方差し込み片10を区画するように第1上方破断線11が設けられる。
【0023】
このとき、上方差し込み片10における左右方向の寸法は、前側板1における左右方向の寸法と略同等とすることもできるが、当該寸法より小さく設定する場合には、上方差し込み片10からの開封を容易とするため、上方差し込み片10の両端における第1上端折線jを同様の破断線とすることが望ましい。
【0024】
また、前側板1には、開封時に上方差し込み片10を第1上蓋9側へ引き上げ易くするための開口孔12を設けることが望ましい。当該開口孔12は、ユーザが開口孔12から上方差し込み片10に指を掛け、第1上方破断線11によって開封作業を行うことができる構成としている。開口孔12は、前側板1側となる上方差し込み片10の外側に連接して設けることもできるし、上方差し込み片10側となる内側に連接して設けることもできる。
【0025】
本実施例においては、前側板1における左右方向の略中央部に位置し、且つ、前側板1における左右方向の寸法より小さく設定される略半円形状の上方差し込み片10に対して、上端が上方差し込み片10の一部となる略四角状の開口孔12を前側板1における左右方向の略中央部にて連接している。すなわち、開口孔12は、上方差し込み片10の外側に設けられる。また、上方差し込み片10の両端における第1上端折線jを破断線とするとともに、第1上端折線j上にて、上方差し込み片10の両端から内側方向へ僅かな切込線10aを設けて、左右両端部に掛止片10bを形成する構成としている(図7参照。)。
【0026】
また、前側板1には、図1に示すように、下端に第1下端折線kを介して第1下蓋13が設けられる。また、前側板1の下端には、上方に向けて略円弧状の下方差し込み片14が設けられるとともに、第1下端折線kに沿って折曲される当該下方差し込み片14を区画するように第1下方破断線15が設けられる。本実施例においては、第1下方破断線15は、第1下端折線kの両端部から上方へ延びる直線部と、当該直線部の端部相互を連結する円弧部からなり、下方差し込み片14における左右方向の寸法が前側板1における左右方向の寸法と略同等となるよう設定される。
【0027】
また、後側板2には、上端に折線lを介して第2上蓋16が設けられる。また、後側板2の上端には、下方に向けて略円弧の押切部17が設けられるとともに、折線lに沿って折曲される当該押切部17を区画するように押切用破断線18が設けられる。
【0028】
このとき、押切部17における左右方向の寸法は、後側板2における左右方向の寸法と略同等とすることもできるが、当該寸法より小さく設定する場合には、押切部17からの開封を容易とするため、押切部17の両端における折線lを同様の破断線とすることが望ましい。
【0029】
一方、後側板2の下端には、折線mを介して第2下蓋19が設けられる。後側板2において、第2上蓋16と第2下蓋19は、包装用箱の組み立て時に夫々第1上蓋9と第1下蓋13に貼着されるものであって、図1に示すように、第2上蓋16及び第2下蓋19の表面部は、糊等が塗布される貼着部Pとされる。
【0030】
また、内側板6の上端には、固定片折線nを介して固定片20が設けられる。当該固定片20は、内側板6に貼着されるものであって、図1に示すように、固定片20の裏面部は糊等が塗布される貼着部Pとされる。また、固定片20が貼着される内側板6は、図1に示すように、前側板1に貼着されるものであって、内側板6の表面部は、糊等が塗布される貼着部Pとされる。
【0031】
また、固定片折線nには、包装用箱の上方差し込み片10が開封された状態において、上方差し込み片10を差し込むための挿通孔21が設けられる。当該挿通孔21は、上方差し込み片10を封緘可能にするとともに、一度封緘されると再開封が困難となるよう、改ざん防止機能を有してなる。具体的には、図7に示すように、挿通孔21における左右方向の寸法をD1とし、上方差し込み片10における左右方向の寸法をD2としたとき、D1がD2より小さくなるよう設定される。すなわち、挿通孔21は、固定片折線nの一部が開口した状態となる。これにより、挿通孔21内に上方差し込み片10が挿通されると、再度の開封が困難な状態となる。
【0032】
また、内側板6、固定片20のうち、少なくともいずれか一方に、挿通孔21に連設される開口領域を設けることが望ましい。これにより、上方差し込み片10の差し込みによる封緘作業を容易なものとすることができる。
【0033】
本実施例においては、挿通孔21は、固定片折線nから内側板6にかけて広がる前方開口領域22と、固定片折線nから固定片20にかけて広がる後方開口領域23とから構成される。当該前方開口領域22は、内側板6における左右方向の略中央部に位置し、固定片折線n上における挿通孔21の両端部から延設される略円弧状の線分にて区画される。また、後方開口領域23は、前方開口領域22に連接してなり、当該挿通孔21の両端部から延設される略コ字状の線分にて区画される。すなわち、内側板6と固定片20との境界において、略弓状の開口領域と略四角状の開口領域とが連接した状態となる。このとき、前方開口領域22が後方開口領域23より大きくなるよう設定される。
【0034】
また、内側板6の下端には、上方に向けて切欠部24が設けられる。当該切欠部24は、包装用箱の組み立て状態において、前側板1における第1下方破断線15での破断を容易にするものであり、ユーザの指をあてがって下方差し込み片14を押圧することができるよう形状であればよい趣旨である。また、切欠部24は、下方差し込み片14と内側板6との重合領域内に設けられる。本実施例においては、切欠部24は、内側板6における左右方向の略中央部に位置し、下方差し込み片14と内側板6との重合領域内にて略逆V字状に形成される。
【0035】
このようにして、展開図が形成される包装用箱は、図1から図4示すようにして各折線にしたがって折曲させ、所定箇所を貼着することによって組み立てられる。
【0036】
具体的には、図2に示すように、固定片20を固定片折線nに沿って折曲させ、固定片20を内側板6に貼着するとともに、糊代片5及び内側板6を折線dに沿って折曲させる。次に、図3に示すように、前側板1及び左側板3を折線bに沿って折曲させ、左側板3を糊代片5に貼着し、扁平状とする。そして、折線a、b、c、dに沿って折曲させ、4枚の外周壁からなる筒状体を構成する。
【0037】
そして、下内蓋8を折線h、iに沿って折曲させ、下方開口部26を覆うように第2下蓋19を折線mに沿って折曲させるとともに、第1下蓋13を折線kに沿って折曲し第2下蓋19に重合させて、両者を貼着し包装用箱の下方蓋を構成する。後に、筒状体の内部に被収容物、内容物等を記載した説明書等の添付書類(図示しない)を収容し、上内蓋7を折線f、gに沿って折曲させ、上方開口部25を覆うように第2上蓋16を折線lに沿って折曲させるとともに、第1上蓋9を折線jに沿って折曲し第2上蓋16に重合させて、両者を貼着し包装用箱の上方蓋を構成する。これにより、図4及び図5に示すような包装用箱が組み立てられる。包装用箱の上方蓋、下方蓋の形成順序は適宜とすることができ、被収容物等は上方蓋、下方蓋を形成する前に収納される。
【0038】
このような各構成板及び構成片の組み立て状態の包装用箱において、調剤時等の必要に応じて、内部に収容される患者等に不要な情報(患者の不安を煽るような情報等)が記載された添付書類を予め抜き取る等の通常下以外の状況での開封においては、開口孔12から上方差し込み片10を把持して第1上方破断線11に沿って破断するとともに、上方差し込み片10の両端における第1上端折線jを破断する。これにより、図6に示すように、上方蓋を構成する第1上蓋9及び第2上蓋16が開口した状態となり、上方開口部25から当該添付書類を取り出すことができる。
【0039】
そして、包装用箱における上方蓋を封緘する際には、図7から図9に示すように、内側板6と固定片20によって構成される挿通孔21に上方差し込み片10を差し込むことで、包装用箱の上方開口部25を閉鎖することができる。より詳細には、第1上端折線jより下方に配設され、前方開口領域22によって、前方側が開口する挿通孔21に対して、上方差し込み片10を固定片20側にあてがいながら差し込み、挿通孔21における左右方向の両端部と上方差し込み片10が当接した状態で、下方へ押圧して封緘する。このとき、挿通孔21は、第1上端折線jより下方に位置するので、封緘作業を容易に行うことができる。また、挿通孔21の内部においては、上方差し込み片10における左右両端部の掛止片10bが挿通孔21の左右両端部より外側方向に位置するため、上方差し込み片10を再度開封しようとしても、第1上端折線jに内側から当接するため、再度の開封が困難な状態となる。これにより、包装用箱の上方蓋に改ざん防止機能を付与することができる。
【0040】
一方、通常下の状況での開封においては、前側板1の下方差し込み片14を押圧して、第1下方破断線15に沿って破断する。このとき、前側板1に重合される内側板6には切欠部24が設けられているので、下方差し込み片14を包装用箱の内側方向へと容易に押圧することができる。これにより、図10に示すように、下方蓋を構成する第1下蓋13及び第2下蓋19が開口した状態となり、下方開口部26から被収容物を取り出すことができる(図中においては、便宜上包装用箱の上下方向を反転させている。)。そして、包装用箱における下方蓋を再封する際には、図11に示すように、内側板6の内側に下方差し込み片14を差し込むことで、包装用箱の下方開口部26を閉鎖することができる。これにより、包装用箱の下方蓋に再封機能を付与することができる。
【0041】
そして、使用後における折り畳み方法については、次のようにして行われる。まず、後側板2の押切部17を押圧して、押切用破断線18に沿って破断する。これにより、改ざん防止状態の上方蓋が後側板2から分離されるとともに、上方差し込み片10が挿通孔21に差し込まれていることから、上方蓋が開口した状態となる。そして、4枚の外周壁からなる筒状体を扁平状に折り畳むことで、包装用箱を廃棄することができる。
【0042】
以上、説明した本発明に係る包装用箱によれば、両端開口部のうち、一方の開口部を必要に応じて開封した場合であっても、当該開口部が改ざん防止機能を備えるので、再度の開封を困難なものとすることができる。また、他方の開口部においては、繰り返しの開封を可能とする再封機能を備えるので、被収容物の出し入れを行うことができる。すなわち、包装用箱に被収容物等を収容した後にその一部を取り出すような状況に際して、特に効果的なものとなる。
【0043】
更に、上述した組み立て順序により、折線aからnにしたがって各構成板及び構成片を折曲すればよいので、自動製函機(サックマシン)で作製できるものとなり、量産化がし易いものとなる。
【0044】
また、上記実施例における包装用箱においては、4枚の側板、糊代片5及び内側板6の6枚の構成板等で構成されるものであったが、これに限られるものではない。例えば、図1において、左側板3を取り除く換わりに、糊代片5に上内蓋7及び下内蓋8を設けた左側板3として、5枚の構成板で構成することもできる。係る際には、内側板6を前側板1へ貼着することで外周壁を構成することができる。すなわち、4枚の側板と側板の内側に貼着される内側板6を少なくとも有していればよい趣旨である。
【0045】
さらに、上方差し込み片10と下方差し込み片14は、同じ前側板1に設けることなく、適宜異なる側板に設けることができるのは勿論である。係る際には、内側板6の切欠部24を設けることなく、第1下蓋13と第2下蓋16とを夫々対向する側板に設けることで構成することができる。
【0046】
その他、形状、寸法、材質等を適宜変更して実施することが可能である。また、一部構成を省略することができるし、一部抽出した構成とすることができるのは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
1 前側板
2 後側板
3 左側板
4 右側板
5 糊代片
6 内側板
7 上内蓋
8 下内蓋
9 第1上蓋
10 上方差し込み片
11 第1上方破断線
12 開口孔
13 第1下蓋
14 下方差し込み片
15 第1下方破断線
16 第2上蓋
17 押切部
18 押切用破断線
19 第2下蓋
20 固定片
21 挿通孔
22 前方開口領域
23 後方開口領域
24 切欠部
25 上方開口部
26 下方開口部
P 貼着部
a〜n 折線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11