(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6376369
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】電気コーヒーメーカー
(51)【国際特許分類】
A47J 31/10 20060101AFI20180813BHJP
A47J 31/06 20060101ALI20180813BHJP
A47J 31/46 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
A47J31/10 106
A47J31/06 230
A47J31/46 115
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-219503(P2017-219503)
(22)【出願日】2017年10月26日
【審査請求日】2018年1月25日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504319079
【氏名又は名称】竹下 清助
(72)【発明者】
【氏名】竹下 清助
【審査官】
西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2015/0208851(US,A1)
【文献】
特開2006−263028(JP,A)
【文献】
特開2007−094869(JP,A)
【文献】
実開昭58−194738(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00−31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水タンクとボイラーの間に配置した電動ポンプと、湯を容易に自然落下させるために上位から下位へ鉛直的に前記ボイラーとドリッパーとコーヒーカップを配置し、ボイラーと前記ドリッパーの間に配置した電磁弁Aと、ボイラーと前記コーヒーカップの間に配置した電磁弁Bを有した構成であって、前記電動ポンプの作動時間を制御することによって淹れたいコーヒーの分量だけの水量をボイラーへ給水して保持することができるものであって、ボイラーで沸かした湯はスチームが発生する前に湯温度が90〜100℃に達したときにヒータをOFFしてスチーム圧力を発生させない、次に蒸らしを行うために最初に前記電磁弁Aを開いて「開」時間を制御することによって給湯口Aからドリッパーへ蒸らしに必要な湯量を給湯したあと電磁弁Aを閉じて蒸らし行程に入る、蒸らし時間が終了したとき電磁弁Aは再び開いてドリッパーへ給湯してコーヒーをコーヒーカップにドリップする、このときドリップする分量は電磁弁Aの「開」時間を制御して淹れたいコーヒー分量の30〜70%になったとき閉じて濃いコーヒーを淹れる、次に前記電磁弁Bを開いて「開」時間を制御することによってボイラーの湯を給湯口Bから直接コーヒーカップに給湯して淹れたい分量のコーヒーを淹れる方法であって、以上のコーヒー淹れ方行程が完了したときボイラーに残湯が残っていないことを特徴とする、このようなコーヒーの淹れ方行程を制御する制御回路を備えたドリップ式電気コーヒーメーカー。
【請求項2】
操作スイッチの一つであるエスプレッソスイッチを設けて、エスプレッソスイッチをONにしたとき給湯口Bからコーヒーカップへ給湯しない濃いコーヒーの淹れ方を選択できる請求項1記載のドリップ式電気コーヒーメーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は美味しいコーヒーを淹れることができる一般家庭用の電気コーヒーメーカーである。
【背景技術】
【0002】
普通に1カップのコーヒーを淹れるときは
図4のように市販ドリッパーに専用ペーパーフィルターをセットしてコーヒー粉を約12gを入れる。美味しいコーヒーを淹れるためにはコーヒー粉が全体的に湿る湯量を注いで蒸らし時間を充分にとることが重要である。
【0003】
蒸らしが終わったら、コーヒーカップ1杯分の約150ccになるまで湯を注いでコーヒーを淹れていた。しかし、この淹れ方よりさらに美味しいコーヒーの淹れ方がある。
【0004】
図5は
図4の市販ドリッパーを使用し、コーヒー粉約12gを入れて、最初の1/3をドリップ、次の1/3をドリップ、最後の1/3をドリップして、合計約150ccのコーヒーを淹れたものである。
【0005】
最初の1/3と次の1/3のコーヒーは色も良く香りも大変良い。しかし、最後の1/3は紅茶のように薄く、雑味の強い美味しくないコーヒーである。そこで、最後の1/3をドリップしない方法でコーヒーを淹れることができて、より美味しいコーヒーを淹れることができる電気コーヒーメーカーを開発する。
【0006】
従来の電気コーヒーメーカーは給湯量や給湯時間を制御していないので、美味しいコーヒーを淹れるための蒸らし時間を充分に取ることができなかった。
【0007】
さらに、従来の電気コーヒーメーカーは、給湯口が一つのためにドリップ後半の美味しくない部分までドリップするコーヒーになっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
美味しいコーヒーを淹れるために給湯量や給湯時間の制御ができ、蒸らし時間を充分に確保できるようにする。蒸らし時間を充分にとることによって少ない湯量で濃いコーヒーをドリップできるようにする。
【0009】
さらに、コーヒードリップ用の給湯口と従来の電気コーヒーメーカーには無かった湯だけをコーヒーカップに注ぎ足すことができる給湯口の二つを設ける。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するために、水タンクから湯沸かしをするボイラーへ給水する電動ポンプを備える。電動ポンプは作動時間を制御して淹れたいコーヒーの分量だけボイラーへ給水して、湯沸かしを行う。
【0011】
ボイラーからドリッパーへ給湯する給湯口とボイラーからコーヒーカップへ直接給湯する給湯口の二つを設ける。一つの電磁弁はドリッパーへの給湯量を制御し、またもう一つの電磁弁はコーヒーカップへ直接給湯する給湯量を制御する。
【0012】
ここでボイラーと電磁弁とドリッパーとコーヒーカップは電磁弁を開いたとき湯が自然流出するようにほぼ鉛直線上に配置される。
【発明の効果】
【0013】
給水用の電動ポンプは作動時間を制御することによって、ボイラーへの給水量を制御することができる。給湯用の電磁弁は「開閉」時間を制御することによって、給湯開始や停止を制御できるので給湯量を制御できる。
【0014】
したがって、最初にドリッパーの中のコーヒー粉が全体的に湿る分量の湯を給湯口Aからドリッパーに給湯することができ、蒸らし中は電磁弁Aを閉じて蒸らし時間を充分にとることができる。
【0015】
蒸らしの後に再び電磁弁Aを開いてドリッパーへ給湯してコーヒーをドリップする。このときドリップ量が1カップ分の30〜70%になったとき、電磁弁Aを閉じて給湯を停止する。このときドリップしたコーヒーは充分に蒸らし時間をとってドリップされているので大変濃いコーヒーができる。
【0016】
次に電磁弁Bを開いて不足分の湯量を直接コーヒーカップへ注ぎ足すことができる。不足分の湯量とは1カップ分の約70〜30%の分量である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0017】
以下本発明の実施例について説明する。
図1は本発明の電気コーヒーメーカーの外観図である。操作スイッチとして電源スイッチ1、1カップスイッチ2、2カップスイッチ3、エスプレッソスイッチ4、スタートスイッチ5を備えている。
【0018】
機体後方に着脱可能な水タンク6があり、前方下部にドリップされたコーヒーを受ける1人用カップ7または2人用カップ19を置くことができる。カバー8は開閉可能であり、カバー8を開いてドリッパー9をセットすることができる。
【0019】
図2は本発明の電気コーヒーメーカーの効果を出すために機体内部に構成される基本部品である。水タンク6とボイラー10は電動ポンプ11を介してパイプで接続されている。
【0020】
電源スイッチ1をONにして1カップスイッチ2を押したあとにスタートスイッチ5が押されると電動ポンプ11が作動してボイラー10へ1カップ分の水量が給水されるように電動ポンプ11の作動時間をプログラムされている。2カップスイッチ3が押されていたときは2カップ分の水量がボイラー10へ給水されるようにプログラムされている。
【0021】
ボイラー10へ予定水量が給水されたとき電動ポンプ11は停止して、ボイラー10の内部に設備されているヒータ12がONして湯沸かし行程になる。ボイラー10内の湯が90〜100℃になったときヒータ12はOFFする。ここの行程まで電磁弁A14と電磁弁B15は「閉」状態である。
【0022】
90〜100℃の湯温に達してヒータ12がOFFしたとき、先に電磁弁A14は「開」となり、給湯口A16から湯がドリッパー9に注がれる。最初に注がれる湯量はドリッパー9の中のコーヒー粉を蒸らすことに充分な約20〜50ccであり、そのあと電磁弁A14は「閉」となり、ドリッパー9は蒸らし時間に入る。
【0023】
蒸らし時間は約1〜2分間であり、その後再び電磁弁A14が「開」となって、ドリッパー9へ予定の湯量を注ぎ、ドリップを開始してコーヒーが一人用カップ7または2人用カップ19へ注がれる。予定の湯量は1カップスイッチ2または2カップスイッチ3が押されたのかによって決定する。
【0024】
このときの予定の湯量は1カップまたは2カップの容量のそれぞれ約30〜70%であり、予定の湯量がドリッパー9へ注がれたあと、電磁弁A14は「閉」となって電磁弁B15が「開」となり給湯口B17から湯が直接一人用カップ7または2人用カップ19に注がれる。
【0025】
電磁弁B15はボイラー10内の湯がなくなるまで「開」であって、ボイラー10の湯が無くなったとき「閉」となってコーヒーを淹れる行程が終了する。このようなコーヒーを淹れる行程は制御回路18のプログラムによって、電動ポンプ11の作動時間と電磁弁Aと電磁弁Bの「開閉」時間を制御して行われる。
【0026】
図3は本発明の電気コーヒーメーカーに使用するドリッパー9である。ドリッパー9は2個の成形部品とペーパーフィルター22で構成される。ペーパーフィルター22は市販されているキッチンペーパーを利用することができる。
【0027】
キッチンペーパーを使用したペーパーフィルター22は蒸らしの湯量を保持しやすく、蒸らし効果に最適である。
【0028】
成形筒A20と成形筒B21の間にペーパーフィルター22を置いて勘合させると成形筒A20の下部の半球状に成形された格子に沿ってペーパーフィルター22は半球状に成形されドリッパー9になる。ドリッパー9は機体前面のカバー8を開いて着脱可能である。
【0029】
エスプレッソコーヒーは大変濃いコーヒーであるが、1カップスイッチ2または2カップスイッチ3を押した後にエスプレッソスイッチ4を押してスタートスイッチ5を押すと湯の注ぎ足しが行われず、濃いコーヒーを淹れることができる。
【0030】
このように蒸らし時間を充分にとって濃いコーヒーをドリップすることができ、1カップ分に不足の分量だけの湯を注ぎ足してコーヒーを淹れたとき、従来の方法で淹れたコーヒーと同じ濃さのコーヒーを淹れることができる電気コーヒーメーカーである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図3】 本発明の電気コーヒーメーカーに使用するドリッパーの構成を示す。
【
図4】 市販ドリッパーでコーヒーを淹れる説明図である。
【
図5】 従来のドリップ方法で1カップ分量のコーヒーを淹れたとき、ドリップの最初1/3、次の1/3、最後の1/3に分けて比較した図である。
【符号の説明】
【0032】
1 電源スイッチ 2 1カップスイッチ
3 2カップスイッチ 4 エスプレッソスイッチ
5 スタートスイッチ 6 水タンク
7 1人用カップ(コーヒーカップ) 8 カバー
9 ドリッパー 10 ボイラー
11 電動ポンプ 12 ヒータ
13 逆止弁 14 電磁弁A
15 電磁弁B 16 給湯口A
17 給湯口B 18 制御回路
19 2人用カップ 20 成形筒A
21 成形筒B 22 ペーパーフィルター
23 市販ドリッパー 24 専用ペーパーフィルター
25 コーヒー粉
【要約】
【課題】コーヒードリップで美味しいコーヒーを淹れるためには十分な蒸らし時間とドリップ後半の雑味を入れないことである。従来のコーヒーメーカーは給水量、給湯量および給湯時間の制御ができなかったので蒸らし時間が不足し、またドリップ時間を制御できないので美味しくない雑味の入ったコーヒーになっていた。
【解決手段】このような問題を解決するために電動ポンプと電磁弁を備え、電動ポンプと電磁弁の作動・停止を時間制御することによって、蒸らしを充分に行うことができるので濃いコーヒーを淹れることができる。さらにコーヒードリップ用の給湯口と直接カップに給湯する給湯口を別々にして二つ設けることでコーヒーの雑味をドリップしない淹れ方ができる電気コーヒーメーカーである。
【選択図】
図2