【実施例】
【0022】
図1は、この発明の実施例によるフィードバック制御装置の構成を示す説明図である。この図は、フィードバック制御装置の一構成例であるPI制御装置1を示したものである。
PI制御装置1は、外部から電流設定値を入力する基準入力部(A)11、基準入力部(A)11を介して電流設定値を入力し、例えば制御対象21へ供給する充電電流を一定に維持するための制御値を求める電流制御部12、制御対象21に流れる電流を計測して例えば当該電流測定値を減算器30において処理可能な所定様式の信号に変換する、もしくは当該信号を生成する電流計測部(A’)13を備えている。
【0023】
また、PI制御装置1は、外部から電圧設定値を入力する基準入力部(B)14、基準入力部(B)14を介して電圧設定値を入力し、例えば制御対象21へ印加する充電電圧を一定に維持するための制御値を求める電圧制御部15、制御対象21の例えば電極間電圧を計測して例えば当該電圧測定値を、減算器32において処理可能な所定様式の信号に変換する、もしくは当該信号を生成する電圧計測部(B’)16を備えている。
またさらに、PI制御装置1は、入力切替スイッチ22、出力切替スイッチ23、I(積分)制御部24、加算器25、出力制御部26、u1/u2判定部27を備えている。
制御対象21は、PI制御装置1の出力制御部26によって所定の制御が行われるもので、例えばコンデンサや二次電池等である。
なお、ここでは制御対象21へ充電電力を供給するものを例示して説明する。
【0024】
電流制御部12は、基準入力部(A)11から入力した電流設定値と電流計測部(A’)13から入力した電流測定値の偏差を求める減算器30と、減算器30の出力値を用いてP(Proportional:比例)制御値を求めるP制御部31とを有している。
電圧制御部15は、基準入力部(B)14から入力した電圧設定値と電圧計測部(B’)16から入力した電圧測定値の偏差を求める減算器32と、減算器32の出力値を用いてP制御値を求めるP制御部33とを有している。
減算器30の出力点は、P制御部31の入力点および入力切替スイッチ22の接点u1に接続されている。
減算器32の出力点は、P制御部33の入力点および入力切替スイッチ22の接点u2に接続されている。
入力切替スイッチ22の基点bは、I(Integral:積分)制御値を求めるI(積分)制御部24の入力点に接続されており、減算器30と減算器32のいずれか一方の出力点がI(積分)制御部24の入力点と接続するように構成されている。
【0025】
I(積分)制御部24の出力点は、加算器25の第1入力点に接続されている。また、加算器25の第2入力点は出力切替スイッチ23の基点bに接続されている。
P制御部31の出力点は、出力切替スイッチ23の接点u1に、P制御部33の出力点は、出力切替スイッチ23の接点u2に接続されており、P制御部31とP制御部33のいずれか一方の出力点が加算器25の第2入力点と接続するように構成されている。
加算器25の出力点は、出力制御部26の入力点に接続されており、電流制御部12およびI(積分)制御部24によって生成される電流制御値(詳しくは、P制御部31から出力されるP制御値とI(積分)制御部24から出力されるI制御値とを加算したPI制御値)、または電圧制御部15およびI (積分)制御部24によって生成される電圧制御値(詳しくは、P制御部33から出力されるP制御値とI (積分)制御部24から出力されるI制御値とを加算したPI制御値)のいずれか一方を出力制御部26へ入力するように構成されている。
【0026】
出力制御部26は、加算器25の加算処理によって生成されたPI制御値に応じて制御対象21を制御するように構成されている。具体的には、例えば前述の電流制御値に応じた充電電流を制御対象21へ供給するように構成されており、また、前述の電圧制御値に応じた充電電圧を制御対象21へ印加するように構成されている。
U1/u2判定部27は、制御対象21の状態を監視し、具体的には、例えば制御対象21の電極間電圧を検知する電圧検知手段、また、制御対象21に流れる電流(例えば制御対象21に供給されている充電電流等)の値を検知する電流検知手段等を有し、これらの検知手段が検知した値に応じて入力切替スイッチ22および出力切替スイッチ23の各切替動作を制御するように構成されている。
【0027】
図2は、この発明の実施例によるフィードバック制御装置の他の構成を示す説明図である。この図は、フィードバック制御装置の他の構成例であるPID制御装置2を示したものである。
図1に示したものと同一、あるいは相当する部分に同じ符号を使用し、その説明を省略する。
PID制御装置2が備える電流制御部12aは、減算器30、P制御部31、さらにD(Differential:微分)制御値を求めるD制御部41、加算器42を備えている。また、電圧制御部15aは、減算器32、P制御部33、さらにD制御部43、加算器44を備えている。
【0028】
電流制御部12aのD制御部41は、自身の入力点をP制御部31の入力点とともに、減算器30の出力点と入力切替スイッチ22の接点u1に接続している。
D制御部41は、出力点を加算器42の第1入力点に接続しており、当該加算器42の第2入力点には、P制御部31の出力点が接続されている。即ち、D制御部41はP制御部31と並列に接続されており、当該P制御部31と同一の入力値、即ち減算器30の出力値を入力するように接続されている。また、当該D制御部41が求めたD制御値を加算器42へ入力し、P制御部31が求めたP制御値と加算するように接続されている。
加算器42の出力点は、出力切替スイッチ23の接点u1に接続されている。
【0029】
電圧制御部15aのD制御部43は、自身の入力点をP制御部33の入力点とともに、減算器32の出力点と入力切替スイッチ22の接点u2に接続している。
D制御部43は、出力点を加算器44の第1入力点に接続しており、当該加算器44の第2入力点には、P制御部33の出力点が接続されている。即ち、D制御部43はP制御部33と並列に接続されており、当該P制御部33と同一の入力値、即ち減算器32の出力値を入力するように接続されている。また、当該D制御部43が求めたD制御値を加算器44へ入力し、P制御部33が求めたP制御値と加算するように接続されている。
加算器44の出力点は、出力切替スイッチ23の接点u2に接続されている。
【0030】
次に動作について説明する。
図2に示したPID制御装置2は、D制御部41,43ならびに加算器42,44を備えた以外は、
図1のPI制御装置1と同様に構成されており、また、定電流制御と定電圧制御の切替動作に関しては同様に動作する。ここでは、
図1に示したPI制御装置1の充電動作を代表して説明する。なお、2つの制御ループを切替える放電動作も同様に行うことが可能であり、この場合、以下の説明において「充電」を「放電」へ、また「上昇」を「下降」へ、などの読み替えを行ったものになる。
図3は、この発明の実施例によるフィードバック制御装置の動作を示す説明図である。この図は、u1/u2判定部27が切替スイッチ22,23を制御する際の制御動作を示したものである。
【0031】
制御対象21が例えばリチウムイオン二次電池である場合、充電開始時においては当該リチウムイオン二次電池の規格等によって定められている電流値(基準入力部(A)11によって設定された電流設定値)を維持して充電を行う。また、この定電流充電によってリチウムイオン二次電池の電極間電圧が上昇し、この電圧値が当該リチウムイオン二次電池の規格等に基づいて定められている規定電圧(基準入力部(B)14によって設定された電圧設定値)に達すると、この規定電圧を維持して定電圧充電を続行する。
ここでは、リチウムイオン二次電池の充電動作におけるPI制御を例示して説明する。
図3には、上記の定電流充電を行う期間を「定電流制御区間」とし、また、電圧設定値(上記の規定電圧)を維持して定電圧充電を行う期間を「定電圧制御区間」として示している。
なお、基準入力部(A)11から入力される電流設定値、および、基準入力部(B)14から入力される電圧設定値は、適宜、外部から入力され、例えば充電動作を開始する前には当該PI制御装置1へ入力設定されている。
【0032】
図3(a)は、縦軸が電流値、横軸が経過時間を表し、PI制御装置1から制御対象21へ供給される充電電流の時間変化を示したものである。
図3(b)は、縦軸が電圧値、横軸が経過時間を表し、PI制御装置1に接続された制御対象21の例えば電極間電圧の時間変化を示したものである。
図3(c)は、縦軸が電流制御値、横軸が経過時間を表し、上記のように制御対象21に充電電流を供給するときの電流制御の時間変化を示している。なお、
図3(c)には、電流制御値について、P制御部31から出力されるP制御値(グラフ(5))と、I (積分)制御部24から出力されるI制御値(グラフ(6))とをそれぞれ示している。
図3(d)は、縦軸が電圧制御値、横軸が経過時間を表し、上記の充電電流を供給する(充電電圧を印加する)ときの電圧制御の変遷を示している。なお、
図3(d)には、電圧制御について、P制御部33から出力されるP制御値を示している。この電圧制御におけるI(積分)制御部24から出力されるI制御値は、
図3(c)の定電圧制御区間に示したグラフ(6)のようになる。
【0033】
制御対象21がリチウムイオンニ次電池等である場合には、この制御対象21に充電電流を供給するとき、u1/u2判定部27は、初めに定電流制御による充電を行うために入力切替スイッチ22および出力切替スイッチ23の各基点bを接点u1へ接続させる。即ち、電流制御部12の減算器30の出力点とI(積分)制御部24の入力点とを接続し、また、電流制御部12(P制御部31)の出力点とI(積分)制御部24の出力点とを加算器25を介して出力制御部26へ接続する。
上記のスイッチ接続状態において、基準入力部(A)11から入力された電流設定値を、電流計測部(A’)13から出力されている電流測定値とともに減算器30へ入力する。
減算器30が求めた値(偏差)は、P制御部31へ入力されるとともに入力切替スイッチ22を介してI(積分)制御部24へ入力され、この時点におけるP制御値およびI制御値を求める。
【0034】
I(積分)制御部24からのI制御値は加算器25へ入力され、P制御部31からのP制御値は出力切替スイッチ23を介して加算器25へ入力される。加算器25は、これらの制御値からPI制御値を求めて出力制御部26へ出力する。
出力制御部26は、入力したPI制御値に応じた充電電流を制御対象21へ供給する。この充電電流の大きさは、電流計測部(A’)13によって計測され、次の時点の電流測定値として減算器30へ出力される。
【0035】
減算器30は、上記時点の電流測定値と前述の電流設定値(入力基準値)との偏差を求め、この値をP制御部31へ出力するとともに入力切替スイッチ22を介してI (積分)制御部24へ出力する。
この後、P制御部31およびI(積分)制御部24は、新たな入力値に対してP制御値およびI制御値を求め、加算器25が新たなPI制御値を生成する。このPI制御値を出力制御部26へ入力し、
図3(a)に示したように、(図示した定電流制御区間において)出力制御部26から制御対象21へ供給する充電電流が電流設定値となるように補償するフィードバック制御を行う。
定電流制御においては、上記のようにP制御部31、I(積分)制御部24、加算器25、出力制御部26、(制御対象21)、電流計測部(A’)13、減算器30等によって定電流制御ループが形成されている。
【0036】
前述のように一定に維持した充電電流を制御対象21へ供給することによって、制御対象21の電極間、もしくは充電端子間の電圧値が
図3(b)に示したように上昇する。
U1/u2判定部27は、
図3(b)に示したポイントP4の時点において、制御対象21の電極間電圧が電圧設定値に到達したことを認識すると、充電動作の制御を定電流制御から定電圧制御へ切替える。具体的には、入力切替スイッチ22および出力切替スイッチ23を制御して、各スイッチの基点bを接点u1から接点u2に切替え接続させる。
I(積分)制御部24は、定電圧制御が開始されるポイントP4の時点において、定電流制御の最新の偏差を入力しておる。即ち、I(積分)制御部24は、上記の状態で定電流制御から定電圧制御への切替えが行われることから、常に定電流制御ループまたは定電圧制御ループ内において稼動しており、
図3(c)のグラフ(6)に示したように制御切替時点において大きく変動することなくI制御値の出力を継続する。
【0037】
また、ポイントP4の時点における制御切替えでは、前述のように出力切替スイッチ23の接点接続が切替わり、加算器25とP制御部31の接続が遮断され、加算器25の入力点にP制御部33が接続される。即ち、
図3(c)に示したポイントP5においてP制御部31から加算器25へ入力されていた定電流制御のP制御値が遮断され、
図3(d)に示したポイントP6においてP制御部33から加算器25へ定電圧制御のP制御値入力が開始される。なお、上記のポイントP4〜P6は充電期間内において同一時点とみなすことができる時間長さである。
【0038】
定電圧制御に用いるフィードバック制御系、即ち電圧制御部15等は、
図3の定電流制御区間において稼動する制御ループに含まれていない。定電流制御区間では、充電動作が進行することによって制御対象21の電極間電圧が電圧設定値に近づいて行く。そのため、定電流制御区間ではフィードバック制御として稼動していないが、この定電流制御区間において、電圧制御部15の減算器32が求める偏差は充電進行にともなって小さくなり、P制御部33が求めるP制御値も補償が小さいものへ遷移する。
これらのことから、P制御部33は、ポイントP6の時点において定電圧制御を開始するときには、出力制御部26から出力される充電電圧を電圧設定値に補償するためのP制御値を生成することができる。
【0039】
このように、電圧制御部15のP制御部33から適正なP制御値が出力されており、また、I(積分)制御部24からも前述のように定電圧制御値として概ね妥当な値を出力していることから、出力制御部26へ入力されるPI制御値は、定電流制御から定電圧制御へ切り替わる時点において適正な値から大きく外れたものとはなっていない。そのため安定したPI制御を継続することができる。
図3に示した「定電圧制御区間」において、予め基準入力部(B)14から入力した設定電圧値を充電電圧として一定に維持するときには、前述のようにu1/u2判定部27の制御によって入力切替スイッチ22ならびに出力切替スイッチ23の各基点bの接続を、接点u1から接点u2へ切り替え、電圧制御部15等を稼動させて定電圧制御ループによるフィードバック制御を行う。
上記の定電圧制御ループは、P制御部33、I(積分)制御部24、加算器25、出力制御部26、(制御対象21)、電圧計測部(B’)16、減算器32等によって形成されている。
【0040】
具体的には、電圧計測部(B’)16が制御対象21の例えば電極間電圧を測定し、減算器32が上記の電圧測定値と電圧設定値との偏差を求める。この偏差は、P制御部33およびI(積分)制御部24へ入力され、当該偏差に応じたP制御値、および、I制御値を求める。
加算器25は、上記のP制御値とI制御値とを入力し、定電圧制御のPI制御値を求める。出力制御部26は、入力した定電圧制御のPI制御値に応じて、制御対象21の電極間、もしくは充電端子間の電圧が電圧設定値となるように補償する制御動作を行って、当該制御対象21へ充電電圧を供給し、例えば、電流計測部(A’)13が測定した充電電流値が予め設定された所定値よりも小さくなるまで、上記の定電圧制御による充電動作を継続する。
このように制御対象21に対する制御を滑らかに切替えて、一連の制御動作を適宜終了させる。
【0041】
以上のようにこの実施例によれば、定電流制御を行うときには電流制御部12とI(積分)制御部24とを接続し、定電圧制御を行うときには電圧制御部15とI(積分)制御部24とを接続してPI制御値を生成し、出力制御部26から制御対象21へ充電電流を供給するようにしたので、定電流制御から定電圧制御へ切替えるときに、PI制御値が大きく変動することを防ぐことができ、制御対象21に対して安定した制御を行うことができる。