(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6376384
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】紫外線照射用放電管
(51)【国際特許分類】
H01J 61/52 20060101AFI20180813BHJP
H01J 61/04 20060101ALI20180813BHJP
H01J 61/30 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
H01J61/52 L
H01J61/04
H01J61/30 R
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-180090(P2014-180090)
(22)【出願日】2014年9月4日
(65)【公開番号】特開2016-54096(P2016-54096A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2017年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】502154452
【氏名又は名称】株式会社東通研
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100152261
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 隆弘
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳一
【審査官】
杉田 翠
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−81755(JP,A)
【文献】
特開昭52−144175(JP,A)
【文献】
実開昭61−099357(JP,U)
【文献】
特開平06−325735(JP,A)
【文献】
特開平06−111787(JP,A)
【文献】
特開2004−014850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J61/00−65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水銀及び不活性ガスを封入した放電容器を備え、前記放電容器の両端に対向するように一対の電極を取り付けて交流を流して紫外線を照射可能な紫外線照射用放電管であって、
前記放電容器は、紫外線照射時に前記放電容器の直流を出力可能な一対の直流出力端子を備えたことを特徴とする紫外線照射用放電管。
【請求項2】
前記直流出力端子は、前記一対の電極の中心で、対向する前記一対の電極を結ぶ直線と直交する方向であって互いに対向するように取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射用放電管。
【請求項3】
前記放電容器は、中心の断面が両端の断面よりも大きい球形部を設け、前記直流出力端子は、前記一対の電極を水平方向に沿って配置したときに前記球形部の中心を通る垂線上に取り付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の紫外線照射用放電管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型インキなどを硬化する紫外線を照射可能な紫外線照射用放電管に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線硬化型インキを硬化する紫外線を照射可能な紫外線照射用放電管は、印刷、塗装のほかにも、コーティングの分野においても利用されている。
紫外線照射用放電管は、紫外線照射時において発熱し管面温度が極めて高温となる。このため、放電管には冷風又は冷水による冷却手段を設けて管面温度を制御している。一例として特許文献1には、水冷式の高圧放電ランプが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−146962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発熱の主な原因は、放電管から照射される紫外線以外の可視光、赤外線などが空気に触れて熱として排気することが挙げられる。また、放電管が照射可能な紫外線は約20%程度であり、この他は可視光、赤外線などであり、消費電力に対してエネルギーのロスが生じていた。このため、消費電力に対して紫外線以外の照射を少なくして、紫外線の照射率を高めるなど効率良く紫外線を照射可能な放電管が望まれている。
【0005】
上記従来技術の問題点に鑑み、本発明は、管内で生じた直流を出力することにより、放電容器の発熱を低減して紫外線の照射効率を高める紫外線照射用放電管を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、水銀及び不活性ガスを封入した放電容器を備え、前記放電容器の両端に対向するように一対の電極を取り付けて交流を流して紫外線を照射可能な紫外線照射用放電管であって、前記放電容器は、紫外線照射時に前記放電容器の直流を出力可能な一対の直流出力端子を備えたことを特徴とする紫外線照射用放電管を提供することにある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、第1の手段において、前記直流出力端子は、前記一対の電極の中心で、対向する前記一対の電極を結ぶ直線と直交する方向であって互いに対向するように取り付けたことを特徴とする紫外線照射用放電管を提供することにある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための第3の手段として、第1又は第2の手段において、前記放電容器は、中心の断面が両端の断面よりも大きい球形部を設け、前記直流出力端子は、前記一対の電極を水平方向に沿って配置したときに前記球形部の中心を通る垂線上に取り付けたことを特徴とする紫外線照射用放電管を提供することにある。
【発明の効果】
【0009】
上記のような構成によれば、直流出力端子を備えているので放電容器内の直流を取り出すことができる。これにより、紫外線以外の可視光、赤外線などの発生を低減でき、これに起因する発熱が低減して、紫外線の照射効率を高めることができる。
【0010】
上記のような構成によれば、直流出力端子を電極からもっとも遠い位置に取り付けているので、放電容器内で発生した直流が電極から抜けることなく、直流出力端子から外部へ出力させることができる。
【0011】
上記のような構成によれば、球形部の下方に取り付けた直流出力端子の周囲に水銀が溜まり、この端子が正電荷を帯び易く、上方に取り付けた直流出力端子から下方に取り付けた直流出力端子に向けて電子が移動して、直流が流れ易くなる。また、電極からもっとも遠い位置に、直流出力端子を取り付けているので、放電容器内で発生した直流が電極から抜けることなく、直流出力端子から外部へ効率的に出力させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の紫外線照射用放電管の構成概略を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の紫外線照射用放電管の実施形態を添付の図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0014】
[紫外線照射用放電管10]
図1は本発明の紫外線照射用放電管の構成概略を示す正面図である。図示のように本発明の紫外線照射用放電管10は、放電容器20と、電極30と、直流出力端子40を主な基本構成としている。
【0015】
[放電容器20]
放電容器20は、材質に石英ガラスを用いたほぼ直管状(棒状)の石英ガラス管である。放電容器20の内部には、水銀と不活性ガスを封入している。本発明の不活性ガスは、一例として、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンなどを用いることができる。不活性ガスは、放電容器20の内部に適宜の圧力(一例として2.66kPa)となるように封入している。
【0016】
[電極30]
電極30は、放電容器20の両端に軸方向に沿って、先端同士が対向するように一対取り付けている。電極30は、材質に一例としてタングステンなどを用いることができる。電極30は、放電容器20の両端で気密に埋設された金属箔32を介して放電容器20の軸方向の外側に突出して延びている端子34と電気的に接続している。金属箔32は、材質に一例としてモリブデンなどを用いることができる。本実施形態の電極30には交流電源が接続し交流を流している。
【0017】
[球形部22]
放電容器20は、両端の一対の電極30からもっとも離れた位置となる中心に球形部22を設けている。球形部22は、断面径が放電容器20の両端の断面径よりも大きく設定されており、本実施形態では一例として両端の断面径の2倍の断面径に設定している。球形部22の中心は、放電容器20の長手方向の軸心上であって、放電容器20の中心に位置するように設定されている。
【0018】
[直流出力端子40]
直流出力端子40は、球形部22に取り付けている。直流出力端子40は、放電容器20の軸心からもっとも遠い位置に取り付けている。直流出力端子40は、放電容器20の軸心と直交し、球形部22の中心を通る位置に取り付けている。換言すると、直流出力端子40は、一対の電極30を水平方向に沿って配置したときに球形部22の中心を通る垂線上に先端同士が対向するように一対取り付けている。直流出力端子40は、材質に一例としてタングステンなどを用いた一対の端子である。直流出力端子40は、球形部22の中心を通る垂線上に接続する円柱状の石英ガラス内で気密に埋設された金属箔42を介して石英ガラスの軸方向の外側に突出して延びている端子44と電気的に接続している。金属箔32は、材質に一例としてモリブデンなどを用いることができる。本実施形態の直流出力端子40は、放電容器20の内部で発生した直流電流を出力可能な端子である。端子44には、計測器、蓄電機器などを接続させることができる。
【0019】
[作用]
上記構成による本発明の紫外線照射用放電管の作用について、以下説明する。
紫外線照射用放電管10の軸方向(一対の電極30を結ぶ線)が水平方向となるように載置台に配置し、一対の電極30に交流電源を接続して交流を流す。直流出力端子40には、端子44を介して計測器、蓄電機器などと接続した配線が接続している。
【0020】
放電容器20の内部では、電極30のうち陰極から飛び出した電子が陽極に向けて引っ張られる。このとき電子は水銀原子に衝突して水銀原子にエネルギーを与える。水銀原子は、励起されてエネルギーを光として放出(発光)し紫外線、可視光、赤外線となり放電容器20から照射される。
【0021】
また、放電容器の一対の直流出力端子40では、下方の直流出力端子40の周囲に重力によって水銀が溜まり易く、正電荷を帯び易い状態となっている。このため、下方の直流出力端子40に向けて放電容器20の内部で発生した電子が引っ張られて、上方の直流出力端子40から下方の直流出力端子40に向かって電子が流れる。直流出力端子40に接続した直流測定器により直流が検出できる。さらに直流出力端子40に接続した蓄電機器により直流を蓄電することができる。これにより、紫外線以外の可視光、赤外線などの照射に係わる消費電力を、直流に変えて蓄電し、紫外線の照射効率を高められると共に、放電容器20の発熱を大幅に低減することができる。
【0022】
[実施例]
放電容器20の容積率(48cc)に対して水銀を8.16%(6μl)封入した。交流電圧200Vを紫外線照射用放電管10の電極30に印加すると、電極30は電圧23V、電流7.2A、消費電力157Wとなる。放電容器20の管面温度は約150℃であった。
次に、直流出力端子40に測定器(検流計)を接続し、直流出力端子40に流れる直流を測定した。その結果、直流電圧2.5V、電流0.7A、出力1.75Wであった。また放電容器20の管面温度は78℃であった。このように、放電容器20から10%の発電を行うことができた。
【0023】
本発明の紫外線照射用放電管から照射される紫外線は、254nm、365nm、405nmを主波長とするものであった。
【0024】
本発明の紫外線照射用放電管から出力した直流電流の波形は、正弦波と半波整流矩形の脈流であった。
【0025】
このような本発明の紫外線照射用放電管によれば、直流出力端子を備えているので放電容器内の直流を取り出し、紫外線以外の可視光、赤外線などの発生を低減できる。そして放電容器の発熱が低減して、紫外線の照射効率を高めることができる。また、放電容器から紫外線を照射しながら、直流出力端子に流れる直流を蓄電することにより、放電管の消費電力を有効活用できる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、特に交流電源を用いる放電管に産業上有効活用できる。
【符号の説明】
【0027】
10………紫外線照射用放電管、20………放電容器、22………球形部、30………電極、32………金属箔、34………端子、40………直流出力端子、42………金属箔、44………端子。