特許第6376405号(P6376405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6376405
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/34 20060101AFI20180813BHJP
   H01M 2/20 20060101ALI20180813BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   H01M2/34 A
   H01M2/20 A
   H01M2/10 M
   H01M2/10 S
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-108544(P2015-108544)
(22)【出願日】2015年5月28日
(65)【公開番号】特開2016-225065(P2016-225065A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2017年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】草場 幸助
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 仁
(72)【発明者】
【氏名】藤原 伸得
【審査官】 井原 純
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/121224(WO,A1)
【文献】 特開2014−110139(JP,A)
【文献】 特開平09−017303(JP,A)
【文献】 特開平09−022644(JP,A)
【文献】 特開2002−319343(JP,A)
【文献】 特開2014−154337(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0380713(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/34
H01M 2/10
H01M 2/20
H01H 85/00−62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルと、
各前記電池セルの一方の端子部を電気的に接続する第1バスバー部と、
各前記電池セルの他方の端子部を電気的に接続する第2バスバー部と、
膨張要素と、を有し、
前記第1バスバー部は、複数のヒューズと、前記ヒューズを介して前記電池セルの前記一方の端子部を接続する第1バスバー本体と、を有し、
前記膨張要素は、
前記電池セルの過熱による前記ヒューズの溶断時に、体積増大して、溶断された前記ヒューズの間に膨出し、前記電池セルと前記第1バスバー部との電気的接続を阻害する、電池モジュール。
【請求項2】
複数の電池セルと、
各前記電池セルの一方の端子部を電気的に接続する第1バスバー部と、
各前記電池セルの他方の端子部を電気的に接続する第2バスバー部と、
膨張要素と、を有し、
前記第1バスバー部は、複数のヒューズと、前記ヒューズを介して前記電池セルの前記一方の端子部を接続する第1バスバー本体と、を有し、
前記膨張要素は、前記電池セルの過熱による前記ヒューズの溶断時に、体積増大して前記電池セルおよび/または前記第1バスバー本体を、前記電池セルと前記第1バスバー本体とが互いに離れる方向に押圧し、前記電池セルと前記第1バスバー部との電気的接続を阻害する、電池モジュール。
【請求項3】
複数の電池セルと、
各前記電池セルの一方の端子部を電気的に接続する第1バスバー部と、
各前記電池セルの他方の端子部を電気的に接続する第2バスバー部と、
膨張要素と、を有し、
前記第1バスバー部は、複数のヒューズと、前記ヒューズを介して前記電池セルの前記一方の端子部を接続する第1バスバー本体と、を有し、
前記膨張要素は、前記電池セルの過熱による前記ヒューズの溶断時に、体積増大して前記電池セルと前記第1バスバー部との電気的接続を阻害し、
さらに、
前記電池セルおよび/または前記第1バスバー本体を、前記電池セルと前記第1バスバー本体とが互いに離れる方向に付勢する、付勢要素を備える、電池モジュール。
【請求項4】
前記膨張要素は、前記電池セルの過熱による前記ヒューズの溶断時に、体積増大して前記電池セルおよび/または前記第1バスバー本体を、前記電池セルと前記第1バスバー本体とが互いに離れる方向に押圧する、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記膨張要素は、
前記電池セルの過熱による前記ヒューズの溶断時に、体積増大して、溶断された前記ヒューズの間に膨出する、請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項6】
さらに、
前記電池セルおよび/または前記第1バスバー本体を、前記電池セルと前記第1バスバー本体とが互いに離れる方向に付勢する、付勢要素を備える、請求項2又は請求項4に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記膨張要素は、過熱により発泡して体積増大する発泡樹脂前駆体である、請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記膨張要素は、
前記第1バスバー本体と前記電池セルとの間に介在するセパレータおよび/または前記第1バスバー本体に一体化されている、請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記第2バスバー部は、複数の第2ヒューズと、前記第2ヒューズを介して前記電池セルの前記他方の端子部を接続する第2バスバー本体と、を有し、
さらに、前記電池セルの過熱による前記ヒューズの溶断時に、体積増大して前記電池セルと前記第2バスバー部との電気的接続を阻害する、第2膨張要素を有する、請求項1〜請求項8の何れか一項に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の電池セルとバスバーとが接続された電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載される電池モジュールは、一般に、バスバーによって電気的に接続された複数の電池セルを有する。この種の電池モジュールにおいては、電池セルの端子部とバスバーとは溶着、ろう付け等の方法で固着されるのが一般的である。
【0003】
ところで、電池異常時において、電池セルとバスバーとの電気的接続を遮断する技術が紹介されている。例えば、特許文献1には、バスバーの一部をヒューズで構成し、電池セルとバスバーとをヒューズによって接続する技術が提案されている。この技術によると、電池異常時にヒューズが溶断するために、電池とバスバーとの電気的接続が遮断される。
【0004】
しかしながら、ヒューズが溶断した場合にも、電池セルの電池反応自体が停止する訳ではない。したがって、例えば溶断したヒューズ同士が車両走行時の振動などによって再度接触し、或いは、溶断したヒューズが端子部に接触して、電池セルとバスバーとが再度電気的に接続される可能性があった。
したがって、特許文献1に紹介されている技術によっても、電池異常時において電池セルとバスバーとを絶縁し得るとは言い難かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2008/121224号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、電池異常時においてバスバーと電池セルとを絶縁し得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の電池モジュールは、
複数の電池セルと、
各前記電池セルの一方の端子部を電気的に接続する第1バスバー部と、
各前記電池セルの他方の端子部を電気的に接続する第2バスバー部と、
膨張要素と、を有し、
前記第1バスバー部は、複数のヒューズと、前記ヒューズを介して前記電池セルの前記一方の端子部を接続する第1バスバー本体と、を有し、
前記膨張要素は、前記電池セルの過熱による前記ヒューズの溶断時に、体積増大して前記電池セルと前記第1バスバー部との電気的接続を阻害する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電池モジュールによると、電池異常時においてバスバーと電池セルとを絶縁し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の電池モジュールを模式的に表す斜視図である。
図2】実施例1の電池モジュールを模式的に表す分解斜視図である。
図3】通常状態の実施例1の電池モジュールを図1中X−X位置で切断した様子を模式的に表す断面図であり、楕円内は該当する部分を拡大した様子を表す要部拡大図である。
図4】電池セルの過熱によりヒューズが溶断した際の実施例1の電池モジュールを模式的に表す説明図である。
図5】実施例2の電池モジュールの要部を模式的に表す分解斜視図である。
図6】通常状態の実施例2の電池モジュールを図1中X−X位置と同位置で切断した様子を模式的に表す要部拡大断面図である。
図7】電池セルの過熱によりヒューズが溶断した際の実施例2の電池モジュールを模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、具体例を挙げて本発明の電池モジュールを説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x〜y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施形態中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに数値範囲内から任意に選択した数値を上限、下限の数値とすることができる。
【0011】
(実施例1)
図1は実施例1の電池モジュールを模式的に表す斜視図である。図2は、図1に示す実施例1の電池モジュールの分解斜視図である。図3は実施例1の電池モジュールを図1中X−X位置で切断した様子を模式的に表す断面図である。図3中の楕円内には、該当する部分を拡大した様子を表す。図4は、電池セルの過熱によりヒューズが溶断した際の実施例1の電池モジュールを模式的に表す説明図である。以下、実施例において、上、下、左、右、前、後とは図1に示す上、下、左、右、前、後を指す。実施例において、電池セルの軸方向Yとは図1に示す上下方向を指す。なお、電池セル以外の部材における軸方向Yとは、図1に示す組み付け状態において軸方向Yに一致する方向を指す。
【0012】
実施例1の電池モジュールは、図1および図2に示すように、電池セル1、上側バスバー部2、下側バスバー部3、上側セパレータ4、下側セパレータ5、ホルダ6、上側膨張要素80、および、下側膨張要素85で構成されている。
【0013】
図2に示すように、実施例1の電池モジュールは16個の電池セル1を持つ。各電池セル1は、略同形の円筒形セルであり、軸方向Yの両端にそれぞれ端子部7(正極端子部7a、負極端子部7b)を持つ。ホルダ6は略板状をなし、16個の電池保持部60を持つ。各電池保持部60は貫通孔状をなし、各電池保持部60の内径は各電池セル1の外径よりもやや大きい。各電池保持部60にはそれぞれ対応する電池セル1が挿入される。実施例1の電池モジュールにおいて、各電池セル1は、4本一組として上側バスバー部2および下側バスバー部3によって接続される。具体的には、上側バスバー部2は電池セル1の一方の端子部7に接続され、下側バスバー部3は同じ電池セル1の他方の端子部7に接続される。
【0014】
より具体的には、各上側バスバー部2は上側バスバー本体20と上側ヒューズ21とで構成されている。上側バスバー本体20および上側ヒューズ21は導電性材料からなり一体化されている。上側バスバー本体20および後述する下側バスバー本体30に用いられる導電性材料は、導電性を有するものであれば良く、特に限定しないが、例えば、金属、合金等の金属系材料を例示し得る。上側ヒューズ21および後述する下側ヒューズ31に関しては、電池セル1に所定以上の電流が流れた時にジュール熱によって溶断する導電性材料であれば良く、例えば、SnSb、BiSn、SnAg、ZnAlおよびInSn等のヒューズの材料として一般的な合金や、Zn、CuおよびAg等のヒューズの材料として一般的な金属を例示し得る。上側ヒューズ21および下側ヒューズ31の形状は特に問わず、ヒューズを溶断し電気回路を開くべき電流の大きさに応じて適宜設計すれば良い。
【0015】
実施例1の電池モジュールにおいて、上側バスバー本体20は、略板状をなし、略円形の開口断面を有する貫通穴状の上側接続開口22を有する。上側ヒューズ21は、ワイヤ状をなし、上側接続開口22の周縁部22aに溶着されて上側バスバー本体20に一体化されるとともに、上側接続開口22の内部に向けて片持ち梁状に延出する。実施例においては、上側バスバー本体20および上側ヒューズ21は何れも銅合金製であった。
【0016】
各上側接続開口22は、ホルダ6の電池保持部60に対向する位置に設けられている。したがって、ホルダ6の電池保持部60に収容保持された各電池セル1における一方の端子部7は、各々対応する上側接続開口22に露出する。また、各上側接続開口22の内部に向けて延出する各上側ヒューズ21は、各々対応する端子部7に対面する。図3に示すように、各々対応する上側ヒューズ21と端子部7とは、溶接されて電気的に接続される。
【0017】
図3に示すように、上側バスバー本体20と電池セル1との間には、上側セパレータ4が介在している。上側セパレータ4は、各上側バスバー本体20と電池セル1との電気的接続を部分的に遮断したり、上側バスバー本体20とホルダ6との電気的接続を遮断することで、短絡を防ぐための部材である。上側セパレータ4は絶縁材で構成すれば良く、実施例1では硬質の絶縁樹脂製である。
【0018】
上側セパレータ4は略平板状をなし、一方の面(セル側面4aと呼ぶ)を電池セル1に向け、他方の面(バスバー側面4bと呼ぶ)を上側バスバー部2に向けている。上側セパレータ4には、各上側接続開口22に対面する位置に、貫通孔状の上側連通開口42が設けられている。上側連通開口42は、上側接続開口22と同様に、略円形の開口断面を有する。上側連通開口42の孔径は、電池セル1の外径よりもやや小さい。したがって、上側連通開口42の開口周縁部42aは、電池セル1の軸方向の先側つまり電池セル1の上側において、電池セル1の外周側部分、つまり、電池セル1における端子部7bの周縁部1bを電池セル1の周方向の全周にわたって覆っている。
なお、上側接続開口22の孔径もまた電池セル1の直径よりもやや小さい。したがって、上側バスバー本体20における上側接続開口22の開口周縁部22aもまた、電池セル1の軸方向の先側つまり電池セル1の上側において、電池セル1における端子部7bの周縁部1bを周方向の全周にわたって覆っている。
【0019】
図1図3に示すように、通常時の電池モジュールでは、上側セパレータ4における上側連通開口42の開口周縁部42aは、略リング状をなす上側膨張要素80で覆われている。上側膨張要素80は、発泡樹脂前駆体の1種である、熱分解型ポリプロピレン発泡前駆体で構成されている。上側膨張要素80は、インサート成形法によって上側セパレータ4と一体に成形されている。上側膨張要素80を構成する熱分解型ポリプロピレン発泡前駆体は、具体的には、ポリプロピレンのマトリックス中に化学発泡剤が分散されてなる。化学発泡剤としては、分解温度210℃程度のアゾジカーボンアミドを用いた。上側膨張要素80は、開口周縁部42aのセル側面4aおよびバスバー側面4bの両方を覆い、電池セル1における端子部7bの周縁部1bおよび上側バスバー部2の上側バスバー本体20に当接している。
【0020】
既述したように、上側ヒューズ21の一端部は上側接続開口22の開口周縁部22aに溶着されている。上側ヒューズ21の他端部は、上側接続開口22の内部に向けて片持ち梁状に延出し、電池セル1における端子部7bに溶着されている。したがって図3に示すように、通常時の電池モジュールにおいて、端子部7bは上側膨張要素80に囲まれている。
【0021】
図1図3に示すように、各下側バスバー部3は、各上側バスバー部2と同様に構成された下側バスバー本体30および下側ヒューズ31を有する。下側ヒューズ31は下側バスバー本体30と電池セル1の端子部7aとに溶接されている。
下側バスバー本体30と電池セル1との間に介在している下側セパレータ5は、上方に開口し内部に電池セル1を収容可能な略箱状をなす。下側セパレータ5の底部50bには、上側セパレータ4における上側連通開口42と同様に、貫通孔状の下側連通開口52が設けられている。下側連通開口52は下側バスバー本体30に設けられた貫通孔状の下側接続開口32に対面する。
下側連通開口52の開口周縁部52aは、上側膨張要素80と同様の下側膨張要素85で覆われている。下側膨張要素85は、上側膨張要素80と同様に、電池セル1における端子部7aの周縁部1aおよび下側バスバー部3の下側バスバー本体30に当接している。
【0022】
ところで、電池セル1の電池異常により、電池セル1を含む電気回路に規格値を超える電流が流れると、当該電気回路の一部を構成する上側ヒューズ21および下側ヒューズ31が溶断する。このとき、異常が発生した電池セル1は過熱し、電池セル1の近傍にある上側膨張要素80および下側膨張要素85が電池セル1によって加熱される。
【0023】
上側膨張要素80および下側膨張要素85は、発泡樹脂前駆体の1種である熱分解型ポリプロピレン発泡前駆体で構成されている。熱分解型ポリプロピレン発泡前駆体のマトリクスを構成するポリプロピレンは熱可塑性樹脂であり、その融点または軟化点は165℃程度である。上側ヒューズ21および下側ヒューズ31が溶断する程の電池異常時であれば、電池セル1の過熱によってポリプロピレンは溶融または軟化する。一方、熱分解型ポリプロピレン発泡前駆体に含まれる化学発泡剤は、所定温度以上に加熱されると分解しガスを発生する。この分解ガスは、溶融または軟化したポリプロピレンのマトリックス中で発生するため、所定の温度以上に加熱された熱分解型ポリプロピレン発泡前駆体は発泡する。つまり、発泡樹脂前駆体は、加熱されることにより発泡樹脂となる。このような発泡樹脂の体積は、発泡樹脂前駆体の体積に比べて、化学発泡剤に由来する分解ガスの体積増加分だけ増大する。したがって、上側膨張要素80および下側膨張要素85は、過熱した電池セル1により加熱されて体積増大する。
【0024】
このとき、上側膨張要素80および下側膨張要素85の体積増大と前後して、上記したように上側ヒューズ21および下側ヒューズ31が溶断する。このため、図4に示すように、体積増大した上側膨張要素80は上側ヒューズ21の溶断部21xに入り込む。また、図示しないが、体積増大した下側膨張要素85は下側ヒューズ31の溶断部に入り込む。
【0025】
換言すると、溶断した上側ヒューズ21は二つの上側ヒューズ溶断体21a、21bに分かれ、溶断した下側ヒューズ31もまた、図略の二つの下側ヒューズ溶断体に分かれる。体積増大した上側膨張要素80は二つの上側ヒューズ溶断体21a、21bの少なくとも一方を覆うか、或いは二つの上側ヒューズ溶断体21a、21bの間に入り込み、両者の電気的接続を阻害する。同様に、体積増大した下側膨張要素85は二つの下側ヒューズ溶断体の少なくとも一方を覆うか、或いは二つの下側ヒューズ溶断体の間に入り込み、両者の電気的接続を阻害する。このため、例えば車両走行時等においても、例えば溶断した上側ヒューズ21が再度電気的に接続されたり、或いは溶断した上側ヒューズ21と電池セル1の端子部7bとが電気的に接続されたりする頻度が低減し、上側バスバー部2と電池セル1との電気的接続が阻害される。同様に、下側バスバー部3と電池セル1との電気的接続が阻害される。
【0026】
さらに、上側膨張要素80の発泡圧により、電池セル1と上側バスバー本体20とは互いに離れる方向に押圧される。また、下側膨張要素85の発泡圧により、電池セル1と下側バスバー本体30とは互いに離れる方向に押圧される。このことによっても、上側バスバー部2と電池セル1との電気的接続がさらに阻害され、下側バスバー部3と電池セル1との電気的接続もまたさらに阻害される。
【0027】
実施例1の電池モジュールにおいては、上側バスバー部2が上側バスバー本体20と上側ヒューズ21とで構成されるとともに、上側ヒューズ21の溶断時には体積増大した上側膨張要素80が電池セル1と上側バスバー本体20との間に介在した。また、下側バスバー部3が下側バスバー本体30と下側ヒューズ31とで構成されるとともに、下側ヒューズ31の溶断時には体積増大した下側膨張要素85が電池セル1と下側バスバー本体30との間に介在した。したがって、実施例1の電池モジュールは、第1バスバー部および膨張要素からなる第1絶縁機構と、第2バスバー部および第2膨張要素からなる第2絶縁機構と、との二組の絶縁機構を有するといえる。このため、実施例1の電池モジュールは、電池異常時において頻度高く電気回路を遮断できる。なお、本発明の電池モジュールは、上記した第1絶縁機構と第2絶縁機構との一方を有するだけであっても良い。
【0028】
また、本発明の電池モジュールは、複数の電池セルを有するものであり、本発明の電池モジュールにおける全ての電池セルは実施例1のようにヒューズを介して第1バスバー本体に接続されるのが好ましい。しかし、場合によっては。一部の電池セルのみがヒューズを介して第1バスバー本体に接続され、他の一部の電池セルはヒューズ機能を持たない導電材を介して第1バスバー本体に接続されても良い。そして、この場合には、ヒューズの近傍にのみ膨張要素を配置しても良い。複数の電池セルが直列で接続されていれば、この場合にも電池異常時に電気回路は開き、かつ、ヒューズ近傍において膨張要素が電池セルと第1バスバー部との再度の電気的接続を阻害する。このため、この場合にも、実施例1と同様に、電池異常時にバスバーと電池セルとの電気接続を阻害し得る電池モジュールを得ることができる。
【0029】
ところで、本発明の電池モジュールにおいて、電池セルの過熱によるヒューズの溶断時に、膨張要素が信頼性高く体積増大し、かつ信頼性高く電池セルと第1バスバー本体との間に介在するためには、膨張要素は、通常状態においても、電池セルと第1バスバー本体との隙間に近い位置、より具体的にはヒューズの近傍に配置されるのが良い。したがって、膨張要素は、好ましくは、実施例1のように、上側セパレータ4における上側連通開口42の開口周縁部42aおよび/または下側セパレータ5における下側連通開口52の開口周縁部52aに固着或いは一体成形されるのが良い。或いは、後述する実施例2のように、下側バスバー本体30における下側接続開口32の開口周縁部32a、または、上側バスバー本体20における上側接続開口22の開口周縁部22aに固着或いは一体成形されるのが良い。
【0030】
実施例1の電池モジュールにおいては、膨張要素を発泡樹脂前駆体の1種である熱分解型ポリプロピレン発泡前駆体で構成したが、膨張要素は電池セル1の過熱時に体積増大すれば良く、これに限定されない。
【0031】
(実施例2)
実施例2の電池モジュールは、ヒューズを有する第1バスバー部および膨張要素からなる絶縁機構を一組だけ有し、膨張要素はスペーサではなく第1バスバー本体に一体化され、電池セル1と第1バスバー部との間に付勢要素が介在していること以外は、実施例1の電池モジュールと概略同じである。図5は、実施例2の電池モジュールを模式的に表す分解斜視図である。図6は、実施例2の電池モジュールを図1におけるX−X位置と同位置で切断した様子を模式的に表す要部拡大断面図である。図7は、電池セル1の過熱によりヒューズが溶断した際の実施例2の電池モジュールを模式的に表す説明図である。
【0032】
以下、実施例2の電池モジュールにおける実施例1の電池モジュールとの相違点を中心に説明する。
図5に示すように、実施例2の電池モジュールにおける電池セル1およびホルダ6は、実施例1と概略同じである。上側セパレータ4は、膨張要素が一体成形されていないこと以外は実施例1の電池モジュールと概略同じである。
上側バスバー部2は、上側バスバー本体20とタブ25とで構成されている。上側バスバー本体20は実施例1の電池モジュールにおける上側バスバー本体20と概略同じであり、タブ25は上側バスバー本体20と同材で構成されている。タブ25は、略短冊状をなし、ヒューズが溶断する際にも溶断しない。タブ25は上側バスバー本体20に溶着されている。
【0033】
下側セパレータ5は、実施例1における下側セパレータ5と同様に、箱状をなす。実施例2の電池モジュールにおいては、下側セパレータ5における下側連通開口52の開口周縁部52aには、上方つまり電池セル1に向けて突出する略筒状の立壁52wが設けられている。この立壁52wには、コイルスプリングからなる付勢要素9が外装されている。
【0034】
下側バスバー部3における下側接続開口32の開口周縁部32aには、略リング状の下側膨張要素85が一体成形されている。下側膨張要素85は、図6および図7に示すように、筒状をなし下側セパレータ5の下側連通開口52の内部に挿入される絶縁本体部85mと、鍔状をなし下側バスバー部3の下側面に対面する第1フランジ部85fと、鍔状をなし下側バスバー部3と下側セパレータ5との間に介在する第2フランジ部85sと、で構成されている。下側バスバー部3には、下側ヒューズ31が溶接されている。下側ヒューズ31は、電池セル1における下側の端子部7に溶接されている。したがって、実施例2の電池モジュールにおける下側バスバー部3は、本発明の電池モジュールにおける第1バスバー部に相当する。
【0035】
図6に示す通常状態においては、下側ヒューズ31を介して下側バスバー本体30と電池セル1とが固着されている。このとき、下側セパレータ5の立壁52wに装着されている付勢要素9は、電池セル1と下側セパレータ5との間で圧縮されて、付勢力を蓄積している。しかし、下側ヒューズ31による下側バスバー本体30と電池セル1との固着力は、この付勢要素9の付勢力を上回っているため、このときには付勢要素9の付勢力は開放されず、付勢要素9は圧縮状態のままである。なお、付勢要素9は絶縁材でコートされているとともに、電池セル1において付勢要素9に当接する部分つまり端子部7の周縁部もまた絶縁材でコートされている。したがって、電池セル1と付勢要素9とは電気的には接続されない。
【0036】
図7に示すように、実施例2の電池モジュールにおいては、電池セル1の電池異常時には下側ヒューズ31が溶断する。このとき、異常が発生した電池セル1は過熱し、電池セル1の近傍にある下側膨張要素85は電池セル1によって加熱される。下側膨張要素85は、実施例1の電池モジュールにおける下側膨張要素85と同じ発泡樹脂前駆体で構成され、下側ヒューズ31の溶断時には発泡して体積増大する。そして、下側膨張要素85は下側ヒューズ31が溶断してなる二つの下側ヒューズ溶断体31a、31bの少なくとも一方を覆うか、或いは下側ヒューズ溶断体31a、31bの間に入り込み、両者の電気的接続を阻害する。したがって、一旦下側ヒューズ31が溶断すると、電池セル1と下側バスバー本体30とは再度電気的に接続し難く、下側バスバー部3と電池セル1との電気的接続は阻害される。
【0037】
さらに、このとき下側ヒューズ31が溶断することで、付勢要素9への規制が解かれ、付勢要素9が伸長して付勢力を放出する。付勢要素9は電池セル1と下側セパレータ5との間に介在しているため、このとき電池セル1と下側セパレータ5とは離間する。また、下側セパレータ5を挟んで電池セル1の反対側に位置している下側バスバー本体30もまた、このとき付勢要素9の付勢力によって、電池セル1から離間する。このため、下側バスバー部3と電池セル1との電気的接続はさらに阻害される。
【0038】
実施例2の電池モジュールでは、圧縮して付勢力を蓄積する付勢要素9を用いたが、これに代えて伸長して付勢力を蓄積する付勢要素9を用いても良い。例えば、付勢要素9の一端は上側バスバー本体20、上側セパレータ4、および/またはホルダ6に固定し、付勢要素9の他端は電池セル1および/または下側セパレータに固定して、通常状態において付勢要素9が伸長状態で付勢力を蓄積すれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の電池モジュールの用途は特に限定されず、様々な装置や備品等に配設できる。具体例としては、車両用に搭載する組電池を挙げることができる。
【0040】
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。また、実施形態に示した各構成要素は、それぞれ任意に抽出し組み合わせて実施できる。
【0041】
本発明の電池モジュールは以下のとおりである。
(1)複数の電池セル1と、
各前記電池セル1の一方の端子部7aを電気的に接続する第1バスバー部2と、
各前記電池セル1の他方の端子部7bを電気的に接続する第2バスバー部3と、
膨張要素80と、を有し、
前記第1バスバー部2は、複数のヒューズ21と、前記ヒューズ21を介して前記電池セル1の前記一方の端子部7aを接続する第1バスバー本体20と、を有し、
前記膨張要素80は、前記電池セル1の過熱による前記ヒューズ21の溶断時に、体積増大して前記電池セル1と前記第1バスバー本体20との間に介在する、電池モジュール。
(2)前記膨張要素80は、前記電池セル1の過熱による前記ヒューズ21の溶断時に、体積増大して前記電池セル1および/または前記第1バスバー本体20を、前記電池セル1と前記第1バスバー本体20とが互いに離れる方向に押圧する、(1)に記載の電池モジュール。
(3)前記膨張要素80は、過熱により発泡して体積増大する発泡樹脂前駆体である、(1)または(2)に記載の電池モジュール。
(4)前記膨張要素80は、
前記第1バスバー本体20と前記電池セル1との間に介在するセパレータ4および/または前記第1バスバー本体20に一体化され、
前記電池セル1の過熱による前記ヒューズ21の溶断時に、体積増大して、溶断された前記ヒューズ21の間に膨出する、(1)〜(3)の何れか一項に記載の電池モジュール。
(5)さらに、
前記電池セル1および/または前記第1バスバー本体30を、前記電池セル1と前記第1バスバー本体30とが互いに離れる方向に付勢する、付勢要素9を備える、(1)〜(4)の何れか一項に記載の電池モジュール。
(6)前記第2バスバー部3は、複数の第2ヒューズ31と、前記第2ヒューズ31を介して前記電池セル1の前記他方の端子部7bを接続する第2バスバー本体30と、を有し、
さらに、前記電池セル1の過熱による前記第2ヒューズ31の溶断時に、体積増大して前記電池セルと前記第2バスバー部3との電気的接続を阻害する、第2膨張要素85を有する、請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の電池モジュール。

【符号の説明】
【0042】
1:電池セル 2:第1バスバー部(上側バスバー部)
3:第2バスバー部(下側バスバー部) 4、5:セパレータ
9:付勢要素 7、7a、7b:端子部
20:第1バスバー本体 21:ヒューズ(第1ヒューズ)
30:第2バスバー本体 31:第2ヒューズ
80:膨張要素 85:第2膨張要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7