(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ホイールカバーは、前記蛍光体ホイールの蛍光体領域が形成されない面側に、前記蛍光体ホイールと略平行に配置される良熱伝導性材料により形成された補助放熱板を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載した蛍光発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施例]
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳説する。
図1は、画像投影装置であるプロジェクタ100の外観斜視図である。なお、本実施形態において、プロジェクタ100における左右とは投影方向に対しての左右方向を示し、前後とはプロジェクタ100の投影方向の前後方向を示すものであり、
図1における右下方向を前方とする。
【0016】
また、後述する蛍光発光装置の細部の説明に際しては、蛍光体ホイールの蛍光体領域が形成されて蛍光体ホイールに励起光が入射される面の方向を前方として説明する。
【0017】
この画像投影装置は、
図1及び
図2に示すように、略直方体形状をしたプロジェクタ100であって、下ケース140における底板141の上面に固定する各種機器や回路基板を上ケース110が覆うようにしている。尚、
図2は、当該プロジェクタ100の背面を斜め上方から見た図であり、コネクタカバー150を外した状態を示すものである。
【0018】
そして、
図1に示したプロジェクタ100における筐体とする上ケース110の正面板113には、正面側吸気孔161を、右側板119には、右側板119の前方、中央、後方の部分に夫々前部排気孔181、中央排気孔183、後部排気孔185の各排気孔が形成される。
【0019】
尚、下ケース140には、高さ調整を可能とするネジ部を備えた脚145が底板141の3カ所に取り付けられている。
【0020】
そして、この上ケース110の上面板111にはキー/インジケータ部223が設けられている。このキー/インジケータ部223には、電源スイッチキー、投影のオン、オフを切りかえる投影スイッチキーや、電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、光源ユニットや表示素子又は制御回路等が過熱したときに報知をする過熱インジケータ等のキーやインジケータが配置されている。
【0021】
更に、この上ケース110の上面板111には前傾斜部122と後傾斜部123によるV字形状の切込み溝121が左右方向に延びるように形成されている。この後傾斜部123には、投影口125が形成され、投影口125から斜め前方に画像光を出射可能としている。
【0022】
尚、切込み溝121は、上ケース110の上面板111からコネクタカバー150の上面部151に亙って形成されている。
【0023】
また、プロジェクタ筐体は、この上ケース110と下ケース140とによる筐体本体と、この筐体本体に着脱可能とされて筐体本体の左側板を覆うコネクタカバー150とで形成される。
【0024】
そして、コネクタカバー150は、上ケース110の左側板117を覆うように、上面部151及び上面部151の周縁から下方に延設される側面部153を有し、下面部及び右側面に開口部を形成して、上ケース110の左側板の入出力コネクタ部に接続する各種コネクタのコードを引き出し可能とするものである。
【0025】
また、
図2に示したように、コネクタカバー150の内側に位置する上ケース110の左側板117には、入出力コネクタ部211を有し、SB(シリアルバス)端子やアナログRGB映像信号が入力される映像信号入力用のD−SUB端子、S端子、RCA端子、音声出力端子、及び、電源アダプタやプラグ等の各種端子(群)がコネクタボード245に設けられ、左側板117の前方部分には側面前部吸気孔163が、左側板117の後方部分には側面後部吸気孔165が設けられている。
【0026】
更に、上ケース110の背面板115にも背面側吸気孔167が設けられており、背面側吸気孔167の内、右端近傍部分は、スピーカの放音用の孔を兼ねる。
【0027】
次に、プロジェクタ100のプロジェクタ制御手段について
図3の機能ブロック図を用いて述べる。
【0028】
プロジェクタ制御手段は、制御部231、入出力インターフェース212、画像変換部213、表示エンコーダ214、表示駆動部216等から構成される。
【0029】
このプロジェクタ制御手段により、入出力コネクタ部211から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース212、システムバス(SB)を介して画像変換部213で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ214に出力される。
【0030】
そして、制御部231は、プロジェクタ内の各回路の動作制御を司るものであって、演算装置としてのCPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成されている。
【0031】
また、表示エンコーダ214は、入力された画像信号をビデオRAM215に展開記憶させた上で、このビデオRAM215の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部216に出力する。
【0032】
表示駆動部216は、表示素子制御手段として機能するものであり、表示エンコーダ214から出力された画像信号に対応して適宜フレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子420を駆動するものである。
【0033】
このプロジェクタ100は、後に詳述するように、励起光照射装置310、蛍光発光装置331、赤色光源装置350、導光光学系370を有する主光源部330と、ライトトンネル383等を有する光源側光学装置380とを含む光源ユニット250を備える。
【0034】
そして、このプロジェクタ100は、光源ユニット250の主光源部330から出射された光線束を光源ユニット250の光源側光学装置380を介して表示素子420に照射することにより、表示素子420の反射光で光像を形成し、後述する投影光学系を介して壁面などに画像を投影表示する。
【0035】
なお、この投影光学系の可動レンズ群416は、レンズモータ239によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動が行われるものである。
【0036】
また、画像圧縮伸長部221は、再生時にメモリカード222に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長し、この画像データを、画像変換部213を介して表示エンコーダ214に出力し、メモリカード222に記憶された画像データに基づいて動画等の表示を可能とする処理を行なう。
【0037】
そして、筐体の上ケース110に設けられるキー/インジケータ部223からの操作信号は、直接に制御部231に送出される。また、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部225で受信され、Ir処理部226で復調されたコード信号が制御部231に出力される。
【0038】
なお、制御部231にはシステムバス(SB)を介して音声処理部235が接続されている。この音声処理部235は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ236を駆動して拡声放音させる。
【0039】
また、制御部231は、光源制御手段としての光源制御回路232を制御している。この光源制御回路232は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光源光が光源ユニット250の主光源部330から出射されるように、光源ユニット250の励起光照射装置(励起光源)310及び赤色光源装置350の発光を個別に制御すると共に、ホイール制御部234を介して蛍光発光装置331の蛍光体ホイール333の回転を制御する。
【0040】
さらに、制御部231は、冷却ファン駆動制御回路233に光源ユニット250等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファンの回転速度を制御させる。
【0041】
また、制御部231は、冷却ファン駆動制御回路233にタイマー等によりプロジェクタ本体の電源オフ後も冷却ファンの回転を持続させる、あるいは、温度センサによる温度検出の結果によってはプロジェクタ本体の電源をオフにする等の制御も行う。
【0042】
次に、このプロジェクタ100の内部構造について述べる。
図4は、光学系を中心とする内部構造模式図であり、
図5は、プロジェクタ100の各部材相互の配置を示す斜視図である。尚、
図4の上方が
図5の左斜め下方向となり、
図4の左側が
図5の右下方向となるようにして図示している。
【0043】
この画像投影装置であるプロジェクタ100は、
図5に示す底板141の右前方隅角部(
図5の下隅角)に設けられるヒートシンクカバー430の内部には、
図4(
図4の左上隅)に示すように、励起光源を冷却する放熱フィンとする励起光源用ヒートシンク325や、赤色光源を冷却する放熱フィンとする赤色光源用ヒートシンク365、第1冷却ファン327、第2冷却ファン367を備える。
【0044】
そして、励起光源用ヒートシンク325の後方である底板141の右端中央部(
図5の左下辺中央、
図4の上方中央)には、光源ユニット250に収納される励起光照射装置310が配置され、
図5に示したように、励起光照射装置310を覆うユニットカバー261の励起光源天板部263が、ヒートシンクカバー430のカバー上部板431よりも低く配置されている。
【0045】
更に、励起光照射装置310の後方(
図5の左隅角)には軸流型送風機である制御部冷却ファン445が配置されている。
【0046】
また、底板141の略中央には、ホイールカバー345を上方に突出させた主光源部330の蛍光発光装置331が配置され、ホイールカバー345の右側には、シロッコファンであるブロア型送風機391が配置されている。
【0047】
そして、
図5に示したこのブロア型送風機391は、励起光照射装置310とホイールカバー345との中間位置上方であるユニットカバー261の上方直近に配置されるように上ケース110における上面板111の内側に取り付けられ、排気口395を励起光照射装置310の上方である右方向とし、前後方向に延びる排気口仕切板135を備える。
【0048】
更に、ヒートシンクカバー430の左側である底板141の前方側(
図4の左方、
図5の右下方)の中央には、後述する光源側光学装置380が配置され、この光源側光学装置380を覆うユニットカバー261における光学装置天板部267が、ヒートシンクカバー430のカバー上部板431よりも低く配置されている。
【0049】
そして、光源ユニット250の光源側光学装置380や主光源部330の左側には、投影光学系ユニット410が配置されている。
【0050】
この投影光学系ユニット410は、前方にDMDと呼ばれるデジタルマイクロミラーデバイスを表示素子420として備える。そして、表示素子420の後方に配置されるレンズ鏡筒415には固定レンズ群及び可動レンズ群416による投影光学系のレンズ群が内蔵され、レンズ鏡筒415の後方には非球面ミラー(背面投射用ミラー)を収納する投影ユニットケース411のケース後方部414が配置され近接投影光学系を構成している。
【0051】
そして、表示素子420の背面側である投影光学系ユニット410の前端に表示素子420用の放熱フィン423を有し、非球面ミラーで反射された画像光はカバーガラス419を介して上ケース110の投影口125から斜め前方に出射される。
【0052】
そして、ヒートシンクカバー430は、励起光源用ヒートシンク325や赤色光源用ヒートシンク365及び第1冷却ファン327や第2冷却ファン367を覆う板状のカバー上部板431を有し、カバー上部板431の前端右側から下方に垂下するカバー前壁部432を有し、カバー前壁部432の左側は開口されフィルタ435を備える。
【0053】
更に、このヒートシンクカバー430は、カバー上部板431の後方にはカバー後壁部433を有し、このカバー後壁部433はカバー上部板431の後端全体から垂下させて隔壁とするように設けられている。
【0054】
また、カバー上部板431の左側は、下部隔壁437が設けられ、それにより、ヒートシンクカバー430の左側を閉じている。
【0055】
尚、下部隔壁437は、コ字形状とされ、光源側光学装置380の上方の空間を囲い、光源側光学装置380の上方の空間と、カバー上部板431の下方である赤色光源用ヒートシンク365及び第2冷却ファン367等を収納する空間と、を連通させる通気孔を備える。
【0056】
そして、
図4に示したように、略中央に配置された励起光照射装置310及び主光源部330の後方(
図4における右側)には、板状の区画板447が左右(
図4の上下方向)に延びるように設けられている。
【0057】
この区画板447の後方において、制御部冷却ファン445の左にスピーカ236が配置され、区画板447の後方面や下ケース140の底板141の上面に、CPUやメモリを搭載する主制御回路基板441や電源制御回路基板443の他、各種基板が配置される。
【0058】
また、この画像投影装置であるプロジェクタ100の光学系は、光源ユニット250のユニット底板253における励起光源底板部255の上に励起光照射装置310が配置され、この励起光照射装置310は、励起光源やコリメータレンズ313、集光レンズ315及び拡散板317を有する。
【0059】
そして、半導体発光素子である青色レーザ発光器が励起光源として素子ホルダー321に32個配置され、各青色レーザ発光器からのレーザ光は、コリメータレンズ313により略平行な光線束に変換され、集光レンズ315に入射し、集光レンズ315により集光された全てのレーザ光は、拡散板317に入射され、拡散板317によりレーザ光のコヒーレント性を低くされて蛍光発光装置331の蛍光体ホイール333などに入射される。
【0060】
この主光源部330は、蛍光発光装置331としてのホイールモータ341により回転する蛍光体ホイール333や、赤色光源装置350及び導光光学系370を含み、これらは、ユニット底板253における主光源底板部257の上に配置される。
【0061】
この蛍光体ホイール333は、拡散透過領域337と蛍光体領域335とを連続させるように環状とされて同一円周上に有する(
図6参照)。この拡散透過領域337は、銅やアルミニウム等から成る金属基材による回転板基材の切抜き透孔部に、硝子等の透光性を有する透明基材を嵌入するものである。この透明基材は、その表面にサンドブラスト等による微細凹凸が形成されており、光を透過拡散させる板状体である。
【0062】
また、蛍光体領域335は、銅やアルミニウム等から成る金属基材による回転板基材の表面に環状の溝を形成し、この溝の底部を銀蒸着等によってミラー加工し、このミラー加工した表面に緑色蛍光体層を敷設して蛍光体領域335を形成しているものである。
【0063】
そして、ホイールモータ341は主光源天板部265の上面に固定され、この蛍光体ホイール333の回転軸は集光レンズ315や拡散板317を透過した励起光の光軸の上方に位置し、励起光の光軸と回転軸とが平行になるように配置される。
【0064】
また、赤色光源装置350は、素子ホルダー361により、励起光照射装置310からの励起光の光軸と光軸が平行となるように配置された半導体発光素子である赤色発光ダイオードと、この赤色発光ダイオードからの出射光を集光する集光レンズ群353と、を備える単色発光装置である。
【0065】
そして、導光光学系370は、ダイクロイックミラーや集光レンズ等により構成される。即ち、導光光学系370は、励起光照射装置310の拡散板317と蛍光体ホイール333との間に配置される第一ダイクロイックミラー371、第一ダイクロイックミラー371の前方であって赤色光源装置350の出射光光軸の位置に配置される第二ダイクロイックミラー373、蛍光体ホイール333の左側に配置される反射ミラー377、反射ミラー377の前方であって第二ダイクロイックミラー373の左側に配置される第三ダイクロイックミラー375と、各ダイクロイックミラーの間や反射ミラー377とダイクロイックミラーとの間に配置される各集光レンズ379と、で構成される。
【0066】
この第一ダイクロイックミラー371は、青色波長帯域光を透過させ、緑色波長帯域光を反射するものである。従って、励起光照射装置310からの励起光を透過させて蛍光体ホイール333に照射可能とし、蛍光体ホイール333からの蛍光光をプロジェクタ100の前方に反射する。
【0067】
第二ダイクロイックミラー373は、赤色波長帯域光を透過させ、緑色波長帯域光を反射する。従って、第一ダイクロイックミラー371で反射されて集光レンズ379を介した緑色波長帯域光をプロジェクタ100の左方向に反射し、この反射した緑色波長帯域光と光軸を合わせるようにして赤色光源装置350から出射された赤色波長帯域光を透過させる。
【0068】
また、反射ミラー377は、励起光照射装置310からの励起光であって、蛍光体ホイール333の拡散透過領域337を透過した青色波長帯域光をプロジェクタ100の前方に反射するものである。
【0069】
そして、第三ダイクロイックミラー375は、青色波長帯域光を透過させ、緑色波長帯域光及び赤色波長帯域光を反射する。従って、反射ミラー377からの青色波長帯域光を透過させ、第二ダイクロイックミラー373で透過及び反射した赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光を反射し、青色波長帯域光、緑色波長帯域光、赤色波長帯域光の光軸を一致させて前方の光源側光学装置380に出射させる。
【0070】
この光源側光学装置380は、光源光を均一化して投影光学系ユニット410の表示素子420に導くものであって、光源ユニット250のユニット底板253における光学装置底板部259の上に配置される集光レンズ381、385やライトトンネル383、光軸変更ミラー387により構成される。
【0071】
この光源側光学装置380は、主光源部330の第三ダイクロイックミラー375を介した光源光を、集光レンズ381により集光してライトトンネル383に入射させ、その光源光を均一化する。更に、均一化されてライトトンネル383から出射される光を集光レンズ385により集光して光軸変更ミラー387に照射させる。そして、光軸変更ミラー387で反射した光を、投影光学系ユニット410に入射させる。
【0072】
この光軸変更ミラー387は、ライトトンネル383から出射される光の光軸を左方向に90度変化させ、表示素子420や正面板113と平行として、斜め45度上方に反射する。
【0073】
このように、光軸変更ミラー387により進行方向を変更された光源光は、表示素子420の入射面と平行となるように進行し、表示素子420の前面直近に配置されるTIRプリズム389に入射して、表示素子420の画像形成面に照射される。このため、光軸変更ミラー387と表示素子420やTIRプリズム389の位置を近接させ、光源側光学装置380の前端と投影光学系ユニット410の前端とを略揃えることができる。
【0074】
そして、投影光学系ユニット410は、表示素子420の前面直近にTIRプリズム389を有し、光軸変更ミラー387からの光がTIRプリズム389に入射されると、この入射光を表示素子420に照射させる。そして、表示素子420により形成された画像光を、表示素子420よりもプロジェクタ100の後方に位置するレンズ鏡筒415内の固定レンズ群や可動レンズ群416を介して、プロジェクタ100の後方に位置する非球面ミラー417に照射させる。
【0075】
また、非球面ミラー417により反射された画像光は、投影ユニットケース411に取り付けられたカバーガラス419を介して投影光学系ユニット410から射出され、クッション材127を介してカバーガラス419の直近に配置される上ケース110の投影口125を透過してスクリーン等に投影される。
【0076】
この励起光源を備える励起光照射装置310や蛍光発光装置331、赤色光源を備える赤色光源装置350、及び、導光光学系370や光源側光学装置380を備える光源ユニット250は、ホイールカバー345を含む光源ユニットケース251に収納される。
【0077】
そして、TIRプリズム389及び表示素子420や投影光学系のレンズ群及び非球面ミラー417を備える投影光学系ユニット410も、投影ユニットケース411に収納される。
【0078】
この光源ユニットケース251は、耐熱樹脂製のユニット底板253と、マグネシウム合金などの良熱伝導性を有する軽金属合金製のユニットカバー261及びホイールカバー345とで構成される。
【0079】
そして、蛍光体ホイール333やホイールモータ341及びホイールカバー345で構成する蛍光発光装置331のホイールカバー345が、光源ユニット250の主光源天板部265に固定され、ホイールカバー345により、ユニットカバー261の主光源天板部265の上面に固定されるホイールモータ341及びホイール制御回路板343と蛍光体ホイール333の一部(上方半分余り)とを収納している。
【0080】
この蛍光体ホイール333は、その下方の一部を励起光照射装置310から出射された励起光である青色波長帯域光の光路と交差するように配置される。蛍光体ホイール333の多くの部分は、主光源部330の上方に位置されてホイールカバー345で覆われる。
【0081】
このホイールカバー345は、
図6に示すように、ホイールモータ341やホイール制御回路板343、蛍光体ホイール333の上方を覆う平板上のカバー天板451、カバー天板451の端部から下方に伸びて蛍光体ホイール333の蛍光体領域335が設けられる前方面の一部(半分余り)を覆うカバー前側板453、カバー天板451の他の端部からそれぞれ下方に伸びる2枚のカバー側方板457、2枚のカバー側方板457やカバー天板451と合わせてホイールモータ341等を覆うカバー後側板455を有するものである。
【0082】
そして、カバー天板451の対向する2つの端部に夫々接続されて相互に略平行とされたカバー前側板453とカバー後側板455との端部を相互に接続するように、カバー天板451の対向する端部に夫々接続された2枚のカバー側方板457を設け、カバー前側板453、カバー後側板455、及び2枚のカバー側方板457でカバー天板451の内面側に空間を形成してホイールモータ341やホイール制御回路板343、及び、蛍光体ホイール333の一部(半分余り)を収納可能としているものである。
【0083】
また、カバー後側板455やカバー側方板457の下端には、外方に延設される固定鍔部459を有し、主光源天板部265にこのホイールカバー345を取り付けることを可能としているものである。
【0084】
更に、このホイールカバー345は、
図7及び
図8に示すように、カバー前側板453の内側に複数枚の板状形状とされた整流放熱板461を有する。この整流放熱板461は、蛍光体ホイール333の周縁部において、蛍光体ホイール333の中心近傍から円周方向に向かって螺旋形を描くように配置されるものである。
【0085】
即ち、蛍光体ホイール333をホイールモータ341の回転軸に固定するために蛍光体ホイール333の中心に形成されたホイール固定部334を除くようにして、蛍光体ホイール333の中央部から蛍光体ホイール333の外周に向かって蛍光体ホイール333の中心を通る放射方向と斜めに交わらせて複数枚が配置される。
【0086】
そして、蛍光体ホイール333の回転方向Aに合わせ、整流放熱板461の内側端部をホイール固定部334の周縁直近前方位置とし、蛍光体ホイール333の回転方向Aに従って順次蛍光体ホイール333の外周に向かい、蛍光体ホイール333の外周円よりも外方に至る長さとしてカバー前側板453の内側面に設けられるものである。
【0087】
この、各整流放熱板461は、カバー前側板453の内側面から蛍光体ホイール333の蛍光体領域335が設けられた面の直近に至る幅の板状とされるもの(
図11参照)であって、蛍光体ホイール333が回転したとき、蛍光体ホイール333の回転に合わせて蛍光体ホイール333の表面付近の空気が回転すると、この回転する空気を蛍光体ホイール333の中心から外周方向に誘導するように蛍光体ホイール333の回転に合わせて移動させるものである。
【0088】
従って、ホイールカバー345内において、照射スポット339に順次位置して高温となる環状の蛍光体領域335を含む蛍光体ホイール333の前方側表面付近の空気を蛍光体ホイール333の中心部から周縁部に移動させるように循環させ、蛍光体ホイール333の放熱効果を高めることができる。
【0089】
また、複数の整流放熱板461は、その内側端部の位置を蛍光体ホイール333の回転中心から等距離の位置とするものであるが、各整流放熱板の内側端部位置は、蛍光体ホイール333の回転中心から等距離の位置に限るものでなく、中央部から外周方向への長さを短くした整流放熱板462を設けることもある。
【0090】
即ち、複数の整流放熱板461を、蛍光体ホイール333の中央部から外周に向かって蛍光体ホイール333の半径方向に放射状に伸びるように配した際、隣接する各整流放熱板461間の距離が、蛍光体ホイール333の中央部側より外周側の方が大きいため、各整流放熱板461間の外周側に、整流放熱板の内側端部位置が蛍光体ホイール333の回転中心から等距離の位置とした整流放熱板461の内側端部位置よりも蛍光体ホイール333の回転中心から離れた位置とした、長さの短い整流放熱板462を配置するものである。
【0091】
更に、
図9に示すように、中央部側から外周側にかけて長手方向である整流放熱板461の外周側はホイールカバー345に接続されていない構造でも良い。即ち、各整流放熱板461の一側面がカバー前側板453と接続され、各整流放熱板461の外側端部とカバー天板451やカバー側方板457であるホイールカバー345との間には間隙空間を設けるものである。従って、
図8の各整流放熱板461に対し、各整流放熱板461の外周側が切れているので、外周側を風が循環して流れ易くなり、従ってより放熱し易くすることができる。
【0092】
また、複数の整流放熱板461は、蛍光体ホイール333の中央部から外周に向かって、蛍光体ホイール333の半径方向に放射状に伸びる際、中央部側から外周側に向かって、厚さが徐々に厚くなるように配置されていても良い。このように整流放熱板461の厚さを蛍光体ホイール333の中央部から外周に向かって厚くすることで、熱を厚さの薄い中央部側から厚さの厚い外周側に向かって効率良く伝熱することができ、より放熱し易くすることができる。
【0093】
なお、複数の整流放熱板461は、蛍光体ホイール333の中心又は中心から近い位置である中央部から円周方向に向かって、蛍光体ホイール333の半径方向に放射状に伸びるように配置されることもある。
【0094】
そして、複数の整流放熱板461は、蛍光体ホイール333の中心の回転軸に対して平行として中央部から外周方向に延びる平板状とされる場合に限ることなく、回転軸に対して傾斜するねじれの配置として中央部から周縁方向に延びる板状体とすることもある。
【0095】
また、ホイールカバー345及び整流放熱板461は、アルミニウムや銅などの熱伝導性の良い金属(良熱伝導性金属)、またはポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂等の熱伝導性の高い良熱伝導性樹脂(高熱伝導樹脂)を用いて形成しており、蛍光体ホイール333及びその周辺の空気の熱を、ホイールカバー345を介してホイールカバー345の外部の空気に放熱することができる。
【0096】
このように、ホイールモータ341やホイール制御回路板343、蛍光体ホイール333の一部(半分余り)を覆うホイールカバー345を備え、このホイールカバー345の内面において、ホイールカバー345の内面から蛍光体ホイール333の蛍光体領域335が形成された面の直近まで伸びる複数枚の整流放熱板461を有する蛍光発光装置331は、蛍光体ホイール333の放熱効果を高め、蛍光体ホイール333の高温化を容易に防止することができる。
【0097】
従って、この蛍光発光装置331と励起光照射装置310とを組み合わせることにより、蛍光体ホイール333の温度上昇を防止し、蛍光光の発光効率を高く維持し、高輝度とした蛍光光の出射が可能な光源装置とすることができる。
【0098】
そして、上ケース110の上面板111内側に取り付けられるシロッコファン型のブロア型送風機391は、吸気口393を下面中央に有し、ホイールカバー345の右側であって主光源部330の上方に吊るされるようにして、上ケース110における上面板111の内側に固定される。
【0099】
また、光源ユニット250の上方に配置されるブロア型送風機391は、光源ユニット250のユニットカバー261近辺の空気を吸引して右側板119の中央排気孔183から励起光照射装置310の上面に沿って右側に噴出されるように空気を排出する。
【0100】
従って、このような構造により、レンズやダイクロイックミラー等、高輝度とされた光が照射され、この光を屈折透過又は反射させる等の光学処理を行う光学部材及び蛍光発光装置331が配置された主光源部330をブロア型送風機391により冷却しつつ、空気を、高発熱体である励起光照射装置310の光源直近を通過させてプロジェクタ100の外部に排出し、励起光照射装置310の一部を冷却することができる。
【0101】
また、励起光としてのレーザ光が照射される蛍光体ホイール333は、ホイールモータ341及び回転軸が光源ユニット250のユニットカバー261の上方に配置されホイール径を大きくすることにより、光照射による蛍光体の劣化や疲労を軽減すると共に熱の放散効果を高め、ホイールカバー345周辺の温められた空気をブロア型送風機391に吸気させてホイールカバー345ひいては蛍光発光装置331及び主光源部330を効果的に冷却することができる。
【0102】
また、正面側吸気孔161から吸気される外気として、ヒートシンクカバー430よりも下方の位置のフィルタ435を通る外気が、第1冷却ファン327によりヒートシンクカバー430の内部に吸引され、通気穴を介して赤色光源用ヒートシンク365に吹き付けられた外気と共に、励起光源用ヒートシンク325にも吹き付けられ、右側板119の前部排気孔181からプロジェクタ100の外部に排気されて励起光源や赤色光源を効果的に冷却する。
【0103】
そして、制御部冷却ファン445は、プロジェクタ筐体内の空気を吸引して右側板119の後部排気孔185から排出するものであるが、区画板447により光源ユニット250を収納する空間と光源ユニット250の後方の空間とが区切られているため、背面板115に設けられた背面側吸気孔167及び左側板117の側面後部吸気孔165からプロジェクタ100筐体内に吸い込まれた外気より、プロジェクタ筐体内の背面板115近傍に配置された回路基板等が冷却される。そして、制御部冷却ファン445は、その外気をプロジェクタ100の外部に排出する。
【0104】
このように本実施の形態では、励起光照射装置310、この励起光照射装置310からの青色波長帯域光の光路及びこの光路に配置されるレンズや拡散板317及びミラー類、蛍光発光装置331の蛍光体ホイール333から出射された緑色波長帯域光の光路及びこの光路に配置されるレンズやダイクロイックミラー、半導体発光素子を用いた赤色光源装置350及び赤色波長帯域光の光路とこの光路に配置されるレンズやダイクロイックミラー、により、三原色の光を同一光路として出射可能な光源装置、及び、この光源装置から出射される三原色光を表示素子420直近のTIRプリズム389に導く光源側光学装置380が、ユニットカバー261により覆われている。
【0105】
従って、このプロジェクタ100にあっては、筐体内で光源光の通路が密閉されているので、大気中のゴミ等の侵入を阻止し、各種光学部材の汚れを防止してその光学部材の時間経過による機能低下を防止しつつ、各熱源を効果的に冷却することができ、高輝度の三原色光の光源光を長期間出射可能な光源装置とし、明るく鮮明な画像の投影が可能なプロジェクタ100とすることができる。
【0106】
尚、光源光の通路が密閉されず、外部からプロジェクタ100内に吸気される冷却風等が光源光の通路となる空間に一部が侵入する場合などは、蛍光発光装置331として、前述の様に蛍光体ホイール333の一部(半分余り)をホイールカバー345により覆うのみでなく、蛍光体ホイール333の全体を覆うようにすることもある。この場合は、
図10に示すように、蛍光体ホイール333の前記一部とは異なる他の一部(略下半分)を覆うレンズ保自体470を追加するものである。
【0107】
このレンズ保持体470は、主光源天板部265の下面に配置されるものであって、ホイールカバー345とレンズ保持体470とにより、ホイールモータ341やホイール制御回路板343及び蛍光体ホイール333の全体を覆うように収納し、蛍光体ホイール333を密閉構造とした蛍光発光装置331とすることができるものである。
【0108】
このレンズ保持体470は、
図10及び
図11に示すように、集光レンズ379を蛍光体ホイール333の前後に配置するようにして、蛍光体ホイール333の略下半分を収納するものであり、蛍光体ホイール333の前方に配置した集光レンズ379により照射スポット339に励起光を集光して照射するものである。
ある。
【0109】
そして、このレンズ保持体470は、主光源天板部265の下面に固定されるものであって、枠形状のレンズ固定フレーム471を有し、このレンズ固定フレーム471の略中央に挿入する集光レンズ379をレンズ固定フレーム471に固定するためのレンズ押え板479を備え、レンズ固定フレーム471の両側方上方部分には蛍光体ホイール333の周縁部分を覆うホイールカバー部473を左右に突出させ、レンズ固定フレーム471に固定した集光レンズ379と合わせて主光源天板部265から主光源部330に突出する蛍光体ホイール333の約下半分の部分を収納するものである。
【0110】
また、このレンズ保持体470は、レンズ固定フレーム471の上端から側方に突出するモータ固定部475を有し、ホイールモータ341を固定してレンズ保持体470とホイールモータ341とを一体として主光源天板部265にホイールモータ341と共に固定するものである。
【0111】
尚、モータ固定部475には、ホイール制御板支持部344を有し、ホイールモータ341の回転制御を行うホイール制御部234としてのホイール制御回路板343をホイールモータ341と共にレンズ保持体470に固定している。
【0112】
従って、
図11に示した蛍光発光装置331は、主光源天板部265の上面に固定されてホイールモータ341や蛍光体ホイール333等を覆うホイールカバー345と、ホイールモータ341と一体とされて主光源天板部265に固定されて蛍光体ホイール333の主光源部330に突出する部分を覆うレンズ保持体470及びレンズ保持体470に固定された集光レンズ379とにより、ホイールモータ341及び蛍光体ホイール333等を閉鎖空間内に収納しているものである。
【0113】
このように、蛍光体ホイール333とホイールモータ341とを閉鎖空間に収納した蛍光発光装置331は、蛍光体ホイール333に空気中のゴミ等が付着して汚れることを防止しつつ、蛍光体ホイール333の蛍光体領域335を形成した面の直近に配置する整流放熱板461により閉鎖空間内の空気を循環させて蛍光体ホイール333の温度上昇を防止することができる。
【0114】
尚、
図11に示した蛍光発光装置331は、光源ユニットケース251におけるユニットカバー261の主光源天板部265にホイールカバー345を固定すると共に、主光源天板部265にレンズ保持体470も固定し、主光源天板部265を介してホイールカバー345とレンズ保持体470とを一体化しているも、レンズ保持体470のレンズ固定フレーム471やホイールカバー部473の上端及びモータ固定部475の周縁部をホイールカバー345のカバー前側板453、カバー後側板455、及び、カバー側方板457の下端と直接に接続し、ホイールカバー345とレンズ保持体470とを一体としてホイールモータ341や蛍光体ホイール333を内蔵する蛍光発光装置331を主光源天板部265に取り付けることもある。
【0115】
また、主光源天板部265を介し、又は主光源天板部265を介さずにホイールカバー345とレンズ保持体470とを一体としてホイールモータ341や蛍光体ホイール333を収納する蛍光発光装置331は、ホイールモータ341や蛍光体ホイール333を収納する内部空間を閉鎖空間とする場合に限ることなく、モータ固定部475の一部やホイールカバー部473等に間隙やスリット等を形成し、閉鎖空間に通気性を持たせることもある。
【0116】
この様に、ホイールカバー345とレンズ保持体470とにより蛍光体ホイール333及びホイールモータ341を内部に収納した蛍光発光装置331は、蛍光発光装置331の取り扱いを容易とし、また、励起光照射装置310と組み合わせた光源装置として、高輝度の光源光を長期に亘って出射させることができる。
【0117】
そして、この蛍光発光装置331では、ホイールカバー345の内部において、蛍光体ホイール333の蛍光体領域335を形成する面に近接させるように複数枚の整流放熱板461を設けると共に、蛍光体ホイール333の蛍光体領域335を設けない面の直近に補助放熱板465を設けることもある(
図11参照)。
【0118】
この補助放熱板465は、薄板状の良熱伝導性金属板であって、
図12に示すように、周縁部をホイールカバー345のカバー天板451及びカバー側方板457に固定され、蛍光体ホイール333のモータ固定部475又はホイールモータ341と、集光レンズ379が配置される部分と、を除くように左右を蛍光体ホイール333の側方に沿って下方に延設する形状とし、蛍光体ホイール333の蛍光体領域335を設けない蛍光体ホイール333の後方面に対して平行として、当該蛍光体ホイール333の後方面直近に配置するものである。
【0119】
従って、蛍光体ホイール333からの輻射熱及び蛍光体ホイール333直近の空気熱を補助放熱板465によりホイールカバー345に伝達してホイールカバー345から放熱させることにより、蛍光体ホイール333の温度上昇を抑制することができるものである。なお、蛍光体ホイール333の裏面側に位置する補助放熱板465は、拡散せずに風が流れるよう隔壁の役割をもするものである。
【0120】
尚、
図8や
図11等に示したホイールカバー345は、蛍光体ホイール333と共にホイールモータ341やホイール制御回路板343を覆うようにしているも、ホイール制御回路板343をホイールカバー345の外部に固定し、ホイールモータ341の後半もホイールカバー345のカバー後側板455からホイールカバー345の外部に露出させ、ホイールモータ341に蛍光体ホイール333が固定されるホイールモータ341の前方部分と蛍光体ホイール333とをホイールカバー345の内部に収納し、少なくとも蛍光体ホイール333の一部である上半部分をホイールカバー345で覆うようにすれば足りるものである。
【0121】
また、
図10等に示した蛍光発光装置331の実施の形態は、蛍光体ホイール333を回転させるホイールモータ341が、照射スポット339即ち励起光の光軸よりも上方に配置されるものであるも、ホイールモータ341を励起光の光軸の水平横方向に配置することもある。
【0122】
[第2実施例]
上記ホイールモータ341が励起光の光軸の横方向に配置される蛍光発光装置331は、
図13に示すように、薄型のプロジェクタ100に組み込まれるものである。
【0123】
この薄型の画像投影装置であるプロジェクタ100も、
図1及び
図2に示したプロジェクタ100と同様に、下ケース140に光学素子や回路基板等を固定して上ケース110により光学素子等を覆うものである。そして、上ケース110の正面板113には吸排気孔189を有して正面板113の左端部位置に投影口カバー126を有し、この投影口カバー126を取り外して画像光をスクリーン等に投影するプロジェクタ100としているものである。
【0124】
そして、上ケース110の上面にはキー/インジケータ部223が設けられ、上ケース110の背面板115には入出力コネクタ部211の各種端子(群)が設けられるものであり、上ケース110の右側板119にも複数の吸排気孔189が設けられるものである。
【0125】
尚、下ケースには、高さ調整を可能とするネジ部を備えた脚145が取り付けられており、プロジェクタ100としての機能や取扱い操作等は、
図1等に示したプロジェクタ100と同等のものである。
【0126】
そして、この薄型のプロジェクタ100では、
図14に示すように、右側板119の内側近傍に主制御回路基板441や電源制御回路基板443を有し、背面板115の中央右寄りの内側には励起光照射装置310等を冷却するための冷却ファン329を配置し、正面板113の中央内側には赤色光源装置350や青色光源装置290、蛍光発光装置331等を冷却するための冷却ファン329を配置している。
【0127】
また、コリメータレンズを備える青色レーザ発光器の複数個を備える励起光照射装置310をプロジェクタ100の略中央に有し、励起光照射装置310の右側に励起光源用ヒートシンク325を有し、更に青色レーザ発光器から背面板115と平行に左側へ出射されるレーザ光を反射ミラー314を有して正面板113の方向にレーザ光を反射し、集光レンズ315及び拡散板317を介して蛍光発光装置331の蛍光体ホイール333にレーザ光を照射するものである。
【0128】
この
図14に示した画像投影装置であるプロジェクタ100は、集光レンズ群353と赤色発光ダイオードを素子ホルダー361で保持した赤色光源装置350を蛍光発光装置331の右後方に有すると共に、蛍光発光装置331の左側には青色発光ダイオード291を素子ホルダー293で保持して青色発光ダイオード291からの出射光を集光する集光レンズ群295を有する青色光源装置290を備えている。
【0129】
このように、このプロジェクタ100は、励起光照射装置310と蛍光発光装置331とによる緑色光源装置の他、半導体発光素子である発光ダイオードを用いた赤色光源装置350と青色光源装置290とを備えるものであり、蛍光発光装置331の蛍光体ホイール333は、拡散透過領域337を有することなく、緑色蛍光体層による蛍光体領域335を円環形状として蛍光体ホイール333の一側面(前方面)における円周の全周に亘って備えるものである。
【0130】
そして、この蛍光発光装置331は、正面板113の略中央において蛍光体ホイール333を正面板113と平行とするように配置され、ホイールモータ341の回転軸と同一高さで回転軸の左側方に照射スポット339が位置するように下ケース140に固定され、蛍光体ホイール333の蛍光体領域335が設けられた面に近接させて整流放熱板461を配置して光体ホイール333の略右半分を覆うホイールカバー345を有するものである。
【0131】
また、赤色光源装置350は、赤色波長帯域光を正面板113と平行に左側へ出射するものであり、青色光源装置290は、青色波長帯域光を背面板115の方向に出射するものであって、青色光源装置290の後方には、光源側光学装置380の集光レンズ381、385やライトトンネル383、光軸変換ミラーが設けられている。
【0132】
更に、導光光学系370としての第一ダイクロイックミラー371及び第二ダイクロイックミラー373と集光レンズ379とを備え、蛍光発光装置331の集光レンズ379の後方にして赤色光源装置350の左側には、青色波長帯域光及び赤色波長帯域光を透過し且つ緑色波長帯域光を反射する第一ダイクロイックミラー371が、青色光源装置290の後方であって赤色光源装置350の左側には、青色波長帯域光を透過し且つ赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光を反射する第二ダイクロイックミラー373を有するものである。
【0133】
従って、第一ダイクロイックミラー371を透過した赤色波長帯域光と第一ダイクロイックミラー371で反射された緑色波長帯域光を集光レンズ379を介して第二ダイクロイックミラー373に照射し、第二ダイクロイックミラー373で反射させ、第二ダイクロイックミラー373を透過する青色波長帯域光と合わせて光源側光学装置380の集光レンズ381を介してライトトンネル383に入射させることができる。
【0134】
そして光源側光学装置380の光軸変更ミラー387は、ライトトンネル383を透過して入射された光を左斜め下方に反射して照射ミラー388に照射し、照射ミラー388によって背面板115の左端近傍に配置した表示素子420に光源光を照射するものである。
【0135】
そして、表示素子420は画像光を左側板に沿って正面板113の方向に反射し、左側板の内側に沿って設けた投影光学系ユニット410に入射し、稼働レンズ群416や固定レンズ群を介してスクリーンに画像光を投影するものである。
【0136】
この薄型のプロジェクタ100においては、ホイールモータ341のモータ軸中心と蛍光体ホイール333に励起光を照射する照射スポット339とが同一高さとされているため、蛍光発光装置331は、ホイールカバー345のカバー天板451を蛍光発光装置331の右側に配置し、一方のカバー側方板457によりホイールモータ341の上方や蛍光体ホイール333の右側半分の上方を覆うようにして他方のカバー側方板457によりホイールモータ341と共にプロジェクタ100の下ケース140に固定されるものである。
【0137】
尚、カバー側方板457の一方を外し、カバー天板451、カバー前側板453、カバー後側板455をプロジェクタ100の下ケース140における底板に固定するようにして1枚のカバー側方板457により蛍光体ホイール333の約半分の部分等の上方を覆うようにすることもある。
【0138】
この場合も、下ケース140の底板から立ち上げるカバー天板451で蛍光体ホイール333の側方部分を、カバー前側板453で蛍光体ホイール333の半分余りの前方を、カバー後側板455で蛍光体ホイール333の半分余りの後方を区画しつつ、1枚のカバー側方板457で蛍光体ホイール333等の上方を覆い、カバー前側板453の内側に設ける整流放熱板461を蛍光体ホイール333の蛍光体領域335が設けられる前方面の直近に位置させ、蛍光体ホイール333周辺の空気を蛍光体ホイール333の中心から外周に流すように移動させるものである。
【0139】
また、
図14には示されていないが、
図11に示した実施の形態と同様に、蛍光体ホイール333の照射スポット339が形成される左半分を覆うレンズ保持体を設け、このレンズ保持体に蛍光体ホイール333の前方直近に配置した集光レンズ379を固定し、ホイールカバー345とレンズ保持体とにより蛍光体ホイール333の全体を覆うようにすることもある。
【0140】
そして、ホイールカバー345にレンズ保持体470を取り付けるに際しては、蛍光体ホイール333が拡散透過領域337を有しないため、集光レンズ群295は蛍光体ホイール333の蛍光体領域335が設けられた面に対向させて設ければ足りるものである。また、補助放熱板465を蛍光体ホイール333の後方面に対向して設ける場合、
図15に示すように、ホイールモータ341又はモータ固定部475を除くようにU字形状の切込みを設けて補助放熱板465の上下を側方に延長する形状とすることができる。
【0141】
尚、この薄型のプロジェクタ100においても、励起光の光路とライトトンネル383等の光源側光学装置380との間には内部区画壁271を設けると共に、光源側光学装置380と投影光学系ユニット410との間には主区画壁273を設け、赤色光源装置350と蛍光発光装置331との間には補助区画壁275を設け、プロジェクタ100の吸排気孔189から吸入された外気により励起光源用ヒートシンク325や青色光源用ヒートシンク297、主制御回路基板441、電源用回路基板443等の熱源を冷却するに際し、励起光や三原色光とする光源光の光路には、外気を流入させることなくプロジェクタ100の外部に排出するに様にしている。
【0142】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0143】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] ホイールモータと、
前記ホイールモータにより回転される蛍光体ホイールと、
前記蛍光体ホイールの一部を覆うホイールカバーと、
を備え、
前記ホイールカバーは、その内側に前記蛍光体ホイールの中央部から外周に向かって配置された複数の整流放熱板を有することを特徴とする蛍光発光装置。
[2] 前記複数の整流放熱板は、前記蛍光体ホイールの中心からの放射方向と斜めに交わるように前記蛍光体ホイールの前記中央部から前記外周に向かって配置されたことを特徴とする前記[1]に記載した蛍光発光装置。
[3] 前記複数の整流放熱板は、前記蛍光体ホイールの前記中央部から前記外周に向かって厚さが徐々に厚くなるように配置されていることを特徴とする前記[1]又は前記[2]に記載した蛍光発光装置。
[4] 隣接する前記整流放熱板の間の前記外周側に、前記整流放熱板より長さの短い整流放熱板を配置したことを特徴とする前記[1]乃至前記[3]に記載した蛍光発光装置。
[5] 前記複数の整流放熱板は、前記蛍光体ホイールの中心の回転軸に対して傾斜して配置されていることを特徴とする前記[1]乃至前記[4]の何れかに記載した蛍光発光装置。
[6] 前記複数の整流放熱板は、前記蛍光体ホイールの蛍光体が形成された面側に配置されていることを特徴とする前記[1]乃至前記[5]の何れかに記載した蛍光発光装置。
[7] 前記ホイールカバーは、前記蛍光体ホイールの蛍光体領域が形成されない面側に、前記蛍光体ホイールと略平行に配置される良熱伝導性材料により形成された補助放熱板を有することを特徴とする前記[1]乃至前記[6]の何れかに記載した蛍光発光装置。
[8] 前記ホイールカバー及び前記整流放熱板は、良熱伝導性材料により形成されることを特徴とする前記[1]乃至前記[7]の何れかに記載した蛍光発光装置。
[9] 前記良熱伝導性材料は、金属または高熱伝導樹脂の何れかを含むことを特徴とする前記[7]又は前記[8]に記載した蛍光発光装置。
[10] 前記蛍光体ホイールの前記一部とは異なる他の一部を覆うレンズ保持体を更に有し、
前記レンズ保持体は、前記蛍光体ホイールの前記蛍光体領域における照射スポットに励起光を集光する集光レンズを備え、
前記レンズ保持体と前記ホイールカバーとにより前記蛍光体ホイール全体を覆うことを特徴とする前記[1]乃至前記[9]の何れかに記載した蛍光発光装置。
[11] 前記ホイールカバーは、前記蛍光体ホイールと前記ホイールモータとを収納するように覆うことを特徴とする前記[1]乃至前記[10]の何れかに記載した蛍光発光装置。
[12] 前記[1]乃至前記[11]の何れか記載の蛍光発光装置と、
励起光照射装置と、
前記蛍光体ホイールが発する蛍光光とは異なる波長帯域光を発する半導体発光素子と、
を備えることを特徴とする光源装置。
[13] 前記[12]に記載の光源装置と、
前記光源装置からの出射光が照射されて画像光を形成する表示素子と、
前記表示素子で形成された画像光をスクリーンに投影する投影光学系と、
前記表示素子や前記光源装置の制御を行うプロジェクタ制御手段と、
を備えることを特徴とする画像投影装置。