特許第6376435号(P6376435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6376435
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】可動支持アーム装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20180813BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20180813BHJP
   A61B 90/25 20160101ALI20180813BHJP
   A61B 90/50 20160101ALI20180813BHJP
   G02B 21/32 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   B25J19/00 D
   A61B1/00 654
   A61B90/25
   A61B90/50
   G02B21/32
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-67392(P2014-67392)
(22)【出願日】2014年3月28日
(65)【公開番号】特開2015-188565(P2015-188565A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2017年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】504300181
【氏名又は名称】国立大学法人浜松医科大学
(73)【特許権者】
【識別番号】591051852
【氏名又は名称】株式会社エヌエステイー
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】山本 清二
(72)【発明者】
【氏名】河野 裕
【審査官】 ▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−289563(JP,A)
【文献】 特開昭59−224286(JP,A)
【文献】 特開2013−167878(JP,A)
【文献】 特開2001−046400(JP,A)
【文献】 特開平07−241300(JP,A)
【文献】 米国特許第4378959(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
A61B 1/00 − 1/32
A61B 90/20 − 90/25
A61B 90/50 − 90/57
G02B 21/32
G02B 23/24 − 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に垂直な支点軸を中心として鉛直面内で回動自在な支持アームと、
前記支持アームの先端に接続された支持器具と、
前記支点軸を中心として前記支持アームと連動して回動する回動部材と、
前記回動部材上を移動可能な引っ張り点を介して前記回動部材を引っ張る巻き取り式の定荷重バネと、
前記支持アームの傾斜角度に応じて、前記支持アームにかかるモーメントと、前記回動部材を引っ張る引っ張りモーメントとがバランスするように、前記支点軸と前記引っ張り点との間の距離を変化させるリンク機構と、
を有し、
前記リンク機構は、
前記回動部材上に設けられ前記引っ張り点がスライド可能なスライド穴と、
前記引っ張り点が先端に接続されており、前記支点軸とは異なる補助支点軸を中心にして回動する補助回動部材と、からなる、
ことを特徴とする可動支持アーム装置。
【請求項2】
前記支持アームの回動をロック及びロック解除できる回転ロック機構をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1記載の可動支持アーム装置。
【請求項3】
前記支持アームの先端に回動自在に接続される第2支持アームと、
前記第2支持アームの先端に接続された支持器具と、
前記第2支持アームに接続され、前記第2支持アームに引っ張り力を伝達する補助アーム機構と、
第2支点軸を中心に回動し、前記補助アーム機構に引っ張り力を伝達する第2回動部材と、
前記第2回動部材上を移動可能な第2引っ張り点を介して前記第2回動部材を引っ張る巻き取り式の第2定荷重バネと、
前記第2支持アームの傾斜角度に応じて、前記第2支持アームにかかるモーメントと、前記第2回動部材を引っ張る引っ張りモーメントとがバランスするように、前記第2支点軸と前記第2引っ張り点との間の距離を変化させる第2リンク機構と、
をさらに有し、
前記第2リンク機構は、
前記第2回動部材上に設けられ前記第2引っ張り点がスライド可能な第2スライド穴と、
前記第2引っ張り点が先端に接続されており、前記第2支点軸とは異なる第2補助支点軸を中心にして回動する第2補助回動部材と、からなる、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の可動支持アーム装置。
【請求項4】
前記第2支持アームの回動をロック及びロック解除できる第2回転ロック機構をさらに有する、
ことを特徴とする請求項3記載の可動支持アーム装置。
【請求項5】
前記被支持器具は医療機器である、
ことを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の可動支持アーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種機器を支持し所定位置に移動/固定する可動支持アーム装置に関する。特に、医療機器の移動/固定に好適に用いられ得る。
【背景技術】
【0002】
各種機器を支持し任意の位置に固定するための装置として、可動式の支持アーム装置が知られている。支持アーム装置には電磁ロック機構が設けられており、スイッチ操作により固定/解除できるようになっている。電磁ロックが解除状態の場合は支持アーム先端の各種機器を手動で動かせるようになっている。しかしながら、各種機器や支持アームには自重があるため、その重さにより下方に引っ張られて手動操作に支障をきたす恐れがある。また、電磁ロックを解除した際に、各種機器や支持アームの自重により各種機器が予期せぬ方向に移動してしまうと恐れもある。
【0003】
このような問題を解決するため、従来の可動支持アーム装置は、支持アームの反対側にカウンターウェイト(バランスおもり)を設けている。支持アームの反対側に、支持アーム及び各種機器の合成慣性モーメントと同等のおもり(カウンターウェイト)を設けて、支持アーム及び各種機器の自重をバランスさせて、手動による支持アームの移動をスムーズにしている。
【0004】
しかしながら、カウンターウェイトを用いたバランス機構では、重量物であるおもり(カウンターウェイト)を設けなくてはならず全体の重量が大きくなってしまう。また、カウンターウェイトは、支持アームの反対側に設けられ、支持アームの動きに合わせて動くため、支持アームの後方に広いスペースを必要とするという問題があった。
【0005】
カウンターウェイトに代えて、スプリングばねによるバランス機構が特許文献1-3で知られている。バランス機構としてスプリングばねを用いればカウンターウェイトが不要になり、軽量化・省スペース化を図れる。しかしながら、スプリングばねは伸長度により張力が異なるため、支持アームの回転により引っ張り点が移動すると支持アームの荷重と力をバランさせるのが難しい。また、支持アームの傾斜角度によりバランスすべきモーメント(荷重)が異なるが、この違いを相殺して支持アームとばねとをバランスさせるためには特許文献1-3のように、複数の補助アームを用いた複雑な構造が必要になる。
【0006】
特に、医療機器用の支持アーム装置においては、限られたスペースの手術室等で用いられるため、カウンターウェイトの可動スペースの確保は困難である。また、支持アーム自体の構造が複雑だと手術の際の視野を遮る恐れがあり、支持アームの可動部分はできるだけ単純な構造であることが望ましい。しかしながら、従来のスプリングばねを用いた支持アーム装置では支持アームに平行な複数の補助アームを必要とし、視野の妨げになる恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許4422496号公報
【特許文献2】特許4451138号公報
【特許文献3】特許3619555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、カウンターウェイトを設けること無く支持アーム及び被支持器具をバランスさせ、支持アームの傾斜角度によるモーメント(荷重)の違いを補償するバランス機構を有する可動式の支持アーム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
鉛直方向に垂直な支点軸を中心として鉛直面内で回動自在な支持アームと、
前記支持アームの先端に接続された支持器具と、
前記支点軸を中心として前記支持アームと連動して回動する回動部材と、
前記回動部材上を移動可能な引っ張り点を介して前記回動部材を引っ張る巻き取り式定荷重バネと、
前記支持アームの傾斜角度に応じて前記支点軸と前記引っ張り点との間の距離を変化させるリンク機構と、を有し、
前記リンク機構は、前記支持アームの水平からの角度が大きくなるにしたがって、前記支点軸と前記引っ張り点との間の距離を小さくする、ことを特徴とする可動支持アーム装置。
【0010】
前記支点軸は鉛直方向に垂直な水平面内にあり、前記支持アームは鉛直面内を回動するが、厳密に水平面内及び鉛直面内である必要は無く、本発明の趣旨に反しない範囲で許容範囲を有することは言うまでもない。
前記支持アームの材質は、支持器具を支持できる強度を有するものであれば特に限定されず、金属、樹脂等が用いられ得る。
前記支持器具は、本発明の可動支持アーム装置で支持可能な器具であれば何でも構わず、例えば、硬性内視鏡、手術用顕微鏡、手術機器、固定器具などの医療機器のほか、各種工作器具、各種測定装置、各種電気装置、各種照明装置、各種表示装置、各種入力装置、各種情報機器などが用いられ得る。
前記回動部材の材質は、支持アームを引っ張る力を保持できる強度を有していれば何でも構わず、金属、樹脂等が用いられ得る。
前記回動部材の形状は、支点軸を中心に回動可能で、支点軸と引っ張り点との間の距離を変化させられれば何でも良く、棒状の部材でも良いし、面状の部材でも良い。また、複数の部材により構成されていても構わない。
前記定荷重バネは、巻き取り式で、引っ張り点の位置が変化しても定荷重で引っ張れるものであれば何でも良く、薄金属を巻き取るタイプでも良いし、金属ワイヤを巻き取るタイプでも良い。
【0011】
てこの原理により、支点軸と引っ張り点との距離が大きいほど大きな力(モーメント)で引っ張ることができる。本発明のリンク機構は、支持アームの傾斜角度にしたがって支点軸と引っ張り点との間の距離が変化するので、支持アームの傾斜角度によるモーメント(荷重)の違いや、引っ張り角度(引っ張り点における回動部材と引っ張り方向との相対角度)の違いを補償することができる。したがって、本発明のリンク機構と巻き取り式定荷重バネにより、支持アームの傾斜角度に応じたモーメント(荷重)を、より正確にバランスすることができる。
【0012】
また、本発明は以下の好ましい実施態様を有する。
前記リンク機構は、
前記回動部材上に設けられ前記引っ張り点がスライド可能なスライド穴と、
前記引っ張り点が先端に接続されており、前記支点軸とは異なる補助支点軸を中心にして回動する補助回動部材と、からなる。
【0013】
前記補助回動部材の材質は、引っ張り点での巻き取り式定荷重バネの張力を保持できる強度を有していれば何でも構わず、金属、樹脂等が用いられ得る。
前記補助回動部材の形状は、補助支点軸を中心に回動可能で、回動部材の支点軸と引っ張り点との間の距離の変化を補助するものであれば何でも良く、棒状の部材でも良いし、面状の部材でも良い。また、複数の部材により構成されていても構わない。
【0014】
また、本発明は以下の好ましい実施態様を有する。
前記支持アームの回動をロック及びロック解除できる回転ロック機構をさらに有する。
【0015】
前記回転ロック機構は、支持アームの回動をロック及びロック解除できるものであれば何でも良いが、支点軸を固定/解除する電磁クラッチが好適に用いられる。
前記回転ロック機構を設けることにより、支持アームを固定することができるので、被支持器具を任意の位置に固定可能である。
【0016】
また、本発明は以下の好ましい実施態様を有する。
前記支持アームの先端に回動自在に接続される第2支持アームと、
前記第2支持アームの先端に接続された支持器具と、
前記第2支持アームに接続され、前記第2支持アームに引っ張り力を伝達する補助アーム機構と、
第2支点軸を中心に回動し、前記補助アーム機構に引っ張り力を伝達する第2回動部材と、
前記第2回動部材上を移動可能な第2引っ張り点を介して前記第2回動部材を引っ張る巻き取り式の第2定荷重バネと、
前記第2支持アームの傾斜角度に応じて前記第2支点軸と前記第2引っ張り点との間の距離を変化させる第2リンク機構と、をさらに有し、
前記第2リンク機構は、前記第2支持アームの水平からの角度が大きくなるにしたがって、前記第2支点軸と前記第2引っ張り点との間の距離を小さくする。
【0017】
前記第2支持アーム、前記補助アームの材質については、支持アームと同様に、支持器具を支持できる強度を有するものであれば特に限定されず、金属、樹脂等が用いられ得る。前記第2回動部材の材質は、回動部材と同様に、支持アームを引っ張る力を保持できる強度を有していれば何でも構わず、金属、樹脂等が用いられ得る。また、前記第2回動部材の形状は、第2支点軸を中心に回動可能で、第2支点軸と第2引っ張り点との間の距離を変化させられれば何でも良く、棒状の部材でも良いし、面状の部材でも良い。また、複数の部材により構成されていても構わない。前記第2定荷重バネは、第1定荷重バネと同様に巻き取り式で、引っ張り点の位置が変化しても定荷重で引っ張れるものであれば何でも良く、薄金属を巻き取るタイプでも良いし、金属ワイヤを巻き取るタイプでも良い。
【0018】
本発明は、1本の支持アームの先端に支持部材を設けてモーメント(荷重)をバランスさせても良いが、バランスされた支持アームを2本用いる本実施態様を採用することでさらに自由度の高い支持アーム装置を実現できる。支持アームの先端に回動自在な第2支持アームを設け、支持アームに平行な補助アームを介して第2支持アームに引っ張り力を伝えることで、第2支持アームを支持アームと同様に任意の角度にバランスさせることができる。2つの支持アームを任意角度でバランスさせられるので、2支持アーム(2関節)の可動支持アーム装置を実現でき、鉛直面内の任意の位置で支持器具を固定することができる。さらに、可動支持アーム装置自体を水平方向の回転(鉛直軸を中心とした回転)をさせる機構や平行移動させる機構を設けることで、支持器具をより広い範囲に移動可能であるが、これらの機構は回転台やキャスター付き基台などの公知の技術で実現可能であり、言うまでもなく本発明の技術的範囲に包含される。
【0019】
また、本発明は以下の好ましい実施態様を有する。
前記第2リンク機構は、
前記第2回動部材上に設けられ前記第2引っ張り点がスライド可能な第2スライド穴と、
前記第2引っ張り点が先端に接続されており、前記第2支点軸とは異なる第2補助支点軸を中心にして回動する第2補助回動部材と、からなる。
【0020】
また、本発明は以下の好ましい実施態様を有する。
前記第2支持アームの回転をロック及びロック解除できる第2回転ロック機構をさらに有する。
【0021】
また、本発明は以下の好ましい実施態様を有する。
前記被支持器具は医療機器である。
【0022】
前記医療機器としては、硬性内視鏡、手術用顕微鏡、手術機器、手術用固定器具などがある。
本発明は、特に位置決め精度を必要とし、省スペースを必要とする医療機器の支持に好適に用いられる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は上記構成により、可動式の支持アーム装置において、カウンターウェイトを設けること無く支持アーム及び被支持器具をバランスさせることができ、支持アームの傾斜角度によるモーメント(荷重)の違いを補償するバランス機構を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態の外観図。
図2】本発明の実施形態の外観図。
図3】第1支持アームの動作説明図。
図4】第1支持アームの動作説明図。
図5】第1支持アームのバランス機構の動作説明図。
図6】第2支持アームの動作説明図。
図7】第2支持アームの動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面とともに本発明に係る可動支持アーム装置の好適な実施形態の例について説明する。なお、図面は、説明を容易にするために強調して記載してあり、実際の寸法や外観とは異なることがある。
【0026】
図1及び図2は、本実施形態の可動支持アーム装置の外観図である。本実施形態の可動支持アーム装置は、根元側の第1支持アーム1、先端側の第2支持アーム2、第1支持アーム1に平行で第2支持アーム2を支える補助アーム3、第1支持アーム1のモーメント(荷重)をバランスさせる第1定荷重バネ4、補助アーム3を介して第2支持アーム2のモーメント(荷重)をバランスさせる第2定荷重バネ5、第2支持アーム2の先端に設けられた医療機器等の被支持器具7、第1支持アーム1の固定/解除を制御する第1電磁ロック機構8、補助アーム3を介して第2支持アーム2の固定/解除を制御する第2電磁ロック機構9により構成されている。
【0027】
第1支持アーム1、補助アーム3、第1定荷重バネ4、第2定荷重バネ5、第1電磁ロック機構8、第2電磁ロック機構9は、基台6に設置されている。基台6は支柱10の上に回転自在に支持されており、水平面内で回転可能である。支柱10は図示されていないキャスター台に設けられており、移動が可能である。第2支持アーム2は支点15を介して第1支持アーム1と回動自在に接続されている。第2支持アーム2と補助アーム3とは支点16を介して回動自在に接続されている。第1支持アーム1にかかるモーメント(荷重)をバランスさせる機構は、第1回動部材11及び第1補助回動部材12からなる第1リンク機構と第1定荷重バネ4とにより構成される。同じく、第2支持アーム2にかかるモーメント(荷重)をバランスさせる機構は、第2回動部材13及び第2補助回動部材14からなる第2リンク機構と第2定荷重バネ5とにより構成される。補助アーム3は、第2回動部材13と連動して回動する接続部材17に接続されており、第2回動部材13の回動に連動して第2支持アーム2をバランスさせている。本実施形態では、第1回動部材11、第1補助回動部材12、第2回動部材13及び第2補助回動部材14は左右の2つのパーツからなり、それぞれ左右のパーツをつなぐシャフト(軸)で支える構成になっている。
【0028】
第1支持アーム1、第2支持アーム2及び補助アーム3の材質は、被支持器具7を支えられるものであれば何でも良いが、アルミニウム等の軽金属が好適に用いられ得る。第1定荷重バネ4及び第2定荷重バネ5は、巻き取り式の定荷重バネであり、薄金属4a,5aをリールに巻き取りながら定荷重の張力を発生させ、薄金属4a,5aの先端部を一定荷重の力で引っ張るものである。本実施形態では、薄金属を巻き取るタイプの定荷重バネを用いているが、装置の構成によっては、金属ワイヤを巻き取るタイプの定荷重バネでも構わない。支持器具7は、本実施形態の可動支持アーム装置で支持可能な器具であれば何でも構わず、例えば、硬性内視鏡、手術用顕微鏡、手術機器、固定器具などの医療機器のほか、各種工作器具、各種測定装置、各種電気装置、各種照明装置、各種表示装置、各種入力装置、各種情報機器などが適用可能である。第1電磁ロック機構8及び第2電磁ロック機構9は、外部から制御可能な電磁クラッチであり、それぞれ、第1支持アーム1、補助アーム3の固定/解除を制御している。
【0029】
図3乃至図5を用いて、第1支持アーム1のバランス機構について説明する。図3は第1支持アーム1の角度が-15度、図4は第1支持アーム1の角度が+75度の場合を示している。図5は、図3のリンク機構部分の拡大図である。
第1支持アーム1及び第1回動部材11は、支点11aを中心にして連動して回動するようになっている。一方、第1補助回動部材12は、補助支点12aを中心に回動するようになっている。第1補助回動部材12の先端12bは、第1回動部材11に形成されたスライド穴11bに沿って移動するようになっている。第1補助回動部材12の先端12bには第1定荷重バネ4の薄金属4aが接続されており、第1定荷重バネ4の張力を受ける引っ張り点12bになっている。なお、図1に示すように本実施形態では、第1回動部材11及び第1補助回動部材12が左右の2つのパーツで構成されており、支点11a及び引っ張り点12bは左右のパーツにまたがるシャフト(軸)として構成されている。補助支点12aは同一軸上に左右に分かれて回動自在に設けられている。これらの構成は、本発明における実施形態の一例に過ぎないことは言うまでもない。
【0030】
次に、図5を用いて第1支持アーム1のバランス機構の動作について説明する。第1支持アーム1の先端が図3の軌跡23に沿って移動すると、第1回動部材11の先端は支点11aを中心して回転移動するので軌跡21に沿って移動する。一方、第1補助回動部材12の先端の引っ張り点12bは補助支点12aを中心にして回転移動するので軌跡22に沿って移動する。同時に、引っ張り点12bはスライド穴11b内を移動するため、第1回動部材11に第1定荷重バネ4の張力を伝える引っ張り点12bは、軌跡22に沿って、12bから12b’に移動する。第1回動部材11は、支点11aを中心にして第1支持アーム1と一緒に回転するように、第1支持アーム1に固定されており、第1回動部材11を引っ張ることにより第1支持アーム1のモーメント(荷重)をバランスさせることができる。
【0031】
第1支持アーム1及び被支持器具7の自重によるモーメント(荷重)は、第1支持アーム1の傾斜角度により異なる。例えば、水平の場合に第1支持アーム1及び支持器具7の自重によるモーメント(荷重)は最大になり、垂直の場合にはモーメント(荷重)はゼロになる。したがって、バランス機構で発生するカウンターモーメントは、第1支持アーム1が水平の時には大きく、垂直の時には小さい必要がある。
【0032】
てこの原理により、支点11aと引っ張り点12bとの距離が大きいほど、大きなモーメント(荷重)で引っ張ることができる。一方、引っ張り点の位置のほか、引っ張る方向によっても引っ張り力が変わる。例えば、第1回動部材11に垂直な方向(第1回動部材11の移動方向に平行な方向)で引っ張ると引っ張り力が最大になり、引っ張り方向に角度θがつくとその分cosθの割合で引っ張り力が減少する。第1支持アーム1の移動による引っ張り角度θの変化に加えて、支点11aと引っ張り点12bとの距離を可変にすることでより、正確なバランス機構を実現できる。
【0033】
第1支持アーム1のバランス機構においては、第1回動部材11と第1定荷重ばね4との相対位置関係により、引っ張り角度θによる引っ張りモーメントの違いよりも、支点11aと引っ張り点12bとの距離による引っ張りモーメントの違いの方が大きく影響している。第1支持アーム1が水平に近いときは第1回動部材11の支点11aと引っ張り点12bとの距離はL1で、第1支持アーム1が垂直に近いときは第1回動部材11’の支点11aと引っ張り点12b’との距離はL2となり、L1>L2である。したがって、このようなリンク機構を採用することで、第1支持アーム1が水平に近く、大きなモーメントで支える必要があるときは、第1回動部材11の支点11aと引っ張り点12bとの距離が大きくなるため(距離L1)、大きなモーメントで第1支持アーム1を引っ張ることができる。同様に、第1支持アーム1が垂直に近く、大きなモーメントで支える必要がないときは、第1回動部材11’の支点11aと引っ張り点12b’との距離が小さくなっているため(距離L2)、より小さなモーメントで第1支持アーム1を引っ張ることになる。したがって、第1支持アーム1の傾斜角度によるモーメントの違いを補償することができる。
【0034】
図6及び図7を用いて、第2支持アーム2のバランス機構について説明する。図6は第2支持アーム2の角度が+15度、図7は第2支持アーム2の角度が-75度の場合を示している。
基本的な構成は第1支持アーム1のバランス機構と同じなので、詳細な説明は省略する。第2回動部材13と連動する接続部材17(図1参照)、接続部材17に接続される補助アーム3、第1支持アーム1との共通支点15、及び補助アーム3との共通支点16からなる連動機構により、第2支持アーム2は第2回動部材13と連動して回動するため、第2回動部材13を引っ張ることにより、第2支持アーム2にかかるモーメント(荷重)をバランスさせることができる。第2回動部材13は支点13aを中心にして接続部材17と連動して回動する。補助支点14aを中心に回動する第2補助回転部材14と、第2回動部材13に設けられたスライド穴13bとの連携により、第2支持アーム2の先端が軌跡25で移動すると、第2回動部材13の引っ張り点14bは軌跡24に沿って移動する。引っ張り点14bの位置は、図6では支点13aに近く、図7では支点13aから遠くなっている。
【0035】
第2支持アーム2のバランス機構においては、第2回動部材13と第2定荷重ばね5との相対位置関係により、支点13aと引っ張り点14bとの距離による引っ張りモーメントの違いよりも、引っ張り角度θによる引っ張りモーメントの違いの方が大きく影響している。第2回動部材13に引っ張り点を固定してしまうと、第2支持アーム2の傾斜角度によるモーメント(荷重)の違いを引っ張り角度θのみで制御しなくてはならず非常に困難である。本実施形態では引っ張り角度θのほか、支点13aと引っ張り点14bとの距離を変化させるリンク機構を設けることで、より正確なバランス機構を実現できる。
【0036】
以上、本発明の実施形態のいくつか例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において各種の変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0037】
1:第1支持アーム、2:第2支持アーム、3:補助アーム、4:第1定荷重バネ、5:第2定荷重バネ、6:基台、7:支持器具、8:第1電磁ロック機構、9:第2電磁ロック機構、10:支柱、11:第1回動部材、12:第1補助回動部材、13:第2回動部材、14:第2補助回動部材、15,16: 支点、17:接続部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7