特許第6376444号(P6376444)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6376444
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】伸縮式ブリッジ
(51)【国際特許分類】
   E01D 15/12 20060101AFI20180813BHJP
【FI】
   E01D15/12
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-117087(P2014-117087)
(22)【出願日】2014年6月5日
(65)【公開番号】特開2015-229882(P2015-229882A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2017年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】596109273
【氏名又は名称】株式会社高知丸高
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】高野 広茂
【審査官】 清藤 弘晃
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−066149(JP,U)
【文献】 特開平07−279123(JP,A)
【文献】 特許第137004(JP,C2)
【文献】 特開平11−062214(JP,A)
【文献】 特開2011−074749(JP,A)
【文献】 実公昭48−029377(JP,Y1)
【文献】 米国特許第05107561(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 1/00−24/00
E04B 1/00− 1/36
E04G 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬可能な伸縮式ブリッジであって、
互いに平行で、該伸縮式ブリッジが渡設される渡設方向に延びた一対の筒状桟と、
該一対の筒状桟の間を覆う床板と、
前記筒状桟と平行であって該筒状桟の上方に設けられた互いに平行な一対の筒状手摺と、
前記筒状桟と床板と筒状手摺とを前記渡設方向のそれぞれの端部で連結する連結部とを備え、
前記一対の筒状桟の外径及び内径と、前記一対の筒状手摺の外径及び内径と、前記床板の高さとが順次異なるように形成された複数の橋体が、
内径の大きい一対の筒状桟内にその内径よりも外径の小さい一対の筒状桟が筒軸線方向に入れ子式に嵌合され、
内径の大きい一対の筒状手摺内にその内径よりも外径の小さい一対の筒状手摺が筒軸線方向に入れ子式に嵌合され、
低い床板の上にその床板よりも高い床板が前記筒状桟の筒軸線方向に摺動自在に重なるように順次接合することにより、
各橋体の前記連結部が接近する収縮状態と、前記連結部が離間する延伸状態とに変更自在に構成されており、
隣接する2台の前記橋体で
渡設方向の前方側の橋体の連結部が、渡設方向の後方側の橋体の連結部を超えて渡設方向の後方に突出した突出部を備え、渡設方向の前方側の橋体を渡設方向の後方側の橋体から延伸させる延伸用牽引部材の一端が該突出部に連結されており、
渡設方向の後方側の橋体の連結部が、前記延伸用牽引部材が経由する経由部を備え、
前記延伸用牽引部材の他端が前記経由部を経由して渡設方向の後方に延出しており、
渡設方向の前方側の橋体の連結部に、該橋体を渡設方向の後方側の橋体に収縮させる収縮用牽引部材の一端が連結され、該収縮用牽引部材の他端が渡設方向の後方に延出しており、
渡設方向の前方側の橋体を渡設方向の後方側の橋体から延伸する場合には、前記延伸用牽引部材が渡設方向の後方に引っ張られ、
渡設方向の前方側の橋体を渡設方向の後方側の橋体に収縮する場合には、前記収縮用牽引部材が渡設方向の後方に引っ張られることを特徴とする伸縮式ブリッジ。
【請求項2】
前記橋体の内で他の橋体から延伸する橋体が、該橋体の筒状桟と筒状手摺とに前記筒状桟の筒軸線方向に摺動自在に取り付けられた間柱を備え、該間柱が、該橋体の連結部に牽引部材によって連結されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮式ブリッジ。
【請求項3】
伸びた状態の伸縮式ブリッジの使用時において、支柱及び間柱の間に、筒状桟と筒状手摺とを斜めに連結するトラスを取り付けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の伸縮式ブリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は運搬可能な伸縮式ブリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
地震、大雨、地すべり又は津波等の災害により道路や橋が破損し、交通路が遮断されるような場合は、交通路を確保するための緊急措置が求められる。このような場合に、従来は通常施工される架設橋を緊急的な手法によりできるだけ早急に完成させるという程度の対策がなされているだけで適切な手段がなかった。
【0003】
そこで、横桁、床版などの種々の構造部材から構成される歩道橋のようにケーブルを支持用構造部材として用いてなる構造物において、構築の初期に張架したケーブルに沿って構造部材を単独に又は連結しながら搬送したり、仮設ロープを緊張した状態で構造部材を搬送後にケーブルを緊張して構造部材を移設したりすることによって、構造部材を容易かつ安全に搬送及び設置することができる構造物の架設工法が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1の架設橋においては、従来よりは短期間で設置されるが、ケーブルの設置や構造部材の取り付け等にまだまだ手間を要するという不具合があり、更に容易に設置できる架設橋が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−186310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、容易に設置できる伸縮式ブリッジを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、運搬可能な伸縮式ブリッジであって、互いに平行で、該伸縮式ブリッジが渡設される渡設方向に延びた一対の筒状桟と、該一対の筒状桟の間を覆う床板と、前記筒状桟と平行であって該筒状桟の上方に設けられた互いに平行な一対の筒状手摺と、前記筒状桟と床板と筒状手摺とを前記渡設方向のそれぞれの端部で連結する連結部とを備え、前記一対の筒状桟の外径及び内径と、前記一対の筒状手摺の外径及び内径と、前記床板の高さとが順次異なるように形成された複数の橋体が、内径の大きい一対の筒状桟内にその内径よりも外径の小さい一対の筒状桟が筒軸線方向に入れ子式に嵌合され、内径の大きい一対の筒状手摺内にその内径よりも外径の小さい一対の筒状手摺が筒軸線方向に入れ子式に嵌合され、低い床板の上にその床板よりも高い床板が前記筒状桟の筒軸線方向に摺動自在に重なるように順次接合することにより、各橋体の前記連結部が接近する収縮状態と、前記連結部が離間する延伸状態とに変更自在に構成されていることを特徴とする伸縮式ブリッジに関する。
なお、前記筒状桟、床板及び筒状手摺は、連結部に直接に連結されていてもよいし、他の物を介して間接的に連結されていてもよい。
【0008】
請求項2に係る発明は、隣接する2台の前記橋体で渡設方向の前方側の橋体の連結部が、渡設方向の後方側の橋体の連結部を超えて渡設方向の後方に突出した突出部を備え、渡設方向の前方側の橋体を渡設方向の後方側の橋体から延伸させる延伸用牽引部材の一端が該突出部に連結されており、渡設方向の後方側の橋体の連結部が、前記延伸用牽引部材が経由する経由部を備え、前記延伸用牽引部材の他端が前記経由部を経由して渡設方向の後方に延出しており、渡設方向の前方側の橋体の連結部に、該橋体を渡設方向の後方側の橋体に収縮させる収縮用牽引部材の一端が連結され、該収縮用牽引部材の他端が渡設方向の後方に延出しており、渡設方向の前方側の橋体を渡設方向の後方側の橋体から延伸する場合には、前記延伸用牽引部材が渡設方向の後方に引っ張られ、渡設方向の前方側の橋体を渡設方向の後方側の橋体に収縮する場合には、前記収縮用牽引部材が渡設方向の後方に引っ張られることを特徴とする請求項1に記載の伸縮式ブリッジに関する。
なお、延伸用牽引部材の一端が突出部に連結されていること、及び収縮用牽引部材の一端が連結部に連結されていることには、それぞれが他の物を介して間接的に連結されていることも含む。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記橋体の内で他の橋体から延伸する橋体が、該橋体の筒状桟と筒状手摺とに前記筒状桟の筒軸線方向に摺動自在に取り付けられた間柱を備え、該間柱が、該橋体の連結部に牽引部材によって連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の伸縮式ブリッジに関する。
なお、間柱が橋体の連結部に牽引部材によって連結されていることには、間柱が、橋体の連結部に、他の物を介して牽引部材によって連結されていることを含む。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明の伸縮式ブリッジによれば、各橋体が延伸、収縮するので、収縮状態で運搬することができる。このことにより伸縮式ブリッジを容易に運搬することができる。また、設置場所で各橋体を延伸させるだけでよいので、手間を必要とせずに容易に伸縮式ブリッジを設置することができる。
【0011】
請求項2に係る発明の伸縮式ブリッジによれば、橋体の連結部が延伸用牽引部材及び収縮用牽引部材に連結されているので、延伸用牽引部材及び収縮用牽引部材を引っ張るだけで伸縮式ブリッジの延伸及び収縮を容易に行うことができる。
【0012】
請求項3に係る発明の伸縮式ブリッジによれば、間柱が橋体の連結部に牽引部材によって連結されているので、伸縮式ブリッジを延伸させるだけで、間柱を所定の位置に配置することができる。このことにより、間柱を配置する手間が少なくなるので、伸縮式ブリッジの設置が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る伸縮式ブリッジの概略斜視図である。
図2】同伸縮式ブリッジの概略図であり、(a)は延伸状態の側面図であり、(b)は収縮状態の側面図である。
図3】同伸縮式ブリッジの裏面の概略図であり、(a)は延伸状態の裏面の概略図であり、(b)は収縮状態の裏面の概略図である。
図4】間柱を備えた本発明に係る伸縮式ブリッジの概略斜視図である。
図5】同伸縮式ブリッジの概略図であり(a)は延伸状態の側面図であり、(b)は収縮状態の側面図である。
図6】本発明に係る伸縮式ブリッジの設置方法を示す図であり、(a)は収縮状態で設置した状態の側面図であり、(b)は橋体を延伸させた状態の側面図であり、(c)はトラスを取り付けた状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る伸縮式ブリッジの好適な実施形態について、図1及び図2を用いて説明する。なお、図1及び図2では、後述する間柱を簡略化のために記載していない。
伸縮式ブリッジ1は、運搬が可能なブリッジであり、互いに伸縮する第1橋体2a、第2橋体2b及び第3橋体2cを備えている(この第1橋体2a、第2橋体2b及び第3橋体2cを総称するときに、橋体2と記すことがある)。
伸縮式ブリッジ1を、例えば川に渡設する場合には、一方の岸に第1橋体2aを設置し、渡設方向である対岸に向けて、第2橋体2b及び第3橋体2cを延伸させる。
なお、本明細書において、図1に示す矢印Aのように第2橋体2b及び第3橋体2cが第1橋体2aから延伸する方向を延伸方向又は渡設方向と記し、矢印Bのように第2橋体2b及び第3橋体2cが第1橋体2aに収縮する方向を収縮方向又は渡設方向後方と記すことがある。
【0015】
第1橋体2aは、互いに平行で、伸縮式ブリッジ1が渡設される渡設方向に延びた一対の第1筒状桟3a(この第1筒状桟3aと、後述する第2筒状桟3b及び第3筒状桟3cとを総称するときに筒状桟3と記すことがある)と、この一対の第1筒状桟3aの間を覆う第1床板4a(この第1床板4aと、後述する第2床板4b及び第3床板4cとを総称するときに床板4と記すことがある)を備えている。
第1筒状桟3aの筒内部にその内径よりも外径が小さい後述する一対の第2筒状桟3bが筒軸線方向に入れ子式に嵌合され、第2筒状桟3bが第1筒状桟3aから伸縮する。
第1床板4aは、平坦な板であり、この上を人が歩行する。この第1床板4aの上面を後述する第2床板4bが第1筒状桟3aの筒軸線方向に摺動自在に重なる。
また第1橋体2aは、第1筒状桟3aと平行であって第1筒状桟3aの上方に設けられた互いに平行な一対の第1筒状手摺5a(この第1筒状手摺5aと、後述する第2筒状手摺5b及び第3筒状手摺5cとを総称するときに筒状手摺5と記すことがある)を備えている。
第1筒状手摺5aの筒内部にその内径よりも外径が小さい後述する一対の第2筒状手摺5bが筒軸線方向に入れ子式に嵌合され、第2筒状手摺5bが第1筒状手摺5aから伸縮する。
【0016】
一対の第1筒状桟3aは、渡設方向の端部で第1連結部6a(この第1連結部6aと、後述する第2連結部6b及び第3連結部6cとを総称するときに連結部6と記すことがある)に連結されており、渡設方向後方の端部で後端部8に連結されている。
第1連結部6aには、第1床板4aの渡設方向の端部も連結されている。また、第1連結部6aには、第1筒状手摺5aの渡設方向の端部も第1支柱7a(この第1支柱7aと、後述する第2支柱7b及び第3支柱7cとを総称するときに支柱7と記すことがある)を介して連結されている。
また後端部8には、第1床板4aの渡設方向後方の端部も連結されている。また、後端部8には、第1筒状手摺5aの渡設方向後方の端部も支柱を介して連結されている。
【0017】
第2橋体2bは、互いに平行で、伸縮式ブリッジ1が渡設される渡設方向に延びた一対の第2筒状桟3bと、この一対の第2筒状桟3bの間を覆う第2床板4bを備えている。この第2筒状桟3bの収縮方向側の端部が第1筒状桟3aに挿入されている。
第2筒状桟3bの筒内部にその内径よりも外径が小さい後述する一対の第3筒状桟3cが筒軸線方向に入れ子式に嵌合され、第3筒状桟3cが第2筒状桟3bから伸縮する。
第2床板4bは、平坦な板であり、この上を人が歩行する。この第2床板4bの上面を後述する第3床板4cが第2筒状桟3bの筒軸線方向に摺動自在に重なる。
また第2橋体2bは、第2筒状桟3bと平行であって第2筒状桟3bの上方に設けられた互いに平行な一対の第2筒状手摺5bを備えている。
第2筒状手摺5bの筒内部にその内径よりも外径が小さい後述する一対の第3筒状手摺5cが筒軸線方向に入れ子式に嵌合され、第3筒状手摺5cが第2筒状手摺5bから伸縮する。
一対の第2筒状桟3bは、渡設方向の端部で第2連結部6bに連結されている。第2連結部6bには、第2床板4bの渡設方向の端部も連結されている。また、第2連結部6bには、第2筒状手摺5bの渡設方向の端部も第2支柱7bを介して連結されている。
【0018】
第3橋体2cは、第2橋体2bと同様に、第3筒状桟3c、第3床板4c、第3筒状手摺5c、第3連結部6c、第3支柱7cを備えている。
【0019】
第1橋体2a、第2橋体2b、第3橋体2cは、上述したように一対の筒状桟3の外径及び内径と、一対の筒状手摺5の外径及び内径と、床板4の高さとが順次異なるように形成されており、各橋体2の連結部6が接近する収縮状態と、連結部6が離間する延伸状態とに変更自在に構成されている。
【0020】
筒状桟3、床板4、筒状手摺5、連結部6及び支柱7の材質としては特に限定されないが、軽量で強度の高い材質が好ましく、アルミニウムやカーボングラファイト等を好適に用いることが出来る。特に筒状桟3及び筒状手摺5にアルミニウム管を用いれば伸縮式ブリッジを安価にすることができる。
【0021】
上述したように各橋体2が延伸、収縮するので、収縮状態で運搬することができる。このことにより伸縮式ブリッジ1を容易に運搬することができる。また、設置場所で各橋体2を延伸させるだけでよいので、容易に伸縮式ブリッジ1を設置することができる。
【0022】
次に、第2橋体2b、第3橋体2cの延伸、及び収縮を行うための構成について図3を用いて説明する。図3は伸縮式ブリッジ1の裏面の概略図であり、(a)は延伸状態の裏面の概略図であり、(b)は収縮状態の裏面の概略図である。
隣接する橋体である第1橋体2a、第2橋体2bにおいて、渡設方向の前方側の橋体である第2橋体2bの第2連結部6bが、渡設方向後方側の橋体である第1橋体2aの第1連結部6aを超えて後方に突出した突出部9aを備えている。突出部9aは第1連結部6aに開けられた穴を通って後方に突出している。
突出部9aには、第2橋体2bを第1橋体2aから延伸させる延伸用牽引部材10aの一端が連結されている。第1連結部6aの後方面には延伸用牽引部材10aが経由する第1経由部11aが設けられている。第1経由部11aは滑車であるが、延伸用牽引部材10aが経由できるならば滑車に限られない。延伸用牽引部材10aが滑動状態で係回できればよく、例えば延伸用牽引部材10aを引っかける丸棒のようなものでもよい。
延伸用牽引部材10aの他端は、第1経由部11aを経由し、後端部8に開けられた穴を通って後端部8の後方に延出している。
また、第2橋体2bを第1橋体2aに収縮させる収縮用牽引部材12aの一端が突出部9aを介して第2連結部6bに連結されており、収縮用牽引部材12aの他端が後端部8に開けられた穴を通って後端部8の後方に延出している。なお、収縮用牽引部材12aの一端は、突出部9aを介さずに直接第2連結部6bに連結されてもよい。
第2橋体2bが第1橋体2aから延伸する場合には延伸用牽引部材10aが後端部8側に引っ張られ、第2橋体2bが第1橋体2aに収縮する場合には収縮用牽引部材12aが後端部8側に引っ張られる。
なお、突出部9aには、第2橋体2bが第1橋体2aから抜け出すことを防止するストッパー13aが設けられている。
【0023】
延伸用牽引部材10a及び収縮用牽引部材10bの材質としては金属製ワイヤー、チェーン、天然繊維ロープ及び合成繊維ロープ等が用いられる。
【0024】
隣接する橋体である第2橋体2b、第3橋体2cにおいても、同様にして突出部9b、延伸用牽引部材10b、第2経由部11b、収縮用牽引部材12b、ストッパー13bが設けられている。
【0025】
上述したように第2橋体2b及び第3橋体2cが延伸用牽引部材10a、10b及び収縮用牽引部材12a、12bに連結されているので、第1橋体2aの後端部8でそれぞれの牽引部材を引っ張るだけで、容易に第2橋体2b及び第3橋体2cを延伸、収縮させることができる。
【0026】
次に、支柱間に設けられる間柱について、図4及び図5を用いて説明する。
前記橋体の内で他の橋体(第1橋体2a)から延伸する橋体である第2橋体2bは、第2筒状桟3bと第2筒状手摺5bとに筒軸線方向に摺動自在に取り付けられた間柱14aを備えている。
間柱14aは上部と下部とがリング形状になっており、上部で第2筒状手摺5bに嵌合し、下部で第2筒状桟3bに嵌合している。間柱14aは第2橋体2bが第1橋体2aに収縮している収縮状態のときには、収縮した第2連結部6bと第1連結部6aとの間に位置している。間柱14aは、第2連結部6bと連結している第2支柱7bに牽引部材15aで繋がれており、第2橋体2bが第1橋体2aから延伸するときに、牽引部材15aに引っ張られて引き出される。牽引部材15aの長さを調整することにより、引き出されたときの間柱14aの位置を調整することができる。牽引部材15aの材質としては金属製ワイヤー、チェーン、天然繊維ロープ及び合成繊維ロープ等が用いられる。
【0027】
第2橋体2bから延伸する第3橋体2cも、第2橋体2bと同様に、間柱14b及び牽引部材15bを備えている。
このように間柱14a、14bを筒軸線方向に摺動自在にし、第2支柱7b、第3支柱7cと牽引部材15a、15bで繋ぐことにより、延伸と同時に間柱14a、14bを適切な位置に容易に配置することができる。このことにより、間柱14a、14bを配置する手間が少なくなるので、伸縮式ブリッジ1の設置が容易になる。
なお、第1橋体2aも第1支柱7aと、第1橋体2aの渡設方向後方に設けた支柱7dの間に間柱を有している。
【0028】
本実施形態の伸縮式ブリッジ1を設置する方法を、伸縮式ブリッジ1を川に渡す例を用いて説明する。
(第1ステップ)図6(a)参照。伸縮式ブリッジ1の第1橋体2aの底に底板Hを取り付け、伸縮式ブリッジ1を川の岸W1に設置する。底板Hは、第1橋体2aの底から渡設方向後方に延出している。また、底板Hの中央付近にポールPが立っており、ポールPに第1橋体2aの支柱7dを固定する。ポールPの上端には牽引部材を経由させる滑車(図示せず)が設けられており、一端を第1連結部6aに連結された牽引部材LをポールPの上端の滑車を経由させて底板Hの端部に他端を固定する。また、底板Hの延出した箇所に重りMを積載する。このようにして、伸縮式ブリッジ1を岸W1に固定する。
なお、牽引部材Lの材質としては金属製ワイヤー、チェーン、天然繊維ロープ及び合成繊維ロープ等が用いられる。
(第2ステップ)図6(b)参照。延伸用牽引部材10a(図示せず)及び延伸用牽引部材10b(図示せず)を渡設方向後方に引っ張って、第2橋体2b及び第3橋体2cを渡設方向に延伸させ、伸縮式ブリッジ1を対岸W2に渡す。このとき、間柱14a及び14bが牽引部材15a及び15bによって引き出され、所定の位置に配置される。
(第3ステップ)図6(c)参照。支柱及び間柱の間に、筒状桟3と筒状手摺5とを斜めに連結するトラスTを取り付ける。このトラスTによって筒状手摺5の強度が高くなり、また、人の伸縮式ブリッジ1からの転落が防止される。
このように、本発明に係る伸縮式ブリッジ1は、設置現場で組み立てる必要がなく、設置現場に運搬して岸W1に固定し、延伸用牽引部材を引っ張るだけなので、容易に設置することができる。
【0029】
伸縮式ブリッジ1を撤去する場合には、トラスTを取り外した後に収縮用牽引部材12a、12bを引っ張って各橋体2を収縮させて撤去する。
【0030】
なお、上記実施形態においては、伸縮を延伸用牽引部材10a、10b及び収縮用牽引部材12a、12bによって行ったが、伸縮方法はこの方法に限られず、例えば第3橋体2cの先端をクレーンによって引っ張って伸縮させてもよい。
また、上記実施形態においては、間柱14a、14bを連結部6b、6cに連結された牽引部材15a、15bによって引き出し出して配置したが、この方法に限られず、例えば手動によって配置してもよい。
また、上記実施形態においては橋体を3台としたが、橋体の数は3台に限られず、複数なら何台でもよい。
また、床板4には、厳密に平坦な板だけでなく、人の歩行の障害のならない程度の凹凸を有した実質的に平坦な板も含む。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、例えば災害時等の緊急用の橋に好適に使用される。
【符号の説明】
【0032】
1 伸縮式ブリッジ
2 橋体
3 筒状桟
4 床板
5 筒状手摺
6 連結部
9a、9b 突出部
10a、10b 延伸用牽引部材
12a、12b 収縮用牽引部材
14a、14b 間柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6