特許第6376455号(P6376455)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6376455
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】人工透析装置の濾過器支持装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20180813BHJP
【FI】
   A61M1/16 179
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-174945(P2014-174945)
(22)【出願日】2014年8月29日
(65)【公開番号】特開2016-49177(P2016-49177A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082108
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】橋本 与志孝
(72)【発明者】
【氏名】坂下 敬章
【審査官】 松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06277277(US,B1)
【文献】 特開2005−028122(JP,A)
【文献】 特表2003−505208(JP,A)
【文献】 特開2003−320025(JP,A)
【文献】 特開平11−070164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/14 − 1/16
A61M 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析液を清浄化する濾過器を支持する人工透析装置の濾過器支持装置であって、
上記濾過器は、濾過材を収容し両端が閉じられた筒状のハウジングを備え、このハウジングに複数の液体流出入口が設けられ、
該濾過器のハウジングを支持する本体部を備え、この本体部に上記液体流出入口と接続する複数の接続部を設けた人工透析装置の濾過器支持装置において、
上記濾過器には、上記液体流出入口として上記ハウジングの長手方向一端側の外周面に筒状の第1流出入口が突出されるとともに、他端側の外周面に第1流出入口と同じ方向に向けて筒状の第2流出入口が突出され、さらに、上記他端側の端面にハウジングの長手方向に向けて筒状の第3流出入口が突出されており、
上記本体部には、複数の接続部として上記第1流出入口を差し込む第1差込口と上記第2流出入口を差し込む第2差込口が設けられるとともに、これら第1差込口と第2差込口に上記第1流出入口と第2流出入口を差し込んだハウジングの第3流出入口に対向させて、この第3流出入口を差し込む第3差込口を第3流出入口に向けて移動可能に設け、
上記第1流出入口と第2流出入口を第1差込口と第2差込口に差し込み、上記第3差込口を移動させて第3流出入口を差し込むことにより、濾過器を支持し、
上記第1差込口は上記濾過器に透析液を供給し、上記第2差込口は上記濾過器から濾過されない未濾過液を排出させ、上記第3差込口は上記濾過器から濾過された透析液を排出させることを特徴とする人工透析装置の濾過器支持装置。
【請求項2】
上記本体部に、上記第3流出入口を形成した他端側とは反対のハウジングの一端側の端面に当接する支持部を設け、
上記濾過器の第3流出入口を第3差込口に差し込んだ状態では、上記ハウジングの一端側の端面が支持部に当接して、これら第3差込口と支持部により濾過器を挟持することを特徴とする請求項1に記載の人工透析装置の濾過器支持装置。
【請求項3】
上記濾過器の筒状の第1流出入口と第2流出入口の少なくともいずれか一方の外周面に凹部または凸部が形成され、上記本体部の第1差込口および第2差込口の導入部には、上記凹部または凸部と係合する係合部が設けられ、
上記第1流出入口と第2流出入口を第1差込口と第2差込口に差し込んで、上記凹部または凸部に係合部を係合させるとともに、上記第3差込口に第3流出入口を差し込むことにより濾過器を支持することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の人工透析装置の濾過器支持装置。
【請求項4】
上記本体部の第1差込口と第2差込口は、支持する濾過器のハウジングの長手方向に移動可能な取付部材に取り付けられ、上記第1流出入口と第2流出入口を差し込んだ濾過器の長手方向への移動を許容することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の人工透析装置の濾過器支持装置。
【請求項5】
上記本体部は、上記第1差込口を下方に位置させその上方に第2差込口が位置するように配置され、上記第3差込口は第2差込口の斜め上方に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の人工透析装置の濾過器支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人工透析装置の濾過器支持装置に関し、より詳しくは、透析液を濾過する濾過器を支持する本体部に、濾過器に設けられた液体流出入口との接続部を備えた人工透析装置の濾過器支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人工透析装置においては、透析液からエンドトキシンを除去するために透析液回路の所要位置に濾過器を配置してあり、透析液を濾過器に透過させることにより、透析液を清浄化するようにしている。特に、透析液を血液回路に送って生理食塩液の代わりに使用するオンライン治療においては、透析液の十分な清浄化を確実に実現するために濾過器を二段で設けてあり、最初の濾過器と第2の濾過器に透析液を透過させることにより、該透析液を清浄化するようにしている。
このような濾過器は定期的に交換する必要があり、従来より濾過器を容易に着脱できる支持装置として、例えば特許文献1、特許文献2が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3923845号公報
【特許文献2】特許第4144938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1及び特許文献2の支持装置においては、濾過器の液体流出入口と支持装置の接続部との接続は、支持装置の各接続部をレバー操作で移動させて、各液体流出入口に押し付けて固定するようにしている。レバーは支持する濾過器の上下2カ所に対応させて設けてあり、濾過器を支持させる場合は、作業者が片方の手で濾過器を保持して液体流出入口と接続部とを位置合わせした状態で、もう片方の手でレバーを操作するようにしており、これを上下2カ所で行う必要がある。人工透析装置における濾過器の着脱作業は屈んだ状態で行うため、位置合わせ等の煩雑さを省いてできるだけ操作は容易である方が良く、また、いずれかのレバーの固定が不十分で不意に外れることがあると、液漏れや脱落のおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、本発明は、透析液を清浄化する濾過器を支持する人工透析装置の濾過器支持装置であって、
上記濾過器は、濾過材を収容し両端が閉じられた筒状のハウジングを備え、このハウジングに複数の液体流出入口が設けられ、
該濾過器のハウジングを支持する本体部を備え、この本体部に上記液体流出入口と接続する複数の接続部を設けた人工透析装置の濾過器支持装置において、
上記濾過器には、上記液体流出入口として上記ハウジングの長手方向一端側の外周面に筒状の第1流出入口が突出されるとともに、他端側の外周面に第1流出入口と同じ方向に向けて筒状の第2流出入口が突出され、さらに、上記他端側の端面にハウジングの長手方向に向けて筒状の第3流出入口が突出されており、
上記本体部には、複数の接続部として上記第1流出入口を差し込む第1差込口と上記第2流出入口を差し込む第2差込口が設けられるとともに、これら第1差込口と第2差込口に上記第1流出入口と第2流出入口を差し込んだハウジングの第3流出入口に対向させて、この第3流出入口を差し込む第3差込口を第3流出入口に向けて移動可能に設け、
上記第1流出入口と第2流出入口を第1差込口と第2差込口に差し込み、上記第3差込口を移動させて第3流出入口を差し込むことにより、濾過器を支持し、
上記第1差込口は上記濾過器に透析液を供給し、上記第2差込口は上記濾過器から濾過されない未濾過液を排出させ、上記第3差込口は上記濾過器から濾過された透析液を排出させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
上述した構成によれば、濾過器から突出する第1流出入口と第2流出入口を、それぞれ支持装置の第1差込口と第2差込口に差し込むことで、第3流出入口と第3差込口の位置が合った状態となり、この状態で第3差込口を移動させて第3流出入口を差し込むことで、濾過器を容易に支持させることができるとともに濾過器の各液体流出入口を支持装置の各接続部に確実に接続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例を示す断面図であり、図1(a)は濾過器を本体部に装着する前の状態を示し、図1(b)は濾過器を本体部に装着した状態を示している。
図2図1の濾過器の第3流出入口を第3差込口と接続する過程を示す図であり、図2(a)はカバーを下す前の状態を示し、図2(b)はカバーを下した状態を示し、図2(c)はその後にカバーが開口部に向けて引き込まれて開口部と嵌合した状態を示している。
図3】本発明の第2実施例を示す要部の斜視図であり、図3(a)は濾過器を本体部に装着する前の状態を示しており、図3(b)は濾過器を本体部に装着した状態を示している。
図4図3(b)の要部の水平断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1において1は濾過器2を支持する支持装置であり、この支持装置1は人工透析装置の本体外部に配置されている。
濾過器2は、長手方向の両端部が閉鎖された円筒状のハウジング5と、このハウジング5内に収容された濾過材としての中空糸膜6とから構成されており、本実施例においては、濾過器2の長手方向を鉛直方向に立てた状態で使用するようになっている。
ハウジング5には、液体流出入口として長手方向の一端側の外周面に円筒状の第1流出入口5Aが突出させて形成されており、長手方向の他端側の外周面には第1流出入口5Aと同じ向きで円筒状の第2流出入口5Bが突出させて形成されている。つまり、第1流出入口5A及び第2流出入口5Bは、相互に平行となるように設けられている。さらに、ハウジング5の上記他端側の端面には、ハウジング5の長手方向に向けて突出する円筒状の第3流出入口5Cが形成されており、この第3流出入口5Cを形成した他端側と反対のハウジング5の一端側の端部は平坦な端面2Aとして構成されている。第1流出入口5A、第2流出入口5B及び第3流出入口5Cにおける外周部の所定箇所には環状溝5aが形成されている。
本実施例においては、第1流出入口5Aは透析液が流入する導入口としてあり、第2流出入口5Bは濾過せずに排液する未濾過液排液口としている。また、第3流出入口5Cは濾過済みの透析液を流出させる排出口としており、この第3流出入口5Cを上方に向けて支持するようになっている。
第1流出入口5Aからハウジング5内に透析液が導入されると、中空糸膜6によって透析液が濾過されて透析液中のエンドトキシンが除去されるようになっており、中空糸膜6を透過した濾過済みの透析液は、第3流出入口5Cからハウジング5の外部へ排出されるようになっている。また、中空糸膜6の目詰まりを防止するために、第1流出入口5Aから中空糸膜6の表面を洗い流すための液体を流入させ、濾過せずに第2流出入口5Bから外部へ排出させてフラッシングを行うことができるようになっている。
【0009】
支持装置1は、内部が中空の柱状に形成された本体部7と、本体部7における前面の壁部7Aと開放された背面部7Bの間に図示しない案内ガイドによって昇降可能に収容された取付部材としての昇降プレート8と、昇降プレート8の下端と上端に設けられた第1差込口11と第2差込口12と、本体部7の上部である張り出し部7Dの内方に昇降可能に設けられた昇降ブロック13と、この昇降ブロック13に設けられた第3差込口14と、本体部7の張り出し部7Dに揺動可能に設けられて上記昇降ブロック13を昇降させるカバー15とを備えている。
本体部7は、複数の連結ねじによって図示しない人工透析装置に固定されている。本体部7の下部には支持部7Cが形成されており、この支持部7Cと対向するように本体部7の上部に張り出し部7Dが突き出して形成されている。支持部7Cの水平な上面の縁部には、円弧状のストッパ7Eが突設されており、上記ハウジング5の一端側の端面2Aが支持部7Cの水平な上面に当接した状態において、ハウジング5の端部に係合し側方から支持するようになっている。
【0010】
支持部7Cと張り出し部7Dとは前面の壁部7Aによって接続されており、この壁部7Aと背面の背面部7Bとの間の空間部に昇降プレート8が昇降可能に収容されている。
前面の壁部7Aにおける上端と下端の位置に縦長の開口部7J、7Kがそれぞれ形成されている。下方側の開口部7Jに第1接続部としての第1差込口11が設けられており、上方側の開口部7Kに第2接続部としての第2差込口12が設けられている。さらに、上記昇降ブロック13に第3接続部としての第3差込口14が設けられて上記第2差込口12の斜め上方に配置されている。
本実施例においては、各第1差込口11、第2差込口12及び第3差込口14として同じ構成のものを用いている。そこで、第1差込口11について説明すると、第1差込口11は、第1流出入口5Aを差し込むソケット11Aと、このソケット11Aを内側に進退動可能に保持した筒状のスリーブ11Bから構成される。ソケット11Aはコイルばね11Cにより付勢されて、通常は開口した先端部がスリーブ11Bの縁から突出した状態にあり、ここからコイルばね11Cの付勢力に抗して押し込むことができるようになっている。
ソケット11Aの開口近くには複数個のボール11Dが遊嵌されており、ソケット11Aの先端部をスリーブ11Bの前縁から突出させた状態では、ボール11Dはソケット11Aの外面側への突出が許容されるが、ソケット11Aの先端部をスリーブ11Bの内側に押し込んだ状態では、スリーブ11Bの内面に押されてソケット11Aの内面側に突出されるようになっている。また、ソケット11Aの開口側とは反対の末端部には、内側に環状のシール部材11Eが設けれるとともに、外側には液回路を構成する導管17との結合部11Fが形成されている。
このような第1差込口11の構成は、第2差込口12や第3差込口14も共通しており、それぞれにソケット12A、14A、スリーブ12B、14B、コイルばね12C、14C、ボール12D、14D、シール部材12E、14E、結合部12F、14Fを備えている。
【0011】
これら第1から第3の接続部において、第1差込口11はスリーブ11Bが本体部7の前面の壁部7Aに形成した開口部7Jに縦方向に摺動可能に嵌め込まれており、第2差込口12はスリーブ12Bが開口部7Kに縦方向に摺動可能に嵌め込まれている。そして、このような第1差込口11、第2差込口12を取り付けた昇降プレート8について説明する。昇降プレート8は縦長の短冊状に形成されており、この昇降プレート8の下端に第1差込口11のスリーブ11Bが固定されており、昇降プレート8の上端に第2差込口12のスリーブ12Bが固定され、これによって第1差込口11と第2差込口12は一体的に移動可能になっている。
第1差込口11と第2差込口12の取り付け間隔は、上記濾過器2の第1流出入口5Aと第2流出入口5Bの間隔に対応させている。
昇降プレート8は、本体部7内の下方側に配置された圧縮ばね22によって常時上方に向けて付勢されている。そのため、図1(a)に示した濾過器2が本体部7に装着される前の状態では、昇降プレート8は上昇端に停止している。この状態では、第1差込口11のスリーブ11Bは開口部7Jの上部内面に当接しており、第2差込口12のスリーブ12Bは開口部7Kの上部内面に当接している。
【0012】
次に、昇降ブロック13とそれを昇降させるカバー15について説明する。張り出し部7Dの内方に、鉛直方向の4本の昇降ガイド7Fが形成されており、これら4本の昇降ガイド7Fに昇降ブロック13が昇降可能に取り付けられている。張り出し部7Dの前面は開放された開口部7Gとなっており、張り出し部7Dの底面には開口部7Gから連続する半円形の開口7Hが形成されている。
昇降ブロック13は第3差込口14のスリーブ14Bからなり、第3差込口14は開口7Hの上方において昇降ガイド7Fに案内されて昇降されるようになっている。
第3差込口14は開口7Hを介して常時下方へ向けて露出した状態となっている。そして、図1(a)に示すように、濾過器2が本体部7に装着される前の状態では、カバー15は上方側の開放位置に位置しており、この状態では開口部7Gを介して第3差込口14は前面側にも露出した状態となっている。
張り出し部7Dの天面は、背面側よりも前面となる開口部7Gが徐々に高さが低くなる断面円弧状に形成されており、正面となる開口部7Gはカバー15によって閉鎖できるようになっている。張り出し部7Dの左右の側壁には、相互に対向させて一対の長孔7Lが穿設されており、それら一対の長孔7L内にカバー15の支持軸23の端部が挿通されている。
カバー15は、張り出し部7Dの天面と左右の側壁を覆うようにアーチ状に形成されており、カバー15の左右の側壁の下部にわたって上記支持軸23が取り付けられている。支持軸23の左右の端部の隣接箇所は、上記左右一対の長孔7Lに挿通させてあるので、支持軸23を回転中心としてカバー15は張り出し部7Dの天面と左右の側壁に沿って揺動できるようになっている。
左右の長孔7Lは水平方向に延びており、支持軸23と本体部7とにわたっては引っ張りばね24が取り付けられている。この引っ張りばね24によって支持軸23及びカバー15全体が本体部7の背面側に向けて常時引っ張られている。そのため、カバー15は、図1(a)に示した張り出し部7Dの天面上に停止した開放位置と、図1(b)に示した張り出し部7Dの開口部7Gに嵌まり込んで停止した閉鎖位置とに移動されるようになっている。カバー15における前面側の上部は盛り上がった突起部15Aとなっており、この突起部15Aを作業者が指でつまんでカバー15を揺動させるようになっている。カバー15が開放位置と閉鎖位置とに揺動されるのに連動して、昇降ブロック13(第3差込口14)が上下に移動するようになっている。
【0013】
図2に示すように、張り出し部7Dの左右の側壁の対向位置には、一対の縦長の開口部7Mが形成されており、上記カバー15の左右の側壁には内方側へ延びる一対のピン15Bが取り付けられている。そして、これら一対のピン15Bはその隣接位置となる開口部7Mを貫通してから昇降ブロック13の長孔13A内に挿入されている(図2(a)参照)。そのため、カバー15が支持軸23を回転中心として開放位置と閉鎖位置とに揺動されると、カバー15のピン15Bを介して昇降ブロック13(第3差込口14)が昇降ガイド7Fに沿って昇降されるようになっている。
カバー15が上昇端となる開放位置に停止している状態では、張り出し部7Dの開口部7Gは開放されるとともに昇降ブロック13(第3差込口14)は上昇位置に位置している。
この状態において、濾過器2を本体部7に装着するようになっており、その際に濾過器2の最上端となる第3流出入口5Cが開口部7Gと左右の昇降ガイド7F、7Fの間を通過して開口7H内に挿入されるとともに、第3差込口14の直下位置に位置するようになっている(図2(a)参照)。その後、作業者が突起部15Aを指でつまんでカバー15を揺動させて閉鎖位置まで引き下げると、引っ張りばね24によって引っ張られているカバー15は、開口部7Gを閉鎖すると同時に該開口部7Gにカバー15の天面が嵌まり込むようになっている(図2(b)、図2(c)参照)。また、カバー15が引き下げられるのと連動して第3差込口14が下方の第3流出入口5Cに向けて移動されるので、第3差込口14に対して濾過器2の第3流出入口5Cを差し込むことできるようになっている。カバー15の天面が開口部7Gに嵌まり込んだ状態では、引っ張りばね24によってその状態が維持されるので、その状態では第3差込口14に第3流出入口5Cを差し込んだ状態に維持されるようになっている。
【0014】
以上の構成において、本実施例の支持装置1に対する濾過器2の装着は次のようにして行う。
まず、本体部7内の昇降プレート8に取り付けられた第1差込口11、第2差込口12は、圧縮ばね22の付勢力により上昇位置にあり、各々のスリーブ11B、12Bはそれぞれ開口部7J、7Kの上部内面に当接している。カバー15は開放されており、第3差込口14は上昇位置にある。
この状態において、作業者は片方の手で第1流出入口5A、第2流出入口5Bを前方に第3流出入口5Cを上方に向けて濾過器2のハウジング5を把持し、第1流出入口5Aを第1差込口11に第2流出人口5Bを第2差込口12にそれぞれ差し込むとともに、第3流出入口5Cを張り出し部7Dの前面の開口部7Gから張り出し部7Dの内部に進入させる。この状態においては、第1差込口11のソケット11Aのボール11Dが、筒状の第1流出入口5Aの外周部に形成した環状溝5aに嵌り込み、また、第2差込口12のソケット12Aのボール12Dが、筒状の第2流出入口5Bの外周部に形成した環状溝5aに嵌まり込むことにより、ソケット11A、12Aのそれぞれにおいてボール11D、12Dがソケット11A、12Aの外周面から後退し、ソケット11A、12Aはコイルばね11C、12Cの付勢力に抗してスリーブ11B、12B内から背面部7Bに向けて押し出される。ソケット11A、12Aの内部では、第1流出入口5A、第2流出入口5Bの先端がシール部材11E、12Eに密着して液密を維持する。また、第3流出入口5Cは第3差込口14の下方に位置合わせされた状態となる。
その後、作業者は片手でこの状態を維持したまま、もう一方の手で突起部15Aをつまんでカバー15を揺動させて閉鎖位置に位置させる。これに連動して、昇降ブロック13(第3差込口14)が下方の第3流出入口5Cに向けて移動し、ソケット14Aのボール14Dが第3流出入口5Cの外周部に形成した環状溝5aに嵌り込むことで、コイルばね14Cの付勢力に抗してスリーブ14Bがさらに下降され、ソケット14Aは相対的にスリーブ14B内から上方へ押し出される。ソケット14Aの内部では、第3流出入口5Cの先端がシール部材14Eに密着して液密を維持する。これにより、第3差込口14に第3流出入口5Cを差し込んだ状態となる。
このように第3差込口14に第3流出入口5Cを差し込む際には、濾過器2は第1流出入口5Aが第1差込口11に第2流出入口5Bが第2差込口12に差し込まれた状態のまま下方へ押し下げられるが、第1差込口11と第2差込口12は、そのスリーブ11B、12Bが圧縮ばね22により上方に付勢された昇降プレート8に取り付けられているとともに、本体部7前面の壁部7Aに形成した縦長の開口部7J、7Kの上部内面に当接した状態にあるため、濾過器2の下方への移動に伴って一体的に下降できるようになっている。
このように、昇降ブロック13を下降させてカバー15を張り出し部7Dの開口部7Gに嵌合させて閉鎖状態として、第3流出入口5Cを第3差込口14に差し込んだ状態では、濾過器2は下方へ押し下げられて張り出し部7Dと対向させて形成した本体部7の支持部7Cの上面に、第3流出入口5Cを形成した他端側とは反対の一端側の端面2Aが当接し、これら第3差込口14と支持部7Cにより濾過器2が挟持された状態となり、支持部7Cに設けたストッパ7Eにも当接して確実に支持される。
【0015】
本実施例の支持装置1によれば、図1(b)に示した濾過器2を本体部7に装着した状態においては、濾過器2を横方向に引き抜くような動作をしない限り濾過器2が本体部7から抜けることはない。そのため、装着完了後に濾過器2と本体部7に多少の衝撃が加わった場合であっても、各第1〜3差込口11,12,14による各接続部から液が漏れることはない。しかも、濾過器2を本体部7に装着する際には、作業者は濾過器2を片手で持って本体部7に横方向から押し込んで、カバー15を下げることで容易に装着することができる。そのため、従来と比較して、着脱作業が容易であって、濾過器2の各第1〜3流出入口5A、5B、5Cを本体部7の各接続部である各第1〜3差込口11,12、14に確実に接続させることができる。
なお、支持装置1の本体部7に支持された濾過器2を取り外す場合は、前述した装着時とは逆の手順で行えばよい。つまり、先ず、作業者は片方の手で濾過器2のハウジング5を把持した状態で、もう片方の手でカバー15を上方へ揺動させて開放位置に位置させる。これにより、第3流出入口5Cが第3差込口14から抜き出される。この際、本体部7内に設けた圧縮ばね22の上方への付勢により昇降プレート8が上方へ移動し、第1差込口11、第2差込口12を介して濾過器2も上方へ移動する。これに伴って濾過器2の第3流出入口5Cを形成した他端側とは反対の一端側の端部が、本体部7の支持部7Cの水平な上面に突設させたストッパ7Eから外れ、これにより各第1差込口11、第2差込口12のスリーブ11B、12Bの内部に設けたコイルばね11C、12Cの付勢力によって、ソケット11A、12Aが押し出されて濾過器2を抜き出すことができるようになっている。
【0016】
次に、図3ないし図4は、支持装置1の本体部7における前面の壁面7Aに設けた接続部についての第2実施例を示したものであり、この第2実施例の接続部は、濾過器2の第1流出入口5Aおよび第2流出入口5Bを差し込む、第1差込口および第2差込口に採用することができる。図3ないし図4は、濾過器2の第1流出入口5Aを差し込む第1差込口16を示しており、第2流出入口5Bを差し込む第2差込口についてもこれと同じ構成を有することがきる。
この第2実施例の第1差込口16は、ソケット16Aと、その内部に設けた環状のシール部材16Bと、導管17との結合部16Cから構成され、ソケット16Aは本体部7の内部に設けた案内ガイド21に支持されて、濾過器2のハウジング5の長手方向にスライド移動可能となっている。本体部7の内部に配置した第1差込口16に対応させて、前面の壁部7Aには導入部7Nが形成されている。この導入部7Nは、筒状の第1流出入口5Aを挿入可能な円形の挿入孔7Naと、この挿入孔7Naから本体部7の支持部7Cが位置する下方に連続して形成され、第1流出入口5Aの外周部に設けた環状溝5aと係合可能な矩形の係合孔7Nbからなる鍵穴形となっている。すなわち、係合孔7Nbの開口幅は環状溝5aの底部の直径よりも若干大きく、環状溝5aを除く第1流出入口5A外周部分の直径よりも小さくなっており、第1流出入口5Aを挿入孔7Naに挿入した後、環状溝5aに係合孔7Nbの縁部を差し入れて第1流出人口5Aを挿人孔7Naから係合孔7Nb側に移動させることにより、導入部7Nから第1流出入口5Aを抜き出すことができなくなるロック手段として作用する。この場合、係合孔7Nbの縁部が凹部である環状溝5aと係合する係合部となる。
このような第2実施例の接続部を本体部7に採用した場合には、先に説明した第1実施例の場合と同様に、片方の手で濾過器2を把持して第3流出入口5Cを上方に向けた状態で、第1流出入口5A、第2流出入口5Bを前面の壁部7Aに設けた接続部に向ける。すなわち、図4(a)に示すように第1流出入口5Aを導入部7Nに対向させて、この状態から挿入孔7Naに第1流出入口5Aを挿入する。この状態では、図4に示すように第1流出入口5Aが、第1差込口16のソケット16Aに差し込まれて第1流出人口5Aの先端が環状のシール部材16Bに密着している。
この状態から、第1流出入口5Aの環状溝5aを係合孔7Nbに位置させ、濾過器2を支持部7Cの方へ移動させて係合孔7Nbの縁部を環状溝5aに差し入れて係合させる。このときソケット16Aは案内ガイド21によりスライド可能となっており、第1流出入口5Aの移動に伴って移動する。この状態では、濾過器2の第3流出入口5Cを形成した端部とは反対の端面2Aが、本体部7の支持部7Cの上面に当接した状態となり、端面2Aを備えた端部の側面がストッパ7Eに当接している、
この状態においては、濾過器2の第3流出入口5Cと本体部7の第3差込口14の位置が合った状態となっているので、第1実施例と同様にカバー15を閉鎖状態とすることで、第3差込口14に第3流出入口5Cを差し込むことができる。このような第2実施例であっても上記第1実施例と同様の作用・効果を得ることができる。なお、第1流出入口5Aの外周面に凹部として環状溝5aを形成した場合について説明したが、外周面に凸部を形成し、係合孔7Nbの縁部にこの凸部と係合する凹部を係合部として設けるようにしてもよい。また、このような導入部7Nの構成は、本体部7の第1差込口と第2差込口の何れか一方もしくは両方に設けることができる。
なお、上述した実施例は、支持装置1の本体部7を鉛直方向に立てた状態において濾過器2を装着するようにしているが、本体部7を横倒しの水平状態として、それに対して濾過器2を水平に装着するようにしても良い。
また、上述した実施例では濾過材として中空糸膜6を収容した濾過器2を用いているが、中空糸膜以外の濾過材を用いた濾過器にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0017】
1‥支持装置 2‥濾過器
5‥ハウジング 5A‥第1流出入口
5B‥第2流出入口 5C‥第3流出入口
7‥本体部 11‥第1差込口
12‥第2差込口 14‥第3差込口
図1
図2
図3
図4