特許第6376467号(P6376467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6376467
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】バスバー回路体
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20180813BHJP
   H05K 7/06 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   H02G3/16
   H05K7/06 C
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-230952(P2014-230952)
(22)【出願日】2014年11月13日
(65)【公開番号】特開2016-96640(P2016-96640A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2016年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】秋本 直哉
(72)【発明者】
【氏名】尾賀 勇也
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼ 武史
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−303405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
H05K 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバスバーが積層配置されてなるバスバー回路体であって、
前記複数のバスバーが埋設バスバーを含み、該埋設バスバーが耐熱性樹脂基板内にモールド成形されたバスバーモールド基板を備える一方、
前記複数のバスバーが載置バスバーを含み、該載置バスバーが前記バスバーモールド基板の表面に載置されており、
前記載置バスバーが、前記バスバーモールド基板に埋設された前記埋設バスバーに半田付けされることにより、前記バスバーモールド基板の前記表面に位置決め固定されていると共に、
前記バスバーモールド基板の前記耐熱性樹脂基板には、前記埋設バスバーの露呈部位を上下面に露呈させる一対の貫通孔が設けられている一方、
前記埋設バスバーの前記露呈部位には貫通穴が設けられており、
前記載置バスバーにおいて、前記貫通孔上に載置される載置部位に貫通穴が設けられており、少なくとも前記埋設バスバーの前記貫通穴と前記載置バスバーの前記貫通穴およびそれらの間が半田で充填されることにより前記半田付けがされている
ことを特徴とするバスバー回路体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバスバーが積層配置されてなるバスバー回路体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、バスバー回路体をケースの内部に収容して、内部回路を構成した電気接続箱が知られている。例えば、特開2010−220365号公報(特許文献1)に記載のものがそれである。このような電気接続箱によれば、内部回路を構成するバスバー回路体は、複数のバスバーが表面に載置された複数のバスバー絶縁板が多段に積層配置された構造とされている。そして、バスバー絶縁板で相互に絶縁された複数のバスバーが積層配置されることにより、高密度な回路が構成されているのである。
【0003】
ところで、このような従来構造のバスバー回路体においては、各バスバー絶縁板の表面に載置されたバスバーを位置決め固定することにより、その取扱い性や組み付け作業性の向上を図っている。例えば、バスバー絶縁板の表面には、バスバー収容溝が形成されており、各バスバーが対応する収容溝に収容配置されるようになっている。さらに、各収容溝の適所には、潰しリブが突設されており、バスバーの対応箇所に貫設した貫通孔に潰しリブを挿通させ、かかる潰しリブの頭部を熱圧縮等により潰して各バスバーをバスバー絶縁板に固定的に取り付けることが行われている。
【0004】
ところが、多数のバスバーをそれぞれ収容溝に収容配置したり、さらに潰しリブを潰してバスバー絶縁板に位置決め固定する作業は極めて煩雑であることから、作業が長時間に及ぶことで作業性が悪化し、コストアップにつながるという問題があった。
【0005】
さらに、従来構造のバスバー回路体では、バスバー絶縁板を介して積層配置された複数のバスバー同士を導通接続するためには、各バスバーに立設した接続端子同士を別部品である中継端子を介して接続する必要がある。その結果、部品点数の増加が避けられず、構造の複雑化や作業性の悪化が避けられなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−220365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、簡単な構造で部品点数の増加を伴うことなく、積層配置された複数のバスバーの位置決め固定や導通接続を安定して行うことができる、新規な構造のバスバー回路体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、複数のバスバーが積層配置されてなるバスバー回路体であって、前記複数のバスバーが埋設バスバーを含み、該埋設バスバーが耐熱性樹脂基板内にモールド成形されたバスバーモールド基板を備える一方、 前記複数のバスバーが載置バスバーを含み、該載置バスバーが前記バスバーモールド基板の表面に載置されており、前記載置バスバーが、前記バスバーモールド基板に埋設された前記埋設バスバーに半田付けされることにより、前記バスバーモールド基板の前記表面に位置決め固定されていると共に、前記バスバーモールド基板の前記耐熱性樹脂基板には、前記埋設バスバーの露呈部位を上下面に露呈させる一対の貫通孔が設けられている一方、前記埋設バスバーの前記露呈部位には貫通穴が設けられており、前記載置バスバーにおいて、前記貫通孔上に載置される載置部位に貫通穴が設けられており、少なくとも前記埋設バスバーの前記貫通穴と前記載置バスバーの前記貫通穴およびそれらの間が半田で充填されることにより前記半田付けがされていることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、積層配置される複数のバスバーが、耐熱性樹脂基板に一体的にモールド成形されてバスバーモールド基板を構成する埋設バスバーと、かかるバスバーモールド基板の表面に載置される載置バスバーを含んで構成されている。耐熱性樹脂基板からなるバスバーモールド基板は、高温のフロー工程もしくはリフロー工程等に通して半田付けを行うことが可能となる。それ故、バスバーモールド基板の表面に載置された載置バスバーをバスバーモールド基板に埋設された埋設バスバーに半田付けして、積層配置された複数のバスバーの回路接続を行うことが可能となる。これにより、従来構造の絶縁板を介して積層されたバスバー間接続に必須とされた中継端子が不要とされ、部品点数や作業工程の削減が可能となる。
【0010】
また、耐熱性樹脂基板に一体的にモールド成形される埋設バスバーは、モールド成形により耐熱性樹脂基板に位置決め固定されている。加えて、バスバーモールド基板に載置された載置バスバーは、埋設バスバーへの半田付けによりバスバーモールド基板の表面に位置決め固定される。このように載置バスバーの埋設バスバーへの半田付けによる固定力を利用して、従来構造において絶縁板に対するバスバーの位置決め固定に必要とされた潰しリブ等の数やバスバー収容溝の設定領域を削減乃至は省略することができる。それ故、バスバー回路体の構造の簡素化や作業工程の削減を有利に実現し得るのである。
【0014】
さらに、本態様では、載置バスバーと埋設バスバーにそれぞれ貫通穴を設けると共に、バスバーモールド基板の耐熱性樹脂基板に一対の貫通孔を設けるという簡単な構成で、各貫通穴およびそれらの間に貫通孔を通じて半田を充填することができる。そして、少なくとも埋設バスバーの貫通穴と載置バスバーの貫通穴およびそれらの間が半田で充填されることにより、載置バスバーと埋設バスバーの半田付けが完了し、それらの導通接続と、載置バスバーの位置決め固定を確実且つ安定して行うことができる。これにより、従来必要とされた中継端子等の別部品を要することなく、積層配置されたバスバーの接続を行うことが可能となる。
【0015】
しかもリード部等の突出部を載置バスバーに設けることなく半田付けが可能であることから、載置バスバーの歩留りの向上も図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、耐熱性樹脂基板に一体的にモールド成形されてバスバーモールド基板を構成する埋設バスバーと、バスバーモールド基板の表面に載置される載置バスバーを含んで構成されている。耐熱性樹脂基板からなるバスバーモールド基板は、高温の半田付け工程を通すことが可能であることから、半田付けにより載置バスバーを埋設バスバーに接続することが可能となる。これにより、従来バスバー間接続に必須とされた中継端子が不要とされ、部品点数や作業工程の削減が可能となる。しかも、埋設バスバーは、モールド成形により耐熱性樹脂基板に位置決め固定されている。加えて、載置バスバーは、埋設バスバーへの半田付けによりバスバーモールド基板の表面に位置決め固定される。これにより、従来絶縁板に対するバスバーの位置決め固定に必要とされた潰しリブ等の固定構造が簡素化でき、バスバー回路体の構造の簡素化や作業工程の削減を有利に実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態としてのバスバー回路体を示す分解斜視図。
図2図1に示すバスバー回路体の組付状態の平面図(但し、電気部品を除く)。
図3図2に示すバスバー回路体の底面図。
図4図2におけるIV−IV断面の要部拡大図。
図5】本発明のバスバー回路体に用いられる載置バスバーと埋設バスバーの半田付けの他の態様を示す図であって、図4に相当する要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1〜4に、本発明の一実施形態としてのバスバー回路体10を示す。図1及び図2に示されているように、バスバー回路体10は、載置バスバー12と、埋設バスバー14が耐熱性樹脂基板16内にモールド成形されたバスバーモールド基板18を含んで構成されている。そして、載置バスバー12が、バスバーモールド基板18の上側表面20に載置されると共にバスバーモールド基板18に埋設された埋設バスバー14に半田付けされることにより、複数のバスバー12,14が積層配置されてなるバスバー回路体10が構成されるようになっている。なお、以下の説明において、特に断りのない場合には、上方とは、図1中の上方、下方とは、図1中の下方をいうものとする。
【0020】
図1及び図2に示されているように、バスバーモールド基板18は、複数本の埋設バスバー14と、複数本の埋設バスバー14を埋設状態で覆う耐熱性樹脂基板16を含んで構成されている。埋設バスバー14は、導電性金属板がプレス打ち抜きおよび屈曲加工されて形成されており、具体的には、埋設バスバー14の一方の端部が、耐熱性樹脂基板16の側縁部から突出すると共にクランク形状に屈曲されて形成されている。これにより、例えば図示しないコネクタハウジング内に挿入されてコネクタの端子金具として機能するコネクタ接続端子部22が構成されている。各埋設バスバー14は、側縁部から突出する一方の端部以外の部分が、耐熱性樹脂基板16の内部に埋設されており、図3に破線で示す所望の回路形状で延出している。
【0021】
一方、耐熱性樹脂基板16は略矩形の板形状とされており、例えばポリイミド樹脂(PI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミドイミド(PAI)、アリル樹脂(PDAP)等の耐熱性樹脂により射出成形等によって一体的に形成されている。なお、かかる耐熱性樹脂の耐熱温度は、260℃以上とされていることから、耐熱性樹脂からなるバスバーモールド基板18は、鉛フリー半田用等の高温のフロー工程(240℃)もしくはリフロー工程(260℃)等に通して半田付けを行うことが可能とされている。
【0022】
図1に示されているように、耐熱性樹脂基板16の側縁部には、側縁部の全長に亘って上側表面20から上方に向かって突出する縦壁部24が設けられており、コネクタ接続端子部22の基端部が耐熱性樹脂基板16の縦壁部24に埋設状態で保持されている。また、図1及び図2に示されているように、耐熱性樹脂基板16の上側表面20には、載置される載置バスバー12の形状に部分的に対応したバスバー収容溝26が形成されている一方、バスバー収容溝26には潰しリブ28が突設されている。さらに、図2及び図3に示されているように、耐熱性樹脂基板16の上側表面20と下側表面30には、一対の貫通孔32,32が、平面視で同じ位置に設けられている。そして、図4に示されているように、かかる一対の貫通孔32,32により、埋設バスバー14の露呈部位34が、耐熱性樹脂基板16の上側表面20と下側表面30に露呈されている。加えて、埋設バスバー14の露呈部位34には貫通穴36が設けられている。
【0023】
図1に示されているように、載置バスバー12は、複数本のバスバーから構成されており、例えば導電性金属板がプレス打ち抜きおよび屈曲加工されて形成されている。より詳細には、載置バスバー12の一方の端部がクランク形状に屈曲されて形成されることにより、上述のコネクタ接続端子部22の一部が構成されている一方、載置バスバー12の他方の端部が鉛直方向下方に向って屈曲されてリード部38が形成されている。そして、コネクタ接続端子部22とリード部38の間に位置する載置バスバー12の平坦な部位には、潰しリブ挿通孔40が板厚方向に貫設されている。
【0024】
そして、このような構成とされた載置バスバー12が、バスバーモールド基板18の耐熱性樹脂基板16のバスバー収容溝26に収容配置される。この際、バスバー収容溝26に設けられた潰しリブ28に対して載置バスバー12の潰しリブ挿通孔40が挿通され、潰しリブ28の先端部が潰されることにより、載置バスバー12が耐熱性樹脂基板16の上側表面20上に位置決め保持されている。図4に示されているように、かかる位置決め保持状態において、載置バスバー12に設けられたリード部38が、バスバーモールド基板18の耐熱性樹脂基板16に設けられた一対の貫通孔32,32および埋設バスバー14に設けられた貫通穴36に挿通配置されている。さらに、図1に示されているように、かかる位置決め保持状態において、バスバーモールド基板18に実装されるリレー44や抵抗素子46に対しても同じように、それらのリード部48が、バスバーモールド基板18の耐熱性樹脂基板16に設けられた一対の貫通孔32,32および埋設バスバー14に設けられた貫通穴36に挿通配置されるようになっている。
【0025】
次に、載置バスバー12のリード部38が一対の貫通孔32,32および貫通穴36に挿通配置された状態で、フロー工程もしくはリフロー工程等に通すことにより半田付けが行われる。この結果、載置バスバー12がバスバーモールド基板18に埋設された埋設バスバー14に半田付けされることから、載置バスバー12がバスバーモールド基板18の上側表面20に対して位置決め固定されるのである。かかる半田付けは、図4に示されているように、リード部38と貫通穴36の隙間やリード部38と一対の貫通孔32,32の隙間が半田42で充填されることにより行われる。なお、今回の半田付けは載置バスバー12と埋設バスバー14を接続するためであることから、少なくともリード部38と貫通穴36の隙間が半田42で充填されていればよい。また、図4では、理解を容易とするために、半田42は仮想線で記載されている。
【0026】
本実施形態では、載置バスバー12のリード部38が一対の貫通孔32,32および貫通穴36に挿通配置された状態でそれらの隙間を半田42で充填するという簡単な構成で、載置バスバー12と埋設バスバー14の半田付けを確実且つ固定的に行うことができるようになっている。それ故、従来の如き中継端子等の別部品を用いることなく、積層された複数のバスバー12,14間の導通接続を安定して行うことができる。しかも、載置バスバー12のリード部38が埋設バスバー14の貫通穴36を挿通した状態で半田付けが行われていることから、半田42を介して載置バスバー12と埋設バスバー14の接続面積を増やすことができる。その結果、載置バスバー12と埋設バスバー14の接続強度を有利に確保することができる。
【0027】
なお、このような半田付けは、バスバーモールド基板18に実装されるリレー44や抵抗素子46に対しても同じように適用することができる。すなわち、リレー44や抵抗素子46のリード部48を一対の貫通孔32,32および貫通穴36に挿通配置した状態で、フロー工程もしくはリフロー工程等を通すことにより、リード部48を所望の埋設バスバー14に半田付けを行うことができるのである。
【0028】
このような構造とされた本実施形態のバスバー回路体10によれば、バスバーモールド基板18を構成する耐熱性樹脂の耐熱温度は260℃以上とされていることから、バスバーモールド基板18は、高温のフロー工程(240℃)もしくはリフロー工程(260℃)等に通して半田付けを行うことが可能とされている。従って、載置バスバー12を埋設バスバー14に直接半田付けすることができるので、従来の如き中継端子等の別部品が不要とされ、部品点数や作業工程の削減が可能となる。
【0029】
また、埋設バスバー14は、モールド成形により耐熱性樹脂基板16に位置決め固定されている。加えて、バスバーモールド基板18の上側表面20上に載置された載置バスバー12は、埋設バスバー14への半田付けによりバスバーモールド基板18の上側表面20に位置決め固定される。かかる半田付けによる固定力を利用することにより、載置バスバー12においても、従来の如き絶縁板に対するバスバーの位置決め固定に必要とされた潰しリブ28等の数を減らしたり、バスバー収容溝26の形成領域を載置バスバー12間や隣接する電気部品との絶縁を図るために必要な領域に限定して設けることが可能となる。それ故、バスバー回路体10の構造の簡素化や作業工程の削減を有利に実現し得るのである。
【0030】
次に、図5を用いて、本発明のバスバー回路体10に用いられる載置バスバー12と埋設バスバー14の半田付けの他の態様について詳述するが、上記実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、図中に、上記実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。すなわち、かかるバスバー回路体50は、載置バスバー12において、貫通孔32上に載置される載置部位52に貫通穴54が設けられており、貫通穴36,54や一対の貫通孔32,32が半田56で充填されることにより載置バスバー12が埋設バスバー14に半田付けがされている点に関して、上記実施形態と異なる実施形態を示すものである。なお、今回の半田付けは載置バスバー12と埋設バスバー14を接続するためであることから、少なくとも埋設バスバー14の貫通穴36と載置バスバー12の貫通穴54およびそれらの間が半田56で充填されていればよい。なお、図5では、理解を容易とするために、半田56は仮想線で記載されている。
【0031】
本実施形態によれば、バスバーモールド基板18の耐熱性樹脂基板16に一対の貫通孔32,32を設ける一方、載置バスバー12と埋設バスバー14においてそれぞれ貫通穴36,54を設けるという簡単な構成で、少なくとも埋設バスバー14の貫通穴36と載置バスバー12の貫通穴54およびそれらの間を半田56で充填することができる。これにより、載置バスバー12と埋設バスバー14を半田付けすることができることから、それらの導通接続と、載置バスバー12のバスバーモールド基板18の上側表面20に対する位置決め固定を確実且つ安定して行うことができる。それ故、従来の如き中継端子等の別部品を用いることなく、積層された複数のバスバー12,14間の接続を行うことが可能となる。しかも、リード部38等の突出部を載置バスバー12に設ける必要が無いことから、載置バスバー12の歩留りの向上も図ることができる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前述の実施形態では、載置バスバー12としてバスバーモールド基板18の上側表面20に載置されたものについて記載したが、載置バスバー12はバスバーモールド基板18の下側表面30やその両方20,30に載置されていてもよい。その場合でも、載置バスバー12は半田付けによりバスバーモールド基板18の下側表面30に固定されているので、従来の如き中継端子等の別部品が不要とされ、部品点数や作業工程の削減が可能となる等、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。このように、バスバーモールド基板18の上側表面20と下側表面30によって、バスバーモールド基板18の表面が構成されているのである。
【0033】
また、前述の実施形態では、載置バスバー12にリード部38が設けられたバスバー回路体10の半田付け構造と載置バスバー12に貫通穴54が設けられたバスバー回路体50の半田付け構造について説明を行ったが、載置バスバー12にリード部38と貫通穴54の両方が設けられてリード部38と貫通穴54に対して埋設バスバー14が半田付けされるようになっていてもよい。
【0034】
さらに、前述の実施形態では、潰しリブ28が載置バスバー12の潰しリブ挿通孔40に挿通され、潰しリブ28の先端部が潰されることにより、載置バスバー12が耐熱性樹脂基板16の上側表面20上に位置決め保持されていた。しかしながら、載置バスバー12は、埋設バスバー14に半田付けされることでバスバーモールド基板18の上側表面20に対して位置決め固定されていることから、潰しリブ28による上側表面20上への位置決め固定は無くてもよい。
【符号の説明】
【0035】
10,50:バスバー回路体、12:載置バスバー(バスバー)、14:埋設バスバー(バスバー)、16:耐熱性樹脂基板、18:バスバーモールド基板、20:上側表面(表面)、30:下側表面(表面)、32:貫通孔、34:露呈部位、36:貫通穴、38:リード部、42,56:半田、52:載置部位、54:貫通穴
図1
図2
図3
図4
図5