特許第6376487号(P6376487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6376487
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】軒樋支持具
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/072 20060101AFI20180813BHJP
【FI】
   E04D13/072 501J
   E04D13/072 501B
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-182679(P2013-182679)
(22)【出願日】2013年9月4日
(65)【公開番号】特開2015-48680(P2015-48680A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】503267858
【氏名又は名称】有限会社 広島金具製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100091719
【弁理士】
【氏名又は名称】忰熊 嗣久
(72)【発明者】
【氏名】水ノ上 貴史
【審査官】 坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−137938(JP,U)
【文献】 実開昭58−045830(JP,U)
【文献】 実開昭53−125354(JP,U)
【文献】 実開昭60−011931(JP,U)
【文献】 実開平07−029165(JP,U)
【文献】 実開昭61−107821(JP,U)
【文献】 特開平09−096065(JP,A)
【文献】 特開2001−107522(JP,A)
【文献】 仏国特許発明第2114074(FR,A5)
【文献】 仏国特許発明第1548560(FR,A)
【文献】 特開平09−088271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 1/00− 3/40
E04D 13/00−15/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端で軒樋の耳縁に係合して該軒樋を吊持する帯状の支持本体部と、
前記支持本体部に固定される帯状の鋼板を長さ方向に屈曲した固定部であって、互いが重なり合うように屈曲された第1辺部と第2辺部と、前記第2辺部から折り曲げられ前記第2辺部となす角度が取り付けられるべき屋根勾配の角度に対応する第3辺部とを有し、前記第1辺部にはタッピングネジが遊挿される第1透孔が設けられ、前記第1辺部に正対する前記第2辺部の位置には、前記第1透孔に挿入されたタッピングネジにより、内周面に雌ネジが形成される下孔が設けられた固定部とを有し、
折板屋根の折板の前端部を前記第1辺部と第2辺部とで挟み、前記タッピングネジが前端部を貫き、前記下孔に雌ネジを形成しつつ螺合し、かつ
前記第1辺部は、前記第2辺部よりも張り出した張出部を有し、該張出部に前記第1辺部及び前記折板を結合させるためのボルトを挿通される第2透孔を形成されていることを特徴とする金具
【請求項2】
前記固定部は、前記支持本体部の長さ方向中央付近の第3透孔に挿通される螺軸により、前記支持本体部に固定され、
前記螺軸が前記軒樋の重心の直上に位置し、前記第1透孔が前記螺軸の鉛直線上付近に設けられていることを特徴とする請求項1記載の軒樋吊り金具。
【請求項3】
前記螺軸は、前記固定部を前記支持本体部に対する上下の相対位置を調整可能なように、前記支持本体部の長さ方向中央付近の第3透孔に挿通されて前記支持本体部を固定し、
前記第3辺部が前記螺軸の上側の側面に溶接され、前記螺軸が前記軒樋の重心の直上に位置して、前記第1透孔が前記螺軸の鉛直線上付近に設けられることを特徴とする請求項2記載の軒樋吊り金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折板屋根の軒先に配置される軒樋を支持する軒樋吊り金具に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来の軒樋吊り金具3による軒樋2の施工例を示している。図4Aは、工場等に良く利用される折板1aの使用された折板屋根1において、軒樋2が軒樋吊り金具3により吊り支持された従来例である。折板屋根1の屋根勾配(=tanθ1、ここにθ1は屋根傾斜角)は一般に100分の3程度である。なお、図4中、イは屋根受け用のC型鋼、ロは外壁パネル、ハは外壁パネルロを結合するC型鋼であり、以下、各図において対応する部材に同一の符号を付す。
【0003】
一方、図4B及び図4Cは波形スレート4aの使用されたスレート屋根4において軒樋2が軒樋吊り金具3又は軒樋受け金具5により支持された従来例を示している。スレート屋根4の屋根勾配(=tanθ2、ここにθ2は屋根傾斜角)は一般に10分の3程度である。このタイプの金具は、軒樋2を片持ち状態で支持するため、軒樋や雨水の重さで軒樋が傾くため、大型の軒樋には向かない。
【0004】
長期に亘って使用された図4B又は図4Cに示すようなスレート屋根4を改修する場合、スレート屋根4を撤去するのではなく、スレート屋根4を形成していた波形スレート4aの上面に折板1aを重ね合わせる改修工法がある。図3はこのような改修工法によって改修されたスレート屋根4を示している。この改修工法によれば、改修途中でスレート屋根4が除去された際に、雨ざらしになることを避けられ、また廃棄物の量も減らせるというメリットがある。
【0005】
この改修済み屋根1に軒樋2を設置する場合、図4Aに示す既存の軒樋吊り金具3では軒樋2を折板1aに対し安定的に吊り支持できない。屋根勾配が10分の3程度と急峻になっているからである。
【0006】
特許文献1には、屋根勾配が100分の3程度である一般的な折板屋根における軒樋を吊り支持する軒樋吊り金具が開示されている。この軒樋吊り金具はそのままの使用では折板の前端部に固定される軒先固定具Aの曲がり角度では、図3に示す改修済み屋根のように屋根勾配が10分の3程度である折板屋根における軒樋を適正姿勢に支持することはできない。さらに、軒先固定具Aの曲がり角度を調整したとしても、片持ち状態で軒樋を吊り支持するため、大型の軒樋を保持する上で不利である。
【0007】
特許文献2には、傾斜面に形成されたワッシャーを介して屋根勾配に対応している。折板屋根に金具を取り付ける際の部品点数が多くなり、作業に時間を要する点で不利である。尚、特許文献2においては、螺軸杆(図4Aの符号3aに相当)を無理やり曲げて、屋根勾配に対応する例も開示しているが、作業性が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭62−137938号公報
【特許文献2】特開2001−49813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、屋根勾配が急な折板屋根であっても、折板に簡単に固定させることができ、大型の軒樋にも対応可能な軒樋吊り金具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る軒樋吊り金具は、両端で軒樋の耳縁に係合して該軒樋を吊持する帯状の支持本体部と、
前記支持本体部に固定される帯状の鋼板を長さ方向に屈曲した固定部であって、互いが重なり合うように屈曲された第1辺部と第2辺部と、前記第2辺部から折り曲げられ前記第2辺部となす角度が取り付けられるべき屋根勾配の角度に対応する第3辺部とを有し、前記第1辺部にはタッピングネジが遊挿される第1透孔が設けられ、前記第1辺部に正対する前記第2辺部の位置には、前記第1透孔に挿入されたタッピングネジにより、内周面に雌ネジが形成される下孔が設けられた固定部とを有し、
折板屋根の折板の前端部を前記第1辺部と第2辺部とで挟み、前記タッピングネジが前端部を貫き、前記下孔に雌ネジを形成しつつ螺合し、かつ
前記第1辺部は、前記第2辺部よりも張り出した張出部を有し、該張出部に前記第1辺部及び前記折板を結合させるためのボルトを挿通される第2透孔を形成されていることを特徴とする
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、タッピングネジに回転力及び押力を付与するという簡易な作業を行うことで、第1辺部及び第2辺部とにより、これらの間に位置された折板を、迅速にかつ挟み込み強固に固定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例である軒樋吊り金具の斜視図である。
図2】軒樋吊り金具の使用例を示す側面視断面図である。
図3】スレート屋根を改修した屋根の斜視図である。
図4】従来の軒樋吊り金具と吊り金具を示す図である。
図5】他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0013】
図1において、実施例の軒樋吊り金具100は、帯状の支持本体部6、固定部8、固定部8を支持本体部6に固定する螺軸7からなっている。螺軸7は支持本体部6と垂直に交差し、支持本体部6の長さ方向中央付近で、位置調整可能に固定されるものであって、支持本体部6の中央辺部b1に設けられ、その長さ方向に長い透孔6cに挿通される。螺軸7としては、少なくとも片側に雄螺子が設けられたねじ軸や棒螺子、又はボルトが利用できる。螺軸7は、ワッシャー12a、12bをはさんで一対のナット11a、11bにより中央辺部b1に螺合されことにより、鉛直向きに支持本体部6に立設される。
【0014】
固定部8は、帯状の鋼板を屈曲することにより一体状に成形されており、互い折り重ね合わされた第1辺部8aと第2辺部8bと、第2辺部8bから屈曲され鉛直向きの第3辺部8cからなる。また第1辺部8aは第2辺部8bの後端から張り出した張出部e2を有する。第3辺部8cは、螺軸7の上側の側面に、螺軸7の直上に第1辺部8aと第2辺部8bが重ね合わされた箇所が来るように溶接されている。第2辺部8bと第3辺部8cとがなす角度は、取り付けられる屋根勾配の角度に対応して決められており、屋根に取り付けたとき第3辺部8cが鉛直方向となる角度になっている。
【0015】
第1辺部8aのうち、螺軸7の軸線上であって第2辺部8bの真上となる範囲内にタッピングネジ13の遊挿される第1透孔f1が形成されている。そして第2辺部8bのうち透孔f1と正対する位置にはタッピングネジ13のねじ谷直径以下の直径であるネジ成形用下孔f2が形成されている。また第1辺部8aの張出部e2には他のボルト14(図2)の遊挿される第2透孔f3が形成されている。
【0016】
支持本体部6の両端は、固定されるべき軒樋の形態に応じて様々な形状を取りうるものである。実施例に例示されている支持本体部6の一端(符号6b側)においては、中央辺部b1から斜めに延出された傾斜部b2と、この傾斜部b2から中央辺部b1と平行に延出された辺部b3と、辺部b3の前端を斜めに延出された係合爪部b4とを有している。
【0017】
一方、支持本体部6の他端(符号6b側)は、中央辺部b1から斜めに延出された傾斜部b5と、傾斜部b5から中央辺部b1と平行に延出された辺部b6と、この辺部b6から傾斜部b5と反対側に延出された垂下辺部b7と、この垂下辺部b7の下端を中央辺部b1側に延出された段部b8と、この段部b8の前端を垂下辺部b7と平行に延出された垂下辺部b9とを有している。さらに、中央辺部b1の後部から延出された弾性板9が溶接により固定されている。この弾性板9は起立面部9aを有し、この起立面部9aの少なくとも一部が段部b8の上面より上方に位置され、この起立面部9aと垂下辺部b9との間には隙間d1が形成されている。
【0018】
図2には、支持本体部6の両端が軒樋2の耳縁に係合する2つの例が示されており、図2Aでは、軒樋2の耳縁2aの方がより耳縁2bよりも高く形成されている。一方、図2Bにおいては、両側の耳縁2a、2bの形態は対象形となっている。支持本体部6は、軒樋2の前後側の耳縁2a、2b間に橋渡しされる状態に配置され、一端を軒樋2の前側の耳縁2aを係合し、他端を軒樋2の後側の耳縁2bを係合して、軒樋2を吊持する。
【0019】
図2Aの軒樋2において、軒樋2の耳縁2aの中に支持本体部6の係合爪部b4を差込み位置保持する。一方、軒樋2の耳縁2bに対して、傾斜部b5、辺部b6、垂下辺部b7、段部b8及び弾性板9により囲まれた領域d2から耳縁2bが、弾性板9を押しのけて挿入される。弾性板9が復帰することにより軒樋2の脱落は防止される。
【0020】
図2Bの軒樋2に対しては、支持本体部6は、その一端において、傾斜部b2と、辺部b3と、係合爪部b4に代えて、傾斜部b5、辺部b6、垂下辺部b7、段部b8及び弾性板9と同一の構成の傾斜部b10、辺部b11、垂下辺部b12、段部b13及び弾性板15を有している。
【0021】
図2を用いて、軒樋吊り金具100を利用した軒樋2の設置について説明する。
まず折板屋根1における折板1aの前端部のうちスレート4aと重なっていない先端部を第1辺部8aと第2辺部8bとの間に位置させるように固定部8を折板1aの前端部の前側から係合させる。
【0022】
次に、タッピングネジ13を第1透孔f1に嵌挿させ、この後、電動ドライバーなどによりタッピングネジ13に押力及び回転力を付与する。これによりタッピングネジ13は折板1aの前端部に孔を形成し、続いて第2辺部8bのネジ成形用下孔f2の内周面に雌ネジを形成して、この雌ネジに螺合して第1辺部8a、折板1aの前端部、及び第2辺部8bを一体状に結合した状態となる。これにより軒樋吊り金具100は折板1aの先端部に固定された状態となる。
【0023】
なお、このようなタッピングネジ13によるネジ形成用下孔f2へのネジ切りなどに失敗したときは、第2透孔f3の位置に第1辺部8aと折板1aを貫通する貫通孔を穿孔し、ボルト14を折板1aの下側からナットで締結する。これにより軒樋吊り金具100は折板1aの先端部に固定された状態となる。
【0024】
上記のような処理を繰り返して必要数の軒樋吊り金具100を折板1aに取り付け、次に、軒樋2を取り付ける。そして、それぞれの軒樋吊り金具100において一対のナット11a、11bを操作することにより、支持本体部6及び縦向き螺軸7の前後及び上下方向の相対配置を適正化させるように調整する。
【0025】
軒樋2の重心の真上に螺軸7が鉛直に伸びた配置であれば、軒樋2が自重により傾くことが避けられる。タッピングネジ13は螺軸7の延長線上の近傍の位置で、第1辺部8aと第2辺部8bとにより折板1aを挟み込んで固定する。挟み込んで固定することにより、強い固定力が得られる。また、タッピングネジ13は螺軸7の延長線上の近傍の位置で固定するため、軒樋吊り金具100は、軒樋2の重量を垂直に支えた上で、その直上付近で折板1aに固定することができ、軒樋吊り金具100自体の曲がり変形も発生し難くなる。
【0026】
上記実施例においては、第3辺部8cを螺軸7の上側の側面に溶接して接続したが、螺軸7の直系方向に貫通孔を穿孔して、第3辺部8cを螺軸7側面にボルトで固定しても良い。
【実施例2】
【0027】
実施例2の軒樋吊り金具200は、実施例1における螺軸7と固定部8を、夫々螺軸70と固定部80に変更したものである。実施例2は、屈曲した帯状の鋼板からなる固定部80の第3辺部8cは実施例1よりも長くかつ、さらにL字状に曲げられて第4辺部80dが設けられている。第4辺部80dには、螺軸70が貫通する孔が設けられており、螺軸70及びナット11b、ワッシャー12a、12bを用いて、支持本体部6に設けられた透孔6cに固定されている。ここにおいて、螺軸70として有頭ボルトを用いたので、実施例1におけるナット11aは不要である。図において、固定部8と同じ固定部80の箇所は、同一符号が付してある。本実施例2においても、軒樋2の重心の真上に螺軸70が存在し、第1透孔f1の位置は螺軸7の延長線上の近傍の位置である。
【0028】
実施例2の軒樋吊り金具200によれば、螺軸70と固定部80の接続により、螺軸70と支持本体部6の接続を兼ねることができるという効果がある。
【符号の説明】
【0029】
1 折板屋根
1a 折板
2 軒樋
2a、2b 耳縁
6 支持本体部
7 螺軸
8 固定部
8a 第1辺部
8b 第2辺部
13 タッピングネジ
図1
図2
図3
図4
図5