(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
粉末緑茶抽出物と多価不飽和脂肪酸を含む粉末調合物とを含む組成物であって、前記多価不飽和脂肪酸はドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)またはこれらの混合物を含み、前記粉末緑茶抽出物と前記多価不飽和脂肪酸を含む粉末調合物とを合わせた量が、前記組成物の少なくとも90重量%であり、かつ前記粉末緑茶抽出物が、前記粉末緑茶抽出物の重量を基準にして80重量%を超える総ポリフェノール、40〜80重量%の総カテキン、及び40〜60重量%の没食子酸エピガロカテキン(EGCG)および5〜20重量%のエピガロカテキン(EGC)を含む、組成物。
前記粉末緑茶抽出物が、前記粉末緑茶抽出物の重量を基準にして45〜55重量%のEGCG分、および10〜13重量%のEGC分を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
前記マイクロカプセルが一次マイクロカプセルの凝集塊と充填物質とを含み、それぞれ個々の一次マイクロカプセルが一次殻を有し、前記充填物質が多価不飽和脂肪酸を含み前記一次殻によってカプセル封入され、前記凝集塊が外殻によってカプセル封入される、請求項2に記載の組成物。
前記一次殻、前記外殻、または前記一次殻および外殻の両方が、界面活性剤、ゼラチン、ポリリン酸エステル、多糖またはこれらの混合物を含む、請求項8に記載の組成物。
前記一次殻、前記外殻、または前記一次殻および外殻の両方が、Aタイプゼラチン、Bタイプゼラチン、ポークゼラチン、ビーフゼラチン、魚ゼラチン、コーシャーゼラチン、非コーシャーゼラチン、ハラールゼラチン、非ハラールゼラチン、乳タンパク質、カゼイン、カゼイネート、乳清タンパク質、大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、米タンパク質、カノーラタンパク質、アルブミン、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブミン、またはオバルブミンのいずれか1種類または複数種類のタンパク質を、ポリリン酸エステル、アラビアガム、ゲランガム、キシランガム、寒天、アルギン酸エステル、キチン、キトサン、カラギーナン、ペクチン、デンプン、加工デンプン、ポリソルビトン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースのいずれか1種類または複数種類のポリマーと共に含む、請求項8または9に記載の組成物。
前記一次殻、前記外殻、または前記一次殻および外殻の両方が、魚ゼラチン、ポークゼラチン、またはビーフゼラチンを含む、請求項8〜10のいずれか一項に記載の組成物。
前記ポリマー成分が、Aタイプゼラチン、Bタイプゼラチン、ポークゼラチン、ビーフゼラチン、魚ゼラチン、コーシャーゼラチン、非コーシャーゼラチン、ハラールゼラチン、非ハラールゼラチン、乳タンパク質、カゼイン、カゼイネート、乳清タンパク質、大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、米タンパク質、カノーラタンパク質、アルブミン、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブミン、オバルブミン、ポリリン酸エステル、アラビアガム、ゲランガム、キシランガム、寒天、アルギン酸エステル、キチン、キトサン、カラギーナン、ペクチン、デンプン、加工デンプン、ポリソルビトン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースのいずれか1種類または複数種類を、これらの任意選択の混合物または組合せを含んで、含む、請求項17または18に記載の組成物。
オメガ−3脂肪酸の前記エステルが、オメガ−3脂肪酸のアルキルエステル、オメガ−3脂肪酸のモノグリセリド、オメガ−3脂肪酸のジグリセリド、オメガ−3脂肪酸のトリグリセリドエステル、オメガ−3脂肪酸のフィトステロールエステル、オメガ−3脂肪酸と抗酸化剤のエステル、オメガ−3脂肪酸のフラノイドエステル、および/またはこれらの混合物を含む、請求項25に記載の組成物。
前記充填物質が、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、トコトリエノール、リコペン、ルテイン、アスタキサチン、ゼアザンチン、フィトステロールまたはそのエステル、スタノールまたはおよびそのエステル、補酵素Q10、ユビキノール、疎水性アミノ酸、またはエッセンシャルオイルのうちの1種類または複数種類をさらに含む、請求項8〜27のいずれか一項に記載の組成物。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】マイクロカプセル化PUFA(グラノーラバー35g当たり50mgのEPA/DHAを含有する)と、様々な量のクエン酸および緑茶抽出物とを用いて調製したグラノーラバーを35℃で12週間貯蔵した後の官能スコアを描いたグラフである。3.5を超える官能スコアは不合格と見なされる。
【
図2】マイクロカプセル化PUFA(グラノーラバー35g当たり50mgのEPA/DHAを含有する)と、様々な量のクエン酸および緑茶抽出物とを用いて調製したグラノーラバーを周囲条件下で12ヶ月貯蔵した後の官能スコアを描いたグラフである。3.5を超える官能スコアは不合格と見なされる。
【
図3】緑茶抽出物有りおよび無しのマイクロカプセル化PUFAを含有するグラノーラバーの酸化安定性を示すグラフである。
【
図4】マイクロカプセル化PUFA(グラノーラバー35g当たり75mgのEPA/DHAを含有する)と、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、テアビゴ(TEAVIGO)(商標)、VITAGREEN(商標)、サンフェノン(SUNPHENON)XLB(商標)、サンフェノン90LB(商標)、およびサンフェノン90DCF−T(商標)を含めた様々な抗酸化剤とを含有するグラノーラバーの35℃で6週間にわたる官能スコアを描いたグラフである。3.5を超える官能スコアは不合格と見なされる。
【0011】
[詳細な説明]
本明細書中で述べる材料、化合物、組成物、および方法は、本明細書に含まれる開示される主題の特定の態様の下記の詳細な説明と、実施例と、図とを参照することにより容易に理解することができる。
【0012】
本発明の材料、化合物、組成物、物品、および方法を開示し記述する前に、下記の態様は特定の合成方法または特定の試薬に限定されない、したがってもちろん変更することができることを理解されたい。また、本明細書中で使用される用語は、特定の態様を記述するためのものに過ぎず、限定することを意図しないことも理解されたい。
【0013】
また、本明細書全体を通じて様々な刊行物が参照される。これらの刊行物の開示内容は、開示される事柄が属する技術の現状をより完全に記述するために、それらの全体がこれにより本明細書中に参照により援用される。開示される参考文献はまた、それらの中に含まれ、その参考文献が依拠する文中で考察されている材料についても本明細書中に参照により個々にかつ具体的に援用される。
【0014】
[定義]
本明細書中において、また特許請求の範囲中において複数の用語が参照されるはずであり、それらは下記の定義を有するように定義されるものとする。
【0015】
明細書および特許請求の範囲の全体を通じて単語「含む(“comprise”)」およびこの単語の他の形態(“comprising”および“comprises”など)は、これらには限定されないが、例えば他の添加剤、成分、整数、またはステップを含むことを意味し、それらを排除することを意図しない。
【0016】
この説明および別添の特許請求の範囲中で使用される単数形「或る(“a”、“an”)」および「その(“the”)」は、文脈による明白な別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば「或る組成物(“a composition”)」への言及はそのような組成物の2種類以上の混合物を含み、「或る抗酸化剤(“an antioxidant”)」への言及はそのような抗酸化剤の2種類以上の混合物を含み、「その多価不飽和脂肪酸(“the polyunsaturated fatty acid”)」への言及はそのような多価不飽和脂肪酸の2種類以上の混合物を含む、など。
【0017】
「任意選択の(“optional”)」または「任意選択で(“optionally”)」は、その後に記述される事象または状況が生じても生じなくてもよいこと、またその記述がその事象または状況が生ずる例とそれが生じない例とを含むことを意味する。
【0018】
範囲は、本明細書中では「約」或る特定の値から、かつ/または「約」別の特定の値までとして表すことができる。「約」は、表示値の5%以内を意味することができる。そのような範囲を表す場合、別の態様は、その一方の特定の値から、かつ/またはもう一方の特定の値までを含む。同様に、値が、先行する「約」の使用によって近似値として表される場合、その特定の値が別の態様を形成することが理解されるはずである。その範囲のそれぞれの端点は、他方の端点に関連して、また他方の端点と無関係に有意であることもさらに理解されるはずである。開示される複数の値が本明細書中に存在すること、かつ各値がまたその値自体に加えて「約」その特定の値として本明細書中で開示されることもまた理解されたい。例えば、値「5」が開示される場合、「約5」もまた開示される。
【0019】
本明細書および結びの特許請求の範囲中で、組成物中の特定の要素または成分の重量部への言及は、組成物中のその要素または成分と任意選択の他の要素または成分の間の重量関係を意味し、それを重量部で表す。したがって1重量部の成分X(例えば、粉末緑茶抽出物)および10重量部の成分Y(例えば、PUFAを含む粉末調合物)を含む組成物では、XおよびYは、1:10の重量比で存在し、追加の成分がその組成物(例えば、ブレンド物)中に含まれるかどうかに関係なくそのような比率で存在する。
【0020】
成分の重量%(wt.%)は、具体的に別段の指定がない限り、その成分が含まれる配合物または組成物の総重量を基準とする。
【0021】
本明細書中で使用される「被験体」とは個体を意味する。したがって「被験体」には、飼い慣らされた動物(例えば、ネコ、イヌなど)、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)、実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモットなど)、魚、および鳥を含めることができる。「被験体」にはまた、陸生動物または海生動物、例えばクジラ、霊長類、またはヒトを含めることができる。
【0022】
次に、開示される材料、化合物、組成物、および方法の特定の態様に関して詳細に言及することにする。それらの例は、添付の実施例および図中に例示される。
【0023】
[材料および方法]
材料、化合物、組成物、および成分が本明細書中で開示され、それらは開示される方法および組成物のために使用することができ、開示される方法および組成物と一緒に使用することができ、開示される方法および組成物の調製において使用することができ、または開示される方法および組成物の産物である。これらおよび他の材料は本明細書中で開示される。それらの材料の組合せ、部分集合、相互作用、群などが開示される場合、それらの化合物のそれぞれの様々な個体、集合的組合せ、および並べ替えについての具体的な言及が明示的に開示されないこともあるが、それぞれが本明細書中で具体的に企図され、記述されているものと理解されたい。例えば、或る組成物が開示され、その組成物の複数の成分に対して行うことができる複数の修正形態が考察される場合、あり得るそれぞれのまたはあらゆる組合せおよび並び替えは、別段の具体的な指示がない限り、具体的に企図されている。したがって、成分A、B、およびCの部類と成分D、E、およびFの部類、ならびに組合せ組成物A−Dの例が開示される場合、たとえそれぞれが個々に列挙されないとしても、それぞれが個々にかつまとめて企図されている。したがってこの例では、組合せA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、およびC−Fのそれぞれが具体的に企図され、A、B、およびCと、D、E、およびFと、組合せの例A−Dとの開示に基づいて開示されているものとみなすべきである。同様に、これらの任意選択の部分集合または組合せもまた、具体的に企図され、開示されている。したがって、例えばA−E、B−F、およびC−Eの部分群もまた具体的に企図され、A、B、およびCと、D、E、およびFと、組合せの例A−Dとの開示に基づいて開示されているものとみなすべきである。この概念は、これらに限定されないが開示された組成物の製造方法および使用方法におけるステップを含めた本開示のすべての態様に適用される。したがって、実施することが可能な様々な追加のステップが存在する場合、それらの追加のステップのそれぞれは開示された方法の任意選択の特定の態様または態様の組合せにより実施することができること、またそのようなそれぞれの組合せは具体的に企図され、開示されているものとみなすべきである。
【0024】
本明細書では(i)粉末緑茶抽出物と、(ii)PUFAを含む粉末調合物とを含む組成物(これはまた「ブレンド」とも呼ばれる)が開示される。「PUFAを含む粉末調合物」とは、1種類または複数種類のPUFAを含む充填物質を有する粉末状のエマルションまたはマイクロカプセルを意味する。開示された組成物中で、粉末緑茶抽出物とPUFAを含む粉末調合物とは、合わせて組成物の少なくとも約90重量%、例えば組成物の約92、94、06、98、または100重量%である。したがって開示された組成物は、組成物中に約0重量%〜約10重量%の追加の材料(粉末緑茶抽出物およびPUFAを含む粉末調合物とは別の材料)を含有することができる。さらに、本明細書中のどこかで開示されるように、この開示された組成物は、種々様々な食品、例えばグラノーラバー中に成分として使用するのに特に適している。
【0025】
[PUFAを含む粉末調合物]
[マイクロカプセル]
特定の態様において、PUFAを含む粉末調合物は、その芯または充填物質として1種類または複数種類のPUFAを含むマイクロカプセルであることができる。開示された組成物および方法に使用するのに適したマイクロカプセルは、一次マイクロカプセルの凝集塊と充填物質とを含み、それぞれ個々の一次マイクロカプセルが一次殻を有し、充填物質が一次殻によってカプセル封入され、かつ凝集塊が外殻によってカプセル封入されるものである。特に好適なマイクロカプセルは、米国特許第6,974,592号明細書、同第6,969,530号明細書、同第7,727,629号明細書、および同第8,034,450号明細書、および米国特許出願公開第2005/0019416号明細書、同第2010/0055281号明細書、同第2010/0173002号明細書、および同第2011/0117180号明細書に開示されており、これらは、マイクロカプセル、それらの調製方法、およびそれらの使用方法についての少なくともそれらの開示内容に関して、それらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0026】
また、1層または複数層の追加の殻層をマイクロカプセルの外殻の上に置くこともできると考えられる。国際公開第2004/041251号パンフレット(これは、少なくともマイクロカプセルおよびそれらの調製方法についてのその開示内容に関して、それらの全体が参照により本明細書に援用される)に記載されている手法を使用して、マイクロカプセルに追加の殻層を加えることができる。
【0027】
更なる例では、一次殻および/または外殻は、複合コアセルベートから形成することができる。複合コアセルベートは、2種類の異なるポリマー成分(すなわち殻材料)を静電相互作用により一体にし、充填物質の液滴の周囲に不溶性複合体、すなわち「複合コアセルベート」を形成するときに形成する。一次殻を形成する複合コアセルベートは、外殻を形成する複合コアセルベートと異なってもよい。このような場合、3種類以上の異なる殻材料を含有するポリマー系を使用して複合コアセルベートを形成することができる。他の例では、同一の2種類の殻材料(2ポリマー成分系)を使用して、一次殻および外殻の両方を形成することができる。例えば、一次殻および外殻をゼラチンとポリリン酸エステルの複合コアセルベートから形成することができる。
【0028】
このようなマイクロカプセルでは、一次殻および/または外殻を形成するために使用される殻材料は、ゼラチンとポリリン酸エステル、ゼラチンとアラビアガム、乳清タンパク質とアラビアガムなどの複合コアセルベートを含むことができる。一次殻および/または外殻用の好適な材料の更なる例には、これらに限定されないが、Aタイプゼラチン、Bタイプゼラチン、ポークゼラチン、ビーフゼラチン、魚ゼラチン、コーシャーゼラチン、非コーシャーゼラチン、ハラールゼラチン、非ハラールゼラチン、乳タンパク質、カゼイン、カゼイネート、乳清タンパク質、大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、米タンパク質、カノーラタンパク質、アルブミン、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブミン、およびオバルブミンのうちのいずれか1種類または複数種類のタンパク質と、ポリリン酸エステル、アラビアガム、ゲランガム、キシランガム、寒天、アルギン酸エステル、キチン、キトサン、カラギーナン、ペクチン、デンプン、加工デンプン、ポリソルビトン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースのうちのもう1つのポリマーとの複合コアセルベートが挙げられる。
【0029】
更なる例では、一次殻および/または外殻用の材料は、約0〜約300、最も好ましくは約200〜約300のブルーム強度(bloom number)を有することができる。殻材料がブルーム強度を有しない(0)または1〜50の低ブルーム強度を有することもできると考えられる。ブルーム強度は、6.67%溶液を18時間ゲル化させた状態で10℃で形成されるゲル強度を表す。物質のブルーム強度の決定は、当該技術分野で知られている方法で達成することができる。幾つかの具体例では一次殻および/または外殻材料は、約0〜約50のブルーム強度を有することができ、また他の例では一次殻および/または外殻材料は、約51〜約300のブルーム強度を有することができる。さらに他の具体例には、約0、約210、約220、または約240のブルーム強度を有する一次殻および/または外殻材料を含むマイクロカプセルが挙げられる。一次殻および/または外殻材料は、約0、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、165、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、または300(ただし、これら表示値のいずれもが範囲の上側または下側の端点を形成することができる)のブルーム強度を有することができると考えられる。
【0030】
マイクロカプセルの外殻は、約1μm〜約2,000μm、約20μm〜約1,000μm、または約30μm〜約80μmの平均直径を有することができる。更なる例では、外殻の平均直径は、約1、10、20、30、40、50、60、70、80、90、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、または2000μm(ただし、これら表示値のいずれもが範囲の上側または下側の端点を形成することができる)であることができる。好ましい例では、マイクロカプセルの外殻は、約500μm未満、200μm未満、または約100μm未満の平均直径を有することができる。
【0031】
一次殻は、約40nm〜約10μm、または約0.04μm〜約5μmの平均直径を有することができる。更なる例では一次殻の平均直径は、約40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1000nm、2μm、3μm、4μm、または5μm(ただし、これら表示値のいずれもが範囲の上側または下側の端点を形成することができる)であることができる。好ましい例では一次殻は、未満の平均直径を有することができる。
【0032】
一次殻および/または外殻の粒径は、当該技術分野で知られている任意選択の一般的な設備、例えば、Coulter LS230 Particle Size Analyzer(Beckman Coulter,フロリダ州,マイアミ)を使用して測定することができる。
【0033】
[エマルション]
他の態様においてPUFAを含む粉末調合物は、パワードエマルションであることができる。このエマルションは、様々なサイズの充填物質および1種類または複数種類のポリマー成分(すべてパワード状)の液滴を含むことができる。例えば好適なエマルションは、マイクロエマルションおよび/またはナノエマルションであることができる。すなわち、エマルションの液滴は、マイクロメートル範囲(すなわち1〜1000μm)および/またはナノメートル範囲(すなわち1〜1000nm、一般には約0.1μm未満)であることができる。具体例には、これらに限定されないが、約100、90、80、70、60、50、40、30、20、または10μm未満(ただし、これら表示値のいずれもが範囲の上側または下側の端点を形成することができる)の平均液滴サイズを有するエマルションが挙げられる。充填物質の液滴のサイズは、当該技術分野で知られている方法、例えば光散乱法、顕微鏡法、分光学的方法などによって決定することができる。
【0034】
エマルションのポリマー成分は、マイクロカプセルについて本明細書中で述べた殻材料のいずれかであることができる。具体的にはポリマー成分は、Aタイプゼラチン、Bタイプゼラチン、ポークゼラチン、ビーフゼラチン、魚ゼラチン、コーシャーゼラチン、非コーシャーゼラチン、ハラールゼラチン、非ハラールゼラチン、乳タンパク質、カゼイン、カゼイネート、乳清タンパク質、大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、米タンパク質、カノーラタンパク質、アルブミン、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブミン、オバルブミン、ポリリン酸エステル、アラビアガム、ゲランガム、キシランガム、寒天、アルギン酸エステル、キチン、キトサン、カラギーナン、ペクチン、デンプン、加工デンプン、ポリソルビトン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースのいずれか1種類または複数種類(これらの任意選択の混合物または組合せを含む)を含むことができる。
【0035】
好適なパワードエマルションの一具体例では、ポリマー成分はゼラチンを含む。
【0036】
[充填物質]
マイクロカプセルであろうとエマルションであろうとPUFAを含む粉末調合物は、1種類または複数種類のPUFAおよび/またはそれらの誘導体を含む充填物質を含有する。PUFAの誘導体には、アルキルエステル(例えばメチルまたはエチルエステル)、グリセリドエステル(例えばモノ、ジ、およびトリアシルグリセロール)、ステロールエステル(例えばフィトステロールまたはコレステロールエステル)、抗酸化エステル(例えばアスコルビルおよびシトリルエステル)、フラノイドエステル、およびPUFAの塩(例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびクローム塩)を挙げることができる。PUFAおよび/またはその誘導体の任意選択の混合物または組合せもまた、本明細書中で開示される組成物および方法に使用するのに適している場合がある。
【0037】
特に望ましいPUFAは、オメガ−3脂肪酸である。オメガ−3脂肪酸は、その末端としてCH
3−CH
2−CH=CH−を含有する不飽和脂肪酸である。一般にオメガ−3脂肪酸は、式
【化1】
を有する。式中、R
1は、少なくとも1個の二重結合を備えたC
3〜C
40アルキルまたはアルケニル基であり、R
2は、H、メチル、アルキル、グリセロール、ステロール、アスコルビル、シトリル、またはフラノイジル基である。本明細書中で使用される用語「アルキル」は、飽和炭化水素基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、s−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシルなど)である。本明細書中で使用される用語「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有する炭化水素基である。(AB)C=C(CD)などの不斉構造は、E異性体とZ異性体(cisおよびtrans)の両方を含むことを意図している。更なる例ではR
1は、C
5〜C
38、C
6〜C
36、C
8〜C
34、C
10〜C
32、C
12〜C
30、C
14〜C
28、C
16〜C
26、またはC
18〜C
24アルケニル基であることができる。さらに別の例ではR
1のアルケニル基は、2〜6個、3〜6個、4〜6個、または5〜6個の二重結合を有することができる。さらにR
1のアルケニル基は、1個、2個、3個、4個、5個、または6個の二重結合(ただし、これら表示値のいずれも必要に応じて上側または下側の端点を形成することができる)を有することもできる。オメガ−3脂肪酸の具体例には、これらに限定されないが、本明細書中のほかの場所で述べたものが挙げられる。
【0038】
幾つかの例では充填物質は、DHAおよび/またはEPA、これらのC
1〜C
6アルキルエステル、これらのトリアシルグリセロールエステル、これらのフィトステロールまたはコレステロールエステル、これらの塩、および/またはこれらの1種類または複数種類の任意選択の混合物を含む。トリアシルグリセロール油(TG油と呼ばれる)を使用することができる。さらに、開示される組成物および方法は、再エステル化トリグリセリドを含む油を使用することもできる。
【0039】
充填物質は、温度および充填物質中の特定のPUFAによって決まる固体、液体、または固体と疎水性の液体の混合物であることができる。任意選択で充填物質はまた、他の生物活性物質、栄養補助剤、および/または香味料(これらの任意選択の混合物または組合せを含む)を含むことができる。幾つかの例ではPUFA含有充填物質は、微生物油、藻油(例えば、海産渦鞭毛藻(Crypthecodinium cohnii)などの渦鞭毛藻由来の油)、真菌油(例えば、スラウストキトリウム(Thraustochytrium)、シゾキトリウム(Schizochytrium)、またはこれらの混合物由来の油)、および/または植物油(これらの任意選択の混合物または組合せを含む)であることができる。
【0040】
他の例では充填物質は、海産物油、例えば天然、半精製、精製、濃縮、軽く加圧した(light−pressed)、アルカリ処理、熱処理、淡褐色、または黄褐色の魚油を含むことができる。非アルカリ処理魚油もまた、好適な充填物質である。魚油は様々な供給源から来る。好適な魚油の例には、これらに限定されないが、大西洋魚油、太平洋魚油、地中海魚油、およびこれらの任意選択の混合物または組合せが挙げられる。好適な魚油のより具体的な例には、これらに限定されないが、カツオ油、ピルチャード油、ハタ油、カレイ油、フウライカジキ油、カマス油、タラ油、メンヘーデン油、イワシ油、カタクチイワシ油、マグロ油、カラフトシシャモ油、ニシン油、サバ油、タイセイヨウサケ油、サケ科の魚油、およびサメ油が、これらの任意選択の混合物または組合せを含めて挙げられる。
【0041】
魚油は最も容易に入手できるが、他の海産物油が本明細書において使用するのに適している場合もある。このような海産物油には、これらに限定されないが、例えばイカ油、タコ油、オキアミ油、アザラシ油、クジラ油など(これらの任意選択の混合物または組合せを含む)を含めた海洋哺乳動物および/または海洋無脊椎動物由来の油が挙げられる。
【0042】
充填物質はまた、オリーブ油、トウモロコシ油、パーム油、ヒマワリ油、フラックスシード油、大豆油、落花生油、ルリヂサ油、サクラソウ油、リンシード油、ナタネ油などの植物性油を含むことができる。ある種のPUFAを産生するように遺伝子組換えされた植物由来の油もまた使用することができる。しかし幾つかの例では、そのPUFAがフラックスシード油でないことが好ましい。
【0043】
好適な充填物質はまた、本明細書ではその充填物質中に見出されるEPAおよびDHA、またはそれらの誘導体のおおよその比率で言及することができる。例えば、18:12の油は、一般にEPA対DHA(または、例えばそれらのトリグリセリドエステル)を約18:12の比率で含む。同様に、5:25の油は、一般にEPA対DHAを約5:25の比率で含む。これらの種類の油のそれぞれを開示された組成物および方法において使用することができる。
【0044】
開示した充填物質のいずれかの1種類または複数種類を使用することができる。例えば、開示された組成物および方法に使用可能なPUFAを含む粉末調合物は、本明細書中で開示された2種類以上の異なる充填物質を含有することができる。さらに、充填物質はPUFAを含む粉末調合物の約10重量%〜約90重量%の量で存在することができる。具体例では充填物質は、PUFAを含む粉末調合物の約20重量%〜約80重量%、約30重量%〜約70重量%、約40重量%〜約60重量%、約50重量%〜約70重量%、または約60重量%〜約80重量%の量で存在することができる。
【0045】
任意選択で充填物質はまた、抗酸化剤を含有することができる。抗酸化剤の好適な例には、これらに限定されないが、フェノール系化合物、植物抽出物、またはイオウ含有化合物が挙げられる。本明細書中で開示される幾つかの例では抗酸化剤は、アスコルビン酸またはその塩、例えばアスコルビン酸ナトリウムであることができる。他の例では抗酸化剤は、クエン酸またはその塩であることができる。さらに他の例では抗酸化剤は、ビタミンE,CoQ
10、トコフェロール、より極性の抗酸化剤の脂溶性誘導体、例えばアスコルビル脂肪酸エステル(例えばパルミチン酸アスコルビル)、植物抽出物(例えば、ローズマリー油、セージ油、およびオレガノ油)、藻類抽出物、および合成抗酸化剤(例えば、BHT、TBHQ、エトキシキン、没食子酸アルキル、ヒドロキノン、およびトコトリエノール)であることができる。
【0046】
充填物質はまた他の栄養分、例えばビタミン類、他の微量元素、ミネラルなどを含有することができる。例えば充填物質は、1種類または複数種類の脂溶性ビタミン(例えばビタミンA、D、E、およびK)、トコトリエノール、カロテノイド、キサントフィル(例えば、リコペン、ルテイン、アスタキサチン、およびゼアザンチン(zeazanthin))、脂溶性栄養補助食品(フィトステロール、スタノール、およびこれらのエステルを含めた)、補酵素Q10、ユビキノール、疎水性アミノ酸、またはエッセンシャルオイルのうちの1種類または複数種類を含有することができる。さらに、PUFAを含む粉末調合物は、保存料、殺菌剤、キレート化剤、増粘剤、香味料、希釈剤、乳化剤、分散助剤、またはバインダーなどの他の成分を含むことができる。
【0047】
[具体例]
PUFAを含む粉末調合物がマイクロカプセルであろうと粉末エマルションであろうと、それは、本明細書中で開示される殻材料のいずれかおよび充填物質のいずれかを含むことができる。幾つかの具体例には、これに限定されないが、その殻材料が複合コアセルベート、例えばゼラチンとポリリン酸エステルの複合コアセルベートから形成されるマイクロカプセルが挙げられる。同様に、そのポリマー成分がゼラチンであり、充填物質が本明細書中で開示されるもののいずれかである、粉末エマルション。多くの例で使用することができる充填物質には、海産物油(例えば魚油および微生物油)が挙げられる。EPAおよびDHAなどのPUFAを含む充填物質もまた望ましい。このようなマイクロカプセルまたはエマルションは、粉末1g当たり少なくとも約130mgのDHAか、少なくとも約150mgのEPAとDHAを有することができる。さらに、オメガ−3脂肪酸の誘導体、例えばモノ、ジ、およびトリグリセリド、アルキルエステル、ステロールエステル、抗酸化エステル(例えば、アスコルビルおよびシトリルエステル)、およびフラノイドエステルもまた好適な充填物質であることができる。幾つかの態様において、PUFAを含む粉末調合物は、Ocean Nutrition Canada Limited(ダートマス,カナダ)からMEG−3(商標)の名称で市販されているマイクロカプセル化オメガ−3脂肪酸粉末であることができる。
【0048】
マイクロカプセルは、米国特許第6,974,592号明細書、同第6,969,530号明細書、同第7,727,629号明細書、および同第8,034,450号明細書、ならびに米国特許出願公開第2005/0019416号明細書、同第2007/0269566号明細書、同第2010/0055281号明細書、同第2010/0173002号明細書、および同第2011/0117180号明細書に記載の方法に従って調製することができる。これらは、少なくともマイクロカプセルの調製方法についてのそれらの開示内容に関して、それらの全体が参照により本明細書に援用される。このマイクロカプセルを水で洗浄し乾燥して流動性粉末を得ることができる。乾燥は、例えば凍結乾燥、エタノールによる乾燥、または噴霧乾燥などの当該技術分野で知られている複数の方法によって達成することができる。一態様では噴霧乾燥をマイクロカプセルの乾燥のために使用することができる。噴霧乾燥手法は、“Spray Drying Handbook”,K.Masters,第5版,Longman Scientific Technical UK,1991の中に開示されている。この開示内容は、これにより参照により援用される。
【0049】
エマルションは、米国特許出願公開第2010/0055281号明細書に記載の方法に従って調製することができる。これは、少なくとも粉末エマルションの調製方法についてのその開示内容に関して、その全体が参照により本明細書に援用される。一般にエマルションは、ポリマー成分と充填物質の水性混合物を準備し、その混合物を乳化することによって調製することができる。混合物の乳化は、当該技術分野で知られている方法と装置、例えば均質化および高圧/高せん断ポンプによって達成することができる。例えば乳化は、約1,000〜約15,000rpmで行うことができる。乳化のステップは、混合物の試料を取り出し、それを顕微鏡法、光散乱法、濁度などのような方法で分析することによって監視することができる。一般には乳化は、約1,000、750、500、100、または10nm未満の平均液滴サイズが得られるまで行うことができる。さらに、本明細書中でもまた述べる抗酸化剤をこの水性混合物に加えることができると考えられる。このような抗酸化剤は、乳化のステップの前、乳化のステップの間、および/または乳化のステップの後に加えることができる。エマルションの調製後にそれらを脱水することもまた考えられる。エマルションの脱水方法は、当該技術分野で知られており、これらに限定されないが、噴霧乾燥、凍結乾燥、蒸発などが挙げられる。
【0050】
[緑茶抽出物]
本明細書中で開示された組成物はさらに、粉末緑茶抽出物を含有する。緑茶抽出物は、PUFAを含む粉末調合物(マイクロカプセルまたはエマルション)と組み合わせて存在する開示された組成物の成分である。緑茶抽出物はまた、充填物質の一部であることもできる。
【0051】
開示された組成物中で使用するのに適した緑茶抽出物は、抗酸化活性を有する様々な成分、例えばポリフェノール系化合物(すなわちカテキン)を含む。緑茶抽出物中に存在することができるポリフェノール系化合物の例には、没食子酸エピガロカテキン(EGCG)、エピガロカテキン(EGC)、没食子酸エピカテキン(ECG)、エピカテキン(EC)、およびこれらの混合物が挙げられる。開示された組成物で使用することができる緑茶抽出物は、その抽出物中に緑茶抽出物の重量を基準にして約40重量%〜約90重量%、約45重量%〜約85重量%、約50重量%〜約80重量%、約60重量%〜約90重量%、約65重量%〜約85重量%、約70重量%〜約95重量%、約75重量%〜約90重量%、約80重量%〜約95重量%、または約85重量%〜約90重量%の量で存在する1種類または複数種類のポリフェノール系化合物を有することができる。幾つかの好ましい緑茶抽出物は、約80重量%を超えるポリフェノールを含有する。
【0052】
開示された組成物中で使用することができる緑茶抽出物は、その抽出物中に緑茶抽出物の重量を基準にして約40重量%〜約80重量%、約45重量%〜約75重量%、約50重量%〜約70重量%、約55重量%〜約80重量%、約60重量%〜約75重量%、約65重量%〜約70重量%、約75重量%〜約80重量%、または約55重量%〜約65重量%の量で存在する1種類または複数種類のカテキンを有することができる。幾つかの好ましい緑茶抽出物は、約60重量%を超えるカテキンを含有する。
【0053】
理論に拘束されることを望むものではないが、EGCGおよびEGCの含量は、開示された組成物が望ましい官能特性または安定性を有する組成物を実現する能力に影響を与えると考えられる。本明細書中で使用するのに適した緑茶抽出物は、緑茶抽出物の重量を基準にして約40重量%を超える、約45重量%を超える、約50重量%を超える、または約55重量%を超える没食子酸エピガロカテキン(EGCG)含量を有することができる。例えば緑茶抽出物は、緑茶抽出物の重量を基準にして約40重量%〜約60重量%、約45重量%〜約55重量%、または約50重量%のEGCGを有することができる。緑茶抽出物はまた、緑茶抽出物の重量を基準にして約5重量%〜約20重量%、約5重量%〜約15重量%、または約10重量%〜約13重量%のエピガロカテキン(EGC)含量を有することができる。
【0054】
さらに、本明細書中で使用するのに適した緑茶抽出物は、緑茶抽出物の重量を基準にして約6重量%を超える、約6重量%〜約15重量%、約6重量%〜約12重量%、約7重量%〜約10重量%、または約7重量%〜約9重量%のエピカテキン(EC)含量を有することができる。本明細書中で使用するのに適した緑茶抽出物はまた、緑茶抽出物の重量を基準にして約2重量%〜約9重量%、約3重量%〜約8重量%、または約4重量%〜約7重量%の没食子酸エピカテキン(ECG)含量を有することができる。
【0055】
緑茶抽出物は、カフェイン除去されるか、1重量%未満のカフェインを有することがまた望ましい。
【0056】
緑茶抽出物は、開示された組成物中では粉末の形態である。
【0057】
開示された組成物および方法に使用するのに適した市販の粉末緑茶抽出物には、太陽化学株式会社(TaiyoKagaku Co.)(日本,三重県,四日市)から得られるサンフェノン90LB(商標)およびサンフェノン90D(商標)が挙げられる。好適な緑茶抽出物の更なる例には、テアビゴ(商標)(Pharmachem Laoratories,Inc.(ニュージャージー州,カーニー)から市販されている)およびVITAGREEN TX50(商標)(Vita Green,香港,中国)から市販されているVitaGreen Natural Green Tea Extract)が挙げられる。本明細書において使用するのに適したこれら緑茶抽出物は、精製されたポリフェノールを含有する。好適な緑茶抽出物の更なる例には、サンフェノンXLB(商標)およびサンフェノン90DCF−T(商標)が挙げられ、両方とも太陽化学株式会社から市販されている。これらの緑茶抽出物を使用することができるが、サンフェノン90LB(商標)が好ましい。サンフェノン90LB(商標)は、緑茶葉(チャノキ(Camellia sinensis))のカフェイン除去した抽出物であり、約80重量%を超える総ポリフェノールを含有し、その約80重量%がカテキンである。カテキンEGCGが約45重量%を超えて存在し、またカテキンEGCが約8重量%を超えて存在する。
【0058】
緑茶抽出物は、組成物の約2重量%〜約10重量%、約3重量%〜約9重量%、約4重量%〜約8重量%、または約5重量%〜約7重量%の量で存在することができる。幾つかの例では緑茶抽出物は、組成物の約5.0重量%(例えば5.2重量%)存在することができる。
【0059】
さきに述べたように開示された組成物は、様々な食品の成分として使用することができる。幾つかの例では開示された組成物中で使用される緑茶抽出物の量は、その緑茶抽出物が結果として最終の食品(例えばグラノーラバー)の約50ppm〜約1000ppmになる量であることができる。幾つかの例では緑茶抽出物は、最終の食品の約100ppm〜約900ppm、約150ppm〜約850ppm、約200ppm〜約800ppm、約250ppm〜約750ppm、約300ppm〜約700ppm、約350ppm〜約650ppm、約400ppm〜約600ppm、または約450ppm〜約550ppmの量で存在する。例えば、緑茶抽出物は、最終の食品の約50ppm、約100ppm、約150ppm、約200ppm、約250ppm、約300ppm、約350ppm、約400ppm、約450ppm、約500ppm、約550ppm、約600ppm、約650ppm、約700ppm、約750ppm、約800ppm、約850ppm、約900ppm、約950ppm、または約1000ppm(ただし、これら表示値のいずれもが範囲の上側および/または下側の端点を形成することができる)の量で存在することができる。
【0060】
[組成物]
本明細書中で述べたように開示された組成物は、本明細書中で開示したPUFAを含む粉末調合物と、本明細書中で開示した粉末緑茶抽出物とを含有する。開示された組成物の調製方法は、粉末緑茶抽出物を準備すること、PUFAを含む粉末調合物を準備すること、およびこれら2種類の成分をブレンドして組成物、すなわち「ブレンド」を形成することを含む。PUFAを含む粉末調合物および粉末緑茶抽出物は、任意選択の順序で混ぜ合わせることができる。例えば、マイクロカプセルまたはエマルションを粉末緑茶抽出物に加えることができる。別法では、粉末緑茶抽出物をマイクロカプセルまたはエマルションに加えることもできる。PUFAを含む粉末調合物を粉末緑茶抽出物と一緒にすると、それら成分が混合またはブレンドされて開示された組成物を生ずることができる。このような混合は、当該技術分野で知られている方法によって達成することができる。
【0061】
このPUFAを含む粉末調合物と粉末緑茶抽出物は、開示される組成物中に様々な比率で混ぜ合わせることができる。例えば開示された組成物は、1:10〜1:50のPUFAを含む粉末調合物対粉末緑茶抽出物の重量比を有することができる。しかしながらその開示された組成物の最終用途、好み、所望の充填物質の量、最終の食品などに応じて他の比率を使用することもできる。
【0062】
PUFAを含む粉末調合物(マイクロカプセルまたはエマルションのいずれか)は、組成物の約98重量%、97重量%、96重量%、95重量%、94重量%、93重量%、92重量%、91重量%、または90重量%(ただし、これら表示値のいずれもが範囲の上側または下側の端点を形成することができる)を構成することができる。同様に、粉末緑茶抽出物は、組成物の約10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、または2重量%(ただし、これら表示値のいずれもが範囲の上側または下側の端点を形成することができる)を構成することができる。PUFAを含む粉末調合物および粉末緑茶抽出物の量は、これら2種類の組合せが組成物の少なくとも約90重量%になるように選択されるべきである。
【0063】
[追加の成分]
開示された組成物では1種類または複数種類の抗酸化剤を、緑茶抽出物と組み合わせて、またそれに加えて使用することができる。このような追加の成分は、開示された組成物中に組成物の約0重量%〜約10重量%存在することができる。例えば、開示された組成物はさらにクエン酸を含むことができる。好ましい態様ではクエン酸は、存在する場合、緑茶抽出物の代わりとしてではなく緑茶抽出物と併用して使用することができる。クエン酸は、貯蔵の間に自動酸化を引き起こすFeおよびCuなどの金属をキレート化する。したがってクエン酸は、開示された組成物およびその組成物を含む製品の酸化安定性を延長させ、こうしてその組成物および製品の長期間の貯蔵を可能にする。クエン酸は、開示された組成物中に組成物の約1重量%〜約7.5重量%の量で存在することができる。クエン酸の量はまた、粉末緑茶抽出物の量に対して表すことができる。したがって、幾つかの例では開示された組成物は、クエン酸および粉末緑茶抽出物を1:1〜1:5の比率で含有することができる。
【0064】
開示された組成物において追加の成分として使用するための好適な抗酸化剤の更なる例には、トコフェロール、ビタミンE,CoQ
10、セージ抽出物、ローズマリー抽出物、オレガノ抽出物、藻類抽出物、パルミチン酸アスコルビル、アスコルビル酸、リコペン、ヒドロキシチロソール、アスタキサンチン、および合成抗酸化剤(例えば、BHT、BHA、EDTA、TBHQ、エトキシキン、没食子酸アルキル、ヒドロキノン、およびトコトリエノール)が挙げられる。
【0065】
[使用方法]
この開示された組成物を含む食品がまた本明細書中で開示される。食品とは、被験体が消費する(例えば、食しまたは摂取する)ことができる任意選択の品物を指す。幾つかの例では開示された組成物は、栄養バーおよびグラノーラバー中に含まれ得る。他の例では開示された組成物は、サシェまたはふり出し瓶などの品物の中に収容することもでき、それらを使用して開示された組成物を食品またはそれらの成分中に混合し、またその上に注ぎまたは振りかけることができる。さらに他の例には、焼いた食品(例えば、パン、ロールパン、クッキー、クラッカー、フルーツパイ、またはケーキ)、パスタ、香辛料、サラダ用ドレッシング、スープミックス、スナック食品、加工果汁、ソース、グレイビーソース、シロップ、飲料、乾燥飲料粉末、ジャム、またはゼリー、あるいは本明細書中で開示した組成物を用いて調製される伴侶動物の餌が挙げられる。
【0066】
開示された組成物を含有する製品は、とりわけ開示された組成物を含まず、単に生のPUFAまたは粉末PUFA調合物を含む製品と比較した場合、高い官能的安定性および酸化安定性を有することができる。これらの製品の安定性は、例えば、ML Oxipres式計器(Mikrolab Aarhus A/S;ホイビュルグ(Hojbjerg),デンマーク)を使用して測定することができる。このOxipres式計器は、酸化しやすい化合物の酸化安定性を定性的に測定するために使用される迅速予測ツールである。測定は、高温高圧における酸素の消費量に基づく。酸素の誘導期間(IP)は、その後に圧力が突然低下し始める時間として計算される。高い誘導期間は、酸化安定性の向上を示唆する。開示された組成物を含有する食品の誘導期間は、過酸化物の形成を減らすことによって、または油中に存在する過酸化物を除去/分解することによって増大させることができる。したがって本明細書中で開示された組成物を使用して調製される食品は、本明細書中で開示される組成物の使用のせいでより長い誘導期間を有する。例えば、開示された組成物およびそれらを含有する製品は、少なくとも約180時間、好ましくは約185時間を超える、さらに一層好ましくは約190時間を超える、または最も好ましくは約195時間を超える誘導期間を有することができる。
【0067】
本明細書中で開示された組成物を含む食品の酸化安定性の別の決定方法は、標準化された官能パネルを利用することである。標準化された官能パネルは、組成物または食品の官能特性を評価する。これらの評価に含まれる官能試験員は、数字目盛りから選択し、官能スコアを割り当てて、試験される製品の容認可能性をランク付けすることができる。製品に関係する具体的な臭いおよび味の指標には、酸味、ベーコン風味(bacony)、マメ風味(beany)、苦味、淡泊な味(bland)、焦げ臭い(burnt)、焦げたカラメル(burnt caramel)、ボール紙臭(cardboardy)、カラメル風味、トウモロコシ風味(corny)、揚げ物の臭い(deep fried)、魚臭い(fishy)、果実風味、穀物(grains)、草の臭い(grassy)、熟していない(green)、緑茶味、干し草(hay)、加熱した油、穀物の外殻の臭い(hully)、硬化油、豚油、光に当った油(light struck oil)、海産物、メロン、金属性の臭い(metallic)、カビの臭い(musty)、ぼやっとした味(muted)、木の実の味(nutty)、オートムギ味(oaty)、古いオートムギ味(old oats)、過熱した油、酸化した臭い、塗料の臭い、パラフィン油、ピーナッツ油、ペカン油、石油、フェノールの臭い、パイン油、プラスチック、沼の臭い(pondy)、カボチャ、干しブドウ(raisins)、酸敗臭(rancid)、生っぽい味(raw)、回収油、ゴムの臭い、セッケンの臭い、酸い臭い(sour)、カビ臭いグラノーラ(stale granola)、かび臭いオートムギ(stale oats)、イオウ、ヒマワリの種子の殻、甘味(sweet)、シロップ風味、ピリッとした味(tangy)、スイカ、ワックスの臭い、雑草の臭い(weedy)、および木の臭い(woody)が挙げられる。
【0068】
この開示された組成物は、ある種の食品用途に特に適している場合がある。皮膜で、例えば脂肪、砂糖、および香味料でコーティングされている食物の場合、PUFAの酸化安定性はあまり大きな懸念事項ではなく、味わいも同様である。しかし、一般に多孔質で、かつコーティングされていない食物は、この開示された組成物を使用するのに特に適している。このような食物の成分は一般により酸素に曝され、したがって酸素感受性はより大きな心配事である。さらに、不快な臭い成分を覆い隠すまたは圧倒するコーティング皮膜がない場合、不快な臭い成分の存在が、より目立ちまたそれに気付く可能性がある。したがってクリーム状脂肪が、PUFA油を含有する幾種類かの食品をコーティングするために使用されてきた(国際公開第2008/24906号パンフレット参照)。クリーム状脂肪は、一般に担体油(例えば、約5〜7重量%のパーム油)と、抗酸化剤と、レシチンと、ほろ苦いチョコレートおよび/またはピーナッツバターなどの強い香味料とを含有する。本明細書中で開示した組成物を使用するとPUFAの安定性および官能特性はずっと高められ、したがってそれらをクリーム状脂肪から作られない、またはそれを含有しない食品に使用することができる。もちろん、これら開示された組成物は強力なマスキング香味料および/またはクリーム状脂肪を含有する製品にも使用することができるが、それらは強力なマスキング香味料および/またはクリーム状脂肪を含有しない製品に適している。
【0069】
開示された組成物、および本明細書中で開示される方法に従って生産される製品は、長期間貯蔵することができる。幾つかの例では、これら組成物を含む製品は、微生物の汚染をできるだけ低く抑えると仮定して周囲温度で12ヶ月間まで貯蔵することができる。他の例では開示された組成物を含む製品は、湿度調節が存在しない場合でさえ、35℃で12週間貯蔵することができる。長期貯蔵時の製品の安定性は、官能パネルまたはOxipres式計器を含めた本明細書中で開示される方法に従って測定することができる。
【0070】
開示された組成物を含有する製品は、その製品が3.5未満の官能スコアを有することを特徴とする安定性を有することができ、その官能スコアは、下記の尺度に関して組成物の風味をランク付けする少なくとも8人の官能試験員の官能パネルによって決定される。「1」は、官能試験員がその風味を極度に好み、甘味、オートムギ味、淡泊、シロップ味、カラメル味、穀物、または干しブドウなどの用語を用いてその風味を記述したことを意味し、「2」は、官能試験員がその風味を非常に好み、古いオートムギ、カビ臭いオートムギ、カビ臭いグラノーラ、焦げたカラメル、酸味、ピリッとした味、またはぼやっとした味などの用語を用いたことを意味し、「3」は、官能試験員がその風味を好み、風変わりな味(odd)、ハーブ味、土の臭い(earthy)、マッシュルーム、カビの臭い、または緑茶味としてその風味を記述したことを意味し、「4」は、官能試験員が何も感じず、その風味を記述するためにゼラチン、金属性の臭い、およびセッケンの匂いなどの用語を選択したことを意味し、「5」は、官能試験員がその風味を嫌い、熟していないまたは草の臭いとしてその味を記述したことを意味し、「6」は、官能試験員がその風味を非常に嫌い、魚臭いまたは海産物としてその味を記述したことを意味し、「7」は、官能試験員がその風味を極度に嫌い、その風味を塗料臭または酸敗臭として記述したことを意味する。風味に対して各官能試験員が与えた最高の数を平均し、その結果が官能スコアである。
【0071】
開示された組成物を含有する製品は、その製品がOxipresによって測定される約180時間、185時間、190時間、または195時間を超える誘導期間を有することを特徴とする安定性を有することができる。
【0072】
開示された組成物の使用によって、合格の官能スコア(例えば、3.5未満)および誘導期間(例えば、>180時間)を特徴とする安定性を有する製品を調製することができる。
【0073】
[グラノーラバーの調製方法]
改良された官能的安定性を有するPUFAを含有するグラノーラバーを、本明細書中で開示された組成物を使用して調製することができる。このグラノーラバーは、香味料を加えても加えなくてもよい。その方法は、結合用シロップを準備するステップ、および冷却段階の間にそのシロップに開示された組成物を加えるステップを含むことができる。
【0074】
具体的には、結合用シロップを形成するのに適した成分を混合し、加熱することができる。結合用シロップを形成するのに役立つそのような成分は、例えばレシチン、カノーラ油、高フルクトースコーンシュガー、グルコース、砂糖、水、および任意選択で香味料を含む。これら成分を高温に加熱し、適切な°Brixが得られるまで保つ(°Brix=100gのH
2O当たり糖1g)。成分を混合することができる適切な温度には、これらに限定されないが、約50〜約150℃、約70〜約140℃、約80〜約130℃、約90〜約120℃、または約100〜約110℃が挙げられる。他の例ではこれら成分を、約50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、または150℃(ただし、これら表示値のいずれもが範囲の上側および/または下側の端点を形成することができる)で加熱することができる。幾つかの具体例ではそれら成分を、所望の°Brix(例えば、85°Brix)が得られるまで約90℃で加熱することができる。
【0075】
次いでこの得られたシロップを冷却することができ、その時点で任意選択で様々な成分を加えることができる。例えば、シロップが約55〜約58℃に冷却したらすぐに、任意選択でその結合用シロップにクエン酸を加えることができる。クエン酸は、それが結合用シロップ中に完全に溶解するまで混合することができる。約55℃までさらに冷却したらその結合用シロップに香味料および/またはマスキング剤を加えることができる。好適な香味料およびマスキング香味料には、天然香味料(例えば、天然の果実フレーバー)および人工香味料(例えば、人工の果実フレーバー)が挙げられる。例えば香味料には、ミント、メントール、カラメル、シナモン、バニラ、人工バニラ、チョコレート、人工チョコレート、風船ガム、バナナ、サクランボ、グレープ、オレンジ、イチゴ、メロン、およびレモンが挙げられる。本明細書中で開示されるグラノーラバーに使用される好ましい香味料には、イチゴ、カラメル、およびブラックチョコレートが挙げられる。幾つかの例では香味料は、クエン酸を含む結合用シロップには加えられない。
【0076】
さらに冷却したらその結合用シロップに、本明細書中で開示された組成物を加えることができる。開示された組成物は、約40℃〜約55℃、約45℃〜約53℃、または約49℃〜約51℃の温度で加えることができる。例えば開示された組成物は、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、または約55℃(ただし、これら表示値のいずれもが範囲の上側および/または下側の端点を形成することができる)の温度で加えることができる。好ましくは開示された組成物は約50℃で加えられる。次いでこの得られた結合用シロップをグラノーラ組成物に加え、生成物が均質になるまで混ぜ合わせることができる。結合用シロップは、その結合用シロップに開示された組成物を加える温度と同じか、それよりも低い温度でグラノーラ組成物に加えることができる。グラノーラ生成物用の好適な成分には、オートムギ、ライスクリスプ、小麦フレーク、およびこれらの混合物が挙げられる。得られたグラノーラ生成物を常温圧縮してバーにし、さらに加工することができる。
【0077】
[実施例]
開示した主題による方法および結果を例示するために下記の例を示す。これらの例は本明細書中で開示される主題のすべての態様を含むものではなく、代表的な方法および結果を例示するものである。これらの例は、当業者に明らかな等効例および変形例を排除するものでもない。
【0078】
数値(例えば、量、温度など)に関する精度を保証する努力を行ったが、幾らかの誤差および偏差は計算に入れるべきである。別段の指示がない限り、部は重量部であり、温度は単位℃または周囲温度であり、また圧力は大気圧またはその近傍である。開示される工程から得られる生成物の純度および収率の最適化のために使用することができる反応条件、例えば成分濃度と、温度と、圧力と、他の反応範囲および条件との非常に多くの変化および組合せが存在する。妥当な型にはまった実験のみが、このような工程条件を最適化するために必要なはずである。
【0079】
本明細書中で開示される幾つかの材料、化合物、組成物、および成分は、市場で得ることができ、あるいは当業者に一般に知られている手法を使用して容易に合成することができる。例えば、開示された組成物の調製に使用される出発材料および試薬は、Ocean Nutrition Canada Limited(ダートマス,カナダ)、Acros Organics(ニュージャージー州,モリス・プレインズ)、Fisher Scientific(ペンシルバニア州,ピッツバーグ)、またはSigma−Aldrich(ミズーリ州,セントルイス)などの営利的供給業者から入手可能であり、あるいはFisher and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,Volumes 1−17(John Wiley and Sons,1991);Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds,Volumes 1−5 and Supplementals(Elsevier Science Publishers,1989);Organic Reactions,Volumes 1−40(John Wiley and Sons,1991);March’s Advanced Organic Chemistry(John Wiley and Sons,第4版);およびLarock’s Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.,1989)などの参考文献中に示されている手順に従って当業者に知られている方法によって調製される。
【0080】
[実施例1:チューイーグラノーラバーの調製および貯蔵]
香味料を加えたチューイーグラノーラバーおよび加えないチューイーグラノーラバーを表1に示す成分を使用して調製した。
【0081】
【表1】
【0082】
これらグラノーラバーは、結合用シロップの成分(すなわち、レシチン、カノーラ油、42%フルクトースを含有する高フルクトースコーンシロップ(表1中の「HFCS 42」)、グルコースシロップ、および砂糖)を混合し、この混合物を二重釜を使用して90℃に加熱した。混合物を、85°Brixが得られるまでこの温度に保った。得られたシロップを55〜58℃に冷却した。香味料を加えないバーの場合は、この時点でクエン酸を加え、完全な溶解が達成されるまで混合した。香味料を加えるバーの場合は、さらに55℃まで冷却した時点でバーに香味料(例えば、イチゴ、カラメル、およびブラックチョコレート)および/またはマスキング剤を加え、完全な分散または溶解が達成されるまで混合した。太陽化学株式会社(日本,三重県,四日市)から市販されている緑茶抽出物(GTE)粉末であるサンフェノン90LB(商標)およびOcean Nutrition Canada Limited(ダートマス,カナダ)から得た粉末状マイクロカプセル化PUFAを乾式混合した。それらを、粉末緑茶抽出物対粉末マイクロカプセルの比率1:20で混ぜ合わせた。次いでこの得られた組成物を、50℃まで冷却した時点でシロップに加え、完全に分散するまで混合した。対照バーにはサンフェノン90LB(商標)も粉末状マイクロカプセル化PUFAも加えられなかった。結合用シロップの調製後、次いで50℃である間に、その混合物を表1に示すグラノーラミックス(すなわち、ブラウンライスクリスプ、ロールドオート、および全粒小麦フレーク)に加え、試料が均質になるまで混合した。その塊を、9インチ×9インチ×0.5インチ(23cm×23cm×1.3cm)の鋳型を用いてシート状にした。鋳型に入れてバーをシート状にした後、鋳型およびその内容物を4℃で15〜20分間冷却した。試料を鋳型から取り出し、定寸に切断し、フォイルバッグに詰めた。
【0083】
この香味料を加えない、または香味料を加えたチューイーグラノーラバーを、加速条件下(すなわち湿度調節なしの35℃)および周囲条件下(すなわち20〜25℃)の両方で貯蔵した。加速条件下の試料を週1回の頻度で12週間評価し、また周囲条件下の試料を月1回12ヶ月間評価した。
【0084】
[実施例2:チューイーグラノーラバーの官能試験]
マイクロカプセル化PUFA粉末、粉末緑茶抽出物(サンフェノン90LB(商標))、および/またはクエン酸を含有する試料を、実施例1の記述のように調製した。マイクロカプセル化PUFA粉末は、粉末35g当たり32mgのEPA/DHA(データは示されない)、または粉末35g当たり50mgのEPA/DHAのいずれかを含有した。サンフェノン90LB(商標)は、200ppmまたは500ppmのいずれかで施された。試料中のクエン酸の量は、32mgのEPA/DHAを添加されたグラノーラ中で100ppmまたは300ppmであった。50mgのEPA/DHAを添加されたそれらのグラノーラについて、300ppm〜500ppmのクエン酸が試験された。その配合および関連データを
図1および2に示す。
【0085】
それら試料は、香味料を加えないグラノーラバーに関して香りおよび風味を評価する記述的な官能試験を使用して8人の官能試験員の訓練を受けた解答者によって評価された。官能試験員は、快不快尺度を用いて風味の容認可能性をランク付けした。「1」の得点は、官能試験員がその風味を極度に好み、甘味、オートムギ風味、淡泊、シロップ風味、カラメル風味、穀物、または干しブドウなどの用語を用いてその風味を記述したことを意味する。「2」の得点は、官能試験員がその風味を非常に好み、古いオートムギ、カビ臭いオートムギ、カビ臭いグラノーラ、焦げたカラメル、酸味、ピリッとした味、またはぼやっとした味などの用語を用いたことを意味する。「3」の得点は、官能試験員がその風味を好み、風変わりな味、ハーブ風味、土臭い、マッシュルーム、カビの臭い、または緑茶味としてその風味を記述したことを意味する。「4」の得点は、官能試験員が何も感じず、その風味を記述するためにゼラチン、金属性の臭い、およびセッケンの匂いなどの用語を選択したことを意味する。「5」の得点は、官能試験員がその風味を嫌い、熟していないまたは草の臭いとしてその味を記述したことを意味する。「6」の得点は、官能試験員がその風味を非常に嫌い、魚臭いまたは海臭いとしてその味を記述したことを意味する。「7」の得点は、官能試験員がその風味を極度に嫌い、その風味を塗料臭または酸敗臭として記述したことを意味する。
【0086】
官能試験員によって与えられる最高の記述子の加重値を使用してデータ(最悪の筋書き)を分析した。記述子に対して指定される数は、最高格付け記述子に基づく。例えば、淡泊、土臭い、海臭いとして記述される風味は6の得点を与えられることになるのに対して、淡泊、古くなった(off)、土臭い、紅茶と書かれた記述は3の値を与えられることになる。官能試験員全員の最高格付け記述子を平均した。3.5未満の平均得点が望ましい。
【0087】
魚臭さの強度がまた、「0」(魚臭さがないことを意味する)〜「6」(顕著な魚臭さを意味する)の尺度を用いて官能試験員によってランク付けされた。
【0088】
図1および2に示すように緑茶抽出物(サンフェノン90LB(商標)(太陽化学株式会社;日本,三重県,四日市))およびマイクロカプセル化PUFA粉末を含有する組成物を使用して香味料を加えない常温圧縮グラノーラバーを形成することは、マイクロカプセル化PUFA粉末に関係する検出可能な魚の臭い(notes)または古くなった臭いを減らすことによって製品の官能的安定性を向上させた。この組成物はまた、バーの貯蔵寿命を、湿度調節なしの周囲条件において4〜6ヶ月から12ヶ月へ、また35℃において12週間へ延ばした。
【0089】
[実施例3:チューイーグラノーラバーの酸化安定性試験]
チューイーグラノーラバー中のマイクロカプセル化PUFA粉末の酸化劣化を最小限に抑えまたは遅らせることにおける緑茶抽出物サンフェノン90LB(商標)の有効性をさらに確かめるために、ML Oxipres(Mikrolab Aarhus A/S;ホイビュルグ,デンマーク)を使用して、その酸化安定性を測定した。
【0090】
マイクロカプセル化PUFA粉末と、粉末緑茶抽出物サンフェノン90LB(商標)およびサンフェノン90D(商標)とを取り込むための媒質として香味料を加えないチューイーグラノーラバーモデル系を使用して、実施例1で前述したものと同一の加工条件を用いた一連の実験を行った。実験は、ML Oxipres中で65℃の温度で250時間行った。香味料を加えないチューイーグラノーラバーが、1食当たり50mgのEPA/DHAのマイクロカプセル化PUFA粉末のみを含有する場合、その誘導期間(IP)は99.0時間であることが分かった。しかしながら、香味料を加えないチューイーグラノーラバーが、同じマイクロカプセル化PUFA粉末を含有し、その上に500ppmの粉末緑茶抽出物サンフェノン90LB(商標)およびサンフェノン90D(商標)を加えた場合、その誘導期間はそれぞれ197および196時間であった(
図3参照)。これらの結果は、実施例2で得られた官能的知見を確認した。上記の香味料を加えないモデル系中に粉末緑茶抽出物サンフェノン90LB(商標)またはサンフェノン90D(商標)と、PUFAを含む粉末調合物とを含有する組成物を使用することにより、経時的な製品の酸化安定性および官能的安定性が向上した。
【0091】
[実施例4:種々の抗酸化剤を含有するグラノーラバーの官能試験]
天然の抗酸化剤の供給源を絞り込むために事前選別を行った。グラノーラバーを、マイクロカプセル化PUFA粉末および抗酸化剤の量を変えたことを除いて実施例1で述べた製法で調製した。バーを、マイクロカプセル化PUFA粉末(グラノーラバー35g当たり75mgのEPA/DHAを含有する)を含有する組成物を用いて調製し、テアビゴ(商標)、サンフェノン90DCF−T(商標)、GUARDIAN 20S(商標)、およびGUARDIAN 20M(商標)などの幾つかの供給源の緑茶抽出物と、Capros、SABERRY(商標)、Ellagic Extractなどの特定のフェノール系化合物とを試験した。結果としてテアビゴおよびサンフェノン90DCF−T(商標)などの多量のポリフェノールを含む緑茶抽出物源はかなりの官能的安定性を示し、残りの天然の抗酸化剤は官能的に安定でなかった。さきの知見をさらに確かめるために別の一連の実験を行った。バーを、マイクロカプセル化PUFA粉末(グラノーラバー35g当たり75mgのEPA/DHAとブチルヒドロキシアニソール(BHA)とを含有する)と、テアビゴ(商標)(Pharamachem Laboratories,Inc.(ニュージャージー州,カーニー)から市販されている緑茶抽出物)、またはVITAGREEN(商標)TX50(Vitivaから入手できる)、またはサンフェノンXLB(商標)、またはサンフェノン90LB(商標)、またはサンフェノン90DCF−T(商標)(太陽化学株式会社から市販されている緑茶抽出物)とを含有する組成物を使用して調製した。これら試料は、実施例2で述べた記述的官能試験を使用して官能試験員によって評価された。得点の平均に基づき、マイクロカプセル化PUFA粉末(
図4中でPUFA粉末と呼ばれる)および緑茶抽出物サンフェノン90LB(商標)を含む組成物を含有するグラノーラバーが最良の官能的結果を与えた(
図4参照)。
【0092】
[実施例5:香味料を加えたグラノーラバーの官能的安定性試験]
常温圧縮され噛みごたえのある香味料添加グラノーラバーを、サンフェノン90LB(商標)緑茶抽出物を変更し、かつクエン酸を使用しないことを除いて、実施例1で述べたと同様にマイクロカプセル化PUFA粉末および抗酸化剤で調製した。具体的には、1食当たり50mgのEPA/DHAおよび200〜500ppmのサンフェノン90LB(商標)緑茶抽出物と、イチゴ、カラメル、およびブラックチョコレートのうちの1種類の香味料とを含有するバーを調製した。これら試料は、実施例2で述べた記述的官能試験を使用する官能試験員によって評価された。得点の平均に基づき、マイクロカプセル化PUFA粉末を含有するバーに200〜500ppmの緑茶抽出物を加えることが、マイクロカプセル化PUFA粉末に関係する検出可能な魚の臭いまたは古くなった臭いを減らすことによって製品の官能的安定性を向上させた。この組成物はまた、これに加えてバーの貯蔵寿命を、周囲条件(20〜25℃)において4〜6ヶ月から12ヶ月へ、あるいは加速条件(35℃)下で12週間へ延ばした。
【0093】
[実施例6:粉末マイクロカプセル化PUFAの酸化安定性に与える種々の抗酸化剤の効果]
(グラノーラバー35g当たり50mgのEPA/DHA)を含有するマイクロカプセル化PUFA粉末と、様々な天然の抗酸化剤とを使用して実施例1で述べたと同様にグラノーラバーを調製した。結果を表2に示す。マイクロカプセル化PUFAだけを含み、抗酸化剤なしのバーは99時間の誘導期間を有した。
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
天然の抗酸化剤の様々な供給源を、粉末マイクロカプセル化PUFAの酸化劣化を最小限に抑えまたは遅らせることについてのそれらの有効性に関して評価した。Oxipresによって測定されるこの定性試験では約195時間を超える高い誘導時間が、その天然の抗酸化剤による粉末マイクロカプセル化PUFAの酸化安定性の優れた向上を示唆する。より低い誘導時間、例えば約180時間は、粉末マイクロカプセル化PUFAの酸化安定性に関するその天然の抗酸化剤の性能が不十分なことを示唆する。サンフェノン90LB(商標)またはサンフェノン90D(商標)は、ある期間にわたって優れた誘導期間を示した。他のSunphenon緑茶抽出物、90DCF−TおよびXLBは、たとえそれらの誘導期間が好結果であったとしても官能的性能は劣っていた。理論に拘束されることを望むものではないが、この不十分な官能スコアは、EGC(90DCF−Tの場合)またはEGCG(XLBの場合)の量が少ないこと、あるいはそのEGC対EGCGの比率の結果であったと考えられる。
【0097】
別添の特許請求の範囲の組成物および方法は、特許請求の範囲の少数の態様の実例を意図した本明細書中で述べる特定の組成物および方法によって範囲を限定されず、機能的に等価である任意選択の組成物および方法は本開示の範囲内にある。本明細書中で示しまた述べた組成物および方法に加えてそれらの様々な修正形態も、別添の特許請求の範囲の範囲内に含まれることを意図している。さらに、単に幾つかの代表的な組成物、方法、およびそれらの組成物および方法の態様のみを具体的に記述するが、他の組成物および方法、ならびにそれら組成物および方法の様々な特徴の組合せも、たとえ具体的に列挙されないとしても別添の特許請求の範囲の範囲内に含まれることを意図している。したがって、ステップ、要素、構成部品、または成分の組合せが本明細書中で明示的に記述されている場合もあるが、たとえ明示的に提示されないとしてもすべての他のステップ、要素、構成部品、または成分の組合せが包含される。