(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6376543
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】ビリヤード台天板
(51)【国際特許分類】
A63D 15/00 20060101AFI20180813BHJP
【FI】
A63D15/00 D
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-153166(P2017-153166)
(22)【出願日】2017年8月8日
【審査請求日】2017年8月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599071441
【氏名又は名称】千代田アド・パック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108327
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】秋本 綏定
(72)【発明者】
【氏名】加藤 陸
【審査官】
槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03323797(US,A)
【文献】
特表2008−521518(JP,A)
【文献】
実開昭51−031667(JP,U)
【文献】
特表平09−500297(JP,A)
【文献】
米国特許第02115115(US,A)
【文献】
米国特許第02963128(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0261710(US,A1)
【文献】
特公平6−98478(JP,B2)
【文献】
特許第2792644(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63D15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽金属製ハニカムコアパネルの上面板の上に厚さ2mm以上の緩衝材を介して厚さ3mm以上の軽金属製の表面板が密着固定されているビリヤード台天板。
【請求項2】
請求項1において、軽金属はアルミニウム、アルミニウム合金、チタン、ジュラルミンのいずれかであり、緩衝材はゴムシート、フェルトにアスファルトを含浸させた防音・防振材またはシリコーン基材に微小中空球体を分散させた緩衝材のいずれか、または、それらを複層に組み合わせたものであるビリヤード台天板。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれかのビリヤード台天板を装備したビリヤード台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来、大きな重量のスレート板で構成されていたビリヤード台天板を軽量化し、運搬、収納に便利なビリヤード台天板に関する。
【背景技術】
【0002】
ビリヤード台天板は、台表面に高精度の平坦性が要求されることから一般にスレート板(石)が使用されている。スレートは比重が2.7とかなり重量が大きなものであり、更に平坦性を確保するため十分な厚みを必要とするものであるのでビリヤード台全体重量は、フレームを含めると一台当たり350kg〜600kgと相当な重量となり、運搬したり移動したりするのは容易なものでなかった。
【0003】
スレートは、脆弱な材料であり、ビリヤード台全体を一枚のスレートで構成した場合、板全体に均一に力がかかるように持ち上げることは可能であるが、力が偏った状態で持ち上げると、それだけで割れてしまうことがあるので、スレート板の破損を防止するため、単一のスレートでビリヤード台全体を構成させることはせずに一枚が90kg程度のものに分割し、これらを継ぎ合わせてビリヤード台を構成している。
【0004】
複数のスレート板を継ぎ合わせているので組立作業においては、各スレート板をフレームに載せて継ぎ合わせをおこなうが、継目に段差が生じないようにするため、クサビを使用して高さを調整し、継目をパテで埋めて平坦にしており、分割したスレート板の組立調整には熟練した作業員を必要とし、時間と費用がかかるものである。
【0005】
以上のように、ビリヤード台の組み立てには繊細さが要求されることから、一旦組み立てたビリヤード台を移動させると、微妙な狂いが生じてビリヤード台の平坦性が失われたり、継目に段差が生じたりするので再調整が必要となるため、調整が完了したビリヤード台を移動させることは殆ど不可能といってよいものである。
このようなことから、ビリヤードゲーム大会や講習会などを短期間開催しようとすると、ビリヤード台の運搬・設置、組立て調整に費用と時間がかかるので簡単に実施することができなかった。そのため、ビリヤード台の設置場所は、専用の空間が必要となるので多数の人が異なる目的で利用する多目的空間であるホールや体育館などにビリヤード台を短期間設置したり、使用時だけ収納場所から取り出して調整してプレーするということはほぼ不可能であった。
ビリヤード台を短期間利用し、利用後は分解撤去するにあたり、組立・設置・調整をする熟練技術者を必要とせずに短時間でビリヤード台を組立設置することができるようになれば、多くの人にビリヤードを気軽に楽しんでもらうことができるのであるが、前記の事情によって困難なものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5830072号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スレートを使用したビリヤード台は、小型であっても300kgを超えるものであり、運搬が容易でなく、また、組立調整に熟練技術者を必要とするので費用と時間を要するものである。大重量のスレート製のビリヤード台に代わり、軽量化を図ったビリヤード台が提案されているが、ビリヤード台の平坦性が十分でなく、時間の経過とともに狂いが生ずるなどの欠点があり、軽量であって高強度、高剛性のビリヤード台は実現されていない。
軽量、高強度、高剛性の部材としてアルミニウムハニカムコアパネルが知られている。アルミニウムハニカムコアパネルは、航空機の構造材として開発されたものであり、アルミニウム等の軽金属の薄板の六角形コアを上下のパネルで挟んだものである。アルミニウムハニカムコアパネルは軽量であって高強度、高剛性である特性により、高層ビルを中心に建築材として使用されてきている。
この軽量、高強度、高剛性を兼ね備えたアルミニウムハニカムコアパネルをビリヤード台天板としてスレートに代えて使用すると以下の不都合な点があることが判明した。
【0008】
ビリヤードは、ボールをキューで撞いて転がし、天板の周囲に設けた壁、すなわち反発力を有するクッションレールにボールを衝突させ、その反発力によってボールを逆方向に跳ね返して種々のゲームをおこなうものであり、単純にスレートの代用品としてアルミニウムハニカムコアパネルをビリヤード台の天板として使用すると、ボールがクッションレールに当たって戻るときにスレートの天板では出ることのない太鼓を叩いたときのような大きな打撃音が発生し、ビリヤード場の雰囲気を壊すものとなる。当初、この打撃音発生のメカニズムが不明であって対応策がとれなかったが、種々実験を繰り返し、ボールがクッションレールで跳ね返されるときにクッションレールによる反発力が下向きに作用してボールが天板に叩きつけられることになり、この時のボールの天板への衝突音がハニカムコアの中空部で共鳴することによって大音響が発生するものと推定された。
本発明の課題は、ビリヤード台天板をハニカムコアパネルの利用によって軽量化すると共にビリヤード台に要求される性能、すなわち、プロフェッショナルのビリヤードプレーヤの高度な技術を従来のスレートの天板と同様に発揮することができ、ボールがクッションレールで跳ね返るときの大音響を解消したビリヤード台天板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
軽金属製ハニカムコアの表裏両面に軽金属製の上面板と下面板が固定されたハニカムコアパネルの上面板の上に、緩衝材を介して軽金属製の表面板が密着固定されているビリヤード台天板である。
軽金属はアルミニウム、アルミニウム合金、チタン、ジュラルミンのいずれかであり、緩衝材は、ゴムシート、フェルトにアスファルトを含浸させた防音・吸音材、または、シリコーンゲル基材中に直径5μm〜350μmの中空球体が分散されている緩衝材のいずれか、または、それらを複層に組み合わせたものである。
また、軽金属製の表面板は、厚さが3mm以上であるビリヤード台天板である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のビリヤード台天板は、軽合金製のハニカムコアパネルとその上面板にゴムシート等からなる緩衝材を介在させて軽金属製の表面板が積層固定されているので、軽量、高強度、高剛性であるので、スレートに比較してビリヤード台天板の重量を三分の一まで軽量化することができ、運搬及び組立が容易であり、熟練技術者でなくとも容易に組立が可能となった。
また、ハニカムコアパネルの上にゴムシート等の緩衝材を介在させて軽合金製の表面板を固定してあるので、クッションレールで跳ね返ったボールが表面板に当たるときの衝撃が吸収されるので衝撃音の発生が抑止され、ハニカムコアの空間による共鳴がおこらず、大きな打撃音の発生が防止される。
そして、天板が高強度・高剛性であることから、スレート天板と変わらない、静かなボールの転がりと、クッションレールからの跳ね返り時の天板における衝撃音が無く、高度な技術であるジャンプショットやマッセなどのショットも可能となり、全てのビリヤードゲームに対応することができるようになり、スレート板のビリヤード台と変わらない感覚でプレーすることができるようになった。
また、天板を大幅に軽量化することができたことから、天板を支えるフレームの強度をスレートの天板のビリヤード台より下げることができるので天板以外の部品も軽量化することができ、且つビリヤード台の構造を簡素化できるので、製造コストを低減でき、組立設置のための職人技を必用とせず、天板を支持するビリヤード台の四隅の脚における天板の支持高さを調整するだけでビリヤード台の水平を調整することができ、簡単に組立設置が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本発明のビリヤード台天板の一部破断した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明のビリヤード台天板1の断面図であり、アルミニウム製のハニカムコア2の上下に厚さ3mmのアルミニウムもしくはジュラルミンの板1a、1bが接着によって固定されているアルミニウムコアパネル1の上板1aの表面に厚さ2mmのゴムシート3を密着させて接着してある。更に、ゴムシート3の上に厚さ3mmのアルミニウム板の表面板4を接着固定してビリヤード台の天板1としたものである。
【0013】
アルミニウムコアパネル1の上下板1a、1bの厚さは3mm以上として十分な剛性が得られるようにしてある。また、表面板4は、その表面にクロスを張ってビリヤード台として使用されるが、ボールが落下して衝撃を与えることもあるので、少なくとも3mmの厚さが必要である。
【0014】
ゴムシート3は、合成ゴムでも天然ゴムでもよいが、厚さが2mm以下では、クッションレールの反発力によって表面板4に衝突して衝撃音を発生するので、衝撃音が起きないようにするには厚さを2mm以上とする。また、複数のゴムシートを重ね合わせて複層として所定の厚さとしたものでもよい。
ゴムシート3と同様に衝撃音の発生を抑制するものとしてシリコーン基材に微小中空球体を分散させた緩衝材を用いても同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0015】
1 ビリヤード台天板
1A ハニカムコアパネル
1a ハニカムコアパネルの上面板
1b ハニカムコアパネルの下面板
2 ハニカムコア
3 緩衝材
4 表面板
【要約】
【課題】重くて運搬が困難であり、組立調整に技術と費用、時間を要するスレート製のビリヤード台の天板を軽量化し、軽量化にともなう不快な衝撃音の発生を抑制する。
【解決手段】アルミニウムなどの軽合金製のハニカムコア2の上下面にアルミニウム製の表面板1aと裏面板1bが接着固定されたハニカムコアパネルを基体とし、表面板1aの上に厚さ2mmの合成ゴム製の緩衝材3が設けてあり、更に緩衝材3に密着させてアルミニウム製の表面板4が固定されているビリヤード台天板であり、スレート製の天板と同等の剛性を有している。軽量で高剛性なので運搬・組立が容易であり、短時間で組立て調整が可能である。ボールがクッションに衝突して跳ね返るときに天板1に衝突しても衝撃が緩衝材3によって吸収され、衝撃音がハニカムコア2の空洞で共鳴して不快な音を出すことがない。
【選択図】
図1