特許第6376572号(P6376572)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6376572ベイトリールおよびベイトリールの回転制御機構に用いられる距離調整部品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6376572
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】ベイトリールおよびベイトリールの回転制御機構に用いられる距離調整部品
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/0155 20060101AFI20180813BHJP
【FI】
   A01K89/0155
【請求項の数】12
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-47007(P2017-47007)
(22)【出願日】2017年3月13日
【審査請求日】2017年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】517088540
【氏名又は名称】株式会社IXA
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】平井 清博
【審査官】 田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−245365(JP,A)
【文献】 特開2013−158295(JP,A)
【文献】 特開平10−262519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/0155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプール軸と該スプール軸に連結されたボビンを有するスプール部と、
該スプール部の回転を制御し得る回転制御機構と、備えており、
該回転制御機構は、
前記スプール部の回転方向に抗するブレーキ力を発生させる電磁ブレーキと、
該電磁ブレーキのブレーキ力を調整し得る前記スプール軸に取り付けて使用される距離調整部品と、を備えており、
前記電磁ブレーキは、
磁性体と、該磁性体に対向するように設けられた導電部材と、を備えており、
前記距離調整部品は、
前記スプール軸に対して非連結であって、前記ボビンに対して着脱可能かつ一体回転し得るように固定されたスプール軸固定部材と、
前記導電部材が前記磁性体側に連結され、前記スプール部の回転に応じて前記スプール軸の軸方向に沿って移動可能に設けられた移動部材と、を備えており、
前記スプール軸固定部材は、
前記ボビンの隔壁側の端部から突出した係止突起を備えており、
前記ボビンの隔壁には、
前記スプール軸固定部材を取り付けたときに、前記係止突起が挿通される係止孔が形成されており、
前記係止突起の先端部には、
該係止突起が前記係止孔に挿通された状態において、前記スプール軸固定部材が前記ボビンから離間しようとする力に抗して前記係止突起が前記係止孔に係合された状態を維持し得る係止爪が設けられている
ことを特徴とするベイトリール。
【請求項2】
前記移動部材は、
該移動部材と前記スプール軸固定部材との間に設けられたカム機構によって前記移動が案内されており、
前記カム機構は、
基端が前記スプール軸固定部材に固定され先端が前記移動部材のカム溝に挿入されたカム軸または、基端が前記移動部材に固定され先端が前記スプール軸固定部材のカム溝に挿入されたカム軸、を備えている
ことを特徴とする請求項1記載のベイトリール。
【請求項3】
前記スプール軸固定部材と前記移動部材とが、前記カム機構によって移動しつつ離脱しないように一体となっている
ことを特徴とする請求項2記載のベイトリール。
【請求項4】
スプール軸と該スプール軸に連結されたボビンを有するスプール部と、
該スプール部の回転を制御し得る回転制御機構と、備えており、
該回転制御機構は、
前記スプール部の回転方向に抗するブレーキ力を発生させる電磁ブレーキと、
該電磁ブレーキのブレーキ力を調整し得る前記スプール軸に取り付けて使用される距離調整部品と、を備えており、
前記電磁ブレーキは、
磁性体と、該磁性体に対向するように設けられた導電部材と、を備えており、
前記距離調整部品は、
前記スプール軸に対して非連結であって、前記ボビンに対して着脱可能かつ一体回転し得るように固定されたスプール軸固定部材と、
前記導電部材が前記磁性体側に連結され、前記スプール部の回転に応じて前記スプール軸の軸方向に沿って移動可能に設けられた移動部材と、を備えており、
該移動部材は、
該移動部材と前記スプール軸固定部材との間に設けられたカム機構によって移動が案内されており、
前記カム機構は、
基端が前記スプール軸固定部材に固定され先端が前記移動部材のカム溝に挿入されたカム軸、または、基端が前記移動部材に固定され先端が前記スプール軸固定部材のカム溝に挿入されたカム軸、を備えており、
前記スプール軸固定部材と前記移動部材とが、前記カム機構によって移動しつつ離脱しないように一体となっている
ことを特徴とするベイトリール。
【請求項5】
前記移動部材または前記スプール軸固定部材のカム溝が、
周方向に向きを変えるように形成された一対の弧状の溝であって、前記スプール軸の中心軸を通る面に対して対称となるように形成されている
ことを特徴とする請求項2、3または4記載のベイトリール。
【請求項6】
前記回転制御機構は、
前記距離調整部材を前記スプール軸に取り付けた状態において、前記導電部材を前記ボビンに向かって付勢する付勢部材の反導電部材側の端部に設けられる抜け止め部材と該抜け止め部材の前記スプール軸の軸方向への移動を制限する係止部材との間および/または前記距離調整部材と前記ボビンとの間に設けられ、前記電磁ブレーキが発生するブレーキ力を調整するリング状の離間部材を備えている
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のベイトリール。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のベイトリールが有するスプール部のスプール軸に取り付けて使用される距離調整部品であって、
前記スプール軸に対して非連結であって、前記スプール部のボビンに対して着脱可能かつ一体回転し得るように固定されるスプール軸固定部材と、
前記スプール軸に取り付けた状態において、前記スプール部の回転に応じて前記スプール軸の軸方向に沿って移動可能に設けられた移動部材と、を備えており、
前記スプール軸固定部材は、
前記スプール軸に取り付けた状態において、前記ボビン側の端部から突出した係止突起を備えており、
該係止突起の先端部には、
該係止突起の軸方向に交差する方向に向かって突出した係止爪が設けられている
ことを特徴とするベイトリールの回転制御機構に用いられる距離調整部品。
【請求項8】
前記移動部材は、
該移動部材と前記スプール軸固定部材との間に設けられたカム機構によって前記移動が案内されており、
前記カム機構は、
基端が前記スプール軸固定部材に固定され先端が前記移動部材のカム溝または、基端が前記移動部材に固定され先端が前記スプール軸固定部材のカム溝に挿入されたカム軸、を備えている
ことを特徴とする請求項7記載のベイトリールの回転制御機構に用いられる距離調整部品。
【請求項9】
前記スプール軸固定部材と前記移動部材が、前記カム機構によって移動しつつ離脱しないように一体となっている
ことを特徴とする請求項8記載のベイトリールの回転制御機構に用いられる距離調整部品。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれかに記載のベイトリールが有するスプール部のスプール軸に取り付けて使用される距離調整部品であって、
前記スプール軸に対して非連結であって、前記スプール部のボビンに対して着脱可能かつ一体回転し得るように固定されるスプール軸固定部材と、
前記スプール軸に取り付けた状態において、前記スプール部の回転に応じて前記スプール軸の軸方向に沿って移動可能に設けられた移動部材と、を備えており、
前記移動部材は、
該移動部材と前記スプール軸固定部材との間に設けられたカム機構によって前記移動が案内されており、
前記カム機構は、
基端が前記スプール軸固定部材に固定され先端が前記移動部材のカム溝または、基端が前記移動部材に固定され先端が前記スプール軸固定部材のカム溝に挿入されたカム軸、を備えており、
前記スプール軸固定部材と前記移動部材とが、前記カム機構によって移動しつつ離脱しないように一体となっている
ことを特徴とするベイトリールの回転制御機構に用いられる距離調整部品。
【請求項11】
前記移動部材または前記スプール軸固定部材のカム溝が、
周方向に向きを変えるように形成された一対の弧状の溝であって、前記スプール軸の中心軸を通る面に対して対称となるように形成されている
ことを特徴とする請求項8、9または10記載のベイトリールの回転制御機構に用いられる距離調整部品。
【請求項12】
前記カム軸が、円筒状に形成されている
ことを特徴とする請求項8、9、10または11記載のベイトリールの回転制御機構に用いられる距離調整部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベイトリールおよびベイトリールの回転制御機構に用いられる距離調整部品に関する。さらに詳しくは、電磁ブレーキを利用してスプールの回転を制御するベイトリールおよびベイトリールの回転制御機構に用いられる距離調整部品に関する。
【背景技術】
【0002】
釣りに用いられるリールとしては、一般的にスピニングリールと両軸受型のベイトリールが存在する。このうちベイトリールは、糸に加わる力を直接スプールで受けることができるので、スピニングリールに比べて、太い糸を使用することができたり、コントロールがし易いといった利点を有している。このため、重さがあるルアーや仕掛けを利用したりする場合には、ベイトリールを用いるのが好ましい。
【0003】
しかし、ベイトリールは、上記のごとき利点を有する一方、キャスティング時にスプールに糸が絡まるといった現象(いわゆるバックラッシュ)が発生しやすい。バックラッシュは、スプールの回転速度がキャスティングによって投げ飛ばされたルアー等の速度よりも速くなった場合に発生する現象であり、ルアー等の飛行軌道の頂点を超えた段階やルアー等が着水した段階で発生するといわれている。
【0004】
一般的に、上記のようなバックラッシュを防ぐ方法としては、キャスティング時に、親指などでスプールを押さえて摩擦制動力を発生させる方法(いわゆるサミング)が取られている。しかし、このサミング操作は、習熟したベテランでなければ適切に行うことができないので、ベイトリールを使い慣れていない釣り人にとっては、扱いが難しいといった問題が生じている。
【0005】
そこで、従来、ベイトリールを使い慣れていない釣り人が使用してもバックラッシュが発生しにくいベイトリールが開発されている(例えば、特許文献1〜3)。
【0006】
特許文献1〜3には、スプールの回転速度の増減に応じて、スプールの軸に沿って移動可能な移動部材に制動部材を固定して、付勢部材の付勢力と移動部材の移動する機構を利用し、永久磁石と制動部材の距離を接近離間させることによって、制動力の強弱を回転速度に応じて調整して、適切な制動力に変化させるバックラッシュ制御機構を備えたベイトリールが開示されている。そして、このようなベイトリールを用いれば、スプールの回転速度に応じてスプールの制動力を変化させることができるので、バックラッシュを抑制しつつ、ルアー等の飛距離の低下も防止できる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−245365号公報
【特許文献2】特開2013−158295号公報
【特許文献3】特開平10−262522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかるに、特許文献1〜3のベイトリールのバックラッシュ制御機構は、バックラッシュ制御機構が非常に多くの部品点数で構成されており、その組付や取外し作業が非常に複雑であるといった問題が発生している。
したがって、特許文献1〜3のベイトリールを適切に使用ができるのは、これらの制御機構に精通した釣り人に限定されている、というのが実情である。
【0009】
本発明は上記事情に鑑み、電磁ブレーキを利用したリールを簡単に分解・組み立てができるベイトリールおよびベイトリールの回転制御機構に用いられる距離調整部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(ベイトリール)
第1発明のベイトリールは、スプール軸と該スプール軸に連結されたボビンを有するスプール部と、該スプール部の回転を制御し得る回転制御機構と、備えており、該回転制御機構は、前記スプール部の回転方向に抗するブレーキ力を発生させる電磁ブレーキと、該電磁ブレーキのブレーキ力を調整し得る前記スプール軸に取り付けて使用される距離調整部品と、を備えており、前記電磁ブレーキは、磁性体と、該磁性体に対向するように設けられた導電部材と、を備えており、前記距離調整部品は、前記スプール軸に対して非連結であって、前記ボビンに対して着脱可能かつ一体回転し得るように固定されたスプール軸固定部材と、前記導電部材が前記磁性体側に連結され、前記スプール部の回転に応じて前記スプール軸の軸方向に沿って移動可能に設けられた移動部材と、を備えており、前記スプール軸固定部材は、前記ボビンの隔壁側の端部から突出した係止突起を備えており、前記ボビンの隔壁には、前記スプール軸固定部材を取り付けたときに、前記係止突起が挿通される係止孔が形成されており、前記係止突起の先端部には、該係止突起が前記係止孔に挿通された状態において、前記スプール軸固定部材が前記ボビンから離間しようとする力に抗して前記係止突起が前記係止孔に係合された状態を維持し得る係止爪が設けられていることを特徴とする。
第2発明のベイトリールは、第1発明において、前記移動部材は、該移動部材と前記スプール軸固定部材との間に設けられたカム機構によって前記移動が案内されており、前記カム機構は、基端が前記スプール軸固定部材に固定され先端が前記移動部材のカム溝に挿入されたカム軸または、基端が前記移動部材に固定され先端が前記スプール軸固定部材のカム溝に挿入されたカム軸、を備えていることを特徴とする。
第3発明のベイトリールは、第2発明において、前記スプール軸固定部材と前記移動部材とが、前記カム機構によって移動しつつ離脱しないように一体となっていることを特徴とする。
第4発明のベイトリールは、スプール軸と該スプール軸に連結されたボビンを有するスプール部と、該スプール部の回転を制御し得る回転制御機構と、備えており、該回転制御機構は、前記スプール部の回転方向に抗するブレーキ力を発生させる電磁ブレーキと、該電磁ブレーキのブレーキ力を調整し得る前記スプール軸に取り付けて使用される距離調整部品と、を備えており、前記電磁ブレーキは、磁性体と、該磁性体に対向するように設けられた導電部材と、を備えており、前記距離調整部品は、前記スプール軸に対して非連結であって、前記ボビンに対して着脱可能かつ一体回転し得るように固定されたスプール軸固定部材と、前記導電部材が前記磁性体側に連結され、前記スプール部の回転に応じて前記スプール軸の軸方向に沿って移動可能に設けられた移動部材と、を備えており、該移動部材は、該移動部材と前記スプール軸固定部材との間に設けられたカム機構によって移動が案内されており、前記カム機構は、基端が前記スプール軸固定部材に固定され先端が前記移動部材のカム溝に挿入されたカム軸、または、基端が前記移動部材に固定され先端が前記スプール軸固定部材のカム溝に挿入されたカム軸、を備えており、前記スプール軸固定部材と前記移動部材とが、前記カム機構によって移動しつつ離脱しないように一体となっていることを特徴とする。
第5発明のベイトリールは、第2、第3または第4発明において、前記移動部材または前記スプール軸固定部材のカム溝が、周方向に向きを変えるように形成された一対の弧状の溝であって、前記スプール軸の中心軸を通る面に対して対称となるように形成されていることを特徴とする。
第6発明のベイトリールは、第1、第2、第3、第4または第5発明において、前記回転制御機構は、前記距離調整部材を前記スプール軸に取り付けた状態において、前記導電部材を前記ボビンに向かって付勢する付勢部材の反導電部材側の端部に設けられる抜け止め部材と該抜け止め部材の前記スプール軸の軸方向への移動を制限する係止部材との間および/または前記距離調整部材と前記ボビンとの間に設けられ、前記電磁ブレーキが発生するブレーキ力を調整するリング状の離間部材を備えていることを特徴とする。
(距離調整部品)
第7発明のベイトリールの回転制御機構に用いられる距離調整部品は、第1発明乃至第6発明のいずれかに記載のベイトリールが有するスプール部のスプール軸に取り付けて使用される距離調整部品であって、前記スプール軸に対して非連結であって、前記スプール部のボビンに対して着脱可能かつ一体回転し得るように固定されるスプール軸固定部材と、
前記スプール軸に取り付けた状態において、前記スプール部の回転に応じて前記スプール軸の軸方向に沿って移動可能に設けられた移動部材と、を備えており、前記スプール軸固定部材は、前記スプール軸に取り付けた状態において、前記ボビン側の端部から突出した係止突起を備えており、該係止突起の先端部には、該係止突起の軸方向に交差する方向に向かって突出した係止爪が設けられていることを特徴とする。
第8発明のベイトリールの回転制御機構に用いられる距離調整部品は、第7発明において、前記移動部材は、該移動部材と前記スプール軸固定部材との間に設けられたカム機構によって前記移動が案内されており、前記カム機構は、基端が前記スプール軸固定部材に固定され先端が前記移動部材のカム溝に挿入されたカム軸または、基端が前記移動部材に固定され先端が前記スプール軸固定部材のカム溝に挿入されたカム軸、を備えていることを特徴とする。
第9発明のベイトリールの回転制御機構に用いられる距離調整部品は、第8発明において、前記移動部材または前記スプール軸固定部材のカム溝が、周方向に向きを変えるように形成された一対の弧状の溝であって、前記スプール軸の中心軸を通る面に対して対称となるように形成されていることを特徴とする。
第10発明のベイトリールの回転制御機構に用いられる距離調整部品は、第1発明乃至第6発明のいずれかに記載のベイトリールが有するスプール部のスプール軸に取り付けて使用される距離調整部品であって、前記スプール軸に対して非連結であって、前記スプール部のボビンに対して着脱可能かつ一体回転し得るように固定されるスプール軸固定部材と、前記スプール軸に取り付けた状態において、前記スプール部の回転に応じて前記スプール軸の軸方向に沿って移動可能に設けられた移動部材と、を備えており、前記移動部材は、該移動部材と前記スプール軸固定部材との間に設けられたカム機構によって前記移動が案内されており、前記カム機構は、基端が前記スプール軸固定部材に固定され先端が前記移動部材のカム溝または、基端が前記移動部材に固定され先端が前記スプール軸固定部材のカム溝に挿入されたカム軸、を備えており、前記スプール軸固定部材と前記移動部材とが、前記カム機構によって移動しつつ離脱しないように一体となっていることを特徴とする。
第11発明のベイトリールの回転制御機構に用いられる距離調整部品は、第8、第9または第10発明において、前記移動部材または前記スプール軸固定部材のカム溝が、周方向に向きを変えるように形成された一対の弧状の溝であって、前記スプール軸の中心軸を通る面に対して対称となるように形成されていることを特徴とする。
第12発明のベイトリールの回転制御機構に用いられる距離調整部品は、第8、第9、第10または第11発明において、前記カム軸が、円筒状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
(ベイトリール)
第1発明によれば、スプール軸固定部材がスプール部のボビンに対して着脱可能に取り付けられているので、スプール部からの距離調整部品の取り外しや、スプール部への取り付けを簡単に行うことができるようになる。このため、リールの構造に精通していない利用者であっても自己の技量に応じたスプール部の回転を調整できるようになる。スプール部のボビンに対してスプール軸固定部材を確実に固定することができ、かつスプール部のボビンへの取り付けやスプール部のボビンからの取り外しを容易に行うことができるようになる。
第2発明によれば、カム機構によってスプール軸固定部材と移動部材および導電部材を常時連結させた状態とすることができる。つまり、距離調整部品を一体型の組立体とすることができる。このため、回転制御機構の部品点数を少なくできるので、回転制御機構の取り外しや取り付けがより行い易くなる。
第3発明によれば、スプール軸固定部材と移動部材がカム機構によって連結されて一体となっているので、取り付けや取り外しなど、取扱い性を向上させることができる。
第4発明によれば、スプール軸固定部材がスプール部のボビンに対して着脱可能に取り付けられているので、スプール部からの距離調整部品の取り外しや、スプール部への取り付けを簡単に行うことができるようになる。このため、リールの構造に精通していない利用者であっても自己の技量に応じたスプール部の回転を調整できるようになる。カム機構によってスプール軸固定部材と移動部材を常時連結させた状態とすることができる。つまり、距離調整部品を一体型の組立体とすることができる。このため、スプール部からの距離調整部品の取り外しや、スプール部への取り付けをより簡単に行うことができるようになる。スプール軸固定部材と移動部材がカム機構によって連結されて一体となっているので、取り付けや取り外しなど、取扱い性を向上させることができる。
第5発明によれば、カム溝が移動部材の側壁に略対象となるように形成されているので、スプール部の回転方向に関わらず、スプール部の回転を制御することができる。このため、ベイトリールのモデルが右ハンドルモデルか左ハンドルモデルかに関わらず共通して使用することができる。
第6発明によれば、離間部材の数や厚みを調整することにより、スプール部の回転の制御をより適切に行うことができる。このため、利用者の技量や好みに応じた調整がより適切に行えるようになる。
(距離調整部品)
第7発明によれば、スプール軸固定部材がスプール部のボビンに対して着脱可能に取り付けられるので、かかる距離調整部品を用いれば、スプール部からの距離調整部品の取り外しや、スプール部への取り付けを簡単に行うことができるようになる。このため、このため、リールの構造に精通していない利用者であっても自己の技量に応じたスプール部の回転を調整できるようになる。スプール部のボビンに対してスプール軸固定部材を確実に固定することができ、かつスプール部のボビンへの取り付けやスプール部のボビンからの取り外しを容易に行うことができるようになる。
第8発明によれば、カム機構によってスプール軸固定部材と移動部材を常時連結させた状態とすることができる。つまり、距離調整部品を一体型の組立体とすることができる。このため、スプール部からの距離調整部品の取り外しや、スプール部への取り付けをより簡単に行うことができるようになる。
第9発明によれば、スプール軸固定部材と移動部材がカム機構によって連結されて一体となっているので、取り付けや取り外しなど、取扱い性を向上させることができる。
第10発明によれば、スプール軸固定部材がスプール部のボビンに対して着脱可能に取り付けられるので、かかる距離調整部品を用いれば、スプール部からの距離調整部品の取り外しや、スプール部への取り付けを簡単に行うことができるようになる。このため、このため、リールの構造に精通していない利用者であっても自己の技量に応じたスプール部の回転を調整できるようになる。カム機構によってスプール軸固定部材と移動部材を常時連結させた状態とすることができる。つまり、距離調整部品を一体型の組立体とすることができる。このため、スプール部からの距離調整部品の取り外しや、スプール部への取り付けをより簡単に行うことができるようになる。スプール軸固定部材と移動部材がカム機構によって連結されて一体となっているので、取り付けや取り外しなど、取扱い性を向上させることができる。
第11発明によれば、カム溝が移動部材の側壁に略対象となるように形成されているので、スプール部の回転方向に関わらず、スプール部の回転を制御することができる。このため、ベイトリールが右ハンドルモデルか左ハンドルモデルかに関わらず共通して使用することができる。
第12発明によれば、カム軸とカム溝との接点を小さくできるので、スプール軸固定部材に対する移動部材の移動をよりスムースに行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態のベイトリール1の概略内部構成を示した概略平面図である。
図2】本実施形態のベイトリール1の要部概略断面図である。
図3】本実施形態のベイトリール1の回転制御機構の作動状況を説明した概略断面図であり、(A)はスプール部2の回転が停止または小さい状態の概略説明図であり、(B)はスプール部2の回転が大きくなった状態の概略説明図である。
図4】本実施形態のベイトリール1の回転制御機構における距離調整部品10の概略説明図であり、(A)は概略平面図であり、(B)は概略正面図であり、(C)は概略背面図であり、(D)は概略側面図であり、(E)は(D)の概略断面図である。
図5】(A)本実施形態のベイトリール1の回転制御機構における距離調整部品10の概略平面図であり、(B)は分解した状態の概略説明図である。
図6】本実施形態のベイトリール1の回転制御機構における距離調整部品10および導電部材16の動きを説明した図である。
図7】本実施形態のベイトリール1の回転制御機構における距離調整部品10を取り外した状態の概略説明図であり、(A)概略斜視図であり、(B)は概略側面図である。
図8】本実施形態のベイトリール1の回転制御機構における距離調整部品10および導電部材16の動きを説明した図である。
図9】本実施形態のベイトリール1の回転制御機構における距離調整部品10のスプール軸固定部材11の概略説明図であり、(A)は概略平面図、(B)は概略側面図、(C)は概略正面図であり、(D)は(B)の概略断面図である。
図10】本実施形態のベイトリール1の回転制御機構における距離調整部品10の移動部材12の概略説明図であり、(A)は概略平面図、(B)は概略側面図、(C)は概略背面図であり、(D)は(B)の概略断面図である。
図11】本実施形態のベイトリール1の回転制御機構におけるブレーキ機構の導電部材16の概略説明図であり、(A)は概略正面図であり、(B)は(A)の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明のベイトリールは、電磁ブレーキを利用してスプール部の回転を制御することができる制御機構を備えたリールであって、かかる機構を構成する部品の着脱を容易にすることによって、利用者が容易にスプール部の回転を調整できるようにしたことに特徴を有している。
【0014】
(ベイトリール1の概略説明)
図1および図2において、符号fは、本実施形態のベイトリール1のフレーム示しており、この対向する左右のフレームf間に釣糸を巻きかけるためのスプール部2が設けられている。このスプール部2の一端にはハンドルHが連結されており、ハンドルHを回転すれば、スプール部2が回転するようになっている。そして、本実施形態のベイトリール1の表面は、内部に水や埃などが侵入しないようにカバーCで覆われている。
【0015】
なお、本実施形態のベイトリール1の大きさは、後述する回転制御機構を備えていれば、とくに限定されず、対象とする魚の大きさによって適宜調整すればよい。
【0016】
以下では、本実施形態のベイトリール1の大きさは、中型魚を対象とする場合を代表として説明する。
【0017】
図1および図2に示すように、本実施形態のベイトリール1は、対向するフレームfと、このフレームf、f間に取り付けられるスプール部2とを備えている。
図1に示すように、このスプール部2、フレームf、f間にスプール軸3の両端が軸受けBに支持され回転自在に取り付けられている。
このスプール部2のスプール軸3の一の端部には、連結機構を介してスプール軸3の軸方向と略平行となるようにハンドル軸が連結されており、このハンドル軸はその端縁にハンドルHが連結されている。つまり、ハンドルHを回転させると、スプール部2が所定の方向に回転するように構成されている。
なお、以下、スプール部2のスプール軸3において、ハンドルHが連結される一の端部をハンドル側端部といい、反対側の他の端部を制御側端部という。
【0018】
図1〜3、図7〜8に示すように、本実施形態のベイトリール1は、スプール部2の制御側端部側が支持される軸受けBを有するフレームf(つまりハンドルHを取り付けた側のフレームfとは反対側のフレームf)とスプール部2との間に、スプール部2の回転を制御するための本発明の特徴となる回転制御機構を備えている。なお、かかる回転制御機構の詳細については後述する。
【0019】
なお、以下では、図1に示すように、ベイトリール1は、上記のごときハンドルHが右側に配置された右ハンドルモデルの場合について説明するが、ハンドルHが右側に配置されたリールの中心線から左右対称な構造を有する左側ハンドルモデルとしても以下に示す右ハンドルモデルの場合と同じ効果を奏するので、以下の説明では左ハンドルモデルの説明については割愛する。
【0020】
なお、後述する回転制御機構の距離調整部品10は、ハンドルの配置位置に関わらず、共通して使用することができるという利点を有している。
【0021】
(スプール部2)
図1図2および図7に示すように、スプール部2は、対向するフレームf、fの軸受けB、Bに両端が支持される棒状のスプール軸3と、このスプール軸3に連結した連結した釣糸を巻きかけるためのボビン4とを備えている。
【0022】
スプール軸3は、棒状の部材であり、棒状のシャフト3aと、このシャフト3aの覆うように連結しかつ後述するボビン4の隔壁4bに連結しるように形成された軸挿入部3bとを備えている。
なお、棒状のシャフト3aと軸挿入部3bは、一体となるように形成してもよい。
【0023】
ボビン4は、中空の筒状部材のボビン本体4aと、このボビン本体4aの内部に設けられ、内部を略中央で分割するように設けられた隔壁4bとを備えている。
この隔壁4bは略中心部において上述したようにスプール軸3のシャフト3b表面に設けられた軸挿入部3bと連結するように形成されており、スプール軸3を挿入した状態において、両者が同軸となるように固定されている。
【0024】
なお、ボビン4の隔壁4bには、後述する距離調整部品10のスプール軸固定部材11の先端部に設けられた係止突起11b(図9参照)を挿通できる係合孔4hが表裏を貫通するように形成されている(図2または図7参照)。
この係合孔4hは、後述するスプール軸固定部材11の本体部11aの係止突起11bの挿入部11by(図9参照)が挿通することができる大きさに形成されている。例えば、図7に示すように、係合孔4hは、円形状に形成できるが、楕円形状であっても、矩形状であってもよい。
【0025】
図1に示すように、ベイトリール1の前方(つまり、糸を繰り出す方向、図1では紙面上方)には、糸の巻き付けを均等の行うためのレベルワインダーLWが設けられており、ベイトリール1の後方(つまり利用者側、図1では紙面下方)には、スプール部2とハンドルHとの連結を調整するクラッチ機構に連結されたクラッチレバーLが設けられている。
【0026】
クラッチレバーLは、クラッチがONの状態(つまりハンドルHの回転駆動力をスプール軸3に伝達できる状態)から下方に向かって押し下げることによってクラッチがOFFの状態(つまりハンドルHの回転駆動力をスプール軸3に伝達するのを遮断した状態)に切り換えることができるようになっている。なお、クラッチのOFFの状態からクラッチをONの状態へ復帰させるには、ハンドルHを回転操作することによって行うことができるようになっている。
【0027】
本実施形態のベイトリール1が、以上のごとき構成を有しているので、ベイトリール1を釣竿に取り付けた状態において、クラッチレバーLをOFFにしてスプール部2のボビン4に巻かれた釣糸を繰り出してレベルワインダーLWに通したのち、釣竿にグリップ側に設けられたガイドから順にトップガイドへ向かって釣糸を通して、トップガイドを通し終わったらクラッチレバーLをONにする。そして、釣糸の先端にルアーや仕掛け等を連結する。
【0028】
ルアー等をキャスティングする際は、クラッチレバーLをOFFにした状態で、スプール部2のボビン4が勝手に回転しないようにボビン4に巻きかけられた釣糸を親指等で押さえた状態でキャスティング姿勢に入り、ルアー等を投げ出すタイミングで釣糸を押さえていた親指等を離せばルアー等を所望の箇所へキャスティングすることができる。
【0029】
キャスティングされたルアー等およびルアー等に連結された釣糸は、放物線を描きながら目的の場所まで到達する。このとき、キャスティングの初期段階では、スプール部2のボビン4から釣糸がルアー等によって引っ張られるようにして繰り出されるので、スプール部2の回転速度はそれほど速くない。その後、キャスティングされたルアー等の飛行速度に追従するようにスプール部2の回転速度も速くなる。
【0030】
そして、キャスティングされたルアー等は、放物線の頂点付近を過ぎたあたりから、その飛行速度は低下する。
一方、スプール部2の回転速度は、キャスティングされたルアー等が放物線の頂点付近を過ぎても、慣性の法則にて回り続けようとする。
すると、このままスプール部2が回転しつづければ、スプール部2のボビン4から供給される釣糸の量が、ルアー等によって引っ張られる釣糸の量よりも多くなるので、ボビン4から供給された余分な量の糸が絡みといった現象(いわゆるバックラッシュ)が発生することになる。
しかしながら、本実施形態のベイトリール1では、スプール部2の回転を制御する回転制御機構を備えているので、スプール部2のボビン4供給される釣糸の量と、ルアー等によって引っ張られる釣糸の量がズレ始めるタイミングまたはかかるタイミングよりも早めに回転制御機構が作動することによって、スプール部2が過回転になるのを防止することができるから、キャスティング等の際に発生するバックラッシュの発生を防止することができる(図3または図8参照)。
【0031】
以下、本実施形態のベイトリール1の回転制御機構を構成する各部について具体的に説明する。
【0032】
(回転制御機構)
図1図3に示すように、本実施形態のベイトリール1の回転制御機構は、電磁ブレーキ15と、距離調整部品10とを備えている。
【0033】
(距離調整部品10)
まず、距離調整部品10について説明する。
距離調整部品10は、断面円形に形成された中空な空間を有する筒状のスプール軸固定部材11と、断面円形に形成された中空な空間を有する筒状の移動部材12とを備えている。
スプール軸固定部材11と移動部材12は、互いに入れ子状態となるように配設されている。
具体的には、距離調整部品10は、スプール軸固定部材11の中空な空間内に移動部材12がスプール軸固定部材11とほぼ同軸となるように配設されている(図4(E参照))。そして、スプール軸固定部材11と移動部材12は、スプール軸固定部材11に対して移動部材12を抜き差しできるように配設されている。
【0034】
例えば、図4に示すように、距離調整部品10は、スプール軸固定部材11と移動部材12が、移動部材12をスプール軸固定部材11内に配設した状態において、移動部材12の外面とスプール軸固定部材11の内面との間に僅かな隙間を有するように形成された移動部材12とスプール軸固定部材11を上述したように配設することができる。この場合、スプール軸固定部材11に対して移動部材12をスムースに抜き先しできる、つまり移動させることができるようになる。
【0035】
なお、移動部材12の外面とスプール軸固定部材11の内面との間に形成された僅かな隙間とは、外観上、両者間に隙間が空いている状態を意味することに限定されず、両者が略接触するように配設されており、外観上の隙間が確認できない場合であっても、移動部材12がスプール軸固定部材11に対して移動できるような状態の場合も、両者間には僅かな隙間が形成されている、に該当する。
【0036】
(スプール軸固定部材11)
図9に示すように、スプール軸固定部材11は、断面円形に形成された中空な空間を有する筒状の本体部11aを備えている。
このスプール軸固定部材11の本体部11aの大きさは、中空な空間内に配置する移動部材12の大きさによって適宜調整すればよく、とくに限定されない。
【0037】
なお、図9(D)に示すように、本体部11aの先端部近傍に縮径された縮径部を設けてもよい。先端部近傍に縮径部を設ければ、移動部材12がスプール軸固定部材11の先端部から抜け落ちるのを防止できるという利点が得られる。
【0038】
(係止突起11b)
図1〜3または図8に示すように、スプール軸固定部材11の本体部11aの先端部(図9では紙面左側の端部)には、外方に向かって突出した係止突起11bが設けられている。具体的には、スプール軸固定部材11をスプール部2に取り付けた状態において、スプール軸固定部材11のボビン4の隔壁側の端部には、かかる端部から突出した係止突起11bが、ボビン4の隔壁に形成された係止孔4hに挿通可能となるように設けられている。
より具体的には、図2に示すように、この係止突起11bは、係合孔4hに挿入した状態において、この係合孔4hを囲む隔壁4bの内端縁に係合するように形成されている。つまり、係止突起11bを係合孔4hに挿通した状態において、スプール軸固定部材11は、ボビン4から離間しようとする力に抗して係止突起11bが係合孔4hに挿通された状態を維持できるように形成されている。
【0039】
例えば、図9に示ように、係止突起11bは、ボビン4の隔壁4bに形成された係合孔4hに挿通する挿入部11byと、この挿入部11byと固定部11の本体部11aとを連結する連結部11bxとを備えている。
図9に示すように、この連結部11bxは、基端が本体部11aの先端部に、本体部11aの軸方向に対して略直交するように連結されている。挿入部11byは、基端が連結部11bxの先端部に連結し、本体部11aの軸方向と略平行になるように設けられている。
【0040】
係止突起11bは、スプール軸固定部材11の本体部11aの先端部において、本体部11aの周方向に沿って複数設けてもよい。
例えば、図9に示ように、一対の係止突起11bを本体部11aの中心軸を挟んで略対向する位置に設けてよい。この場合、係止突起11bが係合孔4hに挿通された状態を維持しやすくなる。
なお、係止突起11bは、一対に限定されず、3つでも二対でも5つでも設けてもよいのは言うまでもない。
【0041】
一対の係止突起11bを、本体部11aの中心軸を挟んで対向する位置に設けた場合、以下のように形成してもよい。この場合、係止突起11bが係合孔4hに挿通された状態をより維持しやすくなるという利点が得られる。
連結部11bx同士の内面間の距離が、かかる連結部11byに対応する係合孔4hの内端縁間の距離よりも若干短くなるように形成する。そして、係止突起11bの連結部11bxを係合孔4hに挿通する際には、一対の係止突起11bを広げるようにして挿通する。
【0042】
さらに、図2に示すように、スプール軸固定部材11の係止突起11bをボビン4の隔壁4bに形成された係合孔4hに挿通した状態において、係止突起11bの挿入部11byの外面が係合孔4hの内端面に接するように形成してもよい。この場合、両者を干渉させることができるので、両者の摩擦力によって係止突起11bの係合孔4hからの移動を抑制できるようになる。
【0043】
(係止爪11bf)
とくに、係止突起11bには、挿入部11byの先端部から突出した係止爪11bfが設けられているのが好ましい。具体的には、係止爪11bfは、係止突起11bの挿入部11byの軸方向と交差する方向に突出するように形成することができる。
【0044】
例えば、図9に示すように、係止突起11bの挿入部11byがスプール軸固定部材11の本体部11aの軸方向に対して略平行となるように設ければ、係止爪11bfが、挿入部11byの軸方向に対して略直交するように突出して設けることができる。つまり、図9(D)に示すように、係止突起11bは、縦断面が略鎌状になるように形成することができる。
この場合、図2および図3に示すように、スプール軸固定部材11の係止突起11bの挿入部11byをボビン4の隔壁4bに形成された係合孔4hに挿通すれば、挿入側とは反対側のボビン4の隔壁4b面において、係合孔4hを囲む隔壁4bの内端縁に係止爪11bfが引っかかるように係合させることができる。つまり、係止突起11bをボビン4の隔壁4bに固定することができるのである。
すると、スプール軸固定部材11に対してボビン4から離間しようとする力が加わったとしても、この係止爪11bによって確実にスプール軸固定部材11の係止突起11bが係止孔4hから抜け落ちるのを防止できる。つまり、スプール軸固定部材11の係止突起11bをボビン4の隔壁4bに形成された係合孔4hに挿通した状態を確実に維持することができる。したがって、かかる状態において、スプール部2のボビン4が回転すれば、ボビン4と一体回転し得るようにスプール軸固定部材11をスプール部2のボビン4に固定することができるのである。
【0045】
(スプール軸固定部材11をスプール部2のボビン4に固定する他の実施形態)
なお、上記例では、スプール軸固定部材11をスプール部2のボビン4に固定する方法として、係止突起11bの挿入部11byをボビン4の隔壁4bに形成された係合孔4hに挿通する場合について説明したが、スプール軸固定部材11をスプール部2のボビン4に固定することができれば、上記構造に限定されない。
【0046】
例えば、係止突起11bの挿入部11byをボルト等に替えた構造を採用してもよい。スプール軸固定部材11の本体部11aを取り付けたときに、本体部11aの係止突起11bの連結部11bxにおいて、ボビン4の隔壁4bに形成された係合孔4hと対応する位置にネジ穴を形成しておく。すると、ボルト等を隔壁4bの係合孔4hを通して係止突起11bの連結部11bxのネジ穴に螺合すれば、スプール軸固定部材11をスプール部2のボビン4に固定することができる。
【0047】
また、例えば、係止突起11bの挿入部11byが、平板状の部材であり、ボビン4の隔壁4bに形成された係合孔4hに挿通した際、挿通側に露出した先端部において、ネジ穴を形成しておく。すると、係止突起11bの挿入部11byをボビン4の隔壁4bに形成された係合孔4hに挿通した状態において、ボルト等を挿入部11byのネジ穴に螺合すれば、スプール軸固定部材11をスプール部2のボビン4に固定することができる。
【0048】
なお、上記のごとき構造を採用した場合、後述するスプール軸固定部材11とボビン4の隔壁4bとの距離の調整においては、スプール軸固定部材11の係止突起11bの連結部11bxと隔壁4bとの間および/または隔壁4bとボルトの頭部との間に後述するワッシャ等の離間部材20を適宜設ければ、両者間の距離調整をボルトの着脱のみで簡単に行うことができるという利点が得られる。
【0049】
また、ボルトの代わりにリベットを用いてよい。リベットを採用すれば、ネジ穴にボルト等を螺合しなくてもよいので、作業を簡単に行うことができる。
【0050】
(カム軸13)
また、図9に示すように、スプール軸固定部材11の本体部11aの側壁には、内部と外部を連通する連通孔11gが形成されている。
図2図5に示すように、この連通孔11gは、棒状のカム軸13を挿通した状態で、かかるカム軸13の基端部を固定することができるように形成されている。
例えば、連通孔11gの内壁面にネジ溝が形成されており、カム軸13の基端部にネジ山を形成すれば、カム軸13を連通孔11gに螺合して固定することができる。また、連通孔11gの内壁面とカム軸13の基端部を接着剤で固定してもよいし、一体で形成してもよい。
【0051】
(移動部材12)
図10に示すように、移動部材12は、断面円形に形成された中空な空間12hを有する筒状の本体部12aを備えている。この移動部材12の中空な空間12hは、スプール部2のスプール軸3を挿通するための貫通孔である。
【0052】
なお、本体部12aの内径は、上述したように移動部材12をスプール軸3に取り付けた状態において、スプール軸3の軸方向に沿って移動できるように、スプール軸3の外径よりも若干大きくなるように形成されている。
【0053】
また、移動部材12の本体部12aの大きさは、スプール軸固定部材11に対してスムースに抜き差しできるように形成されている。そして、移動部材12の本体部12aを入れ子状にスプール軸固定部材11の本体部11aの中空な空間11h内に配設した状態において、基端部(例えば、図5では紙面左側の端部)がスプール軸固定部材11の本体部11a基端から突出するように形成されている。かかる基端部には、後述する電磁ブレーキ15の導電部材16が固定して設けられるが詳細は後述する。
【0054】
(カム溝12g)
図10に示すように、移動部材12の本体部12aの側壁には、カム溝12gが形成されている。このカム溝12gは、カム軸13の先端部が挿入される溝である。
【0055】
このカム溝12gは、移動部材12の本体部12aの周方向に向きを変えるように形成された一対の弧状の溝が、各溝の頂点で連続して交差するように形成されている。つまり、カム溝12gは、移動部材12の本体部12aの中心軸を通る面に対して対象となる一対の弧状の溝を備えている。
なお、カム溝12gは、カム軸13の先端部を挿入することができれば、その深さはとくに限定されない。例えば、有底の溝に形成してもよいし、移動部材12の本体部12aの側壁の表裏を連通する溝となるように形成してもよい。
また、カム溝12gの形状としては、例えば、図5(B)、図6(A)または図10(A)に示すような平面視へ字状に形成することができるが、かかる形状に限定されない。例えば、平面視U字状や平面視V字状、コの字形に形成してもよい。
【0056】
以下では、図10に示すように、カム溝12gが、へ字状に形成されており、その頂点が移動部材12の本体部12aの基端部側に位置するように形成された場合を代表として説明する。
【0057】
図4〜6または図8に示すように、移動部材12の本体部12aをスプール軸固定部材11の本体部11aの中空な空間11h内に配設した状態において、移動部材12の本体部12aに形成されたカム溝12gには、スプール軸固定部材11の本体部11aの連通孔11gに挿通されたカム軸13の先端部が挿入されている。つまり、かかる状態において、移動部材12の本体部12aとスプール軸固定部材11の本体部11aはカム軸13によって連結されているのである。
【0058】
(スプール軸固定部材11に対する移動部材12の移動)
移動部材12とスプール軸固定部材11が、以上のごとき構成を有しているので、移動部材12をスプール軸固定部材11に対して以下のように移動させることができる。
なお、以下では、スプール軸固定部材11を固定した状態で説明する。
【0059】
図6または図8に示すように、移動部材12の本体部12aをスプール軸固定部材11の本体部11aの中空な空間11h内に配設した状態において、へ字状のカム溝12gの頂点にカム軸13が位置するように移動部材12の本体部12aとスプール軸固定部材11の本体部11aを配設する。つまり、図6(A)または図8(A)に示すように、移動部材12の本体部12aは、スプール軸固定部材11の本体部11aの中空な空間11h内に入れ子状に配設された状態となる。
【0060】
なお、図6(A)に示すように、カム溝12gは、カム軸13の先端部が位置する頂点を基端とした場合、一対の弧状の溝の先端がそれぞれ離れた位置に配設されるように移動部材12の本体部12aの周方向に沿って対称的に形成されている。
【0061】
かかる状態において、スプール軸固定部材11の本体部11aを固定したまま、移動部材12の本体部12aを時計回りに回転する力を加える。このとき、カム軸13がカム溝12gに当接し両者が干渉した状態となるので、カム軸13はカム溝12gに沿って移動する。つまり、移動部材12の移動はカム機構によって案内されるのである。
【0062】
移動部材12がスプール軸3の軸方向に沿って移動するに伴い、カム軸13はカム溝12gの一の溝(図8(A)または図6(A)の左の図では上側に位置する溝)の基端から先端へ向かって当接しながら移動する。
つまり、移動部材12の本体部11aを回転させれば、カム軸13とカム溝12gから構成されるカム機構によって、移動部材12の本体部12aが、スプール軸固定部材11に対してスプール軸3の軸方向に沿って基端部側(図6および図8では紙面左側)へ向かって移動するのである(図6(A)→図6(B)、図8(A)→図8(B))。このとき移動部材12の本体部12aは、図6または図8の左右方向の矢印に示す距離を移動する。
【0063】
そして、かかる状態から、移動部材12の本体部11aを逆回転させれば、カム軸13をカム溝12gの先端部から基端へ向かって移動させるように、移動部材12の本体部12aが、先端側へ向かって移動する(図6(B)→図6(A)、図8(B)→図8(A))。
【0064】
一方、カム溝12gの頂点(基端)にカム軸13が位置した状態において、上述した場合とは反対側(つまり半時計回り)に移動部材12の本体部11aを回転させれば、カム軸13は、上述した場合とは逆の溝(図8(A)または図6(A)の左の図では下側に位置する溝)に沿って当接しながら先端へ向かって移動するのである。
【0065】
つまり、カム機構は、スプール軸固定部材11に対して移動部材12をスプール軸3の軸方向に沿って移動させる機構である。
なお、このカム機構が、特許請求の範囲の「カム機構」に相当する。
【0066】
カム溝12gが、以上のごとき構成を有しているので、スプール部2の回転方向に関わらず、カム機構によって、移動部材12の本体部12aをスプール軸固定部材11に対してスプール軸3の軸方向に沿って移動させることができるようになっているのである。言い換えれば、距離調整部品10が、以上のごときカム溝12gとカム軸13からなるカム機構を有していれば、ベイトリール1のモデルが右ハンドルモデルか左ハンドルモデルかに関わらず距離調整部品10を共通する部品として使用することができる。
【0067】
また、図4または図5に示すように、スプール軸固定部材11と移動部材12は、カム機構のカム軸13の基端部をスプール軸固定部材11に固定すれば、両者をカム機構によって連結することができる。
しかも、カム機構のカム軸13の先端が移動部材12の側壁外面よりも内方に位置するように配設されているので、移動部材12がスプール軸3の軸方向に沿って移動しても移動部材12が所定の位置で止まりスプール軸固定部材11から離脱しない。
【0068】
つまり、距離調整部品10のスプール軸固定部材11と移動部材12は、カム機構によって、移動部材12がスプール軸固定部材11に対して移動しつつ離脱しないように一体となっているのである。
【0069】
そして、図2に示すように、このように一体化した状態において、スプール部2に取り付ければ、移動部材12はスプール軸3に対して非連結となるように取付ることができる。
しかも、図3または図8に示すように、このように一体化した状態において、スプール部2に取り付ければ、移動部材12を上述したようにスプール軸固定部材11に対してスプール軸3の軸方向に沿って移動させることができるのである。
【0070】
なお、上記例では、カム機構が、基端がスプール軸固定部材11に固定され、先端が移動部材12に形成されたカム溝12gに挿入されたカム軸13を備えた構成の場合について説明したが、スプール軸固定部材11に形成されたカム溝にカム軸13を挿入する構成を採用してもよい。かかる構成を採用した場合であっても、上述した構成と同様の作用および効果を奏する。
例えば、移動部材12の本体部12aの側壁に内部と外部を連通する連通孔(上述した連通孔11gに相当する)を形成する。この連通孔にカム軸13の基端部を固定する。一方、スプール軸固定部材11の本体部11aの側壁にカム溝(上述したカム溝12gに相当する)を形成する。そして、このカム溝にカム軸13の先端部を挿入する。以上のごとき構成を採用した場合にも、上述した場合と同様にカム軸とカム溝からなるカム機構によって、スプール軸固定部材11に対して移動部材12をスプール軸13に沿って移動させることができる。
【0071】
(スプール軸固定部材11と移動部材12の一体化の利点)
上述したようにカム機構によってスプール軸固定部材11と移動部材12を一体化した構成を採用することによって、後述する、組み立て工程や取り外し工程において、スプール軸固定部材11と移動部材12を一体化した状態で取り扱えようになるので、取扱い性を向上させることができる。
そして、カム軸に相当するような小さな部材を小さな孔等に挿入するような煩雑で難しい組み立て作業や適切な組み立て順などを不要とするとともに、部品点数を削減し、組み立て後には、距離調整部品10として適切に機能させるという利点も得られる。つまり、上記のごとき構成を採ることによって、本発明のベイトリールの組み立てや分解等を非常に簡単に行うことができるようになる。
【0072】
しかも、従来技術では、ベイトリールからスプール軸固定部材11や移動部材12に相当する部材を取り外したりする際には、特殊な工具を用いたり、狭いスペースで取り付けや取り外しを行うので、リール構造を十分に理解した者でなければ、これらの作業を適切に行うことができなかった。
しかし、本発明のベイトリールでは、上述したような構成(スプール軸固定部材11と移動部材12を一体化した構成)を採用することによって、このような問題点を解消することができるようになり、リール構造を十分に把握していなくても適切に組み立てや取り外し等の作業を行うことができるようになるという利点も得られる。
【0073】
(移動部材12の移動量の調整方法)
なお、移動部材12の移動状態は、カム溝12gの傾斜角を調整することによって調整することが可能である。
例えば、カム溝12gが、頂点を通り対称面と一の溝のなす角(傾斜角)を鋭角になるように形成すれば、移動部材12とスプール軸固定部材11の回転差(言い換えれば、ボビン4の回転速度)に対する移動部材12の移動を大きくできる。その逆に傾斜角を鈍角にすれば移動部材12とスプール軸固定部材11の回転差に対する移動部材12の移動を小さくできる。つまり、カム溝12gの形状を調整すれば、ボビン4の回転速度に対する移動部材12の移動量を調整することができる。
【0074】
また、ボビン4の回転速度に対する移動部材12の移動量を調整する方法は、上記のごときカム溝12gの形状を変更する方法に限定されない。例えば、図8(A)に示すような付勢部材18を設けてもよい。
【0075】
(付勢部材18)
図8(A)に示すように、付勢部材18を設ければ、ボビン4の回転速度に対する移動部材12の移動量の調整が行い易くなる。
図8(A)に示すように、付勢部材18は、距離調整部品10とスプール軸3の制御側端部との間に設けられており、距離調整部品10をスプール軸3のハンドル側端部に向かって付勢する部材である。そして、この付勢部材18は、制御側端部側に取り付けられたリング状の抜止部材r1によって付勢状態が維持されている。
この付勢部材18は、上記のごとき機能を有する部材であれば、とくに限定されない。例えば、公知のバネや、ゴムなどの弾性部材などを採用することができる。
バネを付勢部材18として採用した場合には、その材質や太さを調整によって付勢力を調整することができるので、移動部材12のスプール軸固定部材11に対する移動を簡単に調整することができる。
【0076】
付勢部材18を設けた場合、移動部材12のスプール軸固定部材11に対する移動は、付勢部材18の発生する付勢力と、移動部材12とスプール軸固定部材11の回転速度の差と、によって調整される。
具体的には、スプール部2のボビン4が回転して、その回転速度が速くなると、付勢部材18の発生する付勢力に打ち勝って、移動部材12は、スプール軸3の軸方向へ移動するようになる。つまり、カム軸13がカム溝12gに案内されて移動部材12は、スプール軸3の軸方向へ移動するようになる。
【0077】
距離調整部品10の移動部材12のスプール軸固定部材11に対する移動をまとめると以下のようになる。なお、以下では付勢部材18を設けた場合について説明する。
【0078】
スプール部2の回転が止まっている若しくは回転数が低い場合、付勢部材18の付勢力によって移動部材12の本体部12aは、スプール軸3の軸方向へ移動しないので、スプール軸固定部材11の本体部11aと一体回転する(図3(A)参照)。
【0079】
一方、スプール部2の回転が速くなると、移動部材12の本体部12aの回転とスプール軸固定部材11の本体部11aの回転との回転差が大きくなるので付勢部材18の付勢力に抗して移動部材12の本体部12aは、スプール軸3の軸方向へ沿って制御側端部側へ移動する(図3(B)、図6または図8参照)。
【0080】
本実施形態のベイトリール1が、以上のごとき距離調整部品10および付勢部材18を有する場合、これらの部品等は以下のように取り付けられる。
【0081】
(スプール部2への距離調整部品10取り付けおよび取外し)
図7に示すように、スプール部2のスプール軸3の制御側端部から、距離調整部品10、付勢部材18、リング状の抜止部材r1の順に取り付けて、最後に係止部材r2を取り付けて全体が外れないようにする。
【0082】
具体的には、まず、距離調整部品10のスプール軸固定部材11の係止突起11bをボビン4の隔壁4bに形成された係合孔4hに挿通する。挿通した係止突起11bは、先端部に設けられた係止爪11bfによって係合孔4hに固定される。つまり、距離調整部品10のスプール軸固定部材11の係止突起11bをボビン4の隔壁4bの係合孔4hに挿通するだけで、距離調整部品10をボビン4に固定することができる。
ついで、このボビン4に固定した距離調整部品10に対してスプール軸3の制御側端部側から付勢部材18、抜止部材r1の順に取り付ける。
そして、最後に係止部材r2を取り付ければ組み立てが完成する。
【0083】
一方、分解する場合には、まず、係止部材r2を取り外す。ついで、スプール軸3から抜止部材r1、付勢部材18の順に取り外す。そして、最後にボビン4に固定した距離調整部品10のスプール軸固定部材11の係止突起11bの係止爪11bfをボビン4の隔壁4bから外す。
【0084】
このとき、係止突起11bの係止爪11bfは、ボビン4の隔壁4bの隔壁4bの係合孔4hに挿通した反対側の面に対して引っかかるように係合しているだけなので、かかる状態の係止爪11bfを引き起こせば、簡単に固定状態を解除することができる。
【0085】
しかも、かかる操作は、十分なスペースが存在するボビン4のスプール軸3のハンドル側端部側からアクセスしながら行うことができるので、取り外の作業性を向上させることができる。さらに、係止爪11bfを外すだけの操作であるので、特別な工具等を用いなくても簡単に取り外すことができる。
【0086】
さらに、図7に示すように、距離調整部品10がスプール軸固定部材11と移動部材12が一体型の組立体となっているので、部品点数を従来の部品と比べて少なくできるという利点も得られる。
【0087】
よって、リールの構造に精通していない利用者であっても、スプール部2からの距離調整部品の取り外しや、スプール部2への取り付け(組み立て)が簡単に行うことができるようになる。
【0088】
なお、図2に示すように、係止部材r2は、スプール軸3に着脱可能かつ固定できるように形成された部材である。
【0089】
例えば、図7に示すように、係止部材r2は、一部に開口を有するリング状に形成することができる。一方、スプール軸3において、係止部材r2を取り付ける位置に、スプール軸3の周方向に沿って係止凹部が形成されている。この場合、スプール軸3の軸方向に対して略直交する方向から係止凹部へ向かって止部材r2を嵌め込めば、簡単に係止凹部を取り付けることがき、しかも係止凹部に嵌合して固定させることができる。なお、係止部材r2は、上記機能を有する構造であれば上記形状に限定されず、例えば、クリップ状に形成してもよい。
【0090】
図4または図10に示すように、移動部材12の本体部12aの基端部(図4では紙面左側端部)には、外方に向かって突出したフランジ12fが設けられている。
このフランジ12fは、後述するブレーキ機構15の導電部材16を移動部材12の本体部12aに取り付ける際の位置決めとしき機能するものである。
【0091】
なお、後述するブレーキ機構15の導電部材16は、移動部材12の本体部12aの基端部に取り付けた状態において、移動部材12の本体部12aと一体回転するように設けられている。例えば、図4に示すように、移動部材12の基端部の外径が、後述するブレーキ機構15の導電部材16に形成された内円16hの内径よりも若干小さくなるように形成すれば、導電部材16を移動部材12の本体部12aの基端部に対して嵌合するように固定できる。
以下、電磁ブレーキ15について説明する。
【0092】
(電磁ブレーキ15)
電磁ブレーキ15は、スプール部2のボビン4の回転方向に抗するブレーキ力を発生させる機能を有するものである。
図1図3に示すように、電磁ブレーキ15は、フレームf内面に設けられた磁性体17と、この磁性体17に対向するように設けられた導電部材16とを備えている。
【0093】
(磁性体17)
電磁ブレーキ15の磁性体17は、後述する導電部材16に対して磁気を発生させる機能を有する部材である。
図1図3に示すように、磁性体17は、対向するフレームf、fのうち、スプール部2のスプール軸3の他端(図1および図3では紙面左右方向における左側に位置するスプール軸3の端部)が支持された軸受けB近傍のフレームf内面に設けられている。
この磁性体17は、上記機能を有する部材であれば、とくに限定されない。例えば永久磁石などの公知の部材を磁性体17として採用することができる。
また、磁性体17の配置方法や配置数もとくに限定されない。例えば、偶数の場合、スプール軸3の周方向にスプール軸3を挟んでそれぞれ対向するように配置してもよいし、奇数の場合には、隣接する磁性体17同士の距離が等間隔となるように配置してもよい。
【0094】
(導電部材16)
電磁ブレーキ15の導電部材16は、磁性体17に接近させた際、磁性体17の作用によってその表面に渦電流が発生す導電性の部材である。
【0095】
例えば、導電部材16の素材として、アルミニウムや、アルミニウム合金などの非磁性の導電体などを採用することができる。
【0096】
導電部材16は、磁性体17に対して対向する面を有する部材であれば、その形状はとくに限定されない。例えば、図11に示すように、円盤状に形成すれば、外端縁近傍の面を磁性体17に対して対向した面とすることができるが、かかる形状に限定されない。
【0097】
例えば、導電部材16は、円筒状に形成してもよい。一方、かかる構造の導電部材16を採用する場合には、磁性体17は、断面がコの字状に形成されたものを採用するのが好ましい。この磁性体17の凹み部は、円筒状に形成された導電部材16の先端部を収容可能となるように形成されている。
この場合、スプール部2の回転が速くなると、移動部材16は、スプール軸3の軸方向へ沿って磁性体17へ向かって移動して、円筒状の先端部が磁性体17の凹み部内に侵入する。このとき、磁性体17からの導電部材16に対する磁力は、先端部の侵入量に応じて変化する。このため、後述する導電部材16の回転方向に抗するブレーキ力(制動力)をより適切に調整できるという利点が得られる。
【0098】
また、導電部材16は、上述したように距離調整部品10の移動部材12の本体部12aの基端部に固定できるように形成されている。
例えば、図11に示すように、導電部材16が円盤状の部材であり、中央に位置する内円16hの内径が、上述した移動部材12の本体部12aの基端部の外径よりも若干小さくなるように形成される。この場合、導電部材16を移動部材12の本体部12aの基端部に嵌め込めば、連結固定するように取り付けることができる。
【0099】
導電部材16が固定した移動部材12の本体部12は、上述したようにスプール部2の回転に応じて、スプール軸3の軸方向に沿って移動するように構成されている。
このため、導電部材16は、スプール軸3の軸方向に沿って移動部材12の本体部12aの移動と一体移動する。しかも、移動部材12の本体部12は、スプール部2の回転に伴い回転するので、導電部材16は、回転しつつスプール軸3の軸方向に沿って移動する。
【0100】
つまり、図3に示すように、スプール部2の回転に応じて、電磁ブレーキ15の導電部材16が、電磁ブレーキ15の磁性体17に対して回転しながらスプール軸3の軸方向に沿って接近離間するように移動するのである。図3では、導電部材16と磁性体17の距離がW1からW2の間で近くなったり遠くなったりする。
【0101】
電磁ブレーキ15が、以上のごとき構成を有しているので、図3に示すように、導電部材16が磁性体17に対して回転しつつ接近すれば、導電部材16の表面(図2では磁性体17aに対向する面)では、磁性体17の作用によって磁性体17に対向する箇所に渦電流が発生する。
例えば、磁性体17の導電部材16に対向する部分がN極の場合、導電部材16の磁性体17に対向する面にはN極とS極が交互に発生する。つまり、磁性体17が近づいた箇所はN極となり、磁性体17から遠ざかる箇所では渦電流が反転しS極となる。このため、導電部材16と磁性体17との間には、両者を引き付け合う力が発生する。言い換えれば、導電部材16の回転方向に抗するブレーキ力(制動力)が発生するのである。
【0102】
図1〜3に示すように、電磁ブレーキ15の導電部材16は、距離調整部品10の移動部材12に連結されており、この移動部材12はカム機構を介して距離調整部品10のスプール軸固定部材11に連結されている。そして、この距離調整部品10のスプール軸固定部材11は、スプール部2のボビン4の隔壁4bに固定されている。
このため、電磁ブレーキ15の導電部材16が磁性体17に対して回転しながら接近(つまり、図3では導電部材16と磁性体17の間の距離がW2からW1になる)すると、スプール部2には、回転方向に抗する制動力が発生する。
【0103】
したがって、ルアー等をキャスティングする際には、回転制御機構は以下のように作用する。
なお、スプール部2の回転は、図1に示すようにスプール部2のボビン4に巻かれた釣糸を繰り出す方向に回転する場合について説明する(図1または図3では、スプール軸3のハンドル側端部から制御側端部方向に見たときに、時計回りにスプール部2が回転する場合)。
【0104】
まず、キャスティングの初期段階では、スプール部2のボビン4から釣糸がルアー等によって引っ張られるようにして繰り出されて、スプール部2が回転する。このスプール部2のボビン4には、距離調整部品10のスプール軸固定部材11が固定されている。
この初期段階では、スプール部2の回転速度はそれほど速くないので、スプール部2の回転により生じる回転力が、カム機構の干渉力および付勢部材18の付勢力との合力と同じか小さい状態となる。
この場合には、スプール部2の回転に伴いスプール部2のボビン4に固定された距離調整部品10のスプール軸固定部材11もスプール部2と一体回転する。
【0105】
そして、キャスティングされたルアー等は、放物線の頂点付近を過ぎたあたりから、その飛行速度は低下する一方、スプール部2の回転速度は、キャスティングの初期段階から徐々に速くなる。
そして、この回転速度の上昇によって生じる回転力が、カム機構の干渉力および付勢部材18の付勢力との合力よりも大きくなる。すると、距離調整部品10の移動部材12の本体部12aが、スプール軸3の軸方向へ沿って移動する。
このとき、距離調整部品10の移動部材12の本体部12aの回転と、距離調整部品10のスプール軸固定部材11の本体部11aの回転(言い換えれば、スプール部2の回転)との間に回転差が生じた状態となる。
【0106】
すると、この移動部材12の回転とスプール部2の回転との回転差によって、移動部材12が磁性体17に接近するようにスプール軸3の軸方向に沿って移動する。移動部材12の本体部12aの基端部には導電部材16が固定されている。そして、この導電部材16が磁性体17に接近する。導電部材16が磁性体17の磁界に侵入すると導電部材16には、その接近量(移動量)と回転速度に応じた電磁力を磁界から受ける。つまり、導電部材16の回転に抗する制動力が作用する。
【0107】
導電部材16はカム機構によってスプール軸固定部材11に連結しており、このスプール軸固定部材11はスプール部2と一体回転しているので、導電部材16に加わった制動力は、スプール部2にも作用する。つまり、スプール部2にはその回転速度に応じた磁気制動力が作用し、その結果、スプール部2の過回転が防止され、バックラッシュが防止される。
【0108】
一方、ルアー等が着する手前のキャスティングの後期段階では、上述した回転制御機構によってスプール部2の回転速度が減少する。スプール部2の回転速度の減少により、カム軸13の先端部がカム溝12gを押し付ける力が小さくなり、当接箇所における移動部材12の本体部12aの軸方向への分力が小さくなる。この分力が、カム機構の干渉力および付勢部材18の付勢力との合力と同じか小さくなると、移動部材12の本体部12aは、磁性体17から離間するようにスプール軸3のハンドル側端部に向かってその軸方向に沿って移動する。
すると、導電部材16は、磁性体17の磁界から受ける電磁力が小さくなるので、スプール部2に作用する制動力も解消される。したがって、飛距離を不必要に低下させることなく、スプール部2に適度な制動力を付与しつつ、バックラッシュを効果的に防止することができる。
【0109】
(離間部材20)
なお、電磁ブレーキ15の制動力の調整は、上述した磁性体17の材質や配置方法等に限定されない。
例えば、スプール軸3に距離調整部品10を取り付けたときの、距離調整部品10の移動部材12に固定された導電部材16と磁性体17の距離(W)によっても調整することができる。
【0110】
例えば、図7または図8に示すように、距離調整部品10と係止部材r2の間および/または距離調整部品10とスプール部2との間に、離間部材20を設ければ、導電部材16と磁性体17の距離を簡単に調整することができる。
この離間部材20は、上記のごとくスプール軸3に取り付けることができる板状の部材であれば、とくに限定されない。例えば、座金(ワッシャ)などの公知のものを採用することができる。
【0111】
とくにワッシャを離間部材20として採用すれば、様々な厚み等が市販されている。そして、かかる離間部材20の数や厚みを調整することによって、導電部材16と磁性体17の距離をより適切に調整することができるので、電磁ブレーキ15の制動力の調整が簡単に行うことができるようになる。
このため、利用者の技量や好みに応じた調整がより適切に行えるようになる。しかも、特殊部品でもないので、調整の自由度をより向上させることができる。すると、利用者は、離間部材20を調整することによって、自己のキャスティングの特性や釣糸の繰り出す際のテンションなど、好み応じたスプール部2の回転となるように調整することができる。
【0112】
例えば、ワッシャを離間部材20(以下、単にワッシャ20という)として採用する場合の取り付け方法について、以下説明する。
【0113】
まず、スプール部2が高速で回転する際に、その回転をとくに制御したい場合には、以下のようにワッシャ20を配設するのが好ましい。
【0114】
図7に示すように、距離調整部品10と係止部材r2の間にワッシャ20を設ける(図7では、紙面左側に位置するワッシャ20)。
この場合、導電部材16と磁性体17の距離が遠くなることから、高回転時における電磁ブレーキ15の制動力を小さくできる。
なお、かかるワッシャ20の厚みを厚くしたり、枚数を増加させれば、両者間の距離をより遠くできるので、さらに制動力を小さくできる。
【0115】
つぎに、スプール部2が低速で回転する際に、その回転をとくに制御したい場合には、以下のようにワッシャ20を配設するのが好ましい。
【0116】
図7に示すように、距離調整部品10とスプール部2との間にワッシャ20を設ける(図7では、紙面右側に位置するワッシャ20)。
この場合、導電部材16と磁性体17の距離が近くなることから、スプール部2が低速で回転する際の電磁ブレーキ15による制動力を強くできる。
なお、かかるワッシャ20の厚みを厚くしたり、枚数を増加させれば、両者間の距離をより近くできるので、制動力をより強くできる。
【0117】
以上のごとく、ワッシャ20の配設する位置、厚みや枚数などを調整すれば、利用者の好みに応じた制動力の強弱の調整を簡単に行うことができるようになる。
【0118】
(スプール部2の素材)
スプール部2の素材は、一般的なリールに使用されるものであれば、とくに限定されない。
【0119】
例えば、スプール部2のボビン4の素材をチタン合金製とすれば、強度を確保しつつ、耐久性を向上させることができる。
【0120】
スプール部2のシャフト3aの素材をステンレス製にすれば、耐水性を有しつつ強度を確保することができる。
【0121】
スプール部2のシャフト3aを覆うように設けられた軸挿入部3bの素材としては、アルミニウムもしくはアルミニウム合金製のものを採用することができる。
【0122】
なお、シャフト3aと軸挿入部3bを一体で形成してもよいが、別体で形成すれば、シャフト3aと軸挿入部3bの素材を変更できる。
例えば、上記のように、シャフト3aをステンレス、軸挿入部3bをアルミニウムで形成すれば、強度を高く維持しつつ慣性重量を小さいくできる。すると、耐久性と作動性を両立させることができる。
しかも、耐水性を有しつつ表面の滑らかな性を向上させることもできる。すると、スプール軸3の軸挿入部3bの表面と、距離調整部品10の移動部材12の本体部12a内面との摩擦係数を小さくできるので、移動部材12の本体部12の摺動性を高くできる。つまり、スプール軸3における、距離調整部品10の移動部材12の本体部12aの移動をよりスムースに行わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明のベイトリールは、リールの構造に精通していない利用者であって簡単に組み立てや分解が行うことができるリールとして適している。
【符号の説明】
【0124】
1 ベイトリール
2 スプール部
3 スプール軸
4 ボビン
10 距離調整部品
11 スプール軸固定部材
12 移動部材
15 電磁ブレーキ
16 導電部材
17 磁性体
f フレーム
B 軸受け
【要約】      (修正有)
【課題】電磁ブレーキを利用したリールを簡単に分解・組み立てができるベイトリールおよびベイトリールの回転制御機構に用いられる距離調整部品を提供する。
【解決手段】、スプール軸3とスプール軸3に連結されたボビン4を有するスプール部2とスプール部2の回転を制御し得る回転制御機構と備えており、スプール部2の回転方向に抗するブレーキ力を発生させる電磁ブレーキ15と、電磁ブレーキ15のブレーキ力を調整し得るスプール軸3に取り付けて使用される距離調整部品10とを備えており、電磁ブレーキ15は磁性体17a,17bと導電部材16を備えており、距離調整部品10はスプール軸に対して非連結であり、ボビン4に対して着脱可能かつ一体回転し得るように固定されたスプール軸固定部材11と、導電部材16が磁性体側に連結され、スプール部2の回転に応じてスプール軸3の軸方向に沿って移動可能に設けられた移動部材12と、を備えている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11