(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記監視部が、前記許容値格納部に新たな前記最小値及び前記最大値が格納された場合、又は前記属性値格納部に新たな前記属性値が格納された場合に、前記属性値が、前記最小値と前記最大値とで規定される範囲内にあるかどうかを判定する、
請求項1に記載の栽培異常監視装置。
前記産地許容値計算部が、前記属性値格納部に新たな前記属性値が格納された場合に、前記平均値と前記標準偏差とを計算し、そして、前記第1の基準値と前記第2の基準値とを計算する、
請求項3に記載の栽培異常監視装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(発明の概要)
本発明では、農作物一般を対象として、その栽培における異常を監視する。ここで、農作物の例として、ミカンを挙げて、以下に本発明の概要を説明する。
【0017】
まず、ミカンにおいては、出荷時にその良否を判断する属性として、果実の糖度、酸度、サイズ、色、などがある。出荷時には、選果場で果実1つ1つの属性値が計測される。そのとき、各ミカンには、属性の値ごとに点数が割り当てられ、その点数の組み合わせで等級分けされ、等級単位に箱詰めして出荷される。
【0018】
従って、同じLサイズでも、特級Lサイズ、良級Lサイズ、並級Lサイズ、に分けられる。特級として選ばれるのは、糖度、酸度、色の属性ごとに、特定の範囲の属性値を取っているものだけである。また、1つの果実が、特級Lサイズ、良級Lサイズ、並級Lサイズのどれに分類されたかによって、果実単位の買い取り額が決まり、その買い取り額の合計が、ある農家の出荷時における総売り上げ(買い取り額)となる。このように、果実の出荷は、明確に点数化されている。
【0019】
このため、本発明では、例えば、指導員が、属性ごとに、定期的に、その時点での最大値と最小値とを設定する。一方、ユーザである農家は、自分の畑から採れたサンプルの果実について属性値を調べ、調べた属性値を入力する。そして、本発明では、各農家の属性値が、指導員の設定した最小値と最大値の範囲に入っているかどうかが判定され、判定の結果、範囲外である場合は、そのことが各農家に通知される。
【0020】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における、栽培異常監視装置、栽培異常監視方法、及びプログラムについて、
図1〜
図6を参照しながら説明する。
【0021】
[装置構成]
最初に、本実施の形態1における、栽培異常監視装置の構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における栽培異常監視装置の概略構成を示すブロック図である。
【0022】
図1に示す、本実施の形態1における栽培異常監視装置10は、穀物、野菜、果樹といった農作物の栽培時に発生する異常を監視するための装置である。
図1に示すように、栽培異常監視装置10は、許容値格納部11と、属性値格納部12と、監視部13とを備えている。
【0023】
許容値格納部11は、農産物に関する特定の属性について設定された最大値及び最小値を格納する。属性値格納部12は、ユーザである農家が入力した特定の属性の属性値を格納する。監視部13は、属性値格納部12に格納されている属性値が、許容値格納部11に格納されている最小値と最大値とで規定される範囲(以下「許容範囲」と表記する)内にあるかどうかを判定する。監視部13は、属性値が許容範囲内にない場合は、農家に対して、そのことを通知する。
【0024】
このように、本実施の形態1では、農家のサンプルの属性値が、指導員が設定した許容範囲内にない場合は、農家に直ちに通知がなされるため、農家は作物の栽培に異常があることを知ることができ、直ぐに対応することができる。このため、本実施の形態によれば、指導員による農業指導が支援されるので、指導員の不足による指導時間不足問題が改善されることになる。
【0025】
ここで、
図2を用いて、本実施の形態における栽培異常監視装置10の構成について更に具体的に説明する。
図2は、本発明の実施の形態1における栽培異常監視装置10の構成を具体的に示すブロック図である。
【0026】
図2に示すように、本実施の形態1では、栽培異常監視装置10は、指導員20が使用する端末装置21と、ユーザ30である農家が使用する端末装置31とに、ネットワーク(
図2において図示せず)を介して接続されている。本実施の形態1では、農産物に関する特定の属性についての最小値及び最大値は、指導員20によって、端末装置21を介して入力される。また、属性値は、ユーザ30によって、端末装置31を介して、入力される。また、本実施の形態において、属性としては、例えば、糖度、酸度、サイズ、色等が挙げられる。
【0027】
また、
図2の例では、指導員が使用する端末装置21、及びユーザ30が使用する端末装置31として、汎用のコンピュータが例示されているが、本実施の形態1は、これに限定されない。端末装置21及び31は、汎用のコンピュータ以外の端末装置、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末等であっても良い。
【0028】
本実施の形態では、ユーザ30は、例えば、入力すべき属性値が糖度の値である場合は、自分の農地から採取した作物を、糖度計が設置されたJA等に持ち込み、そこで測定を行い、端末装置31から栽培異常監視装置10へと測定結果を入力することになる。なお、この場合の糖度計が、測定値を送信する機能を備えているのであれば、端末装置31の代わりに、糖度計から栽培異常監視装置10へと測定結果が入力されていても良い。
【0029】
また、小型の携帯可能な糖度計が実現されている場合は、ユーザ30は、その糖度計を用いて、自分の農地で糖度を測定し、その場で、無線通信機能を備えた端末装置31を用いて、栽培異常監視装置10に測定結果を入力することができる。この場合において、糖度計が無線通信機能を備えているのであれば、測定結果は、糖度計から栽培異常監視装置10に入力されても良い。
【0030】
更に、
図2に示すように、栽培異常監視装置10は、上述した許容値格納部11、属性値格納部12、及び監視部13に加えて、更に、端末装置21及び31から入力される情報を取得する情報取得部14を備えている。
【0031】
情報取得部14は、例えば、指導員20の端末装置21から最小値及び最大値が入力された場合は、これらを取得し、これらを許容値格納部11に格納させる。また、情報取得部14は、ユーザ30の端末装置31から属性値が入力された場合は、これを取得し、これを属性値格納部12に格納させる。
【0032】
また、本実施の形態1では、監視部13は、情報取得部14によって許容値格納部11に新たな最小値及び最大値が格納された場合、又は情報取得部14によって属性値格納部12に新たな属性値が格納された場合に、属性値が許容範囲内にあるかどうかを判定する。このため、ユーザ30に対して、より適切に通知を行うことができる。具体的には、監視部13は、許容値格納部11又は属性値格納部12にデータが格納されると起動するプログラムによって構築することができる。
【0033】
続いて、
図3を用いて、許容値格納部11に格納されている最小値及び最大値の具体例と属性値格納部12に格納されている属性値の具体例について説明する。
図3(a)は、
図2に示す許容値格納部に格納されている情報の一例を示す図であり、
図3(b)は、
図2に示す属性値格納部に格納されている情報の一例を示す図である。
【0034】
図3(a)の例では、属性として糖度が用いられており、許容値格納部12には、許容値情報として、糖度の最小値「7.2」と最大値「7.8」とが格納されている。また、
図3(b)の例では、属性値格納部12には、三人のユーザ30について、ユーザを特定する名前と、属性値である糖度と、それぞれの連絡先である電話番号又はメールアドレスとが、属性値情報として格納されている。
【0035】
従って、監視部13は、ユーザの入力した糖度が、許容範囲である7.2以上7.8以下であるかどうかを判定することになる。そして、いずれかのユーザの入力した属性値が許容範囲内にない場合は、該当するユーザの連絡先に通知を行う。
【0036】
例えば、
図3(a)及び(b)の例において、Aさんが属性値(7.0)を新たに入力したとする。この場合、監視部13は、Aさんが入力した属性値と許容範囲とを比較する。比較の結果、属性値は許容範囲にないため、監視部13は、Aさんの連絡先に、その旨を通知する。なお、Aさんの連絡先は電話番号であるため、この場合、監視部13は、Aさんの電話番号に電話をかけ、音声によって属性値が許容範囲にないことを通知する。
【0037】
また、
図3(a)及び(b)の例において、指導員が新たな許容範囲として、
図3(a)に示す最小値と最大値とを入力したとする。この場合は、監視部13は、各農家の属性値を順に取り出し、取り出した順に、属性値と許容範囲とを比較することになる。比較の結果、Aさんの属性値のみが許容範囲にないため、監視部13は、上記の場合と同様に、Aさんの連絡先に、その旨を通知する。
【0038】
[装置動作]
次に、本発明の実施の形態1における栽培異常監視装置10の動作について
図4を用いて説明する。
図4は、本発明の実施の形態1における栽培異常監視装置の動作を示すフロー図である。以下の説明においては、適宜
図1〜
図3を参酌する。また、本実施の形態1では、栽培異常監視装置10を動作させることによって、栽培異常監視方法が実施される。よって、本実施の形態1における栽培異常監視方法の説明は、以下の栽培異常監視装置10の動作説明に代える。
【0039】
図4に示すように、最初に、栽培異常監視装置10において、情報取得部14が、外部の端末装置21又は31から送信されてきた情報を取得する(ステップA1)。そして、情報取得部14は、取得した情報が、特定の属性についての最小値及び最大値であるかどうかを判定する(ステップA2)。
【0040】
ステップA2の判定の結果、取得した情報が、特定の属性についての最小値及び最大値である場合は、情報取得部14は、取得した情報を許容値格納部11に出力し、それに格納させる(ステップA3)。
【0041】
次に、ステップA3が実行されると、監視部13が起動し、監視部13は、属性値情報に登録されている全てのユーザについて、順に、属性値と許容範囲とを比較して、属性値が許容範囲内にあるかどうかを判定する(ステップA4)。そして、監視部13は、ステップA7を実行する。なお、属性値格納部12に、属性値が未だ1つも登録されていない場合は、ステップA4は実行されず、処理は終了する。
【0042】
一方、ステップA2の判定の結果、取得した情報が、特定の属性についての最小値及び最大値でない場合は、取得した情報は新たな属性値であるので、情報取得部14は、取得した情報を属性値格納部12に出力し、それに格納させる(ステップA5)。
【0043】
次に、ステップA5が実行されると監視部13が起動し、監視部13は、新たに属性値を入力したユーザについて、その新たな属性値と許容範囲とを比較して、新たな属性値が許容範囲内にあるかどうかを判定する(ステップA6)。そして、監視部13は、ステップA7を実行する。なお、許容値格納部11に、最小値及び最大値のペアが未だ1つも登録されていない場合は、ステップA6は実行されず、処理は終了する。
【0044】
次に、監視部13は、ステップA4又はA6の結果に基づいて、異常が発生しているかどうかを判定する(ステップA7)。具体的には、属性値が許容範囲内にないユーザが存在しているかどうかを判定する。
【0045】
ステップA7の判定の結果、異常が発生していない場合は、監視部13は、処理を終了する。一方、ステップA7の判定の結果、異常が発生している場合は、異常が発生しているユーザに、その旨を通知する(ステップA8)。
【0046】
具体的には、ステップA4が実行されて、属性値が許容範囲内にないユーザが存在していた場合は、監視部13は、このユーザに通知を行う。また、ステップA6が実行されて、新たな属性値が許容範囲内にない場合は、新たな属性値を入力したユーザに通知を行う。
【0047】
[プログラム]
本実施の形態1におけるプログラムは、コンピュータに、
図4に示すステップA1〜A8を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態1における栽培異常監視装置10と栽培異常監視方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、監視部13及び情報取得部14として機能し、処理を行なう。また、本実施の形態では、許容値格納部11及び属性値格納部12は、コンピュータに備えられたハードディスク等の記憶装置によって実現されている。
【0048】
[実施の形態1における効果]
以上のように、本実施の形態1では、農家のサンプルの属性値が、指導員が設定した許容範囲内にない場合は、農家に直ちに通知がなされるため、農家は作物の栽培に異常があることを知ることができ、直ぐに対応することができる。従って、本実施の形態1によれば、地方自治体及びJAの指導員の指導時間が不足していても、担当する産地の多くの農家に対して適切な指導が実施される。
【0049】
つまり、従来では、例えば一人の指導員が100人の農家を担当しているため、指導員は、各農家に対して、電話、FAX等によって、「糖度は、7度から8度の間に入っているようにしてください」という一方的な連絡しかできなかったのが現実である。それに対して、本実施の形態によれば、属性値が許容範囲内にない農家に対して、「範囲外ですよ」という警告を自動的に通知できるので、自身の作物に異常があることを知ることができる。
【0050】
また、この警告が通知された農家に対してだけ、指導員が直接現場に行って様子を見に行くということも可能になる。つまり、本実施の形態1によれば、100人の農家のうち、本当に「いま、指導が必要な人」が誰かがわかり、指導員は、その人たちだけを指導することが可能になる。このため、上述した指導時間不足問題は解消される。
【0051】
また、作物の栽培は数か月かかる。たとえば、ミカンの場合は、7月に花が咲き、12月に収穫するまで、6ヶ月かかる。この間、本実施の形態1によれば、産地において、栽培に失敗しそうなユーザを特定できるので、指導員は、特定したユーザを集中的に指導していくことができる。
【0052】
また、指導が必要なユーザは、月によって変わらない場合もあれば、月毎に変わる場合もある。このような場合であっても、本実施の形態1によれば、指導が必要なユーザを見つけ出すことができ、率先して指導をする必要があるユーザと、そうでないユーザとを選別できる。
【0053】
図5は、実際のミカンの糖度と酸度との時間的変化を表す図である。
図5に示すように、右肩上がりの線が糖度を示し、右肩下がりの線が酸度を示している。それぞれ3本ずつある理由は、最大値、標準値、最小値を示すためである。時間の変化とともに、最小値、最大値が変化していく。従って、ある月には範囲内だった農家が、別の月には範囲外になることも当然起こり得る。このため、本実施の形態1は、有用となる。
【0054】
[変形例]
図1〜
図4においては、対象にする農産物の属性が1つとなっているが、本実施の形態1は、この態様に限定されることはない。本実施の形態においては、対象にする農作物の属性は複数であっても良い。以下に、
図6を用いて説明する。
図6(a)は、
図2に示す許容値格納部に格納されている情報の他の例を示す図であり、
図6(b)は、
図2に示す属性値格納部に格納されている情報の他の例を示す図である。
【0055】
図6(a)の例では、属性として、糖度の他に、酸度及びサイズも用いられており、許容値格納部12には、糖度の最小値及び最大値に加えて、酸度の最小値及び最大値と、サイズの最小値及び最大値も格納される。具体的には、「糖度」として、最小値7.2と最大値7.8とが格納され、「酸度」として最小値2.5と最大値3.5とが格納され、「サイズ」として最小値5.0と最大値6.0とが格納されている。
【0056】
また、
図6(b)の例では、属性値格納部12には、三人のユーザ30について、名前、連絡先、糖度に加えて、酸度及びサイズも格納されている。なお、酸度及びサイズも、農家が自身の農地で採取した作物から計測した値である。
【0057】
また、本変形例では、例えば、1又は2以上の属性について最小値及び最大値が新たに入力されると、入力対象となった属性について、ユーザ毎に、許容範囲内にあるかどうかが判定される(
図4のステップA4参照)。また、あるユーザが、1又は2以上の属性について新たな属性値を入力した場合は、そのユーザについて新たに入力された属性値を対象に、許容範囲内にあるかどうかが判定される。
【0058】
従って、例えば、糖度、酸度、及びサイズについて最小値及び最大値が新たに格納されると、監視部13は、Aさん、Bさん、Cさん、それぞれについて、糖度、酸度及びサイズが新たな許容範囲内にあるかどうかを判定する。そして、
図6の例では、監視部13は、Aさんに対しては、糖度が許容範囲外であることを通知し、Bさんに対しては、酸度で許容範囲外であることを通知する。なお、サイズについては、3人とも許容範囲内なので、サイズが許容範囲外であることは、誰にも通知されない結果となる。
【0059】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態1における、栽培異常監視装置、栽培異常監視方法、及びプログラムについて、
図7〜
図10を参照しながら説明する。
【0060】
[装置構成]
最初に、本実施の形態2における、栽培異常監視装置の構成について
図7〜
図9を用いて説明する。
図7は、本発明の実施の形態2における栽培異常監視装置の概略構成を示すブロック図である。
図8(a)は、
図7に示す許容値格納部に格納されている情報の一例を示す図であり、
図8(b)は、
図7に示す属性値格納部に格納されている情報の一例を示す図であり、
図8(c)は、
図7に示す産地許容値格納部に格納されている情報の一例を示す図である。
図9は、平均値と標準偏差との関係を示す図である。
【0061】
図7に示すように、本実施の形態2における栽培異常監視装置40は、実施の形態1において
図1及び
図2に示した栽培異常監視装置10と同様に、農作物の栽培時に発生する異常を監視するための装置であるが、以下の点で異なっている。以下に、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0062】
図7に示すように、栽培異常監視装置40は、
図2に示した栽培異常監視装置10の構成に加えて、産地許容値計算部41と、産地許容値格納部42とを備えている。また、本実施の形態2においては、属性値格納部12は、産地が同一の複数のユーザそれぞれ毎に、各ユーザが入力した属性値を格納している。
【0063】
産地許容値計算部41は、まず、属性値格納部12から、属性値を格納しているユーザ毎の属性値を全て取り出し、取り出した各属性値を用いて、これらの平均値と標準偏差とを計算する。また、本実施の形態2では、産地許容値計算部41は、属性値格納部12に新たな属性値が格納された場合に、平均値及び標準偏差の計算を実行することができる。
【0064】
そして、産地許容値計算部41は、平均値及び標準偏差の計算後、平均値と標準偏差
の2倍との差
を第1の基準値(以下「−2σ」とも表記する)
として計算し、更に、平均値と標準偏差
の2倍との和
を第2の基準値(以下「+2σ」とも表記する。)
として計算す
る。
【0065】
また、産地許容値計算部41は、計算した第1の基準値及び第2の基準値を、産地許容値情報として、産地許容値格納部42に格納する。産地許容値情報の具体例は、
図8(c)に示す通りである。なお、本実施の形態2においても、許容値格納部11及び属性値格納部12には、
図3に示した値が格納されているとする。
【0066】
監視部13は、本実施の形態2では、更に、属性値格納部12に格納されている各属性値が、第1の基準値と第2の基準値とで規定される範囲(以下「産地許容範囲」と表記する。)内にあるかどうかも判定する。そして、監視部13は、属性値が、産地許容範囲内にない場合にも、該当するユーザに対して通知を行う。
【0067】
具体的には、
図8(c)の例では、監視部13は、Aさん、Bさん、Cさんのいずれにおいても、属性値は、産地許容範囲内にあるため、産地許容範囲についての通知は行わない。しかし、
図8(a)及び(b)に示すように、Aさんの属性値は、許容範囲内にはないため、Aさんに対して、属性値が許容範囲内にないことを通知する。
【0068】
また、本実施の形態2において、このように、第1の基準値と第2の基準値とを計算するのは、
図9に示すように、統計学上一般に、
「平均値―標準偏
差×2」〜
「平均値+標準偏
差×2」の範囲内には、母集団の95%が含まれためである。つまり、このような範囲において属性値の判定を行えば、より確実に栽培の異常を検出できるからである。
【0069】
[装置動作]
次に、本発明の実施の形態2における栽培異常監視装置40の動作について
図10を用いて説明する。
図10は、本発明の実施の形態2における栽培異常監視装置の動作を示すフロー図である。以下の説明においては、適宜
図7及び
図8を参酌する。また、本実施の形態2では、栽培異常監視装置40を動作させることによって、栽培異常監視方法が実施される。よって、本実施の形態2における栽培異常監視方法の説明は、以下の栽培異常監視装置10の動作説明に代える。
【0070】
図10に示すように、最初に、栽培異常監視装置40において、情報取得部14が、外部の端末装置21又は31から送信されてきた情報を取得する(ステップB1)。そして、情報取得部14は、取得した情報が、特定の属性についての最小値及び最大値であるかどうかを判定する(ステップB2)。
【0071】
ステップB2の判定の結果、取得した情報が、特定の属性についての最小値及び最大値である場合は、情報取得部14は、取得した情報を許容値格納部11に出力し、それに格納させる(ステップB3)。
【0072】
次に、ステップB3が実行されると、監視部13が起動し、監視部13は、属性値情報に登録されている全てのユーザについて、順に、属性値と許容範囲とを比較して、属性値が許容範囲内にあるかどうかを判定する(ステップB4)。そして、監視部13は、ステップB9を実行する。なお、上述のステップB1〜B4は、
図4に示したステップA1〜A4と同様のステップである。
【0073】
一方、ステップB2の判定の結果、取得した情報が、特定の属性についての最小値及び最大値でない場合は、取得した情報は新たな属性値であるので、情報取得部14は、取得した情報を属性値格納部12に出力し、それに格納させる(ステップB5)。
【0074】
次に、ステップB5が実行されると監視部13が起動し、監視部13は、新たに属性値を入力したユーザについて、その新たな属性値と許容範囲とを比較して、新たな属性値が許容範囲内にあるかどうかを判定する(ステップB6)。なお、上述のステップB5及びB6は、
図4に示したステップA5及びA6と同様のステップである。
【0075】
また、ステップB5が実行されると、産地許容値計算部41は、属性値格納部12から、属性値を格納しているユーザ毎の属性値を全て取り出し、取り出した各属性値を用いて、平均値及び標準偏差を計算し、更に、これらから第の基準値1及び第2の基準値を計算する(ステップB7)。
【0076】
ステップB7が実行されると、監視部13は、属性値格納部12に格納されている各属性値と産地許容範囲とを比較して、各属性値が産地許容範囲内にあるかどうかも判定する(ステップB8)。
【0077】
次に、監視部13は、ステップB4の結果、又はステップB6及びB8の結果に基づいて、異常が発生しているかどうかを判定する(ステップB9)。具体的には、属性値が許容範囲内にないユーザが存在しているかどうか、及び属性値が産地許容範囲内にないユーザが存在しているかどうかを判定する。
【0078】
ステップB9の判定の結果、異常が発生していない場合は、監視部13は、処理を終了する。一方、ステップB9の判定の結果、異常が発生している場合は、異常が発生しているユーザに、その旨を通知する(ステップB10)。
【0079】
このように、本実施の形態2においては、属性値が入力されると、その度に、
「平均値―標準偏
差×2」と
「平均値+標準偏
差×2」とが算出され、各属性値がこれらによって規定される産地許容範囲内にあるかどうかも判断される。このため、産地の母集団からはずれてしまう場合を適切に抽出できるので、より確実に栽培の異常を検出できる。
【0080】
[プログラム]
本実施の形態2におけるプログラムは、コンピュータに、
図10に示すステップB1B10を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態2における栽培異常監視装置40と栽培異常監視方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、監視部13、情報取得部14、及び産地許容値計算部41として機能し、処理を行なう。また、本実施の形態では、許容値格納部11、属性値格納部12、及び産地許容値格納部42は、コンピュータに備えられたハードディスク等の記憶装置によって実現されている。
【0081】
(物理構成)
ここで、実施の形態1及び2におけるプログラムを実行することによって、栽培異常監視装置を実現するコンピュータについて
図11を用いて説明する。
図11は、本発明の実施の形態1又は2における栽培異常監視装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【0082】
図11に示すように、コンピュータ110は、CPU111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。
【0083】
CPU111は、記憶装置113に格納された、本実施の形態におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置である。また、本実施の形態におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、本実施の形態におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであっても良い。
【0084】
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクの他、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置が挙げられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボード及びマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。
【0085】
データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、及びコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
【0086】
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash(登録商標))及びSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記憶媒体、又はCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記憶媒体が挙げられる。
【0087】
上述した実施の形態の一部又は全部は、以下に記載する(付記1)〜(付記15)によって表現することができるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0088】
(付記1)
農作物の栽培時に発生する異常を監視するための装置であって、
農産物に関する特定の属性について設定された最小値及び最大値を格納する、許容値格納部と、
ユーザが入力した前記特定の属性の属性値を格納する、属性値格納部と、
前記属性値が、前記最小値と前記最大値とで規定される範囲内にあるかどうかを判定し、前記属性値が前記範囲内にない場合に、前記ユーザに対して、そのことを通知する、監視部と、
を備えている、ことを特徴とする栽培異常監視装置。
【0089】
(付記2)
前記監視部が、前記許容値格納部に新たな前記最小値及び前記最大値が格納された場合、又は前記属性値格納部に新たな前記属性値が格納された場合に、前記属性値が、前記最小値と前記最大値とで規定される範囲内にあるかどうかを判定する、
付記1に記載の栽培異常監視装置。
【0090】
(付記3)
前記許容値格納部が、複数の属性それぞれ毎に、前記最小値及び前記最大値を格納し、
前記属性値格納部が、前記ユーザが入力した複数属性の属性値を格納し、
前記監視部が、複数の属性それぞれ毎に、前記最小値と前記最大値とで規定される範囲内にあるかどうかを判定する、
付記1または2に記載の栽培異常監視装置。
【0091】
(付記4)
前記属性値格納部が、産地が同一の複数のユーザそれぞれ毎に、当該ユーザが入力した前記属性値を格納している場合に、前記複数のユーザそれぞれ毎の前記属性値を用いて、これらの平均値と標準偏差とを計算し、そして、前記平均値と前記標準偏差
の2倍との差
を第1の基準値
として計算し、更に、前記平均値と前記標準偏差
の2倍との和
を第2の基準値
として計算する、産地許容値計算部を更に、備え、
前記監視部は、更に、前記属性値が、前記第1の基準値と前記第2の基準値とで規定される範囲内にあるかどうかを判定し、前記属性値が、前記第1の基準値と前記第2の基準値とで規定される範囲内にない場合にも、前記ユーザに対して通知を行う、
付記1〜3のいずれかに記載の栽培異常監視装置。
【0092】
(付記5)
前記産地許容値計算部が、前記属性値格納部に新たな前記属性値が格納された場合に、前記平均値と前記標準偏差とを計算し、そして、前記第1の基準値と前記第2の基準値とを計算する、
付記4に記載の栽培異常監視装置。
【0093】
(付記6)
農作物の栽培時に発生する異常を監視するための方法であって、
(a)農産物に関する特定の属性について設定された最小値及び最大値を格納する、ステップと、
(b)ユーザが入力した前記特定の属性の属性値を格納する、ステップと、
(c)前記属性値が、前記最小値と前記最大値とで規定される範囲内にあるかどうかを判定し、前記属性値が前記範囲内にない場合に、前記ユーザに対して、そのことを通知する、ステップと、
を有する、ことを特徴とする栽培異常監視方法。
【0094】
(付記7)
前記(c)のステップにおいて、前記許容値格納部に新たな前記最小値及び前記最大値が格納された場合、又は前記属性値格納部に新たな前記属性値が格納された場合に、前記属性値が、前記最小値と前記最大値とで規定される範囲内にあるかどうかを判定する、
付記6に記載の栽培異常監視方法。
【0095】
(付記8)
前記(a)のステップにおいて、複数の属性それぞれ毎に、前記最小値及び前記最大値を格納し、
前記(b)のステップにおいて、前記ユーザが入力した複数属性の属性値を格納し、
前記(c)のステップにおいて、複数の属性それぞれ毎に、前記最小値と前記最大値とで規定される範囲内にあるかどうかを判定する、
付記6または7に記載の栽培異常監視方法。
【0096】
(付記9)
(d)前記(b)のステップにおいて、産地が同一の複数のユーザそれぞれ毎に、当該ユーザが入力した前記属性値を格納している場合に、
前記複数のユーザそれぞれ毎の前記属性値を用いて、これらの平均値と標準偏差とを計算し、そして、前記平均値と前記標準偏差
の2倍との差
を第1の基準値
として計算し、更に、前記平均値と前記標準偏差
の2倍との和
を第2の基準値
として計算する、ステップと、(
e)前記属性値が、前記第1の基準値と前記第2の基準値とで規定される範囲内にある
かどうかを判定し、前記属性値が、前記第1の基準値と前記第2の基準値とで規定される範囲内にない場合に、前記ユーザに対して、そのことを通知する、ステップと、
を更に有する、付記6〜8のいずれかに記載の栽培異常監視方法。
【0097】
(付記10)
前記(d)のステップにおいて、前記属性値格納部に新たな前記属性値が格納された場合に、前記平均値と前記標準偏差とを計算し、そして、前記第1の基準値と前記第2の基準値とを計算する、
付記9に記載の栽培異常監視方法。
【0098】
(付記11)
コンピュータによって、農作物の栽培時に発生する異常を監視するためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)農産物に関する特定の属性について設定された最小値及び最大値を格納する、ステップと、
(b)ユーザが入力した前記特定の属性の属性値を格納する、ステップと、
(c)前記属性値が、前記最小値と前記最大値とで規定される範囲内にあるかどうかを判定し、前記属性値が前記範囲内にない場合に、前記ユーザに対して、そのことを通知する、ステップと、
を実行させるプログラム。
【0099】
(付記12)
前記(c)のステップにおいて、前記許容値格納部に新たな前記最小値及び前記最大値が格納された場合、又は前記属性値格納部に新たな前記属性値が格納された場合に、前記属性値が、前記最小値と前記最大値とで規定される範囲内にあるかどうかを判定する、
付記11に記載のプログラム。
【0100】
(付記13)
前記(a)のステップにおいて、複数の属性それぞれ毎に、前記最小値及び前記最大値を格納し、
前記(b)のステップにおいて、前記ユーザが入力した複数属性の属性値を格納し、
前記(c)のステップにおいて、複数の属性それぞれ毎に、前記最小値と前記最大値とで規定される範囲内にあるかどうかを判定する、
付記11または12に記載のプログラム。
【0101】
(付記14)
(d)前記(b)のステップにおいて、産地が同一の複数のユーザそれぞれ毎に、当該ユーザが入力した前記属性値を格納している場合に、
前記複数のユーザそれぞれ毎の前記属性値を用いて、これらの平均値と標準偏差とを計算し、そして、前記平均値と前記標準偏差
の2倍との差
を第1の基準値
として計算し、更に、前記平均値と前記標準偏差
の2倍との和
を第2の基準値
として計算する、ステップと、(
e)前記属性値が、前記第1の基準値と前記第2の基準値とで規定される範囲内にあるかどうかを判定し、前記属性値が、前記第1の基準値と前記第2の基準値とで規定される範囲内にない場合に、前記ユーザに対して、そのことを通知する、ステップと、
を更に前記コンピュータに実行させる、付記11〜13のいずれかに記載のプログラム。
【0102】
(付記15)
前記(d)のステップにおいて、前記属性値格納部に新たな前記属性値が格納された場合に、前記平均値と前記標準偏差とを計算し、そして、前記第1の基準値と前記第2の基準値とを計算する、
付記14に記載のプログラム。