(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6376608
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】自動洗浄ユニットの改装方法および改装器具
(51)【国際特許分類】
E03D 5/10 20060101AFI20180813BHJP
E03D 13/00 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
E03D5/10
E03D13/00
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-23819(P2016-23819)
(22)【出願日】2016年2月10日
(65)【公開番号】特開2017-141600(P2017-141600A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2017年9月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】396017796
【氏名又は名称】株式会社ミナミサワ
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】南澤 宏一
(72)【発明者】
【氏名】南澤 俊文
【審査官】
舟木 淳
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−228997(JP,A)
【文献】
特開2001−329584(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0155934(US,A1)
【文献】
FM6TWA(100V用)改装手順書,日本,株式会社ミナミサワ,2016年 3月 7日,p.1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00−7/00、11/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者を感知して便器の自動洗浄を行うユニットを、壁内にセンサおよびバルブが配設される壁埋め込み型ユニットから、壁外で且つ便器の上方位置にセンサおよびバルブが配設される外部型ユニットに改装する改装方法であって、
前記壁埋め込み型ユニットのセンサ窓を有する前面プレートを取り外す工程と、
前記壁埋め込み型ユニットのセンサに接続された電源配線を取り外す工程と、
前記壁埋め込み型ユニットの主流路に設けられて通水・止水を行うピストンバルブを取り外す工程と、
前記壁埋め込み型ユニットの前記ピストンバルブに作用する圧力を変化させて該ピストンバルブを動作させる副流路および該副流路を開閉する電磁弁をそれぞれ取り外す工程と、
前記主流路のピストンバルブを取り外した箇所、並びに前記副流路を取り外した箇所に対してそれぞれ封水部材を取り付けて、前記主流路を開閉機能を有しない単純流路化を行う工程と、
前記電源配線からアダプタを介してもしくは直接引き出される配線を、後方板の孔状もしくは切欠き状の第1配線通過部を通過させて壁内から壁外へ引き出す工程と、
前記後方板を、前記壁埋め込み型ユニットの壁面に配設される枠部材の内周における左右もしくは上下の両側部分に対して壁内から壁外に向かう方向に接するように配設する工程と、
前記配線を前方板の切欠き状の第2配線通過部を通過させながら、該前方板を前記枠部材に嵌合させる工程と、
前記前方板と前記後方板とを固定用ネジで固定する工程と、
前記壁埋め込み型ユニットの前記主流路よりも下流側であって、前記便器の上方位置に設けられた洗浄管を取り外す工程と、
前記洗浄管が接続されていた上流側配管に、前記外部型ユニットの取水部を接続すると共に、前記洗浄管が接続されていた下流側配管に、前記外部型ユニットの送水部を接続する工程と、
前記配線を前記外部型ユニットの駆動制御部に接続する工程と、を備えること
を特徴とする改装方法。
【請求項2】
使用者を感知して便器の自動洗浄を行うユニットを、壁内にセンサおよびバルブが配設される壁埋め込み型ユニットから、壁外で且つ便器の上方位置にセンサおよびバルブが配設される外部型ユニットに改装する改装器具であって、
壁面に配設される前記壁埋め込み型ユニットの枠部材の内周における左右もしくは上下の両側部分に対して壁内から壁外に向かう方向に接して抜け止めとなる後方板と、
前記枠部材の開口部の全面を覆う前方板と、を備え、
前記後方板は固定用ネジを螺合させるネジ孔と、配線を通過させる孔状もしくは切欠き状の第1配線通過部と、を有し、
前記前方板は前記固定用ネジを挿通させる貫通孔と、前記配線を通過させる切欠き状の第2配線通過部と、を有し、
前記貫通孔に挿通させた前記固定用ネジを前記ネジ孔に螺合させた状態で、前記前方板と前記後方板とが、前記枠部材に対して固定されること
を特徴とする改装器具。
【請求項3】
前記後方板は、両端部が前記枠部材を固定するネジを挿通させる孔が形成された枠部分に接する長方形状であって、且つ、該両端部における一方の長辺側において、前記孔に対応する位置に形成された切欠き部を有すること
を特徴とする請求項2記載の改装器具。
【請求項4】
前記配線に被嵌され、且つ、前記後方板に固定される配線ケースをさらに備えること
を特徴とする請求項2または請求項3記載の改装器具。
【請求項5】
前記配線ケースは、相対的に直径の大きい大径部と、相対的に直径の小さい小径部とが、長手方向に交互に連なる形状を有しており、前記後方板に端部が挿通されて該後方板を挟む前後位置の前記小径部に止め輪が嵌合された状態で該後方板に固定されていること
を特徴とする請求項4記載の改装器具。
【請求項6】
前記前方板は、前記第2配線通過部の幅が前記配線ケースの前記大径部の直径より小さく、且つ、前記小径部の直径より大きい寸法を有しており、該第2配線通過部が該小径部に嵌合された状態で該配線ケースが固定されていること
を特徴とする請求項5記載の改装器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者を感知して便器の自動洗浄を行うユニットを、壁内にセンサおよびバルブが配設される壁埋め込み型ユニットから、壁外で且つ便器の上方位置にセンサおよびバルブが配設される外部型ユニットに改装する改装方法および改装器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、
図1、
図2に例示されるような、壁内にセンサおよびバルブが配設される壁埋め込み型ユニットを用いて男性用の小便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置が実用化されている。
【0003】
その後、便器メーカーの技術改良によって、特許文献1、2に開示されるような、小便器に直接、センサが埋設される構造のものも登場している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−031825号公報
【特許文献2】特開2008−248549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、既に旧式の部類に属する
図1、
図2に例示の自動洗浄装置においては、経年によって、センサの故障が少なからず発生するようになってきた一方で、センサの製造・提供が終了するという問題に直面している。すなわち、センサの故障時に、現状復帰が不可能(もしくは困難)となるために、自動洗浄機能を維持することができず、小便器自体を特許文献1、2に例示される構成のものに交換しなければならない等、大規模な改修と多大な経費が発生する課題が生じることとなる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、壁内にセンサおよびバルブが配設される壁埋め込み型ユニットを用いる自動洗浄装置のセンサが故障等した場合に、大規模な改修と多大な経費の発生を抑制することが可能となるように、壁外で且つ便器の上方位置にセンサおよびバルブが配設される外部型ユニットに改装する改装方法および改装器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態として、以下に開示するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0008】
開示の改装方法は、使用者を感知して便器の自動洗浄を行うユニットを、壁内にセンサおよびバルブが配設される壁埋め込み型ユニットから、壁外で且つ便器の上方位置にセンサおよびバルブが配設される外部型ユニットに改装する改装方法であって、前記壁埋め込み型ユニットのセンサ窓を有する前面プレートを取り外す工程と、前記壁埋め込み型ユニットのセンサに接続された電源配線を取り外す工程と、前記壁埋め込み型ユニットの主流路に設けられて通水・止水を行うピストンバルブを取り外す工程と、前記壁埋め込み型ユニットの前記ピストンバルブに作用する圧力を変化させて該ピストンバルブを動作させる副流路および該副流路を開閉する電磁弁をそれぞれ取り外す工程と、前記主流路のピストンバルブを取り外した箇所、並びに前記副流路を取り外した箇所に対してそれぞれ封水部材を取り付けて、前記主流路を開閉機能を有しない単純流路化を行う工程と、前記電源配線からアダプタを介してもしくは直接引き出される配線を、後方板の孔状もしくは切欠き状の第1配線通過部を通過させて壁内から壁外へ引き出す工程と、前記後方板を、前記壁埋め込み型ユニットの壁面に配設される枠部材の内周における左右もしくは上下の両側部分に対して壁内から壁外に向かう方向に接するように配設する工程と、前記配線を前方板の切欠き状の第2配線通過部を通過させながら、該前方板を前記枠部材に嵌合させる工程と、前記前方板と前記後方板とを固定用ネジで固定する工程と、前記壁埋め込み型ユニットの前記主流路よりも下流側であって、前記便器の上方位置に設けられた洗浄管を取り外す工程と、前記洗浄管が接続されていた上流側配管に、前記外部型ユニットの取水部を接続すると共に、前記洗浄管が接続されていた下流側配管に、前記外部型ユニットの送水部を接続する工程と、前記配線を前記外部型ユニットの駆動制御部に接続する工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
開示の改装方法によれば、男性用小便器に例示される便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置において、壁内にセンサおよびバルブが配設される壁埋め込み型ユニットを、壁外で且つ便器の上方位置にセンサおよびバルブが配設される外部型ユニットに改装することが可能となる。したがって、壁内のセンサの故障時等において、便器自体を取り換えなければならないような大規模な改修と多大な経費の発生を抑制することが可能となり、簡易に、且つ、低コストで自動洗浄機能を有する自動洗浄装置を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】従来の実施形態に係る壁埋め込み型ユニットを備える自動洗浄装置の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図2】
図1に示す自動洗浄装置の構成例を説明する説明図(側面方向の図)である。
【
図3】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視方向の図)である。
【
図4】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視方向の図)である。
【
図5】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(正面方向の図)である。
【
図6】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(正面方向の図)である。
【
図7】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(正面方向の図)である。
【
図8】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視方向の図)である。
【
図9】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(正面方向の図)である。
【
図10】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視方向の図)である。
【
図11】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視方向の図)である。
【
図12】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視方向の図)である。
【
図13】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(上方寄り斜視方向の図)である。
【
図14】本発明の実施形態に係る外部型ユニットを備える自動洗浄装置の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図15】
図14に示す自動洗浄装置の構成例を説明する説明図(側面方向の図)である。
【
図16】
図14に示す自動洗浄装置の後方板と配線ケースとの固定構造の例を説明する説明図(側面方向の図)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0012】
初めに、男性用小便器に例示される便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置において、壁内にセンサおよびバルブが配設される壁埋め込み型ユニットから、壁外で且つ便器の上方位置にセンサおよびバルブが配設される外部型ユニットに改装する改装方法について説明する。
【0013】
前述の通り、
図1、
図2が従来の自動洗浄装置2(2A)の例示であって、使用者を感知するセンサおよびその感知に基づく信号によって開閉動作がなされるバルブが壁内に配設された壁埋め込み型ユニット3を備える構成である。
【0014】
先ず、
図3に示すように、従来の自動洗浄装置2(2A)から、壁埋め込み型ユニット3のセンサ窓を有する前面プレート12を取り外す工程を実施する(ステップS1)。この前面プレート12は、金属製であって中央にセンサ窓14を有し、当該センサ窓14の裏面(壁内側)に使用者を感知するためのセンサ16が設置されている。なお、前面プレート12は、通常、壁面WLに固定されている枠部材18に対して、マグネット22を用いて固定されている。
【0015】
次に、同
図3に示すように、壁埋め込み型ユニット3のセンサ16に接続された制御配線24、および電源配線26を取り外す工程を実施する(ステップS2)。これによって、壁埋め込み型ユニット3から、前面プレート12およびセンサ16を縁切りして取り外すことが可能となる。なお、通常、電源配線26には商用電源(AC100V)が供給される。
【0016】
次に、
図4に示すように、壁埋め込み型ユニット3の主流路28の止水栓30を閉め噴水防止措置を取った後、当該主流路28に設けられて通水・止水を行うバルブ(ピストンバルブ32)を取り外す工程を実施する(ステップS3)。ここで、主流路28は
図2に示す給水管34に連通して当該給水管34から取水し、排水管36に連通して当該排水管36に送水する作用をなす流路である。したがって、ピストンバルブ32によって主流路28を開閉することで、給水管34から排水管36を介して便器1へ通流させる洗浄水の通水・止水作用が得られる。
【0017】
次に、
図5に示すように、壁埋め込み型ユニット3のピストンバルブ32に作用する圧力を変化させて当該ピストンバルブ32を動作させる副流路38および当該副流路38を開閉する電磁弁42をそれぞれ取り外す工程を実施する(ステップS4)。
【0018】
次に、
図6に示すように、主流路28のピストンバルブ32を取り外した箇所、並びに副流路38を取り外した箇所に対してそれぞれ封水部材44、46、48を取り付けて開口を塞ぐことにより、主流路28を開閉機能を有しない単純流路化を行う工程を実施する(ステップS5)。したがって、給水管34と排水管36とが、間に開閉機構を有しない単純な流路(配管)としての主流路28で接続された状態となる。
【0019】
次に、
図7に示すように、電源配線26からアダプタ52を介して電源供給を行う配線54を引き出す工程を実施する(ステップS6)。本実施形態においては、アダプタ52を用いて電圧の降圧を行っている。なお、変形例として電源配線26を直接引き出す工程としてもよい(不図示)。
【0020】
このとき、
図8に示すように、配線54は、後方板56の孔状の第1配線通過部62を通過させて壁内から壁外へ引き出す工程を実施する(ステップS7)。なお、変形例として第1配線通過部は切欠き状の構成としてもよい(不図示)。
【0021】
ここで、本実施形態においては、後方板56に固定される配線ケース64を配線54に被嵌させて、当該配線ケース64の内部に配線54が収納された構成となっている。なお、配線ケース64は、樹脂材料を用いて形成された可撓性を有する筒状の部材であって、設置場所に応じて曲げ変形が可能となっている。
【0022】
次に、同
図8に示すように、後方板56を、枠部材18の内周における左右の両側部分に対して壁内から壁外に向かう方向(矢印Aで動作を示す)に接するように配設する工程を実施する(ステップS8)。ここで、当該後方板56の配設工程が完了した状態を
図9に示す。なお、変形例として後方板56の接する位置を、左右の両側部分に代えて、上下の両側部分としてもよい(不図示)。
【0023】
次に、
図10に示すように、アダプタ52を枠部材18の内方(すなわちケース部材10内)に収納した後、後方板56に固定された配線ケース64を手前側に(壁内から壁外方向に)引いて、後方板56が枠部材18の内周の所定位置に接した状態を維持する。その状態のまま、配線54(ここでは、配線54が収納された配線ケース64)を前方板66の切欠き状の第2配線通過部72を通過させながら、当該前方板66を枠部材18に嵌合させる工程を実施する(ステップS9)。
【0024】
次に、
図11に示すように、前方板66と後方板56とを固定用ネジ74で固定する工程を実施する(ステップS10)。これによって、前方板66と後方板56とが、枠部材18に対して固定された状態とすることができる。
【0025】
次に、
図12に示すように、壁埋め込み型ユニット3の主流路28よりも下流側であって、便器1の上方位置に設けられた洗浄管76(
図1、
図2参照)を取り外す工程を実施する(ステップS11)。
【0026】
次に、
図13に示すように、洗浄管76を取り外した箇所に、使用者を感知するセンサおよびその感知に基づく信号によって洗浄水の流路の開閉動作がなされるバルブ(いずれも不図示)が内蔵された外部型ユニット5を取り付ける工程を実施する(ステップS12)。より具体的には洗浄管76が接続されていた上流側配管82に、外部型ユニット5の取水部84を接続すると共に、洗浄管76が接続されていた下流側配管86に、外部型ユニット5の送水部88を接続する(ここでは、延長用配管90を用いている)。一例として、外部型ユニット5の内部の流路・バルブ構造、センサ機構等に関しては、特開平10−054064号公報、特開平11−210046号公報等に開示された構成を採用することができる。
【0027】
なお、ステップS11およびその後のステップS12の実施順はステップS10の直後に限定されるものではなく、例えば、ステップS3〜ステップS10の間のタイミングで実施する等の順序としてもよい。
【0028】
次に、同
図13に示すように、外部型ユニット5のキャップ92を外して、当該外部型ユニット5の駆動制御部94に配線54を接続する工程を実施する(ステップS13)。なお、配線54がキャップ92を通過できるように、孔もしくは切欠きを当該キャップ92に設ける構成が好適である(不図示)。
【0029】
以上の工程を経て、便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置に関して、壁内にセンサおよびバルブが配設される壁埋め込み型ユニット3を備える自動洗浄装置2(
図1、
図2に示す2A)を、壁外で且つ便器1の上方位置にセンサおよびバルブが配設される外部型ユニット5を備える自動洗浄装置2(
図14、
図15に示す2B)に改装することが可能となる。
【0030】
その際に、壁埋め込み型ユニット3における枠部材18、主流路28、給水管34、排水管36等をそのまま流用できるため、便器の交換や、壁を取り壊しての機器・配管類の交換・新設が必要なく、改修作業を簡素にすることができると共に、改修コストを大幅に低減することができる。
【0031】
改装された外部型ユニット5を備える自動洗浄装置2(2B)によって、壁埋め込み型ユニット3を備える自動洗浄装置2(2A)と何ら遜色なく便器1の自動洗浄を行うことが可能となる。むしろ、故障時には修繕のし易さにおいて優位性を有するものとなる。
【0032】
続いて、上記の改装方法に用いる改装器具100について詳しく説明する。
【0033】
本実施形態に係る改装器具100は、
図10に示すように、枠部材18の内周における所定位置(一例として左右の両側部分)に対して壁内から壁外に向かう方向に接して抜け止めとなる細長形状の後方板56と、枠部材18の開口部の全面を覆う大きさの前方板66と、後方板56に挿通される配線54に被嵌されるものであって当該後方板56に固定される配線ケース64と、を備えて構成される。一例として、後方板56および前方板66は、いずれも金属材料を用いて形成された板状の部材である。一方、配線ケース64は、樹脂材料を用いて形成された可撓性を有する筒状の部材である。なお、一体構造の筒状であってもよく、あるいは、複数部品を組み合わせた構造の筒状であってもよい。
【0034】
先ず、前方板66は、固定用ネジ74を挿通させる(螺合させるためのネジ山は有しない)貫通孔68と、配線54を通過させる切欠き状の第2配線通過部72とが設けられている。なお、従来の前面プレート12と相違して、前方板66にはセンサ窓は設けられていない。
【0035】
次に、後方板56は、固定用ネジ74を螺合させるネジ山を内周面に有するネジ孔58と、配線54を通過させる孔状の第1配線通過部62とが設けられている。
【0036】
さらに、
図8に示すように、後方板56は、両端部56aが枠部材18を壁内のケース部材10に固定するネジ102を挿通させる孔20が形成された枠部分18aに接する略長方形状で、且つ、両端部56aにおける一方の長辺56b側において、孔20を塞がないように回避する切欠き部60が設けられている。
【0037】
貫通孔68に挿通させた固定用ネジ74をネジ孔58に螺合させる構成により、前方板66と後方板56とが枠部材18に固定された構成が実現される。
【0038】
次に、配線ケース64は、側面方向から視た
図16に示すように、相対的に直径(外径)の大きい大径部64aと、相対的に直径(外径)の小さい小径部64bとが、長手方向に交互に連なって全体として筒状となる形状を有している。すなわち、“蛇腹状”に属する形状であって、可撓性を有するため、所要の形状に曲げて配設することが可能となっている。
【0039】
また、配線ケース64は、後方板56を挟む前位置の小径部64bと後位置の64bとにそれぞれ止め輪104、106が嵌合された状態で後方板56に対して前後方向(長手方向)に移動不能に固定されている。したがって、便器の使用者が配線ケース64に手を掛けて引いた場合でも、配線ケース64の移動が防止できると共に、配線54の破断が防止できる。
【0040】
なお、前方板66に関して、第2配線通過部72の幅(左右方向の幅)を配線ケース64の大径部64aの直径より小さく、且つ、小径部64bの直径より大きい寸法に設定することが好適である。これによれば、前方板66の第2配線通過部72を配線ケース64の小径部64bに嵌合させた状態で前方板66と配線ケース64とを固定することができため、配線ケース64の移動防止および配線54の破断防止をより一層、強固に行うことができる。
【0041】
上記の改装器具100を用いることによって、便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置に関して、壁内にセンサおよびバルブが配設される壁埋め込み型ユニット3を備える自動洗浄装置2(
図1、
図2に示す2A)を、壁外で且つ便器1の上方位置にセンサおよびバルブが配設される外部型ユニット5を備える自動洗浄装置2(
図14、
図15に示す2B)に改装することが可能となる。
【0042】
その際に、壁埋め込み型ユニット3における枠部材18、主流路28、給水管34、排水管36等をそのまま流用できるため、便器の交換や、壁を取り壊しての機器・配管類の交換・新設が必要なく、改修作業を簡素にすることができると共に、改修コストを大幅に低減することができる。
【0043】
改装された外部型ユニット5を備える自動洗浄装置2(2B)によって、壁埋め込み型ユニット3を備える自動洗浄装置2(2A)と何ら遜色なく便器1の自動洗浄を行うことが可能となる。むしろ、故障時には修繕のし易さにおいて優位性を有するものとなる。
【0044】
以上説明した通り、開示の改装方法、および開示の改装器具によれば、男性用小便器に例示される便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置において、壁内にセンサおよびバルブが配設される壁埋め込み型ユニットを、壁外で且つ便器の上方位置にセンサおよびバルブが配設される外部型ユニットに改装することが可能となる。したがって、壁内のセンサの故障時等において、便器自体を取り換えたり、壁内の配管類を変更・新設しなければならないような大規模な改修と多大な経費の発生を抑制することが可能となり、簡易に、且つ、低コストで自動洗浄機能を有する自動洗浄装置を実現(改装)することが可能となる。
【0045】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0046】
1 便器
2、2A、2B 自動洗浄装置
3 壁埋め込み型ユニット
5 外部型ユニット
10 ケース部材
12 前面プレート
16 センサ
18 枠部材
26 電源配線
28 主流路
32 ピストンバルブ
34 給水管
36 排水管
38 副流路
42 電磁弁
44、46、48 封水部材
52 アダプタ
54 配線
56 後方板
58 ネジ孔
60 切欠き部
62 第1配線通過部
64 配線ケース
64a 大径部
64b 小径部
66 前方板
68 貫通孔
72 第2配線通過部
74 固定用ネジ
76 洗浄管
82 上流側配管
84 取水部
86 下流側配管
88 送水部
94 駆動制御部
100 改装器具
104、106 止め輪
WL 壁面