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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6376635
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】紙折装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/16 20060101AFI20180813BHJP
   B65H 9/00 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   B65H45/16
   B65H9/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-525635(P2018-525635)
(86)(22)【出願日】2017年4月25日
(86)【国際出願番号】JP2017016340
【審査請求日】2018年5月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000113403
【氏名又は名称】ホリゾン・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田渕 秀明
(72)【発明者】
【氏名】山本 宏生
(72)【発明者】
【氏名】脇本 茂
(72)【発明者】
【氏名】中村 至一
【審査官】 冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−121686(JP,A)
【文献】 特開2003−66661(JP,A)
【文献】 特開2012−171737(JP,A)
【文献】 特開2012−171785(JP,A)
【文献】 特開平10−35999(JP,A)
【文献】 特開2003−81529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H9/00−9/20、45/00−45/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を折り畳む紙折ユニットと、
用紙のスキューを補正しながら、用紙を前記紙折ユニットへ前記紙折ユニットの折り方向に直角な供給方向に供給する搬送ユニットと、を備え、
前記搬送ユニットは、
長尺状の基準ガイドと、
前記基準ガイドに向かう力を用紙に作用させながら用紙を前記供給方向に搬送する搬送機構と、
前記基準ガイドを揺動させて前記基準ガイドの前記供給方向に対する傾きを調整する調整機構と、を備え、
用紙のスキューが、前記基準ガイドおよび前記搬送機構によって補正される紙折装置であって、
前記紙折ユニットによって折り畳まれた用紙の折りずれ量をユーザが入力するための入力ユニットと、
前記基準ガイドを前記供給方向と一直線にするために必要な補正量を演算し、かつ、前記調整機構を制御する制御ユニットと、をさらに備え、
前記制御ユニットは、前記補正量を、用紙の長さ、用紙の幅、前記紙折ユニットの折り長さ、および、前記入力ユニットを通じて入力された前記折りずれ量から演算し、
前記調整機構は、前記基準ガイドを演算された前記補正量で揺動させることによって前記基準ガイドの前記供給方向に対する傾きを補正する、
ことを特徴とする紙折装置。
【請求項2】
前記入力ユニットは、さらに、用紙の折りパターンをユーザが入力するためのものでもある、
ことを特徴とする請求項1に記載の紙折装置。
【請求項3】
前記入力ユニットは、さらに、用紙の前記長さおよび前記幅を入力するためのものでもある、ことを特徴とする請求項1に記載の紙折装置。
【請求項4】
前記紙折ユニットは、用紙を前記折り方向に一回折り畳む複数の折り機構を備え
前記折り長さは、最初に用紙を折り畳む前記折り機構の折り長さであり、
前記折りずれ量は、最初に用紙を折り畳む前記折り機構によって折り畳まれた用紙の折りずれ量である、ことを特徴とする請求項に記載の紙折装置。
【請求項5】
前記基準ガイドは、上下方向にのびるピンの周りに揺動自在に設けられており、
前記調整機構は、前記基準ガイドを前記ピンの周りに揺動させて前記基準ガイドの前記傾きを調整する、ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の紙折装置。
【請求項6】
前記紙折ユニットは、バックル折り機である、ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の紙折装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙のスキューを補正し、それから用紙を折り畳む紙折装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の紙折装置は、特許文献1等に開示の通り広く知られている。紙折装置には、例えば、用紙を所定の折り方向に折り畳む紙折ユニットと、紙折ユニットの前段に配置され、用紙のスキューを補正しながら、用紙を紙折ユニットへ前記折り方向に直角な供給方向に供給する搬送ユニットとを備えたものがある。
【0003】
搬送ユニットは、供給方向にのびる長尺状の基準ガイド(定規とも呼ばれる)と、基準ガイドの隣に配置され、用紙を基準ガイドに向かって供給方向に対して斜めに搬送する搬送機構とを備える。
【0004】
用紙が搬送機構によって搬送されると、まず用紙の一側縁の端が基準ガイドに当接する。用紙が搬送機構によってさらに搬送されると、用紙の一側縁はその全長にわたって基準ガイドに当接する。それによって、用紙のスキューが供給方向に対して補正される。そして、用紙は、そのスキューが補正された状態で紙折ユニットへ送られて、紙折ユニットによって折り畳まれ、排出される。
【0005】
基準ガイドは、供給方向に平行に、即ち折り方向に直角にのびるように配置されなければならない。基準ガイドが供給方向に対して傾いていると、用紙のスキューは供給方向に対して正しく補正されない。その結果、用紙は、ずれて折り畳まれる(図12C参照)。
【0006】
これを防止するために、搬送ユニットは、基準ガイドの傾きを調整するための調整機構を備える。ユーザは、紙折装置に用紙を試し折りさせ、折り畳まれた用紙のずれを確認する。そして、ユーザは、操作手段(例えばスイッチ、ダイヤル等)によって調整機構を操作し、それによって、基準ガイドの供給方向に対する傾きを補正し、基準ガイドが供給方向と一直線になるようにしていた。
【0007】
しかしながら、折り畳まれた用紙のずれを目で確認して、基準ガイドの傾きの補正に必要な補正量を直ちに割り出すことは難しい。実際、ユーザは、傾きを正確に補正するために、用紙の試し折りおよび調整機構の操作を何度も繰り返さなければならなかった。しかしながら、これは、負担が大きく、非常に時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−261726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、基準ガイドの傾きを容易に補正することができる紙折装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る紙折装置は、用紙を折り畳む紙折ユニットと、用紙のスキューを補正しながら、用紙を前記紙折ユニットへ前記紙折ユニットの折り方向に直角な供給方向に供給する搬送ユニットと、を備える。
前記搬送ユニットは、長尺状の基準ガイドと、前記基準ガイドに向かう力を用紙に作用させながら用紙を前記供給方向に搬送する搬送機構と、前記基準ガイドを揺動させて前記基準ガイドの前記供給方向に対する傾きを調整する調整機構と、を備える。用紙のスキューは、前記基準ガイドおよび前記搬送機構によって補正される。
紙折装置は、前記紙折ユニットによって折り畳まれた用紙の折りずれ量をユーザが入力するための入力ユニットと、前記基準ガイドを前記供給方向と一直線にするために必要な補正量を演算し、かつ、前記調整機構を制御する制御ユニットと、をさらに備える。前記制御ユニットは、前記補正量を、用紙の長さ、用紙の幅、前記紙折ユニットの折り長さ、および、前記入力ユニットを通じて入力された前記折りずれ量から演算する。前記調整機構は、前記基準ガイドを演算された前記補正量で揺動させることにより前記基準ガイドの前記供給方向に対する傾きを補正する。
【0011】
好ましくは、前記入力ユニットは、さらに、用紙の折りパターンをユーザが入力するためのものでもある。
【0012】
好ましくは、前記入力ユニットは、さらに、用紙の前記長さおよび前記幅を入力するためのものでもある。
【0014】
好ましくは、前記紙折ユニットは、用紙を前記折り方向に一回折り畳む複数の折り機構を備え、前記折り長さは、最初に用紙を折り畳む前記折り機構の折り長さであり、前記折りずれ量は、最初に用紙を折り畳む前記折り機構によって折り畳まれた用紙の折りずれ量である。
【0015】
好ましくは、前記基準ガイドは、上下方向にのびるピンの周りに揺動自在に設けられており、前記調整機構は、前記基準ガイドを前記ピンの周りに揺動させて前記基準ガイドの前記傾きを調整する。
【0016】
前記紙折ユニットは、バックル折り機でよい。
【発明の効果】
【0017】
ユーザは、折り畳まれた用紙の折りずれ量を、入力ユニットを通じて入力することで、基準ガイドの供給方向に対する傾きを補正することができる。即ち、基準ガイドの傾きを、簡単な入力によって容易に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る紙折装置を概略的に示す側面図である。
図2図1の紙折装置の搬送ユニットを示す平面図である。
図3図2の搬送ユニットを部分的に示す斜視図である。
図4】用紙のスキューの補正を説明するための平面図である。
図5図2の搬送ユニットの調整機構を示す斜視図である。
図6図5の調整機構の縦断面図である。
図7図1の紙折装置を部分的に示すブロック図である。
図8】入力ユニットの表示画面の例を示す。
図9】入力ユニットの表示画面の例を示す。
図10】入力ユニットの表示画面の例を示す。
図11】入力ユニットの表示画面の例を示す。
図12】基準ガイドの傾きの補正を説明するための説明図である。
図13】基準ガイドの傾きの補正を説明するための説明図である。
図14】用紙の折りずれ量を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照して、本発明に係る紙折装置の一実施形態について説明する。
【0020】
図1の通り、紙折装置は、給紙ユニット1、搬送ユニット2、及び、紙折ユニット3を備えており、紙折ユニット3は、給紙ユニット1および搬送ユニット2によって供給された用紙Sを、所定の折り方向に折り畳み排出する。
【0021】
給紙ユニット1は、用紙スタックTから用紙Sを搬送ユニット2へ供給する。給紙ユニット1は、フレーム20に昇降可能に設けられた載置棚10と、フレーム20に支持され、載置棚10の前端上方に配置されたバキュームロータ11とを備える。給紙ユニット1は、載置棚10に置かれた用紙スタックTの最上位の用紙Sをバキュームロータ11によって吸引して、用紙Sを一枚ずつ搬送ユニット2へ供給する。
【0022】
搬送ユニット2は、給紙ユニット1の後段にかつ紙折ユニット3の前段に配置されている。搬送ユニット2は、給紙ユニット1から供給された用紙Sを受け取り、用紙Sのスキューを補正しながら、用紙Sを供給方向Yに紙折ユニット3へ供給する。搬送ユニット2の供給方向Yは、紙折ユニット3の折り方向に直角である。即ち、搬送ユニット2は、用紙Sを、紙折ユニット3へ、折り方向に直角な方向に供給する。図1では、搬送ユニット2の構成は簡略化されている。
【0023】
図2図3の通り、搬送ユニット2は、用紙Sの搬送路Gを有するフレーム20(図1)と、搬送路Gの一側に設けられ、供給方向Yにのびる長尺状の基準ガイド21とを備える。さらに、搬送ユニット2は、基準ガイド21に並んで搬送路Gの下側に配置され、基準ガイド21に向かう力を用紙Sに作用させながら用紙Sを搬送路G上で供給方向Yに搬送する搬送機構22を備える。また、搬送ユニット2は、搬送機構22に並んで搬送路Gの下側に配置され、搬送機構22によって搬送されている用紙Sの下面の大部分を支持する支持台23を備える。
【0024】
搬送機構22は、実施形態では、供給方向Yの上流側から基準ガイド21に向かって供給方向Yに対して斜めにのびる搬送コンベヤである。より具体的には、搬送コンベヤは、吸着搬送コンベヤであり、用紙Sの下面をその搬送ベルトに吸着しながら搬送する。搬送コンベヤが駆動されると、その搬送力が、用紙Sに対して、供給方向Y及び基準ガイド21に向かう方向の双方に作用する。
【0025】
図2図4の通り、用紙Sは、搬送ユニット2へ供給されると、搬送機構22によって基準ガイド21に向かって供給方向Yに対して斜めに搬送される。すると、用紙Sの一側縁Sa(図4)の一方の端が基準ガイド21に当接する。それから、用紙Sは、供給方向Yにさらに搬送され、当該搬送の間に、搬送機構22によって生じる基準ガイド21に向かう力により、一側縁Saがその全長にわたって基準ガイド21に当接する。このようにして、用紙Sのスキューが、基準ガイド21および搬送ユニット22によって供給方向Yに対して補正される。そして、用紙Sは、スキューが補正された状態で紙折ユニット3へ搬送される。
【0026】
図1の通り、紙折ユニット3は、搬送ユニット2の後段に配置されている。紙折ユニット3は、搬送ユニット2から供給された用紙Sを受け取り、用紙Sを少なくとも1回折り方向(供給方向Yに直角)に折り畳む。
【0027】
紙折ユニット3は、用紙Sの搬送路を有する。紙折ユニット3は、当該搬送路に沿って配置された複数の折り機構を備え、各折り機構は、用紙Sを折り方向に一回折り畳み、その次の折り機構に送る。実施形態では、4つの折り機構が設けられている。
【0028】
より具体的には、紙折ユニット3は、バックル折り機である。各折り機構は、用紙Sが導入されるバックル30a‐30dと、バックル30a‐30dに配置されたストッパ31a‐31dと、を備える。バックル30a‐30dは、搬送路に沿って上段と下段とに交互に配置されている。バックル30a‐30dに導入された用紙Sの先端が、ストッパ31a‐31dに当接することによって、用紙Sは、予め定められた位置に位置決めされる。ストッパ31a‐31dのバックル30a‐30dに対する位置は、用紙の折りパターン(2つ折り、3つ折り等)や、折り畳まれる用紙のサイズに応じて、適切な機構によって自動的に調整される。
【0029】
各折り機構は、バックル30a‐30dの入口近傍に配置され、用紙Sをバックル30a‐30dに取り込むために回転駆動される一対の取込ローラ32a、32b;32b、32c;32c、32d;32d、32eを備える。各折り機構は、バックル30a‐30dに導入された用紙Sのうち当該バックル30a‐30dの外にはみ出した部分を折り畳むために回転駆動される一対の排出ローラ32b、32c;32c、32d;32d、32e;32e、32fを備える。図1から明らかな通り、前のバックルの排出ローラが、同時に次のバックルの取込ローラとして機能する。
【0030】
用紙Sは、バックル30a‐30dに順次導入されて、交互に山折りおよび谷折りされる。搬送ユニット2から供給された用紙Sが一対のローラ32a、32bの間に引き込まれ、用紙Sの先端がバックル30a内に導入される。用紙Sの先端がストッパ31aに当接すると、用紙Sはバックル30aの入口近傍で撓む。当該撓み部分は、一対のローラ32b、32cの間に引き込まれ、用紙Sは一方側に折り畳まれる。
【0031】
折り畳まれた用紙Sは、同様にして、バックル30bと、一対のローラ32b、32cと、一対のローラ32c、32dとによって、前とは反対側に折り畳まれる。次いで、用紙Sは、バックル30cと、一対のローラ32c、32dと、一対のローラ32d、32eとによって、前とは反対側に折り畳まれ、それから、バックル30dと、一対のローラ32d、32eと、一対のローラ32e、32fとによって、前とは反対側に折り畳まれる。こうして、用紙Sは、蛇腹状に折り畳まれ、紙折ユニット3から排出される。
【0032】
各折り機構は、各バックル30a‐30dに対して設けられ、バックル30a‐30dの入口を開閉するゲートを備える。バックルの入口がゲートによって閉じられているとき、用紙Sはそのバックルによって折り畳まれることなく、その次のバックルへ送られる。したがって、折りパターンに合わせて、使用するバックル30a‐30dを、言い換えると折る回数を選択することができる。
【0033】
以上の構成により、紙折ユニット3は、様々な折りパターンで様々なサイズの用紙Sを折り畳むことができる。
【0034】
この紙折装置において、基準ガイド21が供給方向Yに対して傾いていると、用紙Sのスキューは、供給方向Yに対して正確に補正されない。その結果、図12Cのように、折り畳まれた用紙Sにずれが生じる。したがって、基準ガイド21は、供給方向Yに平行にのびて、供給方向Yと一直線でなければならない。言い換えると、基準ガイド21は、紙折ユニット3の折り方向に直角にのびなければならない。このために、本発明に係る紙折装置は、基準ガイド21の供給方向Yに対する傾きを補正する機能を有する。
【0035】
図3図5の通り、搬送ユニット2は、基準ガイド21の下流部分で基準ガイド21に差し込まれ、上下方向にのびるピン24を備える。基準ガイド21は、このピン24の周りに揺動自在にフレーム20に対して取り付けられている。搬送ユニット2は、基準ガイド21の上流部分の下方に配置され、基準ガイド21をピン24の周りに揺動させて基準ガイド21の供給方向Yに対する傾きを調整する調整機構4を備える。
【0036】
図5図6を参照して、調整機構4は、フレーム20に取り付けられたブラケット40(図6)と、ブラケット40に固定されて供給方向Yに直角にのびる調整ねじ41と、調整ねじ41に螺合するナット42と、ナット42を調整ねじ41に沿って移動させて基準ガイド21を揺動させるためのモータ43と、を備える。
【0037】
モータ43の駆動力をナット42へ伝達するために、調整機構4は、モータ43の出力軸に連結されたプーリー44と、プーリー44とナット42との間に掛け渡されたベルト45とを備える。
【0038】
基準ガイド21、ナット42およびモータ43は、連結体46によって連結されて、一体的に移動可能である。なお、基準ガイド21は、ブラケット40には取り付けられず、この上に載せられているだけである。
【0039】
基準ガイド21が基準位置にあることを検出するために、調整機構4は、調整ねじ41に取り付けられた検知体47と、ナット42に取り付けられて検知体47と対向し、検知体47までの距離を検出する原点センサ48と、を備える。
【0040】
モータ43が駆動されると、その駆動力は、ナット42に伝達され、ナット42を、調整ねじ41の周りに回転せしめる。調整ねじ41とナット42との螺合ゆえに、ナット42は、回転しながら調整ねじ41に沿って移動する。連結体46による連結ゆえに、基準ガイド21およびモータ43もナット42と一緒に移動する。上述の通り、基準ガイド21は、ピン24の周りに揺動自在である。したがって、ナット42が、調整ねじ41に沿って移動すると、基準ガイド21は、ピン24の周りに揺動され、その傾きが調整される。基準ガイド21の揺動方向は、モータ43の回転方向によって決まる。
【0041】
図1を参照して、紙折装置は、制御ユニット5および入力ユニット6をさらに備える。
【0042】
制御ユニット5は、例えば、プロセッサー、記憶媒体等で構成されている。制御ユニット5は、給紙ユニット1、搬送ユニット2、紙折ユニット3、および、入力ユニット6に電気的に接続されており、これらのユニット2、3、6を制御する。
【0043】
図7の通り、基準ガイド21の傾きの補正のために、制御ユニット5は、調整機構4(そのモータ43および原点センサ48)に電気的に接続されており、入力ユニット6を通じて入力された情報に基づいて調整機構4を制御する。また、制御ユニット5は、基準ガイド21を供給方向Yと一直線にするために必要な補正量を算出する演算部として機能する。
【0044】
入力ユニット6は、基準ガイド21の傾きの補正に必要な情報をユーザが入力するためものである。入力ユニット6は、例えばタッチスクリーンを備える。
【0045】
入力ユニット6は、折りパターンおよび用紙のサイズをユーザが入力するためのものである。言い換えると、入力ユニット6は、紙折ユニット3の使用される折り機構およびその折り機構の折り長さをユーザが入力するためのものである。例えば、ユーザは、タッチスクリーンのディスプレイに表示されたボタンを操作することによって、折りパターンおよび用紙のサイズを入力することができる。
【0046】
入力ユニット6は、さらに、紙折ユニット3によって折り畳まれた用紙Sの折りずれ量を入力するためのものでもある。例えば、ユーザは、ディスプレイに表示されたボタンを操作することによって、折りずれ量を入力することができる。
【0047】
入力ユニット6を通じて入力された折りパターン、用紙のサイズ、および、折りずれ量に基づいて、補正量が制御ユニット5によって演算され、基準ガイド21の傾きが、調整機構4によって補正される。以下でその詳細が記載される。
【0048】
実施形態では、折り長さは、使用される折り機構のうち最初に用紙Sを折り畳む折り機構(以下、最初の折り機構)の折り長さであり、折りずれ量は、最初の折り機構によって折り畳まれた用紙Sの折りずれ量である。折りパターンおよび用紙のサイズ(長さおよび幅)が、入力ユニット6を通じてユーザによって入力されることで、最初の折り機構の折り長さおよびそのバックルが上段か下段であるかについての情報が得られる。ここで、図13の通り、折り長さLは、折り畳み前の用紙Sの先端から折り線までの長さとされる。また、上段のバックルと下段のバックルとは互いに反対の向きに用紙Sを折るが、これは、傾きの補正のために考慮されなければならない。
【0049】
入力ユニット6は、入力された情報に応じて、図8A図10Bの表示画面のいずれか1つをディスプレイに表示する。
【0050】
図8Aは、折り長さが用紙長さの半分であり、上段のバックル30aが使用されるときの表示画面である。図8Bは、折り長さが用紙長さの半分であり、下段のバックル30bが使用されるときの表示画面である。
【0051】
図9Aは、折り長さが用紙長さの半分より大きく、上段のバックルが使用されるときの表示画面である。図9Bは、折り長さが用紙長さの半分より大きく、下段のバックルが使用されるときの表示画面である。
【0052】
図10Aは、折り長さが用紙長さの半分未満であり、上段のバックルが使用されるときの表示画面である。図10Bは、折り長さが用紙長さの半分未満であり、下段のバックルが使用されるときの表示画面である。
【0053】
なお、各表示画面上の用紙は、最初の折り機構によってのみ折り畳まれて紙折ユニット3から排出された状態の用紙の平面図である。各表示画面上の左向きの矢印は、供給方向Yに対応する。
【0054】
次いで、紙折装置は、折りずれ量の入力をユーザに要求する。最初の折り機構によって折り畳まれた用紙Sの折りずれ量が、入力ユニット6を通じてユーザによって入力される。実施形態では、図12Cの通り、折りずれ量dは、折り畳まれた用紙Sにおいて、(基準ガイド21に当接される)一側縁Saの端からその一側縁Saまでの折り線に沿った距離と規定されている。
【0055】
このために、ユーザは、紙折装置に用紙Sを試し折りさせて、最初の折り機構によって折り畳まれた用紙Sの折りずれ量を測定する。なお、用紙Sが複数回折り畳まれるとき、ユーザは、最初の折り機構以外の折り機構により形成された折りを解いてから、この折りずれ量を測定する。
【0056】
ユーザが、表示画面の入力ボタン60を操作すると、図11の入力画面が表示される。ユーザは、この入力画面上で、測定された折りずれ量を入力する。図8A図10Bから明らかな通り、基準ガイド21の傾きの方向によって、用紙Sのずれの方向は異なる。実施形態では、一方向の折りずれ量をマイナスの量として入力し、他方向の折りずれ量をプラスの量として入力することが要求される。入力された折りずれ量は、ずれ量表示枠61に表示される。
【0057】
図12図13を参照して、制御ユニット5は、それから、折りずれ量d[mm]、用紙のサイズ(長さL[mm]、幅w[mm])、および、紙折ユニット3(最初の折り機構)の折り長さL[mm]から、以下のように、基準ガイド21の供給方向Yに対する傾き角度θ[rad]を演算し、それによって補正量a[mm]を演算する。以下では、折りずれ量dは、用紙Sのずれの方向に関わらず正の値とされ(d>0)、角度θは、基準ガイド21の傾きの方向に関わらず正の値とされる(0<θ<π/2)。
【0058】
折り畳まれた用紙Sの重なり方は、用紙の長さL、折り長さL、基準ガイド21の傾きの方向に応じて、図13(a)‐(d)の4つのパターンに分類される。
【0059】
図13(a)‐(d)のそれぞれで数1の関係が成立する。ここで、Lは、折りによって重なる部分の長さを表す(図13(a)‐(d)を参照)。
【0060】
【数1】
【0061】
数1は、以下の数2の通り変形される。
【0062】
【数2】
【0063】
実際の紙折装置において、基準ガイド21の傾きの角度θは非常に小さいので、数3の近似がなされてよい。
【0064】
【数3】
【0065】
数4が、数2および数3から得られる。
【0066】
【数4】
【0067】
、L、dは、既知であるので、図13(a)、(c)の場合、角度θを数4(a)、(c)で求めることができる。数4(b)、(d)は、数5の通り変形される。
【0068】
【数5】
【0069】
これらは、θの2次方程式である。得られる2つの解のうち、明らかに異なる方を排除すると、図13(b)、(d)の場合、角度θは数6(b)、(d)で求めることができる。
【0070】
【数6】
【0071】
補正量aは、数7で求めることができる。Lは、図12Aの通り、基準ガイド21の支点(ピン24)から調整機構4が力を基準ガイド21に作用させる作用点までの距離である。Lは、既知である。
【0072】
【数7】
【0073】
制御ユニット5は、入力された情報に基づき、図13(a)‐(d)の中から該当するパターンを特定し、それに対応する上記の計算式で角度θを演算し、それによって補正量aを演算する。そして、調整機構4は、制御ユニット5に制御されて、基準ガイド21を補正量aで適切な方向に揺動させ、それによって基準ガイド21の供給方向Yに対する傾きを補正する。揺動方向は、用紙のずれの方向(折りずれ量のプラス・マイナス)、および、バックルの上段・下段によって決定される(揺動方向については、図8A図10Bのそれぞれを参照)。なお、演算された補正量aは、図8A図10Bの通り、表示画面の補正量表示枠62に表示される。
【0074】
この傾きの補正の結果、基準ガイド21は、供給方向Yに平行にのびて、供給方向Yと一直線になる。即ち、基準ガイド21は、折り方向に直角にのびる。したがって、用紙Sのスキューは、供給方向Yに対して正確に補正され、用紙Sは、紙折ユニット3によってずれなく折り畳まれる。
【0075】
以上のように、ユーザは、紙折ユニット3によって折り畳まれた用紙Sの折りずれ量dを、入力ユニット6を通じて入力するだけで、基準ガイド21の傾きを正確に補正することができる。したがって、基準ガイド21の傾きを容易にかつ短時間で補正することができる。
【0076】
本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0077】
折りパターンおよび用紙のサイズは、入力ユニット6を通じてユーザによって入力される代わりに、紙折装置の外部の装置(例えばその上流に配置された前処理装置など)から取得されてよい。
【0078】
紙折ユニット3は、バックル折り機以外の構成でもよい。調整機構4は、他の構成によって基準ガイド21の傾きを調整してもよい。
【0079】
上記実施形態において、数5(b)、(d)の角度θの演算は比較的煩雑であり、制御ユニット5に大きな負荷を与える。負荷軽減のために、制御ユニット5は、図13(b)の場合に角度θを数4(a)で演算し、図13(d)の場合に角度θを数4(c)で演算することで、演算を簡略化してよい。このようにしても、実用上差し支えがないことが経験的にわかっている。
【0080】
補正量aを演算することができる限り、折りずれ量の規定は任意である。例えば、図14の通り、折りずれ量dに代えて、異なる折りずれ量d’が規定されて、角度θおよび補正量aが、折ずれ量d’および適切な演算式を用いて制御ユニット5によって演算されてよい。
【符号の説明】
【0081】
1 給紙ユニット
2 搬送ユニット
21 基準ガイド
22 搬送機構
24 ピン
3 紙折ユニット
4 調整機構
5 制御ユニット
6 入力ユニット
d、d’ 折りずれ量
用紙の長さ
折り長さ
w 用紙の幅
Y 供給方向
【要約】
基準ガイドの傾きを容易に補正する。紙折装置は、用紙を折り畳む紙折ユニットと、用紙のスキューを補正しながら、用紙を紙折ユニットへ紙折ユニットの折り方向に直角な供給方向に供給する搬送ユニットと、を備える。搬送ユニットは、長尺状の基準ガイドと、基準ガイドに向かう力を用紙に作用させながら用紙を供給方向に搬送する搬送機構と、基準ガイドの供給方向に対する傾きを調整する調整機構とを備える。紙折装置は、折り畳まれた用紙の折りずれ量をユーザが入力するための入力ユニットを備える。基準ガイドの傾きは、入力ユニットを通じて入力された折りずれ量に基づいて、調整機構によって補正される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14