(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態によるルート提示装置及びルート表示装置を説明する。
図1は同実施形態におけるシステム全体の構成を示すブロック図である。この図において、符号1は、ユーザ作成コンテンツを管理するユーザ作成コンテンツ管理サーバである。ユーザ作成コンテンツとは、Webサイトの利用者(ユーザ)によって制作・生成されたコンテンツであり、例えば、ツイッター、フェイスブック、Picasa、Flickr、ユーチューブ、ウィキなどに書き込まれたり投稿されたものである。符号2は、インターネットである。
【0018】
符号3は、ユーザに対して、観光スポットなどの推奨ルートを提示するルート提示管理サーバである。符号4は、インターネット接続サーバであり、パソコンや移動端末をインターネット2に接続する。符号5は、インターネット接続サーバ4に接続された通信ネットワークである。符号6は、通信ネットワーク5、インターネット接続サーバ4を介してインターネット2に接続可能なパソコンである。
【0019】
符号7は、インターネット接続サーバ4に接続された移動通信ネットワークである。符号8は、移動通信ネットワーク8に接続された基地局である。符号9、10、11は、基地局8との間で通信を確立し、インターネット2に接続可能な移動端末である。符号12は、GPS衛星である。移動端末9、10は、GPS衛星12からの電波を受信して、自己の位置の位置情報(緯度、経度)を取得することができる。
【0020】
次に、
図2を参照して、
図1に示すルート提示管理サーバ3の構成を説明する。
図2は、
図1に示すルート提示管理サーバ3の構成を示すブロック図である。
図2において、符号31は、ユーザ作成コンテンツ管理サーバ1から初期データを取得する初期データ取得部である。符号32は、初期データ取得部31が取得したデータを記憶するデータ記憶部である。
【0021】
符号33は、データ記憶部32に記憶されたデータから観光スポットの位置を推定する観光スポット推定部である。符号34は、観光スポット推定部33が推定した観光スポットのデータを記憶する観光スポットデータ記憶部である。符号35は、観光スポットデータ記憶部34に記憶されているデータから観光スポット間の方向付きのつながり強さ(リンク強度という)を推定するリンク強度推定部である。符号36は、リンク強度推定部35が推定したリンク強度のデータを記憶するリンクデータ記憶部である。符号37は、各観光スポットの特性を解析する特性解析部である。
【0022】
符号38は、観光スポットデータ記憶部34に記憶されたデータ、リンクデータ記憶部36に記憶されたデータ、特性解析部37の解析結果に基づき、推奨する観光ルートを設定するルート設定部である。符号39は、ルート設定部38において設定された観光ルートをパソコン6や移動端末9、10、11に対して提供するデータ提供部である。
【0023】
符号40は、インターネット2と接続を行い、ユーザ作成コンテンツ管理サーバ1、パソコン6、移動端末9、10、11との間で通信を確立する通信部である。符号41は、移動情報を送信することができる機能を有する移動端末9からのデータを取得して、データ記憶部32に登録を行うデータ取得部である。
【0024】
次に、
図3を参照して、
図1に示す移動端末9の構成を説明する。
図3は、
図1に示す移動端末9の構成を示すブロック図である。移動端末9は、
図1に示す移動端末の中で、最も高機能な端末である。
図3において、符号91は、基地局との間で無線通信を確立する通信部である。符号92は、移動端末9の処理動作を統括して制御する制御部である、符号93は、ディスプレイ等で構成する表示部であり、推奨ルートを表示する。符号94は、データを記憶する記憶部である。
【0025】
符号95は、入力操作を行う操作部であり、例えば、表示部と一体化したタッチパネル等である。符号96は、GPS衛星12からの電波を受信して、自己の位置情報を取得するGPS部である。符号97は、写真を撮像するカメラである。移動端末9は、ルート提示管理サーバ3から送信された推奨ルートの表示に加え、カメラで撮像した写真に位置情報を付与したものをルート提示管理サーバ3に投稿(登録)することもできる。
【0026】
次に、
図4を参照して、
図1に示す移動端末10の構成を説明する。
図4は、
図1に示す移動端末10の構成を示すブロック図である。移動端末10は、
図1示す移動端末の中で中程度の機能を有する端末である。
図4において、符号91は、基地局との間で無線通信を確立する通信部である。符号92は、移動端末9の処理動作を統括して制御する制御部である、符号93は、ディスプレイ等で構成する表示部であり、推奨ルートを表示する。符号94は、データを記憶する記憶部である。
【0027】
符号95は、入力操作を行う操作部であり、例えば、表示部と一体化したタッチパネル等である。符号96は、GPS衛星12からの電波を受信して、自己の位置情報を取得するGPS部である。移動端末10は、カメラを備えていないため、写真の投稿はできないが、GPS部96によって自己の位置情報の取得ができるため、移動軌跡情報などをルート提示管理サーバ3に登録することができる。
【0028】
次に、
図5を参照して、
図1に示す移動端末11の構成を説明する。
図5は、
図1に示す移動端末11の構成を示すブロック図である。移動端末11は、
図1示す移動端末の中では低機能な端末である。
図5において、符号91は、基地局との間で無線通信を確立する通信部である。符号92は、移動端末9の処理動作を統括して制御する制御部である、符号93は、ディスプレイ等で構成する表示部であり、推奨ルートを表示する。符号94は、データを記憶する記憶部である。
【0029】
符号95は、入力操作を行う操作部であり、例えば、表示部と一体化したタッチパネル等である。移動端末11は、カメラとGPS部を備えていないため、写真の投稿はできず、操作部95によって自己の位置を指定した結果に基づく推奨ルートの表示を行う。
【0030】
次に、
図6を参照して、
図2に示すデータ記憶部32のテーブル構造を説明する。
図6は、
図2に示すデータ記憶部32のテーブル構造を示す図である。データ記憶部32には、初期データ取得部31が取得したデータが記憶されることになる。データ記憶部32には、「画像データ」(写真)と、この画像データを撮像した位置(緯度経度)を示す「位置情報」と、この画像を撮像した時刻(日付も含む)を示す「時刻情報」と、この画像を投稿した所有者の識別情報である「所有者ID」とが関係付けられて記憶される。
【0031】
ここでは、4つの情報(「画像データ」、「位置情報」、「時刻情報」、「所有者ID」)を記憶する例を示したが、これらは、最低限必要な情報を記憶する例である。これらの他のデータが記憶されていてもよい。初期データ取得部31が初期データを取得した後の時点では、取得した件数分のデータが
図6に示すテーブルに記憶されている状態となる。
【0032】
次に、
図7を参照して、
図2に示す観光スポットデータ記憶部34のテーブル構造を説明する。
図7は、
図2に示す観光スポットデータ記憶部34のテーブル構造を示す図である。観光スポットデータ記憶部34には、観光スポットを識別する「スポットID」と、「画像データ」(写真)と、この画像データを撮像した位置(緯度経度)を示す「位置情報」と、この画像を撮像した時刻(日付も含む)を示す「時刻情報」と、この画像を投稿した所有者の識別情報である「所有者ID」とが関係付けられて記憶される。
【0033】
観光スポットデータ記憶部34は、データ記憶部32に記憶されたデータを位置情報に基づいて観光スポット推定部33がクラスタリングし、クラスタを構成するデータに対してスポットIDを付与し、クラスタ毎にまとめたデータである。同じクラスタのデータには、同じスポットIDが付与される。ここでは、クラスタリングして得られたクラスタを「観光スポット」と見なす。
図7に示す例では、同じスポットIDが関係付けられたデータ(「画像データ」、「位置情報」、「時刻情報」、「所有者ID」)が観光スポットのデータとなる。
【0034】
次に、
図8を参照して、
図2に示すリンクデータ記憶部36のテーブル構造を説明する。
図8は、
図2に示すリンクデータ記憶部36のテーブル構造を示す図である。リンクデータ記憶部36は、縦方向に出発点となった観光スポットのスポットIDが並び、横方向に到着点となった観光スポットのスポットIDが並ぶ。そして、出発点と到着点とで特定される各フィールドには、その出発点から到着点まで移動した人(移動端末)の数が記憶される。
【0035】
リンクデータ記憶部36に記憶されるデータは、リンク強度推定部35が、観光スポットデータ記憶部34に記憶されたデータを参照して生成したものである。例えば、出発点として「SP001」と選択し、到着点として「SP003」を選択すると、「SP001」と「SP003」で特定されるフィールドに、「SP001」から「SP003」へ移動した人の人数が分かる。人数は、移動した移動端末の数に相当する。
【0036】
次に、
図9を参照して、
図1に示すシステムの処理動作の概略を説明する。
図9は、
図1に示すシステムの処理動作の概略を示す図である。まず、ルート提示管理サーバ3は、ユーザ作成コンテンツ管理サーバ1から大量の位置情報付き画像を収集する(Step1)。収集されるデータには、位置情報付き画像に加え、少なくとも時刻情報と所有者IDが含まれる。収集された画像は市または町のレベルで大きくグループ分けされる。
【0037】
次に、各グループ内の画像の位置情報から、細分化された複数の位置クラスターを作成される(Step2)。ここでは、これらの位置クラスタのそれぞれを一つの観光スポットと見なす。
【0038】
次に、全ての観光スポットの組み合わせについて、あるスポットから別のスポットに移動した人数をカウントする(Step3)。このカウントされた人数を用いて、2つのスポット間のリンクの強度を算出する。
【0039】
さらに、各位置情報付き画像の所有者IDと時刻情報とを参照することによって、個々の旅行者の観光ルートを推定する。そして、流入及び流出のリンクの強度に基づいて、各スポットの特性を調査して(ステップ4)、推奨ルート設定する。
【0040】
次に、
図2に示すルート提示管理サーバ3の詳細な処理動作を説明する。始めに、
図10を参照して、
図2に示す観光スポット推定部33の処理動作を説明する。
図10は、
図2に示す観光スポット推定部33の処理動作を示すフローチャートである。
【0041】
まず、観光スポット推定部33は、データ記憶部32からユーザ作成コンテンツデータを読み込む(ステップS1)。続いて、観光スポット推定部33は、読み込んだ位置情報に基づいてクラスタリングを行う(ステップS2)。このクラスタリング結果に基づくクラスタを観光スポットとする。
【0042】
次に、観光スポット推定部33は、各クラスタを構成するデータに対してスポットIDを付与して、観光スポットデータを生成する(ステップS3)。そして、生成した観光スポットデータを観光スポットデータ記憶部34に書きこむ(ステップS4)。
【0043】
この処理動作によって、
図7に示すように観光スポットデータが観光スポットデータ記憶部34に記憶されることになる。
【0044】
次に、
図11を参照して、
図2に示すリンク強度推定部35の処理動作を説明する。
図11は、
図2に示すリンク強度推定部35の処理動作を示すフローチャートである。
【0045】
まず、リンク強度推定部35は、観光スポットデータ記憶部34に記憶されている観光スポットデータを読み込む(ステップS11)。続いて、リンク強度推定部35は、所有者IDと時刻情報に基づきリンク強度を算出する(ステップS12)。
【0046】
ここで、リンク強度の算出について説明する。2つの観光スポット間の方向付けされたリンクを、L
i,jと表記する。ここで、iとjは特定の観光スポットを示すスポットIDである。L
i,jとL
j,iとは別の意味を持ち、それぞれiからjへ向かう方向のリンクと、jからiへ向かう方向のリンクとを表す。L
i,jは画像の所有者IDと時刻情報を元に算出される。
【0047】
例えば、ある画像データと別の画像データが、同一所有者IDを持つ所有者によって、それぞれ観光スポットiと観光スポットjとで撮影されており、観光スポットiにおける撮影の時刻情報よりも観光スポットjにおける撮影の時刻情報が後だった場合に、方向付きリンクL
i,jが(1単位)存在すると見なされる。
【0048】
そして、M(L
i,j)を、方向付きリンクL
i,jの強度とする。このM(L
i,j)は、観光スポットiから観光スポットjに移動した旅行者の人数をカウントすることによって計算する。M(L
i,j)の値が大きいということは、これら2つの観光スポットの結びつきが強いことを意味する。すなわち、多くの人々がこれらのスポットを続けて訪問する傾向があることを示している。
【0049】
次に、リンク強度推定部35は、算出したリンク強度をリンクデータ記憶部36に書き込む(ステップS13)。
【0050】
この処理動作によって、
図8に示すようにリンク強度データがリンクデータ記憶部36に記憶されることになる。リンク強度がM(L
i,j)≧2を満たす観光スポットを京都市の地図上にプロットした例を
図12に示す。
図12は、観光スポットの一例を示す図である。太い線はより強いリンクであることを示している。このデータからどこからどこへ移動している人が多いかを判断することが可能となる。
【0051】
また、
図13は、遊園地において適用した例を示す図である。このように遊園地に適用することにより、どのアトラクションからどのアトラクションへ移動している人が多いかを判断することが可能となる。
【0052】
次に、
図1、
図2、
図14を参照して、
図1に示すシステムにおいて、推奨する観光スポットのルートを表示する動作を説明する。
図14は、
図1に示す移動端末9、10のいずれかとルート提示管理サーバ3の動作を示すフローチャートである。ここでは、移動端末9を使用した場合の動作を説明する。
【0053】
まず、移動端末9の制御部92は、通信部91を介して、ルート提示管理サーバ3に対して接続要求を送信する(ステップS21)。これを受けて、ルート提示管理サーバ3の通信部40は、移動端末9との間の通信を確立する(ステップS31)。
【0054】
次に、移動端末9のGPS部96は、GPS機能を使用して、自己の位置情報(緯度経度)を特定する(ステップS22)。そして、制御部92は、GPS部96において得られた位置情報を通信部91を介して、ルート提示管理サーバ3に対して送信する(ステップS23)。これを受けて、ルート設定部38は、通信部40を介して、この位置情報を受信する(ステップS32)。
【0055】
次に、ルート設定部38は、観光スポットデータ記憶部34のデータを参照して、受信した位置情報が観光スポット内であるか否かを判定する(ステップS33)。この判定の結果、観光スポット内であれば、ルート設定部38は、リンクデータ記憶部36を参照して、移動端末9が存在する観光スポットを出発点として、リンク強度が大きい順に到着点の観光スポットを抽出する。そして、データ提供部39は、抽出した観光スポットのデータをお奨めルートの情報として移動端末9に送信する(ステップS34)。
【0056】
これを受けて、移動端末9の制御部92は、通信部91を介して、このお奨めルート情報を受信し、記憶部94に記憶する。そして、制御部92は、記憶部94に記憶したお奨めルート情報を、リンク強度が大きい順に表示部93に表示する(ステップS24)。この動作によって、表示部93には、お奨めルートが表示されることになる。
図15は、お奨めルートが表示された例を示す図である。ユーザが操作部95を操作する度にリンク強度が小さいルートが順に表示されることになる。
図15に示す例では、太い矢印ほどリンク強度が大きいことを示している。
【0057】
ステップS33の判定において、観光スポット内でない場合、ルート設定部38は、受信した位置情報と、観光スポットデータ記憶部34のデータを参照して、今移動端末9が存在する位置の周辺の観光スポットを抽出する。そして、データ提供部39は、抽出した観光スポットのデータを周辺観光スポットの情報として移動端末9に送信する(ステップS35)。
【0058】
これを受けて、移動端末9の制御部92は、通信部91を介して、この周辺観光スポットの情報やイベント情報などの追加情報を受信し、記憶部94に記憶する。そして、制御部92は、記憶部94に記憶した周辺観光スポット情報などを、地図に重ね合わせて表示部93に表示する(ステップS24)。追加情報は、ルート提示管理サーバ3の運用者が、周辺のイベント情報などを予め登録しておいた情報である。このようにすることにより、観光スポットの情報と合わせて周辺のイベント情報なども表示することができるようになる。この動作によって、表示部93には、周辺観光スポット情報などが表示されることになる。また、周辺のイベント情報などの追加情報も合わせて表示することが可能となる。
【0059】
なお、お奨めルートの情報を送信する際に、お奨めルート先の観光スポットの画像データと追加情報とを一緒に移動端末に送信し、移動端末の表示部93に表示するようにしてもよい。また、周辺観光スポットの情報を送信する際にも同様に、観光スポットの画像データと追加情報を一緒に移動端末に送信し、移動端末の表示部93に表示するようにしてもよい。このとき、観光スポットと画像データと追加情報とを関係付けて表示する。この処理動作によって、ユーザが次に行くべき観光スポットを選択しやすくすることができる。
【0060】
次に、
図1、
図2、
図16を参照して、
図1に示すシステムにおいて、推奨する観光スポットのルートを表示する動作を説明する。
図16は、
図1に示す移動端末11(GPS機能を有していない端末)またはパソコン6のいずれかとルート提示管理サーバ3の動作を示すフローチャートである。ここでは、移動端末11を使用した場合の動作を説明する。
【0061】
まず、移動端末11の制御部92は、通信部91を介して、ルート提示管理サーバ3に対して接続要求を送信する(ステップS41)。これを受けて、ルート提示管理サーバ3の通信部40は、移動端末11との間の通信を確立する(ステップS51)。
【0062】
次に、移動端末11の操作部95は、ユーザの操作に従って表示部93に表示されている地図上に位置を指定して、自己の位置情報(緯度経度)を特定する(ステップS42)。そして、制御部92は、得られた位置情報を通信部91を介して、ルート提示管理サーバ3に対して送信する(ステップS43)。これを受けて、ルート設定部38は、通信部40を介して、この位置情報を受信する(ステップS52)。
【0063】
次に、ルート設定部38は、観光スポットデータ記憶部34のデータを参照して、受信した位置情報が観光スポット内であるか否かを判定する(ステップS53)。この判定の結果、観光スポット内であれば、ルート設定部38は、リンクデータ記憶部36を参照して、移動端末9が存在する観光スポットを出発点として、リンク強度が大きい順に到着点の観光スポットを抽出する。そして、データ提供部39は、抽出した観光スポットのデータをお奨めルートの情報として移動端末9に送信する(ステップS54)。
【0064】
これを受けて、移動端末9の制御部92は、通信部91を介して、このお奨めルート情報を受信し、記憶部94に記憶する。そして、制御部92は、記憶部94に記憶したお奨めルート情報を、リンク強度が大きい順に表示部93に表示する(ステップS44)。この動作によって、表示部93には、お奨めルートが表示されることになる。
【0065】
ステップS53の判定において、観光スポット内でない場合、ルート設定部38は、受信した位置情報と、観光スポットデータ記憶部34のデータを参照して、今移動端末9が存在する位置の周辺の観光スポットを抽出する。そして、データ提供部39は、抽出した観光スポットのデータを周辺観光スポットの情報として移動端末9に送信する(ステップS55)。
【0066】
これを受けて、移動端末9の制御部92は、通信部91を介して、この周辺観光スポットの情報を受信し、記憶部94に記憶する。そして、制御部92は、記憶部94に記憶した周辺観光スポット情報を、地図に重ね合わせて表示部93に表示する(ステップS24)。この動作によって、表示部93には、周辺観光スポット情報が表示されることになる。
【0067】
なお、
図16に示す処理動作は、移動端末11をパソコン6に置き換えれば同様に処理が行えるため、パソコン6においても周辺観光スポットとお奨めルートの表示を行うことができる。これは、旅行に出発する前に観光ルートを決定する場合などに有効である。
【0068】
また、お奨めルートや周辺観光スポットの情報を送信する際に、お奨めルート先の観光スポットの画像データや周辺観光スポットの画像データを一緒に移動端末に送信し、移動端末の表示部93に表示するようにしてもよい。このとき、観光スポットと画像データとを関係付けて表示する。この処理動作によって、ユーザが次に行くべき観光スポットを選択しやすくすることができる。
【0069】
次に、
図17を参照して、移動端末9がカメラ97で撮像した写真を投稿することにより、データ記憶部32にデータを新たに登録する動作を説明する。
図17は、
図1に示す移動端末9とルート提示管理サーバ3の動作を示すフローチャートである。
【0070】
まず、ユーザは、自己の移動端末9のカメラ97によって、画像を撮像する(写真撮影を行う)(ステップS61)。制御部92は、撮像した画像データを記憶部94に記憶する。
【0071】
次に、GPS部96は、GPS衛星12からの電波を受信し、現在の自己の位置情報(緯度経度)を取得する(ステップS62)。また、制御部92は、内部のタイマを使用して時刻情報を取得する(ステップS63)。
【0072】
次に、制御部92は、通信部91を介して、ルート提示管理サーバ3に対して接続要求を送信する(ステップS64)。これを受けて、ルート提示管理サーバ3の通信部40は、移動端末11との間の通信を確立する(ステップS71)。
【0073】
次に、制御部92は、撮像した画像データ、取得した位置情報及び取得した時刻情報と、移動端末9の所有者の所有者IDをルート提示管理サーバ3に対して送信する(ステップS65)。
【0074】
これを受けて、データ取得部41は、登録すべき情報(「画像データ」、「位置情報」、「時刻情報」、「所有者ID」)を受信する(ステップS72)。そして、データ取得部41は、受信した登録すべき情報(「画像データ」、「位置情報」、「時刻情報」、「所有者ID」)をデータ記憶部32に登録する(ステップS73)。
【0075】
この処理動作によって、データ記憶部32には、新たなデータが登録されることになり、データ記憶部32に記憶されているデータを更新していくことが可能になる。
【0076】
なお、お奨めルートを提示する際に、天候、季節、時間帯などの条件別のお奨めルートを提示するようにしてもよい。また、移動端末は、自動車等に搭載されて、ナビゲーションシステムを構成していてもよい。
【0077】
次に、
図2に示す特性解析部37の処理動作を説明する。特性解析部37は、前述した方向付きリンク(リンクデータ記憶部36に記憶されているデータ)に基づいて、各観光スポットの特性を解析する。まず、特性解析部37は、方向付きリンクの合計数を計数する。そして、リンクの方向を考慮に入れて2種類のリンクを計数する。一種は流入リンク、つまり、特定の観光スポットjに向かって、j以外のいずれかの観光スポットから結合されているリンクである。もう一種は、流出リンク、つまり、スポットjから外に流れ出す結合である。実際の計算は以下のように行った。
【数1】
【0078】
ここで、S
in(j)およびS
out(j)はそれぞれ、スポットjの流入スコアと流出スコアである。さらに、Iは任意のスポットiから着目したスポットjへの流入リンク群であり、Oは着目したスポットjから任意の他のスポットiへの流出リンク群である。
【0079】
そして、S
in(j)およびS
out(j)に基づいて、各スポットの特性を4つのタイプ(1)〜(4)に分類する。
(1)ルート(経由地)型:この観光スポットにおいてS
out(j)/S
in(j)≒1であってS
inの値が小さい観光スポット。この観光スポットへの旅行者の流入は少量であり、この観光スポットからの流出も少量である。
(2)集中型:S
out(j)/S
in(j)≪1である観光スポット。多くの流入を受け、流出は少ない。
(3)分散型:S
out(j)/S
in(j)≫1である観光スポット。流入が少なく、流出が多い。
(4)ハブ(中心地)型:この観光スポットにおいてS
out(j)/S
in(j)≒1であってS
inの値が大きい観光スポット。多くの流入を受け、流出も多い。
【0080】
推定された観光スポットの特性を解析した結果を
図18に示す。
図18は、推定された観光スポットの特性を解析した結果を示す図である。
図18に示す例は、京都市の解析結果である。
【0081】
ルート設定部38は、周辺の観光スポットをお奨めする際に特性解析部37の解析結果に基づいて、観光スポットを抽出するようにしてもよい。
【0082】
次に、
図19を参照して、特性解析部37の解析結果について説明する。
図19は、解析結果の一例を示す図である。地図上に有名な観光スポットを重ねて表示したところ、推定した観光スポットがこれら観光スポットの実際の位置とほぼ一致することが分かった。また、二条城と京都御所の間に強いリンクが見いだされている。これら2か所のスポットは互いに近接しており、いくつかの雑誌にその近辺の推奨観光スポットとして紹介されている。このため、大勢の観光客が実際にこれら2か所のスポットの間を移動している。
【0083】
また、出町橋と下賀茂神社との間にも強いリンクが見いだされる。祭の期間には、多数の観光客がこれらのスポット周辺を歩き回る。更に、出町橋のスポットは
図18における「ハブ型」のスポットと推定される。実際に、出町橋の周辺にはバス停や地下鉄の駅があり、いくつかの観光スポットの中継地点として頻繁に利用されている。推定結果はこのような現実の状況を反映するものである。一方、不一致スポットは、観光客が見つけた「秘密の」スポットであった。このような情報は観光雑誌には掲載されていない。このように、特性解析を行うことにより、観光や経路の案内(お奨め)に利用することができる。
【0084】
以上説明したように、ウェブ上には多種のユーザ作成コンテンツ(UGC:User-Generated Contents)が存在する。UGCによって、家族、友人や世界の人々と日常活動の様子を共有する機会がもたらされる。近年になって多くの研究者がUGCに注目している。これらの研究者の試みは、大量で様々な種類の人々の活動の解析を通じて、新たな社会的価値を創造しようとするものである。
【0085】
前述したルート提示管理サーバ3では、観光地での観光客の活動を解析するため、UGCのデータを初期データとして用いた。多くの人々が、観光中に撮影した写真を投稿し、それぞれの写真にテキストラベルを付加する。さらに、各写真には、撮影された場所の位置情報が付加されている。ルート提示管理サーバ3では、このような「タグ付き画像」を、観光活動の解析に用いた。この方法を用いることによって、観光スポットを検出したり、複数の観光スポット間のリンク強度を検出したりできる。さらに、各観光スポットはその特性によって4種に分類される。この方法で解析した結果は、お奨めルートの提示やナビゲーションシステムなどに応用が可能である。
【0086】
前述した実施形態におけるルート提示管理サーバ、移動端末をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、PLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されるものであってもよい。
【0087】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明してきたが、上記実施の形態は本発明の例示に過ぎず、本発明が上記実施の形態に限定されるものではないことは明らかである。したがって、本発明の技術思想及び範囲を逸脱しない範囲で構成要素の追加、省略、置換、その他の変更を行ってもよい。