特許第6376676号(P6376676)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6376676
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】アクセスホールカバー超音波検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/265 20060101AFI20180813BHJP
   G01N 29/22 20060101ALI20180813BHJP
   G21C 17/003 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   G01N29/265
   G01N29/22
   G21C17/00 F
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-500190(P2016-500190)
(86)(22)【出願日】2014年1月30日
(65)【公表番号】特表2016-512329(P2016-512329A)
(43)【公表日】2016年4月25日
(86)【国際出願番号】US2014013810
(87)【国際公開番号】WO2014149191
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2017年1月4日
(31)【優先権主張番号】13/832,251
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501010395
【氏名又は名称】ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】カーボネル、ジョン、アール
(72)【発明者】
【氏名】メイ、ロイ、シー
(72)【発明者】
【氏名】バレット、チャールズ、アール
【審査官】 立澤 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−107385(JP,A)
【文献】 特開平07−055774(JP,A)
【文献】 特開平06−273393(JP,A)
【文献】 特開平06−088811(JP,A)
【文献】 特開平02−226097(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0232562(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00−29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジェットポンプを有する沸騰水型原子炉におけるシュラウド支持板上のアクセスホールカバー溶接部の超音波検査装置であって、
当該シュラウド支持板上に位置決めされ、アクセスホールカバーの表面上で実質的にセンタリングされて固定される基部、
当該基部に結合し、当該アクセスホールカバーに対して垂直方向に延びる中央フレーム、
当該中央フレームに取り付けられ、第1の端部とその反対側の第2の端部とを有する半径方向アームを具備する半径方向アーム組立体、
当該半径方向アーム組立体に結合し、当該半径方向アームの位置を半径方向に内方および外方において制御するように構成された半径方向伸縮用モータ組立体、
当該中央フレームに結合し、当該中央フレーム中心の垂直軸を中心とする当該中央フレームの回転を制御するように構成された軸回転用モータ組立体、
当該半径方向アームの当該第1の端部に取り付けられた第1の空気式リニアスラスタ、
当該半径方向アームの当該反対側の第2の端部に取り付けられ、上端部とその反対側の下端部とを有する第2の空気式リニアスラスタ、および
当該第1の空気式リニアスラスタに取り付けられた走査用組立体から成り、
当該走査用組立体は、
上端部とその反対側の下端部とを有するスキューモータ組立体、
当該スキューモータ組立体の当該下端部に取り付けられた振動子ジンバル装置、および
当該アクセスホールカバー溶接部を走査するために当該スキューモータ組立体の当該下端部と当該振動子ジンバル装置とに取り付けられた振動子から成り、
当該スキューモータ組立体は、当該アクセスホールカバー溶接部の円周接線に垂直な法線に対する当該振動子の角度を調節するように構成され、当該第1の空気式リニアスラスタは、接触走査を行うために当該振動子を下方に延伸し、水浸走査を行うために当該振動子を上方に縮退させるように構成されている
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第2の空気式リニアスラスタの前記下端部に取り付けられたコンタクトパッドをさらに含む請求項1の装置。
【請求項3】
前記第1の空気式リニアスラスタに接続され、前記振動子を定位置に保持するために前記振動子の上方に設置された空気圧シリンダをさらに含む、請求項1の装置。
【請求項4】
前記基部が前記アクセスホールカバー溶接部の表面にしっかり取り付けられる真空カップである、請求項1の装置。
【請求項5】
前記基部がおもり組立体である請求項1の装置。
【請求項6】
前記第1および第2の空気式リニアスラスタが、一方を昇降させずに他方を昇降させることができるように、互いに独立に制御される請求項1の装置。
【請求項7】
前記中央フレームに取り付けられた水中カメラをさらに含む請求項1の装置。
【請求項8】
ジェットポンプを有する沸騰水型原子炉におけるシュラウド支持板上のアクセスホールカバー溶接部の超音波検査方法であって、
超音波検査装置を当該シュラウド支持板へ移送するステップと、
当該アクセスホールカバー溶接部の超音波検査を行うために、当該超音波検査装置を当該シュラウド支持板上に位置決めし、アクセスホールカバーの表面上で実質的にセンタリングして固定するステップとを含み、
当該超音波検査装置は、
当該シュラウド支持板上の当該アクセスホールカバーの表面上で実質的にセンタリングされて固定される基部、
当該基部に結合し、当該アクセスホールカバーに対して垂直方向に延びる中央フレーム、
当該中央フレームに取り付けられ、第1の端部とその反対側の第2の端部とを有する半径方向アームを具備する半径方向アーム組立体、
当該半径方向アーム組立体に結合し、当該半径方向アームの位置を半径方向に内方および外方において制御するように構成された半径方向伸縮用モータ組立体、
当該中央フレームに結合し、当該中央フレーム中心の垂直軸を中心とする当該中央フレームの回転を制御するように構成された軸回転用モータ組立体、
当該半径方向アームの当該第1の端部に取り付けられた第1の空気式リニアスラスタ、
当該半径方向アームの当該反対側の第2の端部に取り付けられ、上端部と下端部とを有する第2の空気式リニアスラスタ、および
当該第1の空気式リニアスラスタに取り付けられた走査用組立体から成り、
当該走査用組立体は、
上端部とその反対側の下端部とを有するスキューモータ組立体、
当該スキューモータ組立体の当該下端部に取り付けられた振動子ジンバル装置、および
当該アクセスホールカバー溶接部を走査するために当該スキューモータ組立体の当該下端部と当該振動子ジンバル装置とに取り付けられた振動子から成り、
当該超音波検査方法はさらに、
当該スキューモータ組立体を用いて、当該アクセスホールカバー溶接部の円周接線に垂直な法線に対する当該振動子の角度を調節するステップと、
当該第1の空気式リニアスラスタを用いて、接触走査を行うために当該振動子を下方に延伸し、水浸走査を行うために当該振動子を上方に縮退させるステップ
とを含む方法。
【請求項9】
走査時運動制御ソフトウェアを使用する請求項の方法。
【請求項10】
前記超音波検査装置を位置決めするステップに、前記超音波検査装置を前記シュラウド支持板に沿って前記アクセスホールカバーの実質的な中心へウォーキングさせることが含まれる、請求項の方法。
【請求項11】
前記超音波検査装置のウォーキングが、
前記超音波検査装置の前記基部を前記アクセスホールカバーに固定すること、
前記第1および第2の空気式リニアスラスタを上昇させること、
前記超音波検査装置を回転させて前記半径方向アームを所望の方向に向けること、
前記半径方向アームを所望の方向に所望の距離だけ延伸させること、
前記第1および第2の空気式リニアスラスタを前記アクセスホールカバーに接触するまで下降させること、
前記超音波検査装置の前記基部を前記アクセスホールカバーから解放すること、
前記超音波検査装置を上昇させて前記アクセスホールカバーから離すこと、
前記半径方向アームを所望の方向に所望の距離だけ移動すること、
前記第1および第2の空気式リニアスラスタを、前記基部が前記アクセスホールカバーに接触するまで上昇させること、
前記超音波検査装置を前記アクセスホールカバーに固定すること、および
前記超音波検査装置が前記アクセスホールカバーの中心に位置するまで上記の各ステップを繰り返すこと
から成る請求項10の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して溶接部の超音波検査に関し、具体的には、ジェットポンプを有する沸騰水型原子炉に見られるアクセスホールカバー溶接部を超音波検査する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に沸騰水型原子炉(BWR)は、原子燃料の炉心を含む原子炉容器内で水を沸点まで加熱し、発生させた蒸気により蒸気タービンを駆動し、電力を生産する。原子燃料炉心は、複数の燃料集合体から成る。図1に示すように、BWRでは、給水が、給水入口112を介して原子炉容器110へ入る。給水は、ダウンカマ環状部116を通って下方に流れ、炉心下部プレナム124に至る。当該ダウンカマ環状部116は、原子炉容器と炉心シュラウド118との間の環状領域である。次いで給水は、複数の燃料集合体122を含む原子燃料炉心120に入る。炉心シュラウド118は、原子燃料炉心120を取り囲むステンレス鋼円筒体である。水と蒸気の混合物が、シュラウド蓋体128の下にある炉心上部プレナム126に流入する。ジェットポンプ組立体142が、炉心シュラウド118の周りに周方向に分散配置されている。この炉心シュラウド118はシュラウド支持体51に支持され、当該シュラウド支持体151にはシュラウド支持板152が溶接されている。
【0003】
一部のBWRでは、建設時に、作業員が炉心下部プレナムにアクセスするための手段として、炉心シュラウド支持板にアクセスホールが開けられる。建設完了後に、環状部と下部プレナムとの間の障壁に漏れのないようにするため、板を溶接してこれらのアクセスホールを塞ぐ。漏れのない状態が保たれているのを確かめ且つ欠陥の可能性を特定するために、このような溶接部を定期的に検査する。この検査は典型的には、当技術分野で公知の従来の超音波検査法を用いて行われる。
【0004】
超音波検査(UT)などの非破壊評価(NDE)法は、当技術分野で公知であり、構造物の欠陥を検査するために一般的に使用される。一般に、1つ以上の振動子を使用して検査対象の構造物に高周波音波を当てる。振動子は一般的に、構造物中に超音波を導入するための、電圧によって励起される圧電結晶素子から成る。音波が、その伝搬媒質とは有意に異なるインピーダンスを有する何らかの特徴(空隙、亀裂、その他の欠陥など)と相互作用すると、音波の一部が反射または回折して音源の方へ戻ってくる。戻ってきた音波を検出し、定量化することによって、反射媒体の特性を明らかにする。検査結果を利用して構造物の状態および健全性を評価する。検出された欠陥の大きさ、方向、位置などの特性に基づいて、構造物を評価する。検査手法および得られたデータの精度と確度が高いほど、構造物の状態を判定する評価の信頼性が高い。
【0005】
本発明の目的は、ジェットポンプを有する沸騰水型原子炉、例えばシュラウド支持板に見られるアクセスホールカバー溶接部を超音波検査して当該溶接部の欠陥を検出するための装置および方法を提供し、それによって欠陥を確実に検出し解消して深刻な状況に至らないようにすることである。
【発明の概要】
【0006】
上記および他の目的は、ジェットポンプを有する沸騰水型原子炉におけるアクセスホールカバー溶接部の超音波検査装置に係る以下に記載の実施態様によって達成される。当該装置は、アクセスホールカバーに接する基部と、当該基部に結合され、当該アクセスホールカバーに対して垂直に延びる中央フレームと、当該中央フレームに取り付けられ、当該中央フレーム上で回転するように構成され、第1の端部および反対側の第2の端部を有する半径方向アームと、当該半径方向アームの当該第1の端部に取り付けられた第1の空気式リニアスラスタと、当該半径方向アームの当該反対側の第2の端部に取り付けられ、上端部と下端部とを有する第2の空気式リニアスラスタと、当該第1の空気式リニアスラスタに取り付けられ、上端部および下端部を有するスキューモータ組立体と、当該アクセスホールカバー溶接部を走査するために当該スキューモータ組立体の当該下端部に取り付けられた振動子とから成る。当該スキューモータ組立体は、当該アクセスホールカバー溶接部の円周接線に垂直な法線に対する当該振動子の角度を調節するように構成され、当該第1の空気式リニアスラスタは、当該振動子を上下に動かすように構成されている。
【0007】
別の局面で、本発明は、ジェットポンプを有する沸騰水型原子炉におけるアクセスホールカバー溶接部の超音波検査方法を提供する。この方法は、当該アクセスホールカバー溶接部の超音波検査を行うために、超音波検査装置をシュラウド支持板へ移送し、当該超音波検査装置を実質的に当該アクセスホールカバーの中心に位置決めする。当該装置は、アクセスホールカバーに接する基部と、当該基部に結合され、当該アクセスホールカバーに対して垂直に突出する中央フレームと、当該中央フレームに取り付けられ、当該中央フレーム上で回転するように構成され、第1の端部および反対側の第2の端部を有する半径方向アームと、当該半径方向アームの当該第1の端部に取り付けられた第1の空気式リニアスラスタと、当該半径方向アームの当該反対側の第2の端部に取り付けられ、上端部と下端部とを有する第2の空気式リニアスラスタと、当該第1の空気式リニアスラスタに取り付けられ、上端部および下端部を有するスキューモータ組立体と、当該アクセスホールカバー溶接部を走査するために当該スキューモータ組立体の当該下端部に取り付けられた振動子とから成る。当該スキューモータ組立体は、当該アクセスホールカバー溶接部の円周接線に垂直な法線に対する当該振動子の角度を調節するように構成され、当該第1の空気式リニアスラスタは、当該振動子を上下に動かすように構成されている。この方法はさらに、当該超音波検査装置を用いて、当該アクセスホールカバー溶接部の超音波検査を行う。
【0008】
或る特定の実施態様において、前記超音波検査装置を位置決めするステップは、前記装置の前記基部を前記アクセスホールカバーに固定すること、前記第1および第2の空気式リニアスラスタを上昇させること、前記装置を回転させて前記半径方向アームを所望の方向に向けること、前記半径方向アームを所望の方向に所望の距離だけ延伸させること、前記第1および第2の空気式リニアスラスタを前記アクセスホールカバーに接触するまで下降させること、前記装置の前記基部を前記アクセスホールカバーから解放すること、前記装置の前記基部を前記アクセスホールカバーから離して上昇させること、前記半径方向アームを所望の方向に所望の距離だけ移動すること、前記第1および第2の空気式リニアスラスタを、前記基部が前記アクセスホールカバーに接触するまで上昇させること、前記装置を前記アクセスホールカバーに固定すること、および前記装置が前記アクセスホールカバーの中心に位置するまで上記の各ステップを繰り返すことから成る。
【0009】
本発明の詳細を、好ましい実施態様を例にとり、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】先行技術に係る、ジェットポンプを有する従来型BWRの一部切欠き概略斜視図である。
【0011】
図2】本発明の或る特定の実施態様に係る超音波装置の正面図であり、当該ツールを定位置に固定するための真空カップを含めて示している。
【0012】
図3】本発明の或る特定の実施態様に係る、図2の超音波装置の右側面図である。
【0013】
図4】本発明の或る特定の実施態様に係る、図2の超音波装置の左側面図である。
【0014】
図5】本発明の或る特定の実施態様に係る、図2の超音波装置の背面図である。
【0015】
図6】本発明の或る特定の実施態様に係る超音波装置の正面図であり、当該装置を定位置に固定するための基部おもり組立体を含めて示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、ジェットポンプを有する沸騰水型原子炉等の原子炉におけるアクセスホールカバー溶接部の超音波検査装置および方法に関する。
【0017】
本発明の装置および方法は、一般的に、アクセスホールカバーをシュラウド支持板(SSP)につなぐ溶接部の欠陥を検出および特定するために、当該溶接部の出来るだけ大きい体積域が有効検査範囲に含まれるようにして超音波検査を行うものである。
【0018】
本発明の検査装置(工具、設備など)は、超音波検査のための3つの主要な走査軸を有する。すなわち、工具軸回転、半径方向伸縮アーム、および振動子スキュー角調節に関する走査軸である。工具軸回転用の走査軸は、工具中心の垂直軸を中心とする工具の回転を制御する。半径方向伸縮アーム用の走査軸は、アーム位置を検査装置の中心から半径方向に内方および外方において制御する。振動子スキュー角調節用の走査軸は、アクセスホールカバーの円周接線に垂直な法線に対する振動子の角度を制御する。これらの走査軸はいずれも、レゾルバーによる位置フィードバック付きのモータによって制御される。フィードバックのない運動軸は、空気式プログラマブル論理制御装置(PLC)によって制御される。
【0019】
図2に示すのは、本発明の或る特定の実施態様に係る、アクセスホールカバー超音波検査装置1の正面図である。検査装置1は、半径方向アーム組立体2、タレット4、および吊上げフレーム5を含む。半径方向アーム組立体2は、半径方向アームハウジング20と、第1の端部19および反対側の第2の端部21を有する半径方向アーム18とを含む。半径方向アーム組立体2は、タレット4に取り付けられ、当該タレット4の上で検査装置1の中心軸を中心として回転するように構成されている。吊上げフレーム5は、半径方向アーム組立体2に取り付けられ、検査装置1の設置および取り外しの際に当該検査装置を吊り上げるために係合するように構成されている。第1の空気式リニアスラスタ23は、半径方向アーム18の第1の端部19に取り付けられ、第2の空気式リニアスラスタ25は、半径方向アーム18の第2の端部21に取り付けられる。
【0020】
スキューモータ組立体8は、第1の空気式リニアスラスタ23に取り付けられる。スキューモータ組立体8の下端部には、振動子10’に結合された振動子ジンバル10が取り付けられる。スキューモータ組立体8は、アクセスホールカバー(図示せず)の円周接線に垂直な法線に対する振動子10’の角度を調節するように構成されている。第1の空気式リニアスラスタ23(スキューモータ組立体8に結合される)は、振動子10’を上下に動かすように構成されている。振動子10’の上方に空気圧シリンダ(図示せず)が配置され、空気式リニアスラスタ23と配管接続される。空気圧シリンダは、作動されると、振動子10’を定位置に固定する。
【0021】
第1の空気式リニアスラスタ23および空気圧シリンダ(図示せず)は、接触走査を行うために振動子10’を下方に延伸し、水浸走査を行うために振動子を上方に縮退させるように動作する。したがって、検査装置1は、当該装置を有意に調節または改造する必要なしに、接触法および水浸法という異なる2つの方法での走査が可能である。或る特定の実施態様では、いずれかの方法に関連する能力の限界に応じて振動子10’を取り替えるだけで、接触走査法と水浸走査法との間の切替えが可能である。
【0022】
検査装置1はまた、軸回転用モータ組立体6と半径方向伸縮用モータ組立体7とを含む。軸回転用モータ組立体6は、吊上げフレーム5の背部および半径方向アーム組立体2(半径方向中心点の近傍)に結合され、検査装置1の中心垂直軸を中心とする回転を制御するように構成されている。半径方向伸縮用モータ組立体7は、半径方向アーム組立体2(半径方向中心点の近傍)に結合され、当該アームの位置を検査装置1の中心から半径方向に内方および外方において制御するように構成されている。
【0023】
下端部にコンタクトパッド16が接続された第2の空気式リニアスラスタ25は、当該コンタクトパッド16を上下に動かすように構成されている。
【0024】
第1の空気式スラスタ23と第2の空気式スラスタ25とはそれぞれ独立に制御されるため、一方を昇降させずに他方を昇降させることができる。
【0025】
検査装置1はまた、タレット4に結合された真空カップ27(基部など)を含む。真空カップ27は、アクセスホールカバー(図示せず)の表面にしっかり取り付けられるように構成されている。さらに、カメラ組立体11が吊上げフレーム5に取り付けられ、写真を撮影して視覚フィードバックを提供するように構成されている。
【0026】
前述のように、検査装置1は、接触法と水浸法の両方の超音波検査を実施できる。これらの方法は、典型的には、振動子10’が取り付けられた第1の空気式リニアスラスタ23を上昇させる(上方に引込める)かまたは下降させる(下方に延伸させる)ことによって行う。空気圧シリンダ(図2には示さない)は、水浸走査を行うために振動子10’を定位置に固定する。アクセスホールカバーの表面からの上昇距離は、所定の水経路の位置に相応する。第1の空気式リニアスラスタ23が上昇すると、空気圧シリンダが延伸して接触板を振動子10’の最上面に押し当て、当該振動子が動かないようにする。第1の空気式リニアスラスタ23が下降すると、空気圧シリンダが引込んで、接触走査のために振動子10’が自由にジンバル動作できるようにする。
【0027】
図3に示すのは、図2に示す検査装置1の右側面図である。
【0028】
図4に示すのは、図2に示す検査装置1の左側面図である。
【0029】
図5に示すのは、図2に示す検査装置1の背面図である。
【0030】
図6に示すのは、本発明の或る特定の実施態様に係る検査装置1’である。図2〜5では基部が真空カップ27であるが、それを除けば検査装置1’は図2〜5の検査装置1と同じである。真空カップの代わりに基部おもり組立体12が付いている。
【0031】
ロープ、ポール、装置のコードなどの移送機構を用いて、本発明の検査装置(工具、設備など)は手動でシュラウド支持板へ移送される。当該装置をシュラウド支持板の上に置いたら、ウォーキング機構またはクローリング機構を用いて当該装置をアクセスホールカバーの上に適切に位置決めする。或る特定の実施態様では、当該検査装置をアクセスホールカバー上で移動させて、当該アクセスホールカバーの中心点上または中心点にできるだけ近い所に位置決めするために、以下のプロセスを使用する。真空カップを用いて、当該検査装置をアクセスホールカバーの表面に固定する。当該検査装置が固定されたら、空気式リニアスラスタを完全に上昇させる。次に、軸回転用モータによって当該検査装置を回転させてアームを所望の方向に向ける。当該半径方向アームを、所望の方向に完全に延伸させる。当該アームが完全に延伸したら、空気式リニアスラスタをカバー表面に接触するまで完全に下降させる。真空カップを解放し、当該検査装置を上昇させてカバー表面から離す。次いで、当該半径方向アームを所望の方向に向ける。当該アームを所望の距離だけ動かした後、真空カップがカバー表面に接触するまで空気式リニアスラスタを上昇させる。真空カップを真空引きして当該検査装置をカバー表面に固定し、当該検査装置が所望の位置に到達するまで本プロセス全体を繰り返す。
【0032】
アクセスホールカバーの上でその中心点にできるだけ近い所に工具を移動させるセンタリングを正確に行えない、例えば、工具位置を中心点に完全に一致させられない可能性があることが認められる。したがって、当該工具をアクセスホールカバーの中心点に位置決めする際の誤差をなくするために、運動制御ソフトウェアを使用することができる。この運動制御ソフトウェアは、走査時に3つの主要走査軸を能動的に調節する自動センタリング機能を有する。これは、超音波検査データ取得システムを使用して、アクセスホールカバーの中心点から工具中心までのオフセット距離(直交座標または極座標でのx方向、y方向、半径、角度など)を求めることによって達成される。このオフセット距離を求め、各軸をソフトウェアで調節することにより、当該工具がアクセスホールカバー上で正確にセンタリングされた場合と同じ走査軌跡をたどるように走査を行う。或る特定の実施態様では、プラントの構成により、検査装置のオフセット(本体基部中心とアクセスホールカバー中心との間の)を想定して走査を計画的に行う必要があるかもしれない。そのような実施態様では、部分的な走査が行われる。360度の走査が望ましいが、アクセスホールカバーの中心から実現できない場合、各走査区間が重なり合うように「扇形」走査が行われる。次に、これらの走査区間をソフトウェアを用いて統合し、360度の走査データを得る。
【0033】
或る特定の実施態様において、本発明の超音波検査装置は、トップハット形(それに限らない)など種々の設計のアクセスホールカバーに合うように改造するかまたは適応させることができる。
【0034】
本発明の特定の実施態様について詳しく説明してきたが、当業者は、本開示書全体の教示するところに照らして、これら詳述した実施態様に対する種々の変更および代替への展開が可能である。したがって、ここに開示した特定の実施態様は説明目的だけのものであり、本発明の範囲を何らも制約せず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲に記載の全範囲およびその全ての均等物である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6