特許6376700IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

SiC化学気相成長装置

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明者らは鋭意検討の結果、SiCエピタキシャル膜の均一性を高めるためには、炉体内のガスの対流や拡散を考慮しなければならないことを見出した。また結晶欠陥の原因となるパーティクルの多くは、ガス導入管内でも発生しており、ガス導入管内での反応ガスの分解等も制御しなければならないことを見出した。 特許文献1のCVD処理装置では、シャワーヘッド内の温度をCVD用反応ガスの反応温度より低く、かつ、CVD用反応ガスを構成する成分の液化温度より高い温度とすることが記載されている(段落0046)。CVD用反応ガスの反応温度より低くすると、CVD用反応ガスの分解は抑制することができる。しかし、SiC化学気相成長装置において当該構成を用いると、SiCは高温での成長を必要とするため、炉体内のSiCウェハの載置面とガス導入口付近で温度差が非常に大きくなる。すなわち、温度勾配によるガスの対流や拡散がより促進されてしまい、均一なSiCエピタキシャル膜を形成することができない。また原料ガスの流れが乱れると、壁面やガス導入管に付着した堆積物がパーティクルとして発生し、SiCエピタキシャル膜の欠陥を生み出すという問題があった。つまり、特許文献1のような構成は、比較的成長温度の低いSi薄膜等の化学気相成長装置においては利用することができるが、SiC等の高温の成長温度を必要とする化学気相成長装置においては、原料ガスが全く分解しない温度に維持することは困難である。また、炉体内に温度勾配の急峻な部分があると、対流や拡散を助長し、弊害を生み出す。
なお、CVD用反応ガスを構成する成分の液化温度は、例えばトリクロロシランの場合大気圧下で32℃であり、当該温度より高くすることは化学気相成長装置において当然の条件である。 また、特許文献2の成膜装置では、反応に使用するガスを分離して導入している。そのため、分解した異なる反応ガス同士が反応することを阻害し、副生成物が発生することを抑制できることが記載されている。しかしながら、第1及び第2のガス供給路は、輻射の影響を受け高温になるため、供給されるガスはガス供給路内で分解する。これらの分解したガスは、異なるガスと反応しなくても堆積物を生み出す可能性があり、この堆積物はパーティクルの原因となる。具体的には、例えば、第1の反応ガスを供給する第1のガス供給路内には、Siの堆積物が付着していると考えられる。このような堆積物が剥離すると、SiCエピタキシャル膜の欠陥の原因となりうる。 本発明は問題に鑑みてなされたものであり、原料ガス起因のパーティクルを抑制し、かつ炉体内のガスの対流や拡散を抑制したSiC化学気相成長装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明者らは、鋭意検討の結果、ガス導入管の周囲にヒートシールドを設け、そのヒートシールド自体を効率的に冷却する構成を設けることで当該問題を解決できることを見出し、発明を完成させた。 即ち、本発明は、課題を解決するため、以下の手段を提供する。
【発明の効果】
本発明の一実施形態にかかるSiC化学気相成長装置は、ガス導入管の周囲に配置されたヒートシールドを備える。SiC化学気相成長装置は、ヒートシールドを備えることで、輻射を低減し、ガス導入管の温度が高温になりすぎることを抑制できる。またこのヒートシールドは貫通孔を有しており、冷却ガス供給口から供給された冷却ガスを、貫通孔に供給することができる。そのため、ヒートシールド自体が熱を有し、ヒートシールドからの熱伝導によりガス導入管の温度が高くなることを抑制できる。
すなわち、ガス導入管内で原料ガスが分解し、原料ガス起因のSiC付着物の生成を抑制することができる。また、輻射の低減による温度上昇の抑制であるため、例えば、ガス導入管を水冷等で冷却するような極端な温度変化を生じさせない。そのため、緩やかな温度勾配による温度上昇の抑制が可能となり、炉体内のガスの対流や拡散を抑制することができる。 本発明の一態様に係るSiC化学気相成長装置は、貫通孔のガスの流れ方向に対して垂直な方向の断面積が、貫通孔1個あたり100mm2以下であってもよい。貫通孔の断面積が小さければ、それだけ輻射によりガス導入管が高温になることを抑制する効果を高めることができる。 本発明のSiC化学気相成長装置は、貫通孔が、ヒートシールドの厚さ方向に対して傾きを有していてもよい。貫通孔がヒートシールドの厚さ方向に対して傾きを有していることで、平面視した際にヒートシールドが形成されていない部分の面積をより狭くすることができ、輻射によるガス導入管が高温になることをより抑制することができる。また貫通孔の内表面の面積が大きくなるため、ヒートシールドをより効率的に冷やすことができる。そのため、熱伝導によりガス導入管が高温になることを抑制することができる。 本発明のSiC化学気相成長装置は、ヒートシールドを複数備えてもよい。ヒートシールドを複数備えることで、ヒートシールド毎に輻射低減効果を得ることができ、より段階的かつ効率的に温度変化を行うことができる。そのため、急激な温度変化を避けることができ、炉体内のガスの対流や拡散を抑制することができる。 本発明のSiC化学気相成長装置は、ヒートシールドが複数あり、隣り合うヒートシールドの貫通孔が平面視で重ならないことが好ましい。ヒートシールドが複数あり、隣り合うヒートシールドの貫通孔が平面視で重ならなければ、輻射を伝播する電磁波が障壁無く通過できる部分を無くすことができ、輻射によりガス導入管が高温になることをより抑制できる。 本発明の一SiC化学気相成長装置は、ヒートシールドが平面視円形であり、円形のヒートシールドの中央部から外周部に渡ってスリットが設けられていてもよい。SiC化学気相成長装置は、高温でSiCエピタキシャル膜を成長させるため、ヒートシールドも加熱により熱応力を受ける。このような熱応力は、ヒートシールドの破損等を招く。しかしながら、ヒートシールドがスリットを有すれば、このスリットにより熱応力を緩和することができるため、装置の耐久性を高めることができる。またこのスリットは、貫通孔を兼ねることができる。 本発明の一SiC化学気相成長装置は、冷却ガスとして、H2、Ar、Heからなる群から選ばれる1種以上のガスを用いてもよい。これらのガスは、炉体内に供給された場合、キャリアガス等として機能することができる。そのため、冷却用に特別なガスを準備する必要が無く、経済的な面で効率的である。 本発明の一実施形態にかかるSiC化学気相成長装置は、ガス導入管を複数有していてもよい。ガス導入管を複数有すれば、原料ガスを炉体内へ分散導入することができる。そのため、ガス導入管ごとに付着する堆積物の量を少なくすることができる。また、導入されるガスの面内均一性を高めることができる。 本発明の一実施形態にかかるSiC化学気相成長装置は、複数のガス導入管が、その一部がSi系原料ガスを炉体内へ導入するSi系原料ガス導入管であり、別の一部がC系原料ガスを炉体内へ導入するC系原料ガス導入管であり、Si系原料ガス導入管とC系原料ガス導入管はそれぞれ分離されていてもよい。原料ガスを分離して導入することで、不要なSiC生成物がガス導入管や炉体内壁面等に形成されることを抑制することができる。 本発明の一実施形態にかかるSiC化学気相成長装置は、ガス導入管を覆う外管を備え、ガス導入管と外管が二重管構造を構成し、ガス導入管と外管の間からガス導入管の周囲に冷却ガスを供給することができる構成としてもよい。二重管構造の外側に冷却ガスを供給することで、内管であるガス導入管がヒートシールドと直接接触することを防ぎ、熱伝導によりガス導入管の温度が高くなることをより抑制することができる。またガス導入管の周囲に供給した冷却ガスを、そのまま炉体内に流す構成とすると、冷却ガスにより導入される原料ガスが、ガス導入管に再度回り込むことを防ぐことができる。すなわち、ガス導入管の導入口に堆積物が付着することを効果的に抑制することができる。 本発明の一実施形態にかかるSiC化学気相成長装置は、ガス導入管が載置台の上部に配置された縦型の炉体構造でもよい。温度勾配による対流は、上下の温度差によって生じることが多い。従って、対流はガス導入管と載置台に温度差が生じやすい縦型の炉体構造において発生しやすいため、本発明は縦型の炉体構造において特に有用である。またガス導入管の導入口に堆積した付着物は、重力により下部にパーティクルとして落下することが考えられるため、この点においても縦型の炉体構造において特に有用である。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】本発明の一実施形態であるSiC化学成長装置を模式的に説明する断面模式図である。

【図2】本発明の一SiC化学気相成長装置に用いられるヒートシールドを平面視した図である。

【図3】本発明の一態様に係るSiC化学気相成長装置に用いられるヒートシールドの一例であり、貫通孔を通るように切断した断面の模式図である。

【図4】本発明の一態様に係るSiC化学気相成長装置に用いられるヒートシールドの一例であり、ヒートシールドが複数からなる場合の断面模式図である。

【図5】本発明の一態様に係るSiC化学気相成長装置に用いられるヒートシールドの一例であり、ヒートシールドがスリットを有する場合の平面模式図である。

【図6】本発明の一SiC化学気相成長装置が複数のガス導入管を有する場合の断面模式図であり、簡単のために炉体の下部は図示していない。

【図7】本発明の一SiC化学気相成長装置が複数のガス導入管を有する場合に用いられるヒートシールドを平面視した図である。

【図8】本発明の一SiC化学気相成長装置が複数のガス導入管を有する場合に用いられるヒートシールドを平面視した図である。

【図9】本発明の一SiC化学気相成長装置に用いられるガス導入管が外管によって覆われた二重管構造を有する場合の断面模式図である。

【図10】本発明の一SiC化学気相成長装置に用いられるガス導入管の周囲に複数の冷却ガス通過用貫通孔が設けられている場合のSiC化学気相成長装置の断面模式図であり、簡単のために炉体の下部は図示していない。

【図11】本発明の他の実施形態であるSiC化学成長装置を模式的に説明する断面模式図であり、炉体が横型のSiC化学気相成長装置の断面模式図である。

選択図 図1出願人が指定した本件の代表的な図

100:SiC化学気相成長装置、10:炉体、20:載置台、21:サセプタ、22:加熱機構、30:ガス導入管、31:ガス導入路、32:ガス導入口、32a:ガス導入端、30s:Si系原料ガス導入管、32s:導入口、30c:C系原料ガス導入管、32c:導入口、33:外管、34:冷却ガス通過用貫通孔、35:成膜処理前室、40:ヒートシールド、41:貫通孔、50:冷却ガス供給口、60:ガス排出口、g:原料ガス、Si:Si系原料ガス、C:C系原料ガス、W:SiCウェハ

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