(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような往復移動機構では、係合部材が摺動部材に装着されている。詳細には、係合部材が、摺動部材の外側からトラバースカム軸に向けて、摺動部材の支持孔部に挿入される。そして、係合部材が摺動部材の支持孔部に軸受けやブッシュ等を介して回転可能に支持され、係合部材の係合爪がトラバースカム軸のカム溝に係合した状態で、摺動部材の支持孔部がプレート部材に塞がれ、ネジ部材によってプレート部材が摺動部材に固定される。
【0005】
このように組立てられる往復移動機構では、係合部材の係合爪の幅(係合範囲)を広く形成した方が、係合爪は、トラバースカム軸のカム溝に沿ってスムーズに移動できる。すなわち、係合部材及び摺動部材から構成されるスライダが、スムーズに往復移動できる。
しかしながら、上述のように、係合部材は、摺動部材の外側からトラバースカム軸に向けて、摺動部材の支持孔部に挿入される。この場合、摺動部材の支持孔部の直径は、少なくとも係合部材の係合爪の幅は必要となるため、摺動部材そのものが、大型化するおそれがある。これが、スピニングリールの小型化を図る際の1つの問題となっていた。
【0006】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、釣用リールの往復移動機構において、摺動部材の移動時のスムーズさを低下させることなく、摺動部材を小型化することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明1に係る釣用リールの往復移動機構は、釣り糸が巻き付けられるスプールを、リール本体に対して、往復移動させるためのものである。
【0008】
釣用リールの往復移動機構は、トラバースカム軸と、係合部材と、摺動部材とを、備えている。トラバースカム軸は、カム溝を有している。トラバースカム軸は、リール本体に装着されたハンドルの巻取り操作に連動して回転する。係合部材は、カム溝に係合可能な係合爪を、有している。摺動部材は、係合部材を回転可能に支持する支持孔部を、有している。摺動部材の支持孔部の内周面には、支持孔部の貫通方向に延びる溝部が、設けられている。
【0009】
本釣用リールの往復移動機構では、支持孔部の貫通方向に延びる溝部が、摺動部材の支持孔部の内周面に設けられている。このため、係合部材の係合爪の幅を幅広に形成したとしても、係合爪を溝部に沿って案内することによって、この係合爪をトラバースカム軸のカム溝に係合させることができる。これにより、係合爪を、トラバースカム軸のカム溝に沿ってスムーズに移動できる。また、溝部は摺動部材の支持孔部の内周面を部分的に拡大しているだけであるので、摺動部材の支持孔部の直径を全体的に拡大する場合と比較して、摺動部材の小型化を図ることができる。
【0010】
以上のように、本釣用リールの往復移動機構では、摺動部材の移動時のスムーズさを低下させることなく、摺動部材を小型化することができる。
【0011】
発明2に係る釣用リールの往復移動機構では、発明1記載の釣用リールの往復移動機構において、溝部が、第1溝部と、第1溝部と対向する位置に設けられた第2溝部とを、有している。
【0012】
この場合、溝部が、第1溝部と、第1溝部と対向する位置に設けられた第2溝部とを、有している。このため、係合部材の係合爪を幅広に形成したとしても、係合爪を第1溝部及び第2溝部に沿って案内することによって、この係合爪をトラバースカム軸のカム溝に係合させることができる。これにより、係合爪は、トラバースカム軸のカム溝に沿ってスムーズに移動できる。また、第1溝部及び第2溝部は摺動部材の支持孔部の内周面を部分的に拡大しているだけであるので、摺動部材の支持孔部の直径を全体的に拡大する場合と比較して、摺動部材の小型化を図ることができる。
【0013】
発明3に係る釣用リールの往復移動機構では、発明2記載の釣用リールの往復移動機構において、支持孔部の貫通方向から見た場合に、第1溝部と第2溝部とを結ぶ直線が、トラバースカム軸の軸線に対して、交差している。
【0014】
この場合、第1溝部と第2溝部とを結ぶ直線がトラバースカム軸の軸線に対して交差するように、第1溝部及び第2溝部を摺動部材の支持孔部に設けることによって、摺動部材における比較的肉厚の厚い部分に第1溝部及び第2溝部を設けることができ、摺動部材の強度を低下させることなく、摺動部材を小型化することができる。
【0015】
発明4に係る釣用リールの往復移動機構では、発明3記載の釣用リールの往復移動機構において、支持孔部の貫通方向から見た場合に、第1溝部と第2溝部を結ぶ直線が、トラバースカム軸の軸線に対して、直交している。
【0016】
この場合、第1溝部と第2溝部とを結ぶ直線がトラバースカム軸の軸線に対して直交するように、第1溝部及び第2溝部を摺動部材の支持孔部に設けることによって、摺動部材における比較的肉厚の厚い部分に第1溝部及び第2溝部を設けることができ、摺動部材の強度を低下させることなく、摺動部材をさらに小型化することができる。
【0017】
発明5に係る釣用リールの往復移動機構では、発明3記載の釣用リールの往復移動機構において、支持孔部の貫通方向から見た場合に、第1溝部と第2溝部を結ぶ直線が、トラバースカム軸の軸線に対して、40度から60度の範囲で、交差している。
【0018】
この場合、第1溝部と第2溝部とを結ぶ直線がトラバースカム軸の軸線に対して直交するように、第1溝部及び第2溝部を摺動部材の支持孔部に設けることによって、摺動部材における比較的肉厚の厚い部分に第1溝部及び第2溝部を設けることができ、摺動部材の強度を低下させることなく、摺動部材をさらに小型化することができる。
【0019】
発明6に係る釣用リールの往復移動機構では、発明2から5に記載のいずれか1項に記載の釣用リールの往復移動機構において、係合爪の幅が、支持孔部の直径より長い。また、係合爪の幅は、第1溝部の底部と第2溝部の底部を結ぶ線分の長さより短い。
【0020】
この場合、係合爪の幅が、支持孔部の直径より長く、且つ第1溝部の底部と第2溝部の底部を結ぶ線分の長さより短くなるように、係合爪を形成することによって、係合爪を第1溝部及び第2溝部に沿ってスムーズに案内することができ、係合爪をトラバースカム軸のカム溝に係合することができる。
【0021】
発明7に係る釣用リールの往復移動機構では、発明1から6のいずれかに記載の釣用リールの往復移動機構において、係合部材が、支持孔部に回転可能に支持される支持部を、さらに有している。
【0022】
この場合、係合部材において、係合爪がトラバースカム軸に係合した状態で、支持部が摺動部材の支持孔部に回転可能に支持される。これにより、摺動部材を、係合部材を介して、トラバースカム軸に沿ってスムーズに移動させることができる。
【0023】
発明8に係る釣用リールの往復移動機構では、発明7記載の釣用リールの往復移動機構において、係合部材の支持部が、摺動部材の支持孔部の内周に設けられる回転支持部によって、回転可能に支持されている。
【0024】
この場合、回転部材によって、係合部材の支持部を摺動部材の支持孔部の内周に対してスムーズに回転させることができる。すなわち、摺動部材を、係合部材を介して、トラバースカム軸に沿ってよりスムーズに移動させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、釣用リールの往復移動機構において、摺動部材の移動時のスムーズさを低下させることなく、摺動部材を小型化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<全体構成>
図1及び
図2に示すように、本発明の一実施形態によるスピニングリール100は、釣り糸を前方に繰り出すものである。スピニングリール100は、リール本体2と、ロータ3と、スプール4と、スプール軸15と、ドラグ機構60と、ロータ駆動機構5と、オシレーティング機構6(往復移動機構の一例)と、を備える。
【0028】
リール本体2は、ハンドル1を回転自在に支持する。ハンドル1は、ハンドル軸8aと交差する方向に延びるハンドルアーム8bと、ハンドルアーム8bの先端に回転自在に装着されたハンドル把手8cとを、備える。ロータ3は、リール本体2の前部に回転自在に支持される。
【0029】
スプール4は、ロータ3の前部に配置される。スプール4は、スプール軸15の先端に設けられる。スプール4は、釣り糸が巻き付けられる糸巻胴部4aを、有している。スプール4は、スプール軸15とともに前後移動しながら、ロータ3によって糸巻胴部4aの外周に釣り糸が巻き付けられる。スプール4の内部には、設定されたドラグ力がスプール4に作用するようにスプール4を制動するドラグ機構60が収納される。
【0030】
図2に示すように、ドラグ機構60は、スプール4の糸繰り出し方向への回転を制動してスプール4にドラグ力を作用させるための機構である。ドラグ機構60は、ドラグつまみ組立体65と、摩擦部66とを、有している。ドラグつまみ組立体65は、ドラグ力を手で調整するためのものである。ドラグつまみ組立体65は、スプール4の前部に配置される。摩擦部66は、スプール4の内部に配置される。摩擦部66は、ドラグつまみ組立体65によってスプール4側に押圧される。これにより、ドラグ力が調整される。
【0031】
スプール軸15は、ピニオンギア12の中心部を貫通して配置される。スプール軸15は、オシレーティング機構6により、ピニオンギア12の内部を前後に往復移動する。スプール軸15は、中間部がナット13内に装着された軸受16により、後部がピニオンギア12の後部内周面により、回転自在かつ軸方向移動自在に支持される。
【0032】
ロータ駆動機構5は、ハンドル1の回転によって、ピニオンギア12を介して、ロータ3を駆動する。オシレーティング機構6は、ハンドル1の回転によって、スプール軸15を介して、スプール4を前後方向に往復移動させる。なお、ロータ駆動機構5及びオシレーティング機構6については、以下の<ローラ駆動機構の構成>及び<オシレーティング機構の構成>において、詳細な説明を行う。
【0033】
<リール本体の構成>
図1及び
図2に示すように、リール本体2は、筐体部2aと、蓋部材2bと、竿取付脚2cと、本体ガード7と、を有する。筐体部2aは、開口する機構装着空間2dを有する。機構装着空間2dには、ロータ3をハンドル1の回転に連動して回転させるロータ駆動機構5と、オシレーティング機構6と、が設けられる。筐体部2aには、釣り竿を取り付けるための竿取付脚2cが一体形成される。また、筐体部2aの前部には、筒部2fが形成される。
【0034】
蓋部材2bは、機構装着空間2dの開口2eを覆って機構装着空間2dを塞ぐために設けられる。竿取付脚2cは、筐体部2aから斜め上前方に延び、その先端が前後方向に延びる概ねT字状の部分である。竿取付脚2cは、筐体部2aと一体形成されている。なお、竿取付脚2cは、蓋部材2bと一体形成されてもよい。本体ガード7は、筐体部2a及び蓋部材2bの後面、後部側面及び後部底面を覆う。
【0035】
<ロータ駆動機構の構成>
図2に示すように、ロータ駆動機構5は、ハンドル1のハンドル軸8aが一体回転可能に連結された駆動軸10と、駆動軸10とともに回転する駆動ギア11と、駆動ギア11に噛み合うピニオンギア12と、を有する。駆動軸10は、筐体部2a及び蓋部材2bに装着された軸受(図示せず)により両端支持される。駆動軸10の両端部の内周面には、雌ねじ部(図示せず)が形成される。駆動ギア11は、例えばフェースギアの形態であり、駆動軸10に一体的に回転可能に設けられる。
【0036】
ピニオンギア12の前部12aは、ロータ3の中心部を貫通しており、ナット13を介して、ロータ3と一体回転可能に固定される。ナット13は、リテーナ18によって回り止めされる。リテーナ18は、ロータ3に固定される。ピニオンギア12は、軸方向に間隔を隔てて装着された軸受14a,14bにより、筐体部2aに回転自在に支持される。
【0037】
<ロータの構成>
図2に示すように、ロータ3は、ピニオンギア12を介してリール本体2に回転自在に支持される。ロータ3は、ピニオンギア12に一体回転可能に連結されたロータ本体30と、ベールアーム36と、を有する。
【0038】
ロータ本体30は、ピニオンギア12を介してリール本体2に回転自在に連結される。ベールアーム36は、ロータ本体30の第1及び第2ロータアーム30b,30cの先端に、揺動自在に装着される。ベールアーム36は、糸解放姿勢と糸巻き取り姿勢との間で揺動可能である。ベールアーム36は、糸巻取姿勢にあるとき、ロータ3の糸巻取方向の回転により、釣り糸をスプール4に巻き付ける。ベールアーム36には、ラインローラ41が装着されている。
【0039】
<オシレーティング機構の構成>
オシレーティング機構6は、釣り糸が巻き付けられるスプール4を、リール本体2に対して、往復移動させるための機構である。言い換えると、オシレーティング機構6は、スプール軸15を前後方向に移動させることによって、スプール4を同方向に往復移動させるための機構である。
図2に示すように、オシレーティング機構6は、トラバースカム軸21と、スライダ22と、中間ギア23と、を有する。なお、後述するように、スライダ22には、スライダ本体24及び係合部材25が含まれる(
図3を参照)。
【0040】
<トラバースカム軸>
トラバースカム軸21は、リール本体2に装着されたハンドル1の巻取り操作に連動して回転する。
図2及び
図3に示すように、トラバースカム軸21は、スプール軸15の下方で、スプール軸15と平行に配置されている。トラバースカム軸21の軸芯J1は、前後方向に沿うように、配置されている。トラバースカム軸21の両端部は、軸受例えば転がり軸受を介して、筐体部2aに回転自在に支持されている。また、トラバースカム軸21は、螺旋状溝21a(カム溝の一例)を有している。螺旋状溝21aは、トラバースカム軸21の外周面において交差する溝部である。
【0041】
<スライダ>
スライダ22は、トラバースカム軸21に沿って前後方向に移動する。
図3に示すように、スライダ22は、スライダ本体24(摺動部材の一例)と、係合部材25と、回転支持部29と、抜け止め部材27と、ネジ部材28とを、有する。
【0042】
スライダ本体24は、スプール軸連結部24aと、係合部材装着部24bと、第1ガイド部24c及び第2ガイド部24dと、を有する。スプール軸連結部24aには、スプール軸15の後端部が回転不能に連結される。係合部材装着部24bには、係合部材25が装着される。詳細には、係合部材装着部24bには、係合部材25、回転支持部29、抜け止め部材27、及びネジ部材28が、装着される。第1ガイド部24c及び第2ガイド部24dは、スライダ本体24を前後方向にガイドする。
【0043】
スプール軸連結部24aは、概ね直方体形状である。スプール軸連結部24aには、スプール軸15の後端部が、嵌合される。また、スプール軸15の後端部は、スプール軸15に螺合するネジ部材37によって、固定される。これにより、スプール軸15の後端部がスライダ本体24に固定される。
【0044】
図3及び
図4に示すように、係合部材装着部24bは、概ね筒状の部分である。係合部材装着部24bは、支持孔部24fと、配置平面24mとを、有している。支持孔部24fには係合部材25が配置され、係合部材25は支持孔部24fに回転可能に支持される。詳細には、支持孔部24fには回転支持部29が配置され、係合部材25は回転支持部29を介して支持孔部24fに回転可能に支持される。
【0045】
配置平面24mは、抜け止め部材27が配置される部分である。配置平面24mは、係合部材装着部24bにおいてトラバースカム軸21から離れる側の端面である。配置平面24mの下方には、ネジ部材28が螺合するネジ取付部24nが、形成される。
【0046】
図3、
図4、及び
図5に示すように、支持孔部24fは、トラバースカム軸21と実質的に直交する方向に形成されている。支持孔部24fは、溝部24hと、規制突起24k(
図4を参照)とを、有している。溝部24hは、支持孔部24fの貫通方向A1に延びるように、支持孔部24fの内周面に形成されている。ここでは、支持孔部24fの貫通方向A1は、支持孔部24fの中心を通過する軸方向に、定義されている。また、溝部24hは、後述する係合部材25の係合爪25bが通過する部分である。
【0047】
詳細には、
図4に示すように、溝部24hは、第1溝部124hと、第2溝部224hとを、有している。第1溝部124h及び第2溝部224hは、支持孔部24fの内周面において、互いに対向して形成されている。また、第1溝部124h及び第2溝部224hそれぞれは、支持孔部24fの貫通方向A1に沿って、支持孔部24fの内周面に形成されている。
また、第1溝部124h及び第2溝部224hの形成位置は、係合部材装着部24b(支持孔部24fの外周部)の肉厚が厚い部分である。具体的には、第1溝部124hは、スプール軸連結部24aと係合部材装着部24bとが接続される部分において、支持孔部24fの内周面に形成されている。第2溝部224hは、係合部材装着部24bとネジ取付部24nとが接続される部分において、支持孔部24fの内周面に形成されている。
【0048】
また、
図4及び
図5に示すように、第1溝部124hと第2溝部224hとを結ぶ直線S1(
図5では線分T1で表記)は、トラバースカム軸21の軸線J1に対して、食い違っている。言い換えると、支持孔部24fの貫通方向A1から見た場合、直線S1(線分T1)は軸線J1と交差している。ここで、線分T1は、第1溝部124hの底部と第2溝部224hの底部とを結ぶ線分である。
【0049】
より具体的には、直線S1(線分T1)は、軸線J1に対して、40度から60度の範囲で食い違っている。すなわち、
図4に示すように、支持孔部24fの貫通方向A1から見た場合、40度から60度の範囲の角度αで交差しており、
図5に示すように、支持孔部24fの貫通方向A1において、直線S1(線分T1)は軸線J1から所定の間隔を隔てて配置される。また、トラバースカム軸21の軸線J1方向から見た場合にも、直線S1(線分T1)は軸線J1から所定の間隔を隔てて配置される。
【0050】
なお、ここでは、
図4に示すように、上記の直線S1(線分T1)は、支持孔部24fの貫通方向A1から見て、第1溝部124hの底部の中点と第2溝部224hの底部の中点とを通過する直線で、定義されている。
【0051】
規制突起24kは、係合部材25の貫通方向A1の位置を規制するためのものである。
図4に示すように、規制突起24kは、支持孔部24fの内周面に形成されている。具体的には、一対の規制突起24kが、互いに対向するように、支持孔部24fの内周面に形成されている。規制突起24kは、支持孔部24fの軸芯に向けて、円弧状に突出している。
【0052】
図3に示すように、第1ガイド部24cは、スプール軸連結部24aのトラバースカム軸21側の壁面から突出して形成される。第1ガイド部24cには、スライダ22を前後方向に案内するための第1ガイド軸38aが、挿通される。第1ガイド軸38aは、両端が筐体部2aに支持される。また、第2ガイド部24dは、係合部材装着部24bの下面から下方に突出して形成される。第2ガイド
部24dには、スライダ22を前後方向に案内するための第2ガイド軸38bが、挿通される。第2ガイド軸38bは、両端が筐体部2aに支持される。
【0053】
係合部材25は、
図3及び
図5に示すように、スライダ本体24(係合部材装着部24b)の支持孔部24fに、配置される。係合部材25は、軸部25a(支持部の一例)と、係合爪25bとを、有する。軸部25aは、支持孔部24fに回転可能に支持される。詳細には、軸部25aは、後述する回転支持部29によって、回転可能に支持される。軸部25aは、係合爪25bと一体に形成される。具体的には、軸部25aの一端部には、円板部25eが一体に形成されており、円板部25eが係合爪25bと一体に形成される(
図3を参照)。
【0054】
図3、
図4、及び
図5に示すように、係合爪25bは、螺旋状溝21aに係合可能である。係合爪25bは、軸部25aに設けられている。係合爪25bは、トラバースカム軸21に向けて板状に突出している。具体的には、係合爪25bの幅W1が支持孔部24fの直径R1より長くなるように、係合爪25bは軸部25aの一端部に設けられている。また、係合爪25bの幅W1が第1溝部124hの底部と第2溝部224hの底部を結ぶ線分L1の長さより短くなるように、係合爪25bは軸部25aの一端部に設けられている。
【0055】
このような係合爪25bは、螺旋状溝21aに係合可能である。例えば、係合爪25bの両端部が溝部24h(第1溝部124h及び第2溝部224h)を通過することによって、係合爪25bは螺旋状溝21aに係合する。また、係合爪25bの両端部の一部は、螺旋状溝21aの外側に配置される。また、係合爪25bの両側面は、スライダ本体24の支持孔部24fの規制突起24kに、接触可能である。係合爪25bの両側面が規制突起24kに接触することによって、スライダ本体24に対する係合部材25の位置が、規制される。
【0056】
このようにスライダ22を構成することによって、トラバースカム軸21が回転すると、係合爪25bが螺旋状溝21aに案内され、スライダ22がトラバースカム軸21に沿って前後方向に移動する。
【0057】
図3及び
図5に示すように、回転支持部29は、係合部材25の軸部25aを回動自在に支持するためのものである。回転支持部29は、スライダ本体24の支持孔部24fの内周に設けられる。回転支持部29は、第1軸受29aと、第2軸受29bとを、有している。
【0058】
第1軸受29aは、例えば、筒状の滑り軸受である。第1軸受29aは、スライダ本体24の支持孔部24fの内周に配置される。例えば、第1軸受29aは、支持孔部24fに嵌合される。これにより、第1軸受29aは、支持孔部24fに対して、支持孔部24fの貫通方向A1に移動不能に固定される。
【0059】
第2軸受29bは、例えば、玉軸
受又はコロ軸受等の転がり軸受である。第2軸受29bは、スライダ本体24の支持孔部24fの内周に設けられる。第2軸受29bは、第1軸受29aの係合爪25b側において、支持孔部24f内に配置される。すなわち、第2軸受29bは、第1軸受29aと係合爪25bとの間に配置される。
【0060】
第1軸受29aと第2軸受29bとの間には、第2軸受29bの軸方向のがたつきを抑えるためのワッシャ部材39が、配置される。
図5に示すように、ワッシャ部材39は、第2軸受29bの外輪に接触する。また、第2軸受29bの内輪は、係合爪25bの円板部25eに、接触する。
【0061】
図3及び
図5に示すように、抜け止め部材27は、板状に形成されている。抜け止め部材27は、係合部材装着部24bの配置平面24mに配置され、第1軸受29aを押圧して抜け止めする。抜け止め部材27は、スライダ本体24のネジ取付部24nに螺合するネジ部材28によって、スライダ本体24に固定される。
【0062】
<中間ギア>
図2に示すように、中間ギア23は、トラバースカム軸21の先端に一体回転可能に装着されている。
図3に示すように、中間ギア23は、減速機構52を介して、ピニオンギア12に噛み合う。中間ギア23は、非円形係合によって、トラバースカム軸21の前端に一体回転可能に装着される。減速機構52は、ピニオンギア12の回転を減速して中間ギア23に伝達する。減速機構52は、ピニオンギア12に噛み合う第1ギア53と、第1ギア53と一体回転可能に回転し中間ギア23に噛み合う第2ギア54と、を有する。第1ギア53は、ピニオンギア12よりも歯数が多い。第2ギア54は、中間ギア23よりも歯数の少ない。第2ギア54は、筐体部2aの前部に両端支持された支持軸55に、回転自在に支持される。これにより、ピニオンギア12の回転が、二段階で減速されて中間ギアに伝達される。すると、スプール4の前後移動の速度が遅くなり、釣り糸を糸巻胴部4aに密に巻き付け可能になる。
【0063】
<その他の構成>
図2に示すように、リール本体2の筒部2fの内部には、ロータ3の逆転を禁止するための逆転防止機構50が配置されている。逆転防止機構50は、内輪が遊転するローラ型のワンウェイクラッチ51を有する。この逆転防止機構50は、ロータ3の糸繰り出し方向の逆転を常時禁止しており、逆転を許可する状態をとることはない。逆転防止機構50は、筒部2fに固定されたキャップ部材20によって抜け止めされる。なお、逆転防止機構を逆転許可状態と逆転禁止状態と
に切り換えできるように構成してもよい。
【0064】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0065】
(a)前記実施形態では、スライダ本体24の支持孔部24fの貫通方向A1から見た場合に、第1溝部124hと第2溝部224hとを結ぶ直線S1が、トラバースカム軸21の軸線J1に対して食い違うように、第1溝部124hと第2溝部224hが支持孔部24fに形成される場合の例を示した。
【0066】
しかしながら、スライダ本体24において肉厚の厚い部分を、トラバースカム軸21の軸線J1に対して直交する位置に確保できる場合、支持孔部24fの貫通方向A1から見て、第1溝部124hと第2溝部224hとを結ぶ直線S1が、トラバースカム軸21の軸線J1に対して直交するように、第1溝部124hと第2溝部224hが支持孔部24fに形成してもよい。
【0067】
この場合、直線S1が軸線J1に対して直交するように第1溝部124hと第2溝部224hとを形成することによって、スライダ本体24の肉厚の厚い部分に第1溝部124h及び第2溝部224hを形成することができる。これにより、スライダ本体24の強度を向上することができる。
【0068】
(b)前記実施形態では、回転支持部29が、第1軸受29aと第2軸受29bとを有する場合の例を示したが、係合部材25を回動自在に支持することができれば、回転支持部29は、どのように構成してもよい。例えば、回転支持部29が、第1軸受29a及び第2軸受29bのいずれか一方によって構成されるようにしてもよい。
【0069】
<特徴>
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
【0070】
(A)本オシレーティング機構6は、釣り糸が巻き付けられるスプール4を、リール本体2に対して、往復移動させるためのものである。
【0071】
オシレーティング機構6
は、トラバースカム軸21と、スライダ22と、中間ギア23とを、備えている。トラバースカム軸21は、螺旋状溝21aを有している。トラバースカム軸21は、リール本体2に装着されたハンドル1の巻取り操作に連動して回転する。スライダ22は、スライダ本体24と、係合部材25と、回転支持部29と、抜け止め部材27と、ネジ部材28とを、有する。スライダ本体24は、係合部材25を回転可能に支持する支持孔部24fを、有している。スライダ本体24の支持孔部24fの内周面には、支持孔部24fの貫通方向A1に延びる溝部24hが、設けられている。係合部材25は、螺旋状溝21aに係合可能な係合爪25bを、有している。
【0072】
本オシレーティング機構6では、支持孔部24fの貫通方向A1に延びる溝部24hが、スライダ本体24の支持孔部24fの内周面に設けられている。このため、係合部材25の係合爪25bの幅を幅広に形成したとしても、係合爪25bを溝部24hに沿って案内することによって、この係合爪
24bをトラバースカム軸21の螺旋状溝21aに係合させることができる。これにより、係合爪
24bを、トラバースカム軸21の螺旋状溝21aに沿ってスムーズに移動できる。また、溝部24hはスライダ本体24の支持孔部24fの内周面を部分的に拡大しているだけであるので、スライダ本体24の支持孔部24fの直径R1を全体的に拡大する場合と比較して、スライダ本体24の小型化を図ることができる。
【0073】
以上のように、本オシレーティング機構6では、スライダ本体24の前後移動時のスムーズさを低下させることなく、スライダ本体24を小型化することができる。
【0074】
(B)本オシレーティング機構6では、溝部24hが、第1溝部124hと、第1溝部124hと対向する位置に設けられた第2溝部224hとを、有している。
【0075】
この場合、溝部24hが、第1溝部124hと、第1溝部124hと対向する位置に設けられた第2溝部224hとを、有している。このため、係合部材25の係合爪25bを幅広に形成したとしても、係合部材25の係合爪25bを第1溝部124h及び第2溝部224hに沿って案内することができる。これによって、この係合爪25bをトラバースカム軸21の螺旋状溝21aに係合させることができる。これにより、係合爪25bは、トラバースカム軸21の螺旋状溝21aに沿ってスムーズに移動できる。また、第1溝部124h及び第2溝部224hはスライダ本体24の支持孔部24fの内周面を部分的に拡大しているだけであるので、スライダ本体24の支持孔部24fの直径R1を全体的に拡大する場合と比較して、スライダ本体24の小型化をさらに図ることができる。
【0076】
(C)本オシレーティング機構6では、支持孔部24fの貫通方向A1から見た場合に、第1溝部124hと第2溝部224hとを結ぶ直線S1が、トラバースカム軸21の軸線J1に対して、交差している。
【0077】
この場合、スライダ本体24における肉厚の厚い部分がトラバースカム軸21の軸線J1に対して交差する位置に設けられている場合、上記の直線S1がトラバースカム軸21の軸線J1に対して交差するように、第1溝部124h及び第2溝部224hをスライダ本体24の支持孔部24fに設けることによって、スライダ本体24の強度を低下させることなく、スライダ本体24の小型化をさらに図ることができる。
【0078】
(D)本オシレーティング機構6では、支持孔部24fの貫通方向A1から見た場合に、第1溝部124hと第2溝部224hとを結ぶ直線S1が、トラバースカム軸21の軸線J1に対して、40度から60度の範囲で、交差している。
【0079】
この場合、スライダ本体24における肉厚の厚い部分がトラバースカム軸21の軸線J1に対して40度から60度の範囲に設けられている場合、上記の直線S1がトラバースカム軸21の軸線J1に対して40度から60度の範囲で交差するように、第1溝部124h及び第2溝部224hをスライダ本体24の支持孔部24fに設けることによって、スライダ本体24の強度を低下させることなく、スライダ本体24を小型化することができる。
【0080】
(E)本オシレーティング機構6では、係合爪25bの幅W1が、支持孔部24fの直径R1より長い。また、係合爪25bの幅W1は、第1溝部124hの底部と第2溝部224hの底部を結ぶ線分L1の長さより短い。
【0081】
この場合、係合爪25bの幅W1が、支持孔部24fの直径R1より長く、且つ第1溝部124hの底部と第2溝部224hの底部を結ぶ線分L1の長さより短くなるように、係合爪25bを形成することによって、係合爪25bを第1溝部124h及び第2溝部224hに沿ってスムーズに案内することができ、係合爪25bをトラバースカム軸21の螺旋状溝21aに係合することができる。
【0082】
(F)本オシレーティング機構6では、係合部材25が、支持孔部24fに回転可能に支持される軸部25aを、さらに有している。
【0083】
この場合、係合部材25において、係合爪25bがトラバースカム軸21に係合した状態で、軸部25aがスライダ本体24の支持孔部24fに回転可能に支持される。これにより、スライダ本体24を、係合部材25を介して、トラバースカム軸21に沿ってスムーズに移動させることができる。
【0084】
(G)本オシレーティング機構6では、係合部材25の軸部25aが、スライダ本体24の支持孔部24fの内周に設けられる回転支持部29によって、回転可能に支持されている。
【0085】
この場合、回転支持部29によって、係合部材25の軸部25aをスライダ本体24の支持孔部24fの内周に対してスムーズに回転させることができる。すなわち、スライダ本体24を、係合部材25を介して、トラバースカム軸21に沿ってよりスムーズに移動させることができる。