特許第6376763号(P6376763)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6376763
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】流体荷役装置
(51)【国際特許分類】
   B67D 7/32 20100101AFI20180813BHJP
   B67D 7/04 20100101ALI20180813BHJP
【FI】
   B67D7/32 E
   B67D7/04 E
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-19422(P2014-19422)
(22)【出願日】2014年2月4日
(65)【公開番号】特開2015-145280(P2015-145280A)
(43)【公開日】2015年8月13日
【審査請求日】2017年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】303046602
【氏名又は名称】東京貿易エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】河合 務
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕隆
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−198397(JP,A)
【文献】 特開2007−137425(JP,A)
【文献】 特開平06−156594(JP,A)
【文献】 特開平06−179492(JP,A)
【文献】 国際公開第90/08375(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 7/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク内に垂下させ流体荷役駆動装置を作動させてこのタンク内に流体を供給する流体荷役管に、ガスパージ用吸引駆動装置を作動させて前記タンク内をガスパージするガスパージ管を前記流体荷役管に分岐状態若しくは並設状態に設け、このガスパージを行う際に閉じ状態から開き状態としガスパージを終了した後若しくはガスパージしないときには閉じ状態として、前記タンク内に流体を供給する際にこの流体が前記ガスパージ管へ逆流することを阻止するガスパージ開閉弁を設け、このガスパージ開閉弁は、ガスパージを行う際にガスパージ切替操作部の操作可動により閉じ状態から開き状態に切り替える構成として、前記ガスパージ切替操作部を開き操作することで前記ガスパージ開閉弁を開き状態に切り替えた後、ガスパージ作動スイッチを操作して前記ガスパージ用吸引駆動装置を作動させガスパージを行った後に、前記ガスパージ切替操作部を閉じ操作して前記ガスパージ開閉弁を閉じ状態に切り替えた後、流体荷役作動スイッチを操作して前記流体荷役駆動装置を作動させ前記タンク内に流体を供給する流体荷役装置であって、前記ガスパージ開閉弁を開閉切り替え操作する前記ガスパージ切替操作部に、このガスパージ切替操作部の操作可動によって連動可動する連動可動部を設け、この連動可動部に前記流体荷役作動スイッチの操作を邪魔する流体荷役作動阻止用カバー部を設けると共に、前記ガスパージ作動スイッチの操作を邪魔するガスパージ作動阻止用カバー部を設け、前記ガスパージ切替操作部を操作可動して前記ガスパージ開閉弁を開き状態とした際には、前記連動可動部の連動可動により前記流体荷役作動阻止用カバー部が前記流体荷役作動スイッチの操作の邪魔となる位置に連動移動すると共に、逆に前記ガスパージ切替操作部を操作可動して前記をガスパージ開閉弁を閉じ状態とした際には、前記連動可動部の連動可動により前記流体荷役作動阻止用カバー部が退避移動して前記流体荷役作動スイッチの操作の邪魔とならない位置に連動移動し、且つ前記連動可動部の連動可動により前記ガスパージ作動阻止用カバー部が前記ガスパージ作動スイッチの操作の邪魔となる位置に連動移動するように構成した前記ガスパージ開閉弁の開閉操作可動に連動する流体荷役作動阻止機構を備えたことを特徴とする流体荷役装置。
【請求項2】
前記流体荷役駆動装置を備えた前記流体荷役管となるローディングアームの先端部の前記タンク内に垂下するドロップパイプに、分岐状態若しくは並設状態に前記ガスパージ用吸引駆動装置を備えた前記ガスパージ管を設け、このガスパージ管に前記ガスパージ開閉弁を設けたことを特徴とする請求項1記載の流体荷役装置。
【請求項3】
前記流体荷役作動阻止用カバー部及び前記ガスパージ作動阻止用カバー部は、前記流体荷役作動スイッチ又は前記ガスパージ作動スイッチの押下操作を邪魔するように覆うカバープレートで構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の流体荷役装置。
【請求項4】
前記ガスパージ切替操作部は、前記ガスパージ開閉弁を開閉操作するために正逆回動する操作レバーとしてこのガスパージ開閉弁に設け、このガスパージ切替操作部の正逆回動により連動可動する前記連動可動部をガスパージ切替操作部に設け、この連動可動部に前記流体荷役作動阻止用カバー部と前記ガスパージ作動阻止用カバー部を設け、前記ガスパージ切替操作部を操作回動して前記ガスパージ開閉弁を閉じ状態とした際には、前記連動可動部の連動可動により前記流体荷役作動阻止用カバー部は退避可動して前記流体荷役作動スイッチを操作できる位置に連動移動し、且つ前記連動可動部の連動可動により前記ガスパージ作動阻止用カバー部が前記ガスパージ作動スイッチを操作できない位置に連動移動する前記連動可動部から成る連動機構を前記ガスパージ切替操作部に設けると共に、前記流体荷役作動阻止用カバー部及び前記ガスパージ作動阻止用カバー部の位置並びに前記流体荷役作動スイッチ及び前記ガスパージ作動スイッチの位置を設定して、前記流体荷役作動阻止機構を構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の流体荷役装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばローディングアームなどの流体をタンク内へ供給する流体荷役装置であって、必要に応じて流体を供給する前に、タンク内をガスパージすることもできるガスパージ機構を備えた流体荷役装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、製油所やタンカーからタンクローリーのハッチと呼ばれる各タンクに別の油種、例えばガソリンや灯油などをローディングアームなどにより給油し、各ガソリンスタンドなどの需要先に配送しているが、この場合、空のタンクに給油する際、前回のタンクに積荷した油種と異なる油種を積み込む場合には、このタンク内をガスパージしなければならない場合がある。
【0003】
例えば、前回の積荷がガソリンで、空にしたこのタンクに今度は灯油を積み込む場合、前回のガソリン蒸気(ガソリンベーパー)が充満しており、ここに灯油が供給されていくと、ガソリン蒸気が灯油に吸収されてガソリン蒸気濃度が下がり、空気との混合割合が爆発危険範囲内に下がってしまい、静電気などにより爆発の恐れが生じる場合がある。
【0004】
そのため、このような恐れがある場合は、給油に先立ちタンク内をガスパージする。
【0005】
即ち、タンク内にガスパージ管を垂下しブロワーで吸引してガソリン蒸気を吸引排気すると共に空気を取り込んで置換し、ガソリン蒸気濃度を爆発危険範囲より十分に低くしてから給油するようにしている。
【0006】
また、一方、このようなガスパージを行う場合に、一々ガスパージ設備のあるところにタンクローリーを移動し、ローディングアームのドロップパイプに替えてこのガスパージ管を垂下させガスパージ作業を行うのは厄介であるので、ローディングアームのドロップパイプにガスパージ管を分岐状態あるいは並設状態に設けて、必要に応じてこのようにドロップパイプに付設したガスパージ装置を作動させて(ガスパージ用吸引駆動装置を作動させてガスパージ管を介してタンク内のガソリン蒸気を吸引排気して)ガスパージを行うようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、単に作業者の判断により油種の荷役作業に替えて(これに先立って)、ガスパージを行い、そして改めて荷役作業を行う場合に、もしガスパージ管のガスパージ開閉弁を閉め忘れると、流体(例えば油種)が吸引作動していなくてもガスパージ管に逆流(流入)する恐れがあり、もしガスパージ管へ流体が流入し滞留してしまうと次に行うときのガスパージ機能に支障が生じたり、パージ(吸引)機能が劣ったりして、故障となったりガスパージ効率が著しく低下するおそれがある。
【0008】
そのため、従来はこのようなことがないように、ガスパージ管に設けたガスパージ開閉弁の開閉点検、流体荷役管に設けた開閉弁の開閉点検などを十分に行った上で、流体荷役作動スイッチ(スタートスイッチ)を押下げたり、ガスパージ作動スイッチ(スタートスイッチ)を押下げたりしなければならず、非常に厄介で気を使う作業となっていた。
【0009】
このような誤操作を防止すべく各パイプに開閉センサーを設けたり、これに基づいて各スタートスイッチを作動制御する自動作動制御装置を組み込むこともできるが、コスト高となるだけでなく、この制御装置の故障によって作動させることすらできなくなってしまったり、このようなことのないように、回路設計しなければならず、またその場合にまた結局誤動作の心配による点検・確認作動を要することになってしまう。
【0010】
本発明は、このような問題点を見い出しこれを解決したもので、簡易な構成で、即ち、例えば簡単な構成で流体荷役作動阻止機構を構築し付設でき、ガスパージ後ガスパージ開閉弁を閉じ忘れたまま流体荷役作業を行う誤操作を確実に防止できる極めて実用性に優れた流体荷役装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0012】
タンク1内に垂下させ流体荷役駆動装置4を作動させてこのタンク内に流体を供給する流体荷役管2に、ガスパージ用吸引駆動装置5を作動させて前記タンク内をガスパージするガスパージ管3を前記流体荷役管2に分岐状態若しくは並設状態に設け、このガスパージを行う際に閉じ状態から開き状態としガスパージを終了した後若しくはガスパージしないときには閉じ状態として、前記タンク1内に流体を供給する際にこの流体が前記ガスパージ管3へ逆流することを阻止するガスパージ開閉弁6を設け、このガスパージ開閉弁6は、ガスパージを行う際にガスパージ切替操作部7の操作可動により閉じ状態から開き状態に切り替える構成として、前記ガスパージ切替操作部7を開き操作することで前記ガスパージ開閉弁6を開き状態に切り替えた後、ガスパージ作動スイッチ10を操作して前記ガスパージ用吸引駆動装置5を作動させガスパージを行った後に、前記ガスパージ切替操作部7を閉じ操作して前記ガスパージ開閉弁6を閉じ状態に切り替えた後、流体荷役作動スイッチ9を操作して前記流体荷役駆動装置4を作動させ前記タンク1内に流体を供給する流体荷役装置であって、前記ガスパージ開閉弁6を開閉切り替え操作する前記ガスパージ切替操作部7に、このガスパージ切替操作部7の操作可動によって連動可動する連動可動部8を設け、この連動可動部8に前記流体荷役作動スイッチ9の操作を邪魔する流体荷役作動阻止用カバー部11を設けると共に、前記ガスパージ作動スイッチ10の操作を邪魔するガスパージ作動阻止用カバー部12を設け、前記ガスパージ切替操作部7を操作可動して前記ガスパージ開閉弁6を開き状態とした際には、前記連動可動部8の連動可動により前記流体荷役作動阻止用カバー部11が前記流体荷役作動スイッチ9の操作の邪魔となる位置に連動移動すると共に、逆に前記ガスパージ切替操作部7を操作可動して前記をガスパージ開閉弁6を閉じ状態とした際には、前記連動可動部8の連動可動により前記流体荷役作動阻止用カバー部11が退避移動して前記流体荷役作動スイッチ9の操作の邪魔とならない位置に連動移動し、且つ前記連動可動部8の連動可動により前記ガスパージ作動阻止用カバー部12が前記ガスパージ作動スイッチ10の操作の邪魔となる位置に連動移動するように構成した前記ガスパージ開閉弁6の開閉操作可動に連動する流体荷役作動阻止機構Aを備えたことを特徴とする流体荷役装置に係るものである。
【0013】
また、前記流体荷役駆動装置4を備えた前記流体荷役管2となるローディングアーム13の先端部の前記タンク1内に垂下するドロップパイプ2に、分岐状態若しくは並設状態に前記ガスパージ用吸引駆動装置5を備えた前記ガスパージ管3を設け、このガスパージ管3に前記ガスパージ開閉弁6を設けたことを特徴とする請求項1記載の流体荷役装置に係るものである。
【0014】
また、前記流体荷役作動阻止用カバー部11及び前記ガスパージ作動阻止用カバー部12は、前記流体荷役作動スイッチ9又は前記ガスパージ作動スイッチ10の押下操作を邪魔するように覆うカバープレートで構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の流体荷役装置に係るものである。
【0015】
また、前記ガスパージ切替操作部7は、前記ガスパージ開閉弁6を開閉操作するために正逆回動する操作レバーとしてこのガスパージ開閉弁6に設け、このガスパージ切替操作部7の正逆回動により連動可動する前記連動可動部8をガスパージ切替操作部7に設け、この連動可動部8に前記流体荷役作動阻止用カバー部11と前記ガスパージ作動阻止用カバー部12を設け、前記ガスパージ切替操作部7を操作回動して前記ガスパージ開閉弁6を閉じ状態とした際には、前記連動可動部8の連動可動により前記流体荷役作動阻止用カバー部11は退避可動して前記流体荷役作動スイッチ9を操作できる位置に連動移動し、且つ前記連動可動部8の連動可動により前記ガスパージ作動阻止用カバー部12が前記ガスパージ作動スイッチ10を操作できない位置に連動移動する前記連動可動部8から成る連動機構14を前記ガスパージ切替操作部7に設けると共に、前記流体荷役作動阻止用カバー部11及び前記ガスパージ作動阻止用カバー部12の位置並びに前記流体荷役作動スイッチ9及び前記ガスパージ作動スイッチ10の位置を設定して、前記流体荷役作動阻止機構Aを構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の流体荷役装置に係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上述のように構成したから、簡易な構成で、即ち、例えば簡単な構成で流体荷役作動阻止機構を構築し付設でき、ガスパージ後ガスパージ開閉弁を閉じ忘れたまま流体荷役作業を行う誤操作を確実に防止できる極めて実用性に優れた流体荷役装置となる。
【0017】
また、請求項2,3,4記載の発明においては、更に容易に本発明を実現でき、一層実用性に優れた流体荷役装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施例の概略構成説明図である。
図2】本実施例の流体荷役作業に先立って行うガスパージ作業中での説明正面図である。
図3】本実施例の流体荷役作業中での説明正面図である。
図4】本実施例の流体荷役作業に先立って行うガスパージ作業中(ガスパージ開閉弁が開いた状態)では、流体荷役作動スイッチがカバーされていて押下操作できない状態を示す説明平面図である。
図5】本実施例の流体荷役作業中(ガスパージ開閉弁が閉じ状態)では、流体荷役作動スイッチは開放されていて押下操作できる状態(且つガスパージ作動スイッチはカバーされて押下操作できない状態)を示す説明平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0020】
流体を供給(荷役)するに先立って、タンク1内をガスパージする際、ガスパージ切替操作部7を開き操作してガスパージ開閉弁6を開き状態にすると、このガスパージ切替操作部7の操作可動に連動して連動可動部8が連動可動し、この連動可動部8の連動可動により流体荷役作動阻止用カバー部11が流体荷役作動スイッチ9の操作の邪魔となる位置に連動移動し、ガスパージ作動阻止用カバー部12は、逆にガスパージ作動スイッチ10の操作を邪魔する位置から退避移動する。
【0021】
従って、ガスパージ切替操作部7を開き操作してガスパージ開閉弁6を開き状態とすると、確認せずとも自動的に流体荷役駆動装置4を作動させる流体荷役作動スイッチ9は、流体荷役作動阻止用カバー部11によりカバーされて操作(例えば押下げ)できない状態となり、逆にガスパージ用吸引駆動装置5を作動させるガスパージ作動スイッチ10は、ガスパージ作動阻止用カバー部12によりカバーされずに開放されていて操作(例えば押下げ)できる状態となり、安易にこのガスパージ作動スイッチ10を操作することで、ガスパージ用吸引駆動装置5を作動させてガスパージ管3を介してタンク1内をガスパージできることになる。
【0022】
そして、このガスパージを終了し、ガスパージ切替操作部7を閉じ操作してガスパージ開閉弁6を閉じ状態にすると、このガスパージ切替操作部7の操作可動に連動して連動可動部8が連動可動し、この連動可動部8の連動可動により今度は流体荷役作動阻止用カバー部11が退避移動して流体荷役作動スイッチ9を開放し、ガスパージ作動阻止用カバー部12はガスパージ作動スイッチ10の操作の邪魔となる位置に連動移動する。
【0023】
従って、ガスパージを終えた際、あるいはガスパージをしない場合には、このガスパージ切替操作部7を閉じ操作してガスパージ開閉弁6を閉じた状態としている場合は、確認せずともこのガスパージ切替操作部7の操作可動により自動的に流体荷役駆動装置4を作動させる流体荷役作動スイッチ9は、開放されて操作できる状態となっているため、安易にこれを操作(例えば押下げ)するだけで、流体荷役駆動装置4が作動し流体を流体荷役管2を介してタンク1に供給できることとなる。
【0024】
この場合、もしガスパージ開閉弁6を閉め忘れている場合には、ガスパージ切替操作部7はガスパージ開閉弁6を開いた状態とする位置にあるため、前述のように流体荷役駆動装置4を作動させる流体荷役作動スイッチ9は、流体荷役作動阻止用カバー部11によりカバーされて容易に操作できない状態となっているため、ガスパージ開閉弁6を閉め忘れたまま流体荷役作動スイッチ9を操作して流体供給を開始してしまうことが自動的に防止できることとなる。
【実施例】
【0025】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0026】
流体荷役駆動装置4を作動させてタンク1内に流体を供給する流体荷役管2に、ガスパージ用吸引駆動装置5を作動させて前記タンク内をガスパージするガスパージ管3を前記流体荷役管2に分岐状態若しくは並設状態に設け、このガスパージを行う際に閉じ状態から開き状態にガスパージ切替操作部7の操作により切り替えるガスパージ開閉弁6をガスパージ管3に設けている。
【0027】
即ち、本実施例では、前記ガスパージ切替操作部7を開き操作することで前記ガスパージ開閉弁6を開き状態に切り替えた後、ガスパージ作動スイッチ10を(本実施例では押下げることで所定時間作動するスタートスイッチ)操作して、前記ガスパージ用吸引駆動装置5を作動させガスパージを行った後に、前記ガスパージ切替操作部7を閉じ操作して前記ガスパージ開閉弁6を閉じ状態に切り替えた後、流体荷役作動スイッチ9(本実施例では押下げることで所定時間作動するスタートスイッチ)を操作して前記流体荷役駆動装置4を作動させタンク1内に流体を供給する構成としている。
【0028】
更に説明すると、本実施例では、前記流体荷役駆動装置4を備えた前記流体荷役管2となるローディングアーム13の先端部の前記タンク1内に垂下するドロップパイプ2に、分岐状態に前記ガスパージ用吸引駆動装置5を備えた前記ガスパージ管3を設け、このガスパージ管3に、前記ガスパージする際に開き状態とし、ガスパージを終了した後若しくはガスパージしないときに閉じ状態として、前記タンク1内に垂下した前記ドロップパイプ2により流体を供給する際にこの流体が前記ガスパージ管3へ逆流することを阻止する前記ガスパージ開閉弁6を設けている。
【0029】
このガスパージ開閉弁6を開閉切り替えする前記ガスパージ切替操作部7に、このガスパージ切替操作部7の操作可動によって連動可動する連動可動部8を設け、この連動可動部8に前記流体荷役作動スイッチ9の操作を邪魔する流体荷役作動阻止用カバー部11を設けると共に、前記ガスパージ作動スイッチ10の操作を邪魔するガスパージ作動阻止用カバー部12を設けている。
【0030】
具体的には、前記ガスパージ切替操作部7は、前記ガスパージ開閉弁6を開閉操作するために正逆回動する操作レバーとしてこのガスパージ開閉弁6に設け、このガスパージ切替操作部7の正逆回動により連動可動する前記連動可動部8(第一連動可動部8A)をガスパージ切替操作部7の基部に所定角度を保持して突設し、この第一連動可動部8Aに更にこの第一連動可動部8Aの回動に伴ってこの回動面の所定方向に往復スライドする第二連動可動部8Bを枢着し、この往復スライドする第二連動可動部8Bに前記流体荷役作動阻止用カバー部11と前記ガスパージ作動阻止用カバー部12とを突設した構成としている。
【0031】
この流体荷役作動阻止用カバー部11及びガスパージ作動阻止用カバー部12は、前記流体荷役作動スイッチ9又は前記ガスパージ作動スイッチ10の押下操作を邪魔するように覆うカバープレートで構成している。
【0032】
また、本実施例は、この流体荷役作動阻止用カバー部11とガスパージ作動阻止用カバー部12とを一体化あるいは共用構造としている。即ち一枚のカバープレートを前記連動可動部8(往復スライドする第二連動可動部8B)に突設して、この一枚のカバープレートが流体荷役作動阻止用カバー部11及びガスパージ作動阻止用カバー部12として機能するように構成している。
【0033】
言い換えると、本実施例では、この流体荷役作動スイッチ9とガスパージ作動スイッチ10とを並設状態にして隣接状態に配置し(例えば水平並設状態に近接し)、これらを覆う流体荷役作動阻止用カバー部11及びガスパージ作動阻止用カバー部12を一枚のカバープレートで構成し、この流体荷役作動阻止用カバー部11及びガスパージ作動阻止用カバー部12として設けた一枚のカバープレートを、双方の前記スイッチ9,10の並設方向と平行に(例えば水平方向に)して前記第二連動可動部8Bに突設して、ガスパージ切替操作部7の操作回動により、このカバープレートが左右に連動スライドして、流体荷役作動スイッチ9を覆う位置とガスパージ作動スイッチ10を覆う位置に交互に切り替え往復スライドするように構成している。
【0034】
即ち、前記ガスパージ切替操作部7を操作回動して前記ガスパージ開閉弁6を閉じ状態とした際には、前記連動可動部8の連動可動(第一連動可動部8Aの連動回動及び第二連動可動部8Bの連動スライド)により前記流体荷役作動阻止用カバー部11たるカバープレートは退避スライドして前記流体荷役作動スイッチ9を操作できる位置(このスイッチ9を開放する位置)に連動スライドし、且つ同時に同じカバープレートたる前記ガスパージ作動阻止用カバー部12が、前記ガスパージ作動スイッチ10を操作できない位置(これを覆う位置)に連動スライドする連動機構14を前記ガスパージ切替操作部7に設けて流体荷役作動阻止機構Aを構成している。
【0035】
即ち、このような簡易な構成で構築した流体荷役作動阻止機構Aを、ガスパージ開閉弁6を開閉操作する正逆回動操作レバー7に付設した構成としている。
【0036】
従って、流体を供給(荷役)するに先立って、タンク1内をガスパージする際、ガスパージ切替操作部7を開き方向に回動してガスパージ開閉弁6を開き状態にすると、このガスパージ切替操作部7の操作可動に連動して第一連動可動部8Aが連動回動し、この第一連動可動部8Aの回動により第二連動可動部8Bが所定方向にスライドすることで流体荷役作動阻止用カバー部11であるカバープレートは、流体荷役作動スイッチ9の操作の邪魔となる位置(これを覆う位置)にスライドし、ガスパージ作動阻止用カバー部12でもあるカバープレートは、同時にガスパージ作動スイッチ10の操作を邪魔する位置(これを覆う位置)から退避移動する。
【0037】
従って、ガスパージ切替操作部7を回動してガスパージ開閉弁6を開き状態とすると、確認せずとも自動的に流体荷役駆動装置4を作動させる流体荷役作動スイッチ9は、流体荷役作動阻止用カバー部11によりカバーされて操作(例えば押下げ)できない状態となり、逆にガスパージ用吸引駆動装置5を作動させるガスパージ作動スイッチ10は、ガスパージ作動阻止用カバー部12によりカバーされずに開放されていて操作(例えば押下げ)できる状態となり、安易にこのガスパージ作動スイッチ10を操作することでガスパージ用吸引駆動装置5を作動させてガスパージ管3を介してタンク1内をガスパージできることになる。
【0038】
そして、このガスパージを終了し、ガスパージ切替操作部7を逆に回動してガスパージ開閉弁6を閉じ状態にすると、このガスパージ切替操作部7の操作回動に連動して連動可動部8が連動回動し、これにより今度は第二連動可動部8Bが逆方向にスライドすることでこの第二連動可動部8Bに設けた流体荷役作動阻止用カバー部11(カバープレート)は退避移動して流体荷役作動スイッチ9を開放し、ガスパージ作動阻止用カバー部12(同じカバープレート)は、ガスパージ作動スイッチ10を覆う位置に連動スライドする。
【0039】
従って、ガスパージを終えた際、あるいはガスパージをしない場合には、このガスパージ切替操作部7を操作回動してガスパージ開閉弁6を閉じた状態としている場合は、確認せずともこのガスパージ切替操作部7の操作回動により自動的に流体荷役駆動装置4を作動させる流体荷役作動スイッチ9は、開放されて操作できる状態となっているため、安易にこれを操作(例えば押下げ)するだけで流体荷役駆動装置4が作動し流体を流体荷役管2を介してタンク1に供給できることとなる。
【0040】
この場合、もしガスパージ開閉弁6を閉め忘れている場合には、ガスパージ切替操作部7はガスパージ開閉弁6を開いた状態とする位置にあるため、前述のように流体荷役駆動装置4を作動させる流体荷役作動スイッチ9は、流体荷役作動阻止用カバー部11(カバープレート)によりカバーされて容易に操作できない状態となっているため、ガスパージ開閉弁6を閉め忘れたまま流体荷役作動スイッチ9を操作して流体供給を開始してしまうことが自動的に防止できることとなる。
【0041】
また、ガスパージ開閉弁6が閉じ状態となっている場合にガスパージ作動スイッチ10は覆われて操作できないため、ガスパージ開閉弁6を閉じているのにガスパージ作動スイッチ10を誤って操作することも防止できることとなる。
【0042】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0043】
1 タンク
2 流体荷役管(ドロップパイプ)
3 ガスパージ管
4 流体荷役駆動装置
5 ガスパージ用吸引駆動装置
6 ガスパージ開閉弁
7 ガスパージ切替操作部
8 連動可動部
9 流体荷役作動スイッチ
10 ガスパージ作動スイッチ
11 流体荷役作動阻止用カバー部
12 ガスパージ作動阻止用カバー部
13 ローディングアーム
14 連動機構
A 流体荷役作動阻止機構
図1
図2
図3
図4
図5