(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記2ポートソレノイドバルブは、弁座及び該弁座に対して垂直方向に移動するポペットを備え、前記ポペットの移動に伴う当該2ポートソレノイドバルブの開閉によって、前記第1チャンバーの油圧を前記圧力P1と前記圧力P2とで切り替えるように構成された請求項3に記載の切替ユニット。
前記スプールバルブは、前記高圧ポートと前記第1チャンバーとを連通するための第1流路部と、前記高圧ポートと前記第2チャンバーを連通するための第2流路部とを有し、
前記第1流路部には絞り部が設けられている請求項3又は4に記載の切替ユニット。
前記第1流路部と前記第2流路部とは前記スプールの内部に設けられ、前記高圧ポートに連通する流路から分岐して前記第1チャンバーと前記第2チャンバーとにそれぞれ接続される請求項5に記載の切替ユニット。
前記2ポートソレノイドバルブが備えるソレノイドコイルへの通電を開始してから前記スプールの移動が完了するまでの時間をA、前記ソレノイドコイルへの通電を停止してから前記スプールの移動が完了するまでの時間をBとすると、
0.7≦A/B≦1.3
を満たすよう構成された請求項3〜7のいずれか1項に記載の切替ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1においては、スプールの一端側のバルブ高圧室は可変ダンパーオリフィスを介してベーンポンプの吐出ポートに接続されており、スプールの他端側のバルブ中圧室はメータリングオリフィスを介してベーンポンプの吐出ポートに接続されている。そのため、スプールの一端側受圧面(高圧室側受圧面)に作用する油圧と他端側受圧面(中圧室側受圧面)に作用する油圧とは、各オリフィスによる圧力損失を利用して互いに異なる油圧に制御されており、スプールを作動させるために比較的複雑な油圧回路を用いている。
【0005】
本発明の幾つかの実施形態は、スプールの各受圧面に作用する油圧の少なくとも一部を共通化した簡易な構成で切り替え可能なスプールバルブを有する切替ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の幾つかの実施形態に係る切替ユニットは、
圧力切替対象チャンバーと、高圧油ラインと、低圧油ラインとを備える油圧機械に用いられ、圧力切替対象チャンバーの圧力を切り替えるための切替ユニットであって、
第1チャンバーと、
第2チャンバーと、
前記第1チャンバーの油圧を受けるよう形成された第1受圧面と、前記第2チャンバーの油圧を受けるよう形成され前記第1受圧面よりも面積が小さい第2受圧面と、を有するスプールと、
を含むスプールバルブを備え、
前記スプールバルブは、前記第2チャンバーの油圧を低圧油ラインの圧力よりも大きい圧力P
2に維持しながら前記第1チャンバーの油圧を前記圧力P
2よりも小さい圧力P
1と前記圧力P
2とで切り替えることにより、前記スプールを移動させて前記圧力切替対象チャンバーの圧力を切り替えるよう構成される。
【0007】
上記(1)に記載の切替ユニットによれば、第1スプールの第2受圧面の面積が第1受圧面の面積よりも小さいため、第1受圧面と第2受圧面のそれぞれに圧力P
2を作用させた場合、第1受圧面が受ける力は第2受圧面が受ける力よりも大きくなる。一方、第2受圧面に圧力P
2を作用させた状態で第1受圧面に圧力P
2よりも小さい圧力P
1を作用させた場合、圧力P
1を適切に設定すれば第1受圧面が受ける力を第2受圧面が受ける力よりも小さくすることができる。したがって、第2チャンバーの油圧を圧力P
2に維持しながら第1チャンバーの油圧を圧力P
2よりも小さい圧力P
1と圧力P
2とで切り替えれば、第1受圧面に作用する油圧のうち1つと第2受圧面に作用する油圧とを共通化した簡易な構成で、圧力切替対象チャンバーの油圧を切り替えることができる。また、第1受圧面と第2受圧面とに作用する共通圧力P
2を低圧油ラインの圧力よりも大きくすることにより、スプールの移動及びそれにともなう圧力切替対象チャンバーの油圧切り替えを高速化することができる。
【0008】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の切替ユニットにおいて、
前記スプールバルブは、前記圧力P
1を有する第1油圧ラインに連通する低圧ポートと、前記圧力P
2を有する第2油圧ラインに連通する高圧ポートと、圧力切替対象チャンバーに連通する出力ポートとを備えており、前記出力ポートに連通するポートを前記高圧ポートと前記低圧ポートとで切り換えることにより、前記圧力切替対象チャンバーの油圧を前記圧力P
1と前記圧力P
2とで切り替えるよう構成される。
【0009】
上記(2)に記載の切替ユニットによれば、スプールを移動させるための圧力(P
1及びP
2)と圧力切替対象チャンバーにおいて切り替えられる圧力(P
1及びP
2)とが共通化され、簡易な構成で圧力切替対象チャンバーの圧力を切り換えることができる。
【0010】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)に記載の切替ユニットにおいて、
前記第1油圧ラインは
前記低圧油ライン又は前記油圧機械が備えるドレインラインであり、
前記第2油圧ラインは
前記高圧油ラインである。
【0011】
上記(3)に記載の切替ユニットによれば、第1受圧面及び第2受圧面に作用する圧力として、油圧機械が本来的に備える低圧油ライン又はドレインラインの圧力と高圧油ラインの圧力とを利用した簡易な構成によって、油圧切替対象チャンバーの油圧を切り替えることができる。
【0012】
(4)幾つかの実施形態では、上記(2)又は(3)に記載の切替ユニットにおいて、
前記第1チャンバーの油圧を前記圧力P1と前記圧力P2とで切り替えるための2ポートソレノイドバルブを備える。
【0013】
スプールバルブにおいて油圧(パイロット圧)によってスプールを移動させる場合、スプールの一端面に作用させる圧力と他端面に作用させる圧力とを3ポートあるいは4ポートのソレノイドバルブを用いてそれぞれ変化させる構成が考えられる。3ポートあるいは4ポートのソレノイドバルブにおいては、ポート間においてランド部が摺動する仕切り長に応じてストロークが大きくなりやすく、応答性の向上が困難である。
これに対し、上記(1)に記載の切替ユニットでは、2ポートソレノイドバルブの開閉によって第1チャンバーの油圧のみを切り替えることでスプールを移動させることができる。これにより、3ポートあるいは4ポートのソレノイドバルブを用いてスプールを移動させる上記構成と比較して、ソレノイドバルブの切替に要するストローク(弁体を含む可動部分のストローク)を容易に小さくすることができる。したがって、ソレノイドバルブの応答性向上とそれにともなう油圧切替対象チャンバーの油圧切替の高速化を実現することができる。
【0014】
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)に記載の切替ユニットにおいて、
前記2ポートソレノイドバルブは、弁座及び該弁座に対して垂直方向に移動するポペットを備え、前記ポペットの移動に伴う当該2ポートソレノイドバルブの開閉によって、前記第1チャンバーの油圧を前記圧力P1と前記圧力P2とで切り替えるように構成される。
【0015】
上記(5)に記載の切替ユニットによれば、2ポートソレノイドバルブの開閉を弁座に対するポペットの垂直方向の移動により行うため、ソレノイドバルブの弁体を含む可動部分のストロークを更に小さくすることができる。これにより、ソレノイドバルブの応答性を更に向上し、油圧切替対象チャンバーの油圧切替を更に高速化することができる。
【0016】
(6)幾つかの実施形態では、上記(4)又は(5)に記載の切替ユニットにおいて、
前記スプールバルブは、前記高圧ポートと前記第1チャンバーとを連通するための第1流路部と、前記高圧ポートと前記第2チャンバーを連通するための第2流路部とを有し、
前記第1流路部には絞り部が設けられている。
【0017】
上記(6)に記載の切替ユニットによれば、高圧ポートと第1チャンバーとを連通するための第1流路部に絞り部が設けられているため、高圧ポートと第1チャンバーとの間に圧力差が生じた場合、絞り部の流路面積に応じた流量の高圧油を高圧ポートから第1チャンバーに供給することができる。したがって、絞り部の流路面積を適切に設定すれば、簡易な構成で第1チャンバーの油圧切替タイミングを調節することができる。
【0018】
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)に記載の切替ユニットにおいて、
前記第1流路部と前記第2流路部とは前記スプールの内部に設けられ、前記高圧ポートに連通する流路から分岐して前記第1チャンバーと前記第2チャンバーとにそれぞれ接続される。
【0019】
上記(7)に記載の切替ユニットによれば、高圧ポート、第1チャンバー及び第2チャンバーの連通状態を簡易な流路構成で実現することができる。
【0020】
(8)幾つかの実施形態では、上記(4)〜(7)のいずれか1項に記載の切替ユニットにおいて、
前記切替ユニットは、前記油圧機械が備えるドレインライン又は前記低圧油ラインへ前記第1チャンバー内の高圧油を排出するための排出ポートを備え、
前記2ポートソレノイドバルブは前記第1チャンバーと前記排出ポートとの間の流路に設けられ、
前記排出ポートの油圧は前記圧力P
1であり、
前記スプールバルブは、
前記2ポートソレノイドバルブが開放されると前記第1チャンバー内の高圧油が前記排出ポートから排出されることで前記第1チャンバーの油圧が前記圧力P
2から前記圧力P
1に向けて低下し、
前記2ポートソレノイドバルブが閉鎖されると前記絞り部から前記第1チャンバーへ流入した高圧油によって前記第1チャンバーの油圧が前記圧力P
1から前記圧力P
2に向けて上昇するよう構成される。
【0021】
上記(8)に記載の切替ユニットによれば、簡易な構成を用いて2ポートソレノイドバルブの開閉動作のみによって第1チャンバーの油圧を高速で切り替えることができる。
【0022】
(9)幾つかの実施形態では、上記(4)〜(8)のいずれか1項に記載の切替ユニットにおいて、
前記2ポートソレノイドバルブが備えるソレノイドコイルへの通電を開始してから前記スプールの移動が完了するまでの時間をA、前記ソレノイドコイルへの通電を停止してから前記スプールの移動が完了するまでの時間をBとすると、
0.7≦A/B≦1.3
を満たすよう構成される。
【0023】
上記(9)に記載の切替ユニットによれば、圧力切替対象チャンバーの圧力を切り替える間隔を均等にすることが可能となる。
【0024】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の切替ユニットにおいて、
前記第1受圧面の面積をS1、前記第2受圧面の面積をS2とすると、
前記スプールバルブは、
を満たすよう構成される。
【0025】
上記(10)に記載の切替ユニットによれば、スプールが第1チャンバーの油圧によって受ける力と第2チャンバーの油圧によって受ける力との合力の大きさが、第1受圧面に圧力P
1を作用させた時と圧力P
2を作用させた時とで略等しくなる(該合力の向きは逆である)。これにより、第1チャンバーの油圧をP
1からP
2に切り替える場合とP
2からP
1に切り替える場合とでスプールの応答性を略同等にすることができる。
【0026】
(11)幾つかの実施形態に係る油圧機械は、
圧力切替対象チャンバーと、高圧油ラインと、低圧油ラインと、圧力切替対象チャンバーの圧力を切り替えるための切替ユニットと、を有する油圧機械であって、
前記切替ユニットが上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の切替ユニットである。
【0027】
上記(11)に記載の油圧機械によれば、第1受圧面に作用する油圧のうち1つと第2受圧面に作用する油圧とを共通化した簡易な構成で、圧力切替対象チャンバーの油圧を切り替えることができる。また、第1受圧面と第2受圧面とに作用する共通圧力P
2を低圧油ラインの圧力よりも大きくすることにより、スプールの移動及びそれにともなう圧力切替対象チャンバーの油圧切り替えを高速化することができる。
【0028】
(12)幾つかの実施形態に係る発電装置は、再生可能エネルギーから電力を生成するための発電装置であって、
再生可能エネルギーを利用して回転するように構成された主軸と、
前記主軸の回転によって駆動されるよう構成された油圧機械と、
前記油圧機械によって駆動されるよう構成された発電機と、を備え、
前記油圧機械が上記(11)に記載の油圧機械である。
【0029】
上記(11)に記載の油圧機械は簡易な構成によって油圧切替対象チャンバーの油圧を高速で切り替え可能であるため、高速回転を行う発電機の駆動に好適に用いることができる。したがって、上記(12)に記載の発電装置によれば、簡易な構成の油圧機械を好適に用いて再生可能エネルギーから電力を生成することができる。
【0030】
(13)幾つかの実施形態に係る発電装置は、
少なくとも一本のブレードと、
前記少なくとも一本のブレードで受けた再生可能エネルギーによって回転するよう構成された主軸と、
前記主軸の回転によって駆動されるよう構成された油圧機械と、
前記油圧機械によって駆動されるよう構成された発電機と、を備え、
前記油圧機械が上記(11)に記載の油圧機械である。
【0031】
上記(11)に記載の油圧機械は簡易な構成によって油圧切替対象チャンバーの油圧を高速で切り替え可能であるため、高速回転を行う発電機の駆動に好適に用いることができる。したがって、上記(13)に記載の発電装置によれば、簡易な構成の油圧機械を好適に用いてブレードで受けた再生可能エネルギーから電力を生成することができる。
【0032】
(14)幾つかの実施形態に係る発電装置は、上記(13)に記載の発電装置であって、前記再生可能エネルギーは風力エネルギーである。
【0033】
上記(14)に記載の発電装置によれば、簡易な構成の油圧機械を好適に用いて風力エネルギーから電力を生成することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の幾つかの実施形態によれば、スプールの各受圧面に作用する油圧の少なくとも一部を共通化した簡易な構成で、スプールバルブの切り替えを行うことができる。また、各受圧面に作用する共通の圧力を低圧油ラインの圧力よりも大きくすることにより、スプールの移動及びそれにともなう圧力切替対象チャンバーの油圧切り替えを高速化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0037】
以下の実施形態では、本発明の幾つかの実施形態に係る発電装置について、再生可能エネルギーとしての風力エネルギーから電力を生成する風力発電装置を例に挙げて説明する。ただし、発電装置としては、潮流発電装置、海流発電装置、河流発電装置等の他の再生エネルギー発電装置にも適用可能である。
【0038】
(風力発電装置)
図1は、幾つかの実施形態に係る風力発電装置の概略図である。
図1に示す風力発電装置1は、少なくとも一本のブレード2及びハブ4で構成されるロータ3を備える。ロータ3及びロータ3に連結された回転シャフト6(主軸)は、ブレード2で受けた風力エネルギーによって回転するよう構成される。
【0039】
図1に示す風力発電装置のロータ3には、回転シャフト6を介して油圧ポンプ8が連結される。油圧ポンプ8には、低圧油ライン14及び高圧油ライン12を介して油圧モータ10が接続される。具体的には、油圧ポンプ8の出口が高圧油ライン12を介して油圧モータ10の入口に接続され、油圧ポンプ8の入口が低圧油ライン14を介して油圧モータ10の出口に接続される。油圧ポンプ8は、回転シャフト6によって駆動されて作動油を昇圧し、高圧の作動油(圧油)を生成する。油圧ポンプ8で生成された圧油は高圧油ライン12を介して油圧モータ10に供給され、この圧油によって油圧モータ10が駆動される。油圧モータ10で仕事をした後の低圧の作動油は、油圧モータ10の出口と油圧ポンプ8の入口との間に設けられた低圧油ライン14を経由して、油圧ポンプ8に再び戻される。
【0040】
油圧モータ10には発電機16が連結される。一実施形態では、発電機16は、電力系統に連系されるとともに、油圧モータ10によって駆動される同期発電機である。
【0041】
なお、回転シャフト6の少なくとも一部は、タワー19上に設置されたナセル18によって覆われている。一実施形態では、油圧ポンプ8、油圧モータ10及び発電機16は、ナセル18の内部に設置される。
【0042】
図1に示す風力発電装置1では、ロータ3の回転エネルギーは、油圧ポンプ8及び油圧モータ10を含む油圧機械としての油圧トランスミッション64を介して発電機16に入力され、発電機16において電力が生成されるようになっている。
風力発電装置1の各機器の動作は、制御部200によって制御される。
【0043】
図2は、油圧モータ10の構成を説明するための概略図である。
【0044】
油圧モータ10は、
図2に示すように、シリンダ20及びピストン22により形成される複数の油圧室24と、ピストン22に当接するカム曲面を有するカム26と、各油圧室24に対して設けられたスプールバルブ組立体30と、高圧油ライン12と、低圧油ライン14とを有している。
【0045】
ピストン22は、ピストン22の上下動をカム26の回転運動にスムーズに変換する観点から、シリンダ20内を摺動するピストン本体部22Aと、該ピストン本体部22Aに取り付けられ、カム26のカム曲面に当接するピストンローラー又はピストンシューとで構成することが好ましい。なお
図2には、ピストン22がピストン本体部22Aとピストンローラー22Bとからなる例を示した。
【0046】
カム26は、発電機16に接続される油圧モータ10の回転軸(クランクシャフト)32の軸中心Oから偏心して設けられた偏心カムである。ピストン22が上下動を一回行う間に、カム26及びカム26が取り付けられた回転軸32は一回転するようになっている。
他の実施形態では、カム26は、複数のローブ(凸部)を有する環状のマルチローブドカム(リングカム)であり、この場合には、カム26及びカム26が取り付けられた回転軸32は一回転する間に、ピストン22は上下動をローブの数だけ行うようになっている。
【0047】
スプールバルブ組立体30は、油圧室24と高圧油ライン12とが連通する第1状態と、油圧室24と低圧油ライン14とが連通する第2状態と、を切り替えることにより、油圧室24の圧力を高圧油ライン12の圧力と低圧油ライン14の圧力とに切り替えるよう構成されている。すなわち、スプールバルブ組立体30は、圧力切替対象チャンバーとしての油圧室24の圧力を切り替えるための切替ユニットとして機能する。
【0048】
(スプールバルブ組立体)
次に、
図3〜5を用いて、幾つかの実施形態に係るスプールバルブ組立体30の構成例について説明する。
図3は、幾つかの実施形態に係るスプールバルブ組立体30の模式的な油圧回路図である。
図4は、
図3に示したスプールバルブ組立体30の具体的構成例を示す概略断面図であり、油圧室24と高圧油ライン12とが連通する第1状態を示している。
図5は、
図4に示したスプールバルブ組立体30における、油圧室24と低圧油ライン14とが連通する第2状態を示している。
【0049】
図3〜5に示すスプールバルブ組立体30は、第1チャンバー34と、第2チャンバー36と、大スプール38とを含む大スプールバルブ40を有する。大スプール38は、第1チャンバー34の油圧を受けるよう形成された第1受圧面42と、第2チャンバー36の油圧を受けるよう形成され第1受圧面42よりも面積が小さい第2受圧面44と、を含む。
【0050】
この大スプールバルブ40は、第2チャンバー36の油圧を低圧油ライン14の圧力よりも大きい圧力P
2aに維持しながら第1チャンバー34の油圧を圧力P
2aと圧力P
2aよりも小さい圧力P
1aとで切り替えることにより、大スプール38を移動させて上記第1状態と上記第2状態とを切り替える(圧力切替対象チャンバーとしての油圧室24の圧力を切り替える)よう構成される。
【0051】
このように大スプール38の第2受圧面44の面積が第1受圧面42の面積よりも小さいため、第1受圧面42と第2受圧面44のそれぞれに共通圧力P
2aを作用させた場合、第1受圧面42が受ける力は第2受圧面44が受ける力よりも大きくなる。一方、第2受圧面44に圧力P
2aを作用させた状態で第1受圧面42に圧力P
2aよりも小さい圧力P
1aを作用させた場合、圧力P
2aと圧力P
1aとの圧力差が十分に大きければ第1受圧面42が受ける力を第2受圧面44が受ける力よりも小さくすることができる。
【0052】
したがって、第2チャンバー36の油圧を圧力P
2aに維持しながら第1チャンバー34の油圧を圧力P
2aと圧力P
2aよりも小さい圧力P
1aとで切り替えれば、第1受圧面42に作用する油圧のうち1つと第2受圧面44に作用する油圧とを共通化した簡易な構成で、油圧室24と高圧油ライン12とが連通する上記第1状態と油圧室24と低圧油ライン14とが連通する上記第2状態とを切り替えることができる(圧力切替対象チャンバーとしての油圧室24の圧力を切り替えることができる)。また、第1受圧面42と第2受圧面44とに作用する共通圧力P
2aを低圧油ラインの圧力よりも大きくすることにより、大スプール38の移動及びそれにともなう油圧室24の油圧切り替えを高速化することができる。
【0053】
なお、
図3〜
図5に示すスプールバルブ組立体30は、後述するように、油圧機械が本来的に備える高圧油ライン12の圧力を第1受圧面42及び第2受圧面44のための共通油圧P
2aとして利用し、低圧油ライン14の圧力を上記圧力P
1aとして利用している。これにより、簡易な構成によって上記第1状態と上記第2状態とを切り替えることができる。
【0054】
なお、上述のように第1受圧面42が受ける力を第2受圧面44が受ける力より小さくするためには、例えば、第1受圧面42の面積と圧力P
1aとの積が第2受圧面44の面積と圧力P
2aとの積よりも小さくなるように、各受圧面42、44の面積と、圧力P
1a、P
2aとを設定すればよい。
【0055】
ここで、
図4に示した大スプール38における第1受圧面42の面積をS
1a、第2受圧面44の面積をS
2aとすると、
大スプールバルブ40は、
を満たすよう構成することが望ましい。
【0056】
これにより、大スプール38が第1チャンバー34の油圧によって受ける力と第2チャンバー36の油圧によって受ける力との合力の大きさが、第1受圧面42に圧力P
1aを作用させた時と圧力P
2aを作用させた時とで略等しくなる(該合力の向きは逆である)。したがって、第1チャンバー34の油圧をP
1aからP
2aに切り替える場合とP
2aからP
1aに切り替える場合とで大スプール38の応答性を略同等にすることができる。
【0057】
幾つかの実施形態では、油圧に起因する正味の力のみを利用して大スプール38を動かすことができる。他の実施形態では、油圧に起因する正味の力に加えて、バネ等による他の力も利用することができる。この場合、例えば、第1受圧面42が第1チャンバー34から受ける圧力に抗する方向に第2受圧面44を不図示のバネで付勢した上で、第1受圧面42の面積と圧力P
1aとの積が、第2受圧面44の面積と圧力P
2aとの積とこのバネ付勢の力とを合計した力よりも小さくなるように、各受圧面の面積、圧力P
1a、P
2a及びバネ設定圧を決めてもよい。
【0058】
図4に示す大スプールバルブ40は、大スプール38を収容するスリーブ52を備える。ここで、この大スプール38及びスリーブ52の詳細構成について、
図6(A)および
図6(B)を用いて説明する。
【0059】
図6(A)は大スプール38の概略斜視図であり、
図6(B)は、スリーブ52の概略斜視図である。
【0060】
図6(A)に示すように、大スプール38は、環状溝部54と、第1ランド部56と、第2ランド部58と、第1ピストン部60と、第2ピストン部62とを有し、一体的に構成されている。環状溝部54は、大スプール38の軸方向L(以下、単に軸方向と記載する場合は大スプール38の軸方向L、すなわちスリーブ52の軸方向Lを表す)において大スプール38の中央部に設けられ、第1、第2ランド部56,58は、環状溝部54を挟むように環状溝部54に隣接して設けられている。大スプール38は、スリーブ52の内周面65(
図6(B)参照)に対して各ランド部56,58が軸方向に摺動するよう構成されている。
なお、前述の第1受圧面42は第1ピストン部60の端面であり、第2受圧面44は第2ピストン部62の端面である。大スプール38の第1、第2ピストン部60,62は略円柱形であり、第2受圧面44の面積を第1受圧面42の面積よりも小さくするために、第2ピストン部62の外径が第1ピストン部60の外径よりも小さくなるよう大スプール38が構成されている。
【0061】
図6(B)に示すように、スリーブ52は、油圧室24(
図4参照)と連通する複数の油圧室ポート66(出力ポート)と、高圧油ライン12(
図4参照)と連通する複数の高圧ポート68と、低圧油ライン14(
図4参照)と連通する複数の低圧ポート70とを有する。複数の油圧室ポート66は、軸方向における同一位置において周方向C(以下、単に周方向と記載する場合はスリーブの周方向C、すなわち大スプール38の周方向Cを表す)に等間隔に形成される。また、複数の高圧ポート68は、軸方向における同一位置において周方向に等間隔に形成される。同様に、複数の低圧ポート70は、軸方向における同一位置において周方向に等間隔に形成される。複数の高圧ポート68の周方向位置は複数の低圧ポート70の周方向位置とは同位置であり、複数の油圧室ポート66の周方向位置は、複数の高圧ポート68の周方向位置及び複数の低圧ポート70の周方向位置に対してずれている。
【0062】
図4に示したスプールバルブ組立体30の状態は、高圧ポート68が環状溝部54を介して油圧室ポート66と連通することで高圧油ライン12と油圧室24とが連通した第1状態である。これに対し、
図5に示すスプールバルブ組立体30の状態は、低圧ポート70が環状溝部54を介して油圧室ポート66と連通することで低圧油ライン14と油圧室24とが連通した第2状態である。
【0063】
幾つかの実施形態では、大スプールバルブ40は、
図4に示すようにスリーブ52を収容するケーシング72を含む。
図4に示すケーシング72は、高圧ポート68と高圧油ライン12とを連通するよう構成された高圧連通路74と、低圧ポート70と低圧油ライン14とを連通するよう構成された低圧連通路76と、油圧室ポート66と油圧室24とを連通するよう構成された油圧室連通路78と、を含む。
したがって、
図4に示した上述の第1状態は、高圧油ライン12と油圧室24との間に、高圧連通路74、高圧ポート68、環状溝部54、油圧室ポート66、及び油圧室連通路78によって流路が形成されることで実現される。また、
図5に示した上述の第2状態は、低圧油ライン14と油圧室24との間に、低圧連通路76、低圧ポート70、環状溝部54、油圧室ポート66、及び油圧室連通路78によって流路が形成されることで実現される。
【0064】
図4に示す大スプールバルブ40は、軸方向における大スプール38の一端側に第1ドレイン室80を、他端側に第2ドレイン室82を有し、第1ドレイン室80と第2ドレイン室82とは、ケーシング72に設けられた第1ドレイン流路84を介して連通している。
【0065】
このように、第1ドレイン室80と第2ドレイン室82とがケーシング72に設けられた第1ドレイン流路84を介して連通しているので、大スプール38の位置によらず第1ドレイン室80の圧力と第2ドレイン室82の圧力とが常に等しくなる。したがって、第1ドレイン室80と第2ドレイン室82との間には圧力差は生じず、当該圧力差によって大スプール38の運動及び位置が影響を受けることはない。よって、大スプール38の動作を、第1チャンバー34の油圧及び第2チャンバー36の油圧によってより確実に制御することができる。
【0066】
なお、
図4に示す高圧連通路74が第1ドレイン流路84を避けるようにスリーブ52の径方向に対して傾斜した斜め孔部86を有しているのは、高圧連通路74とドレイン流路84との干渉を防止しながら、コンパクトな大スプールバルブ40を実現すべく高圧油ライン12に対して高圧ポート68を軸方向中央に寄せるためである。
一方、低圧連通路76は、低圧油ライン14の圧力がドレイン流路84と同一圧力である場合には低圧油ライン14とドレイン流路84とが連通しても構わないため、スリーブ52の径方向に延びるシンプルな縦孔部88を有している。そして、コンパクトな大スプールバルブ40を実現すべく低圧ポート70を低圧油ライン14に対して軸方向中央に寄せるため、低圧連通路76のスリーブ側開口部90(環状流路)の軸方向長さが高圧連通路74のスリーブ側開口部91(環状流路)の軸方向長さより長くなるように、低圧連通路76が形成されている。
【0067】
図4に示す大スプールバルブ40は、スリーブ52の一端側に設けられた第1エンドウォール92と、スリーブの他端側に設けられた第2エンドウォール94とを有する。
図7(A)は第1エンドウォール92の概略斜視図であり、
図7(B)は第2エンドウォール94の概略斜視図である。
【0068】
図4及び
図7(A)に示す第1エンドウォール92は、第1エンドウォール流路96を内部に備える。第1エンドウォール流路96は、後述する切替バルブ46の切り替えに伴って、上記圧力P
2aを有する油圧ラインとしての高圧油ライン12と、上記圧力P
1aを有する油圧ラインとしての低圧油ライン14とに選択的に連通する。第1エンドウォール流路96は、軸方向に沿って設けられた第1チャンバー34を有しており、大スプール38に含まれる第1ピストン部60が第1チャンバー34の内周面に対して摺動するよう構成されている。第1エンドウォール92には、複数の切欠き100が周方向に等間隔に形成されている。
【0069】
図4及び
図7(B)に示す第2エンドウォール94は、高圧油ライン12と常に連通するよう構成された第2エンドウォール流路104を内部に備える。第2エンドウォール流路104は、軸方向に沿って設けられた第2チャンバー36を有し、大スプール38に含まれる第2ピストン部62が第2チャンバー36の内周面に対して摺動するよう構成されている。第2エンドウォール94には、複数の切欠き108が周方向に等間隔に形成されている。
【0070】
図4に示す第1ドレイン室80は第1エンドウォール92と大スプール38との間に形成され、第2ドレイン室82は第2エンドウォール94と大スプール38との間に形成される。上記第1状態において第1ドレイン室80は第1エンドウォール92とスリーブ52と大スプール38とに囲まれて形成され、第2ドレイン室82は上記第2状態において第2エンドウォール94とスリーブ52と大スプール38とに囲まれて形成される。
図4に示す第1ドレイン室80と第2ドレイン室82とは、第1エンドウォール92の切欠き100と、ケーシング72に設けられた第1ドレイン流路84と、第2エンドウォール94の切欠き108とを介して連通している。また、この第1ドレイン流路84は、低圧油ライン14と連通している。このように、軸方向におけるスリーブ52の一端側に配された第1エンドウォール92によって大スプールバルブ40の油の密封性を高めつつ、切欠き100を設けたことによって簡易な構成で第1ドレイン室80と第1ドレイン流路84とを連通することができる。また、軸方向におけるスリーブ52の他端側に配された第2エンドウォール94によって大スプールバルブ40の油の密封性を高めつつ、切欠き108を設けたことによって簡易な構成で第2ドレイン室82と第1ドレイン流路84とを連通することができる。
【0071】
図4に示す大スプールバルブ40は、軸方向における大スプール38の変位を検出するためのセンサ110を有する。センサ110は第1チャンバー34に設けられている。このように、大スプール38の変位を検出するセンサ110を、第2受圧面44よりも面積が大きな第1受圧面42に対応して比較的広い空間を確保しやすい第1チャンバー34に設けることで、センサ110のレイアウトが容易になる。
【0072】
なお、センサ110としては例えば渦電流式の変位センサを用いることができる。この場合、センサ110はコイルセンサであり、センサ110には数MHz程度の高周波信号が不図示の発振回路から供給される。センサ110に高周波信号が供給されている間に
図4に示すターゲット金属としての銅製チューブ112とセンサ110との距離が変化すると、その距離の変化に応じて銅製チューブ112の表面の渦電流が変化するため、この渦電流の変化に起因するセンサ110のインピーダンス変化から大スプール38の変位を検出することができる。
【0073】
図4に示すスプールバルブ組立体30は、リリーフバルブ114を備える。リリーフバルブ114は、スプリング116及びスプリング116によって付勢されるポペットバルブ118を備え、油圧室24の圧力が高圧油ライン12の圧力以上の設定圧を超えたときにポペットバルブ118が開いて油圧室24と高圧油ライン12とが連通するよう構成される。油に含まれる粉体等(例えば金属粉)が大スプールバルブ40内で詰まって大スプール38が作動しなくなった場合に、油圧室24が高圧油ライン12とも低圧油ライン14とも連通していないような位置に大スプール38が存在すると、油圧室24の圧力がピストン22の上昇に伴って非常に高くなってしまう恐れがある。そこで、リリーフバルブ114を設ければ、このように大スプール38が作動しない場合であっても、油圧室24の圧力を設定圧以内に維持することができる。
【0074】
なお、
図4に示すケーシング72は環状流路89を有している。環状流路89は、大スプール38の軸方向における油圧室ポート66と同位置(油圧室連通路78と同位置)において、スリーブ52の周り(環状溝部54の周り)に形成されている。また、環状流路89は、大スプール38の位置によらず環状溝部54と常に連通するような位置に設けられている。これにより、環状溝部54及び環状流路89を介したリリーフバルブ114と油圧室24との良好な連通状態を実現することができる。
【0075】
なお、ラジアルピストン式の油圧モータ10の軸方向に沿って複数の油圧室24を並べる場合、複数のスプールバルブ組立体30も油圧モータ10の軸方向に沿って並ぶことになる。この場合、油圧モータ10の軸方向に隣接する複数のスプールバルブ組立体30間の干渉を防止する観点から、リリーフバルブ114及び切替バルブ46は、
図4に示すように大スプールバルブ40に対して油圧モータ10のラジアル方向外側に設けることが望ましい。
【0076】
図4に示すケーシング72は、高圧油ライン12から切替バルブ46の高圧ポート120に上記圧力P
2aの高圧油を供給するために第2エンドウォール流路104と高圧ポート120との間に形成された高圧供給路122と、切替バルブ46の出力ポート124から第1チャンバー34に上記圧力P
2aの高圧油と上記圧力P
1aの低圧油とを選択的に供給又は回収するために切替バルブ46の出力ポート124と第1エンドウォール流路96との間に形成された選択的供給路126と、低圧油ライン14から切替バルブ46の低圧ポート128に上記圧力P
1aの低圧油を供給するために低圧連通路76と低圧ポート128との間に形成された低圧供給路130と、後述する切替バルブ46の排出ポート132と油圧トランスミッション64が備えるドレインライン134(
図3参照)とを連通する連通路135とを有する。なお、
図3に示すドレインライン134は、油圧トランスミッション64がドレインタンク133に連通しており、排出ポート132から排出された高圧油は、連通路135、ドレインライン134を通ってドレインタンク133に導かれる。
【0077】
(切替バルブ)
次に、切替バルブ46について主に
図3及び
図8を用いて説明する。
図8は、幾つかの実施形態に係る切替バルブ46の概略断面図である。
【0078】
切替バルブ46は、圧力調整対象チャンバーとしての上記第1チャンバー34(
図3及び
図4参照)の油圧を上記圧力P
2aと上記圧力P
1aとで切り替えるための切替ユニットとして機能する。
【0079】
切替バルブ46は、小スプールバルブ48と、小スプールバルブ48を動作させるための2ポートソレノイドバルブ50とを含む。
これにより、小スプールバルブ48を用いずにソレノイドバルブのみによって大スプールバルブ40の第1チャンバー34の油圧を圧力P
2aと圧力P
1aとで切り替える構成と比較して、切り替えに利用可能な油の流量を増加させることができる。
なお、
図1に示す風力発電装置1においては、同期発電機16の高速回転に合わせてスプールバルブ組立体30の上記第1状態と上記第2状態を高速で切り替える必要がある。この場合において、小スプールバルブ48及び2ポートソレノイドバルブ50を用いて切り替えに利用可能な油の流量を増加させることで、上記第1状態と上記第2状態の高速切り替えを実現することができる。
【0080】
図3及び
図8に示す小スプールバルブ48は、低圧油ライン14に連通する低圧ポート128と、高圧油ライン12に連通する高圧ポート120と、圧力切替対象チャンバーとしての第1チャンバー34に連通する出力ポート124とを備えており、出力ポート124に連通するポートを高圧ポート120と低圧ポート128とで切り換えることにより、大スプールバルブ40の第1チャンバー34の油圧を圧力P
1aと圧力P
2aとで切り替えるよう構成されている。
【0081】
小スプールバルブ48は、第1チャンバー140と、第2チャンバー142と、小スプール144とを含み、小スプール144は、第1チャンバー140の油圧を受けるよう形成された第1受圧面146と、第2チャンバー142の油圧を受けるよう形成され第1受圧面146よりも面積が小さい第2受圧面148と、を含む。
小スプールバルブ48は、第2チャンバー142の油圧を低圧油ライン14の圧力よりも大きい圧力P
2bに維持しながら第1チャンバー140の油圧を圧力P
2bと圧力P
2bよりも小さい圧力P
1bとで切り替えることにより、小スプール144を移動させて圧力切替対象チャンバーとしての第1チャンバー34(
図4参照)の油圧を上記圧力P
1aと上記圧力P
2aとで切り替えるよう構成される。
【0082】
このように、小スプール144の第2受圧面148の面積が第1受圧面146の面積よりも小さいため、第1受圧面146と第2受圧面148のそれぞれに共通圧力P
2bを作用させた場合、第1受圧面146が受ける力は第2受圧面148が受ける力よりも大きくなる。一方、第2受圧面148に上記圧力P
2bを作用させた状態で第1受圧面146に圧力P
2bよりも小さい圧力P
1bを作用させた場合、圧力P
1bを適切に設定すれば第1受圧面146が受ける力を第2受圧面148が受ける力よりも小さくすることができる。
【0083】
したがって、第2チャンバー142の油圧を圧力P
2bに維持しながら第1チャンバー140の油圧を圧力P
2bと圧力P
2bよりも小さい圧力P
1bとで切り替えれば、第1受圧面146に作用する油圧のうち1つと第2受圧面148に作用する油圧とを共通化した簡易な構成で、大スプールバルブ40の第1チャンバー34(圧力調整対象チャンバー)の油圧を切り替えることができる。また、油圧機械としての油圧トランスミッション64が本来的に備える高圧油ライン12の圧力を第1受圧面146及び第2受圧面148に作用する共通油圧P
2bとして利用することにより、簡易な構成によって大スプールバルブ40の第1チャンバー34の油圧を切り替えることができる。また、第1受圧面146と第2受圧面148とに作用する共通圧力P
2bを低圧油ラインの圧力よりも大きくすることにより、小スプール144の移動及びそれにともなう大スプールバルブ40の第1チャンバー34の油圧切り替えを高速化することができる。
【0084】
なお、主に
図3及び
図8に示す切替バルブ46は、油圧トランスミッション64が本来的に備える高圧油ライン12の圧力を第1受圧面
146及び第2受圧面
148のための共通油圧P
2bとして利用し、ドレインタンク133に連通するドレインライン134の圧力(略大気圧)を上記圧力P
1bとして利用している。これにより、簡易な構成によって、大スプールバルブ40の第1チャンバー34の圧力切り替え及びそれに伴う上記第1状態と上記第2状態との切り替えを実現することができる。なお、ここでの共通油圧P
2bは、高圧油ライン12の圧力であり、上記圧力P
2aと等しい圧力である。
【0085】
また、
図8における第1受圧面146は、小スプール144の軸方向における小スプール144の端面のうち第1チャンバー140に面する全ての面のことを指している。また、
図8における第2受圧面148は、小スプール144の軸方向における小スプール144の端面のうち第2チャンバー142に面する全ての面のことを指している。
【0086】
また、上述のように第1受圧面146が受ける力を第2受圧面148が受ける力より小さくするためには、例えば、第1受圧面146の面積と上記圧力P
1bとの積が第2受圧面148の面積と上記圧力P
2bとの積よりも小さくなるように各受圧面146,148の面積及び上記圧力P
1b、P
2bを設定すればよい。
【0087】
ここで、
図8に示した小スプール144における第1受圧面146の面積をS
1b、第2受圧面148の面積をS
2bとすると、
小スプールバルブ48は、
を満たすよう構成することが望ましい。
【0088】
これにより、小スプール144が第1チャンバー140の油圧によって受ける力と第2チャンバー142の油圧によって受ける力との合力の大きさが、第1受圧面146に圧力P
1bを作用させた時と圧力P
2bを作用させた時とで略等しくなる(該合力の向きは逆である)。したがって、第1チャンバー140の油圧をP
1bからP
2bに切り替える場合とP
2bからP
1bに切り替える場合とで小スプール144の応答性を略同等にすることができる。
【0089】
幾つかの実施形態では、油圧に起因する正味の力のみを利用して小スプール144を動かすことができる。他の実施形態では、油圧に起因する正味の力に加えて、バネ等による他の力も利用することができる。この場合、例えば、第1受圧面146が受ける力に抗する方向に第2受圧面148を不図示のバネで付勢した上で、第1受圧面146の面積と上記圧力P
1bとの積が、第2受圧面148の面積と上記圧力P
2bとの積とこのバネ付勢の力とを合計した力よりも小さくなるように、各受圧面146,148の面積、圧力P
1b、P
2b及びバネ付勢の力を設定してもよい。
【0090】
図8に示す小スプールバルブ48は、高圧ポート120と第1チャンバー140とを連通するための第1流路部149と、高圧ポート120と第2チャンバー
142とを連通するための第2流路部150とを有し、第1流路部149には絞り部152が設けられている。第1流路部149と第2流路部150とは小スプール144の内部に設けられ、高圧ポート120に連通する流路151から分岐して第1チャンバー140と第2チャンバー142とにそれぞれ接続される。
切替バルブ46は、第1チャンバー内の高圧油を油圧トランスミッション64が備えるドレインライン134へ排出するための排出ポート132を備えており、排出ポート132の油圧は上記圧力P
1b(ここではドレインライン134の圧力)である。2ポートソレノイドバルブ50は、第1チャンバー140と排出ポート132との間の流路(ライン153、155)に設けられている。第1チャンバー140と排出ポート132とは、2ポートソレノイドバルブ50が開いたときにライン153、155を介して連通状態となり、2ポートソレノイドバルブ50が閉じた時に非連通状態となる。第2チャンバー142は、高圧ポート120と常に連通して圧力P
2bに維持されている。
【0091】
図8に示す2ポートソレノイドバルブ50はスプリング154とポペット156と弁座157とソレノイドコイル158とアーマチュア161とを含む。
図8に示す2ポートソレノイドバルブ50は、ノーマルクローズ式である。ソレノイドコイル158に通電するとアーマチュア161が吸引され、スプリング154の付勢力に抗してポペット156が弁座157に対して垂直方向に移動することで2ポートソレノイドバルブ50が開く。なお、2ポートソレノイドバルブ50はノーマルオープン式のものを用いてもよい。
図8に示す第1チャンバーの油圧は、2ポートソレノイドバルブ50が開閉することによって圧力P
1bと圧力P
2bとで切り替わる。
【0092】
図8に示す切替バルブ46の状態は、2ポートソレノイドバルブ50が閉じた状態であり、第1チャンバー140の圧力と第2チャンバー142の圧力が、上記圧力P
2bすなわち高圧油ライン12の圧力と一致している状態である。この状態は、小スプールバルブ48の低圧ポート128と出力ポート124とが小スプール144の環状溝部160を介して連通した状態、すなわち大スプールバルブ40の第1チャンバー34(
図4参照)が低圧油ライン14と連通した状態である。この状態においては、第1チャンバー34の圧力は上記圧力P
1aすなわち低圧油ライン14の圧力に一致する。
【0093】
この状態から2ポートソレノイドバルブ50が開放されると、排出ポート132と第1チャンバー140とが連通して、第1チャンバー140内の高圧油が排出ポート132から排出される。これにより、第1チャンバー140の油圧が上記圧力P
2b(ここでは高圧油ライン12の圧力)から上記圧力P
1b(ここではドレインライン134の圧力)に向けて低下し、第1流路部149における絞り部152の両側に圧力差が発生する。第1チャンバー140の圧力低下にともなって、小スプール144の位置は
図8に示す位置から軸方向に移動して
図9に示す位置となる。
図9に示す切替バルブ46の状態は、高圧ポート120と出力ポート124とが小スプール144の環状溝部160を介して連通した状態、すなわち大スプールバルブ40の第1チャンバー34(
図4参照)が高圧油ライン12と連通した状態、すなわち、第1チャンバー34の油圧が上記圧力P
2a(ここでは高圧油ライン12の圧力)に一致する。
【0094】
この状態から2ポートソレノイドバルブ50が閉鎖されると、小スプールバルブ48の第1流路部149における絞り部152から第1チャンバー140へ流入した高圧油によって第1チャンバー140の油圧が上記圧力P
1b(ここではドレインライン134の圧力)から上記圧力P
2b(ここでは高圧油ライン12の圧力)に向けて上昇する。第1チャンバー140の圧力上昇に伴って、小スプール144の位置は
図9に示す位置から軸方向に移動して
図8に示す位置となる。
【0095】
図8及び
図9に示す切替バルブ46によれば、2ポートソレノイドバルブ50の開閉によって第1チャンバー140の油圧のみを切り替えることで小スプール144を移動可能なため、3ポートあるいは4ポートのソレノイドバルブを用いてスプールの両端面に作用する油圧をそれぞれ変化させることでスプールを移動させるような構成と比較して、ソレノイドバルブの弁体を含む可動部分のストロークを容易に小さくすることができる。これにより、ソレノイドバルブ50の応答性向上とそれにともなう第1チャンバー34の油圧切替の高速化を実現することができる。
【0096】
また、2ポートソレノイドバルブ50の開閉を弁座157に対するポペット156の垂直方向の移動により行うため、上記3ポートあるいは4ポートのソレノイドバルブを用いる構成と比較して、ソレノイドバルブの弁体を含む可動部分のストロークを更に小さくすることができる。これにより、ソレノイドバルブ50の応答性を更に向上し、第1チャンバー34の油圧切替を更に高速化することができる。
【0097】
また、高圧ポート120と第1チャンバー140とを連通するための第1流路部149に絞り部152が設けられているため、高圧ポート120と第1チャンバー140との間に圧力差が生じた場合、絞り部152の流路面積に応じた流量の高圧油を高圧ポート120から第1チャンバー140に供給することができる。したがって、絞り部152の流路面積を適切に設定すれば、簡易な構成で第1チャンバー140の油圧切替タイミングを調節することができる。
なお、
図8に示す切替バルブ46には、2ポートソレノイドバルブ50を閉じる際に背圧が立たないように、ドレインタンク133(
図3参照)と連通する連通路159が設けられている。
【0098】
次に、
図10を用いて、2ポートソレノイドバルブ50の開閉時における切替バルブ46の各部のより詳細な動作フローを説明する。
図10(a)は、2ポートソレノイドバルブ50が閉じた状態(
図8)から開いた状態(
図9)へ移行する際の、切替バルブ46の各部の動作フローを説明するための図である。
図10(a)において、まず、S11でソレノイドコイル158への通電を開始する。S12で、スプリング154の付勢力を含むポペット156を弁座157に押しつける方向の力に対してソレノイドコイル158によるアーマチュア161の吸引力が上回り、ポペット156が弁座157から離れ始め、これにより小スプールバルブ48の第1チャンバー140の圧力が低下し始める。S13で、小スプール144の第1受圧面146が第1チャンバー140の油圧によって受ける力が第2受圧面148が第2チャンバー142の油圧によって受ける力を下回り、小スプール144が軸方向における第1受圧面146側へ移動し始める。S14で、小スプール144が第1チャンバー140の壁面に突き当たって移動を完了する(
図9の状態)。
【0099】
次に、
図10(b)を用いて、2ポートソレノイドバルブ50が開いた状態(
図9)から閉じた状態(
図8)へ移行する際の、切替バルブ46の各部の動作フローを説明する。
図10(b)において、まず、S21でソレノイドコイル158への通電を停止する。S22で、ソレノイドコイル158の残留磁気に起因したアーマチュア161の吸引力に対してスプリング154の付勢力が一定量以上上回り、ポペット156が弁座に向かって移動を始める。S23で、小スプール144の第1受圧面146が第1チャンバー140の油圧によって受ける力が第2受圧面148が第2チャンバー142の油圧によって受ける力を上回り、小スプール144が軸方向における第2受圧面148側へ移動し始める。S14で、小スプール144が第2チャンバー142の壁面に突き当たって移動を完了する(
図8の状態)。
【0100】
ここで、上記S11でソレノイドコイル158への通電を開始してからS14で小スプール144の移動が完了するまでの時間をA、S21でソレノイドコイル158への通電を停止してからS24で小スプール144の移動が完了するまでの時間をBとすると、
切替バルブ46は、
0.7≦A/B≦1.3
を満たすよう構成される。
【0101】
これにより、大スプールバルブ40の第1チャンバー34(圧力切替対象チャンバー)の圧力を切り替える間隔を均等にすることが可能となる。したがって、油圧室24の圧力を切り替える間隔も均等にすることが可能となる。
なお、上記のA/Bは、例えば上記絞り部152の径を調節することにより調整可能である。
図8に示す切替バルブ46においては、絞り部152の径を大きくするにつれてBは短くなるとともにAは長くなり、A/Bは大きくなる。一方、絞り部152の径を小さくするにつれてBは長くなるとともにAは短くなり、A/Bは小さくなる。
【0102】
なお、主に
図3〜
図5を用いて説明したスプールバルブ組立体30においては、上記圧力P
1aとして低圧油ライン14の圧力を用い、上記圧力P
2aとして高圧油ライン12の圧力を用いる構成を採用したが、スプールバルブ組立体30の構成はこれに限らない。
【0103】
例えば、上記圧力P
1aとして、ドレインライン134の圧力(略大気圧)を用い、上記圧力P
2aとして、低圧油ライン14の圧力よりも大きな圧力であって高圧油ライン12の圧力とは異なる圧力を有する油圧ライン13の圧力を用いる構成を採用してもよい。この場合、例えば
図11に示すように、大スプールバルブ40の第2チャンバー36が油圧ライン13に連通し、切替バルブ46の高圧ポート120が油圧ライン13に連通し、低圧ポート128がドレインライン134に連通するようスプールバルブ組立体30を構成してもよい。
図11に示すスプールバルブ組立体30は、切替バルブ46の出力ポート124に連通するポートを高圧ポート120と低圧ポート128とで切り替えることにより、大スプールバルブ40の第1チャンバー34の油圧を圧力P
1a(ここではドレインライン134の圧力)と圧力P
2a(ここでは油圧ライン13の圧力)とで切り替えるよう構成されている。
【0104】
図11に示すスプールバルブ組立体30においても、第1受圧面42に作用する油圧のうち1つと第2受圧面44に作用する油圧とを共通化した簡易な構成で、油圧室24と高圧油ライン12とが連通する上記第1状態と油圧室24と低圧油ライン14とが連通する上記第2状態とを切り替えることができる(圧力切替対象チャンバーとしての油圧室24の圧力を切り替えることができる)。また、第1受圧面42と第2受圧面44とに作用する共通圧力P
2aを低圧油ラインの圧力よりも大きくすることにより、大スプール38の移動及びそれにともなう油圧室24の油圧切り替えを高速化することができる。
【0105】
また、主に
図3及び
図8を用いて説明した切替バルブ46においては、上記圧力P
1bとしてドレインライン134の圧力を用い、上記圧力P
2bとして高圧油ライン12の圧力を用いる構成を採用したが、切替バルブ46の構成はこれに限らない。
【0106】
例えば、上記圧力P
1bとして、低圧油ライン14の圧力を用い、上記圧力P
2bとして、低圧油ライン14の圧力よりも大きな圧力であって高圧油ライン12の圧力とは異なる圧力を有する油圧ライン13の圧力を用いる構成を採用してもよい。この場合、例えば
図11に示すように、切替バルブ46の高圧ポート120が油圧ライン13に連通し、排出ポート132が低圧油ライン14に連通するよう切替バルブ46を構成してもよい。
図11に示す切替バルブ46において、排出ポート132は、小スプールバルブ48の第1チャンバー140の高圧油を低圧油ライン14に排出するために設けられており、2ポートソレノイドバルブ50は、排出ポート132と第1チャンバー140との間の流路に設けられている。
図11に示す切替バルブ46において、2ポートソレノイドバルブ50が開放されると第1チャンバー140の高圧油が排出ポート132から排出されることで第1チャンバー140の油圧が圧力P
2b(ここでは油圧ライン13の圧力)から圧力P
1b(ここでは低圧油ライン14の圧力)に向けて低下する。2ポートソレノイドバルブ50が閉鎖されると、油圧ライン13から絞り部152を介して第1チャンバー140へ流入した高圧油によって第1チャンバー140の油圧が圧力P
1b(ここでは低圧油ライン14の圧力)から圧力P
2b(ここでは油圧ライン13の圧力)に向けて上昇する。
【0107】
また、他の実施形態では、
図3に示した絞り部152と2ポートソレノイドバルブ50の配置を
図12に示すように変更してもよい。すなわち、高圧ポート120と第1チャンバー140との間の流路に2ポートソレノイドバルブ50を設けるとともに、第1チャンバー140と排出ポート132との間の流路に絞り部152を設けてもよい。
【0108】
図12に示す切替バルブ46において、2ポートソレノイドバルブ50が開放されると、高圧油ライン12から第1チャンバー140へ流入した高圧油によって第1チャンバー140の油圧が圧力P
1b(ここではドレインライン134の圧力)から圧力P
2b(ここでは高圧油ライン12の圧力)に向けて上昇する。2ポートソレノイドバルブ50が閉鎖されると、第1チャンバーへの高圧油の供給がとまるため、第1チャンバー140の高圧油が絞り部152を介して排出ポート132から排出されることにともなって、第1チャンバー140の油圧が圧力P
2b(ここでは高圧油ライン12の圧力)から圧力P
1b(ここではドレインライン134の圧力)に向けて低下する。
【0109】
図11に示す切替バルブ46及び
図12に示す切替バルブ46の何れにおいても、第1受圧面146に作用する油圧のうち1つと第2受圧面148に作用する油圧とを共通化した簡易な構成で、大スプールバルブ40の第1チャンバー34(圧力調整対象チャンバー)の油圧を切り替えることができる。また、第1受圧面146と第2受圧面148とに作用する共通圧力P
2bを低圧油ラインの圧力よりも大きくすることにより、小スプール144の移動及びそれにともなう大スプールバルブ40の第1チャンバー34の油圧切り替えを高速化することができる。
また、
図11に示す切替バルブ46及び
図12に示す切替バルブ46の何れにおいても、2ポートソレノイドバルブ50の開閉によって第1チャンバー140の圧力のみを切り替えることで小スプール144を移動可能なため、3ポートあるいは4ポートのソレノイドバルブを用いてスプールの両端面に作用する油圧をそれぞれ変化させることでスプールを移動させる構成と比較して、ソレノイドバルブの切替に要するストロークを容易に小さくすることができる。これにより、ソレノイドバルブ50の応答性向上とそれにともなう第1チャンバー34の油圧切替の高速化を実現することができる。また、2ポートソレノイドバルブ50の開閉を弁座157に対するポペット156の垂直方向の移動により行う(
図8、
図9参照)ため、上記3ポートあるいは4ポートのソレノイドバルブを用いる構成と比較して、ソレノイドバルブの切替に要するストロークを更に小さくすることができる。これにより、ソレノイドバルブ50の応答性を更に向上し、第1チャンバー34の油圧切替を更に高速化することができる。
【0110】
なお、主に
図4を用いて説明した大スプールバルブ40の第1ドレイン室80と第2ドレイン室82とは、ケーシング72に設けられた第1ドレイン流路84を介して連通するよう構成している。これに対し、他の実施形態では、
図13に示すように、大スプール38内に設けられた第2ドレイン流路85を介して連通するよう構成してもよい。これにより、大スプール38の移動時に第1ドレイン室80及び第2ドレイン室82の油から受ける抵抗を低減することができる。また、大スプール38の重量を低減できるため、大スプールバルブ40の応答性を向上することができる(すなわち、スプールバルブ組立体30の応答性を向上することができる)。第2ドレイン流路85は、
図13に示すように複数設けてもよい。また、第1ドレイン流路84を設けずに、第2ドレイン流路のみを介して第1ドレイン室80と第2ドレイン室82とを連通させてもよい。
【0111】
なお、主に
図4を用いて説明した大スプールバルブ40において大スプール38とケーシング72の間にスリーブ52を設けたメリットとしては、主に以下の2点を挙げることができる。1点目は、大スプール38の摺動に起因する摩耗の影響がケーシング72に及ばない(大スプール38、スリーブ52、第1及び第2エンドウォール92,94にのみ及ぶ)ため、摩耗に起因して大スプール38等を交換する際に、ケーシング72を交換する必要がない点である。2点目は、第1スプールバルブの摺接部を構成するスリーブ52をケーシング72とは別体として設け、スリーブ52の材料選択や表面硬化処理等によってスリーブ52に高い硬度又は良好な耐腐食性を持たせれば、コストを低減できる点である。
【0112】
ただし、他の実施形態では、
図14に示すように、大スプールバルブ40は、
図4におけるスリーブ52を用いない構成を採用することも可能である。この場合、大スプール38の第1ランド部56と第2ランド部58とは、ケーシング72の内周面に対して直接摺動するよう構成される。
【0113】
図14に示す大スプールバルブ40においても、高圧連通路74が環状溝部54を介して油圧室連通路78と連通することで、高圧油ライン12と油圧室24とが連通する第1状態(
図14に示す状態)となり、低圧連通路76が環状溝部54を介して油圧室連通路78と連通することで、低圧油ライン14と油圧室24とが連通する第2状態(
図15に示す状態)となる。この場合の第1状態と第2状態の切替方法は、主に
図4を用いて説明した方法(第1チャンバー34と第2チャンバー36の圧力を利用して大スプール38を大スプール38の軸方向に移動させる切替方法)と同様である。
【0114】
なお、
図14に示すケーシング72は環状流路89を有している。環状流路89は、大スプール38の軸方向における油圧室連通路78と同位置において、環状溝部54の周りに形成されている。また、環状流路89は、大スプール38の位置によらず環状溝部54と常に連通するような位置に設けられている。これにより、環状溝部54及び環状流路89を介したリリーフバルブ114と油圧室24との良好な連通状態を実現することができる。
【0115】
また、
図14に示す大スプールバルブ40では、
図4に示したスリーブ52を大スプール38とケーシング72との間に介さない。このように、圧力損失の要因となりがちな各ポート66,68,70を有するスリーブ52を省略することで、スプールバルブ組立体30の動力損失を低減できる。また、高圧油ライン12と油圧室24との間を通過する流量と、低圧油ライン14と油圧室24との間を通過する流量とを容易に確保することができる。
【0116】
また、
図4に示す大スプールバルブ40では、スリーブ52、ケーシング72、第1エンドウォール92および第2エンドウォール94の間には、圧力が異なる流路間の連通を遮るために不図示のシール部材(Oリング等)が設けられるが、
図14に示す大スプールバルブ40では、スリーブ52に対応するシール部材が不要である。したがって、
図14に示す大スプールバルブ40は、
図4に示す構成と比較して、部品点数を低減することができ、これによるコスト低減及び組立性向上が期待できる。