(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図の構成を説明する際には、XY´Z´座標系を用いる。このXY´Z´座標系における各軸は、後述する水晶の結晶軸と以下の関係を有している。すなわち、X軸が電気軸であり、Z´軸が光学軸であるZ軸に対してX軸周りに35度15分だけ傾いた軸であり、Y´軸がX軸およびZ´軸に直交する軸である。また、X方向、Y´方向およびZ´方向は、図中矢印方向を+方向とし、矢印とは反対の方向を−方向として説明する。
【0018】
(第1実施形態、圧電振動片および圧電振動子)
最初に、第1実施形態の圧電振動片および圧電振動子について説明する。
図1は、第1実施形態の圧電振動子を示す、分解斜視図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の圧電振動子1は、ベース基板3とリッド基板5とで2層に積層された箱状に形成されており、内部のキャビティ7内に圧電振動片10がマウントされている。
【0020】
圧電振動片10は、圧電板20と、圧電板20上に形成された電極膜50と、を備えている。電極膜50は、第1マウント電極55および第2マウント電極57を有している。
圧電振動片10は、導電性接着剤等の実装部材を利用して、ベース基板3上の上面3aにマウントされる。より具体的には、ベース基板3の上面3aに形成された一対のインナー電極9に対して、圧電板20に形成された第1マウント電極55および第2マウント電極57が、実装部材を介してマウントされる。
これにより、圧電振動片10は、ベース基板3の上面3aに機械的に保持されると共に、第1マウント電極55および第2マウント電極57とインナー電極9とがそれぞれ導通された状態となっている。
【0021】
図2は、第1実施形態に係る圧電振動片の平面図である。
図3は、第1実施形態に係る圧電振動片の説明図であり、
図2のIII−III線における断面図である。
図4は、第1実施形態に係る圧電振動片の説明図であり、
図2のIV−IV線における断面図である。
図5は、第1実施形態に係る圧電振動片の説明図であり、
図2のV−V線における断面図である。
【0022】
図2〜5に示すように、圧電振動片10は、ATカットにより、矩形板状に形成された圧電板20を有する。
ATカットは、人工水晶の結晶軸である電気軸(X軸)、機械軸(Y軸)及び光学軸(Z軸)の3つの結晶軸のうち、Z軸に対してX軸周りに35度15分だけ傾いた方向(Z´軸方向)に切り出す加工手法である。ATカットによって切り出された圧電板20を有する圧電振動片10は、周波数温度特性が安定しており、構造や形状が単純で加工が容易であり、CI値が低いという利点がある。本実施形態の圧電板20は、Z´方向の長さがX方向の長さより長くなるように形成されている。
【0023】
圧電板20は、頂面21と、裏主面23と、前記頂面21に接続された斜面25とを有する。
頂面21は、XZ´平面に平行な平坦面で、圧電板20の+Y´方向側に形成される。頂面21は、Y´方向視において圧電板20の中央部分に矩形状に形成されている。なお頂面21は、後述する製造方法により任意の位置および形状に形成することができる。
裏主面23は、XZ´平面に平行な平坦面で、圧電板20の−Y´方向側に形成される。
斜面25は、圧電板20の+Y´方向側に形成される。斜面25は、Y´方向視において頂面21と圧電板20の外周とを接続している。
【0024】
圧電振動片10は、頂面21に形成された第1励振電極51と、裏主面23に形成された第2励振電極53と、を有する。
第1励振電極51は、Y´方向視矩形状で、頂面21の中央部の位置に形成されている。第2励振電極53は、Y´方向視矩形状で、裏主面23の中央部の位置に形成されている。第2励振電極53は、Y´方向視において第1励振電極51と重なるように形成されている。
【0025】
圧電振動片10は、第1励振電極51に接続された第1マウント電極55と、第2励振電極53に接続された第2マウント電極57と、を有する。
第1マウント電極55は、Y´方向視矩形状に形成され、後述する第2斜面27および第3斜面28のうち+X側かつ−Z´側の角部から、圧電板20の端部を介して、裏主面23のうち+X側かつ−Z´側の角部に亘って形成されている。第1マウント電極55は、頂面21に重ならない位置に設けられている。第1マウント電極55は、頂面21および第2斜面27上の第1引き回し配線59を介して、第1励振電極51に接続されている。
第2マウント電極57は、Y´方向視矩形状に形成され、後述する第2斜面27および第4斜面29のうち−X側かつ−Z´側の角部から、圧電板20の端部を介して、裏主面23のうち−X側かつ−Z´側の角部に亘って形成されている。第2マウント電極57は、頂面21に重ならない位置に設けられている。第2マウント電極57は、裏主面23上の第2引き回し配線61を介して、第2励振電極53に接続されている。
【0026】
なお、上述した励振電極、マウント電極、および引き回し配線は、金等の金属の単層膜や、クロム等の金属を下地層とし、金等の金属を上地層とした積層膜などで形成されている。
【0027】
そして斜面25は、圧電板20の外周4辺から中央部に向かって形成された第1斜面26、第2斜面27、第3斜面28、および第4斜面29を有する。
【0028】
第1斜面26は、Y´方向視において圧電板20の+Z´方向側の辺から頂面21に向かって形成される。Y´方向視における第1斜面26の外形は、圧電板20の+Z´方向側の辺と、その両端から圧電板20の中央部に向かって延びる、+Z´方向側の辺とのなす角度が約45度となる一対の直線22a,22bと、頂面21の外周と、に囲まれた形状に形成される。第1斜面26は、圧電板20の+Z´方向側の辺の全長に亘ってXZ´平面に対して角度θ1で傾斜している。
【0029】
第2斜面27は、Y´方向視において圧電板20の−Z´方向側の辺から頂面21に向かって形成される。Y´方向視における第2斜面27の外形は、圧電板20の−Z´方向側の辺と、その両端から圧電板20の中央部に向かって延びる、−Z´方向側の辺とのなす角度が約45度となる一対の直線22c,22dと、頂面21の外周と、に囲まれた形状に形成される。第2斜面27は、圧電板20の−Z´方向側の辺の全長に亘ってXZ´平面に対して角度θ2で傾斜している。
【0030】
第3斜面28は、Y´方向視において圧電板20の+X方向側の辺から頂面21に向かって形成される。Y´方向視における第3斜面28の外形は、圧電板20の+X方向側の辺と、その両端から圧電板20の中央部に向かって延びる、+X方向側の辺とのなす角度が約45度となる一対の直線22a,22dと、頂面21の外周と、に囲まれた形状に形成される。第3斜面28は、圧電板20の+X方向側の辺の全長に亘ってXZ´平面に対して角度θ3で傾斜している。
【0031】
第4斜面29は、Y´方向視において圧電板20の−X方向側の辺から頂面21に向かって形成される。Y´方向視における第4斜面29の外形は、圧電板20の−X方向側の辺と、その両端から圧電板20の中央部に向かって延びる、−X方向側の辺とのなす角度が約45度となる一対の直線22b,22cと、頂面21の外周と、に囲まれた形状に形成される。第4斜面29は、圧電板20の−X方向側の辺の全長に亘ってXZ´平面に対して角度θ4で傾斜している。
【0032】
斜面25の傾斜角θ1〜θ4は何れも等しく、水晶結晶の自然結晶面が形成する角度よりも小さい。その角度は、例えば20度以下である。本実施形態では、矩形状の圧電板20の外周4辺に亘ってXZ´平面に対して同じ角度で傾斜する斜面が形成されため、隣接する斜面間の交線22a〜22dは、圧電板20の外周辺とのなす角度がY´方向視において約45度となる。
【0033】
また、
図2に示すように、Y´方向視における圧電板20の+Z´方向側の辺から頂面21までの距離D1、および圧電板20の−Z´方向側の辺から頂面21までの距離D2は、等しくなるように形成されている。同様に、Y´方向視における圧電板20の+X方向側の辺から頂面21までの距離D3、および圧電板20の−X方向側の辺から頂面21までの距離D4は、等しくなるように形成されている。そして、距離D3および距離D4は、距離D1および距離D2より大きい。すなわち、第1斜面26および第2斜面27は、それぞれ斜面の途中で頂面21の±Z´方向側の辺と接続することになる。そのため、
図5に示すように第3斜面28および第4斜面29と頂面21とは直接接続されているが、
図3に示すように第1斜面26および第2斜面27と頂面21とは立壁24a,24bを介して間接接続されている。すなわち、第1斜面26および第2斜面27と頂面21との間には段差が形成されている。
【0034】
このように、圧電板20の中央部に形成された頂面21から外周に向かって略等しい角度で傾斜する斜面を形成することで、圧電振動片10の等方性が向上する。そのため、第1励振電極51および第2励振電極53に挟まれた励振部を起点とした振動の等方性の低下を防止できる。すなわち、厚みすべり主振動と厚み副振動の関係性が良好に保たれ、励振電極を起点とした全方向について厚みすべり主振動と厚み副振動との周波数の接近を防止することができるため、良好な振動特性が得られる。
【0035】
(第1実施形態、圧電振動片の製造方法)
次に第1実施形態の圧電振動片の製造方法について説明する。
図6〜20は、第1実施形態に係る圧電振動片の製造方法を説明する工程図である。各図において(a)は
図2のIII−III線に相当する部分における断面図、(b)は平面図である。
【0036】
本実施形態の圧電振動片10の製造方法は、ウエハSの表面に、頂面21の外形パターンの第1マスク81aを形成する第1マスク形成工程と、第1マスク81aを介してウエハSの表面をプラズマ処理するプラズマ処理工程と、を備える。さらに、ウエハSの表面に、頂面21および斜面25の外形パターンの第2マスク91aを形成する第2マスク形成工程と、第2マスク91aを介してウエハSをウェットエッチングすることで、第2マスク91aが被覆している斜面25の形成領域に、斜面25を形成する斜面形成工程と、を備える。
【0037】
まず、水晶のランバート原石をATカットして一定の厚みとしたウエハを、ラッピングして粗加工した後、加工変質層をエッチングで取り除く。その後ポリッシュなどの鏡面研磨加工を行なって、所定の厚みのウエハSを準備する(
図6参照)。
【0038】
次に上述した各工程の前工程として、外形マスク形成工程および外形形成工程を行う。
【0039】
(外形マスク形成工程)
外形マスク形成工程について説明する。
図7に示すように、ウエハSの両面にエッチング保護膜71およびフォトレジスト膜73をそれぞれ成膜する。
【0040】
エッチング保護膜71は、後述する水晶からなるウエハSのエッチングに対する耐性を有する。例えば、厚さが数10nmのクロム(Cr)の金属層と、厚さが数10nmの金(Au)の金属層とが、順次積層された積層膜である。
この工程においては、まず、ウエハSの表裏主面に、エッチング保護膜71を、それぞれスパッタリング法や蒸着法などにより成膜する。
【0041】
次いで、エッチング保護膜71上に、スピンコート法などによりレジスト材料を塗布して、フォトレジスト膜73を形成する。
本実施形態で用いるレジスト材料としては、環化ゴム(例えば、環化イソプレン)を主体にしたゴム系ネガレジストが好適に用いられている。ゴム系ネガレジストは、環化ゴムを有機溶剤に溶解し、さらにビスアジド感光剤を加えて、ろ過し、不純物を除去することで精製されたものである。
【0042】
次に、
図8および
図9に示すように、ウエハSの表面に圧電板20の外形パターンの外形マスク71aを形成する。
具体的には、まず、エッチング保護膜71およびフォトレジスト膜73が成膜されたウエハSの一方側の面を、圧電板20の外形パターンが形成されたフォトマスクを用いて露光する。同様に、ウエハSの他方側の面を、圧電板20の外形パターンが形成されたフォトマスクを用いて露光する。そして、ウエハSの両面に成膜されたフォトレジスト膜73を一括で現像する。これにより、
図8に示すように、ウエハSの両面に成膜されたフォトレジスト膜73に、圧電振動片10の外形パターン73aを形成する。
【0043】
次いで、圧電板20の外形パターン73aが形成されたフォトレジスト膜73をマスクとして、ウエハSの両面に成膜されたエッチング保護膜71にエッチング加工を行ない、マスクされていないエッチング保護膜71を選択的に除去する。これにより、
図9に示すように、ウエハSの両面に、圧電板20の外形パターンの外形マスク71aが形成される。
このエッチング保護膜71のエッチング加工には、エッチング保護膜71とフォトレジスト膜73が形成されたウエハSを、薬液に浸漬して行うウェットエッチング方式を用いることができる。例えば、エッチング保護膜71が金(Au)からなる場合には、薬液としてヨウ素を用いてエッチングすることができる。
【0044】
(外形形成工程)
次に外形形成工程について説明する。
図10に示すように、外形マスク71aを介してウエハSをエッチングし、圧電板20の外形パターンを形成する。
このウエハSのエッチング加工は、外形マスク71aが形成されたウエハSを薬液に浸漬して行うウェットエッチング方式を用いることができる。例えば、薬液としてフッ酸を用いてエッチングすることができ、エッチング時間は3時間程度とする。これにより、圧電板20の外形パターンが形成される。
【0045】
次に、
図11に示すように、エッチング保護膜71およびフォトレジスト膜73を除去する。なお、フォトレジスト膜73の除去は、先述したエッチング保護膜71のエッチング加工後(外形形成工程の前)に行ってもよい。
【0046】
(第1マスク形成工程)
次に第1マスク形成工程について説明する。
図12に示すように、圧電板20の外形パターンを形成したウエハSの両面に、頂面保護膜81およびフォトレジスト膜83をそれぞれ成膜する。
【0047】
頂面保護膜81は、後述するプラズマ処理に対する耐性を有する。頂面保護膜81として、例えばエッチング保護膜71と同様の積層膜を用いることができる。その場合、頂面保護膜81の形成方法は、外形マスク形成工程と同様である。
【0048】
フォトレジスト膜83の材質および形成方法は、外形形成工程におけるフォトレジスト膜73と同様である。
【0049】
次に、
図13および
図14に示すように、ウエハSの表面に、頂面21の外形パターンの第1マスク81aを形成する。
具体的には、まず、頂面保護膜81およびフォトレジスト膜83が成膜されたウエハSの一方側の面を、頂面の外形パターンが形成されたフォトマスクを用いて露光する。また、ウエハSの他方側の面を、裏主面の外形パターンが形成されたフォトマスクを用いて露光する。そして、ウエハSの両面に成膜されたフォトレジスト膜83を一括で現像する。これにより、
図13に示すように、ウエハSの両面に成膜されたフォトレジスト膜83に、頂面の外形パターン83aおよび裏主面の外形パターン83bを形成する。
【0050】
次いで、頂面の外形パターン83aおよび裏主面の外形パターン83bが形成されたフォトレジスト膜83をマスクとして、ウエハSの両面に成膜された頂面保護膜81にエッチング加工を行ない、マスクされていない頂面保護膜81を選択的に除去する。これにより、
図14に示すように、ウエハSに頂面の外形パターンの第1マスク81aおよび裏主面の外形パターンの第1マスク81bが形成される。頂面保護膜81のエッチング加工は、頂面保護膜81の材質がエッチング保護膜71と同様である場合、外形形成工程におけるエッチング保護膜71の加工と同様に行う。
【0051】
(プラズマ処理工程)
次にプラズマ処理工程について説明する。
図15に示すように、第1マスク81a,81bを介してウエハSの表面をプラズマ処理する。これにより、ウエハSの表面のうち第1マスク81a,81bに被覆されていない部分に極微小な突起が形成される。
【0052】
次に、
図16に示すように、頂面保護膜81およびフォトレジスト膜83を除去する。なお、フォトレジスト膜83の除去は、先述した頂面保護膜81のエッチング加工後(プラズマ処理工程の前)に行ってもよい。
【0053】
(第2マスク形成工程)
次に第2マスク形成工程について説明する。
図17に示すように、プラズマ処理を行ったウエハSの両面に、エッチング保護膜91およびフォトレジスト膜93をそれぞれ成膜する。エッチング保護膜91およびフォトレジスト膜93の材質および形成方法は、外形マスク形成工程におけるエッチング保護膜71およびフォトレジスト膜73と同様である。
【0054】
次に、
図18に示すように、ウエハSの表面に、頂面および斜面の外形パターンの第2マスク91a、並びに裏主面の外形パターンの第2マスク91bを形成する。本実施形態では、頂面および斜面の外形パターンは、圧電板20の外形パターンに一致する。外形パターン93a,93bおよび第2マスク91a,91bの形成方法は、外形マスク形成工程における外形パターン73aおよび外形マスク71aと同様である。
このように、微小突起が形成されたウエハSの表面を第2マスク91a,91bで被覆すると、ウエハSの表面と第2マスク91aとの間に微小な隙間が生じる。
【0055】
(斜面形成工程)
次に斜面形成工程について説明する。
図19に示すように、第2マスク91a,91bを介してウエハSをウェットエッチングすることで、第2マスク91aが被覆している斜面25の形成領域に、斜面25を形成する。
このウェットエッチング加工は、外形形成工程におけるウェットエッチング加工と同様に行うことができる。このとき、エッチング時間は例えば30分程度とする。
【0056】
このように、ウエハSの表面と第2マスク91aとの間に微小な隙間が生じている状態でウェットエッチングを行うと、その隙間にエッチング液が入り込む。これにより、第2マスク91aに被覆された領域の内側に向かってサイドエッチングが進行して斜面25が形成される。このとき、ウエハSの表面上のプラズマ処理された領域には微小突起が均一に形成されているため、エッチング液はウェットエッチング時間に応じて第2マスク91aに被覆された領域の外周から内側に向かって、全周に亘って均一に入り込む。そのため、ウエハSには第2マスク91aに被覆された領域において、その外周の全周に亘って均一な傾斜角を有する斜面25が形成される。なお、ウエハSの表面と第2マスク91aとの微小な隙間にはエッチング液が侵入しにくいので、エッチング液の侵入量がエッチングレートを支配し、結晶異方性はエッチングレートを支配しないと考えられる。
一方で、プラズマ処理工程において第1マスク81aに被覆された領域には微小突起が形成されないため、この領域にはサイドエッチングが進行しない。すなわちその領域には斜面25は形成されず、頂面21が形成される。したがって、第2マスク91aで被覆された領域のうち、第1マスク81aを介してプラズマ処理された領域に、等方性を有する斜面25が形成される。
なお上述したように、第1マスク81aに被覆された領域にはサイドエッチングが進行しないため、オーバーエッチングを行った場合には斜面25と頂面21との間には段差が形成される。本実施形態では、圧電板20の外周から頂面21までの距離が小さい第1斜面26および第2斜面27と頂面21との間に段差が形成される。
【0057】
図21および
図22は、第1実施形態に係る他の圧電振動片の平面図である。
圧電振動片10の頂面21の位置および形状は、第1マスク81aの形成位置および形状によって決まるため、所望の性能に合わせて位置および形状を最適化できる。本実施形態における圧電振動片10の頂面21の形状は、Z´方向に沿った辺の長さがX方向に沿った辺の長さより長い矩形状に形成されているが、これに限られるものではない。例えば、頂面21の形状は、
図21に示すX方向に沿った辺が長い矩形状や、
図22に示す長円形状であってもよい。
【0058】
次に、
図20に示すように、エッチング保護膜91およびフォトレジスト膜93を除去する。これにより、頂面21と頂面21に接続された斜面25とを有する圧電板20が得られる。なお、フォトレジスト膜93の除去は、先述したエッチング保護膜91のエッチング加工後(斜面形成工程の前)に行ってもよい。
【0059】
最後に、圧電板20の表面上に励振電極、マウント電極、および引き回し配線を形成することで、圧電振動片10が得られる。
【0060】
なお、本実施形態では、外形マスク形成工程および外形形成工程は、第1マスク形成工程の前に行ったが、プラズマ処理工程の後(第2マスク形成工程の前)、または斜面形成工程の後に行ってもよい。また、本実施形態では、ウエハSの表面に形成された第1マスク81aを介してプラズマ処理を行ったが、別途準備したステンシルマスクをウエハに密着させ、そのステンシルマスクを介してプラズマ処理してもよい。
【0061】
このように、本実施形態の圧電振動片の製造方法は、ウエハSの表面に、頂面21の外形パターンの第1マスク81aを形成する第1マスク形成工程と、第1マスク81aを介してウエハSの表面をプラズマ処理するプラズマ処理工程と、を備える。さらに、ウエハSの表面に、頂面21および斜面25の外形パターンの第2マスク91aを形成する第2マスク形成工程と、第2マスク91aを介してウエハSをウェットエッチングすることで、第2マスク91aが被覆している斜面25の形成領域に、斜面25を形成する斜面形成工程と、を備える、ことを特徴とする。
【0062】
本実施形態によれば、プラズマ処理を行ったウエハSの表面には極微小な突起が形成される。このウエハSの表面をマスクで被覆すると、ウエハSの表面とマスクとの間に微小な隙間が生じる。このウエハSをウェットエッチングすることで、ウエハSの表面とマスクとの隙間にエッチング液が入り込み、被マスク領域の内側に向かってサイドエッチングが進行して斜面が形成される。このとき、ウエハSの表面上のプラズマ処理された領域には微小突起が均一に形成されているため、エッチング液はウェットエッチング時間に応じて被マスク領域の外周から内側に向かって、全周に亘って均一に入り込む。そのため、ウエハSには被マスク領域において、その外周の全周に亘って均一な傾斜角を有する斜面が形成される。したがって、第2マスク91aを介してウエハSをウェットエッチングすることで、第2マスク91aで被覆された領域のうち、第1マスク81aを介してプラズマ処理された領域に、等方性を有する斜面25が形成される。このように斜面25に等方性を持たせることで、振動の等方性が得られる。すなわち、厚みすべり主振動と厚み副振動の関係性が良好に保たれ、励振電極を起点とした全方向について厚みすべり主振動と厚み副振動との周波数の接近を防止することができるため、良好な振動特性が得られる。
ところで、第1マスク81aを介さずにウエハSの全面をプラズマ処理すると、第2マスク91aで被覆された領域の外周から等距離となる内側の位置まで斜面25が形成され、その斜面25の内側が頂面21になる。そのため、頂面21の位置および形状を、所望の性能に合わせて最適化できない。これに対して第1マスク81aを介してプラズマ処理を行うことで、第1マスクの位置には斜面25が形成されないので、頂面21の位置および形状は、第1マスク81aの位置および形状によって決まる。そのため、頂面21の位置および形状を、所望の性能に合わせて最適化できる。
これにより、等方性を有する斜面25と、任意の位置および形状に形成された平坦な頂面21とを備えた圧電振動片10が得られる。したがって、振動特性の優れた圧電振動片を製造できる。
【0063】
また、本実施形態の圧電振動片の製造方法において、第2マスク91aは、圧電板20の外形パターンに一致する、ことを特徴とする。
本実施形態によれば、圧電板20の周縁部に斜面25を有する、いわゆるベベル型の圧電振動片10が形成される。ベベル型の圧電振動片10の周縁部が等方性を有する斜面25で形成されるので、振動の等方性を有するベベル型の圧電振動片10が得られる。したがって、より振動特性の優れた圧電振動片を製造できる。
【0064】
本実施形態の圧電振動片10は、上記の製造方法によって製造される、ことを特徴とする。
本実施形態によれば、等方性を有する斜面25が圧電振動片10に形成される。したがって、振動特性の優れた圧電振動片を得ることができる。
【0065】
本実施形態の圧電振動子1は、圧電振動片10を備える、ことを特徴とする。
本実施形態によれば、上述した振動特性の優れた圧電振動片10を備えるため、振動特性の優れた圧電振動子を得ることができる。
【0066】
図23は、第1実施形態に係る他の圧電振動片の説明図であり、
図2のIII−III線に相当する部分における断面図である。
なお、本実施形態のおける圧電振動片10は、
図3〜5に示すように+Y´方向側の面のみに斜面を有するが、
図23に示すように+Y´方向側および−Y´方向側の両面に斜面を有していてもよい。
【0067】
(第1実施形態、第1変形例、圧電振動片の製造方法)
次に第1実施形態の第1変形例に係る圧電振動片の製造方法について説明する。
図24〜26は、第1実施形態の第1変形例に係る圧電振動片の製造方法を説明する工程図である。各図において(a)は
図2のIII−III線に相当する部分における断面図、(b)は平面図である。
本変形例の圧電振動片の製造方法は、第1マスク形成工程において、外形マスク71aを流用して第1マスク81a,81bを形成する。
【0068】
まず、
図6〜10に示す第1実施形態と同様に、外形マスク71aを介してウエハSをエッチングし、圧電板20の外形パターンを形成する。
【0069】
次に、
図24に示すように、フォトレジスト膜73を除去し、ウエハSの両面にエッチング保護膜から形成された外形マスク71aを残す。
【0070】
(第1マスク形成工程)
次に、第1マスク形成工程を行う。
図25に示すように、外形マスク71aが形成されたウエハSの両面に、フォトレジスト膜83を成膜する。フォトレジスト膜83の材質および形成方法は、第1実施形態における第1マスク形成工程と同様である。
【0071】
次に、
図26に示すように、ウエハSの両面に成膜されたフォトレジスト膜83に、頂面の外形パターン83aおよび裏主面の外形パターン83bを形成する。外形パターン83a,83bの形成方法は、第1実施形態と同様である。
【0072】
そして、頂面の外形パターン83aおよび裏主面の外形パターン83bが形成されたフォトレジスト膜83をマスクとして、ウエハSの両面に成膜された外形マスク71aにエッチング加工を行ない、マスクされていない外形マスク71aを選択的に除去する。これにより、
図14に示す第1実施形態と同様に、ウエハSに頂面の外形パターンの第1マスク81aおよび裏主面の外形パターンの第1マスク81bが形成される。外形マスク71aのエッチング加工は、第1実施形態の外形形成工程におけるエッチング保護膜71の加工と同様である。
このように、第1マスク81a,81bとして外形マスク71aを流用することで、外形マスク71aの除去、および第1実施形態における頂面保護膜81の成膜を省略することができる。
【0073】
次に、
図15〜20に示す第1実施形態と同様に、プラズマ処理工程、第2マスク形成工程、斜面形成工程および電極形成を行うことで、圧電振動片10が得られる。
【0074】
本変形例の圧電振動片の製造方法は、第1マスク形成工程の前に、外形マスク形成工程と、外形形成工程と、を有し、第1マスク形成工程では、外形マスク71aを流用して第1マスク81a,81bを形成する、ことを特徴とする。
本変形例によれば、外形マスク71aを除去する工程、および第1マスク81aに加工される頂面保護膜81を成膜する工程を省略できる。したがって、振動特性の優れた圧電振動片を簡単に低コストで製造できる。
【0075】
(第2実施形態、圧電振動片)
次に第2実施形態の圧電振動片について説明する。
図27は、第2実施形態に係る圧電振動片の平面図である。
図28は、第2実施形態に係る圧電振動片の説明図であり、
図27のXXVIII−XXVIII線における断面図である。
【0076】
図2〜5に示す第1実施形態は、斜面25の外形が圧電板20の外形に一致しているが、
図27および
図28に示す第2実施形態では、圧電板120が斜面125の周囲に頂面121と平行な周縁部131を有している点で異なっている。なお、
図2〜5に示す第1実施形態と同様の構成となる部分については、詳細な説明を省略する。
【0077】
図27および
図28に示すように、圧電板120は、頂面121と平行な周縁部131を有する。
周縁部131は、圧電板120の+Y´方向側に、圧電板120の外周4辺に沿って平面視矩形環状に形成されている。周縁部131は、頂面121および裏主面123に平行な平面で形成されている。
【0078】
また、圧電板120は、斜面125を側面とするメサ部124を有する。
斜面125は、Y´方向視において頂面121と周縁部131とを接続している。斜面125は、第1実施形態における斜面25と同様に、第1斜面126、第2斜面127、第3斜面128、および第4斜面129を有する。XZ´平面に対するそれぞれの斜面の傾斜角は、第1実施形態の斜面25と同様である。
【0079】
このようにメサ部124の側面を、等方性を有する斜面125で形成することで、振動の等方性を有するメサ型の圧電振動片110が得られる。
【0080】
また、第1マウント電極55および第2マウント電極57は、その大部分が周縁部131上に形成される。これにより、圧電振動片110の実装時において、圧電振動片110の表裏面の何れに実装部材を接着させても、第1マウント電極55および第2マウント電極57上における実装部材の接着面と、パッケージのベース基板とが平行になる。そのため、圧電振動片110をパッケージのベース基板と平行な状態で、パッケージに対して安定して固定させることができる。
【0081】
(第2実施形態、圧電振動片の製造方法)
次に第2実施形態の圧電振動片の製造方法について説明する。
図29〜31は、第2実施形態に係る圧電振動片の製造方法を説明する工程図である。各図において(a)は
図27のXXVIII−XXVIII線に相当する部分における断面図、(b)は平面図である。
本実施形態の圧電振動片の製造方法は、第2マスク191aがメサ部124の頂面121および側面(斜面125)の外形パターンであることを特徴とする。
【0082】
まず、
図6〜17に示す第1実施形態と同様に、プラズマ処理を行ったウエハSの両面に、エッチング保護膜191およびフォトレジスト膜193をそれぞれ成膜する。
【0083】
次に、
図29に示すように、ウエハSの表面に、メサ部の外形パターンの第2マスク191aおよび裏主面の外形パターンの第2マスク191bを形成する。メサ部の外形パターンは、圧電板120の外形パターンより狭い。外形パターン193a,193bおよび第2マスク191a,191bの形成方法は、第1実施形態における外形パターン93a,93bおよび第2マスク91a,91bと同様である。
【0084】
(斜面形成工程)
次に、斜面形成工程を行う。
図30に示すように、第2マスク191a,191bを介してウエハSをウェットエッチングすることで、第2マスク191aが被覆している斜面125の形成領域に、斜面125を形成する。このウェットエッチング加工は、第1実施形態と同様である。
【0085】
次に、
図31に示すように、エッチング保護膜191およびフォトレジスト膜193を除去する。これにより、斜面125を側面とするメサ部124を有する圧電板120が得られる。
【0086】
最後に、圧電板120の表面上に励振電極、マウント電極、および引き回し配線を形成することで、圧電振動片110が得られる。
【0087】
このように、本実施形態の圧電振動片の製造方法は、第2マスク191aがメサ部124の頂面121および側面(斜面125)の外形パターンであることを特徴とする。
本実施形態によれば、メサ部124の側面が等方性を有する斜面125で形成されるので、振動の等方性を有するメサ型の圧電振動片110が得られる。また、メサ部124の周囲には頂面121に平行な周縁部131が形成される。これにより、実装時において表裏面の何れに実装部材を接着させても安定して固定させることができる圧電振動片110が得られる。したがって、振動特性および実装安定性の優れた圧電振動片を製造できる。
【0088】
図32は、第2実施形態に係る他の圧電振動片の説明図であり、
図27のXXVIII−XXVIII線に相当する部分における断面図である。
なお、本実施形態のおける圧電振動片110は、
図28に示すように+Y´方向側の面のみに斜面を有するが、
図32に示すように+Y´方向側および−Y´方向側の両面に斜面を有していてもよい。
【0089】
また、本実施形態では、圧電板の断面形状が厚さ方向に凸状であるメサ型振動片について説明したが、圧電板の断面形状が厚さ方向に凹状である逆メサ型振動片にも適用可能である。
【0090】
(発振器)
次に、本発明に係る発振器の一実施形態について、
図33を参照しながら説明する。
図33は、発振器の一実施形態を示す構成図である。
【0091】
本実施形態の発振器200は、
図33に示すように、圧電振動子1を、集積回路201に電気的に接続された発振子として構成したものである。この発振器200は、コンデンサ等の電子部品202が実装された基板203を備えている。基板203には、発振器用の上述した集積回路201が実装されており、この集積回路201の近傍に、圧電振動子1が実装されている。これら電子部品202、集積回路201および圧電振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
【0092】
このように構成された発振器200において、圧電振動子1に電圧を印加すると、この圧電振動子1内の圧電振動片が振動する。この振動は、圧電振動片が有する圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路201に電気信号として入力される。入力された電気信号は、集積回路201によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、圧電振動子1が発振子として機能する。
【0093】
また、集積回路201の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加することができる。
【0094】
上述したように、本実施形態の発振器200は、振動特性の優れた圧電振動子1を備えるため、高精度な周波数信号が出力される発振器を得ることができる。
【0095】
(電子機器)
次に、本発明に係る電子機器の一実施形態について、
図34を参照して説明する。
図34は、電子機器の一実施形態を示す構成図である。なお電子機器として、上述した圧電振動子1を有する携帯情報機器210を例にして説明する。
【0096】
はじめに本実施形態の携帯情報機器210は、例えば、携帯電話に代表されるものであり、従来技術における腕時計を発展、改良したものである。外観は腕時計に類似し、文字盤に相当する部分に液晶ディスプレイを配し、この画面上に現在の時刻等を表示させることができるものである。また、通信機として利用する場合には、手首から外し、バンドの内側部分に内蔵されたスピーカ及びマイクロフォンによって、従来技術の携帯電話と同様の通信を行うことが可能である。しかしながら、従来の携帯電話と比較して、格段に小型化及び軽量化されている。
【0097】
次に、本実施形態の携帯情報機器210の構成について説明する。この携帯情報機器210は、
図34に示すように、圧電振動子1と、電力を供給するための電源部211とを備えている。電源部211は、例えば、リチウム二次電池からなっている。この電源部211には、各種制御を行う制御部212と、時刻等のカウントを行う計時部213と、外部との通信を行う通信部214と、各種情報を表示する表示部215と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部216とが並列に接続されている。そして、電源部211によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
【0098】
制御部212は、各機能部を制御して音声データの送信及び受信、現在時刻の計測や表示等、システム全体の動作制御を行う。また、制御部212は、予めプログラムが書き込まれたROMと、このROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、このCPUのワークエリアとして使用されるRAM等とを備えている。
【0099】
計時部213は、発振回路、レジスタ回路、カウンタ回路及びインターフェース回路等を内蔵する集積回路と、圧電振動子1とを備えている。圧電振動子1に電圧を印加すると圧電振動片が振動し、この振動が水晶の有する圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。発振回路の出力は二値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。そして、インターフェース回路を介して、制御部212と信号の送受信が行われ、表示部215に、現在時刻や現在日付或いはカレンダー情報等が表示される。
【0100】
通信部214は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部217、音声処理部218、切替部219、増幅部220、音声入出力部221、電話番号入力部222、着信音発生部223及び呼制御メモリ部224を備えている。
【0101】
無線部217は、音声データ等の各種データを、アンテナ225を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部218は、無線部217又は増幅部220から入力された音声信号を符号化及び複号化する。増幅部220は、音声処理部218又は音声入出力部221から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部221は、スピーカやマイクロフォン等からなり、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
【0102】
また、着信音発生部223は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部219は、着信時に限って、音声処理部218に接続されている増幅部220を着信音発生部223に切り替えることによって、着信音発生部223において生成された着信音が増幅部220を介して音声入出力部221に出力される。
【0103】
なお、呼制御メモリ部224は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部222は、例えば、0から9の番号キー及びその他のキーを備えており、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
【0104】
電圧検出部216は、電源部211によって制御部212等の各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部212に通知する。このときの所定の電圧値は、通信部214を安定して動作させるために必要な最低限の電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度となる。電圧検出部216から電圧降下の通知を受けた制御部212は、無線部217、音声処理部218、切替部219及び着信音発生部223の動作を禁止する。特に、消費電力の大きな無線部217の動作停止は、必須となる。更に、表示部215に、通信部214が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
【0105】
即ち、電圧検出部216と制御部212とによって、通信部214の動作を禁止し、その旨を表示部215に表示することができる。この表示は、文字メッセージであっても良いが、より直感的な表示として、表示部215の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしても良い。
【0106】
なお、通信部214の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部226を備えることで、通信部214の機能をより確実に停止することができる。
【0107】
上述したように、本実施形態の携帯情報機器210は、振動特性に優れた圧電振動子1を備えるため、高精度な時計情報を表示できる携帯情報機器210を提供できる。
【0108】
(電波時計)
次に、本発明に係る電波時計の一実施形態について、
図35を参照して説明する。
図35は、電波時計の一実施形態を示す構成図である。
【0109】
本実施形態の電波時計230は、
図35に示すように、フィルタ部231に電気的に接続された圧電振動子1を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。
【0110】
日本国内には、福島県(40kHZ)と佐賀県(60kHZ)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHZ若しくは60kHZのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、上述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
【0111】
以下、電波時計230の機能的構成について詳細に説明する。
【0112】
アンテナ232は、40kHZ若しくは60kHZの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHZ若しくは60kHZの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ133によって増幅され、複数の圧電振動子1を有するフィルタ部231によって濾波、同調される。
【0113】
本実施形態における圧電振動子1は、上述した搬送周波数と同一の40kHZ及び60kHZの共振周波数を有する圧電振動子部238、239をそれぞれ備えている。
【0114】
さらに、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路234により検波復調される。続いて、波形整形回路235を介してタイムコードが取り出され、CPU236でカウントされる。CPU236では、現在の年、積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC237に反映され、正確な時刻情報が表示される。
【0115】
搬送波は、40kHZ若しくは60kHZであるから、圧電振動子部238、239は、上述した音叉型の構造を持つ振動子が好適である。
【0116】
なお、上述の説明は、日本国内の例で示したが、長波の標準電波の周波数は、海外では異なっている。例えば、ドイツでは77.5KHZの標準電波が用いられている。従って、海外でも対応可能な電波時計230を携帯機器に組み込む場合には、さらに日本の場合とは異なる周波数の圧電振動子1を必要とする。
【0117】
上述したように、本実施形態の電波時計230は、振動特性の優れた圧電振動子1を備えるため、高精度に時刻をカウントできる電波時計230を提供できる。
【0118】
なお、この発明は上述した実施形態に限られるものではない。
例えば、上記実施形態の圧電振動片においては、Z´方向の長さがX方向の長さより長くなるように形成されているが、X方向の長さがZ´方向の長さより長くなるように形成されていてもよい。また、上記実施形態の圧電振動片においては、斜面が圧電振動片の一方の面側だけに形成されているが、両方の面側に形成されていてもよい。