【実施例】
【0014】
次に、本発明の実施例に係る入力システムについて図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施例の入力システムが搭載される車内環境の一例を示している。同図に示すように、運転席30と助手席40との間には、運転者または同乗者の肘を置くための領域を提供可能なアームレスト20が配置される。アームレスト20は、後述するように、内部に振動アクチュエータを内蔵し、タッチパネルの入力操作に応答して振動することができる。運転席30の正面には、ハンドル50を介してコックピットパネル60が配置される。コックピットパネル60は、スピードメータ等の計器類が包含される。コックピット60に隣接したセンターコンソール70には、表示部120が配置される。好ましい例では、表示部120は、アームレスト20と対向するような位置にある。センターコンソール70に隣接して、助手席40の正面にはダッシュボード80などが配置される。
【0015】
図2は、本発明の実施例に係る入力システムの構成例を示した図である。本実施例に係る入力システム10は、車載装置100と振動装置200とを含んで構成される。車載装置100は、入力部110、表示部120、ナビゲーション部130、記憶部140、音声出力部150、外部インターフェイス部160、制御部170などを含んで構成される。但し、
図2の構成は例示であり、車載装置100の構成はこれに限定されない。例えば、車載装置100は、オーディオ・ビデオデータを再生する再生部、テレビ放送やラジオ放送を受信する受信部、スマートフォンなどの外部機器を接続する接続部、ネットワーク等を介してクラウドサーバなどと無線通信を可能にする無線通信部などを備えることができる。
【0016】
入力部110は、ユーザーからの入力を受け取り、車載装置100とのヒューマンマシンインターフェイスを提供する。入力部110は、キーボード、マウス、音声認識などを含む。
【0017】
表示部120は、液晶パネル等のディスプレイ122と、当該ディスプレイ122に積層されるタッチパネル124とを含む。タッチパネル124は、ユーザーの指や専用ペンなどが接近または接触したとき、その座標位置を入力情報として制御部170へ伝える。表示部120は、上記したように
図1のセンターコンソール70に配置される。
【0018】
ナビゲーション部130は、GPS衛星からのGPS信号、ジャイロセンサや加速度センサなどの検出信号から算出された自車位置周辺の道路地図を表示したり、目的地までの経路を探索し、これを案内する機能を有する。
【0019】
記憶部140は、ナビゲーション部130に利用される道路地図データを記憶したり、制御部170が実行するプログラム等を記憶する。車載装置100が、マルチメディアの再生部を含むとき、記憶部140には、オーディオデータやビデオデータが記憶される。音声出力部150は、ナビゲーション部130による音声案内や、オーディオデータが再生されたときの音声を出力する。また、音声出力部150は、タッチパネル124への入力操作に対する認識結果を出力することもできる。
【0020】
外部インターフェイス部160は、振動装置200と車載装置100とを接続し、両装置間において双方向のデータの送受を可能にする。外部インターフェイス160は、タッチパネル124への入力操作が行われたとき、振動装置200を振動させるための駆動信号を送信する。外部インターフェイス部160と振動装置200間の接続は、通信ケーブル等による有線接続であっても良いし、無線通信による無線接続であっても良い。
【0021】
制御部170は、マイクロプロセッサやマイクロコントローラ、プログラムやデータ等を格納するROM/RAMを包含することができる。制御部170は、車載装置100の全体の動作を制御するが、ここでは、特に振動装置200を制御する機能を詳細に説明する。
【0022】
振動装置200は、
図1に示すアームレスト20内に配置される。振動装置200は、車載装置100と接続される外部インターフェイス部210と、振動アクチュエータ220と、振動アクチュエータ220を制御する制御部230とを含む。外部インターフェイス部210は、振動アクチュエータ220を駆動するための駆動信号を車載装置100から受け取り、これを制御部230へ提供する。制御部230は、受け取った駆動信号に基づき振動アクチュエータ220の振動を制御する。
【0023】
振動アクチュエータ220は、
図1のアームレスト20内に内蔵され、自身が振動することにより、アームレスト20の表面上の物体に振動を与える。振動アクチュエータ220は、公知の技術を用いて構成することができ、例えば、リニアモータと駆動機構との組合せなどから構成することができる。
【0024】
車載装置100は、タッチパネル124への入力操作が行われたとき、当該入力操作の検知結果をユーザーにフィードバックするため、振動装置200を駆動させる。好ましい例では、車載装置100は、振動装置200を制御するための振動制御プログラムを包含し、制御部170が当該振動制御プログラムを実行する。
【0025】
図3は、本実施例の振動制御プログラムの機能的な構成を示すブロック図である。振動制御プログラム300は、タッチパネル124に入力された座標信号を受け取る座標信号受信部310、受け取った座標信号に基づき入力操作を認識する入力操作認識部320、認識された入力操作に基づき振動パターンを決定する振動パターン決定部330、決定された振動パターンに基づき振動アクチュエータ220を駆動するための駆動信号を生成する駆動信号生成部340、および駆動信号を外部インターフェイス部160を介して振動装置200へ送信する駆動信号送信部350とを有する。
【0026】
入力操作認識部320は、例えば、記憶部150に記憶されている入力操作を判定する入力操作パターンと、受信した座標信号とを比較することにより、入力操作を認識する。入力操作認識部320は、受信した座標信号からシングルタッチ、マルチタッチ、ロングタッチ、ピンチイン、ピンチアウト、フリックなどの入力操作を認識する。さらに好ましい例では、入力操作認識部320は、認識された入力操作が有効な入力操作か否かを判定するようにしてもよい。これは、認識された入力操作が、表示されている画面での入力受付に該当するか否かを判定するものである。例えば、画面に入力ボタンのアイコンが表示されているとき、当該入力ボタンの表示位置と異なる座標位置でのシングルタッチが認識されたとき、そのような入力操作は有効でないものと認識される。
【0027】
振動パターン決定部330は、入力操作認識部320で認識された入力操作パターンに基づき、振動アクチュエータ220を振動させる際の振動パターンを決定する。
図4は、入力操作パターンと振動操作パターンとの関係を規定したテーブルを示している。振動パターン決定部330は、例えば、
図4に示すテーブルを記憶し、当該テーブルを参照することで、認識された入力操作パターンに対応する振動パターンを決定する。
【0028】
駆動信号生成部340は、振動パターン決定部330で決定した振動パターンに対応する駆動信号を生成する。好ましくは、駆動信号生成部340は、ユーザーがタッチパネル124にタッチしている期間に同期するように駆動信号を生成する。例えば、振動アクチュエータ220の1サイクル分の振幅による振動をさせる駆動信号を生成したり、ドラッグ操作のようなロングタッチであると認識された場合は、ドラック操作が終了するまで継続して振動させる駆動信号を生成することができる。なお、ここでは、入力操作パターンに応じた振動パターンを決定するようにしたが、必ずしもこれに限らず、振動パターンは一種類であってもよい。また、
図4に示すような入力操作パターンは一例であり、入力操作パターンは、設計等に応じて適宜変更し得るものである。駆動信号生成部340によって生成された駆動信号は、駆動信号送信部350に提供され、駆動信号送信部350は、駆動信号を振動装置200に送信する。
【0029】
次に、振動制御プログラム300の動作のフローチャートを
図5に示す。先ず始めに、
図1に示すような車内環境において、運転者または搭乗者が、アームレスト20上に肘を置き、そして指でタッチパネル124を操作する。このユーザーのタッチ操作が検知されると(S100)、座標信号が座標信号受信部310によって受信される(S102)。次に、入力操作認識320によって、入力操作の座標信号と入力操作判定用のパターンデータとが比較され、入力操作が認識される(S104)。次に、認識された入力操作パターンに対応する振動パターンが振動パターン決定部330によって決定され(S106)、駆動信号生成部340によって駆動信号が生成される(S108)。生成された駆動信号は振動装置200に送信される(S110)。振動装置200は、駆動信号を受信すると(S112)、振動パターンに沿った振動を振動アクチュエータに実行させる(S114)。これにより、ユーザーは、肘に伝達された振動によって、入力操作が認識されたことを知る。また、
図5のフローでは、入力操作が有効な入力と認識されていることを前提としたが、もし、入力操作が無効なもの(例えば、入力ボタンのアイコンの表示位置と異なる座標をタッチしたような場合)には、振動が伝達されないようにすることができる。これにより、ユーザーは、入力操作が有効でないことを認識する。あるいは、入力操作が無効である場合には、振動アクチュエータに特殊な振動を与えることで、それをユーザーに認識させるようにしてもよい。
【0030】
次に、タッチパネルへの入力が行われるときの俯瞰図を
図6Aに示す。
図6Aは、
図1に示すような車内環境で車載装置100を操作する場合を想定する。本実施例に係る入力システムは、同図に示すように、ユーザーUがアームレスト20に肘を接触させた状態で電子装置100のタッチパネルを操作する。アームレスト20の中には振動アクチュエータ220が設置されており、経路S1を通って駆動信号が送信されると、振動アクチュエータ220が振動し、アームレスト20全体が振動する。アームレスト20は、振動アクチュエータ220の振動をユーザーUに伝達することが必要であるため、振動を伝えやすい素材であることが望ましい。
【0031】
次に、本実施例の入力システムの振動アクチュエータの振動方向について説明する。
図6Bに示すように、タッチパネル124を含む電子装置100とアームレスト20は、タッチパネル面に対して垂直であり、かつ、タッチパネル面の中心から伸びる垂線L上にアームレスト20がくるように設置される。このような設置にすることにより、ユーザーUがアームレスト20に肘を接触させながらタッチパネル124を操作すると、ユーザーUの指先から肘にかけての部分が自然と垂線Lと平行になる。なお、
図1に示すような車内環境においては、アームレスト20と車載装置100が備え付けられるセンターコンソール70は同一直線上に設置されるため、運転席30からの操作および助手席40からの操作であることを問わず、ユーザーが特に意識しなくとも、腕が一直線になるような状態で操作することができる。このような入力状況でアームレスト20を垂線L方向の振幅で振動させると、支点P1から接触点P2方向にZ1ベクトル成分方向の力が働くことになる。支点P1と接触点P2を結ぶ直線(すなわち、ユーザーUの肘から指先にかけての部分)は、タッチパネル面に対して垂直である垂線Lと平行であるため、ベクトルZ1成分の力に対する反力が、タッチパネル124からZ2ベクトル成分方向に発生する。ユーザーUは、このZ2ベクトル成分の反力を接触点P2で感知することにより、指先に振動を感じることができるようになる。
【0032】
次に、振動装置200の振動運動を説明する断面図を
図7に示す。
図7は、
図6(B)に記載の入力システムを垂線Lの平行面で切断した断面図である。アームレスト20の内部に備えられた振動アクチュエータ220は、アームレスト20の全体を振動させることができる。さらに振動アクチュエータ220は、振動モータ220Mと、振動モータ220Mに連結された図示しない振動部材(例えば、カムやリンクなど)とを含むことができ、振動モータ220Mを回転させることで、垂線Lと平行であるZ1ベクトル成分方向に振動を発生させることができる。車載装置100から経路S1を通って駆動信号が伝達されると、振動モータ220Mは回転運動を行い、振動装置200全体をZ1ベクトル成分方向に1または複数回振幅させる。この振幅を微小にすることで、Z1ベクトル成分方向に振動を発生させることができる。なお、Z1ベクトル成分方向への振動の発生方法は、
図7に記載の態様に限られるものではなく、種々の方法によって振動を発生させても良い。
【0033】
Z1ベクトル成分方向への振動が発生し、かつ、支点P1および接触点P2に接触している実物体がある場合(例えば、
図5(B)に示すように、ユーザーUの肘がP1に接触し指先がP2に接触している場合)、当該実物体は、タッチパネル124の面からZ2ベクトル成分方向に反力を受けることになる。このとき、Z2ベクトル成分方向の反力は、Z1ベクトル成分方向とほぼ同様の振動を実物体に与えることができる。すなわち、ユーザーUは、Z2ベクトル成分方向の振動を感知することで、タッチ箇所が振動しているときと類似の感覚を得ることができる。
【0034】
振動モータ220Mは、振動パターンに応じて種々の振動を与えることが可能である。振動モータ220Mの回転速度を変更したり、振動モータ220Mを間欠的に回転させることで、振動アクチュエータは種々の振動をすることができる。なお、
図7には、単一の振動モータ220Mを例示するが、振動モータ220Mは、複数であってもよい。さらに複数の振動モータ220Mを取り付けた場合には、各振動モータ220Mの回転軸が直交するように配置することで、3次元的な方向の振動を実現することも可能である。
【0035】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。