特許第6376918号(P6376918)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6376918
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】自動走行作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20180813BHJP
   G05D 1/02 20060101ALI20180813BHJP
   A01D 34/64 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   A01B69/00 303B
   G05D1/02 L
   G05D1/02 N
   A01D34/64 M
【請求項の数】2
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-191478(P2014-191478)
(22)【出願日】2014年9月19日
(65)【公開番号】特開2016-59349(P2016-59349A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2016年12月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】南方 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】小林 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】相原 幸枝
(72)【発明者】
【氏名】若林 宗平
【審査官】 田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−142185(JP,A)
【文献】 特開2010−276232(JP,A)
【文献】 特開平06−141614(JP,A)
【文献】 特開昭61−001302(JP,A)
【文献】 実開昭63−097301(JP,U)
【文献】 実開平05−085206(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0231061(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00−69/08
G01D 1/00−1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業地の一方の端部と他方の端部とに亘って自動的に往復して作業走行を行うように機体を走行させる走行制御手段を備え、
前記走行制御手段を、
多数の障害物が互いに間隔を置きながら散在する作業地において、作業地の一方の端部と他方の端部との間で障害物が存在しない領域では、機体を直進させて作業走行を行う直進走行形態を行い、
作業地の一方の端部と他方の端部との間で障害物が存在する領域では、機体を直進させて障害物に到達すると障害物を迂回させて直進させ、次の障害物に到達すると障害物を迂回させて直進させて、作業走行を行う迂回走行形態を行うように構成し、
燃料タンクに所定量の燃料が入れられた状態から作業走行を開始して前記所定量の燃料を消費するまでの燃料消費時間を設定する設定手段と、
前記燃料タンクに前記所定量の燃料が入れられた状態で作業走行を開始してからの作業走行時間を計測する計測手段と、
作業地の一方の端部から他方の端部への往路の作業走行を行うと、前記往路の作業走行に要した往路時間を記憶し、作業地の他方の端部から一方の端部への復路の作業走行を行うと、前記復路の作業走行に要した復路時間を記憶する記憶手段と、
機体が作業地の端部に位置することを検出する検出手段と、
機体が作業地の端部に位置した状態において、この後の作業走行が前記直進走行形態又は前記迂回走行形態のどちらになるかを判断する走行形態判断手段とを備えて、
機体が作業地の端部に位置した状態において、現時点での前記作業走行時間と前記燃料消費時間とを比較し、この後の作業走行が前記直進走行形態になると判断されると、前記記憶手段に記憶された前記直進走行形態での前記往路の作業時間又は前記復路の作業時間に基づいて、この後の作業走行に要する時間を予測することにより、この後に作業走行を続行した場合、作業地の一方の端部と他方の端部との間で、前記作業走行時間が前記燃料消費時間に到達すると判断されると、作業走行を続行せずに機体を作業地の端部で停止させ、且つ、
機体が作業地の端部に位置した状態において、現時点での前記作業走行時間と前記燃料消費時間とを比較し、この後の作業走行が前記迂回走行形態になると判断されると、前記記憶手段に記憶された前記迂回走行形態での前記往路の作業時間又は前記復路の作業時間に基づいて、この後の作業走行に要する時間を予測することにより、この後に作業走行を続行した場合、作業地の一方の端部と他方の端部との間で、前記作業走行時間が前記燃料消費時間に到達すると判断されると、作業走行を続行せずに機体を作業地の端部で停止させる停止手段を備えている自動走行作業機。
【請求項2】
前記停止手段を、
機体が作業地の一方の端部に位置した状態において、この後に作業走行を続行した場合、機体が作業地の他方の端部に到達して他方の端部から一方の端部に向いて作業走行を行えば、作業地の一方の端部に到達するまでに、作業地の一方の端部と他方の端部との間で、前記作業走行時間が前記燃料消費時間に到達すると判断されると、作業走行を続行せずに機体を作業地の一方の端部で停止させるように構成している請求項1に記載の自動走行作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動的に走行しながら作業を行う自動走行作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
自動走行作業機の一例として、特許文献1に開示されているような草刈り機がある。特許文献1の草刈り機では、作業地の一方の端部と他方の端部とに亘って自動的に往復して作業走行を行い、作業地の草を刈り取るように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−78603号公報(図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の草刈り機では、走行用及び刈取用の動力源としてエンジンが備えられているので、草刈り機が燃料を消費してしまうと、草刈り機に燃料を補給する必要がある。この場合、例えば作業地の中央部で草刈り機が燃料を消費してしまうと、作業地の外側に待機する作業者は、作業地の中央部まで燃料を運んで、草刈り機に燃料を補給する必要がある。
本発明は、作業地の一方の端部と他方の端部とに亘って往復して自動的に作業走行を行う自動走行作業機において、自動走行作業機への燃料補給が行い易くなるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、自動走行作業機において次のように構成することにある。
作業地の一方の端部と他方の端部とに亘って自動的に往復して作業走行を行うように機体を走行させる走行制御手段を備え、
前記走行制御手段を、
多数の障害物が互いに間隔を置きながら散在する作業地において、作業地の一方の端部と他方の端部との間で障害物が存在しない領域では、機体を直進させて作業走行を行う直進走行形態を行い、
作業地の一方の端部と他方の端部との間で障害物が存在する領域では、機体を直進させて障害物に到達すると障害物を迂回させて直進させ、次の障害物に到達すると障害物を迂回させて直進させて、作業走行を行う迂回走行形態を行うように構成し、
燃料タンクに所定量の燃料が入れられた状態から作業走行を開始して前記所定量の燃料を消費するまでの燃料消費時間を設定する設定手段と、
前記燃料タンクに前記所定量の燃料が入れられた状態で作業走行を開始してからの作業走行時間を計測する計測手段と、
作業地の一方の端部から他方の端部への往路の作業走行を行うと、前記往路の作業走行に要した往路時間を記憶し、作業地の他方の端部から一方の端部への復路の作業走行を行うと、前記復路の作業走行に要した復路時間を記憶する記憶手段と、
機体が作業地の端部に位置することを検出する検出手段と、
機体が作業地の端部に位置した状態において、この後の作業走行が前記直進走行形態又は前記迂回走行形態のどちらになるかを判断する走行形態判断手段とを備えて、
機体が作業地の端部に位置した状態において、現時点での前記作業走行時間と前記燃料消費時間とを比較し、この後の作業走行が前記直進走行形態になると判断されると、前記記憶手段に記憶された前記直進走行形態での前記往路の作業時間又は前記復路の作業時間に基づいて、この後の作業走行に要する時間を予測することにより、この後に作業走行を続行した場合、作業地の一方の端部と他方の端部との間で、前記作業走行時間が前記燃料消費時間に到達すると判断されると、作業走行を続行せずに機体を作業地の端部で停止させ、且つ、
機体が作業地の端部に位置した状態において、現時点での前記作業走行時間と前記燃料消費時間とを比較し、この後の作業走行が前記迂回走行形態になると判断されると、前記記憶手段に記憶された前記迂回走行形態での前記往路の作業時間又は前記復路の作業時間に基づいて、この後の作業走行に要する時間を予測することにより、この後に作業走行を続行した場合、作業地の一方の端部と他方の端部との間で、前記作業走行時間が前記燃料消費時間に到達すると判断されると、作業走行を続行せずに機体を作業地の端部で停止させる停止手段を備えている。
【0006】
(作用及び発明の効果)
例えば果樹園(作業地に相当)では、多数の果樹(障害物に相当)が互いに間隔を置きながら散在する状態となっていることがあり、このような果樹園において自動走行作業機の一例である草刈り機が草刈走行(作業走行に相当)を行うことがある。
この場合、果樹園の一方の端部と他方の端部との間で果樹が存在しない領域では、機体を直進させて往路の作業走行又は復路の作業走行を行う直進走行形態を行う。果樹園の一方の端部と他方の端部との間で果樹が存在する領域では、機体を直進させて果樹に到達すると果樹を迂回させて直進させ、次の果樹に到達すると果樹を迂回させて直進させて、往路の作業走行又は復路の作業走行を行う迂回走行形態を行うことがある。
自動走行作業機において作業地の一方の端部と他方の端部とに亘って自動的に往復して作業走行を行う場合、本発明の第1特徴によれば、機体が作業地の端部に到達すると、作業地の端部において、この後に直進走行形態又は迂回走行形態作業走行を続行した場合、作業地の一方の端部と他方の端部との間で燃料タンクの燃料が消費されてしまうか否かが判断されるのであり、作業地の一方の端部と他方の端部との間で燃料タンクの燃料が消費されてしまうと判断されると、作業走行を続行せずに機体が作業地の端部で停止する。
【0007】
これによって、作業地の一方の端部と他方の端部との間(作業地の中央部)で燃料タンクの燃料を消費して機体が停止してしまうことはなく、機体は作業地の端部で停止するので、作業地の外側に待機する作業者は、作業地の中央部まで燃料を運んで自動走行作業機に燃料を補給する必要がなく、作業地の端部で停止した自動走行作業機まで燃料を運ぶだけで、自動走行作業機に楽に燃料を補給することができる。
作業地の一方の端部と他方の端部との間で燃料タンクの燃料が消費されてしまうか否かの判断を行う場合、燃料タンクの燃料の量をフロートセンサー等により検出しながら、燃料タンクの燃料の量に基づいて前述の判断を行うことが考えられる。
しかしながら、自動走行作業機は不整地を走行することが多く、機体の揺れが大きいので、燃料タンクにおいて燃料の液面が波打つことがあり、燃料タンクの燃料の量をフロートセンサー等により精度良く検出することは困難な場合が多い。
本発明の第1特徴によると、燃料タンクに所定量の燃料が入れられた状態から作業走行を開始して所定量の燃料を消費するまでの燃料消費時間を設定し、燃料タンクに所定量の燃料が入れられた状態で作業走行を開始してからの作業走行時間を計測しており、作業走行時間が燃料消費時間に到達するか否かに基づいて、作業地の一方の端部と他方の端部との間で燃料タンクの燃料が消費されてしまうか否かの判断を行っているので、作業走行の途中において燃料タンクの燃料の量を検出する必要がない。
これにより、作業走行の開始前において、機体の静止状態で燃料タンクに燃料を入れればよく、フロートセンサー等により燃料タンクに所定量の燃料が入れられたことを精度良く検出することができる。
燃料タンクにフロートセンサー等を備えない場合、例えば事前に所定量の燃料を計量して用意しておいたり、所定量に対応する目印を燃料タンクに付けておいたり、目印を付けずに燃料タンクの満タン状態を所定量と設定したりすることにより、燃料タンクに所定量の燃料を精度良く入れることができる。
以上のように本発明の第1特徴によると、作業走行の開始前において燃料タンクに所定量の燃料を正確に入れた状態において、この後は燃料タンクの燃料の量を検出せずに、燃料消費時間及び作業走行時間に基づいて、作業地の一方の端部と他方の端部との間で燃料タンクの燃料が消費されてしまうか否かの判断を、精度良く行うことができる。
作業地の一方の端部から他方の端部への往路の作業走行、作業地の他方の端部から一方の端部への復路の作業走行において、作業地の状態により、往路の作業走行及び復路の作業走行が異なる場合がある。
前述の状態において、本発明の第1特徴によると、往路の作業走行を行うと往路の作業走行に要して往路時間を記憶し、復路の作業走行を行うと復路の作業走行に要した復路時間を記憶している。
これにより、作業地の端部において、作業地の一方の端部と他方の端部との間で作業走行時間が燃料消費時間に到達するか否かを判断する場合、過去の往路時間又は復路時間に基づいて、前述の判断(作業走行時間が燃料消費時間に到達する予測)を精度良く行うことができる。
本発明の第1特徴によると、前述のように直進走行形態及び迂回走行形態で機体を走行させる場合、作業地の端部において、この後の作業走行が直進走行形態になるのか迂回走行形態になるのかの判断により、過去の往路時間又は復路時間に基づいて、作業走行時間が燃料消費時間に到達する予測を精度良く行うことができるのであり、作業地の一方の端部と他方の端部との間で作業走行時間が燃料消費時間に到達するか否かを判断を、精度良く行うことができる。
【0008】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の自動走行作業機において次のように構成することにある。
前記停止手段を、
機体が作業地の一方の端部に位置した状態において、この後に作業走行を続行した場合、機体が作業地の他方の端部に到達して他方の端部から一方の端部に向いて作業走行を行えば、作業地の一方の端部に到達するまでに、作業地の一方の端部と他方の端部との間で、前記作業走行時間が前記燃料消費時間に到達すると判断されると、作業走行を続行せずに機体を作業地の一方の端部で停止させるように構成している。
【0009】
(作用及び発明の効果)
本発明の第2特徴によると、作業地の一方の端部と他方の端部との間で燃料タンクの燃料が消費されてしまうか否かの判断が、作業地の一方及び他方の端部のうちの一方の端部において行われるのであり、例えば、作業地の一方の端部から作業走行を続行した場合、作業地の一方の端部と他方の端部との間(往路の作業走行)や、作業地の他方の端部と一方の端部との間(復路の作業走行)で、燃料タンクの燃料が消費されてしまう状態が避けられる。
上記の状態について言い換えると、作業地の一方の端部から他方の端部に作業走行し、さらに作業地の他方の端部から一方の端部に作業走行ができない限り(往復の作業走行ができない限り)、機体は作業地の一方の端部で停止する状態となる。
【0010】
これにより、本発明の第2特徴によると、燃料を補給する為に機体は作業地の一方の端部で停止するので、作業者は作業地の一方の端部で待機しておき、作業地の一方の端部で停止した自動走行作業機まで燃料を運ぶだけでよく、作業地の他方の端部に燃料を運ぶ必要がない。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】草刈り機の全体側面図である。
図2】制御装置と各部の連係状態を示す概略図である。
図3】往路の作業走行J11(直進走行形態)及び復路の作業走行J21(直進走行形態)、走行経路G01〜G03等を示す作業地の平面図である。
図4】往路の作業走行J12(迂回走行形態(右))及び復路の作業走行J22(直進走行形態)、走行経路G04,G05等を示す作業地の平面図である。
図5】往路の作業走行J13(迂回走行形態(左))及び復路の作業走行J23(直進走行形態)、走行経路G06〜G08等を示す作業地の平面図である。
図6】燃料の補給の流れを示す図である。
図7】燃料の補給の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[1]
図1に示すように、操向自在な右及び左の前輪1、操向自在な右及び左の後輪2により機体が支持されており、機体の下部に上下方向の縦軸芯周りに回転駆動される刈刃3が支持され、機体の上部にエンジン4及び燃料タンク5が支持されて、自動走行作業機の一例である草刈り機が構成されている。
やぐら状の支持フレーム6が機体に連結されて、レーザー型式の位置センサー7がエンジン4の上方に位置するように支持フレーム6に支持されている。
【0024】
図2に示すように、制御装置8、前輪1を操向操作する前輪操向モータ9、後輪2を操向操作する後輪操向モータ10、エンジン4の動力を正転及び逆転状態に切り換えて前輪1及び後輪2に伝達する前後進切換装置11が備えられている。エンジン4の動力が遠心クラッチ型式の主クラッチ(図示せず)を介して、刈刃3及び前後進切換装置11に伝達されている。
【0025】
図2に示すように、位置センサー7の検出信号が制御装置8に入力されており、制御装置8によってエンジン4(ガバナ装置)、前輪操向モータ9、後輪操向モータ10及び前後進切換装置11が操作される。
走行制御手段21、検出手段22、停止手段23、設定手段24、第1計測手段25(計測手段に相当)及び第2計測手段28、記憶手段26及び走行形態判断手段27が、制御装置8にソフトウェアとして備えられている。
【0026】
[2]
次に、作業地の状態について説明する。
図3に示すように、例えば作業地が平面視で四角形状をして、一方の端部(辺部)A1と他方の端部(辺部)A2とを備えて構成されていたとする。果樹N(障害物に相当)が図3の紙面上下方向で所定間隔を置いて、一列状に作業地の辺部A3に沿って植えられており、果樹Nの列が図3の紙面左右方向で所定間隔を置いて存在していたとする(多数の障害物が互いに間隔を置きながら散在する状態に相当)。
【0027】
この場合、果樹Nの列の数、並びに、果樹Nの各列における果樹Nの数が、事前に制御装置8に入力されて記憶されている。例えば図3に示す状態であると、果樹Nの列の数が5列(L1〜L5)であり、第1列L1の果樹Nの数が8本、第2列L2の果樹Nの数が8本、というように制御装置8に記憶されている。
【0028】
作業地としては図3に示すような平面視で四角形状ではなく、平面視で台形形状や扇形形状等の各種の形状がある。
例えば平面視で台形形状の作業地であると、作業地の一方の端部(辺部)A1と他方の端部(辺部)A2とは平行にはならず、第1列L1の果樹Nの数が8本、第2列L2の果樹Nの数が10本、第3列L3の果樹Nの数が14本というような状態となる。
例えば平面視で扇形形状の作業地であると、前述の平面視で台形形状の作業地の状態に加えて、果樹Nの列が直線ではなく曲線となる。
【0029】
[3]
次に、前項[2]に記載の作業地において走行しながら刈刃3により草を刈り取る作業走行について説明する(その1)。
(往路の作業走行J11(直進走行形態)、走行経路G01、復路の作業走行J21(直進走行形態))。
【0030】
図3に示すように、位置センサー7は、機体の右又は左横側に位置する2〜3本の果樹Nを検出して、機体に対する2〜3本の果樹Nの方位及び距離を検出するように構成されている。
走行制御手段21は、位置センサー7の検出に基づいて果樹N(果樹Nの列)に対する機体の位置を検出しながら、前輪操向モータ9、後輪操向モータ10及び前後進切換装置11を操作して、本項[3]及び後述する[4][5]に記載のような作業走行を行う。
【0031】
図3に示すように、機体が作業地の一方の端部(辺部)A1の位置K1から往路の作業走行J11を開始すると、機体は第1列L1から所定距離M1を維持するように第1列L1に沿って走行(前進)するのであり、結果として作業地の辺部A3に沿って走行(前進)する状態となる。
【0032】
図3に示すように、往路の作業走行J11において、位置K1と第1列L1との間の所定距離M1が大きいので、機体が直進(前進)しても第1列L1の果樹Nに接触することはないと、走行形態判断手段27により判断されて直進走行形態が設定される。
これにより往路の作業走行J11において、機体は第1列L1から所定距離M1を維持するように第1列L1に沿って走行(前進)する(作業地の一方の端部と他方の端部との間で障害物が存在しない領域では、機体を直進させて往路の作業走行を行う直進走行形態に相当)。
【0033】
この場合、図3に示すように、往路の作業走行J11(直進走行形態)において、前輪1及び後輪2が同方向に操向操作されて、第1列L1に対して機体を平行に維持しながら機体の位置の修正が行われて、第1列L1から所定距離M1を維持するように第1列L1に沿って機体は走行(前進)する。
【0034】
図3に示すように、往路の作業走行J11(直進走行形態)において、位置センサー7の検出に基づいて第1列L1の果樹Nの数がカウントされており、位置K1での果樹N(N1)からカウントして果樹N(N8)に到達すると(8本目の果樹N(N8)を検出すると)、機体が作業地の他方の端部(辺部)A2に到達したと判断される。
作業地の他方の端部(辺部)A2において、機体は左斜め後方に平行に後進し(走行経路G01)、復路の作業走行J21に入る。
【0035】
図3に示すように、復路の作業走行J21において、機体と第1列L1との間の所定距離M2が大きいので、機体が直進(後進)しても第1列L1の果樹Nに接触することはないと、走行形態判断手段27により判断されて直進走行形態が設定される。
これにより復路の作業走行J21において、機体は第1列L1から所定距離M2を維持するように第1列L1に沿って走行(後進)する(作業地の一方の端部と他方の端部との間で障害物が存在しない領域では、機体を直進させて復路の作業走行を行う直進走行形態に相当)。
【0036】
この場合、図3に示すように、復路の作業走行J21(直進走行形態)において、前輪1及び後輪2が同方向に操向操作されて、第1列L1に対して機体を平行に維持しながら機体の位置の修正が行われて、第1列L1から所定距離M2を維持するように第1列L1に沿って機体は走行(後進)する。
【0037】
[4]
次に、前項[3]に引き続いて、前項[2]に記載の作業地において走行しながら刈刃3により草を刈り取る作業走行について説明する(その2)。
(走行経路G02,G03、往路の作業走行J12(迂回走行形態(右))、走行経路G04,G05、復路の作業走行J22(直進走行形態))。
【0038】
図3に示すように、復路の作業走行J21(直進走行形態)において、位置センサー7の検出に基づいて第1列L1の果樹Nの数がカウントされており、復路の作業走行J21(直進走行形態)の開始位置での果樹N(N8)からカウントして果樹N(N1)に到達すると(8本目の果樹N(N1)を検出すると)、機体が作業地の一方の端部(辺部)A1に到達したと判断される。
【0039】
図3に示すように、作業地の一方の端部(辺部)A1において、機体は斜め左前方に平行に前進し(走行経路G02)、後進して(走行経路G03)、位置K2に到達する。位置K2において機体が直進(前進)すれば果樹Nに接触すると、走行形態判断手段27により判断されるので、次の往路の作業走行J12に迂回走行形態(右)が設定される。
【0040】
図4に示すように、往路の作業走行J12(迂回走行形態(右))において、機体は斜め右前方に前進して、直進(前進)し、左斜め前方向に前進して、果樹Nを右に迂回しながら果樹Nと果樹Nとの間に入る。次に機体は果樹Nと果樹Nとの間を少し直進(前進)し、斜め右前方に前進して、直進(前進)し、左斜め前方向に前進して、果樹Nを右に迂回しながら果樹Nと果樹Nとの間に入るのであり、以上の作業走行を繰り返す(作業地の一方の端部と他方の端部との間で障害物が存在する領域では、機体を直進させて障害物に到達すると障害物を迂回させて直進させ、次の障害物に到達すると障害物を迂回させて直進させて、往路の作業走行を行う迂回走行形態に相当)。
【0041】
この場合に、図4に示すように、往路の作業走行J12(迂回走行形態(右))において、前輪1及び後輪2が同方向に操向操作されるので、第1列L1に対して機体を平行に維持しながら、機体は直進(前進)、斜め右前方及び斜め左前方に走行(前進)する。
【0042】
図4に示すように、往路の作業走行J12(迂回走行形態(右))において、位置センサー7の検出に基づいて第1列L1の果樹Nの数がカウントされており、往路の作業走行J12(迂回走行形態(右))の開始位置での果樹N(N1)からカウントして果樹N(N8)に到達すると(8本目の果樹N(N8)を検出すると)、機体が作業地の他方の端部(辺部)A2に到達したと判断される。
【0043】
図4に示すように、作業地の他方の端部(辺部)A2において、機体は左斜め後方に平行に後進し(走行経路G04)、左斜め前方に前進して(走行経路G05)、復路の作業走行J22に入る。
復路の作業走行J22において機体と第1列L1との間の所定距離M3が大きいので、機体が直進(後進)しても第1列L1の果樹Nに接触することはないと、走行形態判断手段27により判断されて直進走行形態が設定される。これにより復路の作業走行J22において、機体は第1列L1から所定距離M3を維持するように第1列L1に沿って走行(後進)する。
【0044】
この場合、図4に示すように、復路の作業走行J22(直進走行形態)において、前輪1及び後輪2が同方向に操向操作されて、第1列L1に対して機体を平行に維持しながら機体の位置の修正が行われて、第1列L1から所定距離M3を維持するように第1列L1に沿って機体は走行(後進)する。
【0045】
図4に示すように、復路の作業走行J22(直進走行形態)において、位置センサー7の検出に基づいて第1列L1の果樹Nの数がカウントされており、復路の作業走行J22(直進走行形態)の開始位置での果樹N(N8)からカウントして果樹N(N1)に到達すると(8本目の果樹N(N1)を検出すると)、機体が作業地の一方の端部(辺部)A1に到達したと判断される(位置K3)。
【0046】
[5]
次に、前項[4]に引き続いて、前項[2]に記載の作業地において走行しながら刈刃3により草を刈り取る作業走行について説明する(その3)。
(往路の作業走行J13(迂回走行形態(左))、走行経路G06、復路の作業走行J23(直進走行形態)、走行経路G07,G08)。
【0047】
図4に示すように、往路の作業走行J12(迂回走行形態(右))が行われた場合、復路の作業走行J22(直進走行形態)が行われると、図5に示すように、走行形態判断手段27により次の往路の作業走行J13において迂回走行形態(左)が設定される。
【0048】
図5に示すように、往路の作業走行J13(迂回走行形態(左))において、位置K3から、機体は直進(前進)し、斜め右前方に前進して、果樹Nと果樹Nとの間に入る。次に機体は果樹Nと果樹Nとの間を少し直進(前進)し、斜め左前方に前進して、直進(前進)し、右斜め前方向に前進して、果樹Nを左に迂回しながら果樹Nと果樹Nとの間に入るのであり、以上の作業走行を繰り返す。
【0049】
この場合に、図5に示すように、往路の作業走行J13(迂回走行形態(左))において、前輪1及び後輪2が同方向に操向操作されるので、第1列L1に対して機体を平行に維持しながら、機体は直進(前進)、斜め右前方及び斜め左前方に走行(前進)する。
【0050】
図5に示すように、往路の作業走行J13(迂回走行形態(左))において、位置センサー7の検出に基づいて第1列L1の果樹Nの数がカウントされており、往路の作業走行J13(迂回走行形態(左))の開始位置での果樹N(N1)からカウントして果樹N(N8)に到達すると(8本目の果樹N(N8)を検出すると)、機体が作業地の他方の端部(辺部)A2に到達したと判断される。
【0051】
図5に示すように、作業地の他方の端部(辺部)A2において、機体は左斜め後方に平行に後進して(走行経路G06)、復路の作業走行J23に入る。
復路の作業走行J23において機体と第2列L2との間の所定距離M4が大きいので、機体が直進(後進)しても第2列L2の果樹Nに接触することはないと、走行形態判断手段27により判断されて直進走行形態が設定される。これにより復路の作業走行J23(直進走行形態)において、機体は第2列L2から所定距離M4を維持するように第2列L2に沿って走行(後進)する。
【0052】
この場合、図5に示すように、復路の作業走行J23(直進走行形態)において、前輪1及び後輪2が同方向に操向操作されて、第2列L2に対して機体を平行に維持しながら機体の位置の修正が行われて、第2列L2から所定距離M4を維持するように第2列L2に沿って機体は走行(後進)する。
【0053】
図5に示すように、復路の作業走行J23(直進走行形態)において、位置センサー7の検出に基づいて第2列L2の果樹Nの数がカウントされており、復路の作業走行J23(直進走行形態)の開始位置での果樹N(N8)からカウントして果樹N(N1)に到達すると(8本目の果樹N(N1)を検出すると)、機体が作業地の一方の端部(辺部)A1に到達したと判断される。
作業地の一方の端部(辺部)A1において、機体は斜め左前方に平行に前進し(走行経路G07)、後進して(走行経路G08)、位置K4に到達する。
【0054】
この場合、図5に示す第2列L2及び位置K4の位置関係は、図3及び図4に示す第1列L1及び位置K2の位置関係と同じになる。
これにより、図4及び図5、前項[4]及び本項[5]に記載の往路の作業走行J12(迂回走行形態(右))、走行経路G04,G05、復路の作業走行J22(直進走行形態)、往路の作業走行J13(迂回走行形態(左))、走行経路G06、復路の作業走行J23(直進走行形態)、走行経路G07,G08が、第2列L2、第3列L3、第4列L4、第5列L5・・に対して繰り返して行われる。
【0055】
[6]
次に、前項[3][4][5]に記載の往路の作業走行J11(直進走行形態)、復路の作業走行J21(直進走行形態)、往路の作業走行J12(迂回走行形態(右))、復路の作業走行J22(直進走行形態)、往路の作業走行J13(迂回走行形態(左))、及び復路の作業走行J22(直進走行形態)に対応して、往路時間T11(直進走行形態)、復路時間T21(直進走行形態)、往路時間T12(迂回走行形態(右))及び往路時間T13(迂回走行形態(左))の計測について説明する。
【0056】
往路の作業走行J11(直進走行形態)を開始すると、第2計測手段28により往路時間T11(直進走行形態)の計測が開始されるのであり、往路の作業走行J11(直進走行形態)を終了すると(機体が作業地の他方の端部(辺部)A2に到達すると)、第2計測手段28による往路時間T11(直進走行形態)の計測を終了する。
これにより、往路時間T11(直進走行形態)が記憶手段26に記憶されるのであり、往路時間T11(直進走行形態)と第1列L1の果樹Nの本数とに基づいて、単位往路時間TA11(直進走行形態)が演算されて、記憶手段26に記憶される。
【0057】
復路の作業走行J21(直進走行形態)を開始すると、第2計測手段28により復路時間T21(直進走行形態)の計測が開始されるのであり、復路の作業走行J21(直進走行形態)を終了すると(機体が作業地の一方の端部(辺部)A1に到達すると)、第2計測手段28による復路時間T21(直進走行形態)の計測を終了する。
これにより、復路時間T21(直進走行形態)が記憶手段26に記憶されるのであり、復路時間T21(直進走行形態)と第1列L1の果樹Nの本数とに基づいて、単位復路時間TA21(直進走行形態)が演算されて記憶手段26に記憶される。
【0058】
往路の作業走行J12(迂回走行形態(右))を開始すると、第2計測手段28により往路時間T12(迂回走行形態(右))の計測が開始されるのであり、往路の作業走行J12(迂回走行形態(右))を終了すると(機体が作業地の他方の端部(辺部)A2に到達すると)、第2計測手段28による往路時間T12(迂回走行形態(右))の計測を終了する。
これによって、往路時間T12(迂回走行形態(右))が記憶手段26に記憶されるのであり、往路時間T12(迂回走行形態(右))と第1列L1の果樹Nの本数とに基づいて、単位往路時間TA12(迂回走行形態(右))が演算されて記憶手段26に記憶される。
【0059】
復路の作業走行J22(直進走行形態)が行われて、復路時間T22(直進走行形態)が計測されて記憶手段26に記憶されると、前回の復路時間T21(直進走行形態)及び今回の復路時間T22(直進走行形態)と、第1列L1の果樹Nの本数とに基づいて、新たな単位復路時間TA21(直進走行形態)が演算されて、記憶手段26に記憶された単位復路時間TA21(直進走行形態)が更新される。
【0060】
往路の作業走行J13(迂回走行形態(左))を開始すると、第2計測手段28により往路時間T13(迂回走行形態(左))の計測が開始されるのであり、往路の作業走行J13(迂回走行形態(左))を終了すると(機体が作業地の他方の端部(辺部)A2に到達すると)、第2計測手段28による往路時間T13(迂回走行形態(左))の計測を終了する。
これによって、往路時間T13(迂回走行形態(左))が記憶手段26に記憶されるのであり、往路時間T13(迂回走行形態(左))と第2列L2の果樹Nの本数とに基づいて、単位往路時間TA13(迂回走行形態(左))が演算されて記憶手段26に記憶される。
【0061】
以上のように、第2列L2、第3列L3・・に対して、往路時間(直進走行形態)、復路時間(直進走行形態)、往路時間(迂回走行形態(右))、往路時間(迂回走行形態(左))が計測されて記憶手段26に記憶される毎に、前回の値(複数)及び今回の値に基づいて、単位往路時間TA11(直進走行形態)、単位復路時間TA21(直進走行形態)、単位往路時間TA12(迂回走行形態(右))、単位往路時間TA13(迂回走行形態(左))の演算及び更新が行われる。
【0062】
[7]
次に、燃料の補給について図6及び図7に基づいて説明する(その1)。
図1及び図2に示すように、燃料タンク5に燃料を満タン状態に入れた状態(燃料タンクに所定量の燃料が入れられた状態に相当)において作業走行を開始した場合、作業走行を開始してからどれだけの時間だけ作業走行を行うと、燃料タンク5の燃料が消費されてエンジン4が停止するかという燃料消費時間T1が、事前に実験により計測されており、設定手段24により設定されて記憶されている。
【0063】
先ず、機体を作業地の一方の端部(辺部)A1に位置させた状態(例えば図3の位置K1)において、エンジン4の停止状態で作業者が燃料タンク5に燃料を満タン状態に入れるのであり(ステップS1)、この後に作業者が機体のスタートスイッチ12(図2参照)を操作する(ステップS2)。
【0064】
スタートスイッチ12が操作されると(ステップS2)、作業走行時間T2が「0」にリセットされ(ステップS3)、エンジン4が始動して、前項[3][4][5]に記載の作業走行を開始するのであり(ステップS4)、第1計測手段25により作業走行時間T2の計測(積算)が開始される(ステップS5)。
【0065】
作業走行が行われるのに伴って、前項[6]に記載のように、往路時間(直進走行形態)、復路時間(直進走行形態)、往路時間(迂回走行形態(右))、往路時間(迂回走行形態(左))の計測及び記憶が行われ、単位往路時間TA11(直進走行形態)、単位復路時間TA21(直進走行形態)、単位往路時間TA12(迂回走行形態(右))、単位往路時間TA13(迂回走行形態(左))の演算及び更新が行われる。
これと並行して、第1計測手段25による作業走行時間T2の計測(積算)も続行される(ステップS5)。
【0066】
前項[3][4][5]に記載のように、機体が作業地の一方の端部(辺部)A1に到達して、機体が作業地の一方の端部(辺部)A1に位置することが、検出手段22により検出されると(ステップS6)、機体と果樹Nの列との位置関係に基づいて、次の往復の作業走行(作業地の一方の端部(辺部)A1から他方の端部(辺部)A2への作業走行、及び、作業地の他方の端部(辺部)A2から一方の端部(辺部)A1への作業走行)が、どのような作業走行になるのかが、走行形態判断手段27により判断される(ステップS7)。
【0067】
この場合、例えば図3,4,5に示すように、
「往路の作業走行J11(直進走行形態)及び復路の作業走行J21(直進走行形態)」
「往路の作業走行J12(迂回走行形態(右))及び復路の作業走行J22(直進走行形態)」
「往路の作業走行J13(迂回走行形態(左))及び復路の作業走行J23(直進走行形態)」
という3組の作業走行のうち、次の往復の作業走行がどの作業走行となるのかが、走行形態判断手段27により判断される(ステップS7)。
【0068】
[8]
次に、前項[7]に引き続いて、燃料の補給について図6及び図7に基づいて説明する(その2)。
前項[7]に記載のように、次の往復の作業走行がどの作業走行となるのかが走行形態判断手段27により判断されると(ステップS7)、作業地の一方の端部(辺部)A1において、停止手段23により以下に示す操作(ステップS8〜S17)が行われる。
【0069】
次の往復の作業走行が、往路の作業走行J11(直進走行形態)及び復路の作業走行J21(直進走行形態)になると判断されると(ステップS8,S9)、往路の作業走行J11(直進走行形態)及び復路の作業走行J21(直進走行形態)に対応して、単位往路時間TA11(直進走行形態)及び単位復路時間TA21(直進走行形態)が選択される(ステップS10)。
単位往路時間TA11(直進走行形態)及び単位復路時間TA21(直進走行形態)と次の作業走行での果樹Nの本数とに基づいて、次の往復の作業走行に要する往復時間T3が演算される(ステップS11)。
【0070】
次の往復の作業走行が、往路の作業走行J12(迂回走行形態(右))及び復路の作業走行J22(直進走行形態)になると判断されると(ステップS8,S12)、往路の作業走行J12(迂回走行形態(右))及び復路の作業走行J22(直進走行形態)に対応して、単位往路時間TA12(迂回走行形態(右))及び単位復路時間TA21(直進走行形態)が選択される(ステップS13)。
単位往路時間TA12(迂回走行形態(右))及び単位復路時間TA21(直進走行形態)と次の作業走行での果樹Nの本数とに基づいて、次の往復の作業走行に要する往復時間T3が演算される(ステップS14)。
【0071】
次の往復の作業走行が、往路の作業走行J13(迂回走行形態(左))及び復路の作業走行J23(直進走行形態)になると判断されると(ステップS8,S15)、往路の作業走行J13(迂回走行形態(左))及び復路の作業走行J23(直進走行形態)に対応して、単位往路時間TA13(迂回走行形態(左))及び単位復路時間TA21(直進走行形態)が選択される(ステップS16)。
単位往路時間TA13(迂回走行形態(左))及び単位復路時間TA21(直進走行形態)と次の作業走行での果樹Nの本数とに基づいて、次の往復の作業走行に要する往復時間T3が演算される(ステップS17)。
【0072】
例えば、作業地の一方の端部(辺部)A1において、図5の位置K5に機体が位置していると、機体と果樹Nの列(第4列L4)との位置関係に基づいて、次の往復の作業走行は、図4に示すように、往路の作業走行J12(迂回走行形態(右))及び復路の作業走行J22(直進走行形態)になると判断される。
例えば、作業地の一方の端部(辺部)A1において、図5の位置K6に機体が位置していると、機体と果樹Nの列(第5列L5)との位置関係に基づいて、次の往復の作業走行は、図3に示すように、往路の作業走行J11(直進走行形態)及び復路の作業走行J21(直進走行形態)になると判断される。
【0073】
以上、この後の作業走行に要する時間を往路時間又は復路時間に基づいて予測する状態に相当。
この後の作業走行が直進走行形態になると判断されると、記憶手段に記憶された直進走行形態での往路の作業時間又は復路の作業時間に基づいて、この後の作業走行に要する時間を予測する状態に相当。
この後の作業走行が迂回走行形態になると判断されると、記憶手段に記憶された迂回走行形態での往路の作業時間又は復路の作業時間に基づいて、この後の作業走行に要する時間を予測する状態に相当。
【0074】
[9]
次に、前項[8]に引き続いて、燃料の補給について図6及び図7に基づいて説明する(その3)。
前項[8]に引き続いて、停止手段23により以下に示す操作(ステップS18〜S21)が行われる。
燃料消費時間T1から現時点での作業走行時間T2が引かれて残り時間T4が演算され(ステップS18)、(往復時間T3+定数)と残り時間T4とが比較される(ステップS19)(作業地の一方の端部と他方の端部との間で、作業走行時間が燃料消費時間に到達するか否かを判断する状態に相当)。
【0075】
図3,4,5に示すように、往路の作業走行J11(直進走行形態)及び復路の作業走行J21(直進走行形態)の間等に、短い走行経路G01〜G08が存在しているので、走行経路G01〜G08を往復時間T3に加味する為に、前述のように往復時間T3に定数を加えている。
【0076】
ステップS19において、(往復時間T3+定数)が残り時間T4よりも大きい場合(長い場合)、作業地の一方の端部(辺部)A1から次の往復の作業走行を行うと、作業地の一方の端部(辺部)A1と他方の端部(辺部)A2との間、又は、作業地の他方の端部(辺部)A2と一方の端部(辺部)A1との間で、燃料タンク5の燃料が消費されてエンジン4が停止することになる。
【0077】
以上、作業地の一方の端部と他方の端部との間で、燃料タンクの燃料が消費されてしまうと判断される状態に相当。
作業地の一方の端部に到達するまでに、作業地の一方の端部と他方の端部との間で、燃料タンクの燃料が消費されてしまうと判断される状態に相当。
作業地の一方の端部と他方の端部との間で、作業走行時間が燃料消費時間に到達すると判断される状態に相当。
【0078】
これにより、(往復時間T3+定数)が残り時間T4よりも大きい場合(長い場合)、作業地の一方の端部(辺部)A1においてエンジン4が停止され(ステップS20)、機体に備えられたブザー13(図2参照)が作動し、機体に備えられた警告灯(回転灯)14(図2参照)が点灯(作動する)(ステップS21)。
【0079】
従って、作業地の一方の端部(辺部)A1に待機する作業者は、作業地の中央部まで燃料を運んで草刈り機に燃料を補給する必要がなく、作業地の一方の端部(辺部)A1で停止した草刈り機まで燃料を運ぶだけで、草刈り機に楽に燃料を補給することができる。作業者が燃料タンク5に燃料を満タン状態に入れて、スタートスイッチ12を操作することにより、ステップS1,S2に移行する。
【0080】
ステップS19において、(往復時間T3+定数)が残り時間T4よりも小さい場合(短い場合)、作業地の一方の端部(辺部)A1から次の往復の作業走行を行っても、作業地の一方の端部(辺部)A1と他方の端部(辺部)A2との間、又は、作業地の他方の端部(辺部)A2と一方の端部(辺部)A1との間で、燃料タンク5の燃料が消費されてしまうことない。これにより、作業地の一方の端部(辺部)A1から次の往復の作業走行を行っても、作業地の一方の端部(辺部)A1に支障なく戻ってくることができる。
【0081】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための形態]において、往路の作業走行J11(直進走行形態)、復路の作業走行J21,J22(直進走行形態)、往路の作業走行J12(迂回走行形態(右))及び往路の作業走行J13(迂回走行形態(左))に加えて、復路の作業走行(迂回走行形態(右))及び復路の作業走行(迂回走行形態(左))も行うように構成してもよい(6種の作業走行)。
これにより、作業地の一方の端部(辺部)A1において、前述の6種の作業走行のうちの2つを選択するように構成すればよい。
【0082】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]において、作業地の一方の端部(辺部)A1で作業走行時間T2が燃料消費時間T1に到達するか否かを判断するばかりではなく、作業地の他方の端部(辺部)A2でも、作業走行時間T2が燃料消費時間T1に到達するか否かを判断するように構成してもよい。
【0083】
前述のように構成した場合、作業地の一方の端部(辺部)A1において、次の往路の作業走行(作業地の一方の端部(辺部)A1から他方の端部(辺部)A2への作業走行)がどの作業走行となるのかを判断し、次の往路の作業走行に要する往路時間を演算して、往路時間と残り時間T4とを比較すればよい。
作業地の他方の端部(辺部)A2において、次の復路の作業走行(作業地の他方の端部(辺部)A2から一方の端部(辺部)A1への作業走行)がどの作業走行となるのかを判断し、次の復路の作業走行に要する復路時間を演算して、復路時間と残り時間T4とを比較すればよい。
【0084】
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態][発明の実施の第2別形態]において、作業地の一方の端部(辺部)A1(他方の端部(辺部)A2)で、図
7のステップ19からステップS20に移行した場合、ステップS20においてエンジン4を停止させずに、エンジン4の回転数を落としてアイドリング状態とすることにより、遠心クラッチ型式の主クラッチを遮断状態に操作して、機体を停止させるように構成してもよい。
【0085】
[発明の実施の第4別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第3別形態]において、満タン状態に相当する燃料タンク5の位置に目印を付けておくことにより、燃料タンク5の満タン状態を一定の状態とすることができ、燃料タンク5に燃料を入れる度に満タン状態がバラ付くというようなことがない。
【0086】
所定量の燃料とし満タン状態ではなく、任意の燃料の量を所定量の燃料として設定してもよい。このように構成すると、燃料タンク5において所定量の燃料に相当する位置に目印を付けたり、燃料タンク5にフロートセンサー等の燃料の量を検出するセンサーを備えて、燃料タンク5に所定量の燃料が入れられたことを検出するように構成すればよい。
【0087】
[発明の実施の第5別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第4別形態]において、レーザー型式の位置センサー7を備えずに、GPS型式やGNSS型式の人口衛星を利用した測位システムを備えてもよい。
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、草刈り機ばかりではなく、自動的に走行しながら作業を行う農作業機や建設機械等の自動走行作業機にも適用できる。
【符号の説明】
【0093】
5 燃料タンク
21 走行制御手段
22 検出手段
23 停止手段
24 設定手段
25 計測手段
26 記憶手段
27 走行形態判断手段
A1 作業地の一方の端部
A2 作業地の他方の端部
N 障害物
T1 燃料消費時間
T2 作業走行時間
T11,T12,T13 往路時間
T21 復路時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7