特許第6376962号(P6376962)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6376962
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/72 20110101AFI20180813BHJP
【FI】
   H01R12/72
【請求項の数】16
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-247320(P2014-247320)
(22)【出願日】2014年12月5日
(65)【公開番号】特開2016-110842(P2016-110842A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年9月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】三川 和弥
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4098071(JP,B2)
【文献】 特開2013−206663(JP,A)
【文献】 特開2009−129890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/72
H01R 13/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを前後方向に沿って後方に移動することで前記カードと接続可能なコネクタであって、
前記カードは、前記前後方向に沿って後方に移動することで前記コネクタに挿入可能であり、且つ、前記前後方向に沿って前方に移動することで前記コネクタから抜去可能であり、
前記コネクタは、コンタクトと、保持部材とを備えており、
前記コンタクトは、被保持部と、被押圧部と、被保護部とを有しており、
前記保持部材は、平板形状の平板部を有しており、
前記平板部は、保持部と、保護部と、受容部とを有しており、
前記保持部は、前記被保持部を保持しており、
前記保護部は、前記平板部の一部であり、
前記受容部は、前記保護部の前方又は後方に位置する空間であり、
前記保護部と前記受容部とは、前記前後方向に並んでおり、
前記保護部は、前記前後方向と直交する上下方向において、前記被保護部の上方に位置しており、これにより、前記被保護部の上方への移動を規制しており、
前記被保護部は、前記上下方向に沿って見たときに前記保護部と重なる所定部位と、前記前後方向及び前記上下方向の双方と直交する横方向において前記所定部位と同じ位置にある先端とを有しており、
前記先端は、前記前後方向における前記保護部の端に位置するか、又は、前記前後方向において前記保護部から離れており、
前記被押圧部は、前記コネクタと前記カードとの接続に伴って、下方に押圧されて移動し、
前記被押圧部が下方に移動する際に、前記先端は、前記保護部と接触することなく前記受容部内に位置する
コネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタであって、
前記被保護部の前記先端は、前記上下方向に沿って見たときに前記保護部と重なっていない
コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のコネクタであって、
前記コネクタは、受止部を備えており、
前記コンタクトは、移動可能な可動端部を有しており、
前記被押圧部が下方に移動する際に、前記可動端部は、前記上下方向において前記受止部に受け止められる
コネクタ。
【請求項4】
請求項3記載のコネクタであって、
前記受止部は、前記平板部の一部である
コネクタ。
【請求項5】
請求項3記載のコネクタであって、
前記受止部は、前記平板部に組み込まれた金属部材の一部である
コネクタ。
【請求項6】
請求項3乃至請求項5のいずれかに記載のコネクタであって、
前記可動端部は、前記被保護部である
コネクタ。
【請求項7】
請求項6記載のコネクタであって、
前記保護部は、前記前後方向において少なくとも部分的に前記受止部と同じ位置にある
コネクタ。
【請求項8】
請求項6又は請求項7記載のコネクタであって、
前記受容部は、底面を有しており、
前記受止部と前記底面とは、前記前後方向において並んでおり、
前記底面は、前記受止部よりも下方に位置しており、
前記被押圧部が下方に移動する際に、前記可動端部は、前記上下方向において前記受止部に受け止められつつ、前記前後方向において前記受止部から前記底面に向かって移動する
コネクタ。
【請求項9】
請求項3乃至請求項8のいずれかに記載のコネクタであって、
前記被押圧部が下方に移動する際に、前記可動端部は、前記上下方向において前記受止部に受け止められつつ、前方に向かって移動する
コネクタ。
【請求項10】
請求項3乃至請求項8のいずれかに記載のコネクタであって、
前記被押圧部が下方に移動する際に、前記可動端部は、前記上下方向において前記受止部に受け止められつつ、後方に向かって移動する
コネクタ。
【請求項11】
請求項3乃至請求項10のいずれかに記載のコネクタであって、
前記コンタクトは、第1バネ部と、第2バネ部とを有しており、
前記第1バネ部は、前記被保持部から前記可動端部まで延びており、且つ、前記被押圧部と、起点部とを有しており、
前記第2バネ部は、前記起点部から延びており、且つ、自由端と、接点とを有しており、
前記接点は、前記カードと電気的に接続する部位であり、前記自由端と前記起点部との間に位置しており、
前記被押圧部が下方に移動する際に、前記起点部及び前記自由端は、下方に移動する
コネクタ。
【請求項12】
請求項11記載のコネクタであって、
前記第1バネ部は、第1梁部と、第2梁部と、連結部とを有しており、
前記連結部は、前記横方向において前記第1梁部と前記第2梁部とを互いに連結しており、
前記被押圧部は、第1被押圧部と、第2被押圧部とを含んでおり、
前記第1被押圧部は、前記第1梁部の一部であり、前記第2被押圧部は、前記第2梁部の一部であり、
前記接点は、前記横方向において、前記第1梁部と前記第2梁部との間に位置している
コネクタ。
【請求項13】
請求項12記載のコネクタであって、
前記第1バネ部は、接続端部を有しており、
前記接続端部は、前記第1梁部の端部と前記第2梁部の端部とを互いに接続しており、
前記被押圧部は、第3被押圧部を含んでおり、
前記起点部及び前記第3被押圧部の夫々は、前記接続端部の一部であり、
前記可動端部は、前記接続端部から延びている
コネクタ。
【請求項14】
請求項12又は請求項13記載のコネクタであって、
前記横方向に沿って見たとき、前記自由端は、前記第1梁部の上面及び前記第2梁部の上面の下方に位置している
コネクタ。
【請求項15】
請求項11乃至請求項14のいずれかに記載のコネクタであって、
前記第2バネ部は、前記起点部から後方に延びており、前記自由端として後端を有している
コネクタ。
【請求項16】
請求項1乃至請求項15のいずれかに記載のコネクタであって、
前記コネクタは、シェルを備えており、
前記シェルは、前記保持部材に取り付けられており、前記保持部材と共に収容部を構成しており、
前記収容部は、前記コネクタと接続された前記カードを、少なくとも部分的に収容し、
前記保護部は、前記収容部の下方に位置している
コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SIM(Subscriber Identity Module)カードのようなカードと接続するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、このタイプのコネクタが開示されている。図27を参照すると、特許文献1のコネクタ900は、ベース部材910(保持部材)と、コンタクト端子920(コンタクト)とを備えている。ベース部材910には、溝912と肩部914とが形成されている。溝912は、肩部914によって上方から覆われている。コンタクト端子920は、その一端に可動端922を有している。コンタクト端子920の他端(図示せず)は、ベース部材910に保持されており、これにより可動端922は、移動可能である。可動端922には、係合部924が形成されている。可動端922が上方に移動すると、係合部924が肩部914に係合する。このため、可動端922は、ベース部材910の底面910Bを超えて上方に移動しない。これにより、コネクタ900にカード(図示せず)が挿入された際、可動端922がカードと突き当たることによって生じるコンタクト端子920の座屈が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4733610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図27を参照すると、カード(図示せず)の挿入に伴って可動端922が反り返り、係合部924の先端926が肩部914に突き当たるおそれがある。先端926が肩部914に突き当たると、コンタクト端子920のバネが硬くなる。この硬いバネに支持された先端926は、肩部914を破損するおそれがある。更に、先端926が肩部914に食い込んだ状態でコネクタ900が落下等による衝撃を受けた場合、コンタクト端子920が破損する恐れがある。
【0005】
そこで、本発明は、コンタクトや保持部材の破損を、より確実に防止可能なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1のコネクタとして、
カードを前後方向に沿って後方に移動することで前記カードと接続可能なコネクタであって、
前記コネクタは、コンタクトと、保持部材とを備えており、
前記コンタクトは、被保持部と、被押圧部と、被保護部とを有しており、
前記保持部材は、平板形状の平板部を有しており、
前記平板部は、保持部と、保護部と、受容部とを有しており、
前記保持部は、前記被保持部を保持しており、
前記保護部と前記受容部とは、前記前後方向に並んでおり、
前記保護部は、前記前後方向と直交する上下方向において、前記被保護部の上方に位置しており、
前記被保護部は、前記上下方向に沿って見たときに前記保護部と重なる所定部位と、前記前後方向及び前記上下方向の双方と直交する横方向において前記所定部位と同じ位置にある先端とを有しており、
前記先端は、前記前後方向における前記保護部の端に位置するか、又は、前記前後方向において前記保護部から離れており、
前記被押圧部は、前記コネクタと前記カードとの接続に伴って、下方に押圧されて移動し、
前記被押圧部が下方に移動する際に、前記先端は、前記保護部と接触することなく前記受容部内に位置する
コネクタを提供する。
【0007】
また、本発明は、第2のコネクタとして、第1のコネクタであって、
前記被保護部の前記先端は、前記上下方向に沿って見たときに前記保護部と重なっていない
コネクタを提供する。
【0008】
また、本発明は、第3のコネクタとして、第1又は第2のコネクタであって、
前記コネクタは、受止部を備えており、
前記コンタクトは、移動可能な可動端部を有しており、
前記被押圧部が下方に移動する際に、前記可動端部は、前記上下方向において前記受止部に受け止められる
コネクタを提供する。
【0009】
また、本発明は、第4のコネクタとして、第3のコネクタであって、
前記受止部は、前記平板部の一部である
コネクタを提供する。
【0010】
また、本発明は、第5のコネクタとして、第3のコネクタであって、
前記受止部は、前記平板部に組み込まれた金属部材の一部である
コネクタを提供する。
【0011】
また、本発明は、第6のコネクタとして、第3乃至第5のいずれかのコネクタであって、
前記可動端部は、前記被保護部である
コネクタを提供する。
【0012】
また、本発明は、第7のコネクタとして、第6のコネクタであって、
前記保護部は、前記前後方向において少なくとも部分的に前記受止部と同じ位置にある
コネクタを提供する。
【0013】
また、本発明は、第8のコネクタとして、第6又は第7のコネクタであって、
前記受容部は、底面を有しており、
前記受止部と前記底面とは、前記前後方向において並んでおり、
前記底面は、前記受止部よりも下方に位置しており、
前記被押圧部が下方に移動する際に、前記可動端部は、前記上下方向において前記受止部に受け止められつつ、前記前後方向において前記受止部から前記底面に向かって移動する
コネクタを提供する。
【0014】
また、本発明は、第9のコネクタとして、第3乃至第8のいずれかのコネクタであって、
前記被押圧部が下方に移動する際に、前記可動端部は、前記上下方向において前記受止部に受け止められつつ、前方に向かって移動する
コネクタを提供する。
【0015】
また、本発明は、第10のコネクタとして、第3乃至第8のいずれかのコネクタであって、
前記被押圧部が下方に移動する際に、前記可動端部は、前記上下方向において前記受止部に受け止められつつ、後方に向かって移動する
コネクタを提供する。
【0016】
また、本発明は、第11のコネクタとして、第3乃至第10のいずれかのコネクタであって、
前記コンタクトは、第1バネ部と、第2バネ部とを有しており、
前記第1バネ部は、前記被保持部から前記可動端部まで延びており、且つ、前記被押圧部と、起点部とを有しており、
前記第2バネ部は、前記起点部から延びており、且つ、自由端と、接点とを有しており、
前記接点は、前記カードと電気的に接続する部位であり、前記自由端と前記起点部との間に位置しており、
前記被押圧部が下方に移動する際に、前記起点部及び前記自由端は、下方に移動する
コネクタを提供する。
【0017】
また、本発明は、第12のコネクタとして、第11のコネクタであって、
前記第1バネ部は、第1梁部と、第2梁部と、連結部とを有しており、
前記連結部は、前記横方向において前記第1梁部と前記第2梁部とを互いに連結しており、
前記被押圧部は、第1被押圧部と、第2被押圧部とを含んでおり、
前記第1被押圧部は、前記第1梁部の一部であり、前記第2被押圧部は、前記第2梁部の一部であり、
前記接点は、前記横方向において、前記第1梁部と前記第2梁部との間に位置している
コネクタを提供する。
【0018】
また、本発明は、第13のコネクタとして、第12のコネクタであって、
前記第1バネ部は、接続端部を有しており、
前記接続端部は、前記第1梁部の端部と前記第2梁部の端部とを互いに接続しており、
前記被押圧部は、第3被押圧部を含んでおり、
前記起点部及び前記第3被押圧部の夫々は、前記接続端部の一部であり、
前記可動端部は、前記接続端部から延びている
コネクタを提供する。
【0019】
また、本発明は、第14のコネクタとして、第12又は第13のコネクタであって、
前記横方向に沿って見たとき、前記自由端は、前記第1梁部の上面及び前記第2梁部の上面の下方に位置している
コネクタを提供する。
【0020】
また、本発明は、第15のコネクタとして、第11乃至第14のいずれかのコネクタであって、
前記第2バネ部は、前記起点部から後方に延びており、前記自由端として後端を有している
コネクタを提供する。
【0021】
また、本発明は、第16のコネクタとして、第1乃至第15のいずれかのコネクタであって、
前記コネクタは、シェルを備えており、
前記シェルは、前記保持部材に取り付けられており、前記保持部材と共に収容部を構成しており、
前記収容部は、前記コネクタと接続された前記カードを、少なくとも部分的に収容し、
前記保護部は、前記収容部の下方に位置している
コネクタを提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、コンタクトの被保持部が保持部に保持されており、コンタクトの被保護部が保護部の下方に位置している。このため、コネクタが衝撃を受けたとしても、被保護部が保護部によって受け止められ、コンタクトの変形が防止される。また、コネクタがカードと接続する際、被保護部の先端は、保護部と接触することなく受容部内に位置する。このため、コネクタがカードと接続する際、コンタクトのバネは硬くならず、保護部やコンタクトの破損が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1の実施の形態によるコネクタを示す斜視図である。回路基板の搭載面の一部を描画している。
図2図1のコネクタに接続可能なカードを示す斜視図である。
図3図2のカードと同じ外部形状を有するカードアダプタを示す斜視図である。カードアダプタには、図1のコネクタに接続可能な他のカードを装着可能である。
図4図1のコネクタのコンタクトを示す斜視図である。
図5図1のコネクタを示す分解斜視図である。コネクタの保持部材には、コンタクトが取り付けられている。コンタクトの被保護部の近傍(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
図6図1のコネクタを示す底面図である。コンタクトの被保護部の近傍(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
図7図1のコネクタを示す上面図である。コンタクトの被保護部の近傍(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
図8図1のコネクタを示す正面図である。回路基板の搭載面の一部を描画している。
図9図7のコネクタをIX−IX線に沿って示す断面図である。回路基板の搭載面の一部を描画している。
図10図9のコネクタの一部(破線Aで囲んだ部分)を示す断面図である。カードの一部を1点鎖線で描画している。また、コンタクトの被保護部の近傍(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
図11図9のコネクタの一部(破線Aで囲んだ部分)を示す断面図である。カードが装着されていないカードアダプタの一部を1点鎖線で描画している。
図12図9のコネクタの一部(破線Aで囲んだ部分)を示す断面図である。コンタクトは弾性変形している。カードの一部を1点鎖線で描画し、回路基板の搭載面の一部を実線で描画している。また、コンタクトの被保護部の近傍(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
図13】本発明の第2の実施の形態によるコネクタを示す斜視図である。回路基板の搭載面の一部を描画している。
図14図13のコネクタのシェルを示す上面図である。
図15図13のコネクタの保持部材を示す上面図である。保持部材には、コンタクトが取り付けられている。コンタクトの被保護部の近傍(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
図16図15の保持部材をXVI−XVI線に沿って示す断面図である。コンタクトの被保護部の近傍(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
図17図15の保持部材をXVI−XVI線に沿って示す断面図である。コンタクトは弾性変形している。コンタクトの被保護部の近傍(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
図18】本発明の第3の実施の形態によるコネクタを示す斜視図である。回路基板の搭載面の一部を描画している。
図19図18のコネクタのシェルを示す上面図である。
図20図18のコネクタの保持部材を示す上面図である。保持部材には、コンタクトが取り付けられている。
図21図20の保持部材に取り付けられたコンタクト(破線Bで囲んだ部分)を示す上面図である。
図22図21の保持部材とコンタクトとをXXII−XXII線に沿って示す断面図である。
図23図21の保持部材とコンタクトとをXXIII−XXIII線に沿って示す断面図である。
図24図20の保持部材に取り付けられたコンタクト(破線Bで囲んだ部分)を示す上面図である。コンタクトは弾性変形している。
図25図24の保持部材とコンタクトとをXXV−XXV線に沿って示す断面図である。
図26図24の保持部材とコンタクトとをXXVI−XXVI線に沿って示す断面図である。
図27】特許文献1のコネクタの一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施の形態)
図1及び図10を参照すると、本発明の第1の実施の形態によるコネクタ10は、カード600を前後方向(X方向)に沿って後方(−X方向)に移動することでカード600と接続可能である。本実施の形態において、カード600は、−X方向(挿入方向)に沿ってコネクタ10に挿入可能であり、+X方向(抜去方向)に沿ってコネクタ10から抜去可能である。図1図8及び図9を参照すると、本実施の形態によるコネクタ10は、使用時に回路基板800の搭載面802上に搭載される。但し、本発明は、これに限られない。例えば、コネクタ10は、所謂落とし込みタイプであってもよい。
【0025】
図2を参照すると、カード600は、マイクロSIMカードであり、4つの電極610と、4つの電極620とを有している。電極610及び電極620は、カード600の裏面(−Z側の面)に形成されている。電極610は、カード600の後側(+X側)に位置して横方向(Y方向)に並んでおり、電極620は、カード600の前側(−X側)に位置してY方向に並んでいる。後述するように、カード600がコネクタ10(図1参照)に挿入される際、カード600の先端602は、押圧部602として機能する。
【0026】
図1乃至図3を参照すると、コネクタ10は、カード600に加えて、カードアダプタ700に装着されたナノSIMカード(図示せず)とも接続可能である。カードアダプタ700は、空間720を取り囲む枠体710から構成されている。枠体710は、カード600と同じ外部形状を有しており、空間720は、ナノSIMカードの外部形状に対応している。ナノSIMカードを空間720に装着した状態でカードアダプタ700をコネクタ10に挿入することにより、ナノSIMカードをコネクタ10に接続できる。後述するように、枠体710の先端712は、カード600の先端602と同様に、押圧部712として機能する。更に、枠体710の内壁714も、押圧部714として機能する。
【0027】
図5に示されるように、本実施の形態によるコネクタ10は、主として絶縁体からなる保持部材100と、金属製のシェル200と、金属製の3つの前側コンタクト(コンタクト)300と、金属製の3つの後側コンタクト400とを備えている。コンタクト300は、コネクタ10の前側(+X側)に位置してY方向に並んでおり、後側コンタクト400は、コネクタ10の後側(−X側)に位置してY方向に並んでいる。
【0028】
図1図5図8及び図9を参照すると、シェル200は、上下方向(Z方向)における上方から保持部材100に取り付けられており、保持部材100と共に収容部12を構成している。図12を参照すると、収容部12は、コネクタ10と接続されたカード600を、少なくとも部分的に収容するための空間である。収容部12は、Z方向において保持部材100とシェル200の間に位置しており、X方向において、シェル200の前端(+X側の端)と後端(−X側の端)の間に位置している。
【0029】
図4及び図5に示されるように、コンタクト300は、被保持部310と、第1バネ部320と、被保護部(可動端部)380と、第2バネ部390とを有している。被保持部310は、保持部材100に保持されている。第1バネ部320は、被保持部310から前方(+X方向)に延びている。被保護部380は、第1バネ部320から前方に延びており、第2バネ部390は、第1バネ部320のY方向における中間部から後方に延びている。
【0030】
図4に示されるように、第1バネ部320は、第1梁部330と、第2梁部340と、連結部350と、接続端部360とを有している。第1梁部330と第2梁部340とは、互いに平行に延びている。詳しくは、第1梁部330と第2梁部340の夫々は、X方向に延びており、X方向における中間部において山状に突出している。連結部350は、Y方向において、第1梁部330と第2梁部340とを互いに連結している。
【0031】
図4図10及び図11を参照すると、第1梁部330は、上面332と、第1被押圧部(被押圧部)334と、端部336とを有している。上面332は、第1梁部330の上端(+Z側の端)に位置しており、端部336は、第1梁部330の前端に位置している。第1梁部330の後部は、カード600やカードアダプタ700がコンタクト300を押圧していない初期状態において、上方及び前方に延びている。被押圧部334は、この後部の一部である。
【0032】
第2梁部340は、第1梁部330と同様に構成されている。詳しくは、第2梁部340は、上面342と、第2被押圧部(被押圧部)344と、端部346とを有している。上面342は、第2梁部340の上端に位置しており、端部346は、第2梁部340の前端に位置している。第2梁部340の後部は、初期状態において、上方及び前方に延びている。被押圧部344は、この後部の一部である。
【0033】
図4に示されるように、接続端部360は、第1梁部330の端部336と第2梁部340の端部346とを互いに接続している。接続端部360は、起点部362と、第3被押圧部(被押圧部)364とを有している。起点部362は、X方向において接続端部360の後端に位置しており、Y方向において接続端部360の中間部に位置している。図10を参照すると、接続端部360は、初期状態において上方及び後方に延びている。
【0034】
図4及び図5を参照すると、第1バネ部320は、被保持部310の前端から可動端部380の後端まで延びており、可動端部380は、第1バネ部320の前端(即ち、接続端部360の前端)から前方に延びている。可動端部380は、保持部材100に保持されていない。これにより、第1バネ部320(より具体的には、第1梁部330及び第2梁部340の夫々)は、下方(−Z方向)に弾性変形可能である。可動端部380は、第1バネ部320の弾性変形に伴って、保持部材100に対して相対的に移動可能である。換言すれば、コンタクト300は、移動可能な可動端部380を有している。
【0035】
上述したように、本実施の形態による第1バネ部320は、3つの被押圧部(第1被押圧部334、第2被押圧部344及び第3被押圧部364)を有している。換言すれば、コンタクト300の被押圧部は、第1被押圧部334と、第2被押圧部344と、第3被押圧部364を含んでいる。第1被押圧部334は、第1梁部330の一部であり、第2被押圧部344は、第2梁部340の一部である。第3被押圧部364は、接続端部360の一部である。加えて、第1バネ部320は、起点部362を有している。起点部362も、接続端部360の一部である。
【0036】
図4及び図5に示されるように、第2バネ部390は、起点部362から後方に延びている。第2バネ部390は、後端(自由端)394と、接点398とを有している。第2バネ部390は、起点部362において第1バネ部320に連結されており、Z方向に弾性変形可能である。このため、後端394は、起点部362に対して相対的にZ方向に移動可能である。換言すれば、第2バネ部390は、自由端として後端394を有している。
【0037】
図4及び図10を参照すると、Y方向に沿って見たとき、自由端394は、第1梁部330の上面332及び第2梁部340の上面342の下方に位置している。接点398は、カード600やナノSIMカード(図示せず)と電気的に接続する部位である。接点398は、X方向において自由端394と起点部362との間に位置しており、Y方向において、第1梁部330と第2梁部340との間に位置している。
【0038】
図5を参照すると、保持部材100は、絶縁体からなる平板部110と、様々な金属部材とを有している。平板部110は、平板形状を有している。平板部110は、コンタクト300に夫々対応する複数の保持部120を有している。保持部120は、コンタクト300の被保持部310を保持している。本実施の形態によれば、コンタクト300は、インサート成型により平板部110に組み込まれており、これにより被保持部310は、保持部120に強固に固定されている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、被保持部310は、保持部120に圧入されて保持され固定されていてもよい。
【0039】
図5乃至図7及び図10を参照すると、平板部110は、コンタクト300の夫々に対応して、保護部130と、受容部140とを有している。保護部130は、平板部110の一部であり、収容部12の下方に位置している。受容部140は、収容部12の下方に位置する空間である。保護部130と受容部140とは、X方向に並んでいる。本実施の形態において、受容部140は、保護部130の前方に位置している。
【0040】
図5図7及び図10を参照すると、保護部130は、Z方向において、コンタクト300の被保護部380の上方に位置している。Z方向に沿って見たとき、保護部130と被保護部380とは、部分的に重なっている。詳しくは、被保護部380は、Z方向に沿って見たときに保護部130と重なる所定部位382を有している。また、被保護部380は、Y方向において所定部位382と同じ位置にある先端384を有している。本実施の形態による先端384は、X方向において保護部130から離れている。このため、初期状態における先端384は、Z方向に沿って見たときに保護部130と重なっていない。但し、本発明は、これに限られない。例えば、初期状態における先端384は、X方向における保護部130の端(前端)に位置していてもよい。
【0041】
本実施の形態によれば、コネクタ10が衝撃を受けたとしても、被保護部380が保護部130によって受け止められ、コンタクト300の大きな変形や塑性変形(破損)が防止される。例えば、コネクタ10が落下した際にコンタクト300が上方に曲がって塑性変形することを防止できる。更に、本実施の形態によれば、被保護部380は、Y方向においても、2つの側壁に挟まれている。これにより、コンタクト300の破損が更に確実に防止されている。
【0042】
図7及び図10を参照すると、コネクタ10は、コンタクト300の夫々に対応して、受止部150を備えている。本実施の形態による受止部150は、平板部110の一部である。受止部150は、被保護部380の下方に位置している。被保護部380は、保護部130と受止部150とによって上下に(Z方向において)挟まれており、被保護部380のZ方向の移動が規制されている。これにより、コンタクト300の破損が更に確実に防止されている。
【0043】
本実施の形態による受容部140は、底面142を有している。底面142は、平板部110の一部である。受止部150と底面142とは、X方向において並んでいる。
【0044】
図10及び図12を参照すると、コネクタ10にカード600(接続対象物)又はカードアダプタ700(接続対象物:図3参照)が挿入されると、押圧部602又は押圧部712(図2及び図3参照)が、コンタクト300の被押圧部364と突き当たる。第1バネ部320は、被押圧部364において下方に向かう力を受けて弾性変形する。これにより、被押圧部364は、下方に移動する。換言すれば、被押圧部364は、コネクタ10と接続対象物との接続に伴って、下方に押圧されて移動する。
【0045】
コンタクト300の前端に位置する被保護部380は、保護部130の下方に位置している。このため、接続対象物を挿入した際に、第1バネ部320は座屈しない。即ち、コンタクト300は、破損しない。また、図4を併せて参照すると、第1梁部330の端部336及び第2梁部340の端部346のいずれも、接続端部360に接続されている。このため、接続対象物をX方向と斜交する方向に沿って挿入した場合であっても、第1バネ部320は座屈しない。
【0046】
図10及び図12を参照すると、被押圧部364が下方に移動する際に、可動端部380は、Z方向において受止部150に受け止められつつ、X方向において受止部150から受容部140の底面142に向かって移動する。このとき、被保護部380の先端384は、保護部130と接触することなく、受容部140の内部を前方及び上方に移動する。換言すれば、被押圧部364が下方に移動する際に、先端384は、保護部130と接触することなく受容部140内に位置する。上述のように、先端384が保護部130に突き当たらないため、保護部130の破損を防止できる。本実施の形態によれば、コンタクト300の破損だけでなく、保持部材100の破損も防止可能である。
【0047】
本実施の形態において、受容部140の底面142は、Z方向において受止部150よりも下方に位置している。このため、先端384は、底面142を擦ることなく、スムーズに前方に移動できる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、先端384が、主として上方に移動する場合、底面142は、Z方向において受止部150と同じ位置にあってもよいし、受止部150よりも少し上方に位置していてもよい。
【0048】
本実施の形態において、保護部130は、X方向において受止部150と部分的に重なっている。これにより、保護部130のX方向におけるサイズを大きくし、より確実に被保護部380を保護できる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、保護部130全体が、X方向において受止部150と同じ位置にあってもよい。換言すれば、保護部130は、X方向において少なくとも部分的に受止部150と同じ位置にあってもよい。一方、例えば、コネクタ10のX方向におけるサイズに大きな制約がない場合、保護部130は、X方向において受止部150から離れていてもよい。
【0049】
本実施の形態において、受容部140は、上方に開口して収容部12と連通している。但し、本発明は、これに限られない。例えば、受容部140は、仕切り壁(図示せず)によって収容部12から隔てられていてもよい。
【0050】
図11を参照すると、カードアダプタ700が、ナノSIMカード(図示せず)を装着せずに、コネクタ10に挿入される可能性がある。この場合、挿入したカードアダプタ700を+X方向に沿ってコネクタ10から抜去する際、カードアダプタ700の押圧部714が、被押圧部334及び被押圧部344(図4参照)と突き当たる。この結果、第1バネ部320は、接続対象物をコネクタ10に挿入する際と同様に弾性変形する。詳しくは、被押圧部334及び被押圧部344は、下方に移動し、可動端部380は、前方に移動する。また、先端384は、保護部130と接触することなく受容部140内に位置する。本実施の形態によれば、誤って挿入されたカードアダプタ700を抜去する際にも、コンタクト300及び保持部材100の破損を防止できる。
【0051】
被押圧部334及び被押圧部344(図4参照)が下方に移動する際に、第1バネ部320の起点部362及び第2バネ部390の自由端394は、下方に移動する。カードアダプタ700の押圧部714が、+X方向に移動して自由端394の近傍に到達したときには、自由端394は、押圧部714の下方に位置しており、カードアダプタ700と接触しない。これにより、第2バネ部390の座屈(破損)も防止できる。
【0052】
本実施の形態によれば、自由端394は、初期状態において、第1梁部330の上面332及び第2梁部340(図4参照)の上面342によって規定される面(所定面)よりも下方に位置している。従って、より確実に第2バネ部390の座屈が防止できる。但し、本発明は、これに限定されない。カードアダプタ700が自由端394に接触しない限り、自由端394は、初期状態において、所定面を越えて上方に位置していてもよい。
【0053】
以上の説明から理解されるように、本実施の形態によれば、初期状態における自由端394の位置を高くでき、初期状態における接点398の位置も高くできる。これにより、接点398の移動距離を大きくできる。本実施の形態による接点398は、カード600がコネクタ10に挿入されたとき、電極610(図2参照)と好ましい接触力によって接触する。
【0054】
本実施の形態は、既に説明した変形例に加えて、以下に説明するように様々に変形可能である。
【0055】
図5及び図7を参照すると、本実施の形態による保護部130は、被保護部380のY方向における中間部を覆っていない。換言すれば、本実施の形態による所定部位382は、被保護部380のY方向における両側部に夫々位置する2つの部位から構成されている。また、本実施の形態による保護部130は、初期状態において所定部位382と接触していない。但し、本発明は、これに限られない。例えば、保護部130は、被保護部380全体を上方から覆っていてもよい。換言すれば、被保護部380全体が所定部位であってもよい。また、保護部130は、コンタクト300の破損が防止できる限り、初期状態において被保護部380から更に上方に離れていてもよいし、所定部位382と接触していてもよい。
【0056】
図10を参照すると、本実施の形態による可動端部380(被保護部380)は、初期状態において受止部150と接触している。但し、本発明は、これに限られない。例えば、可動端部380は、初期状態において受止部150から上方に離れていてもよい。
【0057】
図10及び図12を参照すると、本実施の形態による可動端部380は、コンタクト300の前端に位置しており、コンタクト300の被押圧部が下方に移動する際に、前方に向かって移動する。但し、本発明は、これに限られない。例えば、コンタクト300は、前後逆に平板部110に保持されていてもよい。この場合、可動端部380は、コンタクト300の後端に位置し、被押圧部が下方に移動する際に、後方に向かって移動する。これにより、本実施の形態と同様な効果が得られる。
【0058】
図5を参照すると、本実施の形態による後側コンタクト400の夫々は、コンタクト300と同様に機能する。特に、後側コンタクト400の夫々は、コンタクト300の被保護部380と同様に保護された被保護部を有している。但し、本発明は、これに限定されない。例えば、後側コンタクト400は、コンタクト300と異なる構造を有していてもよいし、コネクタ10は、後側コンタクト400を備えていなくてもよい。
【0059】
コネクタ10は、シェル200を備えていなくてもよい。この場合、例えば、コネクタ10を電子機器(図示せず)に取り付けたときに、収容部(図示せず)が形成されてもよい。
【0060】
本発明は、上述した本実施の形態及び変形例に加えて、更に様々に応用可能である。
【0061】
(第2の実施の形態)
図13を参照すると、本発明の第2の実施の形態によるコネクタ10Aは、カード600(図2参照)とは異なるカード(図示せず)と、コネクタ10(図1参照)と同様に接続可能である。本実施の形態によるコネクタ10Aは、コネクタ10と同様に、使用時に回路基板800の搭載面802上に搭載される。以下、コネクタ10Aとコネクタ10との相違点を中心に、コネクタ10Aについて説明する。
【0062】
図13乃至図15を参照すると、本実施の形態によるコネクタ10Aは、主として絶縁体からなる保持部材100Aと、金属製のシェル200Aと、金属製の複数の前側コンタクト(コンタクト)300Aと、金属製の複数の後側コンタクト400Aとを備えている。シェル200Aは、上方から保持部材100Aに取り付けられており、保持部材100Aと共に収容部12Aを構成している。収容部12Aは、コネクタ10Aと接続されたカード(図示せず)を、少なくとも部分的に収容する。コンタクト300Aは、前後方向(X方向)において後側コンタクト400Aの前方に位置しており、Y方向(横方向)に並んでいる。
【0063】
図15及び図16に示されるように、コンタクト300Aは、被保持部310Aと、バネ部320Aと、被押圧部370Aと、被保護部(可動端部)380Aと、接点398Aとを有している。
【0064】
被保持部310Aは、保持部材100Aに保持され固定されている。バネ部320Aは、被保持部310Aから後方に延びている。被保護部380Aは、バネ部320Aから後方に延びている。本実施の形態においても、可動端部は、被保護部380Aである。バネ部320Aの前部(傾斜部)は、カード(図示せず)がコンタクト300Aを押圧していない初期状態において、上方及び後方に延びている。被押圧部370Aは、この傾斜部の一部である。接点398Aは、バネ部320Aの上端に位置している。
【0065】
可動端部380Aは、保持部材100Aに保持されていない。可動端部380Aは、バネ部320Aの弾性変形に伴って、保持部材100Aに対して相対的に移動可能である。換言すれば、コンタクト300Aは、移動可能な可動端部380Aを有している。
【0066】
図15及び図16を参照すると、保持部材100Aは、絶縁体からなる平板部110Aを有している。平板部110Aは、平板形状を有している。平板部110Aは、コンタクト300Aの夫々に対応して、保持部120Aと、保護部130Aと、受容部140Aとを有している。
【0067】
保持部120Aは、コンタクト300Aの被保持部310Aを保持している。保護部130Aは、上下方向(Z方向)において、収容部12Aの下方に位置している。受容部140Aは、収容部12Aの下方に位置する空間である。保護部130Aと受容部140Aとは、X方向に並んでいる。本実施の形態において、受容部140Aは、保護部130Aの後方に位置している。
【0068】
保護部130Aは、Z方向において、コンタクト300Aの被保護部380Aの上方に位置している。これにより、被保護部380Aは、Z方向に沿って見たときに保護部130Aと重なる所定部位382Aを有している。また、被保護部380Aは、Y方向において所定部位382Aと同じ位置にある先端384Aを有している。本実施の形態による先端384Aは、X方向において保護部130Aから離れている。このため、先端384Aは、Z方向に沿って見たときに保護部130Aと重なっていない。
【0069】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態(図10及び図12参照)と同様に、コンタクト300Aの被保護部380Aが、保護部130Aによって上方から保護されている。これにより、第1の実施の形態と同様に、コネクタ10Aに衝撃が加わった場合にも、コンタクト300Aの破損を防止できる。
【0070】
図16及び図17を参照すると、コネクタ10Aが使用時に搭載される回路基板800の一部は、受止部810として機能する。また、回路基板800の他の一部は、受容部140Aの底面142Aとして機能する。換言すれば、使用時において、コネクタ10Aは、受止部810を備えており、受容部140Aは、底面142Aを有している。受止部810と底面142Aとは、X方向において並んでいる。受止部810は、被保護部380Aから離れて被保護部380Aの下方に位置している。底面142Aは、Z方向において受止部810と同じ位置にある。本実施の形態によれば、平板部110AのZ方向におけるサイズを小さくできる。加えて、保護部130Aのサイズを比較的大きくできる。
【0071】
コネクタ10Aに接続対象物であるカード(図示せず)が挿入されると、カードの押圧部(図示せず)が、コンタクト300Aの被押圧部370Aと突き当たる。バネ部320Aは、下方に向かって弾性変形し、被押圧部370Aは、下方に移動する。換言すれば、被押圧部370Aは、コネクタ10Aとカードとの接続に伴って、下方に押圧されて移動する。
【0072】
被押圧部370Aが下方に移動する際に、可動端部380Aは、Z方向において受止部810に受け止められつつ、X方向において受止部810から受容部140Aの底面142Aに向かって(後方に)移動する。このとき、第1の実施の形態(図12参照)と同様に、被保護部380Aの先端384Aは、保護部130Aと接触することなく、受容部140A内に位置する。本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、コンタクト300Aの破損だけでなく、保持部材100Aの破損も防止可能である。
【0073】
図16を参照すると、本実施の形態による保護部130Aは、初期状態において所定部位382Aと接触している。但し、保護部130Aは、初期状態において所定部位382Aと接触せず離れていてもよい。
【0074】
図15を参照すると、本実施の形態による後側コンタクト400Aの夫々は、コンタクト300Aと異なる構造を有している。但し、後側コンタクト400Aは、コンタクト300Aと同じ構造を有していてもよいし、コネクタ10Aは、後側コンタクト400Aを備えていなくてもよい。
【0075】
(第3の実施の形態)
図18を参照すると、本発明の第3の実施の形態によるコネクタ10Bは、カード600(図2参照)と同様なカード(図示せず)と、コネクタ10(図1参照)と同様に接続可能である。本実施の形態によるコネクタ10Bは、コネクタ10と同様に、使用時に回路基板800の搭載面802上に搭載される。以下、コネクタ10Bとコネクタ10との相違点を中心に、コネクタ10Bについて説明する。
【0076】
図18乃至図20を参照すると、本実施の形態によるコネクタ10Bは、主として絶縁体からなる保持部材100Bと、金属製のシェル200Bと、金属製の3つの前側コンタクト(コンタクト)300Bと、金属製の3つの後側コンタクト400Bとを備えている。シェル200Bは、上方から保持部材100Bに取り付けられており、保持部材100Bと共に収容部12Bを構成している。収容部12Bは、コネクタ10Bと接続されたカード(図示せず)を、少なくとも部分的に収容する。コンタクト300Bは、前後方向(X方向)において後側コンタクト400Bの前方に位置しており、Y方向(横方向)に並んでいる。
【0077】
図21乃至図23に示されるように、コンタクト300Bは、2つの被保持部310Bと、バネ部320Bと、2つの被押圧部370Bと、被保護部380Bと、可動端部386Bと、接点398Bとを有している。
【0078】
被保持部310Bは、保持部材100Bに保持され固定されている。バネ部320Bは、被保持部310Bから前方に延びた後、後方に延びている。可動端部386Bは、バネ部320Bの後端部である。被保護部380Bは、可動端部386Bの前端から分岐して後方に延びている。即ち、本実施の形態において、可動端部386Bは、被保護部380Bと異なる部位である。バネ部320Bは、その前部において、2つの傾斜部を有しており、傾斜部の夫々は、カード(図示せず)がコンタクト300Bを押圧していない初期状態において、上方及び後方に延びている。被押圧部370Bは、この傾斜部の一部である。接点398Bは、バネ部320Bの上端に位置している。
【0079】
被保護部380B及び可動端部386Bは、保持部材100Bに保持されていない。被保護部380B及び可動端部386Bの夫々は、バネ部320Bの弾性変形に伴って、保持部材100Bに対して相対的に移動可能である。換言すれば、コンタクト300Bは、移動可能な被保護部380B及び可動端部386Bを有している。
【0080】
図20及び図21を参照すると、保持部材100Bは、絶縁体からなる平板部110Bを有している。平板部110Bは、平板形状を有している。平板部110Bは、コンタクト300Bの夫々に対応して、2つの保持部120Bと、保護部130Bと、受容部140Bとを有している。
【0081】
図21乃至図23を参照すると、保持部120Bは、コンタクト300Bの2つの被保持部310Bを夫々保持している。保護部130Bは、上下方向(Z方向)において、収容部12Bの下方に位置している。受容部140Bは、収容部12Bの下方に位置する空間である。保護部130Bと受容部140Bとは、X方向に並んでいる。本実施の形態において、受容部140Bは、保護部130Bの後方に位置している。
【0082】
保護部130Bは、Z方向において、コンタクト300Bの被保護部380Bの上方に位置している。これにより、被保護部380Bは、Z方向に沿って見たときに保護部130Bと重なる所定部位382Bを有している。また、被保護部380Bは、Y方向において所定部位382Bと同じ位置にある先端384Bを有している。本実施の形態による先端384Bは、X方向において保護部130Bから離れている。このため、先端384Bは、Z方向に沿って見たときに保護部130Bと重なっていない。
【0083】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態(図10及び図12参照)と同様に、コンタクト300Bの被保護部380Bが、保護部130Bによって上方から保護されている。これにより、第1の実施の形態と同様に、コネクタ10Bに衝撃が加わった場合にも、コンタクト300Bの破損を防止できる。
【0084】
図22及び図25を参照すると、平板部110Bは、金属部材が組み込まれて補強されている。この金属部材の一部は、受止部150Bとして機能する。換言すれば、コネクタ10Bは、受止部150Bを備えている。本実施の形態による受止部150Bは、平板部110Bに組み込まれた金属部材の一部である。これにより、受止部150Bを薄くできる。図23及び図26を参照すると、コネクタ10Bが使用時に搭載される回路基板800の一部は、受容部140Bの底面142Bとして機能する。換言すれば、コネクタ10Bの使用時において、受容部140Bは、底面142Bを有している。
【0085】
図21及び図24に示されるように、受止部150Bは、可動端部386Bに対応して設けられており、保護部130Bは、被保護部380Bに対応して設けられている。これにより、受止部150Bと保護部130Bとは、Y方向において互いから離れている。本実施の形態によれば、平板部110BのZ方向におけるサイズを小さくできる。
【0086】
図22及び図25を参照すると、コネクタ10Bに接続対象物であるカード(図示せず)が挿入されると、カードの押圧部(図示せず)が、コンタクト300Bの被押圧部370Bと突き当たる。バネ部320Bは、下方に向かって弾性変形し、被押圧部370Bは、下方に移動する。換言すれば、被押圧部370Bは、コネクタ10Bとカードとの接続に伴って、下方に押圧されて移動する。
【0087】
図22及び図25を参照すると、被押圧部370Bが下方に移動する際に、可動端部386Bは、Z方向において受止部150Bに受け止められつつ、後方に向かって移動する。図23及び図26を参照すると、このとき、被保護部380Bは、底面142Bと接触することなく全体的に後方に移動する。これにより、第1の実施の形態(図12参照)と同様に、被保護部380Bの先端384Bは、保護部130Bと接触することなく、受容部140B内に位置する。本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、コンタクト300Bの破損だけでなく、保持部材100Bの破損も防止可能である。
【0088】
図23を参照すると、本実施の形態による保護部130Bは、初期状態において所定部位382Bと接触している。但し、保護部130Bは、初期状態において所定部位382Bと接触せず離れていてもよい。
【0089】
図20を参照すると、本実施の形態による後側コンタクト400Bの夫々は、コンタクト300Bと同様な構造を有している。但し、後側コンタクト400Bは、コンタクト300Bと異なる構造を有していてもよいし、コネクタ10Bは、後側コンタクト400Bを備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0090】
10,10A,10B コネクタ
12,12A,12B 収容部
100,100A,100B 保持部材
110,110A,110B 平板部
120,120A,120B 保持部
130,130A,130B 保護部
140,140A,140B 受容部
142,142A,142B 底面
150,150B 受止部
200,200A,200B シェル
300,300A,300B 前側コンタクト(コンタクト)
310,310A,310B 被保持部
320 第1バネ部
320A,320B バネ部
330 第1梁部
332 上面
334 第1被押圧部(被押圧部)
336 端部
340 第2梁部
342 上面
344 第2被押圧部(被押圧部)
346 端部
350 連結部
360 接続端部
362 起点部
364 第3被押圧部(被押圧部)
370A,370B 被押圧部
380,380A 被保護部(可動端部)
380B 被保護部
382,382A,382B 所定部位
384,384A,384B 先端
386B 可動端部
390 第2バネ部
394 後端(自由端)
398,398A,398B 接点
400,400A,400B 後側コンタクト
600 カード
602 先端(押圧部)
610 電極
620 電極
700 カードアダプタ
710 枠体
712 先端(押圧部)
714 内壁(押圧部)
720 空間
800 回路基板
802 搭載面
810 受止部
図1
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