(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、量販店などにおいて、商品情報入力装置や表示デバイス、決済装置、袋詰台などを集約した販売データ処理装置が用いられている。このような販売データ処理装置は、当該装置を用いて顧客が自らチェックアウトを行えることから、セルフチェックアウト装置やセルフPOS装置などとも呼ばれる。
【0003】
従来あるセルフチェックアウト装置のレイアウトの主流は、以下のようなものである。すなわち、スキャナなどの商品情報入力装置や表示デバイス、決済装置が一体となったメイン装置が中央に配され、その片側に精算前の商品が入った買物籠を載せる台が配され、その反対側に、精算後の商品を詰める袋を載せる台(袋詰台)が配されている。
【0004】
ところで、セルフチェックアウト装置には、購入商品が多い場合に対応するために、袋詰台を2つ備えるものがある。そのようなセルフチェックアウト装置が上述のような従来の主流のレイアウトであると、例えば下記のような不都合がある。すなわち、2つめの袋詰台が1つめの袋詰台を挟んでメイン装置の反対側に設けられる都合上、2つめの袋詰台がスキャナから遠くなる。このため、スキャナ前に立ったままであると2つめの袋詰台での袋詰めがやりにくい。あるいは、2つめの袋詰台とスキャナ前との間を往復しなければならない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態は、入力装置や表示デバイス、袋詰台、決済装置が集約された販売データ処理装置において、特に、袋詰台を複数台備える場合の作業性を良好にするレイアウトを提案する。
【0009】
図1は、セルフチェックアウト装置1の外観を示す斜視図である。セルフチェックアウト装置1は、顧客が自身で商品登録および決済を行うための装置である。セルフチェックアウト装置1は、中央ユニット10と、決済ユニット20と、籠置台30と、を備えている。
【0010】
籠置台30は、情報受付前の商品を載置する置台である。言い換えると、籠置台30は、商品登録前の商品を入れた買物籠を載せるための台である。籠置台30は、商品登録・袋詰ユニットである中央ユニット10の側方(図では向かって右側)に配される。
【0011】
中央ユニット10は、袋詰ユニットの一例であり、籠置台30に置いた買物籠に入っている商品の登録および袋詰めを行うためのユニットである。中央ユニット10は、入力部11、表示デバイス12、袋詰台13、一時置台14などを備えている。
【0012】
入力部11は、商品の情報の入力を受け付ける。セルフチェックアウト装置1は、入力部11による情報入力をもって、商品登録がなされたとする。入力部11は、例えば、スキャナ11aやタッチパネル11bである。
【0013】
スキャナ11aは、バーコードや二次元コードなどの符号を読み取る読取装置である。当該符号は、例えば、商品や商品に付されたラベル、あるいは一覧表に表示されている。
【0014】
タッチパネル11bは、オペレータ(操作者、顧客)による手入力を受け付ける操作部である。タッチパネル11bは、表示デバイス12の表面に重ねて設けられ、表示デバイス12が表示している画像に応じた操作を受け付ける。例えば、表示デバイス12が商品の情報を表示しているとき、当該商品を選択するオペレータの手入力を、タッチパネル11bが受け付ける。
【0015】
なお、入力部11として、カメラやキーボード、ボタンが設けられていてもよい。カメラは、商品を撮像して画像を出力する撮像装置である。キーボードおよびボタンは、オペレータによる手入力を受け付ける操作部である。
【0016】
表示デバイス12は、例えば液晶ディスプレイパネルなどであって、入力部11(スキャナ11a)の上に位置し、操作者に報知する情報を表示する。
【0017】
袋詰台13は、入力部11の下に位置し、入力部11による情報受付後の商品(物品)を詰める袋を載せるためのものである。言い換えると、袋詰台13は、買い物袋を広げて置くための台であって、商品登録後の商品を置く(すなわち袋詰めする)ための台である。
【0018】
上述の籠置台30は、この袋詰台13の側方に位置する。籠置台30の高さと袋詰台13の高さとは、ほぼ同じである。
【0019】
袋詰台13の両側部には、袋支持部15が立てられている。オペレータは、袋支持部15の上端部に袋の持ち手などを引っかけることにより、袋詰台13上にて袋を開いた状態に保つことができる。
【0020】
ここで、袋詰台13の奥側には、支柱(支持部)16が立てられている。スキャナ11aおよび表示デバイス12は、支柱16の上端部に取り付けられている。支柱16は、スキャナ11aおよび表示デバイス12を支持する。支柱16により、スキャナ11aおよび表示デバイス12と袋詰台13との間が広く開けられて、袋詰め作業のための空間が形成されている。
【0021】
一時置台14は、支柱16に取り付けられて、袋詰台13の上方に位置している。一時置台14は、商品登録後の商品のうち、袋詰めにあたって一時的に除けておきたい商品を載せるために設けられている。一時的に除けておきたい商品としては、例えばパンや卵などのような、最上部に袋詰めされる(すなわち最後に袋詰めされる)ことが望ましいために袋詰めを待機するものなどがある。
【0022】
決済ユニット20は、決済部の一例であって、袋詰台13の側方であって籠置台30の反対側(図では袋詰台13の向かって左側)に位置する。決済ユニット20は、入力部11が受け付けた情報に基づいて金銭授受ないし当該金銭授受に代わる情報授受により会計処理を行う。決済ユニット20は、袋詰台13とは別体である。言い換えると、決済ユニット20は、中央ユニット10と別体である。
【0023】
決済ユニット20は、硬貨釣銭機21と紙幣釣銭機22とを備えている。また、決済ユニット20の筐体20aの上面には、プリンタ(印字部)23とカードリーダ(読取装置)24とが載置されている。さらに、決済ユニット20は、警告灯25を備えている。
【0024】
硬貨釣銭機21は、硬貨投入口21aおよび硬貨排出口21bを備えている。紙幣釣銭機22は、紙幣投入口22aおよび紙幣排出口22bを備えている。これら(硬貨投入口21a、硬貨排出口21b、紙幣投入口22a、紙幣排出口22b)は、筐体20aに設けられている。硬貨投入口21aは、硬貨の投入を受け付ける入金口である。硬貨排出口21bは、硬貨を排出する出金口である。紙幣投入口22aは、紙幣の投入を受け付ける入金口である。紙幣排出口22bは、紙幣を排出する出金口である。
【0025】
硬貨排出口21bは、払い出された硬貨を受け止める受皿の形状に形成されている。貨幣(硬貨および紙幣)の入出金のうち最も手間取るのは、硬貨排出口21bに払い出された硬貨の取り出しである。このため、硬貨排出口21bは、硬貨を取り出すにあたって都合のよい高さに設けられている。当該高さは、利用者として想定される人間の身長から考慮して設定される。
【0026】
他の入出金口(硬貨投入口21a、紙幣投入口22a、紙幣排出口22b)は、硬貨排出口21bを高さの基準とし、硬貨排出口21bに可能な限り近く設けられる。硬貨投入口21aは、硬貨の投げ込みやすさを考慮して、漏斗状に形成されている。また、硬貨投入口21aは、硬貨排出口21bよりも高い位置に配されている。紙幣投入口22aおよび紙幣排出口22bは、いずれも上向きに開口した様式で、硬貨排出口21bよりも低い位置に配されている。
【0027】
プリンタ23は、レシートやクーポン券などを印字発行する。カードリーダ24は、決済に用いられるクレジットカードが記憶する情報を読み取る。警告灯25は、店員による復旧操作が必要などの事態になったとき、当該事態の発生を、光を明滅させるなどにより周囲に報知する。
【0028】
なお、実施にあたって、セルフチェックアウト装置1は、クレジット決済に限らず他の電子決済用の記録媒体が保持するデータを読み取る読取装置(例えば、電子マネー決済用のリーダライタ)を備えていてもよい。
【0029】
ここで、支柱16は、中央ユニット10における袋詰台13の奥に設けられた保持部17に、立てられている。保持部17は、支柱16を着脱自在に保持する。
【0030】
保持部17は、向かって右端寄りと左端寄りの少なくとも二箇所において、支柱16を保持可能である。支柱16は、セルフチェックアウト装置1のレイアウトなどに応じて、上述の保持部17の両側部(右端寄りの側部および左端寄りの側部)のいずれかに立てられる。保持部17は、支柱16を、中央ユニット10に対して片寄せの状態で、保持する。
【0031】
図2は、
図1の構成に加えて袋詰ユニット10Aを備えるセルフチェックアウト装置1Aの外観を示す斜視図である。袋詰ユニット10Aは、第二の袋詰台13、第二の一時置台14、第二の袋支持部15、および第二の保持部17を備える。袋詰ユニット10Aは、入力部11、表示デバイス12、および支柱16を備えない点で、商品登録・袋詰ユニットである中央ユニット10と異なる。言い換えると、袋詰ユニット10Aは、中央ユニット10から、入力部11、表示デバイス12、支柱16を取り除いた構成となっている。
【0032】
ここで、以下、区別のため、セルフチェックアウト装置1Aにおいて袋詰ユニット10Aおよび中央ユニット10が伴に備える各部(袋詰台13、一時置台14、袋支持部15、および保持部17)を、次のように呼び分ける。すなわち、袋詰ユニット10Aが備えるものを第二の袋詰台13、第二の一時置台14、第二の袋支持部15、および第二の保持部17と称するのに対し、中央ユニット10が備えるものを、第一の袋詰台13、第一の一時置台14、第一の袋支持部15、および第一の保持部17と称する。
【0033】
セルフチェックアウト装置1Aにおいては、第一の支柱16を、袋詰ユニット10Aに近い方の側部に配して、第一の保持部17に保持させる。これにより、入力部11および表示デバイス12が、二つの袋詰台13のほぼ中間の位置に配される。
【0034】
これに伴い、セルフチェックアウト装置1Aにおいては、第一の一時置台14の位置を
図1に示す標準配置から変更し、袋詰ユニット10Aから遠い方に配する。そして、第二の一時置台14は、支柱16を挟んで第一の一時置台14の反対側に配される。このように、セルフチェックアウト装置1Aにおいては、支柱16の両側の空きスペースに一時置台14が配されている。
【0035】
なお、図示しないが、袋詰ユニット10Aは、第二の一時置台14を支える専用の柱(不図示)を備えている。当該柱は、保持部17に立てられる。
【0036】
このような構成のセルフチェックアウト装置1および1Aの使い勝手について、
図3〜
図6を参照して説明する。
【0037】
図3は、セルフチェックアウト装置1の概略正面図である。
図4は、袋詰台13を2台備えるセルフチェックアウト装置1Aの概略正面図である。
図5は、比較のために示す従来のセルフチェックアウト装置(以下、従来装置と称する)2の一例の概略正面図である。
【0038】
従来装置2は、中央ユニット40の下から上へと、決済部41、入力部42、表示デバイス43が配され、それらの一側部に籠置台50、他側部に袋詰台60が配された構成とされている。
【0039】
そして、
図6は、従来装置2の構成に加えて第二の袋詰台60Aを備える従来装置2Aの概略正面図である。
【0040】
従来装置2においては、商品の動線は、図中向かって右のユニットである籠置台50から、中央ユニット40が備える入力部42を経て、左のユニットである袋詰台60へと至る。つまり、従来装置2の一端から他端までが商品の動線となる。
【0041】
また、従来装置2Aにおいては、商品の動線のうち、第二の袋詰台60Aへと至る動線は、従来装置2のものよりもさらに長くなる。このため、オペレータは、商品登録の都度、装置前を左右に往復することとなる。
【0042】
これに対して、本実施形態のセルフチェックアウト装置1においては、商品の動線は、右のユニットである籠置台30から、中央ユニット10が備える入力部11を経て、同じく中央ユニット10が備える袋詰台13へと至る。したがって、本実施形態のセルフチェックアウト装置1の商品の動線は、従来装置2のものに比して、短くなる。これにより、商品の登録に要する時間が短くなる。
【0043】
さらに、本実施形態のセルフチェックアウト装置1は、スキャナ11aを正面に立つオペレータが移動せずそのまま正面で商品の袋詰めを行えるレイアウトであるので、袋詰めがしやすい。このように作業性が向上したことによって、さらに作業の所要時間の短縮を見込むことができる。
【0044】
また、第二の袋詰台13を備えるセルフチェックアウト装置1Aの場合には、袋詰ユニット10Aが中央ユニット10に隣接していて、さらに、入力部11および表示デバイス12が二つの袋詰台13のほぼ中間に位置している。これにより、オペレータは、少ない移動量で商品登録および袋詰めを繰り返すことができる。
【0045】
このように、本実施形態によれば、袋詰台13を複数備える構成としても、商品登録および袋詰めを行うオペレータの移動量を少なくすることができる。これにより、商品の移動に要する時間を短くすることができ、ひいては、取引完了までの時間を短縮することができる。
【0046】
また、セルフチェックアウト装置1Aのように、袋詰台13を複数備える場合に、一時置台14をも複数設けていると、袋詰めを待機する商品が多い場合に対応しやすくなる。
【0047】
なお、実施形態では、保持部17による支柱16の保持の仕方を細かく指定していないが、実施にあたって、保持部17が支柱16を保持し、支柱16が横方向に変位可能であれば構わない。例えば、保持部17が、支柱16を保持する保持孔を両側部に有し、該保持孔のいずれかに支柱16が差し込まれる構成であって、支柱16は挿し替えによって横方向に変位するのでもよい。あるいは、保持部17に対して支柱16が左右にスライド可能な構成としてもよい。
【0048】
また、実施形態では、入力部11の両側部の両方に一時置台14を備える構成としているが、実施にあたっては、入力部11の両側部のうちの一方のみに一時置台14を備える構成としてもよい。この場合、中央ユニット10に一時置台14を設置せず袋詰ユニット10Aにのみ一時置台14を設置してもよい。
【0049】
さらに、実施形態では、第二の一時置台14は、袋詰ユニット10Aに取り付けられているが、実施にあたっては、中央ユニット10の支柱16に取り付けてもよい。
【0050】
また、実施にあたって、表示デバイス12を、上述の保持部17に対しての支柱16同様、入力部11(スキャナ11a)に対して横方向に変位可能である構成としてもよい。これによれば、表示デバイス12の位置を、二つの袋詰台13の中間にさらに寄せることができる。これにより、商品登録および袋詰めを行うオペレータの移動量をさらに減らして作業性を高め、取引完了までの時間を短縮することができる。
【0051】
そして、実施形態では、支柱16を例に支持部を説明したが、実施にあたっては、支持部は柱状の部材でなくてもよい。
【0052】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1…セルフチェックアウト装置、1A…セルフチェックアウト装置、
10…中央ユニット、10A…袋詰ユニット、
11…入力部、11a…スキャナ、11b…タッチパネル、
12…表示デバイス、
13…袋詰台、
14…一時置台、
15…袋支持部、
16…支柱、
17…保持部、
20…決済ユニット、20a…筐体、
21…硬貨釣銭機、21a…硬貨投入口、21b…硬貨排出口、
22…紙幣釣銭機、22a…紙幣投入口、22b…紙幣排出口、
23…プリンタ、24…カードリーダ、25…警告灯、
30…籠置台、
2…従来装置、2A…従来装置、
40…中央ユニット、41…決済部、42…入力部、43…表示デバイス、
50…籠置台、
60…袋詰台、60A…袋詰台。