特許第6377006号(P6377006)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友重機械工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6377006-モータケーシング 図000002
  • 特許6377006-モータケーシング 図000003
  • 特許6377006-モータケーシング 図000004
  • 特許6377006-モータケーシング 図000005
  • 特許6377006-モータケーシング 図000006
  • 特許6377006-モータケーシング 図000007
  • 特許6377006-モータケーシング 図000008
  • 特許6377006-モータケーシング 図000009
  • 特許6377006-モータケーシング 図000010
  • 特許6377006-モータケーシング 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6377006
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】モータケーシング
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/18 20060101AFI20180813BHJP
   H02K 5/06 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   H02K5/18
   H02K5/06
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-69783(P2015-69783)
(22)【出願日】2015年3月30日
(65)【公開番号】特開2016-189685(P2016-189685A)
(43)【公開日】2016年11月4日
【審査請求日】2017年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】竹島 豊
(72)【発明者】
【氏名】池上 雅人
【審査官】 津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−176266(JP,A)
【文献】 特開2000−32698(JP,A)
【文献】 特開2001−28858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/18
H02K 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚部材を取り付け可能な複数個の取付座部を有するモータケーシングであって、
前記複数個の取付座部には、第1組の取付座部と、前記第1組の取付座部に対して周方向に離れて設けられる第2組の取付座部とが含まれ、
前記第1組の取付座部及び前記第2組の取付座部のそれぞれには、軸方向に離れた負荷側取付座部と反負荷側取付座部とが含まれ、
前記負荷側取付座部には、該負荷側取付座部より負荷側に延びる複数本の負荷側末端フィンが接続され、
前記反負荷側取付座部には、該反負荷側取付座部より反負荷側に延びる複数本の反負荷側末端フィンが接続され、
前記負荷側取付座部と前記反負荷側取付座部の間には前記軸方向に延びる一本のみの中間フィンが設けられることを特徴とするモータケーシング。
【請求項2】
前記第1組の取付座部を鉛直上向きにした状態を基準として、
前記第1組の取付座部に接続される前記複数の末端フィンは、所定の水平面に対するそれぞれの根元部の高さ位置が異なっており、
前記第1組の取付座部間に設けられる前記中間フィンは、前記複数の末端フィンのうち、前記根元部の高さ位置が最も高い末端フィンと直線状に並ぶように設けられることを特徴とする請求項1に記載のモータケーシング。
【請求項3】
前記中間フィンは、前記負荷側取付座部又は前記反負荷側取付座部に接続される接続端部を有し、
前記第1組の取付座部を鉛直方向に対して横向きにした状態を基準として、
前記第1組の取付座部間に設けられる前記中間フィンのうち、最も鉛直上側に設けられる中間フィンの接続端部の上方に臨む外側面には、鉛直上方に向かうにつれて該取付座部に近づくような傾斜面が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のモータケーシング。
【請求項4】
前記第1組の取付座部を鉛直方向に対して横向きにした状態を基準として、
前記第1組の取付座部間に設けられる前記中間フィンのうち、最も鉛直上側に設けられる中間フィンの上方に臨む外側面には、該中間フィンの根元部から先端部に向かうにつれて、所定の水平面に対して下り傾斜となるような勾配が設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のモータケーシング。
【請求項5】
前記第1組の取付座部を鉛直上向きにした状態を基準として、
前記第1組の取付座部に接続される前記複数の末端フィンは、所定の水平面に対するそれぞれの根元部の高さ位置が異なっており、前記根元部の高さ位置が低いものほど先端部の高さ位置が低くなるように設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のモータケーシング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータケーシングに関し、特に、脚部材を取り付け可能な複数の取付座部を有するモータケーシングに関する。
【背景技術】
【0002】
モータケーシングのケーシング本体には、ボルトを固定するための座部を設けることがある。この座部は、特許文献1のように、吊りボルトを固定するために用いられることもあれば、ボルトにより脚部材を取り付けるために用いられることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−131566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、モータの諸性能を確保するうえでは、モータケーシング内のモータ内部機構から生じる熱を効率よく放熱することが要求される。このような要求を満たすうえで、ケーシング本体の外周面には、通常、放熱を促進するための複数本のフィンが設けられる。
【0005】
ここで、前述のように、ケーシング本体に座部を設ける場合、可能な限り多くの本数のフィンを設けるため、フィンを座部に連ねるように接続することがある。しかしながら、詳細は後述するが、本発明者は、複数本のフィンが座部に接続されると、フィンと座部により囲まれる空間部に水だまりが生じ易くなるという知見を得た。モータは、屋外のような環境の他に、屋内でも水を取り扱う工場等の環境で用いる場合があり、このような環境で用いるうえでは、水だまりの発生を抑えることが求められる。
【0006】
本発明は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、多くの本数のフィンを確保しつつ、水だまりの発生を抑え易くできるモータケーシングを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様はモータケーシングに関し、脚部材を取り付け可能な複数個の取付座部を有するモータケーシングであって、前記複数個の取付座部には、第1組の取付座部と、前記第1組の取付座部に対して周方向に離れて設けられる第2組の取付座部とが含まれ、前記第1組の取付座部及び前記第2組の取付座部のそれぞれには、軸方向に離れた負荷側取付座部と反負荷側取付座部とが含まれ、前記負荷側取付座部には、該負荷側取付座部より負荷側に延びる複数本の負荷側末端フィンが接続され、前記反負荷側取付座部には、該反負荷側取付座部より反負荷側に延びる複数本の反負荷側末端フィンが接続され、前記負荷側取付座部と前記反負荷側取付座部の間には前記軸方向に延びる一本のみの中間フィンが設けられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、多くの本数のフィンを確保しつつ、水だまりの発生を抑え易くできるモータケーシングを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るモータの部分断面側面図である。
図2図1の方向Vd1から見た図である。
図3図2の方向Vd2から見たケーシング本体の斜視図である。
図4図2の方向Vd3から見たケーシング本体の斜視図である。
図5】実施形態に係るケーシング本体の正面図である。
図6図1のA−A線断面でのケーシング本体を示す図である。
図7図7(a)は第1参考例に係るケーシング本体を示す平面図であり、図7(b)は実施形態に係るケーシング本体を示す平面図である。
図8図8(a)は実施形態に係るケーシング本体を示す平面図であり、図8(b)は第2参考例に係るケーシング本体を示す平面図である。
図9】実施形態に係るモータケーシングに関して、上側の組の取付座部を右向きにした状態で用いる場合を示す側面図である。
図10】実施形態に係るモータケーシングに関して、上側の組の取付座部を右向きにした状態で用いる場合を示す図であり、図10(a)は中間フィンを示す断面図であり、図10(b)は負荷側末端フィンを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態,変形例では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略する。
【0011】
図1は本実施形態に係るモータ10を示す部分断面側面図であり、図2図1の方向Vd1から見た図である。
モータ10はかご形誘導電動機である。モータ10は、外殻となるモータケーシング12と、モータケーシング12を外部部材14に据え付けるための脚部材16とを備える。モータケーシング12には、回転子及び固定子(不図示)と、回転軸18の一部とが収容される。外部部材14は、モータケーシング12の据え付け相手となる床面等の外部構造体である。
【0012】
モータケーシング12は、図1に示すように、筒状のケーシング本体20と、ケーシング本体20の軸方向両側の開口部を塞ぐ一対のブラケット22とを備える。モータケーシング12は、アルミ、鋳鉄等の金属製である。
【0013】
以下、モータケーシング12の位置関係を説明するとき、ケーシング本体20の軸方向を方向X、軸方向Xと直交する水平方向をケーシング本体20の左右方向Y、これらと直交する方向をケーシング本体20の高さ方向Zとして説明する。また、軸方向Xに関して、回転軸18の負荷側端部18a(後述する)がある側を負荷側Xaとし、負荷側Xaとは反対側を反負荷側Xbとして説明する。なお、左右方向Yは、外部部材14の据付面14a(後述する)と平行であり、高さ方向Zは据付面14aと直交する。本実施形態においては、据付面14aが水平面とされ、高さ方向Zが鉛直方向となる。
【0014】
一対のブラケット22には軸受(不図示)が組み付けられ、回転軸18は軸受により回転自在に支持される。回転軸18の一端部18aはブラケット22から外側に突出する。回転軸18の一端部18aには動力出力対象となる相手機械24が接続される。回転軸18の一端部18aは、相手機械24から負荷が付与される負荷側端部18aとなる。相手機械24は、駆動対象となる被駆動装置でもよいし、被駆動装置に動力を伝達するための減速機等の動力伝達装置でもよい。
【0015】
回転軸18の負荷側端部18aとは反対側の反負荷側端部18bはブラケット22から外側に突出する。反負荷側端部18bには冷却ファン26が装着される。モータケーシング12には冷却ファン26を覆うファンカバー28が取り付けられる。ファンカバー28は有底筒状に形成され、負荷側Xaに向けて開放する導出口28aが形成される。冷却ファン26は回転軸18と一体に回転し、その回転により空気流を発生させる。この空気流はファンカバー28の導出口28aを通して負荷側Xaに向けて流れる。
【0016】
脚部材16は、アルミ、鋳鉄等の金属製である。脚部材16は、図1図2に示すように、外部部材14に固定するための複数の外部固定部16aと、ケーシング本体20に固定される複数の被固定部16bとを有する。複数の外部固定部16aは左右方向Yに離れて設けられるとともに、軸方向Xにも離れて設けられる。各外部固定部16aには第1ボルトB1が挿通される。各外部固定部16aは据え付け相手となる外部部材14の据付面14aに当接された状態で、第1ボルトB1により外部部材14に締結されることで据え付けられる。
【0017】
複数の被固定部16bは、後述する一組の取付座部36を構成する複数個の取付座部36A、36Bのそれぞれに対応する位置に設けられる。各被固定部16bには第2ボルトB2が挿通される。各被固定部16bは複数個の取付座部36A、36Bとの間で対向する面同士を当接させた状態で、第2ボルトB2によりケーシング本体20に締結されることで固定される。
【0018】
図3図2の方向Vd2から見たケーシング本体20の斜視図であり、図4図2の方向Vd3から見たケーシング本体20の斜視図である。
ケーシング本体20は、図2図4に示すように、回転軸18周りに設けられる四つの側面部30−1〜30−4を有する。複数の側面部30−1〜30−4は回転軸18を上下左右の四方から取り囲むように設けられる。複数の側面部30−1〜30−4には、上側面部30−1(第1側面部)と、上側面部30−1とは回転軸18を挟んだ逆側(下側)に設けられる下側面部30−2(第2側面部)と、上側面部30−1に対して右側に設けられる右側面部30−3(第3側面部)と、上側面部30−1に対して左側に設けられる左側面部30−4(第4側面部)とが含まれる。左側面部30−4には端子箱32(図2参照)を取り付けるための端子箱用座部34が設けられる。端子箱32には、固定子等のモータ内部機構に電力を供給するためのケーブルが接続される。以下、複数の側面部30−1〜30−4を区別しないときは、符号の末尾の「−1〜−4」の記載を省略する。
【0019】
ケーシング本体20は、脚部材16を取り付け可能な複数個の取付座部36A、36Bを有する。複数個の取付座部36A、36Bは、複数個(4個)の取付座部36A、36Bを一単位の組とし、各組が周方向に離れて設けられる複数組(3組)の取付座部36A、36Bを含む。複数組の取付座部36A、36Bは、複数の側面部30−1〜30−3の何れかに対応して設けられる。複数組の取付座部36A、36Bには、上側面部30−1に対応する上側の組の取付座部36A−1、36B−1(第1組の取付座部)と、下側面部30−2に対応する下側の組の取付座部36A−2、36B−2(第2組の取付座部)と、右側面部30−3に対応する右側の組の取付座部36A−3、36B−3(第3組の取付座部)とが含まれる。以下、複数個の取付座部36が属する組を区別しないときは、符号の末尾の「−1〜−3」の記載を省略する。また、一組の取付座部36の中には後述する負荷側取付座部36A、反負荷側取付座部36Bが含まれるが、これらを区別しないときは、単に「取付座部36」という。
【0020】
複数組の取付座部36の各組は、ケーシング本体20を外部部材14に据え付けるうえで、外部部材14に対するケーシング本体20の端子箱用座部34の位置を変更し、ケーシング本体20から端子箱32が突出する向きを変更するためにある。言い換えると、複数組の取付座部36の各組は、外部部材14に対してケーシング本体20を異なる向きで据え付け可能とするためにある。
【0021】
たとえば、図2に示すように、ケーシング本体20の左側に端子箱用座部34を配置し、ケーシング本体20から端子箱32が突出する向きを左向きにする場合、下側面部30−2を下向きにした状態で、下側の組の取付座部36A−2、36B−2を用いて外部部材14に据え付ける。また、図示しないが、ケーシング本体20の上側に端子箱用座部34を配置し、ケーシング本体20から端子箱32が突出する向きを上向きにする場合、右側面部30−3を下向きにした状態で、右側の組の取付座部36A−3、36B−3を用いて外部部材14に据え付ける。ケーシング本体20を外部部材14に据え付けるうえで、端子箱32の突出する向きを特定の向きにした場合に、相手機械24等の周辺構造と端子箱32が干渉するケースがある。このケースでも、外部部材14に対するケーシング本体20の向きを変更し、端子箱32の突出する向きを他の向きにすることで、周辺構造と端子箱32の干渉を防ぎ、ケーシング本体20を外部部材14に据え付け可能となる。
【0022】
なお、本実施形態では、合計3組の取付座部36があるため、何れかの組の取付座部36を下向きにした状態で、その組の取付座部36を用いて外部部材14に据え付けることで、ケーシング本体20の上側、左側、右側の何れかに端子箱用座部34を配置できる。以下では、特定の組の取付座部36に取り付けられる脚部材16を介して外部部材14に据え付ける場合、単に、「特定の組の取付座部36を用いて据え付ける場合」とのみ記載する。
【0023】
一組の取付座部36を構成する各取付座部36A、36Bは、その組に対応する側面部30から同方向に突出するような円形の柱状に形成される。各取付座部36A、36Bは、第2ボルトB2用の雌ねじ穴38を加工可能である。上側の組の取付座部36−1を構成する各取付座部36A−1、36B−1のうち、負荷側取付座部36A−1(後述する)には予め雌ねじ穴38が加工される。右側の組の取付座部36A−3、36B−3も同様である。下側の組の取付座部36−2を構成する各取付座部36A−2、36B−2は、すべての取付座部36A−2、36B−2に予め雌ねじ穴38が加工される。
【0024】
一組の取付座部36には、図3に示すように、ケーシング本体20の軸方向Xに離れて設けられる二つの第1取付座部36A、36Bと、二つの第1取付座部36A、36Bから周方向に離れて設けられる二つの第2取付座部36A、36Bとが含まれる。一組の取付座部36は、これら4つを一組として設けられる。
【0025】
図5はケーシング本体20の正面図である。本図では、上側の組の取付座部36−1を鉛直上向きにした状態で、下側の組の取付座部36−2を用いて据え付ける場合を基準としている。このとき、上側の組の取付座部36−1を構成する第1取付座部36A−1、36B−1は、ケーシング本体20を軸方向Xから見て、その軸心20cに対して左右方向Yの一方(図示は右側)にずれた位置に設けられ、第2取付座部36A−1、36B−1は、その軸心20cに対して左右方向Yの他方(図示は左側)にずれた位置に設けられる。他の組の取付座部36−2、36−3に関しても、これらを上向きにした状態で据え付ける場合、同様のことがいえる。なお、本明細書において「組の取付座部36−1の向き」とは、ケーシング本体20から組の取付座部36−1が突出する向きをいう。
【0026】
図3図4に戻り、第1取付座部36A、36B及び第2取付座部36A、36Bのそれぞれには、軸方向に離れた負荷側取付座部36Aと反負荷側取付座部36Bとが含まれる。負荷側取付座部36A及び反負荷側取付座部36Bは、ケーシング本体20の軸方向Xに並ぶように設けられる。
【0027】
ケーシング本体20の外周面には複数本のフィン40A〜40Dが接続される。複数本のフィン40A〜40Dはケーシング本体20の軸方向Xに沿って直線状に伸びるように設けられる板状部材である。複数本のフィン40A〜40Dは、複数本のフィン40A〜40Dを一単位の組として、各組が周方向に離れて設けられる複数組のフィン40A〜40Dを含む。複数組のフィン40A〜40Dは、複数の側面部30−1〜30−3の何れかに対応するとともに、複数組の取付座部36−1〜36−3の何れかの組に対応して設けられる。
【0028】
複数組のフィン40A〜40Dには、上側面部30−1及び上側の組の取付座部36−1に対応する上側の組のフィン40A−1〜40D−1(第1組のフィン)と、下側面部30−2及び下側の組の取付座部36−2に対応する下側の組のフィン40A−2〜40D−2(第2組のフィン)と、右側面部30−3及び右側の組の取付座部36−3に対応する右側の組のフィン40A−3〜40D−3(第3組のフィン)とが含まれる。以下、複数本のフィン40A〜40Dが属する組を区別しないときは、符号の末尾の「−1〜−4」の記載を省略する。また、一組のフィン40A〜40Dには、後述する末端フィン40A、40B、中間フィン40C等が含まれるが、これらを区別しないときは、単に「フィン40」という。
【0029】
なお、ケーシング本体20の外周面には、左側面部30−4に対応して複数本のフィン40Eが設けられる。
【0030】
一組のフィン40A〜40Dには、これらに対応する組の取付座部36A、36Bの何れかに接続される複数本の外側フィン40A〜40Cが含まれる。また、一組のフィン40A〜40Dには、第1取付座部36A、36Bに接続される外側フィン40A〜40Cと、第1取付座部36A、36Bに対して周方向に隣り合う第2取付座部36A、Bに接続される外側フィン40A〜40Cとの間に設けられる複数本の内側フィン40Dが含まれる。外側フィン40A〜40Cと内側フィン40Dの間や、複数の内側フィン40Dの間には軸方向Xに沿って直線状に風路42が形成される。風路42は冷却ファン26により生じる空気流を反負荷側Xbから負荷側Xaに導くためにある。
【0031】
負荷側取付座部36Aには、負荷側取付座部36Aより負荷側Xaに延びる二本の負荷側末端フィン40Aが接続される。反負荷側取付座部36Bには、反負荷側取付座部36Bより反負荷側Xbに延びる二本の反負荷側末端フィン40Bが接続される。複数本の負荷側末端フィン40A間には負荷側隙間空間44Aが形成される。負荷側隙間空間44Aは負荷側Xaに開放するように形成される。複数本の反負荷側末端フィン40B間には反負荷側隙間空間44Bが形成される。反負荷側隙間空間44Bは反負荷側Xbに開放するように形成される。
【0032】
軸方向Xに隣り合う負荷側取付座部36Aと反負荷側取付座部36Bとの間には軸方向Xに延びる一本のみの中間フィン40Cが設けられる。中間フィン40Cは、負荷側取付座部36A及び反負荷側取付座部36Bのそれぞれに接続される。負荷側取付座部36A及び反負荷側取付座部36Bの間には他の中間フィン40Cは設けられない。
【0033】
図6図1のA−A線断面でのケーシング本体20を示す図である。
ケーシング本体20の外側には、図3図4図6に示すように、軸方向Xに隣り合う負荷側取付座部36A及び反負荷側取付座部36Bと、中間フィン40Cとにより囲まれる開放空間部46が形成される。開放空間部46は、ケーシング本体20の径方向外側に開放する。また、開放空間部46は、ケーシング本体20の周方向の一方に開放する。より詳細には、上側の組の取付座部36A−1、36B−1を鉛直上向きにした状態で、下側の組の取付座部36A−2、36B−2を用いて据え付ける場合を基準とする。上側の組の取付座部36を構成する取付座部36A、36Bと中間フィン40Cにより囲まれる開放空間部46は、図3図6に示すように、ケーシング本体20を軸方向Xから見たとき、ケーシング本体20の軸心20cから左右方向Yに離れる側に開放する。たとえば、軸心20cに対して左右方向Yの一方(図示は右側)にある開放空間部46は、軸心20cから離れる側である右側に開放する。また、軸心20cに対して左右方向Yの他方(図示は左側)にある開放空間部46は、軸心20cから離れる側である左側に開放する。
【0034】
以上のモータケーシング12による作用効果を説明する。
上側の組の取付座部36A−1、36B−1を鉛直上向きにした状態で、下側の組の取付座部36A−2、36B−2を用いて据え付ける場合を基準にする。図7(a)は第1参考例に係るケーシング本体20を示す平面図である。本例のケーシング本体20は、負荷側取付座部36A及び反負荷側取付座部36Bの間に2本の中間フィン40Cが設けられる。このとき、負荷側取付座部36A及び反負荷側取付座部36Bと2本の中間フィン40Cとにより囲まれる開放空間部46は、ケーシング本体20の周方向に開放しておらず、その開放空間部46内の領域S1には水だまりが生じ易くなる。
【0035】
図7(b)は本実施形態に係るケーシング本体20を示す平面図である。本実施形態によれば、負荷側取付座部36A及び反負荷側取付座部36Bの間には一本のみの中間フィン40Cしか設けられないため、開放空間部46に関して、ケーシング本体20の周方向の一方向Paに開放する形状にできる。よって、開放空間部46内に水が付着しても、周方向に開放する方向Paに向けて水が流れ易くなり、開放空間部46内に水だまりが生じ難くなる利点がある。よって、負荷側取付座部36A、36Bに末端フィン40A、40Bや中間フィン40Cを接続して、多くの本数のフィン40A〜40Cを確保しつつ、水だまりの発生を抑え易くできる。ちなみに、本明細書での「水」は、HOで表される一般的な水に限るものではなく、水を含む液体全般が含まれる。
【0036】
なお、末端フィン40A、40B間に形成される隙間空間44A、44Bは負荷側Xa又は反負荷側Xbに開放するため、その隙間空間44A、44Bに入る水は負荷側Xa又は反負荷側Xbの何れかに向かう方向Pdに流れ易くなる。また、外側フィン40A〜40Cと内側フィン40Dの間や、複数の内側フィン40Dの間に形成される風路42は負荷側Xa及び反負荷側Xbの両側に開放するため、その風路42に入る水も負荷側Xa及び反負荷側Xbの両側に向かう方向Peに流れ易くなる。これらが相まって、隙間空間44A、44B内や風路42内には水だまりが生じ難くなる。以上の作用効果は、他の組の取付座部36−2、36−3に関しても、これらを鉛直上向きにした状態で据え付ける場合、同様のことがいえる。
【0037】
本実施形態のモータケーシング12は、このような水だまりの発生を抑える観点から、以下の更なる工夫がある。
図5に示すように、上側の組の取付座部36−1を鉛直上向きにした状態で、下側の組の取付座部36−2を用いて据え付ける場合を基準とする。上側の組のフィン40−1を構成する複数の負荷側末端フィン40A−1は、それぞれの根元部41の高さ位置が異なっている。ここでいう高さ位置とは、所定の水平面に対する高さ方向Zでの位置のことをいう。本実施形態では、外部部材14の据付面14a(図2参照)からの高さ方向Zでの位置となる。ただし、所定の水平面は据付面14aに限定されず、各フィンの根元部41よりも鉛直方向下側で任意に設定すればよい。
【0038】
ケーシング本体20を軸方向Xから見て、上側の組のフィン40−1を構成する複数の負荷側末端フィン40A−1は、左右方向Yに沿ってずれた位置に配置される。また、ケーシング本体20の外周面のうち上側に臨む面領域は、ケーシング本体20の軸心20cから左右方向Yに離れるにつれて、高さ位置が低くなるように設けられる。また、複数の負荷側末端フィン40A−1の根元部41は、ケーシング本体20から左右方向Yに離れるにつれて、その高さ位置が低くなるように設けられる。ケーシング本体20を軸方向Xから見て、上側の組の取付座部36−1を構成する各取付座部36A−1、36B−1の左右方向Yでの中央位置をCpとする。複数の負荷側末端フィン40A−1のうち、根元部41の高さ位置が最も高い負荷側末端フィン40A−1は、負荷側取付座部36A−1の中央位置Cpよりもケーシング本体20の軸心20cに左右方向位置が近い側に配置される。たとえば、図5の範囲Sbでは、根元部41の高さ位置が最も高い負荷側末端フィン40A−1(図中左側の末端フィン40A−1)は、中央位置Cpよりもケーシング本体20の軸心20cに左右方向位置が近い側である左側に配置される。複数の反負荷側末端フィン40B−1も同様である。
【0039】
図8(a)は図5の範囲Sbを上側から見た図である。
上側の組の負荷側取付座部36A−1と、反負荷側取付座部36B−1との間に設けられる中間フィン40C−1は、前述の複数の末端フィン40A−1、40B−1のうち、根元部41の高さ位置が最も高い末端フィン40A−1、40B−1(本図では左側の末端フィン40A−1、40B−1)と直線状に並ぶように設けられる。中間フィン40Cは、取付座部36A−1、36B−1の中央位置Cpよりもケーシング本体20の軸心20cに左右方向位置が近い側(本図では左側)に配置される。
【0040】
この利点を説明する。
図5に示すように、上側の組の取付座部36A−1、36B−1を鉛直上向きにする場合、ケーシング本体20の外周面のうち上側に臨む面領域に付着する水は、高さ位置の高い側から低い側に向けて流下しようとする。本実施形態でいえば、図5の範囲Sbでは、ケーシング本体20の軸心20cから離れる右側に向かう方向Pbに向けて流下しようとする。ここで、図8(b)に示すように、複数の末端フィン40A−1、40B−1のうち、根元部41の高さ位置が低い他の末端フィン40A−1、40B−1(図中右側の末端フィン40A−1、40B−1)と直線状に並ぶように中間フィン40Cを設ける場合、中間フィン40C−1より高位置側の領域S5にて、負荷側取付座部36A−1と反負荷側取付座部36B−1の間に流下する水が貯まり易くなる。
【0041】
図8(a)に示すように、複数の末端フィン40A−1、40B−1のうち、根元部41の高さ位置が最も高い末端フィン40A−1、40B−1(図中左側の末端フィン40A−1、40B−1)と直線状に並ぶように中間フィン40C−1を設ける場合を考える。この場合、図8(b)の例よりも、中間フィン40C−1より高位置側の領域S5にて、負荷側取付座部36A−1と反負荷側取付座部36B−1の間に流下する水が多く貯まり難くなる。また、このとき、開放空間部46は、ケーシング本体20の外周面において高位置側から低位置側に向かう方向Pa、つまり、ケーシング本体20の外周面に付着する水が流れる方向Paに開放する。この方向Paは、ケーシング本体20の軸心20cから左右方向Yに離れる側の方向でもある。従って、開放空間部46内に水が付着した場合でも、その水は開放空間部46内に貯まらずに低位置側に向けて流下し易くなる。これらが相まって、中間フィン40Cの周りにて水だまりを生じ難くできる。
【0042】
なお、図6に示すように、上側の組のフィン40−1を構成する中間フィン40C−1に対して、軸心20cから左右方向Yに離れる側に隣り合う右側の組のフィン40−3を構成する中間フィン40C−3や、左側の組のフィン40E(図6参照)は略水平に設けられる。これにより、前述の開放空間部46から低位置側に向けて水が流下したとき、その水が中間フィン40C−3やフィン40Eの根元部41側に貯まり難くなり、各フィン40C−3、40Eの先端部43側から流下させるように水を導きやすくなる。
【0043】
図9は、上側の組の取付座部36−1を右向き、つまり、鉛直方向に対して横向きにした状態で、右側の組の取付座部36−3を用いて据え付ける場合のケーシング本体20を示す。
この場合を基準として、上側の組の取付座部36−1を構成する第1取付座部36A−1、36B−1及び第2取付座部36A−1、36B−1間に設けられる中間フィン40C−1のうち、最も鉛直上側にある中間フィン40C−1に着目する。この中間フィン40C−1は、負荷側取付座部36A−1及び反負荷側取付座部36B−1のそれぞれに接続される接続端部40Caを有する。この中間フィン40C−1の接続端部40Caの上方に臨む外側面には、鉛直上方に向かうにつれて接続相手となる負荷側取付座部36A又は反負荷側取付座部36Bに近づくような傾斜面40Cbが形成される。この傾斜面40Cbは、本実施形態では、鉛直上方に向かうにつれて接続相手となる取付座部36A、36Bに近づくように凹状の円弧状に形成されるが、直線状等に形成されてもよい。
【0044】
この利点を説明する。
ケーシング本体20の外周面を上側から下側にかけて水が流下する場合を考える。中間フィン40C−1の接続端部40Caまで水が流下したとき、中間フィン40C−1に傾斜面40Cbが形成されていないと、中間フィン40Cの接続端部40Caと取付座部36A−1、36B−1の間の奥まった箇所に水が貯まったまま流れ難くなる。この点、本実施形態では、中間フィン40C−1の接続端部40Caまで流下した水が傾斜面40Cbにより、中間フィン40C−1の接続端部40Caから中間部40Ccに向かう方向Pcに導かれ易くなる。この結果、中間フィン40C−1の中間部40Ccまで流下して中間フィン40C−1から下側に流れ落ちる水と合流し易くなり、中間フィン40C−1上に水が貯まり易くなるのを防止できる。
【0045】
なお、本実施形態のモータケーシング12は、以下の点でも特徴がある。
図5に示すように、上側の組の取付座部36A−1、36B−1を鉛直上向きにした状態で、下側の組の取付座部36A−2、36B−2を用いて据え付ける場合を基準とする。このとき、上側の組の取付座部36A−1、36B−1に接続される複数の末端フィン40A−1、40B−1は、それぞれの根元部41の高さ位置が異なっており、根元部41の高さ位置が低いものほど先端部43の高さ位置が低くなるように設けられる。
【0046】
また、本実施形態のモータケーシング12は、以下の点にも更なる特徴がある。
図10(a)は、図9の例と同様、上側の組の取付座部36−1を右向き、つまり、鉛直方向に対して横向きにした状態で、右側の組の取付座部36−3を用いて外部部材14の据付面14a(水平面)に据え付ける場合の中間フィン40C−1を示す断面図である。本図では、上側の組の取付座部36−1を構成する複数の取付座部36間に設けられる中間フィン40C−1のうち、最も鉛直上側にある中間フィン40C−1を示す。この状態を基準にして、この中間フィン40C−1の上方に臨む外側面48には、根元部41から先端部43に向かうにつれて、所定の水平面に対して下り傾斜となるような勾配が設けられる。本実施形態での所定の水平面とは据付面14a(図2参照)であるが、ここでは、説明のため、水平面と平行な仮想面Hpを図示する。前述の内容を換言すると、中間フィン40C−1よりも鉛直下側に所定の水平面を設定したときに、その外側面48は、根元部41から先端部43に向かうにつれて、水平面との間の距離が小さくなるように勾配がつけられている。
【0047】
この利点は以下の通りである。上側の組の取付座部36−1を鉛直方向に対して横向きにした状態でケーシング本体20を外部部材14の据付面14aに据え付ける場合を考える。この場合に、中間フィン40C−1の外側面48に水が付いたとき、その勾配により低位置側である先端部43に向かう方向Pfに水を流下させ易くなり、その先端部43から下方に排水し易くなる。この結果、中間フィン40C−1上に水が貯まるのを防止できる。なお、本図に示す中間フィン40C−1以外の他のフィン40C−1にも同様の勾配が設けられる。
【0048】
図10(b)は、図10(a)と同様の状態にあるときの負荷側末端フィン40A−1を示す正面図である。本図では、上側の組の負荷側取付座部36A−1に接続される負荷側末端フィン40A−1を示す。この状態を基準にして、この負荷側末端フィン40A−1の上方に臨む外側面48にも、根元部41から先端部43に向かうにつれて、所定の水平面に対して下り傾斜となるような勾配が設けられる。これにより、前述と同様の理由により、負荷側末端フィン40A−1上に水が貯まるのを防止できる。なお、図示はしないが、上側の組の負荷側取付座部36A−1に接続される反負荷側末端フィン40B−1の上方に臨む外側面にも同様の勾配が設けられる。
【0049】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示すにすぎない。また、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能である。
【0050】
複数組の取付座部36は三組設けられる例を説明したが、少なくとも二組以上設けられていればよく、四組以上設けられてもよい。一組の取付座部36に含まれる取付座部36の数は四つである例を説明したが、負荷側取付座部36Aと反負荷側取付座部36Bとの少なくとも二つがあればよい。複数本の末端フィン40A、40Bは、一つの取付座部36に対して二本接続される例を説明したが、三本以上接続されてもよい。
【0051】
また、前述の中間フィン40C−1の傾斜面40Cbは、一組の取付座部36を構成する負荷側取付座部36Aと反負荷側取付座部36Bの間に設けられる中間フィン40C−1のうち、最も上側に設けられる中間フィン40C−1の上方に臨む外側面に形成される例を説明した。ここでいう「最も上側に設けられる中間フィン40C−1」は、一組の取付座部36に対応する中間フィン40C−1が複数本ある場合、その複数本の中で最も上側に設けられる中間フィン40C−1のことを意味し、一本しかない場合、その一本の中間フィン40C−1のことを意味する。
【符号の説明】
【0052】
10…モータ、12…モータケーシング、14…外部部材、16…脚部材、36A−1、36B−1…上側の組の取付座部(第1組の取付座部)、36A−2、36B−2…下側の組の取付座部、36A…負荷側取付座部、36B…反負荷側取付座部、40A…負荷側末端フィン、40B…反負荷側末端フィン、40C…中間フィン、40Ca…接続端部、40Cb…傾斜面、41…根元部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10