特許第6377103号(P6377103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6377103飛行経路設定装置、飛行経路設定方法及び飛行経路設定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6377103
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】飛行経路設定装置、飛行経路設定方法及び飛行経路設定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/20 20060101AFI20180813BHJP
   B64D 45/00 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   G01C21/20
   B64D45/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-139964(P2016-139964)
(22)【出願日】2016年7月15日
(65)【公開番号】特開2018-9910(P2018-9910A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2017年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】原田 信一
(72)【発明者】
【氏名】黒柳 知志
(72)【発明者】
【氏名】友永 行信
【審査官】 久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0180718(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02031350(EP,A1)
【文献】 特開2014−016264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00−21/36
23/00−25/00
B64D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の地点を含んで構成される航空機の飛行経路を設定する飛行経路設定装置であって、
前記飛行経路を表示する表示手段と、
ユーザ操作に基づいて、前記表示手段に表示された前記複数の地点のうちいずれか一の地点を選択する選択手段と、
前記一の地点の周囲の領域であって、前記飛行経路上における当該一の地点の次の地点を設定できない設定不可範囲を、前記航空機の飛行性能及び周辺環境に基づいて算出する範囲算出手段と、
前記範囲算出手段により算出された前記一の地点に関する前記設定不可範囲を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
ユーザ操作に基づいて前記一の地点を移動させる移動手段と、
前記移動手段により前記一の地点が移動されたときであって、前記範囲算出手段により算出された前記一の地点に関する前記設定不可範囲内に前記次の地点が配置されていた場合に、前記設定不可範囲の境界上の位置であって、当該次の地点と前記飛行経路上におけるさらにその次の地点との距離が最短となる位置に、当該次の地点を移動させる位置調整手段と、
を備えることを特徴とする飛行経路設定装置。
【請求項2】
複数種類の機体の飛行性能を記憶する記憶手段を備え、
前記範囲算出手段は、前記航空機に対応する機体の飛行性能を前記記憶手段から読み出して、前記設定不可範囲を算出することを特徴とする請求項1に記載の飛行経路設定装置。
【請求項3】
前記表示手段は、ユーザによるタッチ操作を受け付け可能なタッチパネルと一体的に構成されたディスプレイであることを特徴とする請求項1又は2に記載の飛行経路設定装置。
【請求項4】
複数の地点を含んで構成される航空機の飛行経路を設定する飛行経路設定方法であって、
表示手段を備える飛行経路設定装置が、
前記飛行経路を前記表示手段に表示させる表示工程と、
ユーザ操作に基づいて、前記表示手段に表示された前記複数の地点のうちいずれか一の地点を選択する選択工程と、
前記一の地点の周囲の領域であって、前記飛行経路上における当該一の地点の次の地点を設定できない設定不可範囲を、前記航空機の飛行性能及び周辺環境に基づいて算出する範囲算出工程と、
前記範囲算出工程で算出された前記一の地点に関する前記設定不可範囲を前記表示手段に表示させる表示制御工程と、
ユーザ操作に基づいて前記一の地点を移動させる移動工程と、
前記移動工程で前記一の地点が移動されたときであって、前記範囲算出工程で算出された前記一の地点に関する前記設定不可範囲内に前記次の地点が配置されていた場合に、前記設定不可範囲の境界上の位置であって、当該次の地点と前記飛行経路上におけるさらにその次の地点との距離が最短となる位置に、当該次の地点を移動させる位置調整工程と、
を実行することを特徴とする飛行経路設定方法。
【請求項5】
複数の地点を含んで構成される航空機の飛行経路を設定する飛行経路設定プログラムであって、
表示手段を備える飛行経路設定装置に、
前記飛行経路を前記表示手段に表示させる表示機能と、
ユーザ操作に基づいて、前記表示手段に表示された前記複数の地点のうちいずれか一の地点を選択する選択機能と、
前記一の地点の周囲の領域であって、前記飛行経路上における当該一の地点の次の地点を設定できない設定不可範囲を、前記航空機の飛行性能及び周辺環境に基づいて算出する範囲算出機能と、
前記範囲算出機能により算出された前記一の地点に関する前記設定不可範囲を前記表示手段に表示させる表示制御機能と、
ユーザ操作に基づいて前記一の地点を移動させる移動機能と、
前記移動機能により前記一の地点が移動されたときであって、前記範囲算出機能により算出された前記一の地点に関する前記設定不可範囲内に前記次の地点が配置されていた場合に、前記設定不可範囲の境界上の位置であって、当該次の地点と前記飛行経路上におけるさらにその次の地点との距離が最短となる位置に、当該次の地点を移動させる位置調整機能と、
を実現させることを特徴とする飛行経路設定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行経路上の地点を配置して当該飛行経路を設定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、航空機の飛行経路を設定する手法として、経由するウェイポイントの配置によるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような経路設定では、機体の飛行性能を考慮してスムーズに飛行可能なようにウェイポイント間の距離を設定したり、地形等の周辺環境を考慮して飛行高度を決めたりすることで、各ウェイポイントが配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3557445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の経路設定手法では、経路設定者が機体の飛行性能や周辺環境を考慮したうえで各ウェイポイントを適切に配置する必要があった。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたもので、簡便に飛行経路上の地点を配置して飛行経路を設定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、複数の地点を含んで構成される航空機の飛行経路を設定する飛行経路設定装置であって、
前記飛行経路を表示する表示手段と、
ユーザ操作に基づいて、前記表示手段に表示された前記複数の地点のうちいずれか一の地点を選択する選択手段と、
前記一の地点の周囲の領域であって、前記飛行経路上における当該一の地点の次の地点を設定できない設定不可範囲を、前記航空機の飛行性能及び周辺環境に基づいて算出する範囲算出手段と、
前記範囲算出手段により算出された前記一の地点に関する前記設定不可範囲を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
ユーザ操作に基づいて前記一の地点を移動させる移動手段と、
前記移動手段により前記一の地点が移動されたときであって、前記範囲算出手段により算出された前記一の地点に関する前記設定不可範囲内に前記次の地点が配置されていた場合に、前記設定不可範囲の境界上の位置であって、当該次の地点と前記飛行経路上におけるさらにその次の地点との距離が最短となる位置に、当該次の地点を移動させる位置調整手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の飛行経路設定装置において、
複数種類の機体の飛行性能を記憶する記憶手段を備え、
前記範囲算出手段は、前記航空機に対応する機体の飛行性能を前記記憶手段から読み出して、前記設定不可範囲を算出することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の飛行経路設定装置において、
前記表示手段は、ユーザによるタッチ操作を受け付け可能なタッチパネルと一体的に構成されたディスプレイであることを特徴とする。
【0010】
請求項4及び請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の飛行経路設定装置と同様の特徴を具備する飛行経路設定方法及び飛行経路設定プログラムである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、表示手段に表示された複数の地点のなかから一の地点をユーザが選択すると、この一の地点の周囲の領域であって飛行経路上における次の地点を設定できない設定不可範囲が、航空機の飛行性能及び周辺環境に基づいて算出され、表示手段に表示される。
これにより、ユーザは次の地点を設定できない領域を速やかに認識して、当該次の地点を好適に配置することができる。したがって、経路設定者が機体の飛行性能や周辺環境を考慮する必要があった従来に比べ、簡便に飛行経路上の地点を配置して飛行経路を設定することができる。
【0012】
また、ユーザにより一の地点が移動されたときに、この一の地点に関する設定不可範囲内に次の地点が配置されていると、この設定不可範囲の境界上の位置であって、当該次の地点とさらにその次の地点との距離が最短となる位置に、当該次の地点が移動される。
したがって、ユーザによる移動操作に伴ってこの移動に影響されるその次の地点の位置が自動的に調整されるため、より簡便に飛行経路上の地点を配置して飛行経路を設定することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、複数種類の機体の飛行性能が記憶された記憶手段から、経路設定対象である航空機に対応する機体の飛行性能が読み出されて設定不可範囲が算出される。
したがって、各機体で異なる飛行性能を適切に考慮して設定不可範囲を算出することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、表示手段がタッチパネルと一体的に構成されたディスプレイであるので、ユーザはこのディスプレイに対するタッチ操作により、さらに簡便に飛行経路上の地点を配置して飛行経路を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態における無人機操作端末の外観図である。
図2】実施形態における無人機操作端末の機能構成を示すブロック図である。
図3】実施形態における無人機の概略構成を示すブロック図である。
図4】飛行経路設定処理を説明するための図である。
図5】飛行経路設定処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る飛行経路設定装置を無人機操作端末に適用した場合の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
[無人機操作端末の構成]
まず、本実施形態における無人機操作端末1の構成について説明する。
図1は、無人機操作端末1の外観図であり、図2は、無人機操作端末1の機能構成を示すブロック図である。
無人機操作端末1は、後述の無人機(無人航空機)30を操作可能な端末であり、本実施形態においては、複数の地点を含んで構成される無人機30の飛行経路を設定可能なものである。
この無人機操作端末1は、図1に示すように、タブレット型の携帯情報端末であり、ディスプレイ110を備えている。
【0018】
ディスプレイ110は、無人機操作端末1の前面に配置された表示画面であり、ユーザによる操作に応じた文字や符号等、各種データを表示する。このディスプレイ110は、LCD(Liquid Crystal Display)やELD(Electronic Luminescence Display)等によって構成されている。
また、ディスプレイ110は、いわゆるタッチパネル120(図2参照)と一体的に構成されており、ユーザによるタッチ操作を受け付け可能となっている。
【0019】
より詳しくは、図2に示すように、無人機操作端末1は、表示部11、入力部12、通信部14、記憶部16、CPU(Central Processing Unit)18を備え、各部がバスで相互にデータ通信可能に接続されて構成されている。
【0020】
表示部11は、ディスプレイ110を備えており、CPU18から入力される表示信号に基づいて各種情報をディスプレイ110に表示する。
入力部12は、タッチパネル120を備えており、タッチ操作されたタッチパネル120上の位置等に対応する信号をCPU18に出力する。
【0021】
通信部14は、無線通信により通信ネットワークに接続可能であるほか、無人機30との間で通信を行い、互いに各種信号を送受信可能となっている。
【0022】
記憶部16は、無人機操作端末1の各種機能を実現するためのプログラムやデータを記憶するとともに、CPU18の作業領域としても機能するメモリである。本実施形態においては、記憶部16は、後述の飛行経路設定処理をCPU18に実行させるための飛行経路設定プログラム160を記憶している。
【0023】
また、記憶部16には、機体性能データ161と、地図データ162とが記憶されている。
機体性能データ161は、無人機30を含む複数種類の機体の飛行性能(速度性能、旋回性能、昇降性能等)に関するデータである。
地図データ162は、山や河川などの地形情報に加え、道路や鉄道,建造物,田畑などの土地の利用状態に関する情報も含めた総合的な地理情報を有するものである。
【0024】
CPU18は、入力される指示に応じて所定のプログラムに基づいた処理を実行し、各機能部への指示やデータの転送等を行い、無人機操作端末1を統括的に制御する。具体的に、CPU18は、入力部12から入力される操作信号等に応じて記憶部16に格納された各種プログラムを読み出し、当該プログラムに従って処理を実行する。そして、CPU18は、処理結果を記憶部16に一時保存するとともに、当該処理結果を表示部11に適宜出力させる。
【0025】
[無人機の構成]
続いて、無人機操作端末1により飛行経路が設定される無人機(無人航空機)30の構成について説明する。
図3は、無人機30の概略構成を示すブロック図である。
【0026】
無人機30は、無人機操作端末1からの制御指令によって飛行制御されるように構成されており、具体的には、図3に示すように、当該無人機30を飛行させる飛行機構31のほか、機体センサー33と、通信部34と、飛行制御部38とを備えている。
【0027】
機体センサー33は、無人機30の飛行状態や外囲情報等を取得するための各種のセンサーであり、レーダー,ジャイロセンサー,速度センサー,GPS(Global Positioning System)、高度センサー等を含んで構成されている。これらの機体センサー33は、飛行制御部38からの制御指令に基づいて各種情報を取得する。
通信部34は、無人機操作端末1や地上(海上及び空中を含む)の管制設備との間で無線通信を行い、互いに各種信号を送受信可能なものである。
飛行制御部38は、飛行機構31を駆動制御して無人機30の飛行を制御したり、通信部34により各種信号を送受信したりして、無人機30の各部を中央制御する。
【0028】
[無人機操作端末の動作]
続いて、飛行経路設定処理を実行する際の無人機操作端末1の動作について説明する。
図4及び図5は、飛行経路設定処理を説明するための図である。
【0029】
飛行経路設定処理は、本実施形態においては、ウェイポイントWPの配置により無人機30の飛行経路を設定する処理であり、離陸前における飛行経路の初期設定は勿論、無人機30の飛行中における飛行経路の変更なども可能な処理である。この飛行経路設定処理は、無人機操作端末1のユーザ(操作員)により当該飛行経路設定処理の実行指示が入力されたときに、CPU18が記憶部16から飛行経路設定プログラム160を読み出して展開することで実行される。
なお、ここでは、5つのウェイポイントWP(WP01〜05)が予め配置されており(図1参照)、このウェイポイントWPを移動させて飛行経路を変更する場合について説明する。
【0030】
飛行経路設定処理が実行されると、まずCPU18は、5つのウェイポイントWPからなる無人機30の飛行経路を、ディスプレイ110に表示させる(図1参照)。
具体的に、ディスプレイ110には、例えば東西及び南北に沿った所定間隔の複数の格子線Lで格子状に区画された水平面が平面表示され、この水平面における飛行経路が表示される。このとき、5つのウェイポイントWPのうちの終点であるWP05は、他のウェイポイントWP01〜04とは区別可能な表示態様(例えば、異なる色や模様)で表示される。また、各ウェイポイントWPの高度を数値で表示させてもよいし、無人機30がこの飛行経路上を飛行中である場合には、当該無人機30のアイコンを飛行位置に表示させてもよい。
【0031】
次に、CPU18は、ユーザ操作に基づいて、5つのウェイポイントWPのうち、移動させるいずれか1つのウェイポイントWPを選択する。
本実施形態では、ユーザによるディスプレイ110(タッチパネル120)へのタッチ操作によって、5つのウェイポイントWPのうちのWP02が選択される。
【0032】
次に、CPU18は、選択されたWP02の周囲の領域であって、その次のウェイポイントWP(WP03)を設定できない設定不可範囲BA(図4等参照)を、速度性能,旋回性能,昇降性能等の無人機30の飛行性能と、僚機の存在や地形等の周辺環境とに基づいて算出する。
より詳しくは、設定不可範囲BAとは、選択されたウェイポイントWP(本実施形態ではWP02)をそこまでの飛行経路に沿って無人機30が通過した場合に、飛行性能や周辺環境に制限されて当該ウェイポイントWPに続いての通過が困難なエリアである。CPU18は、機体性能データ161から無人機30に対応する機体の飛行性能を読み出すとともに、無人機30の機体センサー33や地図データ162から周辺環境の情報を取得し、これら飛行性能と周辺環境とに基づいて、この設定不可範囲BAを三次元の立体範囲として算出する。
なお、以下の記載では、各ウェイポイントWPに関する設定不可範囲BAを、当該ウェイポイントWPの番号を末尾に付した符号を用いて他のものと識別することとする(例えば、WP02に関する設定不可範囲BAの符号は「BA02」)。
【0033】
次に、CPU18は、図4(a)に示すように、算出したWP02に関する設定不可範囲BA02をディスプレイ110に表示させる。
これにより、ユーザは、WP02に続くWP03を設定できない領域を速やかに認識できるため、このWP03を配置する場合には、設定不可範囲BA02外の位置を選択するだけで、無人機30の飛行性能や周辺環境を加味して当該WP03を好適に配置することができる。
なお、図4及び図5では、水平面における設定不可範囲BAを円形で例示しているが、当該設定不可範囲BAの形状は特に限定されない。また、図4及び図5は、特に設定不可範囲BAを分かり易く示した図であって、ディスプレイ110の表示画面を示したものではない。
【0034】
次に、CPU18は、図4(b)に示すように、ユーザ操作に基づいて、選択されたWP02を移動させる。
本実施形態では、CPU18は、WP02に対し、ユーザによるディスプレイ110(タッチパネル120)へのドラッグ操作を受け付けた場合に、このWP02を当該ドラッグ操作に応じてディスプレイ110上で水平移動させる。
このとき、CPU18は、WP02の設定不可範囲BA02を、当該WP02とともにディスプレイ110上で移動させる。またこのとき、WP02の移動に伴って設定不可範囲BA02が変化し得る場合には、CPU18は、WP02の移動先における設定不可範囲BA02を計算し直し、必要に応じてディスプレイ110上での表示を更新する。
【0035】
次に、CPU18は、移動させたWP02の設定不可範囲BA02内にWP03が存在するか否かを判定し、存在しないと判定した場合には、WP03の位置をそのまま保持し、飛行経路を更新する。そして、CPU18は、ディスプレイ110上での位置にWP02を実際に移動させるための制御信号を通信部14により無人機30に送信し、当該無人機30の実際の飛行経路を変更させる。
【0036】
また、移動させたWP02の設定不可範囲BA02内にWP03が存在すると判定した場合、CPU18は、図4(c)に示すように、このWP03をWP02の設定不可範囲BA02内から移動させる。
具体的に、この場合には、CPU18は、図5(a)に示すように、WP02の設定不可範囲BA02の境界上の位置(すなわち、WP02からの距離L32が最短の位置)であって、且つ、WP04からの距離L34が最短となる位置に、WP03をディスプレイ110上で移動させる。
【0037】
次に、CPU18は、WP03の設定不可範囲BA03をWP02のものと同様に算出し、上述したWP03のときと同様に、この設定不可範囲BA03内にWP04が存在しているか否かを判定する。
そして、WP03の設定不可範囲BA03内にWP04が存在していないと判定した場合には、CPU18は、WP04の位置をそのまま保持し、飛行経路を更新する。そして、CPU18は、ディスプレイ110上での位置にWP02,03を実際に移動させるための制御信号を通信部14により無人機30に送信し、当該無人機30の実際の飛行経路を変更させる。
【0038】
一方、WP03の設定不可範囲BA03内にWP04が存在していると判定した場合には、CPU18は、上述したWP03のときと同様にして、WP04の位置を調整する。具体的には、CPU18は、図5(b)に示すように、WP03の設定不可範囲BA03の境界上の位置(すなわち、WP03からの距離L43が最短の位置)であって、且つ、WP05からの距離L45が最短となる位置に、WP04をディスプレイ110上で移動させる。この場合、WP03がその移動に伴ってWP04よりもWP05に近くなるなどしない限り、WP04はWP03とWP05を結ぶ直線上に位置することとなる。
そして、CPU18は、WP04の設定不可範囲BA04をWP02のものと同様に算出し、上述したWP03,04のときと同様に、この設定不可範囲BA04内にWP05が存在しているか否かを判定する。本実施形態においては、WP05はWP04の設定不可範囲BA04内に位置していないため、WP05の位置はそのまま保持される。その後、CPU18は、ディスプレイ110上での位置にWP02〜04を実際に移動させるための制御信号を通信部14により無人機30に送信し、当該無人機30の実際の飛行経路を変更させる。
【0039】
このように、CPU18は、ユーザによるウェイポイントWPの移動に伴って、このウェイポイントWPの設定不可範囲BA内に次のウェイポイントWPが配置されないように、必要に応じて各ウェイポイントWPの位置を飛行経路上の順番に沿って順次調整する。また、この次のウェイポイントWPの位置調整の際には、当該次のウェイポイントWPがその前後のウェイポイントWPとの最短経路上に配置される。
【0040】
[効果]
以上のように、本実施形態によれば、ディスプレイ110に表示された5つのウェイポイントWPのなかから一のウェイポイントWPをユーザが選択すると、この一のウェイポイントWPの周囲の領域であってその次のウェイポイントWPを設定できない設定不可範囲BAが、無人機30の飛行性能及び周辺環境に基づいて算出され、ディスプレイ110に表示される。
これにより、ユーザは次のウェイポイントWPを設定できない領域を速やかに認識して、当該次のウェイポイントWPを好適に配置することができる。したがって、経路設定者が機体の飛行性能や周辺環境を考慮する必要があった従来に比べ、簡便にウェイポイントWPを配置して飛行経路を設定することができる。
【0041】
また、ユーザにより一のウェイポイントWP(WP02)が移動されたときに、この一のウェイポイントWPに関する設定不可範囲BA内に次のウェイポイントWP(WP03)が配置されていると、この設定不可範囲BAの境界上の位置であって、当該次のウェイポイントWPとさらにその次のウェイポイントWP(WP04)との距離が最短となる位置に、当該次のウェイポイントWPが移動される。
したがって、ユーザによるウェイポイントWPの移動操作に伴ってこの移動に影響されるその次のウェイポイントWPの位置が自動的に調整されるため、より簡便にウェイポイントWPを配置して飛行経路を設定することができる。
【0042】
また、複数種類の機体の飛行性能が記憶された記憶部16の機体性能データ161から、経路設定対象である無人機30に対応する機体の飛行性能が読み出されて設定不可範囲BAが算出される。
したがって、各機体で異なる飛行性能を適切に考慮して設定不可範囲BAを算出することができる。
【0043】
また、ディスプレイ110がタッチパネル120と一体的に構成されたものであるので、ユーザはこのディスプレイ110に対するタッチ操作により、さらに簡便にウェイポイントWPを配置して飛行経路を設定することができる。
【0044】
[変形例]
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0045】
例えば、上記実施形態では、ユーザ操作されたWP02の設定不可範囲BA02がディスプレイ110に表示されることとしたが、操作されていない他のウェイポイントWPの設定不可範囲BAも併せて表示されることとしてもよい。
【0046】
また、移動されたウェイポイントWPの次以降のウェイポイントWPは、その前後のウェイポイントWPとの最短経路上に配置されるよう位置調整されることとしたが、例えば当該ウェイポイントWPでの機体速度や通過時刻等についての指定がなければ、燃費最適経路となるよう位置調整することとしてもよい。
【0047】
また、ウェイポイントWPを水平移動させる場合について説明したが、本発明は、ウェイポイントWPを垂直移動(高度を変更)させる場合にも同様に適用可能である。但し、この場合には、飛行高度を数値で表示したり、飛行経路を三次元表示したりするのが好ましい。タッチパネルへのタッチ操作としては、例えば、ストレッチ(ピンチアウト)操作で高度を下げ、ピンチ(ピンチイン)操作で高度を上げればよい。
【0048】
また、本発明の経路設定対象は、航空機であればよく、無人機に限定されない。
また、本発明に係る飛行経路設定装置は、タブレット型のものに限定されない。
【符号の説明】
【0049】
1 無人機操作端末
18 CPU
110 ディスプレイ
160 飛行経路設定プログラム
161 機体性能データ
30 無人機
BA 設定不可範囲
WP ウェイポイント
図1
図2
図3
図4
図5