特許第6377224号(P6377224)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6377224ウェブ材固定用両面粘着テープ及び両面セパレータ付き粘着テープ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6377224
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】ウェブ材固定用両面粘着テープ及び両面セパレータ付き粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/40 20180101AFI20180813BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20180813BHJP
【FI】
   C09J7/40
   C09J7/38
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-151545(P2017-151545)
(22)【出願日】2017年8月4日
【審査請求日】2018年3月6日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年2月15日に、コンバーティングテクノロジー総合展2017(新機能性材料展2017)にて公開 平成29年2月15日に、コンバーティングテクノロジー総合展2017(新機能性材料展2017)の会場(東京国際展示場 東ホール&会議棟)にて配布 平成29年2月21日に、http://www.seimitsu−tape.jp/blog/2017/02/post−11.phpのウェブサイトにて公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594155137
【氏名又は名称】株式会社美方
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 義英
【審査官】 佐宗 千春
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−063561(JP,A)
【文献】 特開2006−002006(JP,A)
【文献】 特開2007−286336(JP,A)
【文献】 特開平10−120293(JP,A)
【文献】 特開平8−337763(JP,A)
【文献】 特開2003−177241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ材を巻芯に巻き取る際に使用するウェブ材固定用の両面粘着テープであって、
長尺の基材と、
前記基材の第1の面に積層された第1の粘着層及び第1のセパレータと、
前記基材の第2の面に積層された第2の粘着層及び第2のセパレータと
を備え、
前記第1のセパレータの前記第1の粘着層に対する離型力は、前記第2のセパレータの前記第2の粘着層に対する離型力よりも小さく、
前記第1のセパレータは、前記第1の粘着層に対して、幅方向に突出した第1の突出部を有し、
前記第2のセパレータは、前記第2の粘着層に対して、幅方向に突出した第2の突出部を有し、
前記第2の突出部には、長手方向に沿って、幅方向の易切断性を付与した易切断部が形成されている、ウェブ材固定用両面粘着テープ。
【請求項2】
前記第1の粘着層の粘着力は、前記第2の粘着層の粘着力よりも小さい、請求項1に記載のウェブ材固定用両面粘着テープ。
【請求項3】
ウェブ材を巻芯に巻き取る際に使用するウェブ材固定用の両面粘着テープであって、
長尺の基材と、
前記基材の第1の面に積層された第1の粘着層及び第1のセパレータと、
前記基材の第2の面に積層された第2の粘着層及び第2のセパレータと
を備え、
前記第1の粘着層の粘着力は、前記第2の粘着層の粘着力よりも小さく、
前記第1のセパレータは、前記第1の粘着層に対して、幅方向に突出した第1の突出部を有し、
前記第2のセパレータは、前記第2の粘着層に対して、幅方向に突出した第2の突出部を有し、
前記第2の突出部には、長手方向に沿って、幅方向の易切断性を付与した易切断部が形成されている、ウェブ材固定用両面粘着テープ。
【請求項4】
前記第1のセパレータの前記第1の粘着層に対する離型力と、前記第2のセパレータの前記第2の粘着層に対する離型力とは同じである、請求項3に記載のウェブ材固定用両面粘着テープ。
【請求項5】
前記易切断部は、厚み方向に形成された複数の微細な溝又は貫通孔により構成されている、請求項1〜4の何れかに記載のウェブ材固定用両面粘着テープ。
【請求項6】
両面の各粘着層にセパレータが設けられた両面粘着テープであって、
長尺の基材と、
前記基材の第1の面に積層された第1の粘着層及び第1のセパレータと、
前記基材の第2の面に積層された第2の粘着層及び第2のセパレータと
を備え、
前記第1のセパレータの前記第1の粘着層に対する離型力は、前記第2のセパレータの前記第2の粘着層に対する離型力よりも小さく、
前記第1のセパレータは、前記第1の粘着層に対して、幅方向に突出した第1の突出部を有し、
前記第2のセパレータは、前記第2の粘着層に対して、幅方向に突出した第2の突出部を有し、
前記第2の突出部には、長手方向に沿って、幅方向の易切断性を付与した易切断部が形成されている、両面セパレータ付き両面粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブ材を巻芯に巻き取る際に使用するウェブ材固定用の両面粘着テープ、及び両面セパレータ付き粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムやシート等のウェブ材をロール状に巻き取るには、円筒状の巻芯の外周面にウェブ材の先端を両面粘着テープで固定した後、巻芯を回転させて巻き取る方法が一般に用いられている。
【0003】
ところで、巻芯の表面は、一般に硬いために、可塑性を有するウェブ材をロール状に巻き取る場合、巻芯の外周面と、ウェブ材の巻き付け端部との間に段差が生じ、この段差上に巻かれたウェブ材には、この段差により不可逆な変形が生じる。そして、その変形したウェブ材に巻き重ねられたウェブ材にも同様の変形が転写するため、巻き始めから数十周以上にわたって、ウェブ材に歪み等の不可逆な段差痕が生じるという問題があった。このような段差痕の発生は、ウェブ材の平坦性を低下させることになり、製品ロスやコストアップの原因になっていた。
【0004】
このような段差痕の発生を低減させるために、特許文献1には、巻芯の外周面に、緩衝材を設ける技術が開示されている。この技術によれば、ウェブ材の巻き付け端部が、緩衝材内に沈み込むことによって、ウェブ材の厚みによる段差が緩和されるため、段差痕を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−1624378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
巻芯に巻き取られたウェブ材は、再度、巻芯から巻き戻されて使用されるが、ウェブ材を両面粘着テープと一緒に巻芯から引き剥がす際、巻芯の外周面に設けられた緩衝材が、両面粘着テープによって損傷を受ける場合がある。この場合、緩衝材の表面が損傷を受けた状態で、巻芯を再利用することができないため、新しい緩衝材に交換する必要がある。
【0007】
ウェブ材を巻芯から引き剥がす際、緩衝材の表面に損傷を与えないようにするためには、両面粘着テープとして、巻芯に貼り付ける側を弱い粘着層で形成し、ウェブ材に貼り付ける側を強い粘着層で形成することが考えられる。これにより、ウェブ材を両面粘着テープと一緒に、巻芯からスムーズに引き剥がすことができる。その結果、ウェブ材を巻芯から引き剥がす際、緩衝材の表面が損傷を受けるのを抑制することができる。
【0008】
このとき、両面粘着テープとして、両面の各粘着層にセパレータを設けた両面粘着テープを用いた場合、弱い粘着層側に設けたセパレータの離型力を、強い粘着層側に設けたセパレータの離型力よりも弱くしておく必要がある。これにより、先に、弱い粘着層側に設けたセパレータを剥がして、両面粘着テープの弱い粘着層側を巻芯表面に貼り付け、その後、強い粘着層側に設けたセパレータを剥がして、強い粘着層にウェブ材の先端を貼り付けることができる。
【0009】
一方、巻芯に貼り付ける側に弱い粘着層、ウェブ材に貼り付ける側に強い粘着層を形成した両面粘着テープを用いた場合、巻芯からウェブ材を巻き戻した際、ウェブ材に両面粘着テープが付着している。そのため、次の処理工程に移送する前に、両面粘着テープが付着したウェブ材の端部を切断する必要があり、余計な手間がかかってしまうという不都合がある。
【0010】
また、巻芯からウェブ材を巻き戻した際に、両面粘着テープを巻芯側に残して、両面粘着テープを繰り返し使用したいという別の要望もある。
【0011】
巻芯からウェブ材を巻き戻した際に、巻芯表面に両面粘着テープが残るようにするためには、両面粘着テープとして、巻芯に貼り付ける側を強い粘着層で形成し、ウェブ材に貼り付ける側を弱い粘着層で形成することが考えられる。このとき、両面粘着テープとして、両面の各粘着層にセパレータを設けた両面粘着テープを用いた場合、強い粘着層側に設けたセパレータの離型力を、弱い粘着層側に設けたセパレータの離型力よりも弱くしておく必要がある。これにより、先に、強い粘着層側に設けたセパレータを剥がして、両面粘着テープの強い粘着層側を巻芯表面に貼り付け、その後、弱い粘着層側に設けたセパレータを剥がして、弱い粘着層にウェブ材の先端を貼り付けることができる。
【0012】
しかしながら、両面の各粘着層にセパレータを設けた両面粘着テープを用いた場合、セパレータは、離型力の弱い方からしか剥がしにくいため、両面粘着テープを、巻芯表面に貼り付ける際、巻芯側に貼り付ける粘着層を、弱い粘着層にするか、強い粘着層にするか、予め決めておかなければならない。然して、両面の各粘着層にセパレータを設けた従来の両面粘着テープにおいて、粘着層のどちら側のセパレータからでも、容易に剥がすことができる両面粘着テープはなかった。
【0013】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、その主な目的は、ウェブ材を巻芯に巻き取る際に使用するウェブ材固定用の両面粘着テープにおいて、粘着層のどちら側のセパレータからでも、容易に剥がすことができる両面粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るウェブ材固定用両面粘着テープは、ウェブ材を巻芯に巻き取る際に使用するウェブ材固定用の両面粘着テープであって、長尺の基材と、基材の第1の面に積層された第1の粘着層及び第1のセパレータと、基材の第2の面に積層された第2の粘着層及び第2のセパレータとを備え、第1のセパレータの第1の粘着層に対する離型力は、第2のセパレータの第2の粘着層に対する離型力よりも小さく、第1のセパレータは、第1の粘着層に対して、幅方向に突出した第1の突出部を有し、第2のセパレータは、第2の粘着層に対して、幅方向に突出した第2の突出部を有し、第2の突出部には、長手方向に沿って、幅方向の易切断性を付与した易切断部が形成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ウェブ材を巻芯に巻き取る際に使用するウェブ材固定用の両面粘着テープにおいて、粘着層のどちら側のセパレータからでも、容易に剥がすことができる両面粘着テープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態におけるウェブ材固定用の両面粘着テープの構成を模式的に示した図である。
図2】第1の粘着層側に設けられた第1のセパレータを剥がす手順を示した図である。
図3】(a)、(b)は、第2の粘着層側に設けられた第2のセパレータを剥がす手順を示した図である。
図4】(a)〜(d)は、本実施形態における両面粘着テープを用いて、巻芯にウェブ材を巻き取り、その後、ウェブ材を巻芯から巻き戻す手順を示した図である。
図5】(a)〜(d)は、本実施形態における両面粘着テープを用いて、巻芯にウェブ材を巻き取り、その後、ウェブ材を巻芯から巻き戻す他の手順を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態におけるウェブ材固定用の両面粘着テープ1の構成を模式的に示した図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態におけるウェブ材固定用の両面粘着テープ1は、長尺の基材10と、基材10の表面(第1の面)に積層された第1の粘着層11及び第1のセパレータ12と、基材10の裏面(第2の面)に積層された第2の粘着層13及び第2のセパレータ14とを備えている。すなわち、本実施形態における両面粘着テープ1は、両面の各粘着層11、13に、セパレータ12、14が設けられた構成をなしている。なお、本実施形態における両面粘着テープ1は、長手方向(X方向)に長くなっている、通常は、コア60に巻き取られた格好になっている。
【0020】
本実施形態において、第1のセパレータ12の第1の粘着層11に対する離型力は、第2のセパレータ14の第2の粘着層13に対する離型力よりも小さく設定されている。なお、第1及び第2のセパレータ12、14の第1及び第2の粘着層11、13に対する離型力の差は、例えば、第1及び第2のセパレータ12、14の表面に、シリコーン等の離型剤をコーティングする処理条件を変えることによって、付与することができる。
【0021】
また、図1に示すように、第1のセパレータ12は、第1の粘着層11に対して、幅方向(Y方向)に突出した第1の突出部12aを有している。すなわち、第1の突出部12aの表面には、第1の粘着層11が形成されていない。
【0022】
また、第2のセパレータ14は、第2の粘着層13に対して、幅方向(Y方向)に突出した第2の突出部14aを有している。すなわち、第2の突出部14aの表面には、第2の粘着層13が形成されていない。さらに、第2の突出部14aには、長手方向(X方向)に沿って、幅方向(Y方向)の易切断性を付与した易切断部20が形成されている、この易切断部20は、長手方向(X方向)に沿って連続的に形成されており、任意の位置で、第2のセパレータ14を、幅方向(Y方向)に沿って容易に切断できるようになっている。なお、易切断部20は、例えば、第2のセパレータ14の厚み方向に、複数の微細な溝又は貫通孔を形成することによって設けることができる。
【0023】
図2は、第1の粘着層11側に設けられた第1のセパレータ12を剥がす手順を示した図である。なお、図2に示した両面粘着テープは、コア60に巻き取られた両面粘着テープを、必要な長さだけ引き出して、幅方向(Y方向)に沿って、カッター等で切断したものである。
【0024】
本実施形態では、第1のセパレータ12の第1の粘着層11に対する離型力が、第2のセパレータ14の第2の粘着層13に対する離型力よりも小さく設定されているため、例えば、第1の突出部12aを指で摘まんで、長手方向(X方向)に引っ張ることによって、第1のセパレータ12を、第1の粘着層11から容易に剥がすことができる。
【0025】
一方、図3(a)、(b)は、第2の粘着層13側に設けられた第2のセパレータ14を剥がす手順を示した図である。なお、図3(a)、(b)に示した両面粘着テープは、図2に示した両面粘着テープと同様に、コア60に巻き取られた両面粘着テープを、必要な長さだけ引き出して、幅方向(Y方向)に沿って、カッター等で切断したものである。
【0026】
まず、図3(a)に示すように、第2の突出部14aに形成された易切断部20を、任意の位置(できるだけ、長手方向(X方向)の端部近傍が好ましい)で、幅方向(Y方向)に沿って切断する。ここで、易切断部20は、幅方向(Y方向)に切断容易になっているため、軽い力で、幅方向(Y方向)に切れ目を入れることができる。そして、一旦、幅方向(Y方向)に切れ目が入ると、さらに、幅方向(Y方向)に引っ張ることによって、第2のセパレータ14の一部14bを、第2の粘着層13から短冊状に容易に剥がすことができる。
【0027】
次に、図3(b)に示すように、第2の粘着層13から剥がされた第2のセパレータ14の一部14bを指で摘まんで、長手方向(X方向)に引っ張ることによって、第2のセパレータ14を、第2の粘着層13から容易に剥がすことができる。なお、このとき、第2のセパレータ14の一部14bが剥がれて露出した第2の粘着層13の表面を、軽く押さえながら行うと、第2のセパレータ14を、第2の粘着層13からよりスムーズに剥がすことができる。
【0028】
このように、本実施形態における両面粘着テープ1は、第1及び第2の粘着層11、13に設けた第1及び第2のセパレータ12、14を、どちら側からでも、容易に剥がすことができる。これにより両面粘着テープを、巻芯表面に貼り付ける際、巻芯側に貼り付ける粘着層を、弱い粘着層にするか、強い粘着層にするか、予め決めておかなくても、用途に応じて、所望の粘着層側のセパレータを容易に剥がすことができる。
【0029】
図4(a)〜(d)は、本実施形態における両面粘着テープを用いて、巻芯30にウェブ材50を巻き取り、その後、ウェブ材50を巻芯30から巻き戻す手順を示した図である。なお、ここで使用する両面粘着テープは、第1の粘着層11の粘着力が、第2の粘着層13の粘着力よりも小さく設定されている。また、巻芯30の外周面には、段差痕を低減するための緩衝材40が形成されている。
【0030】
図4(a)は、図2に示した手順に従って、両面粘着テープの第1のセパレータ12を、第1の粘着層11から剥がした後、第1の粘着層11側を、巻芯30(緩衝材40)の表面に貼り付け、その後、第2のセパレータ14を第2の粘着層13から剥がした状態を示す。
【0031】
なお、このとき、第2のセパレータ14は、第2の粘着層13に対して、幅方向に突出した第2の突出部14aを有しているため、第2の突出部14aを摘まんで、第2のセパレータ14を第2の粘着層13から剥がすことによって、緩衝材40の表面が傷つくのを防止することができる。
【0032】
次に、図4(b)に示すように、第2の粘着層13に、ウェブ材50の先端を貼り付けた後、図4(c)に示すように、ウエブ材50を巻芯30に巻き取る。このとき、ウェブ材50の端部は、緩衝材40の中に沈み込むため、緩衝材40の外周面と、ウェブ材50の巻き付け端部との間に、段差が生じない。これにより、ウェブ材50の端部に起因する段差痕の発生を抑制することができる。
【0033】
次に、図4(d)に示すように、巻芯30に巻き取られたウェブ材50を、再度、巻芯30から巻き戻す。このとき、第1の粘着層11の粘着力は、第2の粘着層13の粘着力よりも小さく設定されているため、ウェブ材50に両面粘着テープ(11、10、13)が付着した状態で、ウェブ材50を巻芯30からスムーズに引き剥がすことができる。その結果、ウェブ材50を巻芯30から引き剥がす際、緩衝材40の表面が損傷を受けるのを抑制することができる。
【0034】
図5(a)〜(d)は、上記と同じ両面粘着テープ用いて、巻芯30にウェブ材50を巻き取り、その後、ウェブ材50を巻芯30から巻き戻す他の手順を示した図である。なお、ここでは、巻芯30の外周面に、段差痕を低減するための緩衝材を設けていない。
【0035】
図5(a)は、図3に示した手順に従って、両面粘着テープの第2のセパレータ14を、第2の粘着層13から剥がした後、第2の粘着層13側を、巻芯30の表面に貼り付け、その後、第1のセパレータ12を第2の粘着層13から剥がした状態を示している。
【0036】
なお、このとき、第1のセパレータ12は、第1の粘着層11に対して、幅方向に突出した第1の突出部12aを有しているため、第1の突出部12aを摘まんで、第1のセパレータ12を第1の粘着層11から剥がすことによって、巻芯30の表面が傷つくのを防止することができる。
【0037】
次に、図5(b)に示すように、第1の粘着層11に、ウェブ材50の先端を貼り付けた後、図5(c)に示すように、ウェブ材50を巻芯30に巻き取る。
【0038】
次に、図5(d)に示すように、巻芯30に巻き取られたウェブ材50を、再度、巻芯30から巻き戻す。このとき、第1の粘着層11の粘着力は、第2の粘着層13の粘着力よりも小さく設定されているため、ウェブ材50を巻芯30から引き剥がした際、両面粘着テープ(11、10、13)は、巻芯30側に残る。これにより、両面粘着テープ(11、10、13)を繰り返し使用することができる。
【0039】
なお、本実施形態において、基材10の材料は特に限定されないが、例えば、PETフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム等を用いることができる。
【0040】
また、本実施形態において、第1の粘着層11及び第2の粘着層13の材料は特に限定されないが、例えば、アクリル系粘着剤や、ウレタン系粘着剤等を用いることができる。また、粘着力の調整は、モノマーの種類、ポリマーの分子量、架橋密度などを制御することにより行うことができる。
【0041】
また、本実施形態において、第1のセパレータ12及び第2のセパレータ14の材料は特に限定されないが、例えば、PETフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等を用いることができる。
【0042】
また、本実施形態において、両面粘着テープ1の総厚みは特に限定されないが、両面粘着テープ1による段差を抑制するために、総厚みを20μm以下にすることが好ましく、10μm以下にすることがより好ましい。
【0043】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん、種々の改変が可能である。例えば、上記実施形態では、第1のセパレータ12の第1の粘着層11に対する離型力を、第2のセパレータ14の第2の粘着層13に対する離型力よりも小さく設定したが、両者の離型力が同じであってもよい。この場合、第1の粘着層11の粘着力を、第2の粘着層13の粘着力よりも小さく設定しておくことによって、実質的に、第1のセパレータ12の第1の粘着層11に対する離型力を、第2のセパレータ14の第2の粘着層13に対する離型力よりも小さくすることができる。
【0044】
また、上記実施形態では、両面粘着テープを、ウェブ材を巻芯に巻き取る際のウェブ材固定用に使用したが、これに限定されず、両面の各粘着層にセパレータが設けられた粘着テープにおいて、用途に応じて、所望の粘着層側のセパレータを選択的に剥がして使用するものにも適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 両面粘着テープ
10 基材
11 第1の粘着層
12 第1のセパレータ
12a 第1の突出部
13 第2の粘着層
14 第2のセパレータ
14a 第2の突出部
20 易切断部
30 巻芯
40 緩衝材
50 ウェブ材
【要約】
【課題】どちら側のセパレータからでも、容易に剥がすことができる両面粘着テープを提供する。
【解決手段】両面粘着テープは、長尺の基材10と、基材の第1の面に積層された第1の粘着層11及び第1のセパレータ12と、基材の第2の面に積層された第2の粘着層13及び第2のセパレータ14とを備え、第1のセパレータの第1の粘着層に対する離型力は、第2のセパレータの第2の粘着層に対する離型力よりも小さく、第1のセパレータは、第1の粘着層に対して、幅方向に突出した第1の突出部12aを有し、第2のセパレータは、第2の粘着層に対して、幅方向に突出した第2の突出部14aを有し、第2の突出部には、長手方向に沿って、幅方向の易切断性を付与した易切断部20が形成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5