(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のズームレンズと、その像面側に当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本件発明の実施例1のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。上段が広角端におけるレンズ構成図であり、下段が望遠端におけるレンズ構成図である。
【
図2】本件発明の実施例1のズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図3】本件発明の実施例1のズームレンズの中間焦点距離状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図4】本件発明の実施例1のズームレンズの望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図5】本件発明の実施例1のズームレンズの望遠端状態における横収差図である。
【
図6】本件発明の実施例2のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。上段が広角端におけるレンズ構成図であり、下段が望遠端におけるレンズ構成図である。
【
図7】本件発明の実施例2のズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図8】本件発明の実施例2のズームレンズの中間焦点距離状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図9】本件発明の実施例2のズームレンズの望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図10】本件発明の実施例2のズームレンズの望遠端状態における横収差図である。
【
図11】本件発明の実施例3のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。上段が広角端におけるレンズ構成図であり、下段が望遠端におけるレンズ構成図である。
【
図12】本件発明の実施例3のズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図13】本件発明の実施例3のズームレンズの中間焦点距離状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図14】本件発明の実施例3のズームレンズの望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図15】本件発明の実施例3のズームレンズの望遠端状態における横収差図である。
【
図16】本件発明の実施例4のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。上段が広角端におけるレンズ構成図であり、下段が望遠端におけるレンズ構成図である。
【
図17】本件発明の実施例4のズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図18】本件発明の実施例4のズームレンズの中間焦点距離状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図19】本件発明の実施例4のズームレンズの望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図20】本件発明の実施例4のズームレンズの望遠端状態における横収差図である。
【
図21】本件発明の実施例5のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。上段が広角端におけるレンズ構成図であり、下段が望遠端におけるレンズ構成図である。
【
図22】本件発明の実施例5のズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図23】本件発明の実施例5のズームレンズの中間焦点距離状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図24】本件発明の実施例5のズームレンズの望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図25】本件発明の実施例5のズームレンズの望遠端状態における横収差図である。
【
図26】本件発明の実施例6のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。上段が広角端におけるレンズ構成図であり、下段が望遠端におけるレンズ構成図である。
【
図27】本件発明の実施例6のズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図28】本件発明の実施例6のズームレンズの中間焦点距離状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図29】本件発明の実施例6のズームレンズの望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図30】本件発明の実施例6のズームレンズの望遠端状態における横収差図である。
【
図31】本件発明の実施例7のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。上段が広角端におけるレンズ構成図であり、下段が望遠端におけるレンズ構成図である。
【
図32】本件発明の実施例7のズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図33】本件発明の実施例7のズームレンズの中間焦点距離状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図34】本件発明の実施例7のズームレンズの望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図35】本件発明の実施例7のズームレンズの望遠端状態における横収差図である。
【
図36】本件発明の実施例8のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。上段が広角端におけるレンズ構成図であり、下段が望遠端におけるレンズ構成図である。
【
図37】本件発明の実施例8のズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図38】本件発明の実施例8のズームレンズの中間焦点距離状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図39】本件発明の実施例8のズームレンズの望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図40】本件発明の実施例8のズームレンズの望遠端状態における横収差図である。
【
図41】本件発明の実施例9のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。上段が広角端におけるレンズ構成図であり、下段が望遠端におけるレンズ構成図である。
【
図42】本件発明の実施例9のズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図43】本件発明の実施例9のズームレンズの中間焦点距離状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図44】本件発明の実施例9のズームレンズの望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図45】本件発明の実施例9のズームレンズの望遠端状態における横収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本件発明に係るズームレンズ及び撮像装置の実施の形態を説明する。
【0029】
1.ズームレンズ
1−1.光学系の構成
まず、本件発明に係るズームレンズの光学系の構成と動作について説明する。本件発明に係るズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群、負の屈折力を有する第4レンズ群、及び、負の屈折力を有する第5レンズ群を備え、広角端から望遠端にかけて変倍する際に、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔が大きくなり、且つ、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔が小さくなるようにレンズ群が移動し、全レンズ群のうち、絞りよりも像面側に配置された負レンズ群をフォーカス群とし
、当該フォーカス群は最像面側面が像面に対して凹面であるメニスカス形状を呈した単一レンズブロックからなり、無限遠から近距離物体へのフォーカシングの際には、当該フォーカス群を像面側へ移動することによってフォーカスする。
【0030】
本件発明に係るズームレンズは、いわゆるテレフォトタイプのズームレンズであり、上記第1レンズ群〜第3レンズ群は全体として正の屈折力を有する物体側群であり、第4レンズ群〜第5レンズ群は全体として負の屈折力を有する像面側群である。本件発明では、テレフォトタイプのズームレンズとすることにより、当該ズームレンズの望遠端における焦点距離よりも当該ズームレンズの望遠端における光学全長を短縮することができる。このため、例えば、35mmフィルム換算で焦点距離300mm超等に変倍率を高くしたときも望遠端における光学全長の増加を抑制することができる。
【0031】
また、本件発明では、上記のとおりテレフォトタイプのズームレンズとすると共に、像面側群を負の屈折力を有する第4レンズ群及び第5レンズ群を少なくとも備える構成としている。このため、従来の正負正負正の5群構成のズームレンズと比較すると、像面側群における全体の負の屈折力を強くすることが容易になる。つまり、よりテレフォト傾向の強いズームレンズとすることが容易になるため、変倍率を高くしたときも望遠端における焦点距離に対して望遠端における光学全長をより短縮することが可能になる。
【0032】
ここで、ズームレンズは、一般に、鏡筒(最外筒)内に1以上の内筒が入れ子式に収容されている。内筒は、変倍率に応じて物体側に繰り出される。望遠端と広角端とにおける光学全長の差が大きくなると、内筒収納時の鏡筒全長を短くするために、最外筒内に複数の内筒を収容させることが行われる。しかしながら、最外筒内に複数の内筒を収容させると、内筒の厚みの分だけ最外筒の径が大きくなる。そこで、本件発明では、上述のとおりよりテレフォト傾向の強いズームレンズとすることにより、変倍率を高くした場合であっても、望遠端における光学全長の増加を抑制することが可能であるため、最外筒内に収容される内筒の数の増加を抑制することができる。このため、本件発明によれば、望遠端における光学全長だけではなく、鏡筒の外径についても小型化を図ることができる。
【0033】
1−2.動作
次に、上記構成のズームレンズにおけるフォーカシング及びズーミングについて順に説明する。
【0034】
(1)フォーカシング(合焦動作)
まず、フォーカシングについて説明する。本件発明に係るズームレンズは、上記のとおり、全レンズ群のうち、絞りよりも像面側に配置された負レンズ群をフォーカス群とし、無限遠から近距離物体へのフォーカシングの際には、当該フォーカス群を像面側へ移動することによってフォーカスする。絞りよりも像面側に配置された負レンズ群をフォーカス群とし、これを像面側に移動させることにより、フォーカスの際にウォブリングに起因して変倍作用が生じるのを抑制することができる。
【0035】
また、絞りよりも像面側に配置された負レンズ群を、つまり、比較的径の小さいズームレンズ後方のレンズ群をフォーカス群とすることにより、フォーカス群のレンズ系を軽量化してフォーカス駆動系の負荷を減少させる事ができるため、高速オートフォーカスを実現することができる。この際、フォーカス群の軽量化を図り、より一層高速のオートフォーカスを実現するという観点から、
本件発明では、当該フォーカス群
を上記単一レンズブロックから
構成する。ここで、単一レンズブロックは、単レンズであってもよいし、複数のレンズを接合した接合レンズであってもよい(以下、同じである)。
【0036】
なお、絞り(開口絞り)の位置は第2レンズ群よりも像面側に配置することが一般的であり、本件発明においても第2レンズ群よりも像面側に配置されるものとするが、具体的な絞りの位置は特に限定されるものではなく、要求される光学特性等に応じて、適宜適切な位置に配置することができる。また、フォーカス群に関しては、絞りよりも像面側に配置される負の屈折力を有するレンズ群であれば、いずれのレンズ群であってもよい。例えば、第2レンズ群よりも像面側であって第4レンズ群よりも物体側に絞りを配置すると共に、第4レンズ群又は第5レンズ群のいずれかをフォーカス群とすることが好ましい。いずれの負レンズ群をフォーカス群とするかは、当該ズームレンズの具体的なレンズ構成等に応じて、適宜選択することができる。
【0037】
ここで、テレフォト傾向の強いズームレンズとするには、上記のとおり、像面側群の負の屈折力を強くすることが求められる。従来、テレフォトタイプのズームレンズでは、第4レンズ群の屈折力を負、第5レンズ群の屈折力を正とすることが一般的に行われていた。これは上述したとおり、テレセントリック性を確保する必要性等のためである。しかしながら、第4レンズ群をフォーカス群としたとき、第4レンズ群に強い屈折力を持たせると、フォーカシングを行う間に第4レンズ群を光軸方向に振動させた場合、このウォブリングに伴い収差変動や変倍作用が生じる。そこで、本件発明では、像面側群を構成する第4レンズ群及び第5レンズ群にそれぞれ負の屈折力を配分することによりテレフォト傾向の強いズームレンズとすると共に、像面側群を構成する負レンズ群をフォーカス群とした場合にも合焦時の収差変動や変倍作用を抑制することができる。例えば、ミラーレス一眼カメラ等の光学式ファインダーを備えていない撮像装置等では、ユーザは装置本体の背面に設けられた液晶画面等に表示されるライブビュー画像等により画像を確認しながら撮像を行う。このとき、本件発明に係るズームレンズを用いれば、合焦の間も変倍等を抑制しながら結像性能の高い画像をライブビュー画像として表示することができる。従って、本件発明に係るズームレンズは、ミラーレス一眼カメラ等の撮像装置に好適に用いることができる。
【0038】
(2)ズーミング(変倍動作)
次に、ズーミングについて説明する。本件発明に係るズームレンズでは、上述のとおり広角端から望遠端にかけて変倍する際に、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔が大きくなり、且つ、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔が小さくなるようにレンズ群が移動すれば、各レンズ群の具体的な動作は特に限定されるものではない。しかしながら、収差補正の自由度を向上させ、ズーム全域において高い結像性能を得るという観点から、変倍時に第1レンズ群〜第5レンズ群の各レンズ群間の間隔をそれぞれ変化させるように、各レンズ群を相対的に移動させることが好ましい。変倍時に各レンズ群間の間隔をそれぞれ変化させることにより、各変倍率において各レンズ群の位置を収差補正上好ましい位置に調整することが容易になるためである。このとき、変倍時に全レンズ群をそれぞれ別個に移動させることにより、各レンズ群間の間隔を変化させてもよいし、全レンズ群のうち一部のレンズ群を一体に移動させ、残りのレンズ群を別個に移動させてもよい。また、全レンズ群を全て移動群とするのではなく、一部のレンズ群を固定群としてもよい。
【0039】
(3)防振動作
上記構成のズームレンズにおいて、本件発明では、第3レンズ群を、単一レンズブロックからなる防振群を設け、当該防振群を光軸に対して垂直方向に移動させることにより、手ぶれ補正を行うことができるように構成されていることが好ましい。防振群を第3レンズ群に配置し、当該防振群を単一レンズブロックにより構成することにより、防振群の小型・軽量化を図ることができるため、防振駆動系の負荷を減少させることができる。
【0040】
以上説明した本件発明に係るズームレンズは、本件発明に係るズームレンズの一態様であり、本件発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜、その具体的なレンズ構成等を変更してもよいのは勿論である。
【0041】
1−3.条件式
次に、本件発明に係るズームレンズが満足すべき、或いは、満足することが好ましい条件式について説明する。本件発明に係るズームレンズは、下記条件式(1)
及び後述する条件式(5)を満足することを特徴とし、後述する条件式(2)〜
条件式(4)及び条件式(6)を満足することが好ましい。
【0043】
1−3−1.条件式(1)
まず、条件式(1)について説明する。条件式(1)は当該ズームレンズの光学系全体の実効焦点距離に対する第5レンズ群の焦点距離を規定したものである。条件式(1)に関して、当該数値がその下限値を下回る場合、第5レンズ群の負の屈折力が弱いため、第1レンズ群から第4レンズ群までの合成焦点距離を十分に短くする事ができず、当該ズームレンズ全体の小型化が十分には行えない。また、当該数値がその上限値を上回る場合、第5レンズ群の負の屈折力が強いため、射出瞳距離が短くなり、像面に配置されたCCD等の個体撮像素子に対する光束の斜入射が生じ、特に周辺部の瞳の不均衡により光量低下(シェーディング)を招くため望ましくない。条件式(1)を満足することにより、当該ズームレンズの小型化を図ると共にシェーディングを抑制することができる。
【0044】
これらの観点から、条件式(1)に関して、その数値は下記の(1a)の範囲内であることが好ましく、(1b)の範囲内であることがさらに好ましい。
【0045】
−5.70 ≦ f5/√(fw×ft) ≦ −0.40 ・・・・・・(1a)
−5.40 ≦ f5/√(fw×ft) ≦ −0.50 ・・・・・・(1b)
【0046】
1−3−2.条件式(2)
次に、条件式(2)について説明する。本件発明に係るズームレンズは、下記条件式(2)を満足することが好ましい。
【0048】
条件式(2)は、当該ズームレンズの光学系全体の実効焦点距離に対する第1レンズ群の焦点距離を規定したものである。条件式(2)に関して、当該数値がその下限値を下回る場合、第1レンズ群の屈折力が強いため、相対偏芯等の影響で組立後に設計性能に対する性能劣化が大きくなる恐れがある。また、当該数値がその上限値を上回る場合、第1レンズ群の屈折力が弱いため、特に望遠端状態における光学全長を短縮することが困難となる。
【0049】
これらの観点から、条件式(2)に関して、当該数値は下記の(2a)の範囲内であることが好ましく、(2b)の範囲内であることがさらに好ましい。
【0050】
1.10 ≦ f1/√(fw×ft) ≦ 2.60 ・・・・・・(2a)
1.20 ≦ f1/√(fw×ft) ≦ 2.20 ・・・・・・(2b)
【0051】
1−3−3.条件式(3)
次に、条件式(3)について説明する。本件発明に係るズームレンズは、以下の条件式(3)を満足することが好ましい。
【0053】
上記条件式(3)は第4レンズ群の広角端における横倍率と第5レンズ群の広角端における横倍率の積を規定したものである。条件式(3)に関して、当該数値がその下限値を下回ると第1レンズ群から第3レンズ群までの焦点距離を短くする事が困難となり、結果として広角端状態における光学全長を短縮することが困難になる。また、当該数値がその上限値を上回る場合、第4レンズ群及び第5レンズ群の横倍率が大きく屈折力が強くなる為に、相対偏芯等の影響で組立後に設計性能に対する性能劣化が大きくなる。
【0054】
これらの観点から、条件式(3)に関して、当該数値は下記の(3a)の範囲内であることが好ましく、(3b)の範囲内であることがさらに好ましい。
【0055】
1.40 ≦ β4W×β5W ≦ 3.30 ・・・・・・(3a)
1.50 ≦ β4W×β5W ≦ 3.00 ・・・・・・(3b)
【0056】
1−3−4.条件式(4)
次に、条件式(4)について説明する。本件発明に係るズームレンズにおいて、第3レンズ群が上記防振群を備える場合、以下の条件式(4)を満足することが好ましい。なお、この場合において、防振群は上述したとおり、単一のレンズブロックにより構成されており、光軸方向に対して垂直に移動することにより手ぶれ補正を行うものであり、第3レンズ群の一部を構成するものであることが好ましい。
【0058】
上記条件式(4)は防振群の最物体側面の曲率半径と防振群の最像面側面の曲率半径の比を規定したものである。条件式(4)に関して、その数値が下限値を下回ると、防振群の屈折力が強いため、防振群を偏芯させた際の偏心コマ収差、偏心非点収差が増大するため好ましくない。また、この数値が上限値を上回ると、防振群の屈折力が弱いため、防振群のストロークが大きくなり、鏡筒の外径が大きくなると共に、防振群の駆動高速化が困難になる。
【0059】
これらの観点から、条件式(4)に関して、当該数値は下記の(4a)の範囲内であることが好ましく、(4b)の範囲内であることがさらに好ましい。
【0060】
−1.20 ≦ ra3/rb3 ≦ −0.25 ・・・・・・(4a)
−1.10 ≦ ra3/rb3 ≦ −0.30 ・・・・・・(4b)
【0061】
1−3−5.条件式(5)
次に、条件式(5)について説明する。本件発明に係るズームレンズにおいては、上述のとおり、高速オートフォーカスの実現、当該ズームレンズの小型軽量化等の観点から、上記フォーカス群を単一レンズブロックから
構成する。このとき、当該単一レンズブロックを像面側に凹を向けたメニスカス形状を呈する単レンズ又は接合レンズであるものとし
、この場合、当該フォーカス群は以下の条件式を
満足する。
【0063】
上記条件式(5)はフォーカス群をメニスカス形状を呈する単一レンズブロックから構成したときに、その最物体側面の曲率半径とフォーカス群の最像面側面の曲率半径の比を規定したものである。条件式(5)に関して、その数値が下限値を下回ると、フォーカス群の屈折力が弱くなり、無限遠物体から最至近物体へのフォーカスストロークが大きくなるため、光学全長が長くなり、当該ズームレンズの小型化を図る上で好ましくない。また、この数値が上限値を上回ると、フォーカス群の屈折力が強くなり、フォーカス群の光軸上の移動に対する感度、すなわちピント敏感度が高くなりフォーカス駆動系の制御が困難になるため好ましくない。
【0064】
これらの観点から、条件式(5)に関して、当該数値は下記の(5a)の範囲内であることが好ましく、(5b)の範囲内であることがさらに好ましい。
【0065】
3.30 ≦ ra4/rb4 ≦ 190.00 ・・・・・・(5a)
3.50 ≦ ra4/rb4 ≦ 170.00 ・・・・・・(5b)
【0066】
1−3−6.条件式(6)
次に、条件式(6)について説明する。条件式(6)は第5レンズ群に関する式である。本件発明に係るズームレンズにおいて、上記第5レンズ群は、物体側面が凹面であるメニスカス形状を有する単一レンズブロックを備えることが好ましい。この場合、当該メニスカス形状の単一レンズブロックは負の焦点距離を持ち、以下の条件式(6)を満足することが好ましい。
【0068】
上記条件式(6)は、第5レンズ群が最物体側の面が物体側に対して凹面であるメニスカス形状の単一レンズブロックから構成される負レンズを備える場合、その最物体側面の曲率半径と最像面側面の曲率半径の比を規定するものである。条件式(6)に関して、その数値が下限値を下回ると、両面が凹面の負レンズとなる。このため、最像面側面は、像面側に凹を向けた形状となり像面との多重反射によるゴーストの照度が高くなるため好ましくない。また、この数値が上限値を上回ると、当該負レンズの屈折力が強くなるため、非点収差や像面湾曲等の諸収差が増大しそれを補正するには、第5レンズ群を構成するレンズ枚数が増えるため、光学全長の短縮が困難になる。
【0069】
これらの観点から、条件式(6)に関して、当該数値は下記の(6a)の範囲内であることが好ましく、(6b)の範囲内であることがさらに好ましい。
【0070】
0.01 ≦ ra5/rb5 ≦ 2.60 ・・・・・・(6a)
0.02 ≦ ra5/rb5 ≦ 2.20 ・・・・・・(6b)
【0071】
2.撮像装置
次に、本件発明に係る撮像装置について説明する。本件発明に係る撮像装置は、上記ズームレンズと、その像面側に当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする。ここで、撮像素子等に特に限定はない。しかしながら、上述したとおり、本件発明に係るズームレンズのフランジバックは短くすることができるため、当該ズームレンズは、光学式ファインダーやレフレックスミラ−等を備えていないタイプの撮像装置に好適である。特に、本件発明に係るズームレンズは小型で高い変倍率を実現することができるため、いわゆるミラーレス一眼カメラ等の小型の固体撮像素子を搭載した小型の撮像装置とすることが好ましい。また、本件発明においては、動画撮影においても高速オートフォーカスを実現することができるため、動画撮影が可能な撮像装置に適用することも好ましい。
【0072】
次に、実施例および比較例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に限定されるものではなく、下記実施例に記載するレンズ構成は本件発明の一例に過ぎず、本件発明に係るズームレンズのレンズ構成は本件発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。
【0073】
次に、実施例および比較例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0074】
本発明によるズームレンズの実施例を図面を参照して説明する。
図1は、本実施例1のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。上段が広角端状態におけるレンズ構成図であり、下段が望遠端状態におけるレンズ構成図である。
【0075】
図1に示すように、本実施例1のズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有する第3ンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、及び、負の屈折力を有する第5レンズ群G5を備えている。第2レンズ群と第3レンズ群との間に絞りが配置されている。第4レンズ群G4は像面側が凹面のメニスカス形状を呈する正レンズと負レンズとを接合した接合レンズから構成されており、本実施例1では第4レンズ群G4がフォーカス群Fとして機能する。また、第3レンズ群G3は、単正レンズからなる防振群VCを備えており、手ぶれ補正時この防振群VCが光軸に対して垂直方向に移動する。さらに、第5レンズ群の最も物体側には、物体側面が凹面のメニスカスレンズが配置されている。なお、各レンズ群の具体的なレンズ構成は
図1に示すとおりである。
【0076】
本実施例1のズームレンズでは、広角端から望遠端にかけて変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が大きくなり、且つ、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が小さくなるようにレンズ群が移動する。また、変倍時において、第3レンズ群G3と第5レンズ群とが同一の軌跡で移動する。また、無限遠から近距離物体へのフォーカシングの際には、第4レンズ群が像面側に移動する。
【0077】
望遠端における手ぶれ補正状態での防振群VCの光軸に対して垂直方向への移動量は0.308mmである。撮影距離が∞で望遠端において、ズームレンズ系が0.3°だけ傾いた場合の像偏心量は、防振群が光軸と垂直な方向に平行移動したときの像偏心量に等しい。なお、各実施例2〜実施例9のズームレンズについても、各防振群の光軸に対して垂直方向への移動量と、ズームレンズ系が0.3°だけ傾いた場合の上記像偏心量は等しい。
【0078】
図2〜
図4に、本実施例1のズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図をそれぞれ示す。各縦収差図は、それぞれ左側から順に球面収差(SA(mm))、非点収差(AST(mm))、歪曲収差(DIS(%))を示す。球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、FNOで示す)を表し、実線はd線(d−line)、短破線はF線(Fline)、長破線はC線(C−line)の特性である。非点収差図において、縦軸は画角(図中、Wで示す)を表し、実線はサジタル平面(図中、Sで示す)、破線はメリディオナル平面(図中、Mで示す)の特性である。歪曲収差図において、縦軸は画角(図中、Wで示す)を表す。なお、これらは
図7〜
図9、
図12〜
図14、
図17〜
図19、
図22〜
図24、
図27〜
図29、
図32〜
図34、
図37〜
図39及び
図42〜
図44においても同じである。
【0079】
また、
図5は、実施例1のズームレンズの望遠端における横収差図である。
図5に示す各横収差図において、図面に向かって左側に位置する3つの収差図は、望遠端における手振れ補正を行っていない基本状態に対応する。また、図面に向かって右側に位置する3つの収差図は、防振群(手振れ補正光学系)を光軸と垂直な方向に所定量移動させた望遠端における手振れ補正状態に対応する。なお、これらは
図5、
図10、
図15、
図20、
図25、
図30、
図35、
図40及び
図45においても同じである。
【0080】
基本状態の各横収差図のうち、上段は最大像高の70%の像点における横収差、中段は軸上像点における横収差、下段は最大像高の−70%の像点における横収差に、それぞれ対応する。手振れ補正状態の各横収差図のうち、上段は最大像高の70%の像点における横収差、中段は軸上像点における横収差、下段は最大像高の−70%の像点における横収差に、それぞれ対応する。また各横収差図において、横軸は瞳面上での主光線からの距離を表し、実線はd線(d−line)、短破線はF線(F−line)、長破線はC線(C−line)の特性である。
【0081】
図5から明らかなように、軸上像点における横収差の対称性は良好であることがわかる。また、+70%像点における横収差と−70%像点における横収差とを基本状態で比較すると、いずれも湾曲度が小さく、収差曲線の傾斜がほぼ等しいことから、偏心コマ収差、偏心非点収差が小さいことがわかる。このことは、手振れ補正状態であっても充分な結像性能が得られていることを意味している。ズームレンズ系の手振れ補正角が同じ場合には、ズームレンズ系全体の焦点距離が短くなるにつれて、手振れ補正に必要な平行移動量が減少する。したがって、いずれのズーム位置であっても、0.3°までの手振れ補正角に対して、結像特性を低下させることなく充分な手振れ補正を行うことが可能である。また、望遠端での手振れ補正光学系の平行移動量を広角端及び中間焦点位置状態に適用することで手振れ補正角度を0.3°よりも更に大きく取ることも可能である。これらの点は、後述する実施例2〜実施例9についても同様である。
【0082】
次に、当該本実施例1において、具体的数値を適用した数値実施例1のレンズデータを表1に示す。表1に示すレンズデータは次のものである。「面NO.」は、レンズの面番号であり、物体側から数えたレンズ面の順番を示す。「r」はレンズ面の曲率半径を示し、「d」はレンズ厚又は、互いに隣接するレンズ面の光軸上の間隔を示し、「Nd」はd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率を示し、「νd」はd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数を示している。また、レンズ面が非球面である場合には、面番号の後に「*(アスタリスク)」を付して曲率半径「r」の欄には近軸曲率半径を示している。
【0083】
また、当該実施例1のズームレンズ系において、広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態におけるFナンバー(FNO.)、全系の焦点距離(f)、半画角(ω(°))は以下のとおりである。なお、下記式において、右側から順に広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における各数値をハイフン(−)を介して示している。
【0084】
FNO.= 4.08 − 5.35 − 5.77
f = 18.38 − 43.53 −102.92
W = 39.04 − 17.51 − 7.5
【0085】
【表1】
【0086】
また、表1に示した非球面について、その形状を次式zで定義した場合の非球面係数を表2に示す。表2において、「E−a」は、「×10−a」を示す。
【0087】
z=ch2/[1+{1-(1+k)c2h2}1/2]+A4h4+A6h6+A8h8+A10h10・・・
但し、上記式において、cは曲率(1/r)、hは光軸からの高さ、kは円錐係数、A4、A6、A8、A10・・・は各次数の非球面係数を示す。
【0088】
【表2】
【0089】
表3に数値実施例1の広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における近接物体合焦時の面間隔を、無限物体合焦時の焦点距離(f)と共にそれぞれ示す。
【0090】
【表3】
【実施例2】
【0091】
次に、実施例2のズームレンズの光学系を図面を参照して説明する。
図6は、本実施例2のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。実施例2のズームレンズは、実施例1のズームレンズと略同様の構成を有し、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有する第3レンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、負の屈折力を有する第5レンズ群G5を有し、第2レンズ群と第3レンズ群との間に絞りSが配置されている。また、第3レンズ群は、単正レンズから構成される防振群VCを有し、第4レンズ群G4は像面側が凹面のメニスカス形状を呈する正レンズと負レンズとを接合した接合レンズから構成されており、第4レンズ群G4がフォーカス群Fとして機能する。さらに、第5レンズ群の最も物体側には、物体側面が凹面のメニスカスレンズが配置されている。なお、各レンズ群の具体的なレンズ構成は
図6に示すとおりである。また、広角端から望遠端にかけて変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が大きくなり、且つ、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が小さくなるようにレンズ群が移動する。また、変倍時において、第3レンズ群G3と第5レンズ群とが同一の軌跡で移動する。また、無限遠から近距離物体へのフォーカシングの際には、第4レンズ群G4が像面側に移動する。また、望遠端における手ぶれ補正状態での防振群VCの光軸に対して垂直方向への移動量は0.297mmである。
【0092】
図7〜
図9に、本実施例2のズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図をそれぞれ示す。
図20は望遠端における横収差図である。表4〜表6は具体的数値を適用した数値実施例2のレンズデータであり、表1〜表3に示す数値データと同様であるため、各表に関する説明は省略する。
【0093】
また、当該実施例2のズームレンズ系において、広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態におけるFナンバー(FNO.)、全系の焦点距離(f)、半画角(ω(°))は以下のとおりである。なお、下記式において、右側から順に広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における各数値をハイフン(−)を介して示している。
【0094】
FNO.= 4.08 − 5.35 − 5.77
f =18.37 − 43.54 −102.85
W =39.29 − 17.73 − 7.60
【0095】
【表4】
【0096】
【表5】
【0097】
【表6】
【実施例3】
【0098】
次に、実施例3のズームレンズの光学系を図面を参照して説明する。
図11は、本実施例3のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。実施例3のズームレンズは、実施例1のズームレンズと略同様の構成を有し、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有する第3レンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、負の屈折力を有する第5レンズ群G5を有し、第2レンズ群と第3レンズ群との間に絞りSが配置されている。また、第3レンズ群は、単正レンズから構成される防振群VCを有し、第4レンズ群G4は像面側が凹面のメニスカス形状を呈する正レンズと負レンズとを接合した接合レンズから構成されており、第4レンズ群G4がフォーカス群Fとして機能する。さらに、第5レンズ群の最も物体側には、物体側面が凹面のメニスカスレンズが配置されている。なお、各レンズ群の具体的なレンズ構成は
図6に示すとおりである。広角端から望遠端にかけて変倍する際に、第1レンズ群G1、第3レンズ群G3及び第5レンズ群G5は像面に対して固定であり、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が大きくなり、且つ、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が小さくなるように他のレンズ群(G2、G4)が移動する。また、無限遠から近距離物体へのフォーカシングの際には、第4レンズ群が像面側に移動する。また、望遠端における手ぶれ補正状態での防振群VCの光軸に対して垂直方向への移動量は0.328mmである。
【0099】
図11〜
図14に、本実施例3のズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図をそれぞれ示す。
図20は望遠端における横収差図である。表7〜表9は具体的数値を適用した数値実施例3のレンズデータであり、表1〜表3に示す数値データと同様であるため、各表に関する説明は省略する。
【0100】
また、当該実施例3のズームレンズ系において、広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態におけるFナンバー(FNO.)、全系の焦点距離(f)、半画角(ω(°))は以下のとおりである。なお、下記式において、右側から順に広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における各数値をハイフン(−)を介して示している。
【0101】
FNO.= 4.12 − 4.12 − 4.12
f = 18.36 − 43.50 − 102.77
W = 38.81 − 16.39 − 6.92
【0102】
【表7】
【0103】
【表8】
【0104】
【表9】
【実施例4】
【0105】
次に、実施例4のズームレンズの光学系を図面を参照して説明する。
図16は、本実施例4のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。実施例4のズームレンズは、実施例1のズームレンズと略同様の構成を有し、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有する第3レンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、負の屈折力を有する第5レンズ群G5を有し、第2レンズ群と第3レンズ群との間に絞りSが配置されている。また、第3レンズ群は、両凸正レンズから構成される防振群VCを有し、第4レンズ群G4は像面側が凹面のメニスカス形状を呈する正レンズと負レンズとを接合した接合レンズから構成されており、第4レンズ群G4がフォーカス群Fとして機能する。さらに、第5レンズ群の最も物体側には、物体側面が凹面のメニスカスレンズが配置されている。なお、各レンズ群の具体的なレンズ構成は
図16に示すとおりである。また、広角端から望遠端にかけて変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が大きくなり、且つ、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が小さくなるようにレンズ群が移動する。また、変倍時において、第3レンズ群G3と第5レンズ群とが同一の軌跡で移動する。また、無限遠から近距離物体へのフォーカシングの際には、第4レンズ群G4が像面側に移動する。さらに、望遠端における手ぶれ補正状態での防振群VCの光軸に対して垂直方向への移動量は0.196mmである。
【0106】
図17〜
図19に、本実施例4のズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図をそれぞれ示す。
図20は望遠端における横収差図である。表10〜表12は具体的数値を適用した数値実施例4のレンズデータであり、表1〜表3に示す数値データと同様であるため、各表に関する説明は省略する。
【0107】
また、当該実施例4のズームレンズ系において、広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態におけるFナンバー(FNO.)、全系の焦点距離(f)、半画角(ω(°))は以下のとおりである。なお、下記式において、右側から順に広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における各数値をハイフン(−)を介して示している。
【0108】
FNO. = 3.60 − 5.11 − 5.80
f = 24.75 − 54.97 −116.31
W = 42.09 − 20.87 − 10.18
【0109】
【表10】
【0110】
【表11】
【0111】
【表12】
【実施例5】
【0112】
次に、実施例5のズームレンズの光学系を図面を参照して説明する。
図21は、本実施例5のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。実施例5のズームレンズは、実施例1のズームレンズと略同様の構成を有し、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有する第3レンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、負の屈折力を有する第5レンズ群G5を有し、第2レンズ群と第3レンズ群との間に絞りSが配置されている。また、第3レンズ群は、両凸レンズと凹レンズとを接合した接合レンズから構成される防振群VCを有し、第4レンズ群G4は像面側が凹面のメニスカス形状を呈する正レンズと負レンズとを接合した接合レンズから構成されており、第4レンズ群G4がフォーカス群Fとして機能する。さらに、第5レンズ群の最も物体側には、物体側面が凹面のメニスカスレンズが配置されている。なお、各レンズ群の具体的なレンズ構成は
図21に示すとおりである。また、広角端から望遠端にかけて変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が大きくなり、且つ、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が小さくなるようにレンズ群が移動する。また、変倍時において、第3レンズ群G3と第5レンズ群とが同一の軌跡で移動する。また、無限遠から近距離物体へのフォーカシングの際には、第4レンズ群G4が像面側に移動する。さらに、望遠端における手ぶれ補正状態での防振群VCの光軸に対して垂直方向への移動量は0.438mmである。
【0113】
図22〜
図24に、本実施例5のズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図をそれぞれ示す。
図25は望遠端における横収差図である。表13〜表15は具体的数値を適用した数値実施例5のレンズデータであり、表1〜表3に示す数値データと同様であるため、各表に関する説明は省略する。
【0114】
また、当該実施例5のズームレンズ系において、広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態におけるFナンバー(FNO.)、全系の焦点距離(f)、半画角(ω(°))は以下のとおりである。なお、下記式において、右側から順に広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における各数値をハイフン(−)を介して示している。
【0115】
FNO.= 3.60 − 5.27 − 6.46
f = 28.88 − 90.03 −290.84
W = 38.16 − 13.09 − 4.17
【0116】
【表13】
【0117】
【表14】
【0118】
【表15】
【実施例6】
【0119】
次に、実施例6のズームレンズの光学系を図面を参照して説明する。
図26は、本実施例2のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。実施例6のズームレンズは、実施例1のズームレンズと略同様の構成を有し、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有する第3レンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、負の屈折力を有する第5レンズ群G5を有し、第2レンズ群と第3レンズ群との間に絞りSが配置されている。また、第3レンズ群は、単正レンズから構成される防振群VCを有し、第4レンズ群G4は像面側が凹面の単負レンズから構成されており、第4レンズ群G4がフォーカス群Fとして機能する。さらに、第5レンズ群の最も物体側には、物体側面が凹面のメニスカスレンズが配置されている。なお、各レンズ群の具体的なレンズ構成は
図26に示すとおりである。また、広角端から望遠端にかけて変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が大きくなり、且つ、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が小さくなるようにレンズ群が移動する。変倍時において、第3レンズ群G3と第5レンズ群とが同一の軌跡で移動する。無限遠から近距離物体へのフォーカシングの際には、第4レンズ群G4が像面側に移動する。望遠端における手ぶれ補正状態での防振群VCの光軸に対して垂直方向への移動量は0.430mmである。
【0120】
図27〜
図29に、本実施例6のズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図をそれぞれ示す。
図30は望遠端における横収差図である。表16〜表19は具体的数値を適用した数値実施例6のレンズデータであり、表1〜表3に示す数値データと同様であるため、各表に関する説明は省略する。
【0121】
また、当該実施例6のズームレンズ系において、広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態におけるFナンバー(FNO.)、全系の焦点距離(f)、半画角(ω(°))は以下のとおりである。なお、下記式において、右側から順に広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における各数値をハイフン(−)を介して示している。
【0122】
FNO.= 4.12 − 4.12 − 4.12
f = 72.09 − 119.95 − 203.44
W = 10.97 − 6.48 − 3.82
【0123】
【表16】
【0124】
【表17】
【0125】
【表18】
【実施例7】
【0126】
次に、実施例7のズームレンズの光学系を図面を参照して説明する。
図31は、本実施例7のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。実施例7のズームレンズは、実施例1のズームレンズと略同様の構成を有し、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有する第3レンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、負の屈折力を有する第5レンズ群G5を有し、第2レンズ群と第3レンズ群との間に絞りSが配置されている。また、第3レンズ群は、単正レンズから構成される防振群VCを有し、第4レンズ群G4は像面側が凹面の単負レンズから構成されており、第4レンズ群G4がフォーカス群Fとして機能する。さらに、第5レンズ群の最も物体側には、物体側面が凹面のメニスカスレンズが配置されている。なお、各レンズ群の具体的なレンズ構成は
図31に示すとおりである。また、広角端から望遠端にかけて変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が大きくなり、且つ、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が小さくなるようにレンズ群が移動する。変倍時において、第3レンズ群G3と第5レンズ群とが同一の軌跡で移動する。無限遠から近距離物体へのフォーカシングの際には、第4レンズ群G4が像面側に移動する。望遠端における手ぶれ補正状態での防振群VCの光軸に対して垂直方向への移動量は0.451mmである。
【0127】
図32〜
図34に、本実施例7のズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図をそれぞれ示す。
図35は望遠端における横収差図である。表19〜表22は具体的数値を適用した数値実施例7のレンズデータであり、表1〜表3に示す数値データと同様であるため、各表に関する説明は省略する。
【0128】
また、当該実施例7のズームレンズ系において、広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態におけるFナンバー(FNO.)、全系の焦点距離(f)、半画角(ω(°))は以下のとおりである。なお、下記式において、右側から順に広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における各数値をハイフン(−)を介して示している。
【0129】
FNO.= 4.12 − 4.12 − 4.12
f = 72.14 −120.11 −203.68
W = 11.00 − 6.48 − 3.83
【0130】
【表19】
【0131】
【表20】
【0132】
【表21】
【実施例8】
【0133】
次に、実施例8のズームレンズの光学系を図面を参照して説明する。
図36は、本実施例8のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。実施例8のズームレンズは、実施例1のズームレンズと略同様の構成を有し、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有する第3レンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、負の屈折力を有する第5レンズ群G5を有し、第2レンズ群と第3レンズ群との間に絞りSが配置されている。また、第3レンズ群は、単正レンズから構成される防振群VCを有し、第4レンズ群G4は像面側が凹面のメニスカス形状を呈する接合レンズから構成されており、第4レンズ群G4がフォーカス群Fとして機能する。さらに、第5レンズ群の最も物体側には、物体側面が凹面のメニスカスレンズが配置されている。なお、各レンズ群の具体的なレンズ構成は
図36に示すとおりである。また、広角端から望遠端にかけて変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が大きくなり、且つ、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が小さくなるようにレンズ群が移動する。変倍時において、第3レンズ群G3と第5レンズ群とは像面に対して固定である。無限遠から近距離物体へのフォーカシングの際には、第4レンズ群G4が像面側に移動する。望遠端における手ぶれ補正状態での防振群VCの光軸に対して垂直方向への移動量は0.398mmである。
【0134】
図37〜
図39に、本実施例8のズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図をそれぞれ示す。
図40は望遠端における横収差図である。表22〜表24は具体的数値を適用した数値実施例8のレンズデータであり、表1〜表3に示す数値データと同様であるため、各表に関する説明は省略する。
【0135】
また、当該実施例8のズームレンズ系において、広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態におけるFナンバー(FNO.)、全系の焦点距離(f)、半画角(ω(°))は以下のとおりである。なお、下記式において、右側から順に広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における各数値をハイフン(−)を介して示している。
【0136】
FNO.= 4.12 − 4.12 − 4.12
f = 72.08 −120.11 −203.44
W = 11.02 − 6.49 − 3.82
【0137】
【表22】
【0138】
【表23】
【0139】
【表24】
【実施例9】
【0140】
次に、実施例9のズームレンズの光学系を図面を参照して説明する。
図41は、本実施例9のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。実施例9のズームレンズは、実施例1のズームレンズと略同様の構成を有し、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有する第3レンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、負の屈折力を有する第5レンズ群G5を有し、第2レンズ群と第3レンズ群との間に絞りSが配置されている。また、第3レンズ群は、単正レンズから構成される防振群VCを有し、第4レンズ群G4は像面側が凹面のメニスカス単負レンズから構成されており、第4レンズ群G4がフォーカス群Fとして機能する。さらに、第5レンズ群の物体側から二枚目に、物体側面が凹面のメニスカスレンズが配置されている。なお、各レンズ群の具体的なレンズ構成は
図41に示すとおりである。また、広角端から望遠端にかけて変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が大きくなり、且つ、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が小さくなるようにレンズ群が移動する。変倍時において、第3レンズ群G3と第5レンズ群とは像面に対して固定である。無限遠から近距離物体へのフォーカシングの際には、第4レンズ群G4が像面側に移動する。望遠端における手ぶれ補正状態での防振群VCの光軸に対して垂直方向への移動量は0.586mmである。
【0141】
図42〜
図44に、本実施例9のズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図をそれぞれ示す。
図40は望遠端における横収差図である。表25〜表27は具体的数値を適用した数値実施例9のレンズデータであり、表1〜表3に示す数値データと同様であるため、各表に関する説明は省略する。
【0142】
また、当該実施例9のズームレンズ系において、広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態におけるFナンバー(FNO.)、全系の焦点距離(f)、半画角(ω(°))は以下のとおりである。なお、下記式において、右側から順に広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における各数値をハイフン(−)を介して示している。
【0143】
FNO.=4.12−4.12−4.12
f =72.10−120.03−203.58
W =10.87−6.40−3.74
【0144】
【表25】
【0145】
【表26】
【0146】
【表27】
【0147】
表28に、上記実施例1〜実施例9の各条件式(1)〜条件式(6)に記載の数式に対応する各数値を示す。
【0148】
【表28】