特許第6377400号(P6377400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6377400
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/00 20180101AFI20180813BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20180813BHJP
   F21V 9/00 20180101ALI20180813BHJP
   F21V 14/06 20060101ALI20180813BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20180813BHJP
   F21V 25/04 20060101ALI20180813BHJP
   F21W 107/10 20180101ALN20180813BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20180813BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20180813BHJP
【FI】
   F21S41/00
   F21V5/00 600
   F21V9/00
   F21V14/06
   F21V23/00 113
   F21V25/04
   F21W107:10
   F21W102:00
   F21Y115:10
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-96931(P2014-96931)
(22)【出願日】2014年5月8日
(65)【公開番号】特開2015-215975(P2015-215975A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2017年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 俊明
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−087811(JP,A)
【文献】 特開2011−108412(JP,A)
【文献】 実開平05−075908(JP,U)
【文献】 特開2011−086432(JP,A)
【文献】 特開2013−161536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
F21V 5/00
F21V 9/00
F21V 14/06
F21V 23/00
F21V 25/04
F21W 102/00
F21W 107/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源から出射された光を前方に出射させる投影レンズと、をそれぞれ含み、それぞれがなす照射領域を組み合わせて配光パターンを形成する複数の灯具ユニットを有し、
少なくとも一つの前記灯具ユニットは、前記投影レンズを上下方向に傾けるレンズ駆動機構を有し
前記灯具ユニットは、少なくとも前記光源を支持する光源ホルダと、前記光源ホルダに固定されたレンズホルダを有し、
前記レンズ駆動機構は前記投影レンズを前記レンズホルダに対して傾斜可能に構成されている、車両用灯具。
【請求項2】
前記投影レンズの正面視の面積が1000mm以下である、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記投影レンズは樹脂製である、請求項1または請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記レンズ駆動機構に、前記光源から出射された光を検出するセンサがり付けられている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記光源は、半導体発光素子と、前記半導体発光素子から出射された光を受けて蛍光を発する蛍光体を含む蛍光層と、を有し、
前記センサは、前記半導体発光素子が出射する光の強度および/または前記蛍光の強度を検出する、請求項4に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1などにより、それぞれが前方へ光を出射する複数の灯具ユニットを備えた車両用灯具が知られている。このような車両用灯具においては、それぞれの照射領域を組み合わせて、ロービーム配光パターンなどの配光パターンを形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-317513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような車両用灯具においては、それぞれの照射領域の正確な位置合わせが要求される。例えば、ロービーム配光パターンを形成する場合、それぞれの照射領域の上辺が互いに上下方向にずれてしまうと、カットオフラインに段差が生じ、ユーザに違和感を与えてしまう。
このため、それぞれの照射領域を正確に組み合わせるためには、灯具をなす部品に高い寸法精度が求められたり、高い組立精度が求められる。
そこで本発明は、複数の灯具ユニットの照射領域を組み合わせて配光パターンを形成する車両用灯具において、それぞれの照射領域の上下位置を正確に位置合わせできる車両用灯具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る車両用灯具は、
光源と、前記光源から出射された光を前方に出射させる投影レンズと、をそれぞれ含み、それぞれがなす照射領域を組み合わせて配光パターンを形成する複数の灯具ユニットを有し、
少なくとも一つの前記灯具ユニットは、前記投影レンズを上下方向に傾けるレンズ駆動機構を有している。
【0006】
本発明に係る車両用灯具によれば、組立精度を高めなくても、レンズ駆動機構によって照射領域のずれを解消させて、狙った形状の配光パターンを形成できる。
【0007】
上記本発明の車両用灯具において、
前記投影レンズの正面視の面積が1000mm以下であってもよい。
一般に、小さいレンズを使った小型の灯具ユニットを多数用いた車両用灯具ユニットでは、照射領域のずれが生じやすい。しかし、本発明によれば、レンズ駆動機構を使って、多数の照射領域を組み合わせた配光パターンを狙った形状となるように位置合わせできる。また、投影レンズが軽量になるため、レンズ駆動機構の駆動力を小さくできる。
【0008】
上記本発明の車両用灯具において、
前記投影レンズは樹脂製であってもよい。
投影レンズが軽量になるため、必要となるレンズ駆動機構の出力を小さくできる。
【0009】
上記本発明の車両用灯具において、
前記レンズ駆動機構に、前記光源から出射された光を検出するセンサが取り付けられていてもよい。
本発明によれば、センサによって光源の不良を検出できる。また、センサを支持する構造を別途用意することなく車両用灯具にセンサを設けることができる。
【0010】
上記本発明の車両用灯具において、
前記光源は、半導体発光素子と、前記半導体発光素子から出射された光を受けて蛍光を発する蛍光体を含む蛍光層と、を有し、
前記センサは、前記半導体発光素子が出射する光の強度および/または前記蛍光の強度を検出してもよい。
蛍光層が破損すると、半導体発光素子からの光の強度が高くなったり、蛍光が弱くなったりする。本発明によれば、センサによって蛍光層が破損したことを検出できる。
【発明の効果】
【0011】
上記本発明に係る車両用灯具によれば、複数の灯具ユニットの照射領域を組み合わせて配光パターンを形成する車両用灯具において、それぞれの照射領域の上下位置を正確に位置合わせできる車両用灯具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る車両用灯具の正面図である。
図2図1のII−II線矢視図である。
図3図1のIII−III線矢視図である。
図4図1に示した車両用灯具が形成する配光パターンを示す図である。
図5】本発明の変形例1に係る車両用灯具の一部を示す図である。
図6】本発明の変形例2に係る車両用灯具の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る車両用灯具について、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態の車両用灯具は、車両前部に設けられる灯具である。
【0014】
図1は、本実施形態に係る車両用灯具1の正面図である。図2は、図1のII−II線矢視図である。なお、図1では、エクステンション6(図2参照)を省略して描いている。
図1に示した車両用灯具1は、車両前部の左部に配置される。車両用灯具1は、複数の(図示の例では3つ)灯具ユニット10を有している。複数の灯具ユニット10は、水平方向に配列されている。車両用灯具1は、3つの灯具ユニット10がなす照射領域を組み合わせてロービーム配光パターンを形成する。
【0015】
図2は、図1のII−II線断面図である。図2に示すように、車両用灯具1は、前方に開口部を有するハウジング2と、開口部を閉塞してハウジング2とともに灯室Sを形成するアウターカバー3とを備えている。灯室Sの内部に、灯具ユニット10が設けられている。灯具ユニット10は、支持基板15に支持されている。支持基板15は、エイミングスクリュー5を介してハウジング2に固定されている。
【0016】
灯具ユニット10は、光源ユニット11と、リフレクタ12と、シェード部13と、投影レンズ14と、支持基板15と、光源ホルダ16と、レンズホルダ17とを備えている。
【0017】
光源ユニット11は、レーザーダイオード11aと、蛍光層11bを備えている。レーザーダイオード11aは、光源ホルダ16の上面に搭載されている。蛍光層11bは、レーザーダイオード11aの上面を覆うように、光源ホルダ16の上面に搭載されている。レーザーダイオード11aは青色の光を出射する。レーザーダイオード11aから発した光の一部は蛍光層11bを通過するときに黄色の蛍光を発し、他の一部は蛍光層11bを通過する。これにより、光源ユニット11は、青色の光と黄色の光を混色して白色の光を出射する。
【0018】
リフレクタ12は、光源ユニット11の上方を覆うように、光源ホルダ16の上面に固定されている。リフレクタ12は、回転楕円面状の反射面を有する。リフレクタ12は、光源ユニット11からの出射光を投影レンズ14に向けて反射させる。
【0019】
投影レンズ14は、樹脂製のレンズである。投影レンズ14は、光源ユニット11の前方に配置されている。投影レンズ14は、光源ホルダ16の前面に固定されたレンズホルダ17に固定されている。投影レンズ14は、光源ユニット11から出射された光を前方に出射させる。
投影レンズ14は、入射した光を前方に出射させるレンズ部14aと、レンズ部14aの後端部から径方向に広がるフランジ部14bを有している。レンズ部14aは、正面視で1000mm以下の面積を有する。このレンズ部14aの正面視の面積は、500mm以下とすることが好ましい。図示したレンズ部14aの正面視の面積は、300mmである。
【0020】
光源ホルダ16の前上部は切り欠かれた形状を有し、その稜線がシェード部13とされている。シェード部13は、後述するロービーム配光パターンのカットオフラインに対応する形状とされている。
【0021】
光源ユニット11から出射された光は、リフレクタ12で投影レンズ14に向けて反射され、投影レンズ14によって灯具前方に出射される。シェード部13は、このリフレクタ12の反射光の一部を遮り、ロービーム配光パターンのカットオフラインを形成する。
【0022】
(レンズ駆動機構)
図3は、図1のIII−III線矢視図である。図3に示すように、灯具ユニット10は、レンズ駆動機構20を有している。レンズ駆動機構20は、複数の調整ネジ21と、複数のバネ22とを有している。投影レンズ14は、これらの調整ネジ21およびバネ22を介して、レンズホルダ17に支持されている。レンズホルダ17は、円環状の金属板である。
【0023】
フランジ部14bには、調整ネジ21が貫通される貫通穴24が設けられている。レンズホルダ17には、調整ネジ21がねじ込まれるねじ孔25が設けられている。調整ネジ21は、フランジ部14bの貫通穴24を貫通し、レンズホルダ17のねじ孔25にねじ止めされている。図2に示すように、正面視で調整ネジ21を覆うようにエクステンション6が設けられ、外部から調整ネジ21が見えなくされている。
【0024】
フランジ部14bとレンズホルダ17の互いに向かい合う面にそれぞれ、互いに向かって開口する凹部26が設けられている。バネ22は、フランジ部14bの凹部26とレンズホルダ17の凹部26の間に前後方向に圧縮された状態で収容されている。バネ22は、投影レンズ14とレンズホルダ17に互いに離間させる力を作用させている。
【0025】
図1に示したように、調整ネジ21は、正面視でフランジ部14bの上部、下部、左部、右部に設けられている。このため、例えば上部の調整ネジ21をねじ込み、下部の調整ネジ21を緩めると、投影レンズ14を上方に傾けることができる。
【0026】
なお、本実施形態のレンズ駆動機構20は、上下方向のみならず、投影レンズ14を左右方向に傾けたり、投影レンズ14とシェード部13との距離を調整することができる。例えば、左部の調整ネジ21をねじ込み、右部の調整ネジ21を緩めると、投影レンズ14を左方に傾けることができる。例えば、全ての調整ネジ21を同じ程度ねじ込むことにより、投影レンズ14をシェード部13に近づけることができる。
【0027】
このように、本実施形態の車両用灯具1によれば、灯具ユニット10がレンズ駆動機構20を有するので、灯具ユニット10がなす照射領域の位置を調整することができる。
【0028】
(光センサ)
図2および図3に示すように、レンズ駆動機構20は光センサ18を有している。光センサ18はレンズホルダ17の上部に取り付けられている。光センサ18は、レーザーダイオード11aから出射される光の強度を検出可能である。光センサ18は、レーザーダイオード11aの出力を制御する制御部と接続されている。
この制御部は、灯室S内に設けても良いし、灯室Sの外に設けても良い。制御部は、車両用灯具1の一部としてもよいし、車両に搭載されたECU(Electric Control Unit)にその機能を組み込んでも良い。
【0029】
光センサ18とレーザーダイオード11aとの間には、光学フィルタ19が設けられている。図示の例では、光学フィルタ19はレンズホルダ17の上部で光センサ18の下方に固定されている。
光学フィルタ19は、レーザーダイオード11aから出射される光と同じ波長の光を透過させ、それ以外の波長の光を遮る。このため、光センサ18には、レーザーダイオード11aから出射される光と同じ波長の光が到達する。通常の点灯状態では、光センサ18には一定の強度の光が入射されている。
【0030】
光センサ18は、蛍光層11bの破損を検出可能である。蛍光層11bが破損すると、レーザーダイオード11aから出射された光が蛍光層11bで減衰されずに出射される。このため、光センサ18は、蛍光層11bが正常な場合と比べて、強い強度の光を受光する。このため、制御部は、光センサ18の出力値が閾値を超えたときに、レーザーダイオード11aの出力を低下させる、あるいは、レーザーダイオード11aの出力を停止させる。
【0031】
本実施形態によれば、光センサ18がレンズ駆動機構20の一部であるレンズホルダ17に設けられており、光センサ18を支持する構造物を別途設ける必要がない。
【0032】
なお、上述の実施形態では、光センサ18はレーザーダイオード11aが出射する光と同じ波長の光の強度を検出する例を説明したが、蛍光体が発する蛍光と同じ波長の光を検出する光センサ18を用いてもよい。この場合には、蛍光層11bが破損すると、光センサ18が受光する光の強度が大きくなる。
【0033】
(照射領域の調整)
次に、上述したレンズ駆動機構20を使って照射領域の位置を調整する方法を説明する。図4は、車両用灯具1の各々の灯具ユニットが形成する照射領域を示す図である。
図4の(a)は、3つの灯具ユニット10のなす照射領域により、ロービーム配光パターンを形成する例を示している。本実施形態では、それぞれの灯具ユニット10のなす照射領域が互いに左右方向にずれている。これにより、左右方向に幅広い範囲を照射可能としている。
【0034】
車両用灯具1を仮組した状態で、図4の(a)のように、互いの照射領域の上下方向の位置がずれていても、上述したレンズ駆動機構20を使って、互いのカットオフラインが一本の直線上に配置されるように、照射領域を移動させることができる。
例えば、本実施形態では、第一の灯具ユニット10が照射領域L1を形成し、第二の灯具ユニット10が照射領域L2を形成し、第三の灯具ユニット10が照射領域L3を形成する。図示したように、照射領域L1が適正な高さ位置に形成されている場合は、照射領域L2が下方に移動するように第二の灯具ユニット10の調整ネジ21のねじ込み量を調整する。また、照射領域L3が上方に移動するように第三の灯具ユニット10の調整ネジ21のねじ込み量を調整する。
これにより、照射領域L1〜L3のカットオフラインの上下方向の位置が揃い、運転者に違和感を感じさせない配光パターンを形成することができる。
【0035】
このように、本実施形態に係る車両用灯具1によれば、投影レンズ14や光源ユニット11などの部品精度や組立精度を高めなくても、レンズ駆動機構20によって照射領域のずれを解消させて、狙った形状の配光パターンを形成できる。
また、照射領域を動かすために灯具ユニット10全体を動かさず、投影レンズ14の姿勢のみを変更して照射領域を動かすことができる。つまり、レンズ駆動機構20は、投影レンズ14を動かすために必要な大きさの駆動力、および投影レンズ14をその姿勢で維持するための剛性を確保すればよい。このため、照射領域を動かすために灯具ユニット10全体を動かす場合と比べて、レンズ駆動機構20を小型に構成でき、車両用灯具1全体が大型化しにくい。
【0036】
また、本実施形態の車両用灯具1において、投影レンズ14の正面視の面積が1000mm以下である。一般に、小さいレンズを有する小型の灯具ユニットが多数搭載された車両用灯具では、それぞれの灯具ユニットのなす照射領域のずれが生じやすい。しかし、本実施形態に係る車両用灯具1によれば、レンズ駆動機構20を使って、多数の照射領域を狙った形状となるように位置合わせできる。また、投影レンズ14が軽量になるため、レンズ駆動機構20の駆動力を小さくできる。
【0037】
また、本実施形態の車両用灯具1において、投影レンズ14は樹脂製である。投影レンズ14が、ガラス製のレンズに比べて軽量になるため、投影レンズ14を駆動する力が小さくて済むので、レンズ駆動機構20を小さく構成できる。
【0038】
なお、上述の実施形態では、3つの灯具ユニット10が同じ形状の照射領域を形成する場合を説明したが、3つの灯具がそれぞれ異なる形状の照射領域を形成してもよい。
【0039】
図4の(b)は、3つの灯具ユニット10がそれぞれ異なる形状の照射領域を形成し、3つの照射領域で一つの配光パターンを形成する場合を示す。図示の例では、第一の灯具ユニット10がロービーム配光パターンをなす第一照射領域Lを形成し、第二の灯具ユニット10がハイビーム配光パターンをなす第二照射領域Hを形成し、第三の灯具ユニット10が自車両の近くの路面を照らすのに最適な補助配光パターンをなす第三照射領域Aを形成する。車両用灯具1は、これらの第一〜第三照射領域L〜Aを組み合わせて、視認性が高い配光パターンを実現する。
【0040】
この例において、車両用灯具1を仮組みした状態で、第一照射領域Lの中心位置CL、第二照射領域Hの中心位置CH、第三照射領域Aの中心位置CAの上下位置が互いにずれていた場合でも、レンズ駆動機構20を使って、第一から第三照射領域L〜Aを最適な位置に形成することができる。また、図3に示したレンズ駆動機構20を用いれば、左右方向の位置ずれも調整することができる。
【0041】
投影レンズを上下方向に傾けるレンズ駆動機構は、上述した構成のものに限られない。図5は、本発明の変形例1に係る車両用灯具1Aの一部を示す図である。図5において、(a)は車両用灯具1Aの一部の正面図、(b)は車両用灯具1Aの一部の側面図である。図5に示すように、レンズ駆動機構20Aは、投影レンズ14のフランジ部14bに設けられて水平方向に延びる回転軸部27と、上部の調整ねじ21と、下部の調整ねじ21を有している。上部および下部の調整ねじ21を調整することにより、投影レンズ14は回転軸部27回りに回転し、投影レンズ14を上下に傾けることができる。
【0042】
あるいは、レンズ駆動機構は、図6に示すように構成してもよい。図6は、本発明の変形例2に係る車両用灯具1Bの一部を示す図である。図6において、(a)は車両用灯具1Bの一部の正面図、(b)は車両用灯具1Bの一部の側面図である。図6に示したレンズ駆動機構20Bは、投影レンズ14のフランジ部14bに設けられて水平方向に延びる回転軸部27と、回転軸部27に歯車28を介して連結されたステップモータ29を備えている。ステップモータ29により回転軸部27を回転させることにより、投影レンズ14は回転軸部27回りに回転し、投影レンズ14を上下に傾けることができる。この場合、灯具または車両に設けた制御部によってレンズ駆動機構20Bを制御し、投影レンズ14の上下の傾きを調整することができる。
【0043】
なお、上述した実施形態では、正面視で円形のレンズ部を説明したが、正面視で矩形状、多角形状の投影レンズを採用しても良い。
【0044】
上述の実施形態では、半導体発光素子として、レーザーダイオードを用いた例を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、LED素子やEL素子を用いても良い。
【0045】
複数の灯具ユニットの数は、3つに限らない。車両用灯具は、2つ以上の任意の数の灯具ユニットを有してもよい。また、複数の灯具ユニットの配列方向は、水平方向に限らず、縦方向に配列させてもよいし、縦横にマトリクス状に配列させてもよい。
【0046】
さらに、上述した実施形態では、車両用灯具を仮組みした後に照射領域の位置を調整する例を説明したが、これに限られない。エンジンの始動時、車両用灯具の点灯時などに、照射領域の位置を合わせる制御を行ってもよい。
また、レンズ駆動機構を使って、点灯中に照射領域を動かして配光パターンを変化させてもよい。
【0047】
また、複数の灯具ユニット全てがレンズ駆動機構を含んでいなくてもよい。複数の灯具ユニットのうち、少なくとも一つがレンズ駆動機構を含んでいてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1,1A,1B:車両用灯具
2:ハウジング
3:アウターカバー
5:エイミングスクリュー
6:エクステンション
S:灯室
10:灯具ユニット
11:光源ユニット
11a:レーザーダイオード
11b:蛍光層
12:リフレクタ
13:シェード部
14:投影レンズ
14a:レンズ部
14b:フランジ部
15:支持基板
16:光源ホルダ
17:レンズホルダ
18:光センサ
19:光学フィルタ
20,20A,20B:レンズ駆動機構
21:調整ネジ
22:バネ
24:貫通穴
25:ねじ孔
26:凹部
27:回転軸部
28:歯車
29:ステップモータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6