(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
続いて、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
最近は、球研磨装置の負荷やその球供給制御の複雑化、あるいは研磨材の交換の手間やコストなどメンテナンス性の問題から、遊技島の規模を1台または2,3台の遊技機を備えた小規模な遊技島とし、その範囲内で限られた数の球を上手くリユースするような遊技装置が開発されている。ここで、遊技機は球として鋼球を用いるパチンコ機である。
【0014】
本発明の第1の実施の形態は、1台または2,3台の遊技機に対して1台の球研磨装置が設置される場合のものである。もちろん、球研磨装置は、1台の遊技機または横並びもしくは背中合わせに併設された2台の遊技機から構成される小規模の遊技島、あるいは数台の遊技機から構成される通常規模の遊技島のいずれにおいても使用可能である。
【0015】
図1は、小規模遊技島を構成する遊技装置Aが横並びに併設された2台の遊技機1A,1Bからなる場合に本発明の実施の形態に係る球研磨装置Bを設けた例を示す。
【0016】
球研磨装置Bは、遊技機1Bの下側に取付けられている。しかし、遊技機1Aの下側又は遊技機1A,1Bの境界の下側に取付けてもよい。なお、球研磨装置Bの取付位置は、遊技機の下側に限らず、遊技機の上側や内側でもよい。
【0017】
遊技装置Aを構成する2台の遊技機1A,1Bは、それぞれが一側において本体に開閉可能に軸支されたガラス扉2と前面板3とを有し、ガラス扉2の背面側に遊技盤4が設けられている。前面板3には、周知の球発射装置(図示省略)への球発射指令入力と球発射速度調節を行なう操作部5が設けられている。
【0018】
各遊技機1A,1Bには、片側(
図1では左側)に球貸し機8が設けられている。球貸し機8は、周知のものであり、表示ランプ8a、紙幣投入口8b、硬貨投入口8c、硬貨返却口8dおよびカード挿入口8eを有している。球貸し機8には隣接する遊技機に球を供給する球貸与管15が設けられている。
【0019】
図1において、16は上皿、17は下皿、18はロート、19は受け皿である。20は、遊技盤4に設けられた残存球数と賞球獲得数を表示するための表示部である。表示部20を設ける位置は、遊技盤4に限らず、遊技客の見やすい任意の位置でよい。上皿16と下皿17は、その中に収容されている球を外側から透視できる。
【0020】
図1の遊技装置Aにおいては、各遊技機1A,1Bからの落下球の回収機能、球研磨機能および遊技機への球供給機能がこの2台の遊技機において完結している。すなわち、各遊技機1A,1Bの遊技盤4から外れ球回収口h1および入賞口h2に入った球は、各遊技機の最下段のロート18に受け入れられ、そのロート18から球回収路30を経て、下部タンク31に一旦貯められた後、球研磨装置Bの後述される球入口129に流入し、後述のように球研磨装置B内で搬送され研磨された球は、球研磨装置Bの後述される球出口132から球揚送手段32の下端部に排出され、その球揚送手段32により上部タンク33まで揚送されるようになっている。
【0021】
上部タンク33に収容された球は、第1球補給管34を介して各遊技機1A,1Bの各受け皿19に、および第2球補給管35を介して球貸し機8の上端部に、それぞれ制御された数量を供給されるようになっている。
【0022】
[球研磨装置]
続いて、球研磨装置Bについて詳細に説明する。球研磨装置Bは、
図2に示すように、球搬送ユニット100と研磨材カセット200とから成っている。
【0023】
[球搬送ユニット]
球搬送ユニット100は、
図4および
図5に示すように、正面側に開口する箱状のハウジング110を有する。そのハウジング110の中に、一方側下部から他方側上部まで連続する球搬送手段120が設けられている。その球搬送手段120の手前側(正面側)に、研磨材カセット200を嵌合して固定することができる研磨材カセット収容空間111が形成されている。
【0024】
球搬送手段120は、主たる構成要素として、
図5に示すように、搬送ガイド121(第1搬送ガイド121Aと第2搬送ガイド121Bの総称)と、スクリューコンベア(以下、単にコンベアという。)122(第1コンベア122Aと第2コンベア122Bの総称)と、そのコンベアを所定方向に回転駆動する、第1駆動手段の一部であるモータ123と、コンベア122の回転を検知するための回転検知センサ124とを有する。
【0025】
搬送ガイド121は、横断面形状がコ字形または円弧状の縦長部材で形成され、研磨材カセット収容空間111の一方側下部から他方側上部まで斜めに連続する状態でハウジング110に固定されている。また、搬送ガイド121は、正面側に軸方向に連続する開口を有する。その開口は、球Cの直径よりもわずかに大きな幅を有するとともに、
図5に示すように、開口を形成する互いに対向する端縁121a,121bは平行に蛇行されている。搬送ガイド121の開口は、球Cの直径よりもわずかに小さな幅を有してもよい。
【0026】
コンベア122は、ハウジング110の内面に固着された左右の支持部材112に取付けられた軸受(図示省略)により搬送ガイド121の中心に回転軸122aを合致させた状態で回転可能に支持されている(
図6(a))。そして、搬送ガイド121はコンベア122を同心円状に包囲しており、搬送ガイド121の開口の蛇行端縁とコンベアとの間にコンベア122の軸方向に連続して蛇行する球通路P(
図6(b))が形成されている。コンベア122は、螺旋状の外周面が搬送ガイド121の内面に近接する外径を有し、コンベア122の回転軸122aの外周面と搬送ガイド121の内面との間の間隔は球Cの直径よりも僅かに小さく、スクリューのピッチは球Cの直径よりも僅かに大きく設定されている。
【0027】
モータ123は、ハウジング110の背面の
図4においては右側に突設されたケース113内に取り付けられ、そのモータ123の回転力が
図5に示される減速と伝動を兼ねる複数のギヤ125a,125b,125cを介してコンベア122の回転軸122a(
図6(a))に伝達されるように構成されている。
【0028】
ハウジング110の中には、後述される研磨材カセット200の研磨材移動手段207を駆動するための第2駆動手段であるモータ223が取付けられている。
図4,5の225は、そのモータ223の回転軸に固着されたギヤである。モータ223はハウジング110ではなく、研磨材カセット200に取付けられても良い。
【0029】
搬送ガイド121の一端側部分(
図5においては右端側部分)には、第1連絡路128の下端部が接続されている。第1連絡路128の上端部はハウジング110の上面壁において外側に開口されている球入口129と接続されている。これにより、
図6(b)に示すように、球入口129から入る球Cは第1連絡路128の中を流下して球通路Pの一端部に進入するようになっている。また、
図6(a)に示すように、第1連絡路128の上部の垂直部分128aを落下する球の衝撃を緩和し、円滑に球通路P内に進入できるように、第1連絡路128の下部内側に突出するリブ128bを形成するとともに、第1連絡路128の下部128cを若干湾曲させてある。これにより、球入口129より第1連絡路128に落下する球Cが搬送ガイド121およびコンベア122によるスパイラル搬送の開始位置へ確実に誘導される。
【0030】
搬送ガイド121の他端側部分(
図5においては左端側部分)にも、第2連絡路130の上端部が接続されている。第2連絡路130の下端部131はハウジング110の側面壁側に曲げられ、その先端がハウジング110の側面壁において外側に開口されている球出口132と接続されている。これにより、球通路Pを通過する球Cは第2連絡路130の中を通って球出口132から排出されるようになっている。
【0031】
球入口129には、
図1の下部タンク31の球供給管31aの下端部が結合される。球出口132は、
図1の遊技装置Aの球揚送手段32に結合される。
【0032】
モータ123とギア列125a〜125cとで、球搬送手段120のコンベア122を所定方向に回転させる駆動手段(第1駆動手段)が構成されている。コンベア122は球が斜めの球通路Pの下端部から上端部まで搬送されるように回転される。
【0033】
回転検知センサ124(
図5)は、図示を省略されているが、一例として、ハウジング110に取付けられた既知の光電センサと、コンベア122の回転軸の下方延長部分に固着されたエンコーダとで構成されている。この回転検知センサ124は、動作確認のために用いられるが、必要であれば、コンベア122の回転角度に基づいて球出口132から排出される球数を計数させることも可能である。球数を計数するための球数計数センサは、他の構成のものでよいし、別の位置に設けても良い。また、回転検知センサ124からの信号は、この球研磨装置の稼働を止める制御を行うために用いられる。
【0034】
そして、上記球搬送ユニット100は、ハウジング110の研磨材カセット収容空間111を遊技機の正面方向に向けた状態で遊技機内に収容され、ハウジング110の開口面の四隅に一体に形成された取付片133においてねじ止め等の固着手段により所定の位置に着脱可能に取付けられる。したがって、球研磨装置Bは、遊技装置Aに対して容易に取付けることができる。なお、球搬送ユニット100の取付方向は、遊技機の台数や構成による制約から任意に決められる。
【0035】
[研磨材カセット]
一方、研磨材カセット200は、
図7、8、9に示すように、密閉された略横長箱状に形成されたカセット本体201を有し、そのカセット本体201の研磨材収容空間202に無端帯状の研磨材203が蛇行状に詰めて収容されている。研磨材203は、蛇腹状から平面状を経て再び蛇腹状に繰り返し変形可能な研磨材料、例えば、長尺帯状の研磨布等で構成されている。
【0036】
研磨材203は、カセット本体201の正面壁(球搬送ユニット100のハウジング110の研磨材カセット収容空間111と対面する面の壁)204の一方側端部(
図8,9においては右側端部)に形成されている縦スリットからなる出口205から外側に引き出され、カセット本体201の正面壁204の外側面に沿って正面壁204の他方側端部(
図8,9においては左側端部)まで正面壁204を覆うように延長され、その正面壁204の他方側端部に形成されている縦スリットからなる入口206から再び研磨材収容空間202内に引き込まれている。すなわち、研磨材203はカセット本体201の正面側に露出され、垂直に緊張した状態を正面壁204により維持されている。なお、
図7では、図面の簡明化のため、研磨材203が省略されている。
図8,11に示すように、研磨材203のカセット本体201の正面側に露出されている一定の面積を有する長方形部分203aが、後述されるように球の研磨領域PFを提供する。
【0037】
図8,9に示すように、研磨材収容空間202内には、入口206の内側に研磨材203を所定方向に送る研磨材送り手段207が設けられている。研磨材送り手段207は、入口206の内側において回転軸を垂直にしたギヤピッチが等しい2本のギヤローラ208,209を、一方のギヤローラ208は固定の位置で、他方のギヤローラ209は一方のギヤローラ208に接近可能に付勢した状態で、それぞれ回転自在に、かつ、互いに歯が噛み合うように設けられ、一方のギヤローラ208の軸208cをカセット本体201の底面壁210を貫通して下方に延長し、その延長部に外部から回転力を受けるためのギヤ211を固着してなっている。そして、研磨材203はギヤローラ208,209の間を通され、付勢されているギヤローラ209により研磨材203に永久変形が生じない程度の力でギヤローラ208,209の間に挟圧されている。
【0038】
カセット本体201は、
図7に示すように、高さ方向のほぼ中間位置で上下の箱体201a、201bに二分割して構成されている。なお、箱体の分割構造は必ずしも等分に限らず、器と蓋の形態でもよい。
図8,9は、
図7の上下の箱体を境界面で分離し、研磨材203およびギヤローラ208,209をその境界面において切断して示す図である。上下の箱体201a、201bをその開口面の周縁を突き合わせ、両箱体201a、201bの周縁の四隅に形成してある舌片においてねじ212等により結合することにより、
図7に示すような単一体に形成されている。通常の作業としては、単一体として入れ替えができるため、メンテナンスが容易である。そして、二つに分けた状態で、研磨材収容空間202の研磨材203の交換が可能になる。したがって、研磨材203および研磨材カセット201のリサイクル性に優れる。
【0039】
球搬送ユニット100のハウジング110の中間に形成されている研磨材カセット収容空間111は、研磨材カセット200のカセット本体201の背面形状とほぼ同一の背面形状を有する。したがって、研磨材カセット200は、
図10、
図2、
図3に示すように、球搬送ユニット100の研磨材カセット収容空間111に緊密に嵌合することができる。球搬送ユニット100のハウジング110には、研磨材カセット収容空間111の所定の位置に嵌合された研磨材カセット200を捕捉して固定する周知のキャッチ手段134(
図2,4,5,10参照)が設けてある。
【0040】
研磨材カセット200を球搬送ユニット100の研磨材カセット収容空間111に嵌合して固定すると、球搬送ユニット100の搬送ガイド121とコンベア122により形成されている斜めの球通路Pが研磨材カセット200のカセット本体201の外側に露出されている研磨材203(203a)に近接する。この場合、球通路Pが研磨材203に近接する範囲は、球通路Pを搬送される球が研磨材203に接触する研磨領域PFとなるが、その研磨領域PFは
図11に鎖線で示すように、研磨材203のカセット本体外側に露出されている長方形部分203aの対角線に近い位置の斜め帯状の範囲であって、上端は長方形部分203aの上辺203bよりも低い位置に存在し、下端は長方形部分203aの下辺203cよりも高い位置に存在するように、長方形部分203aの寸法および球通路Pの傾斜角度が設定されている。
【0041】
この場合、
図9,11に示すように、研磨材カセット200の正面壁204の上端部及び下端部に、正面方向にわずかに突出するリブ204a,204bを設けて、研磨材203の上下振動を防止すれば、球がその研磨領域において研磨材の幅方向両端を避けた範囲で斜め逆方向または斜め順方向に搬送されるので、研磨材の端縁が捲られたり、研磨材の幅方向中間位置において捩れが発生したりすることが確実に防止される。
また、リブ204a,204bを設けた場合は、研磨材203と正面壁204の間への異物混入を防止できるので、異物により研磨材203が傷ついたり、変形したりして、出口205や出口206で研磨材203が引っかかったりすることがない。
【0042】
また、研磨材カセット200を球搬送ユニット100の研磨材カセット収容空間111に嵌合したときは、研磨材送り手段のギヤ211が球搬送ユニット100に設けられた第2駆動手段のギヤ225と噛み合う。
【0043】
[稼働時の作用および効果]
続いて、稼働時の作用を説明する。第1駆動手段(123)および第2駆動手段(223)が稼働されると、コンベア122が所定方向に回転されて、
図10,11に太い矢印で示すように、ハウジング110の球入口129から第1連絡路128を経て球通路Pの始端に流下した球は、球通路Pを斜め上方に搬送されるとともに、研磨材カセット200の外側に露出されている研磨材203は球Cの搬送方向と逆方向の水平方向に移動される。すなわち、研磨材が研磨領域PFにおいて水平方向に移動されるのに対して、球Cは研磨領域PFにおいて研磨材の移動方向と逆方向の斜め上方に搬送され、その間に球Cが研磨材203に接触して研磨される。
【0044】
球の搬送速度を例示すると、88.0mm/秒であり、研磨材の移動速度を例示すると、14.6mm/秒であるが、これらはいずれも要求される仕様や各種条件により変更されるので、容易に設定可能であることが望ましい。
【0045】
球通路Pの終端まで搬送された球Cは、第2連絡路130を経て球出口132から球搬送ユニット100の外側に排出される。
【0046】
そして、球は研磨領域において研磨材の移動方向と逆方向の斜め上方に搬送されるので、研磨材との接触距離を長く取ることができるため、研磨効率が向上する。また、球通路Pは若干蛇行しているので、球Cの球面全体が満遍なく研磨材203に接触されるので、一層効率良く研磨される。また、球Cの研磨材203に対する接触範囲は研磨材の上端と下端を避けた範囲に限定されているので、球がとくに研磨材の下端に接触して捲り上げることが無い。さらに、球は斜め上方に搬送されるので、研磨材が幅方向中間位置において捩られることも抑制されている。
【0047】
[他の実施の形態]
上記の実施の形態においては、
図11に示されるように、球が研磨材の移動方向に対して逆方向の斜め上方に搬送されるようにしたが、他の実施の形態として、球が研磨材の移動方向に対して逆方向の斜め下方に搬送されるようにしてもよいし、球が研磨材の移動方向に対して順方向の斜め上方または斜め下方に搬送されるようにしてもよい。コンベア122の回転速度および/又は研磨材移動速度を調整することにより、球の研磨効果を変えることができる。
【0048】
さらに、研磨材の捲れを防止する目的を達成するため、上記実施の形態においては、
図11に示されるように、球の研磨材に対する接触範囲を研磨材の移動方向に対して斜めの一本の帯状に形成したが、他の実施の形態として、
図12,13に示すように、球Cの研磨材203に対する接触範囲を研磨材203の移動方向に対して略V字状に形成することもできる。以下、この実施の形態について説明する。
【0049】
この実施の形態においては、研磨材カセット200は先の実施の形態と同一であるが、球搬送ユニット100の中には、第1搬送ガイド121Aと第1コンベア122Aとで研磨材203の移動方向に対して斜め逆方向の第1球通路PAが形成されるとともに、第2搬送ガイド121Bと第2コンベア 122Bとで研磨材203の移動方向に対して斜め順方向の第2球通路PBが形成され、第1球通路PAの他端部(下流側端部)と第2球通路PBの一端部(上流側端部)は第3連絡路135により連絡されている。こうして、第1球通路PAと連絡路135と第2球通路PBとで、横転V字形に連続する球通路が形成されている。
【0050】
そして、第1球通路PAの一端部(上流側端部)は第1連絡路128を介してハウジング110の上面に開口されている球入口129に連通されている。また、第2球通路PBの他端部(下流側端部)は第2連絡路130を介してハウジング110の側面に開口されている球出口132に連通されている。
【0051】
第1コンベア122Aと第2コンベア122Bの近接する端部にはそれぞれ互いに噛み合うギヤ126が設けられ、そのいずれか一方にハウジング110に取付けられているモータ(図示省略)に固着されているギヤが噛合されている。なお、
図12には、第2駆動手段の一部である研磨材カセット200のギヤ211と噛み合うハウジング110側のギヤが省略されている。
【0052】
上記構成により、研磨材カセット200を球搬送ユニット100の研磨材カセット収容空間111に嵌合した状態でこの球研磨装置が稼働されると、
図13に示すように、研磨材カセット200の正面の研磨材203が水平方向の一方向(
図13では左方向)に移動されるのに対して、球入口129から流入する球は、研磨材203の上端と下端を除いた範囲において、第1球通路PAを研磨材203の移動方向と逆方向に斜め下方向に搬送された後、第3連絡路135を経て第2球通路PBを研磨材203の移動方向と順方向に斜め下方向に搬送され、球出口132に排出される。すなわち、球は略横転V字形に沿って搬送され、その間に研磨材203に接触して研磨される。
【0053】
この実施の形態によれば、球通路の長さを先の実施の形態における研磨材の露出面積と同じ面積において、先の実施の形態における球通路の2倍の長さを確保することができるので、球研磨効果の向上が可能である。別の観点から見ると、球通路の長さが半分で同一の球研磨効果を得ることができる。
【0054】
図示の実施の形態では、球通路を研磨材の移動方向に開口する略横転V字形に形成し、球を第1球通路PAでは研磨材の移動方向と逆方向に斜め下方向に搬送し、第2球通路PBでは研磨材の移動方向と順方向に斜め下方向に搬送したが、球通路を研磨材の移動方向と反対方向に開口する略横転V字形に形成するとともに、球入口129および球出口132の位置を変えて、第1球通路PAでは研磨材の移動方向と順方向に斜め下方向に搬送し、第2球通路PBでは研磨材の移動方向と逆方向に斜め下方向に搬送するようにしてもよい。
【0055】
いずれの場合も、球は研磨材の上端と下端を除いた範囲において研磨材の移動方向と逆方向および順方向に斜め下方向に搬送されるので、研磨材の上端と下端が搬送される球により捲られたり、中間部が捩られたりすることが無くなり、しかも、球研磨効率が向上する。
【0056】
球通路の長さを長くするためには、球通路を上記の横転V字形にするほか、変形Z字形またはW字形などにしてもよい。
【0057】
好ましい実施の形態においては、
図14に示すように、研磨材カセット200の正面壁204の研磨材203を支持する面に、コンベア122により搬送される球Cが研磨材203に加える力より適度に凹むクッション材213が設けられている。
【0058】
このようなクッション材213を使用することにより、搬送される球がクッション材213の凹みにより研磨材203との接触面積が広くなるので、よりよい研磨効果が得られる。
【0059】
さらに好ましい実施の形態では、
図15に示すように、クッション材213は、平坦な基材213aの表面に研磨材203の移動方向に斜めに立つ起毛213bを配置して構成されている。起毛213bは研磨材203の移動方向に斜めに立つので、研磨材203の送り方向に対しては小さい負荷となり、その逆方向には大きな負荷となるので、研磨材203の捲れを防止する効果を奏する。
【0060】
この場合、起毛213bは、起毛213bの長さをY、球圧による起毛213bの沈み量をXとすると、Y>Xの関係が成り立つような弾性を有する材質であることが好ましい。
【0061】
[さらに他の実施の形態]
(1)研磨材カセットの出口における研磨材の巻き込み防止
研磨材カセット200の中に収容されている研磨材203は、カセット本体201の出口205から引き出され、カセット本体201の正面壁204の外側面に沿って張設され、カセット本体201の出口205とは反対側の入口206から再び研磨材カセット200の中に入り、研磨材送り手段207により引き込まれ、蛇腹状に折り畳まれて収容されるが、好ましい実施の形態においては、
図8,9および
図19(a)に示されているように、出口205よりも内側に、研磨材収容空間202を形成している壁のうち、出口205側の一対の壁(終端壁2051,2052)を先端側が先細りとなるように傾斜させ、かつ、その先端を研磨材収容空間202方向に平行に折り返し、かつ、その折り返した先端に
図19(b)に拡大して示すように、円棒2051a、2052aが形成してあり、その一対の円棒2051a、2052aの間に,言わば内側の出口205’が形成されている。
【0062】
出口205側の終端壁2051,2052を先端側が先細りとなるように傾斜させ、かつ、その先端を研磨材収容空間202方向に平行に折り返した場合は、研磨材収容空間202内の研磨材203が出口205に引き出される際の研磨材203の巻き込みを防止することができる。さらに、終端壁2051,2052の折り返した先端に円棒2051a、2052aを形成して、その一対の円棒2051a、2052aの間に内側の出口205’を形成した場合は、研磨材203が引き出される際の巻き込みをより良く防止することができる。
【0063】
(2)研磨領域における研磨材の偏在防止
そして、内側の出口205’から出口205側の終端壁2052に引き出されている研磨材203に、カセット本体201の出口205側の外壁面に固着されている、薄い金属板又は合成樹脂板で形成された付勢部材213の先端が終端壁2052に向けて押圧されている。これにより、カセット本体201の正面壁204の外側面(研磨領域)に沿って張設されている研磨材203に適度な緊張が付与されている。したがって、搬送される球Cが研磨領域における研磨材203Aに接触する際の力により研磨材203Aが偏在されることが防止される。
【0064】
なお、付勢部材213が導電性を有するものである場合は、研磨材203に球研磨の際、その他の原因により発生することがある静電気を除去するアースとして機能することが可能である。これは、球研磨効率の向上に資する。
【0065】
(3)研磨材カセットの入口における研磨材の巻き込み防止
図20は、
図8の左側部分の拡大図である。
図20において、2010Aは研磨材収容空間202に引き込まれる研磨材203がギヤローラ208に巻き込まれるのを防止するための研磨材ガイドであり、2010Bは引き込まれる研磨材203がギヤローラ209に巻き込まれるのを防止するための研磨材ガイドである。それぞれねじ2010a、2010bによりカセット本体201の底面壁に固着されている。
【0066】
しかし、上記の実施の形態においては、研磨材ガイド2010A、2010Bのいずれも、ギヤローラ208、209の外周面から外側に若干離間され、その間に隙間2011a、2011bが存在するため、例えば、ギヤローラ208に巻き付いた研磨材203が隙間2011aに巻き込まれる虞がある。
【0067】
図20は、研磨材収容空間202に引き込まれる研磨材203のそのような巻き込みを確実に防止できるようにした一例を示す。
図20の部材と対応する部材には同じ符号を付す。回転により研磨材203を挟圧して入口126から研磨材カセット201の研磨材収容空間202内に引き込む一対のギアローラ208,209は、その外周の歯208a,209aを、軸方向の等しい距離において、好ましくは複数の等距離の位置において環状に切欠してスリット208b,209bを形成してある。
【0068】
また、好ましい実施の形態における研磨材ガイド2010A,2010Bは、基本形状は
図20に示されたものと同一であるが、各研磨材ガイド2010A, 2010Bのギアローラ208,209の外周面の一部に近接する円弧壁2012a,2012bのギアローラ208,209と対向する面に、ギアローラ208,209の各スリット208b,209bに嵌合して、各ギアローラ208,209と円弧壁2012A,2012Bの先端との間の隙間2011a,2011bをギアローラ208,209の軸方向の複数個所において塞ぐ隙間塞ぎ部材2013a,2013b、例えば、ギアローラ208,209の軸208c,209cを嵌合させる円弧状の切欠1014a,1014bを有する邪魔片1015a,1015bを円弧壁2012a,2012bの凹面に突設してある。
【0069】
上記構成により、
図21(
b)に示すように、両ギアローラ208,209の互いに反対側に研磨材ガイド2010A, 2010Bを近接して設置し、各研磨材ガイド2010A, 2010Bの各隙間塞ぎ部材2013a,2013bを各ギアローラ208,209の各スリット208b,209bに嵌合したときは、ギアローラ208と研磨材ガイド2010Aの間の隙間2011aおよびギアローラ209と研磨材ガイド2010Bの間の隙間2011bの研磨材収容空間202側の端部がそれぞれ隙間塞ぎ部材2013a,2013bによって塞がれる。
【0070】
したがって、
図21(c)に示すように、両ギアローラ208,209によって研磨材収容空間202側に引き込まれる研磨材203がギアローラ208と研磨材ガイド2010Aの間の隙間2011a又はギアローラ209と研磨材ガイド2010Bの間の隙間2011bに巻き込まれることが確実に防止される。
【0071】
(4)研磨材カセットの入口における研磨材のダメージ軽減ギアローラ208,209の長さがこれにより挟持されて研磨材カセット201の研磨材収容空間202内に引き込まれる研磨材203の幅(高さ寸法)よりも長い場合は、研磨材送り時にギアローラ208,209に挟み込まれた研磨材203の両端部分のダメージが大きく、ホツレが発生する虞がある。これを防止するため、好ましい実施の形態においては、
図21(c)に示すように、ギアローラ208,209の長さを研磨材203の幅よりも若干短くして、研磨材203の両端部分がギアローラ208,209に挟み込まれないようにしてある。したがって、研磨材203の寿命が延びる。
【0072】
(5)球搬送精度の向上
図5および
図10に示すように、搬送ガイド121は、これをハウジング110に固定するための取り付け板121cを有する。その取り付け板121cに複数個のリブ121dを備え、そのリブ121dの下端を搬送ガイド121の上面に固着させてある。このリブ121dを設けることにより、搬送ガイド121が補強され、球通路Pの不要な広がりが防止されている。図示の例では、搬送ガイド121の上側部分に取り付け板121cが設けられ、リブ121dが搬送ガイド121の上部の凸部に形成されているが、取り付け板121cおよびリブ121dを設ける位置は特に限定されない。リブ121dにより球通路Pの不要な広がりが防止されているので、球の搬送精度が向上し、遊技者が万一、径の大きい不正球を使用する場合は、その不正球が遊技領域まで達することを防止することができる。
【0073】
以上の第1の実施の形態は、
図1の遊技機に球研磨装置を設置した例であるが、第2の実施の形態として、球研磨装置は非開放型遊技機に設置してもよい。
【0074】
非開放型遊技機は、
図18に例示するように、1台の遊技機1Cに対して1台の球研磨装置Bが設置されるものであり、球を遊技機内に予め封入し、遊技者が所定の発射位置に導かれた球を遊技盤表面側の遊技領域に向けて発射し、遊技領域を流下した球を回収して再び所定の発射位置に導くものである。遊技者は、遊技機もしくは遊技機ごとに設けられた球貸し機または会員カードやビジターカード等の記憶媒体に記憶されている遊技者が所有する遊技価値である持球データに基づき球を発射して遊技を行なう。球貸し機と通信可能な上位コンピュータに遊技機ごとの持球データを記憶させてもよい。また、遊技者が遊技機に付設された球貸し機にて球貸し操作を行なうことで、該操作に応じた貸球数のデータが持球データに加算され、遊技中は、発射された球に対応して持球データが減算され、各種入賞口に入賞した場合は、賞球数が持球数データに加算されるようになっている。
【0075】
すなわち、
図18に示すように、遊技機1Cは、遊技盤4の遊技領域に発射され、遊技領域を流下した球を外れ球回収口h1または入賞口h2等の各種入賞口を経由して、遊技盤4の裏面側に設けられた球回収部31(上部タンク)に回収し、その球回収部31に回収された球Cを球回収部31の下方に設けられた球研磨装置Bの球入口129に流入させ、球研磨装置B内で搬送され研磨された球を、球研磨装置Bの球出口132から流出させ、球揚送手段32により発射装置36の所定の発射位置37に導くように構成されている。なお、発射位置37は、
図18に示された例に限らず、他の任意の位置に設けることができる。
【0076】
(6)球研磨装置(球搬送ユニット100)の球排出機構
球研磨装置B内で搬送され研磨された球が球出口132から排出される前に、球を発射位置に導くことなく球研磨装置Bの外部に球を強制的に排出させるための球排出機構を設けることが好ましい。球排出機構の例として、「取り外しタイプ」と「スライドタイプ」があり得る。球の強制排出の目的は、球研磨装置B(球搬送ユニット100)の交換、修理、点検などである。
【0077】
図16と
図17は、球排出機構の一例を示す。いずれも球搬送ユニット100の球出口132に備えたアタッチメント部材132A,132Bを操作して球通路Pの終端を球出口132に連通させる位置と、球通路Pの終端を球排出方向に連通させるものである。
【0078】
図16は、取り外しタイプの球排出機構を示す。
図16(a)に示すように、アタッチメント部材132Aが球搬送ユニット100の球出口132付近の所定の位置に装着してある間は、球出口132直前に形成してある穴132cを塞いで、球通路Pの終端が球出口132に連通されるが、
図16(b)に示すように、アタッチメント部材132Aが取り外されたときは、穴132bを下方に開放する。したがって、
図16(b)の状態で球搬送手段が稼働されるときは、球通路Pの終端から球が外部下方に排出される。なお、
図16の132a,132bはアタッチメント部材132Aを球搬送ユニット100のハウジング110に着脱自在に固定するための固定部材である。
【0079】
図17は、スライドタイプの球排出機構を示す。アタッチメント部材132Bは球出口132の下側において離間して平行に設けられた一対のホルダ132cにより昇降可能に、かつ、上昇された位置と下降された位置のいずれにも固定可能に保持されている。また、アタッチメント部材132Bは、片側面に開口し、続いて下方に湾曲した後、下方に開口する排出路132dを有し、その湾曲部分の上側にアタッチメント部材132Bが下降されたときは、球出口132の通路底面を形成し、かつ、排出路132dの湾曲面を有する先細のフィン132eを有する。
【0080】
図17(a)に示すように、アタッチメント部材132Bが下降位置に保持されている間は、球通路Pの終端がフィン132eにより球出口132に連通されるが、
図17(b)に示すように、アタッチメント部材132Bが上方にスライドされたときは、球通路Pの終端が排出路132dを経て下方に開放される。したがって、
図17(b)の状態で球搬送手段が稼働されるときは、球通路Pの終端から球が外部下方に排出される。
【0081】
このような球排出機構を設けた場合は、球研磨装置B(球搬送ユニット100)の交換、修理または点検の場合のほか、不正な球が混入されたために球搬送手段に異常が生じた場合などにも、遊技機内の全ての球を排出するため,または、球入口129の上流側にタンクを設けた場合は、そのタンクの球流出口を閉めた後、球搬送ユニット100内の球のみを排出することができる。
【0082】
(7)球排出機構の不正対策
球入口129から球出口132に至る球通路Pの所定箇所に、正規な球と異なる不正球を検出する不正球検出手段(図示せず)を設けても良い。不正球検出手段は具体的には、磁性材料により構成された球を判別可能な材質検出手段(材質検出手段は、非磁性材料により構成された球が正規な球であることを前提とする。)や、正規の球より小さい小径球や正規の球より大きい大径球を検出する異径球検出手段等が考えられる。
【0083】
不正球検出手段が正規な球と異なる不正球を検出した場合は、球研磨装置Bの駆動を強制的に停止(モータ123,223を停止)させ、不正球が球出口132を経て所定の発射位置に導かれないようにすることで、不正球による不正行為を未然に防止することができる。この場合、球排出機構を開状態にして遊技機に封入された全ての球を排出させて、正規な球と交換するようにする。
【0084】
そして、球回収部31から球入口129への球の流入を規制または許容する球流入調整部材133を球入口129の手前に設けてもよい。球流入調整部材133は、例えば、ソレノイドのプランジャ―に結合され、ソレノイドのON・OFFに応じてスライドして球入口129を開閉するシャッター等を用いることができる。球流入調整部材133により球回収部31から球入口129への球の流入を規制した状態で球排出機構から球を排出させるようにすれば、球研磨装置B内の球だけを排出するだけで済み、球研磨装置Bからの球の強制排出に係る時間を短縮することができるので、短時間で球研磨装置B(球搬送ユニット100)の交換やメンテナンス作業に着手することができる。
【0085】
球流入調整部材133は、球排出機構による球の強制排出中はそれに連動して、球回収部31から球入口129への球の流入を規制するようにしても良い。このようにすることで、球流入調整部材133を操作する手間を省くことができるし、確実に、球研磨装置B内の球だけを排出することができる。例えば、「スライドタイプ」の球排出機構を開状態にすると、「スライドタイプ」球流入調整部材が閉状態になる等。
【0086】
また、球流入調整部材133は、球排出機構による球の強制排出が終了すると、それに連動して、球回収部31から球入口129への球の流入を許容するようにしても良い。このようにすることで、球の強制排出中は球回収部から球入口129へ球の流入が規制されたままになり、球が発射位置に導かれなくなり、遊技に支障を来たすような事態が生じることを防止することができる。例えば、「スライドタイプ」の球排出機構が閉状態になると、「スライドタイプ」球流入調整部材が開状態になる等。
【0087】
上記段落0077から0086の技術的事項は
図1の遊技機にも適用可能である。その場合、球排出機構においては、球研磨装置B内で搬送され研磨された球は球出口132から排出される前に(球が球揚送手段32に導かれることなく)球研磨装置Bの外部に強制的に排出される。