(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内容物を収容した上面開口の容器本体と、該容器本体の上面開口部を閉塞すべく容器本体の上端面に剥離可能に接着された柔軟な蓋材とを備え、蓋材の周縁部の所定箇所に開封口部が設けられている電子レンジ用包装体において、
蓋材の上に、蓋材の上側全体のうちの一部を被覆するように、実質的に一軸延伸の熱収縮性フィルムからなる蒸気排出用フィルムが貼着され、
蒸気排出用フィルムには蓋材に強接着された強接着部が蒸気排出用フィルムの延伸方向に所定距離離間して一対設けられ、該両強接着部のうちの一方が開封口部の上に位置すると共に、蒸気排出用フィルムの延伸方向が蓋材の開封方向とされており、
且つ、両強接着部の間の部分である蒸気排出用フィルムの中途部は、蓋材に弱接着又は非接着の状態とされており、
蒸気排出用フィルムは、蓋材の中心を越えて開封口部の反対側に延びることなく、蓋材の中心よりも開封口部側の領域内に収まっており、
他方の強接着部の大部分は、容器本体の上面開口部の上に位置していて、該他方の強接着部は、一方の強接着部よりも接着力が大きいことを特徴とする電子レンジ用包装体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、電子レンジによる加熱時にスムーズに自動開口する電子レンジ用包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係る電子レンジ用包装体は、内容物を収容した上面開口の容器本体と、該容器本体の上面開口部を閉塞すべく容器本体の上端面に剥離可能に接着された柔軟な蓋材とを備え、蓋材の周縁部の所定箇所に開封口部が設けられている電子レンジ用包装体において、蓋材の上に、
蓋材の上側全体のうちの一部を被覆するように、実質的に一軸延伸の熱収縮性フィルムからなる蒸気排出用フィルムが貼着され、蒸気排出用フィルムには蓋材に強接着された強接着部が蒸気排出用フィルムの延伸方向に所定距離離間して一対設けられ、該両強接着部のうちの一方が開封口部の上に位置すると共に、蒸気排出用フィルムの延伸方向が蓋材の開封方向とされており、且つ、両強接着部の間の部分である蒸気排出用フィルムの中途部は、蓋材に弱接着又は非接着の状態とされて
おり、蒸気排出用フィルムは、蓋材の中心を越えて開封口部の反対側に延びることなく、蓋材の中心よりも開封口部側の領域内に収まっており、他方の強接着部の大部分は、容器本体の上面開口部の上に位置していて、該他方の強接着部は、一方の強接着部よりも接着力が大きいことを特徴とする。
【0007】
尚、蒸気排出用フィルムを構成している熱収縮性フィルムは、いわゆるシュリンクフィルムと称されるものである。実質的に一軸延伸である熱収縮性フィルムとは、延伸方向の収縮率と延伸方向と直交する方向の収縮率との差が大きいフィルムを意味し、延伸方向と直交する方向に全く収縮しない、いわゆる収縮率がゼロであるフィルムのみを意味するものではない。具体的には、例えば、100℃、10秒(温水処理)における延伸方向の収縮率とそれと直交する方向の収縮率との差は、通常40%以上であり、好ましくは50%以上である。更に好ましくは、延伸方向と直交する方向の収縮率が−5〜10%のフィルムである。尚、TD方向(横方向、Transverse Direction)がMD方向(流れ方向、Machine Direction)に比べてより大きく延伸された横一軸延伸であってもよいし、MD方向がTD方向に比べてより大きく延伸された縦一軸延伸であってもよい。
【0008】
該構成の電子レンジ用包装体を電子レンジで加熱すると、蓋材の上に貼着されている蒸気排出用フィルムが熱収縮する。蒸気排出用フィルムの延伸方向に所定距離離間した二つの部分は蓋材に強接着されている一方、蒸気排出用フィルムの中途部は蓋材に対して弱接着あるいは非接着の状態にあるため、蒸気排出用フィルムの中途部は蓋材に阻害されることなく熱収縮することができる。そして、蒸気排出用フィルムの一方の強接着部は開封口部の上に位置していて、蒸気排出用フィルムの延伸方向が蓋材の開封方向となっているので、蒸気排出用フィルムが熱収縮することで蓋材には開封方向に沿った圧縮力が作用することになり、その圧縮力が蓋材の開封口部に作用することで、蓋材はその開封口部から開封方向に沿って自動的に容器本体から剥離することになる。
【0009】
特に、他方の強接着部の大部分は、容器本体の上面開口部の上に位置していて、該他方の強接着部は、一方の強接着部よりも接着力が大きいことが好ましい。電子レンジで加熱する際、容器本体の上端面よりも上面開口部の方が高温になりやすい。従って、その容器本体の上面開口部の上に位置している蓋材の部分に蒸気排出用フィルムの他方の強接着部の大部分が位置していると、その他方の強接着部の接着力は高温によって低下しやすくなる。そのような場合には、他方の強接着部の接着力を一方の強接着部の接着力よりも大きくしておくことで、蒸気排出用フィルムの他方の強接着部が蓋材から剥がれたり位置ずれしたりすることがなく、蒸気排出用フィルムの熱収縮による圧縮力が確実に開封口部に作用して開口することになる。尚、他方の強接着部の大部分が容器本体の上面開口部の上に位置していればよく、他方の強接着部の全部が容器本体の上面開口部の上に位置していてもよい。
【0010】
尚、両強接着部間で接着力に差を設ける具体的手段としては、例えば、両強接着部間で、接着面積に差を設けたり、種類の異なる接着剤を使用したりすることが挙げられる。強接着部間で接着面積に差を設ける場合、一方の強接着部の面積よりも他方の強接着部の面積を大きくして、他方の強接着部の接着力を相対的に大きいものとする。また、種類の異なる接着剤を使用する場合、他方の強接着部に使用している接着剤を一方の強接着部に使用している接着剤よりも高温下における接着力が大きいものする。また、同種の接着剤を使用する場合であっても、接着剤の塗布厚によって接着力が変化する場合には、両強接着部間で接着剤の塗布厚に差を設けてもよい。これらは例示であってそれ以外の手段であってもよいし、組み合わせてもよい。
【0011】
また、蒸気排出用フィルムは、蓋材の中心を越えて開封口部の反対側に延びることなく、蓋材の中心よりも開封口部側の領域内に収まっていることが好ましい。蒸気排出用フィルムが熱収縮して蓋材が自動的に開口する際に、蓋材が開口する大きさの程度は、内圧上昇を抑制して蒸気を排出できる程度で足り、過度に大きく開口すると、内容物によっては乾燥したり風味が損なわれたりする可能性がある。そのため、蒸気排出用フィルムが蓋材の中心よりも開封口部側の領域内に収まっていると、蓋材が過度に大きく剥離して開口するということがない。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明に係る電子レンジ用包装体あっては、電子レンジによる加熱時に蒸気排出用フィルムの熱収縮力を利用して蓋材を開封口部から開封方向に沿って自動開口させる構成であるので、従来のように内圧の作用によって自動開口させる構成に比して、スムーズに自動開口させることができ、容器本体の変形も抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る電子レンジ用包装体について
図1〜
図3を参酌しつつ説明する。
図1に示す電子レンジ用包装体は、内容物Rを収容可能に形成された上面開口の容器本体1と、該容器本体1の上面開口部を閉塞すべく容器本体1の開口縁部にヒートシールされた蓋材2と、該蓋材2の一部に貼着された蒸気排出用フィルム3とを備えている。内容物Rを収容するための収容空間は容器本体1によって形成されており、その収容空間が蓋材2によって密封されて外部と遮断されている。
【0015】
容器本体1の形状は、種々の形状であってよく、例えば、本実施形態のように平面視略矩形、具体的には略長方形とすることができる。容器本体1は、有底筒状、具体的には有底角筒状であって、略長方形の底面部10と、該底面部10の周縁から斜め上方に立ち上がる側壁部11と、該側壁部11の上端の全周に外方に向けて略水平に延設されたフランジ部12とを備えている。容器本体1は比較的浅い形状であって、縦方向の寸法や横方向の寸法といった平面視外形寸法よりも高さ方向の寸法が小さい形状とされている。フランジ部12は上面開口部の開口縁部を構成しており、その上面が容器本体1の上端面となっている。容器本体1は例えば射出成形や真空成形等のシート成形等によって形成される。本実施形態では、フランジ部12の上面に蓋材2が剥離可能にヒートシールされているので、少なくともフランジ部12の上面が蓋材2の内面とヒートシール可能な樹脂から構成され、シート成形の場合には、上面が蓋材2の内面(裏面)とヒートシール可能な樹脂層から構成される。
【0016】
容器本体1は例えば基材とシーラント層とを備えた多層構造とすることができる。基材は、種々の単層構造や多層構造とすることができる。その材料としては、特に制限がなく、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の通常公知のものが挙げられる。また、基材がガスバリアー層を有する構成とすることも好ましい。シーラント層も種々の材料を採用でき、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン系共重合体等が挙げられる。
【0017】
蓋材2は、柔軟性を有するフィルムから構成されている。蓋材2の形状は容器本体1の平面視の形状に対応した形状とされ、本実施形態のように容器本体1が平面視略長方形である場合にはそれに合わせて略長方形とされる。また、蓋材2の外縁は容器本体1のフランジ部12の上面の外縁と略一致するかそれよりも若干外側にはみ出している。
【0018】
蓋材2を構成しているフィルムは、その厚さが例えば10μm〜100μmであり、基材と、内面を構成するシーラント層とから構成することができる。基材は、単層又は多層のフィルムから構成され、その材料としては、上述した容器本体1の基材に用いられる合成樹脂の他、紙、合成紙、不織布、発泡樹脂シート等、又はこれらの複合材料等であってもよい。具体的には、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂から構成される主層と、ガスバリアー層とを備えているものが挙げられる。ガスバリアー層(例えば酸化アルミニウムやシリカ等の一種又は二種以上を蒸着した透明蒸着シート、6ナイロン等のポリアミド系シート、エチレンビニルアルコール共重合体等のエチレン共重合体シート等)は内外二つの主層の間に位置していることが好ましく、表側に位置する主層の内面には例えば印刷が施される。シーラント層としては、上述した容器本体1のシーラント層に用いられる合成樹脂等が好適に用いられる。
【0019】
蓋材2の周縁部の全周のうちの所定箇所が開封口部20とされる。本実施形態では包装体が平面視略矩形(略長方形)であるので、四つの角部のうちの一つが開封口部20とされる。そして、その開封口部20に未シール部21が設けられている。
図1及び
図2に破線でフランジ部12の上面の内縁12aが示されており、
図2にクロスハッチングを施している部分が、フランジ部12の上面と蓋材2とがヒートシールされたシール部22である。蓋材2の周縁部の全周がフランジ部12の上面の全周とヒートシールされているが、蓋材2の周縁部の所定箇所、即ち、フランジ部12の上面の所定箇所には、蓋材2とフランジ部12とがヒートシールされていない未シール部21が形成されている。蓋材2は、未シール部21を除き、フランジ部12の上面の全体にヒートシールされており、従って、シール部22は、未シール部21を除いてフランジ部12の上面の全体に形成されている。このように開封口部20に未シール部21が形成されているので、全周のうち開封口部20においては他の部分に比してシール部22の内外方向の幅が狭くなっていて容器本体1から剥離しやすくなっている。
【0020】
尚、未シール部21の形状、大きさは任意であるが、少なくとも指先で未シール部21を摘むことができる程度の大きさとされる。本実施形態では未シール部21を内端を頂角とする略直角二等辺三角形あるいは略90度の扇形としているが、例えば未シール部21の内縁が円弧状であったり直線状であったりしてもよい。何れにしても、未シール部21は外側が幅広で内側が幅狭とされることが好ましく、少なくとも内側に向けて(フランジ部12の上面の内縁12aに向けて)徐々に細くなっていく部分を有することが好ましい。未シール部21はフランジ部12の上面の外縁まで達しているがフランジ部12の上面の内縁12aまでは達していない。
【0021】
未シール部21は、容器本体1の平面視形状が矩形等の多角形である場合には、その角部に設けられる。本実施形態では容器本体1が平面視略長方形であるので、未シール部21は四つの角部のうちの一つに設けられる。
図2に一点鎖線で示しているように、開封方向は、未シール部21を平面視において二等分する線分B1(開封口部20である角部を平面視において二等分する線分)の方向であり、長方形の長辺、短辺に対して略45度の角度をなす方向である。
【0022】
尚、
図1に蓋材2の開封方向を矢印Pで示している。A−A線は開封方向に沿った線であって、開封口部20である角部を平面視において左右に二等分する線であり、未シール部21を平面視において左右に二等分する線である。また、
図1において、一点鎖線C1は容器本体1及び蓋材2の短辺を二等分する中心線であり、一点鎖線C2は容器本体1及び蓋材2の長辺を二等分する中心線であり、両中心線C1,C2の交点が、容器本体1及び蓋材2の平面視における中心Oである。後述の
図4についても同様である。
【0023】
かかる蓋材2の上に蒸気排出用フィルム3が貼着されている。該蒸気排出用フィルム3は、電子レンジ用包装体を電子レンジで加熱する際に蓋材2を部分的に自動開口させて収容空間内の蒸気を外部に排出して内圧が過度に上昇することを防止するためのものである。
【0024】
該蒸気排出用フィルム3は、蓋材2の上側全体のうち一部を被覆するように貼着されている。具体的には、開封口部20を含む所定領域を覆っており、未シール部21を含めた略三角形の領域を覆っている。蒸気排出用フィルム3の形状は、
図2にも示しているように略直角二等辺三角形とされていて、その頂部が、開封口部20である蓋材2の角部に対応するようにして、蓋材2に貼着されている。略直角二等辺三角形の蒸気排出用フィルム3の底辺を構成している縁部3aは、開封方向に対して直交している。また、蒸気排出用フィルム3は、蓋材2の中心Oまでは達しておらず、蒸気排出用フィルム3の縁部3aは、蓋材2の中心Oから開封方向に所定距離離れている。このように、蒸気排出用フィルム3は、蓋材2の中心Oを越えて開封口部20の反対側には延びておらず、蓋材2の中心Oよりも開封口部20側の領域内に収まっている。
【0025】
蒸気排出用フィルム3は、蓋材2に強接着された強接着部30a,30bと、蓋材2に弱接着又は非接着とされた弱接着部31とに区画される。強接着部30a,30bは、相対的に大きな接着力で蓋材2に接着されている部分で、少なくとも、電子レンジによる加熱時に接着状態が維持される程度の接着力を有している。弱接着部31は、相対的に小さな接着力で蓋材2に接着されている部分で、少なくとも強接着部30a,30bよりも接着力が小さく、電子レンジによる加熱時に蓋材2に対して相対的に位置ずれができる程度に小さい接着力で接着されているか、あるいは、蓋材2に接着されていない、接着力が0の非接着の状態とされている。従って、弱接着部31は蓋材2に疑似接着されていてもよい。
【0026】
図1及び
図2において、強接着部30a,30bには多数のドットを付して示しており、強接着部30a,30bと弱接着部31との境界線は二点鎖線で示している。後述の
図4〜
図6においても同様である。強接着部30a,30bは、蓋材2の開封方向における蒸気排出用フィルム3の両端部にそれぞれ設けられ、弱接着部31は両強接着部30a,30bの間の中途部に位置しており、従って、蒸気排出用フィルム3は、両端部に位置する二つの強接着部30a,30bと、蒸気排出用フィルム3を横断するように両強接着部30a,30bの間に位置する一つの弱接着部31とから構成される。両強接着部30a,30bのうち、内側の強接着部30aは、略直角二等辺三角形の蒸気排出用フィルム3の底辺周辺に位置していて、蓋材2の開封方向に対して略直交する方向に沿って長い帯状である。外側の強接着部30bは、略直角二等辺三角形の蒸気排出用フィルム3の頂部周辺に位置していて、蒸気排出用フィルム3と相似形の略直角二等辺三角形とされている。内側の強接着部30aの面積は、外側の強接着部30bの面積よりも大きく、従って、内側の強接着部30aの全体としての接着力は、外側の強接着部30bの全体としての接着力よりも大きい。
【0027】
内側の強接着部30aの大部分は、容器本体1の上面開口部の上に位置している。即ち、内側の強接着部30aは、その両端部が容器本体1のフランジ部12の上に位置しており、その両端部を除いた残りの大部分が容器本体1の上面開口部の上に位置している。一方、外側の強接着部30bは、開封口部20の上に位置している。外側の強接着部30bは、その少なくとも一部が未シール部21の上に位置していることが好ましく、本実施形態では、外側の強接着部30bは未シール部21よりも大きな面積を有していて未シール部21の全部を覆っている。尚、外側の強接着部30bと弱接着部31との間の境界線は開封方向に対して略直交する方向に沿っているが、この境界線は
図1のように容器本体1の上面開口部を跨いでいてもよいし、上面開口部を跨いでいない形態であってもよい。
【0028】
蒸気排出用フィルム3は、基材32と該基材32の裏面に積層された粘着剤層33とを有している。基材32は実質的に一軸延伸の熱収縮性フィルムからなる。かかる熱収縮性フィルムとしては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系、ポリスチレン系(PS)、並びにポリ乳酸(PLA)、ポリアミド、及び、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、ポリ塩化ビニル等のビニル系の樹脂からなるフィルムが挙げられる。また、これらの樹脂を二種以上混合した樹脂混合物を含むフィルムを用いることもでき、二種以上のフィルムを積層した積層フィルムを用いることもできる。特に、高い収縮力と高い透明性とを有することから、ポリエステル系、ポリオレフィン系、及び、ポリスチレン系のフィルムが好ましく、その中でも特に耐熱性に優れたポリエステル系フィルムが好ましい。そして、上述したように主として一方向に収縮する実質的に一軸延伸されたフィルムが使用され、その延伸方向の収縮率は、例えば100℃、10秒(温水処理)で70%以上のものが好ましく、80%以上のものが特に好ましい。また、その一方向における収縮応力は、例えば10〜20MPaのものが好ましい。尚、この収縮応力は、シートを85℃温水中に10秒間浸漬した際の一方向における最大収縮応力をいう。収縮応力の測定は、試験片の一方向の長さを200mm、前記一方向と直交する方向の長さを15mmとし、この試験片の一方向の両端部を応力測定器((株)島津製作所製、製品名:オートグラフ)のチャックに保持し(チャック間距離100mm)、85℃の温水中に10秒間浸漬した間に生じる収縮応力の最大値によって求められる。基材32には透明なフィルムを用いることが好ましく、透明な蒸気排出用フィルム3となることで、蓋材2の模様が隠れることがなく、蒸気排出用フィルム3を介して視認できる。但し、基材32の表面や裏面に印刷層を形成するようにしてもよい。
【0029】
そして、蒸気排出用フィルム3の基材32の延伸方向(即ち蒸気排出用フィルム3の延伸方向)が蓋材2の開封方向と略一致している。従って、強接着部30a,30bは、蒸気排出用フィルム3の延伸方向の両端部にそれぞれ設けられており、弱接着部31は、主として蓋材2の開封方向に沿って熱収縮することになる。また、上述したように、
図1のA−A線は開封方向に沿った線であって開封口部20である角部及びその未シール部21を平面視において左右に二等分する線であるが、蒸気排出用フィルム3を延伸方向に沿った線で二等分したとき、その二等分する線が
図1のA−A線と略一致している。また、
図2において、矢印Mが蒸気排出用フィルム3の延伸方向であり、矢印Tが延伸方向と直交する方向である。後述の
図4〜
図6においても同様である。
【0030】
粘着剤層33を構成する粘着剤は種々のものを使用することができ、例えば、アクリル系、ゴム系等の感圧型粘着剤を用いることができる。特に、耐熱性を有する粘着剤を用いることが好ましく、電子レンジによる加熱時に蒸気排出用フィルム3が熱収縮しても、強接着部30a,30bにおいて蓋材2から位置ずれすることなく蓋材2との接着状態が維持できる程度の接着力が必要である。例えば、塗布後24時間経過した段階で、25〜28Nの接着力(粘着力)を有していることが好ましい。尚、この接着力は、幅20mmのテープを被着体に貼り付け、そのテープを180度折り返して被着体から剥がしていく際に、どの程度の力に耐えられるかという値である。
【0031】
粘着剤層33は基材32の裏面全体に形成され、該粘着剤層33の裏面全体のうちの一部にいわゆる「糊殺し」や「糊抑え」とも称されるマスキング層が形成されることによって、蒸気排出用フィルム3は強接着部30a,30bと弱接着部31とに区画される。即ち、マスキング層が形成された領域は、マスキング層が形成されずに残った領域に比して接着力が小さくなる。従って、粘着剤層33の裏面のうちマスキング層が形成された領域が弱接着部31となり、粘着剤層33の裏面のうちマスキング層が形成されずに残った領域が強接着部30a,30bとなる。尚、粘着剤層33は基材32の裏面全体に設けられているが、
図3に示す断面図においては、強接着部30a,30bと弱接着部31が区別しやすいように、粘着剤層33を強接着部30a,30bと弱接着部31に区画してそれぞれハッチングの形式を変えて示している。後述の
図7及び
図8についても同様である。マスキング層は、マスキング剤を用いて公知の印刷手法によって形成できる。マスキング剤としては、非粘着性であって紫外線により硬化する層を粘着剤層33の上に形成できるものが好ましく、紫外線硬化型インキ等が使用できる。但し、基材32の裏面全体に粘着剤層33を形成するのではなく、強接着部30a,30bとなる部分のみに粘着剤層33を形成し、弱接着部31となる部分には粘着剤層33を形成しないようにして、強接着部30a,30bと弱接着部31とを区画形成してもよい。
【0032】
以上のように構成された電子レンジ用包装体は、容器本体1の収容空間に内容物Rを収容して蓋材2を容器本体1のフランジ部12にヒートシールして密封状態とした後、
図2のように、蒸気排出用フィルム3を蓋材2の上に貼着することにより製造される。このように蒸気排出用フィルム3を後貼りの構成とすることにより、包装体の製造設備やヒートシール条件を変更することなく、容器本体1に蓋材2を確実にヒートシールすることができる。但し、予め蓋材2に蒸気排出用フィルム3を貼着しておき、その蒸気排出用フィルム3付きの蓋材2を容器本体1にヒートシール等により接着するようにしてもよい。
図2に示す一点鎖線B1は、蓋材2の開封口部20である角部を二等分する線であり、同様に一点鎖線B2は、蒸気排出用フィルム3を延伸方向に沿った線で二等分するときの二等分線である。蓋材2の開封口部20である角部を二等分する線B1に、蒸気排出用フィルム3を延伸方向に沿った線で二等分するときの二等分線B2が略一致するように、蒸気排出用フィルム3が蓋材2に貼着される。
【0033】
そして、製造された電子レンジ用包装体の断面を
図3(a)に示している。この
図3(a)に示している状態は加熱前の状態である。該包装体を電子レンジで加熱調理する際には、予め蓋材2を部分的に開封することなく、密封状態のままで電子レンジに入れて加熱することができる。包装体を電子レンジで加熱すると、蒸気排出用フィルム3の弱接着部31が開封方向に沿って熱収縮する。その熱収縮力は両強接着部30a,30bに作用してそれらを互いに接近させようとする。即ち、蓋材2には開封方向に沿った圧縮力が作用することになるが、外側の強接着部30bが蓋材2の開封口部20の上に位置しているので、その圧縮力は蓋材2の開封口部20に作用することになり、開封口部20の未シール部21に作用することになる。そして、
図3(b)のように、蓋材2の開封口部20における未シール部21が上方に捲れ上がり、やがて蓋材2のシール部22が開封口部20から徐々に剥離していって、蓋材2は開封方向に沿って自動的に容器本体1から剥離して部分的に開口する。従って、電子レンジによる加熱前に予め蓋材2を開口させなくても、自動的に開口した箇所から収容空間の蒸気が外部に排出されて内圧の過度の上昇が阻止されることになる。また、蒸気排出用フィルム3の熱収縮力を利用して蓋材2を自動開口させるので、従来のように内圧の作用によって自動開口させる構成に比して、蓋材2をスムーズに自動開口させることができ、容器本体1の変形も抑制することができる。
【0034】
また、蓋材2のうち、容器本体1の上面開口部の上に位置している部分は、フランジ部12の上に位置している部分に比して温度が高くなりやすい。従って、両強接着部30a,30bのうち、特に内側の強接着部30aが高温の影響によって蓋材2から位置ずれしやすいが、本実施形態では、内側の強接着部30aの接着面積を外側の強接着部30bの接着面積よりも大きくしていて内側の強接着部30aの接着力を相対的に大きくしているので、蒸気排出用フィルム3の内側の端部が蓋材2から剥がれたり位置ずれしたりすることがなく、蒸気排出用フィルム3の熱収縮力が確実に未シール部21に作用して蓋材2を自動開口させることができる。
【0035】
また、蒸気排出用フィルム3を延伸方向に沿った線で二等分するときのその二等分線B2が、蓋材2の開封口部20である角部ないしは未シール部21を開封方向に沿った線で左右に二等分するときのその二等分線B1と略一致しているので、蒸気排出用フィルム3の収縮力が開封口部20に確実に作用することになって、より一層確実且つスムーズに蓋材2が開口する。
【0036】
更に、蒸気排出用フィルム3が蓋材2の中心Oよりも開封口部20側の領域内に収まっているので、蓋材2が中心Oを反対側に越える程大きく開口するということがない。従って、内容物Rの乾燥や風味の損傷を抑制しつつ、蒸気を排出して過度の内圧上昇を抑制できる。但し、蒸気排出用フィルム3が蓋材2の中心Oを反対側に越えて延びる形態であってもよい。
【0037】
尚、蒸気排出用フィルム3は種々の形状であってよく、上述したような略直角二等辺三角形の他、略矩形であってもよい。例えば、蒸気排出用フィルム3が
図4(b)のように延伸方向に長い略長方形状であってもよい。このように蒸気排出用フィルム3が延伸方向に長い形状である場合でも、
図4(a)のように蒸気排出用フィルム3の延伸方向が蓋材2の開封方向となるように蓋材2に蒸気排出用フィルム3を貼着する。更に、蒸気排出用フィルム3を延伸方向に沿った線で二等分するときの二等分線B2が、蓋材2の開封口部20である角部あるいは未シール部21を二等分する二等分線B1と略一致することが好ましい。
【0038】
また、容器本体1の形状も任意であって例えば
図5(a)のように平面視略円形であってもよい。そして、略円形の蓋材2の周縁部の全周のうちの所定箇所が開封口部20とされる。また、開封口部20には突片部23を外側に向けて突設してもよい。該突片部23は容器本体1のフランジ部12から外側にはみ出していてフリーの自由端の状態となっているので、その突片部23は上方に捲れ上がりやすい。尚、突片部23の形状は任意であるが、例えば半円状や舌片状とすることができる。蓋材2の開封方向は突片部23から蓋材2の中心Oに向かう径方向であり、延伸方向が蓋材2の開封方向となるように蒸気排出用フィルム3が蓋材2に貼着されている。この実施形態では、
図5(b)にも示しているように、蒸気排出用フィルム3は全体として略矩形であるが、その延伸方向の一端部には蓋材2の突片部23に対応した形状の凸部34が形成されており、その凸部34が蓋材2の突片部23の上に重なり合う。そして、外側の強接着部30bは凸部34を含めた端部所定領域に設けられており、蓋材2への貼着状態において、その外側の強接着部30bは突片部23の上に位置する。また、蒸気排出用フィルム3を延伸方向に沿った線で二等分するときの二等分線B2が、蓋材2の突片部23を二等分する二等分線B1と略一致することが好ましい。蓋材2の突片部23を二等分する二等分線B1は、蓋材2の中心Oを通る中心線である。また、
図6のように蒸気排出用フィルム3を半円状あるいは三日月状としてもよい。
【0039】
また更に、蓋材2が容器本体1に対して剥離可能に接着される構成も種々のものであってよく、容器本体1や蓋材2を多層構造として容器本体1や蓋材2が層間剥離を起こすことで蓋材2が容器本体1から剥離できる構成としてもよい。例えば、
図7のように基材13とシーラント層とを備えた多層シートを用いてシート成形によって容器本体1を形成し、その容器本体1のシーラント層を易剥離層、即ちイージーピールシーラント層14とすることができる。
【0040】
イージーピールシーラント層14と基材13の各材料の組み合わせを適宜選択することによって、イージーピールシーラント層14と基材13の間の剥離強度を調整することができ、イージーピールシーラント層14を易剥離層として機能させることができる。蓋材2も基材24とシーラント層25を有しており、容器本体1と蓋材2の各シーラント層14,25同士をヒートシールすることによって、容器本体1に蓋材2がヒートシールされるのであるが、容器本体1のイージーピールシーラント層14と基材13の間の剥離強度を調整することによって、容器本体1のイージーピールシーラント層14と蓋材2のシーラント層25との間の接着力を、容器本体1の基材13とイージーピールシーラント層14との間の接着力よりも相対的に大きくすることができる。従って、蓋材2を容器本体1から剥離して開封する際、容器本体1のイージーピールシーラント層14と基材13との間で層間剥離が起こって蓋材2が容器本体1から剥離していくことになる。
【0041】
フランジ部12に位置するイージーピールシーラント層14には切離線としてのノッチ15が全周に亘って形成されていて、該ノッチ15を境界としてイージーピールシーラント層14が内外二つの領域に分離できるようになっている。ノッチ15は、イージーピールシーラント層14を分断できる構造のものであればよく、必ずしも厚みの全体に亘って切り込まれている構造でなくてもよい。蓋材2のシーラント層25と容器本体1のイージーピールシーラント層14は、容器本体1のフランジ部12において全周に亘ってヒートシールされており、このシール部22の内側にノッチ15が全周に亘って形成されている。
【0042】
蓋材2の上に貼着された蒸気排出用フィルム3の外側の強接着部30bが開封口部20の上に位置している。開封口部20は蓋材2の周縁部の全周のうちの所定箇所である。外側の強接着部30bの少なくとも一部がノッチ15よりも外側に位置する。電子レンジで加熱すると、蒸気排出用フィルム3の弱接着部31が蓋材2の開封方向(内外方向)に沿って熱収縮する結果、
図8のように、イージーピールシーラント層14のうちノッチ15よりも外側の領域が蓋材2に付着して容器本体1の基材13から分離する。尚、
図7に二点鎖線で示すように、
図5や
図6に示したものと同様の突片部23や凸部34をそれぞれ蓋材2や蒸気排出用フィルム3に形成するようにしてもよい。尚、容器本体1のシーラント層をイージーピールシーラント層14とするのではなく、逆に蓋材2のシーラント層25をイージーピールシーラント層としてもよい。
【0043】
更に、開封口部20において蓋材2を上側に二つ折りに折り返し、その折り返された部分の上に蒸気排出用フィルム3を貼着してもよい。この場合、一方の強接着部30bは、折り返された蓋材2の裏面の部分の上に位置することになる。