特許第6377460号(P6377460)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6377460-硫酸澱物の処理方法 図000007
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6377460
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】硫酸澱物の処理方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 43/00 20060101AFI20180813BHJP
   C22B 61/00 20060101ALI20180813BHJP
   C22B 3/06 20060101ALI20180813BHJP
   C22B 5/12 20060101ALI20180813BHJP
   C22B 7/00 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   C22B43/00 102
   C22B61/00
   C22B3/06
   C22B5/12
   C22B7/00 H
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-175610(P2014-175610)
(22)【出願日】2014年8月29日
(65)【公開番号】特開2016-50333(P2016-50333A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】306039131
【氏名又は名称】DOWAメタルマイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100105256
【弁理士】
【氏名又は名称】清野 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100161034
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 知洋
(74)【代理人】
【識別番号】100156834
【弁理士】
【氏名又は名称】橋村 一誠
(72)【発明者】
【氏名】深川 駿
(72)【発明者】
【氏名】田口 良一
(72)【発明者】
【氏名】菅原 圭一
【審査官】 米田 健志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−041558(JP,A)
【文献】 特開昭55−089436(JP,A)
【文献】 特公昭51−011429(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00〜61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非鉄製錬の工程中における硫酸製造時に発生する硫酸澱物であってHgおよびSeを含む硫酸澱物の処理方法において、
次亜塩素酸塩を用いて前記硫酸澱物からHgおよびSeを電位900mV以上(銀/塩化銀電極の場合)にて酸化浸出させる酸化浸出工程と、
前記酸化浸出工程後に固液分離による濾液に対して金属置換粉末を添加し、濾液中のHgを金属置換粉末により置換することにより沈殿させ、沈殿中のHgと濾液中のSeとを分離するHg第一分離工程と、
前記Hg第一分離工程後に固液分離による濾液に対してSを含む化合物であるS源を添加し、濾液中に残存していたHgを硫化させて沈殿させるHg第二分離工程と、
前記Hg第二分離工程後に固液分離による濾液中のSeを還元し、金属Seを沈殿させるSe分離工程と、
を有する、硫酸澱物の処理方法。
【請求項2】
前記次亜塩素酸塩は次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カリウムである、請求項1に記載の硫酸澱物の処理方法。
【請求項3】
前記Se分離工程において生じる還元は、亜硫酸ガスを用いる還元である、請求項1または2に記載の硫酸澱物の処理方法。
【請求項4】
前記金属置換粉末はZn含有粉末である、請求項1〜のいずれかに記載の硫酸澱物の処理方法。
【請求項5】
前記Hg第二分離工程において用いられるS源は水硫化ソーダである、請求項1〜のいずれかに記載の硫酸澱物の処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫酸澱物の処理方法に関し、詳しくは、非鉄製錬の工程中における硫酸製造時に発生する硫酸澱物であってHgおよびSeを含む硫酸澱物の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のように、非鉄製錬の工程中に硫酸を製造することが従来より行われている。硫酸を製造する際に、同じく非鉄製錬の工程中で発生する亜硫酸ガス(二硫化酸素:SO)を使用する。硫酸を製造する際には、この亜硫酸ガスを精製し、亜硫酸ガスから不純物を除去したものを使用する。なお、当該不純物が集まったものを硫酸澱物と称する。この硫酸澱物は泥状物であり、硫酸スラッジや硫酸シックナー残渣とも呼ばれる。
【0003】
当該硫酸澱物には、非鉄製錬を行う関係上、Hg(水銀)およびSe(セレン)が含まれることが多い。HgにしてもSeにしても有害な重金属である。そのため、硫酸澱物を処分するにしても、これらの有害な重金属を除去しておく必要がある。それに対応すべく、特許文献1に記載の発明では、硫酸澱物(硫酸スラッジ)をアトリション処理し、次いでアトリション処理された硫酸澱物を浮遊選鉱処理し、その後で硫化処理を行ってHgの濃度を低下させた上で、再び浮遊選鉱処理を行い、硫酸澱物からHgおよびSeを除去している。
【0004】
なお、硫酸澱物から一連の工程でHgおよびSeを除去する技術とは異なるものの、特定の有害な重金属を除去する手法については種々知られている。
【0005】
例えば、特許文献2においては、都市ゴミ等を溶融固化する際に発生する溶融飛灰を処理する手法が記載されている。特許文献2においては、溶融飛灰に含まれるHgを除去すべく、NaClO(次亜塩素酸ソーダ)を用いて溶融飛灰からHgを浸出させることが記載されている。
【0006】
また、非特許文献1においては、廃液中のHgを還元捕集すべくZn(亜鉛)粉末を廃液に添加する手法が記載されている。
【0007】
また、特許文献3においては、Se含有液からSeを除去すべく、セレン含有液に亜硫酸ガスを吹き込んで還元反応に付し、セレン含有液の塩酸濃度を特定値に調整することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公昭60−47335号公報
【特許文献2】特開平8−41558号公報
【特許文献3】特開2009−292660号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】日本化学会誌、1989、(11)、p.1942〜1948
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の記載の発明においては、アトリション処理を行うための装置が別途必要となる。そのため、HgやSeの処理が大がかりなものになってしまい、工程の複雑化が避けられなくなり、費用面で不利になってしまう。
【0011】
それに加え、本発明者の鋭意研究を進めていくうち、上記に列挙した各先行技術を単に適用するだけでは、HgやSeを迅速かつ確実に除去することが困難となる事態に直面した。
詳しく言うと、本発明者は、特許文献1に記載のように、硫酸澱物からHgおよびSeを除去する技術について鋭意検討を重ねていた。ところがその際に、本発明者は、特許文献2に記載のようにNaClOを用い、実際の硫酸澱物からHgおよびSeを浸出させたところ、特許文献2に記載の内容に従ったままでは、最終的なHgおよびSeの除去を適切に行えないという知見を得た。具体的に言うと、例えばHgやSeが他の金属と混ざってしまったり、HgやSeの回収率が低かった。つまり、特許文献2に記載の内容は、少なくとも非鉄製錬の工程中における硫酸製造時に発生する硫酸澱物に対してだと、種々の課題を生じさせるという知見を、本発明者は得た。
【0012】
本発明は、比較的簡素な手法によって硫酸澱物からHgおよびSeをそれぞれ、迅速かつ確実に除去する技術を提案することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の知見に接した本発明者は、鋭意研究を行った。その結果、以下の知見を得るに至った。
【0014】
特許文献2の[0017]においては、溶融飛灰に対してNaClOを添加した際の、塩化第1水銀(HgCl)から塩化第2水銀(HgCl)へと変化する酸化反応が平衡に達する際のORP(酸化還元)電位を+900mV(以降、酸化還元電位のことを単に「電位」と称し、電位において+は省略する。)と判断している。しかしながら本発明者が独自で試験を行ったところ、実際の硫酸澱物に対してNaClOを添加をした場合、後述の比較例に示すように、平衡電位と思われていた900mVのすぐ手前の800mVを電位とした場合だとHgの浸出が殆ど生じなかった。これは、実際の硫酸澱物に含まれる水銀化合物が塩化第1水銀(HgCl)すなわち1価のHg(すなわちHg)のままであるためと考えられる。この知見は、本発明者の鋭意検討により初めて得られたものである。
【0015】
そのため、非鉄製錬の工程中における硫酸製造時に発生する硫酸澱物に対しては、NaClOを用いてHgおよびSeを浸出させるにしても、相当高い電位で浸出を行わなければ、Hgが1価のままとなって溶解度が著しく小さくなり、浸出直後において残渣中の他の金属と混ざってしまう。
【0016】
なお、NaClOを用いた浸出の際の電位は、その後の工程において分離されるSeにとっても無関係ではないという知見も、本発明者は得た。
【0017】
本発明者が、実際の硫酸澱物からHgおよびSeを除去する試験を行ったところ、Seに関して言うと、相当高い電位で浸出を行わなければ、酸化が足りずに4価(Se4+)のままとなるという知見を本発明者は得た。そうなると、非特許文献1に記載のようにHgを捕集するためにZn粉末を添加した際にSeが意図せず沈殿したり、特許文献1に記載のようにHgを硫化して沈殿させる際にSeが意図せず沈殿してしまう。
【0018】
上記の諸々の内容は、別の言い方をすると、硫酸澱物から一連の工程でHgおよびSeを除去する上で、非鉄製錬の工程中における硫酸製造時に発生する硫酸澱物に対しては、NaClOを用いて相当高い電位で浸出を行うことにより、Hgに関しては、溶解度が高いHg2+とすることが可能となり、Seに関しては、意図しない沈殿を避けられるSe6+へと予め変化させておくことが可能であるという知見を、本発明者は得た。
【0019】
以上の知見に基づいて成された本発明の態様は、以下の通りである。
本発明の第1の態様は、
非鉄製錬の工程中における硫酸製造時に発生する硫酸澱物であってHgおよびSeを含む硫酸澱物の処理方法において、
次亜塩素酸塩を用いて前記硫酸澱物からHgおよびSeを電位900mV以上(銀/塩化銀電極の場合)にて酸化浸出させる酸化浸出工程と、
前記酸化浸出工程後に固液分離による濾液に対して金属置換粉末を添加し、濾液中のHgを金属置換粉末により置換することにより沈殿させ、沈殿中のHgと濾液中のSeとを分離するHg第一分離工程と、
前記Hg第一分離工程後に固液分離による濾液に対してSを含む化合物であるS源を添加し、濾液中に残存していたHgを硫化させて沈殿させるHg第二分離工程と、
を有する、硫酸澱物の処理方法である。
【0020】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の発明において、
前記次亜塩素酸塩は次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カリウムである。
【0021】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様に記載の発明において、
前記Hg第二分離工程後に固液分離による濾液中のSeを還元し、金属Seを沈殿させるSe分離工程と、を有する。
【0022】
本発明の第4の態様は、第3の態様に記載の発明において、
前記Se分離工程において生じる還元は、亜硫酸ガスを用いる還元である。
【0023】
本発明の第5の態様は、第1〜第4の態様のいずれかに記載の発明において、
前記金属置換粉末はZn含有粉末である。
【0024】
本発明の第6の態様は、第1〜第5の態様のいずれかに記載の発明において、
前記Hg第二分離工程において用いられるS源は水硫化ソーダである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、比較的簡素な手法によって硫酸澱物からHgおよびSeをそれぞれ、迅速かつ確実に除去する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態における硫酸澱物の処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、次の順序で説明を行う。なお、説明においては適宜、硫酸澱物の処理方法を示すフローチャートである図1を参照する。
1.硫酸澱物の処理方法
1−A)酸化浸出工程
1−B)Hg第一分離工程
1−C)Hg第二分離工程
1−D)Se分離工程
1−E)その他
2.実施の形態による効果
3.変形例等
本明細書において「〜」は所定の値以上かつ所定の値以下のことを指す。
【0028】
硫酸澱物は、非鉄製錬操業において、硫化精鉱をばい焼する際に発生するガスから硫酸を製造する硫酸工程にて発生する副生成物である。その物質としては、硫酸塩の他、元の硫化精鉱石に含まれる元素の種類の殆どが、量のばらつきこそあるが含まれる。例えば、亜鉛製錬からの硫酸澱物であれば、亜鉛と硫黄はもとより、水銀、セレン、鉛、鉄、カドミウム、砒素、アルミニウム、コバルト、ニッケル、銅、貴金属、レアメタルと多種含まれる。これらの元素の化合状態は、化合物種、組成比共に複雑であり、多種雑多な状態である。組成を元素毎に見れば、Hg(水銀)は、5〜20質量%(dry)、Seは1〜6質量%(dry)、水銀とセレンを除いたその他金属は亜鉛、鉛が多く、20〜50質量%(dry)程度である。その他として、酸化物、ハロゲン等も数%含まれる。
【0029】
<1.硫酸澱物の処理方法>
1−A)酸化浸出工程
本工程においては、次亜塩素酸塩(本実施形態における具体例としては次亜塩素酸ソーダ(NaClO))を用いて硫酸澱物から少なくともHgおよびSeを酸化浸出させる。本実施形態の大きな特徴の一つは、電位900mV以上にて本工程を行うことにある。なお、ここで言う電位900mVとは銀/塩化銀電極を用いた場合の電位であり、以降、単に「電位900mV」と言う。電位900mV以上とすることに関する詳細な知見は上述の通りである。
【0030】
本工程のおかげで、まずHgに関しては、実際の硫酸澱物を使用したとしても、溶解度が低い塩化第1水銀(HgClすなわちHg)から塩化第2水銀(HgClすなわちHg2+)へと確実に酸化させることができる。その結果、実際の硫酸澱物から大部分のHgを浸出させることが可能となる。
【0031】
Hgに加え、Seに関しては、電位900mV以上にて本工程を行うことにより、Se4+を通り越してSe6+へとSeを酸化させられる。先にも述べたように、Se4+のままだと、Hgを捕集するためにZn粉末を添加した際にSeが意図せず沈殿したり、Hgを硫化して沈殿させる際にSeが意図せず沈殿してしまう。その一方、本工程においてSe6+へとSeを酸化させておくと、意図しないSeの沈殿の発生を抑制することが可能となる。
なお、上記のSeの酸化をもたらす化学反応式は、以下のようになる。
Hg−Se+3NaClO+2HSO→HgCl+HSeO+NaSO+HO+NaCl+O
【0032】
つまり本工程は、HgやSeを浸出させるという本来の位置づけに加え、後々のSe分離工程においてSeを確実に分離するための準備工程という位置づけも兼ねている。
【0033】
なお、本工程で用いられる次亜塩素酸塩(本実施形態においてはNaClO)の溶液の濃度は10質量%以上(好ましくは10〜20質量%)であるのが好ましい。この範囲の濃度ならば、NaClO溶液の液量を適量とすることができる。NaClO溶液の液量は、後々の濾液の総量の多寡に影響を与える。そのため、作業効率を考えると、NaClO溶液を少なくするべく濃度を上記の範囲に設定することが好ましい。なお、NaClOは市販のものを使用しても構わないし、NaClOを含有する廃液を使用しても構わない。次亜塩素酸塩であれば使用可能である。その中でも、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)、次亜塩素酸カリウム(KClO)が好ましい。
【0034】
ちなみに、本工程における沈殿物(以降、残渣とも言う。)には、硫酸澱物に含まれる場合が多いAuやAgが含まれており、これらの元素を別途回収しても構わない。仮に、電位900mV以上にて本工程を行わなければ、残渣において、1価のままのHg(HgCl)がAuやAgと混ざり合ってしまう。本工程には、その現象が起こるのを抑制するという役割もある。
【0035】
なお、本工程においては電位を900mV以上(銀/塩化銀電極)としたが、上記の各効果を奏するためにも、900mVを超えた電位、更には950mV以上の電位、980mV以上の電位とするのがより好ましい。ちなみに電位の上限については特に設定する必要はないが、少なくとも1000mVまでは良好な結果を残すことができている。
【0036】
1−B)Hg第一分離工程
本工程においては、酸化浸出工程後の濾液に対してZn粉末を添加し、濾液中のHgをZnにより置換することにより沈殿させ、沈殿中のHgと濾液中のSeとを分離する。
【0037】
本工程においてZn粉末を使用する理由としては以下の通りである。すなわち、金属のZn粉末を濾液に添加すると、濾液内でのZn粉末の還元作用により、Zn粉末の表面でZnとHgとでの間で置換反応が発生し、Zn粉末に同伴され、Hgが固定化される。このため安定な固定化状態となるため、ろ過性に優れかつHgの回収が容易となる。
【0038】
別の理由としては、Hgを沈殿させるためには、特許文献1に記載のように、Hgを硫化させるという手法もある。ところが、本発明者が試験を行ったところ、Hgを硫化させた場合、沈殿したHgの硫化物の濾過性が極めて悪い。これは、酸化浸出工程においてHgの浸出率を高くした場合、沈殿物の量が多くなることによりさらに際立つ課題である。そうなると、Hgの硫化物ひいては基となるHgを迅速に分離することができなくなってしまう。
【0039】
そこで本発明者が鋭意検討した結果、酸化浸出工程後の濾液に対してZn粉末を添加した場合、濾過性が極めて良好なHgの沈殿を得ることができるという知見が得られた。つまり本工程においてZn粉末を使用することにより、沈殿したHgの濾過性を向上させられ、ひいてはHgを迅速に分離することができる。
【0040】
また、Zn粉末を使用するその他の理由としては、比較的安価であり、取り扱いが比較的容易であり、入手が容易であることも挙げられる。なお、それらの理由に関し、以下、本工程の好ましい例を挙げる。
【0041】
Zn粉末でなくともHgと置換可能である金属からなる置換金属粉末を用いても良い。例えば、銀、銅、鉄などがある。置換金属粉末の組成は、亜鉛、銅等の合金でも良く、置換反応が適宜発生するものであり、粒径も5mm以下のものであれば良い。組成については、非鉄製錬工程にて用いる場合は、非鉄製錬の回収金属にあわせ用いるのが良い。特に亜鉛は、亜鉛製錬工程内では回収金属でもあり、置換反応性にも優れた金属であるので、本発明には最も適している。そのため、Zn含有粉末を使用するのがより好ましい。
【0042】
Hg第一分離工程において用いられるZn粉末は、硫酸澱物の処理方法において発生する沈殿が含有するZnから製造されたものであるのが好ましい。先ほど述べたように、Hgと置換しなかったZn粉末は、Hgとともに沈殿することになる。つまり、この沈殿物からZnを回収し、Zn粉末を再生することにより、別サイクルの硫酸澱物の処理方法におけるHg第一分離工程に、再生したZn粉末をリサイクルすることが可能となり、先に述べたようにNaClOを含有する廃液を使用すること、そして後述のSe分離工程において硫酸製造時に発生する亜硫酸ガスを使用することを加え、一種の循環処理工程を確立することが可能となる。
【0043】
Zn粉末の量としては、Hgの濃度に対して2〜3当量であるのが好ましい。もちろんこの範囲を超えてZn粉末を投入しても構わないが、結局、Hgと置換されずに余ったZn粉末がHg残渣に含有されることになる。また、Zn粉末の投入は、数度に分けて行うのが、Hgに対する置換効率を向上させるという意味で好ましい。
【0044】
1−C)Hg第二分離工程
本工程は、先のHg第一分離工程と後述のSe分離工程との間に、S(硫黄)を含む化合物であるS源を濾液に対して添加することにより、濾液中に残存していたHgを硫化させて沈殿させるというものである。
【0045】
本工程の位置づけとしては、まず、先のHg第一分離工程で分離しきれずに濾液中に残存しているHgを分離するという役割がある。
【0046】
しかしながら、本実施形態における本工程の役割はそれだけにとどまらない。詳しく言うと、後述のSe分離工程において迅速かつ確実にSeを分離するための下準備という意味もある。詳しくは後で述べるが、後述のSe分離工程において、Seを還元し沈殿させることになる。実施例の項目でも述べるが、例えば本工程無しの場合であってSe分離工程を亜硫酸ガスおよび塩酸3Nで行う場合、還元反応に要する時間としては180分が必要となるところ、本工程を行うことにより還元反応に要する時間を60分へと短縮することが可能となる。しかも本発明者の調べにより、塩酸の濃度を低くした場合だと、時間の短縮効果がさらに増大することが明らかとなっている。
【0047】
本実施形態においては、Seを迅速かつ確実に分離するために、二度の下準備を行っている。すなわち、「酸化浸出工程を電位900mV以上にて行ってSeをSe6+へと予め変化させておく」そして「S源を用いてHg第二分離工程を行い、濾液中にSを存在させておく」という下準備である。
【0048】
本工程において用いられるS源は公知のもので構わないが、入手しやすさや取り扱いやすさにおいて好ましいのは水硫化ソーダ(NaSH)である。他に、硫化水素でもよい。
また、S源の量としては、濾液中に残存するHgの濃度に対して10当量程度であるのが好ましい。もちろんこの範囲を逸脱してS源を投入しても構わないが、あまりにも過剰にS源を投入し過ぎると、意図しない硫化物の沈殿が生じたり、硫化物の錯イオンが生じたり、種々の影響が出るおそれがある。その点を留意してS源の量を決定するのが好ましい。
【0049】
1−D)Se分離工程
本工程においては、Hg第二分離工程後に固液分離による濾液中のSeを還元し、金属Seを沈殿させる。詳しく言うと、濾液に対して還元性を有する物質(以降、単に「還元性物質」とも言う。)を添加することによりSeを還元し沈殿させる。酸化浸出工程において電位を900mV以上としているため、SeはSe4+ではなくSe6+へと変化しており、本工程においてはじめて、硫酸澱物に含まれるSeの大部分を分離することが可能となる。また、本工程を行うことにより品位が90%以上のSe(メタルセレン)を回収得ることが可能である。
【0050】
なお、本工程における還元性物質も公知のものを用いても構わないが、好ましいのは亜硫酸ガス(SO)や重亜硫酸ソーダ(NaHSO)である。特に、亜硫酸ガスに関しては、硫酸製造時に発生する亜硫酸ガスを使用するのが好ましい。先にも述べたように、こうすることにより一種の循環処理工程を確立することが可能となる。
【0051】
1−E)その他
以上の工程により、硫酸澱物からHgおよびSeが除去される。なお、上記の工程以外の工程を適宜設けても構わない。例えば、上記の工程を経たあとの濾液を適宜処理して自然へと放流する工程を設けても構わない。
【0052】
<2.実施の形態による効果>
本実施形態によれば、主に以下の効果を奏する。
【0053】
硫酸澱物から一連の工程でHgおよびSeをそれぞれ除去する上で、非鉄製錬の工程中における硫酸製造時に発生する硫酸澱物に対しては、NaClOを用いて900mV以上で浸出を行うことにより、Hgに関しては、溶解度が高いHg2+とすることが可能となり、Seに関しては、意図しない沈殿を避けられるSe6+へと予め変化させておくことが可能となる。
【0054】
その結果、本実施形態によれば、比較的簡素な手法によって硫酸澱物からHgおよびSeをそれぞれ、迅速かつ確実に除去する技術を提供できる。
【0055】
<3.変形例等>
本発明の技術的範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
【0056】
本実施形態においてSe分離工程を設けるのが非常に好ましいが、例えばSe分離工程を別途行う場合であっても、Hg第二分離工程までで金属Seを得るための準備は十分整っているし、Hgは既に十分に分離されている。そのため、一連の工程の中にSe分離工程を含めなくとも、本発明の効果を十分に奏する。
【実施例】
【0057】
次に実施例を示し、本発明について具体的に説明する。もちろん本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0058】
なお、実施例1〜2および比較例1においては、硫酸澱物からHgおよびSeの除去まですなわち本実施形態に対応する一連の工程を行った。実施例1においては比較的小規模な状況下(いわゆるラボレベル)で試験を行い、実施例2−1、実施例2−2および比較例1においてはそれよりも規模が大きな状況下で試験を行った。
【0059】
一方、実施例3〜4においては、本実施形態で挙げた例が好適であることを証明するための試験を行った。
例えば実施例3では、酸化浸出工程においてNaClOを用いることが好適であることを証明すべく、比較例2(Hを使用)および比較例3(KMnO粉末を使用)を比較対象として試験を行った。
また実施例4では、Hg第一分離工程においてZn粉末を用いたことによる濾過性の向上度合いを証明するために、比較例4(Hgを硫化により沈殿)を比較対象として試験を行った。
【0060】
<実施例1>
本実施例においては、試験槽としては1Lのものを用いた。攪拌機の羽形状は3枚傾斜パドルとし、回転数は250〜300rpmとした。なお、処理対象とする硫酸澱物は、自社から生じたものを使用した。硫酸澱物に含有されるHgの品位は20.0質量%であり、Seの品位は2.5質量%であった。その他金属成分(Zn,Pb、Ag,Cu,As、Ti,Al)の品位は38.2質量%、残りは他含有物(硫黄、酸素、ハロゲン等)である。
【0061】
1−A)酸化浸出工程
本工程においては、NaClO溶液を1L用いた。そして、試験槽において上記の硫酸澱物をNaClO溶液へと浸し、HgおよびSeを浸出させた。その際、硫酸澱物の量は、NaClO溶液において100g/Lとなるように設定した。なお、反応時間は30分とし、終点温度は40℃とした。そして電位は900mVを超えるように設定した。なお、電位の測定条件としては、反応時間の終了時に銀/塩化銀電極を用い、終点温度を40℃とした。以降、同様とする。
その結果、HgおよびSeの浸出率は共に98〜99%となり、極めて良好な結果となっていた。なお、HgおよびSeの浸出率は、上記の硫酸澱物の組成、ならびに、反応終了後の溶液に含有されるHgおよびSeの量から求めた。また、当該HgおよびSeの量はthermo社製のICP発光分光装置を用いて求めた。以降、HgおよびSeの量についての測定方法は同様とする。
【0062】
1−B)Hg第一分離工程
本工程においては、林金属製のZn粉末をHgに対してモル比で2.0〜2.5mol当量用いた。そして、試験槽に対して上記のZn粉末を投入し、NaClO溶液中のHgをZnにて置換させ、Hgを沈殿させた。なお、反応時間は30〜40分とし、終点温度は10〜15℃とした。そして電位は0mV近傍とした。反応終了後、固液分離として吸引濾過装置を用いて濾過を行った。その際の条件は、濾過面直径を8cm、濾過面積を0.00503m、吸引圧力を0.5kg/cmとした。
その結果、まず濾過に要した時間は9.7分であり極めて短時間で濾過を行うことができた。さらに、濾液を調べたところ、Hgの除去率は99%を超えた数値となっており、Hgの濃度は検量下限(1ppm)以下となり、極めて良好な結果となっていた。ちなみに、残渣となった沈殿におけるHgの品位は、thermo製のICP発光分析装置で調べたところ、45〜50%であり、重量に換算するとHgは残渣中において60重量%存在した。なお、残渣におけるHg/Znのモル比は1.8〜2.0であった。
【0063】
1−C)Hg第二分離工程
本工程においては、Hg第一分離工程後の濾液をCT(コーンタンク)に移し替えた。そして当該タンクに0.3%のNaSHを10mL添加し、濾液中に残存しているHgを硫化により沈殿させつつ、Se分離工程に向けての下準備として濾液中にSを含有させる処理を行った。なお、反応時間は10分とし、終点温度は20℃とした。最終的な電位は−60mVとし、pHは5.8〜6.0とした。反応終了後、Hg第一分離工程と同様に、固液分離として加圧濾過機を用いて濾過を行った。
その結果、濾液を調べたところ、Hgの濃度は検量下限(1ppm)以下となり、極めて良好な結果となっていた。
【0064】
1−D)Se分離工程
本工程においては、Hg第二分離工程後の濾液を元の試験槽に移し替えた後、12NのHClを濾液に加えたときにHClが3Nになるように、12NのHClを濾液に加えた。そして、自社において硫酸製造時に発生した亜硫酸ガスを流速500mL/minで180分吹き込みながら、ヒータにより80℃へと加熱し、Se6+からSeへの還元反応を行った。反応終了後、Hg第一分離工程と同様に、吸引濾過装置を用いて濾過を行った。
その結果、濾液を調べたところ、Seの除去率は99%を超えた数値となっており、極めて良好な結果となっていた。残渣となった沈殿におけるSeの品位は、thermo製のICP発光分析装置で調べたところ、90〜99%であり、極めて品位の高いメタルセレンが得られた。なお、Hgの濃度は10ppm以下であり、HgとSeとを確実に分離することができていた。
【0065】
<実施例2−1>
実施例1がラボレベルの規模であったのに対し、本実施例においては、試験槽としては100Lのものを用いた。その他、実施例1と異なる諸々の条件については、以下の表1および表2にまとめた。表1は工程全体に係る条件を示し、表2は硫酸澱物におけるHgやSeの含有率、酸化浸出工程の条件および濾過性を含む結果、ならびに最終的なHgおよびSeの回収率を示す。なお、NaClO溶液としては廃液を用いた。
【表1】
【表2】
【0066】
なお、各工程における液量、残渣量、Hgに関するデータ、Seに関するデータについて、以下に述べる。
【0067】
1−A)酸化浸出工程
まず、硫酸澱物の重量は10.27kgとした。硫酸澱物に含有されるHgの品位は20.7%であり、重量は2126gであった。Seの品位は2.3%であり、重量は239gであった。他金属(亜鉛、銅、鉛、鉄、カドミウム、コバルト、ニッケル、貴金属、ガリウム、インジウム)24.7質量%、他含有物は、水銀、セレン、他金属以外の酸素、硫黄、ハロゲン等であり、殆どが酸素、硫黄である残余分である。
そして、本工程を行った後の后液106Lにおいて、Hgの濃度は19g/Lであり、重量は2016gであり、硫酸澱物の分配率を100%としたときに、分配率は94.8%であった。Seの濃度は2.29g/Lであり、重量は242.9gであり、硫酸澱物の分配率を100%としたときに、分配率は101.5%であった。なお、分配率の規定の仕方については以降同様とする。なお、分配率は、数値における2%以下の分析誤差はある。
また、本工程を行った後の残渣7.54kgにおいて、Hgの品位は0.4%であり、重量は27.4gであり、分配率は1.3%であった。Seの品位は0.1%であり、重量は4.3gであり、分配率は1.8%であった。
つまり、本工程を行った後の残渣には、HgもSeも殆ど含有されておらず、硫酸澱物における大半のHgおよびSeを浸出させることができた。
【0068】
1−B)Hg第一分離工程
本工程を行った後の濾液106Lにおいて、Hgの濃度は0.006g/Lであり、重量は0.6gであり、分配率は0.03%であった。Seの濃度は2.2g/Lであり、重量は228.1gであり、分配率は95.3%であった。
また、本工程を行った後の残渣3.38kgにおいて、Hgの品位は58.6%であり、重量は1984.3gであり、分配率は93.3%であった。Seの品位は0%であり、重量は0gであり、分配率は0%であった。
つまり、本工程を行った後の残渣は、その大部分がHgにより構成されており、しかもSeは全くと言っていいほど含まれていなかった。その一方、濾液においてはHgが殆ど含まれておらず、HgとSeを確実に分離することができていた。
【0069】
1−C)Hg第二分離工程
本工程を行った後の濾液106Lにおいて、Hgの濃度は0.002g/Lであり、重量は0.2gであり、分配率は0.010%であった。Seの濃度は2.05g/Lであり、重量は217.5gであり、分配率は90.85%であった。
また、本工程を行った後の残渣0.005kgにおいて、Hgの品位は14.9%であり、重量は0.84gであり、分配率は0.04%であった。Seの品位は0.4%であり、重量は0.023gであり、分配率は0.009%であった。
つまり、本工程を行った後に濾液に残存していたHgを除去することができた。
【0070】
1−D)Se分離工程
本工程を行った後の濾液140L(HCl溶液の分だけ増加)において、Seの濃度は0.00005g/Lであり、重量は0gであり、分配率は0.0029%であった。
また、本工程を行った後の残渣0.3kgにおいて、Hgの品位は0.0002%であり、重量は0gであり、分配率は0.00002%であった。その一方、Seの品位は99.2%であり、重量は0.22kgであり、分配率は90.77%であった。
つまり、本工程を行った後の残渣は、その大部分がSeにより構成されている一方、Hgは殆ど含まれておらず、Hgと金属Seを確実に分離することができていた。そして最終的に、硫酸澱物からHgおよびSeをそれぞれ、迅速かつ確実にしかも比較的簡素な手法で取り除くことに成功した。
【0071】
<実施例2−2>
本実施例においても、試験槽としては100Lのものを用いた。その他の条件に関しては、Hg、Se、他金属、他含有物の組成を変えた硫酸澱物を使用した以外は、実施例2−1と同様とした。なお、上記の組成の条件については上記の表2に記載している。
【0072】
<比較例1>
本比較例においては、酸化浸出工程における電位を818mVとして、900mV未満としたことを除けば、実施例2−1と同様の条件とした。その結果を同じく上記の表2に記載している。
【0073】
表2を見ると、実施例2−1および実施例2−2においては、HgおよびSeの浸出率、濾過性、最終的なHgおよびSeの除去率において極めて良好な結果を示しており、迅速かつ確実にHgおよびSeをそれぞれ除去することができていた。
その一方、比較例1においては、そもそもHgおよびSeの浸出率に劣り、硫酸澱物とHg、Seとの分離性が良くないので試験そのものを中止した。さらに、各工程を経るにつれ除去率が低下していき、試験を途中で中断するほとであった。
【0074】
<実施例3>
試験の条件としては、硫酸澱物10gを水100mlにリパルプし、硫酸澱物の濃度を100g/Lとした。攪拌速度は200〜300rpmとした。そして質量濃度14%のNaClOを硫酸澱物に添加し、電位を900mVよりも大きくしつつ、HgおよびSeの浸出率を測定した。本実施例においては、酸化浸出工程においてNaClOを用いることが好適であることを証明するために、比較例2(Hを使用)および比較例3(KMnO粉末を使用)を比較対象として試験を行った。その結果を以下の表3に示す。
【表3】
【0075】
<比較例2>
本比較例においては、酸化浸出工程において濃度30%のHを300mL使用したことを除けば、実施例3と同じ条件で試験を行った。本比較例の結果も表3に記載している。
【0076】
<比較例3>
本比較例においては、酸化浸出工程においてキシダ化学製のKMnO粉末を2g使用したことを除けば、実施例3と同じ条件で試験を行った。本比較例の結果も表3に記載している。
【0077】
実施例3、比較例2および比較例3を対比すると、実施例3においては、NaClOを用いることにより良好な浸出率が得られた。その一方、比較例2および比較例3においては、900mVを超えるような電位を設定したとしても、良好な浸出率を得ることができなかった。
【0078】
<実施例4>
本実施例においては、Hg第一分離工程においてZn粉末を用いたことによる濾過性の向上度合いを証明するために、比較例4(Hgを硫化により沈殿)を比較対象として試験を行った。その結果を以下の表4に示す。なお、本実施例は実施例1に該当する。
【表4】
【0079】
<比較例4>
本比較例においては、Hg第一分離工程においてHgを硫化により沈殿させたことを除けば、実施例4と同じ条件で試験を行った。本比較例の結果を以下の表5に記載する。なお、Hg第一分離工程においてHgを硫化により沈殿させる際の試験の条件としては、実施例1におけるHg第二分離工程と同様とした。また、硫化により沈殿させる反応終了後、アドバンテック社製の加圧濾過機を用いて濾過を行った。その際の条件は、濾過面直径を12cm、濾過面積を0.01131m、圧力を4.2kg/cmとした。つまり、実施例4(すなわち実施例1)に比べて、濾過面直径を1.5倍、濾過面積を約2倍、圧力を約8倍とした。別の言い方をすると、実施例4だと、比較例4に比べて濾過面直径が2/3であり、濾過面積は約半分であり、圧力は1/8という、濾過において一見不利な条件に置かれている。
【表5】
【0080】
実施例4および比較例4を対比すると、実施例4においては、比較例4よりも不利な条件に置かれているにもかかわらず、濾液量1Lを濾過するのに、比較例4に比べて濾過速度が5倍以上に向上した。実施例4においては、Hgの沈殿に対する濾過性が著しく向上した。
【0081】
以上の結果、上記の実施例によれば、比較的簡素な手法によって硫酸澱物からHgおよびSeをそれぞれ、迅速かつ確実に除去する技術を提供できることが明らかとなった。
図1