特許第6377509号(P6377509)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6377509
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】易開封包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20180813BHJP
   B65D 5/52 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   B65D5/54 301R
   B65D5/52 J
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-243772(P2014-243772)
(22)【出願日】2014年12月2日
(65)【公開番号】特開2016-107993(P2016-107993A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117400
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 政徳
(74)【代理人】
【識別番号】100151024
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 幸嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】半田 雅之
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0276333(US,A1)
【文献】 特開2014−037254(JP,A)
【文献】 実開昭55−098715(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/54
B65D 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前壁(1)に両方の側壁(2)との稜部間に及ぶ前切線(10)を入れると共に、側壁(2)に前切線(10)から続いて後上方へ延びる側切線(11)を入れ、開封に際して、前切線(10)及び側切線(11)を切断し、その上方部分を除去する易開封包装箱において、
側壁(2)には、側切線(11)に臨む指入部(12)を設け、指入部(12)から前上方へ斜めに延びる第一山折線(13)を入れると共に、第一山折線(13)が側壁(2)の上端部に達する付近から前下方へ斜めに延びる谷折線(14)を入れ、谷折線(14)が側切線(11)の上方で前壁(1)と側壁(2)の稜部へ向かうものとし
側壁(2)の上端に連なる天面には、第一山折線(13)が側壁(2)の上端部に達する付近から内側へ山折線(7a)を入れ、側壁(2)と天面の稜部において、第一山折線(13)と谷折線(14)と前記天面の山折線(7a)の延長線が1点で交わることを特徴とする易開封包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の易開封包装箱において、側壁(2)には、谷折線(14)の前端付近から側切線(11)へ向けて後下方へ斜めに延びる第二山折線(15)を入れたことを特徴とする易開封包装箱。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の易開封包装箱において、前壁(1)の上端に蓋板(8)を連設し、側壁(2)の上端から延出した蓋受片(7)を内側へ折り曲げ、蓋受片(7)に蓋板(8)を重ね、蓋板(8)の先端の差込片(9)を後壁(3)の内面と蓋受片(7)の間に差し込んで封緘する構成とし、蓋受片(7)には、第一山折線(13)が側壁(2)の上端部に達する付近から先端へかけて山折線(7a)を入れたことを特徴とする易開封包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、切断により容易に開封して、商品の展示形態とすることができる包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、商品の包装及び展示に使用する包装箱として、下記特許文献1には、図5に示すような包装箱が記載されている。この包装箱は、前壁51に両方の側壁52との稜部間に及ぶ前切線53を入れると共に、側壁52に前切線53から続いて後上角へ斜めに延びる側切線54を入れ、開封に際して、前切線53及び側切線54を切断し、後面と天面の稜部を切り離して、前切線53及び側切線54の上方部分を除去するものである。
【0003】
この包装箱の前壁51は、内前板55と外前板56とを重ね合わせた二重構造とされ、内前板55の下部を前切線53が横切り、内前板55と外前板56とは、前切線53の上方で貼り合わされている。また、外前板56の下部には、開封時に摘んで引き上げる摘み部57が切り込みを入れて形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8342335号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記包装箱は、開封に際して、摘み部57を摘んで引き上げるだけでは、前切線53及び側切線54を切断することが難しく、前壁51及び一対の側壁52を個別に押して、前切線53及び側切線54を切断するような作業が必要となることがある。
【0006】
このような作業が必要となると、店頭での展示作業に手間がかかり、商品の製造元が意図するような形態の展示が行われない場合がある。
【0007】
そこで、この発明は、容易に開封して商品を展示できる易開封包装箱を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明は、前壁に両方の側壁との稜部間に及ぶ前切線を入れると共に、側壁に前切線から続いて後上方へ延びる側切線を入れ、開封に際して、前切線及び側切線を切断し、その上方部分を除去する易開封包装箱において、側壁には、側切線に臨む指入部を設け、指入部から前上方へ斜めに延びる第一山折線を入れると共に、第一山折線が側壁の上端部に達する付近から前下方へ斜めに延びる谷折線を入れ、谷折線が側切線の上方で前壁と側壁の稜部へ向かうものとし、開封時に側壁を膨らむように撓ませることとしたのである。
【0009】
また、側壁には、谷折線の前端付近から側切線へ向けて後下方へ斜めに延びる第二山折線を入れ、開封時に側壁が撓みやすくなるようにしたのである。
【0010】
また、前壁の上端に蓋板を連設し、側壁の上端から延出した蓋受片を内側へ折り曲げ、蓋受片に蓋板を重ね、蓋板の先端の差込片を後壁の内面と蓋受片の間に差し込んで封緘する構成とし、蓋受片には、第一山折線が側壁の上端部に達する付近から先端へかけて山折線を入れ、開封時に天面が撓みやすくすると共に、天面と後面の稜部を切断せずに開封できるようにしたのである。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係る易開封包装箱では、側壁の指入部から指を挿入して、指入部に臨む第一山折線の近傍を外側へ引っ張り、側壁を第一山折線及び谷折線に沿って膨らむように撓ませるだけで、側切線が切断されると同時に、両方の側壁の谷折線の各端部をそれぞれ結ぶ軸線間の部分を前下がりに傾ける力が作用し、前壁と側壁の稜部から前切線が切断されるので、容易に開封して、商品の展示状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の実施形態に係る易開封包装箱のブランクを示す図
図2】同上の包装状態を示す斜視図
図3】同上の開封過程を示す斜視図
図4】同上の開封後の上下分離状態を示す斜視図
図5】特許文献1に係る包装箱の開封過程を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
この易開封包装箱は、図1に示す段ボールのブランクから形成される。このブランクでは、段ボールの段目が縦向きとなり、前壁1の一方の側端に側壁2、後壁3及び側壁2が順次連設され、前壁1の他方の側端に継代片4が連設されている。一対の側壁2の下端には側縁が斜めに切断された底板5が、前壁1及び後壁3の下端には片側に斜め方向の折目線を有する底板6がそれぞれ連設されている。また、一対の側壁2の上端には蓋受片7が連設され、前壁1の上端には蓋板8及び差込片9が順次連設されている。
【0015】
そして、組立状態の方向で説明すると、前壁1には、高さ方向の中間下部に、側壁2との稜部となる両方の側端間に亘って、切目と繋部とが交互に断続するミシン目状の前切線10が入れられている。前切線10の中間部は一段低くなっており、その中央部上方に臨んで、押込可能な一対の舌片を形成する切込により補助指入部10aが設けられている。また、継代片4には、前切線10へ続く切込が入れられている。
【0016】
側壁2には、前切線10から続いて後上方へ延びるように、側切線11が入れられている。側切線11は、水平方向からやや斜め上方へ向きを変えた後、上方へ湾曲して側壁2の上端へ至り、蓋受片7との境界に沿って後壁3との境界へ達している。
【0017】
また、側壁2には、側切線11の湾曲した中間部分に臨んで、押込可能な舌片を形成する切込により指入部12が設けられ、指入部12は、先端側が前上方へ向いている。側切線11の指入部12の近傍は、開封時における側切線11から逸脱した破断を防止するため、鉤状の切目が断続するジッパー型切目線とされ、他の部分は、切目と繋部とが交互に断続するミシン目状とされている。
【0018】
また、側壁2には、指入部12から側壁2の上端部へかけて前上方へ斜めに延びる第一山折線13が入れられ、蓋受片7には、第一山折線13が側壁2の上端部に達する付近から先端へかけて山折線7aが入れられている。
【0019】
また、側壁2には、第一山折線13が側壁2の上端部に達する付近から前下方へ斜めに延びる谷折線14が入れられ、谷折線14は、側切線11の上方で前壁1と側壁2の稜部に達するものとされている。
【0020】
さらに、側壁2には、谷折線14の前端付近から側切線11へかけて後下方へ斜めに延びる第二山折線15が入れられ、継代片4にも、谷折線14及び第二山折線15に対応する位置に押罫線が入れられている。
【0021】
上記第一山折線13、山折線7a及び第二山折線15は、開封時に段ボールの表面側が凸となる方向へ折れ曲がるように、段ボールの裏面側から押圧した押罫線とされ、谷折線14は、開封時に段ボールの表面側が凹む方向へ折れ曲がるように、段ボールの表面側から押圧した逆罫線とされている。
【0022】
このようなブランクは、前壁1と一方の側壁2の境界に沿って折り重ねると共に、後壁3と他方の側壁2の境界に沿って折り重ね、継代片4を他方の側壁2の端部に貼り付け、また、底板6を斜め方向の折目線に沿って折り返した状態で、その折返部を底板5に貼り付けて、偏平な折畳状態としておく。
【0023】
そして、商品を収納する際には、図2に示すように、前壁1、一対の側壁2及び後壁3から角筒状の周壁を形成し、各一対の底板5,6から底壁を形成して、商品を上部開口から収納した後、蓋受片7を内側へ折り曲げ、蓋板8を後方へ折り曲げて蓋受片7に重ね、差込片9を後壁3の内面と蓋受片7の間に差し込んで封緘する。
【0024】
一方、店頭で商品を展示する際には、図3に示すように、側壁2の指入部12から指を挿入して、指入部12に臨む第一山折線13の近傍を外側へ引っ張り、側壁2を第一山折線13、谷折線14及び第二山折線15に沿って膨らむように撓ませる。
【0025】
これに伴い、側切線11が切断されると同時に、両方の側壁2の谷折線14の各端部をそれぞれ結ぶ軸線A,B間の部分を前下がりに傾ける力が作用し、前壁1と側壁2の稜部から前切線10が切断されるので、容易に開封できる。前切線10が完全に切断されない場合には、補助指入部10aに指を入れて、前壁1を外側へ膨らむように撓ませる。
【0026】
そして、図4に示すように、前壁1及び側壁2を前切線10及び側切線11に沿って上下に分割し、差込片9を後壁3の内面に重なる状態から上方へ引き離すと、トレイ部分21とカバー部分22とに分離され、前方へかけて大きく開口したトレイ部分21から商品を露出させて展示することができる。
【0027】
その後、カバー部分22は、貼付部分を剥がしたりすることなく、偏平に解体して、廃棄することができる。
【0028】
なお、上記実施形態では、天面と後面の稜部を切断せずに開封できるように、前壁1の上端に蓋板8を連設したものを例示したが、後壁3の上端に蓋板8を連設し、蓋板8の先端の差込片9を前壁1の内面と蓋受片7の間に差し込むようにしたり、前壁1及び後壁3の上端に連設したフラップと、一対の側壁2の上端に連設したフラップとを貼り合わせて封緘するようにしてもよい。この場合、後壁3とその上端に連なる蓋板8又はフラップの稜部に、開封用の切目線を入れておく必要がある。
【0029】
また、指入部12及び補助指入部10aとして、切込による舌片を押し込むものを例示したが、これらは、切り起こしによる舌片を引っ張るものとしてもよく、舌片のない単なる指入用の穴としてもよい。
【0030】
また、側壁2に第二山折線15を入れたものを例示したが、材質が撓みやすいものである場合、第二山折線15は省略してもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 前壁
2 側壁
3 後壁
4 継代片
5,6 底板
7 蓋受片
7a 山折線
8 蓋板
9 差込片
10 前切線
10a 補助指入部
11 側切線
12 指入部
13 第一山折線
14 谷折線
15 第二山折線
21 トレイ部分
22 カバー部分
A,B 軸線
図1
図2
図3
図4
図5