特許第6377522号(P6377522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6377522
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】通信装置、通信方法および通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/14 20090101AFI20180813BHJP
【FI】
   H04W16/14
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-266390(P2014-266390)
(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-127412(P2016-127412A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年8月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141519
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 邦之
(72)【発明者】
【氏名】戸田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】大関 武雄
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊明
(72)【発明者】
【氏名】末柄 恭宏
【審査官】 石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/189909(WO,A2)
【文献】 国際公開第2014/025381(WO,A1)
【文献】 IEEE Std 802.11−2007,2007年 6月12日,p.71−73
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 − 99/00
H04B 7/24 − 7/26
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルラネットワークと、周囲の通信状況に応じて無線通信を実行する無線LANネットワークとが混在しうる無線環境において、前記セルラネットワークにおいて無線通信を実行する通信装置であって、
無線通信の相手方の通信装置に送信するための所定の信号の送信前に、少なくとも前記所定の信号に対する応答信号を受信するまでの所定の期間において、前記無線LANネットワークにおける無線通信の実行を禁止させるための第1の送信禁止期間に関する情報を含む無線LANフレームを送信し、前記無線通信の相手方の通信装置に対して前記所定の信号を送信する送信部と、
前記送信部によって送信した前記所定の信号に対する応答信号を前記相手方から受信する受信部と
を備え、
前記送信部は、前記所定の信号に対する応答信号の受信結果に応じて、少なくとも前記無線通信の相手方の通信装置への再送信号に対する応答信号を受信するまでの期間において、前記無線LANネットワークにおける無線通信の実行を禁止させるための第2の送信禁止期間に関する情報を含む第2の無線LANフレームを送信して、前記無線通信の相手方の通信装置に対して前記再送信号を送信し、
前記受信部は、前記送信部により送信された前記再送信号に対する応答信号を前記相手方から受信することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記送信部は、送信禁止期間に関する情報を前記無線LANフレーム内のDurationフィールドに設定することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記セルラネットワークがFDD方式である場合、
前記送信部は、送信禁止期間として5ms以上の値が設定された無線LANフレームを送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
セルラネットワークと、周囲の通信状況に応じて無線通信を実行する無線LANネットワークとが混在しうる無線環境において、前記セルラネットワークにおいて無線通信を実行する複数の通信装置を含む通信システムに用いられる通信方法であって、
送信側の通信装置において無線通信の相手方の通信装置に送信するための所定の信号の送信前に、少なくとも前記所定の信号に対する応答信号を受信するまでの所定の期間において、前記無線LANネットワークにおける無線通信の実行を禁止させるための第1の送信禁止期間に関する情報を含む無線LANフレームを送信し、前記無線通信の相手方の通信装置に対して前記所定の信号を送信することと、
前記送信側の通信装置において、前記送信した前記所定の信号に対する応答信号を前記相手方から受信すること、
前記送信側の通信装置において、前記所定の信号に対する応答信号の受信結果に応じて、少なくとも前記無線通信の相手方の通信装置への再送信号に対する応答信号を受信するまでの期間において、前記無線LANネットワークにおける無線通信の実行を禁止させるための第2の送信禁止期間に関する情報を含む第2の無線LANフレームを送信して、前記無線通信の相手方の通信装置に対して前記再送信号を送信することと、
前記送信側の通信装置において、前記再送信号に対する応答信号を前記相手方から受信すること
を含むことを特徴とする通信方法。
【請求項5】
セルラネットワークと、周囲の通信状況に応じて無線通信を実行する無線LANネットワークとが混在しうる無線環境において、前記セルラネットワークにおいて無線通信を実行する複数の通信装置を含む通信システムであって、
送信側の通信装置は、
無線通信の相手方の通信装置に送信するための所定の信号の送信前に、少なくとも前記所定の信号に対する応答信号を受信するまでの所定の期間において、前記無線LANネットワークにおける無線通信の実行を禁止させるための第1の送信禁止期間に関する情報を含む無線LANフレームを送信し、前記無線通信の相手方の通信装置に対して前記所定の信号を送信する送信部と、
前記送信部によって送信した前記所定の信号に対する応答信号を前記相手方から受信する受信部と
を備え、
受信側の通信装置は、
無線通信の送信側の通信装置から所定の信号を受信する受信部と、
前記受信部によって受信した信号に対する応答信号を前記送信側の通信装置に送信する送信部と
を備え、
前記送信側の通信装置の送信部は、前記所定の信号に対する応答信号の受信結果に応じて、少なくとも前記無線通信の相手方の通信装置への再送信号に対する応答信号を受信するまでの期間において、前記無線LANネットワークにおける無線通信の実行を禁止させるための第2の送信禁止期間に関する情報を含む第2の無線LANフレームを送信して、前記無線通信の相手方の通信装置に対して前記再送信号を送信し、
前記送信側の通信装置の受信部は、前記送信部により送信された前記再送信号に対する応答信号を前記相手方から受信することを特徴とする通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、無線通信を行うための通信装置、通信方法および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、次世代移動通信システムの仕様検討の一環として、LAA(Licensed−Assisted Access)についての議論がなされている(たとえば、非特許文献1を参照。)。LAAは、非LTE通信で使われているアンライセンス周波数帯(Unlicensed band)においてLTE通信を実施する場合における両通信の効果を最大化するための技術であり、3GPP Release 13(2014年10月から仕様検討開始)における標準化対象技術の1つである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP RP−141664 “Study on Licensed-Assisted Access using LTE” 2014年9月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、セルラ通信システムであるLTE通信と、非セルラ通信システムである無線LAN通信とが同一周波数帯において混在しうる場合、通信方式の異なるシステムを共存させるための仕組みが必要となる。
【0005】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、同一周波数帯においてセルラ通信と非セルラ通信との共存を可能にする通信装置、通信方法および通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、通信装置に関する。この通信装置は、セルラネットワークと、周囲の通信状況に応じて無線通信を実行する無線LANネットワークとが混在しうる無線環境において、セルラネットワークにおいて無線通信を実行する通信装置であって、無線通信の相手方の通信装置に対して所定の信号を送信する送信部と、送信部によって送信した信号に対する応答信号を相手方から受信する受信部とを備える。送信部は、所定の信号の送信前に、少なくとも受信部において応答信号を受信するまでの所定の期間において、無線LANネットワークにおける無線通信の実行を禁止させるための送信禁止期間に関する情報を含む無線LANフレームを送信する。なお、セルラネットワークとは、3gppで規定されているLTEやCDMAを用いたネットワークであってもよいし、cdma2000やGSM(登録商標)あるいはこれらの拡張された方式であってもよい。また、無線LANネットワークとは、IEEE802.11系やIEEE802.16系などの非セルラ通信方式であってもよい。
【0007】
このような態様によると、LTE通信における応答信号と無線LAN信号との衝突を回避することができるため、LTE基地局または端末おいて応答信号を正確に受信することが可能になる。したがって、同一周波数帯においてLTEベースの通信と無線LAN通信とを共存させることが可能になる。
【0008】
また、上記態様において、送信部は、応答信号の受信結果に応じて、無線通信の相手方の通信装置に対して所定の信号を再送し、受信部は、前記送信部によって再送した信号に対する応答信号を相手方から受信し、送信部は、送信禁止期間を少なくとも受信部において再送した信号に対する応答信号を受信するまでの期間としてもよい。
【0009】
このような態様によると、再送に対する応答信号の受信のタイミングまで無線LAN通信を停止させることによって、たとえば、上りリンク通信において、LTE端末がLTE基地局からの応答信号をNACKと判定した場合または応答信号が正しく受信できなかった場合でも、データの再送およびその応答信号を受信することが可能になるため、LTE通信の信頼性を向上でき、同一周波数帯においてLTEベースの通信と無線LAN通信とを共存させることが可能になる。
【0010】
また、送信部は、前記応答信号の受信結果に応じて、前記無線通信の相手方の通信装置に対して前記所定の信号を再送し、前記受信部は、前記送信部によって再送した信号に対する応答信号を前記相手方から受信し、前記送信部は、前記所定の信号の送信前に、少なくとも前記送信部によって送信した信号に対する応答信号の受信タイミングの直後のフレームまでの期間において、前記無線LANネットワークにおける無線通信の実行を禁止させるための第1の送信禁止期間に関する情報を含む第1の無線LANフレームを送信し、前記応答信号の受信結果に応じて、少なくとも前記送信部によって再送した信号に対する応答信号を受信するまでの期間において、前記無線LANネットワークにおける無線通信の実行を禁止させるための第2の送信禁止期間に関する情報を含む第2の無線LANフレームを送信する。
【0011】
このような態様によると、たとえば、上りリンク通信において、LTE端末がLTE基地局からの応答信号をNACKと判定した場合または応答信号が正しく受信できなかった場合にのみ、改めて送信禁止期間を設定し再送のタイミングにおける無線LAN通信を禁止させるようになる。これにより、再送の必要がある場合のみ、無線LAN通信を禁止させるため、無線周波数帯の有効利用が可能になり、もって、同一周波数帯においてLTEベースの通信と無線LAN通信とを共存させることが可能になる。
【0012】
送信部は、送信禁止期間を無線LANフレーム内のDurationフィールドに設定してもよい。このような態様によると、たとえばIEEE802.11に定義されるMACフレームフォーマットのDurationフィールドを含む無線LANフレームを受信した無線LAN基地局および端末は、Durationフィールドに記載された時間だけ通信を禁止することになっているため、適切な値をDurationフィールドに設定することで、容易にLTE通信と無線LAN通信の共存が実現可能になる。
【0013】
また、セルラネットワークはFDD方式である場合、送信部は、送信禁止期間として5ms以上の値が設定された無線LANフレームを送信する。FDD方式のLTE通信では、データ送信からその応答信号の受信までの時間は4ms(1サブフレームは1ms)と規定されているため、送信禁止期間として少なくとも5ms以上の値を設定することで確実にデータ送信に対する応答信号を受信可能になり、もって、同一周波数帯においてLTEベースの通信と無線LAN通信とを共存させることが可能になる。
【0014】
また、本発明の他の態様は、通信方法である。この通信方法は、セルラネットワークと、周囲の通信状況に応じて無線通信を実行する無線LANネットワークとが混在しうる無線環境において、セルラネットワークにおいて無線通信を実行する複数の通信装置を含む通信システムに用いられる通信方法であって、送信側の通信装置において、無線通信の相手方の通信装置に対して所定の信号を送信する送信ステップと、送信ステップによって送信した信号に対する応答信号を相手方から受信する受信ステップとを有し、受信側の通信装置において、無線通信の送信側の通信装置から所定の信号を受信する受信ステップと、受信ステップによって受信した信号に対する応答信号を送信側の通信装置に送信する送信ステップとを有し、送信側の通信装置の送信ステップは、所定の信号の送信前に、少なくとも送信側の受信ステップにおいて応答信号を受信するまでの所定の期間において、無線LANネットワークにおける無線通信の実行を禁止させるための送信禁止期間に関する情報を含む無線LANフレームを送信する。
【0015】
また、本発明の他の態様は、通信システムである。この通信システムは、セルラネットワークと、周囲の通信状況に応じて無線通信を実行する無線LANネットワークとが混在しうる無線環境において、セルラネットワークにおいて無線通信を実行する複数の通信装置を含む通信システムであって、送信側の通信装置は、無線通信の相手方の通信装置に対して所定の信号を送信する送信部と、送信部によって送信した信号に対する応答信号を相手方から受信する受信部とを備え、受信側の通信装置は、無線通信の送信側の通信装置から所定の信号を受信する受信部と、受信部によって受信した信号に対する応答信号を送信側の通信装置に送信する送信部とを備え、送信側の通信装置の送信部は、所定の信号の送信前に、少なくとも送信側の受信部において応答信号を受信するまでの所定の期間において、無線LANネットワークにおける無線通信の実行を禁止させるための送信禁止期間に関する情報を含む無線LANフレームを送信する。
【0016】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、同一周波数帯においてセルラ通信と非セルラ通信との共存を可能にする通信装置、通信方法および通信システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態にかかる無線通信システムの構成例を示す図である。
図2図1のLTE基地局の構成例を示す図である。
図3図1のLTE端末の構成例を示す図である。
図4】実施例1にかかる無線通信システムの動作例を示す図である。
図5】無線LANにおけるCTSフレームの構成例を示す図である。
図6】実施例1にかかる無線通信システムの変形例1の動作例を示す図である。
図7】実施例1にかかる無線通信システムの変形例2の動作例を示す図である。
図8】TDDシステムにおけるLTEのサブフレームの構成例を示す図である。
図9】実施例2にかかる無線通信システムの動作例を示す図である。
図10】LTEにおけるデータ送受信と応答信号送受信のタイミングの一例を示す図である。
図11】LTE通信と非LTE通信とが共存した場合の課題を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(本発明の概要)
本発明の実施例を説明する前に、まず、本発明の概要を述べる。本発明は、たとえば、無線LANで使われているアンライセンス周波数帯を利用してLTEベースの無線通信を行うシステムにおいて、LTE基地局またはLTE端末として動作する通信装置を提供するケースを想定している。たとえば、本発明にかかる通信装置は、セルラネットワークと、周囲の通信状況に応じて無線通信を実行する無線LANネットワークとが混在しうる無線環境において、セルラネットワークにおいて無線通信を実行する通信装置であって、無線通信の相手方の通信装置に対して所定の信号を送信する送信部と、送信部によって送信した信号に対する応答信号を相手方から受信する受信部とを備える。送信部は、所定の信号の送信前に、少なくとも受信部において応答信号を受信するまでの所定の期間において、無線LANネットワークにおける無線通信の実行を禁止させるための送信禁止期間に関する情報を含む無線LANフレームを送信する。
【0020】
従来のLTE通信においては、上りリンクのデータを受信したLTE基地局または下りリンクのデータを受信したLTE端末は、一定時間経過後に応答信号として、受信の成功または失敗を通知するACK/NACK信号を相手方に送信する。LTE基地局および端末は、相手方からの応答信号の送受信タイミングを把握しているため、当該タイミングで応答信号を受信し復調することで、相手方においてデータが問題なく受信されたか否かを判定することができ、この結果を用いて再送制御を行うこととなる。例えば、図10に示すように、FDD方式の場合、下りリンクのデータ送信においては、端末は、下りリンクのデータを受信したサブフレームの4サブフレーム後に応答信号を送信することになっている。
【0021】
一方、LTE通信と無線LAN(Wireless LAN)が同一周波数帯において実施されるシステムを想定する場合、このようなシステムにおいては、Listen Before Talk(LBT)方式が適用される可能性がある。ここで、LBT方式とは、無線LAN通信等で採用されている技術であり、データ送信をする前に、周囲で通信が行われているかを確認、スキャン、あるいはキャリアセンスなどを実行し、周囲で通信が行われていると判断できる場合には、データ送信を行わない方式を指す。
【0022】
ここで、例えばLTEの下りリンク通信を想定した場合、図11に示すように、無線LAN通信が行われているタイミングにおいては、LBT方式により、LTEの応答信号の送受信ができないため、LTE基地局は無線LAN信号を応答信号と誤認識して復調してしまう結果、再送制御の妨げとなる。なお、この事象は、上りリンク通信における再送制御においても同様に発生する。
【0023】
本発明は、以上の課題を解決しており、LTE基地局または端末によりデータ送信前に、少なくとも応答信号を受信するまでの所定の期間において無線LAN通信の実行を禁止させるための送信禁止期間に関する情報を含む無線LANフレームを送信することにより、周囲の無線LAN基地局または端末の送信動作が停止されるため、LTE基地局または端末は所望のタイミングで、適切な応答信号を受信することが可能になる。
【0024】
(無線通信システムの構成例)
図1は、本発明の一実施形態にかかる無線通信システム100の構成例を示す図である。無線通信システム100は、LTE基地局10と、LTE端末20と、無線LAN基地局30と、無線LAN端末40とを含む。無線通信システム100は、LTE基地局10が形成するLTE通信のセルエリアと無線LAN基地局30が形成する無線LAN通信のセルエリアとが重複して配置され、双方が重複したエリアにLTE端末20と無線LAN端末40とが位置していることを想定したものであるが、これ以外の態様であっても本発明を適用できることは言うまでもない。
【0025】
ここで、LTE基地局10は、たとえば無線LAN基地局30が使用するアンライセンス周波数帯(たとえば5GHz帯)を利用してLTEベースの無線通信を実施する。なお、アンライセンス周波数帯とは、ライセンス不要な周波数帯であり、また、所定のライセンスが必要な無線通信方式以外の無線通信方式を実施する場合には所定の電力以上の通信が制限されうることを指す。ここでは、LTE通信がアンライセンス周波数帯においてなされ、それゆえに、無線LAN通信との混信、干渉が発生し得る状況にあることを想定している。また、本明細書において、LTE通信とは、LTEまたはLTE−Advancedあるいはそれらにもとづいて規定される後継の無線通信方式を含み、無線LAN通信とは、たとえばIEEE 802.11aやIEEE 802.11n規格などで規定される5GHz帯の無線通信を含む。
【0026】
本形態においては、LTE端末20は、LTE基地局10の配下にあり、LTE基地局10との間でLTE通信を実施可能な状態にある。一方、無線LAN基地局30と無線LAN端末40との間では、LBT方式を用いながら、無線LAN通信を実施することができる。また、LTE端末20は、無線LAN基地局30が形成する無線LAN通信のセルエリアに存在し、無線LAN基地局30または無線LAN端末40が送信する無線LAN信号の影響を受ける状態にある。
【0027】
また、LTE基地局10、LTE端末20、無線LAN基地局30、無線LAN端末40は、互いにフレーム同期が取れている状態であってもよい。同期の方法は、上位レイヤにおいてネゴシエートされていてもよいし、互いに同期情報を通信あるいは報知することによりなされていてもよく、あるいは、たとえば、LTE装置に搭載された無線LAN通信方式を実行可能な機能ブロックにより同期情報を取得し、当該LTE通信を実行するための制御ブロックにその同期情報を内部バスを介して渡すことで、自己完結にて同期させてもよい。また、LTE端末20は、当該1台の端末をもって、システム帯域のすべてを使用していてもよい。
【0028】
ここで、LTE基地局10からLTE端末20への下りリンクのLTE通信を想定した場合、無線LAN通信が行われているタイミングにおいては、LTE端末20は、無線LAN通信により自己のLTE通信が干渉を受ける。また、LTE端末20がLBT方式を実施可能な場合、無線LAN信号を検知することにより、LTE基地局10からのデータ送信に対する応答信号を送信できないこととなる。
【0029】
そこで、本実施形態では、LTE基地局10は、データの送信前に、少なくともLTE端末20からの応答信号を受信するまでの所定の期間において無線LAN通信の実行を禁止させるための送信禁止期間に関する情報を含む無線LANフレームを送信する。これは、上りリンクのLTE通信においても同様に適用できる。
【0030】
送信禁止期間は、たとえばIEEE802.11に定義されるMACフレームフォーマットのDurationフィールドに設定することができる。Durationフィールドは、無線LAN通信における送信禁止時間を決定する2byte領域である。Durationフィールドを含む無線LANフレームを受信した無線LAN基地局30および無線LAN端末40は、Durationフィールドに記載された時間は通信を行わなくなるため、適切な値をDurationフィールドに設定することで、LTE基地局10またはLTE端末20は所望のタイミングで、適切な応答信号を受信することが可能になる。
【0031】
(LTE基地局の構成例)
図2は、図1のLTE基地局10の構成例を示す図である。LTE基地局10は、通信部12と、制御部14と、記憶部16とを含む。
【0032】
通信部12は、記憶部16に記憶された情報を制御部14が使用しながら、自局の通信エリアに属する端末との間で、LTEベースの無線通信を実行する。下りリンクの通信の場合は、通信部12は、無線通信の相手方の端末に対して所定の信号を送信し、送信した信号に対する応答信号を相手方の端末から受信する。
【0033】
このとき、通信部12は、データの送信前に、少なくともLTE端末20からの応答信号を受信するまでの所定の期間において無線LAN通信の実行を禁止させるための送信禁止期間をDurationフィールドに設定した無線LANフレームを送信する。上りリンクの通信の場合は、通信部12は、無線通信の相手方の端末から所定の信号を受信し、一定期間経過後にデータ送信に対する応答信号を相手方の端末に送信する。
【0034】
なお、通信部12は、FDD方式またはTDD方式により通信を実行することができる。通信部12は、図示しない送信部と受信部とを備えてもよく、送信部は送信に関する処理を実行し、受信部は受信に関する処理を実行してもよい。また、下りリンク、上りリンク、FDD、TDDの別によらず、通信部12は、相手方の通信装置から受信した無線LANフレームについては無視してもよい。FDD方式の場合は後述の実施例1において、TDD方式の場合は後述の実施例2において、図面を用いて具体的に説明する。
【0035】
制御部14は、端末から送られてくる無線リソースの割当要求に応じて、無線リソースを割り当て、割り当てた無線リソースに関する情報を含む制御メッセージを、要求元の端末に対して送信する。また、制御部14は、相手方からの応答信号の受信タイミングに応じて、上記通信部12が送信する無線LANフレームに含まれる送信禁止期間を設定してもよい。
【0036】
FDD方式の場合における送信禁止期間は、たとえば、下りリンクのデータ送信においては、端末は下りリンクのデータを受信したサブフレームの4サブフレーム後に応答信号を送信することと規定されていることから、5ms以上に設定するとよい。TDD方式の送信禁止期間は、上りリンク/下りリンクのコンフィグレーションに応じて設定される。TDD方式のLTE通信では、データの送信に対する応答信号の送信タイミングは、データ受信後4ms以降で、かつ送信可能なサブフレームで応答信号を送信することと規定されている。
【0037】
また、送信禁止期間に関する情報を含む無線LANフレームは、データを送信するサブフレームより前の下りリンク送信可能なサブフレームで送信されることになる。したがって、TDD方式の場合における送信禁止期間は、少なくとも無線LANフレームを送信するサブフレームの直後のサブフレームから応答信号を受信するサブフレームまでの期間に設定することになる。
【0038】
(LTE端末の構成例)
図3は、図1のLTE端末20の構成例を示す図である。LTE端末20は、通信部22と、制御部24と、記憶部26と、ユーザインタフェース(ユーザIF)28とを備える。
【0039】
通信部22は、LTE基地局10によって割り当てられた無線リソースを利用して、LTE基地局10との間で、LTEベースの無線通信を行う。下りリンクの通信の場合は、通信部22は、LTE基地局10から所定の信号を受信し、一定期間経過後にデータ送信に対する応答信号をLTE基地局10に送信する。上りリンクの通信の場合は、通信部22は、LTE基地局10に対して所定の信号を送信し、送信した信号に対する応答信号をLTE基地局10から受信する。
【0040】
このとき、通信部22は、データの送信前に、少なくともLTE基地局10からの応答信号を受信するまでの所定の期間において、無線LANネットワークにおける無線通信の実行を禁止させるための送信禁止期間をDurationフィールドに設定した無線LANフレームを送信する。通信部22は、FDD方式またはTDD方式により通信を実行することができる。なお、通信部22は、図示しない送信部と受信部を備えてもよく、送信部は送信に関する処理を実行し、受信部は受信に関する処理を実行してもよい。
【0041】
記憶部26は、LTE基地局10から送信されたデータを記憶し、また、LTE基地局10に対して送信すべき、ユーザIF28を通じて得たデータを記憶してもよい。ユーザIF28は、画面インタフェースと、操作ボタンやタッチパネルなどのユーザからの入力を受け付ける入力インタフェースと、カメラなどの画像撮像手段を含んでもよい。
【0042】
制御部24は、例えば、CPUにより構成され、通信部22から受信された情報、または記憶部26に記憶された情報を用いて、各部を統括的に制御する。制御部24は、通信開始時などにLTE通信に使用すべき無線リソースを要求する無線リソースの割当要求をLTE基地局10に送信する。制御部24は、LTE基地局10からLTE通信に使用すべき無線リソース情報を含む制御メッセージを受信すると、割り当てられた無線リソースを用いて、通信部22によって相手方との間でLTE通信を実行する。
【0043】
また、制御部24は、相手方からの応答信号の受信タイミングに応じて、上記通信部22が送信する無線LANフレームに含まれる送信禁止期間を設定してもよい。FDD方式の場合における送信禁止期間は、上りリンクのデータ送信においては、基地局は上りリンクのデータを受信したサブフレームの4サブフレーム後に応答信号を送信することと規定されていることから、5ms以上に設定するとよい。
【0044】
ただし、LTEの上りリンク通信においては、基地局がデータを正しく受信できなかった(たとえば、端末が基地局からの応答信号をNACKと判定した)場合や、基地局がデータを正しく受信したかどうか端末が判定できない(たとえば、端末が基地局からの応答信号を受信できない)場合には、端末は予め定められたタイミング(FDD方式の場合、応答信号受信タイミングから4ms後)でデータの再送を行う。
【0045】
この場合、再送のタイミングにおいても無線LAN通信を停止させる必要があるため、再送を考慮し、制御部24は、少なくとも再送に対する応答信号を受信するまでの期間とするように送信禁止期間を設定してもよい。または、制御部24は、少なくともデータ送信に対する応答信号の受信タイミングの直後のサブフレームまでの期間を第1の送信禁止期間として設定した第1の無線LANフレームを通信部22に送信させ、応答信号の受信結果に応じて、少なくとも再送した信号に対する応答信号を受信するまでの期間において、無線LANネットワークにおける無線通信の実行を禁止させるための第2の送信禁止期間を設定した第2の無線LANフレームを通信部22に送信させるようにしてもよい。
【0046】
TDD方式の送信禁止期間は、上りリンク、下りリンクのコンフィグレーションに応じて設定される。TDD方式のLTE通信では、データの送信に対する応答信号の送信タイミングは、データ受信後4ms以降で、かつ送信可能なサブフレームで応答信号を送信することと規定されている。
【0047】
また、送信禁止期間に関する情報を含む無線LANフレームは、データを送信するサブフレームより前の上りリンク通信可能なサブフレームで送信されることになる。したがって、TDD方式の場合における送信禁止期間は、少なくとも無線LANフレームを送信するサブフレームの直後のサブフレームから応答信号を受信するサブフレームまでの期間に設定することになる。
【0048】
次に、このように構成された無線通信システムの動作について、以下の各実施例に従って説明する。なお、各実施例において、既出の構成、動作については、同じ符号を用いることによってその説明を簡略化する。以下、本明細書において同様である。
【0049】
(実施例1)
実施例1では、FDD方式によるセルラネットワークと、周囲の通信状況に応じて無線通信を実行する無線LANネットワークとが混在しうる無線環境において、セルラネットワークにおいて無線通信を実行する手法について説明する。
【0050】
図4は、実施例1にかかる無線通信システムの動作例を示す図である。ここでは、下りリンク通信と上りリンク通信とで異なる周波数帯を使うFDDシステムにおいて、下りリンク通信を想定する。LTE基地局10は、たとえば、LTE端末20宛てのデータを含む信号を送信する少なくとも1ms前に、図5に示すようなMACヘッダ内にDuration fieldを含むCTS(Clear to Send)フレームからなる無線LANフレームを送信する(ステップ1)。
【0051】
Duration fieldには、LTE基地局10からLTE端末20へのデータ送信(ステップ2)から、LTE基地局10がLTE端末20から応答信号を受信する(ステップ3)までの期間が記載される。FDD方式のLTE通信では、データ送信からその応答信号の受信までの時間は4msと規定されているため、Duration fieldには5ms以上の値が設定される。ステップ1で送信された無線LANフレームを受信した無線LAN基地局30および無線LAN端末40は、Duration fieldで設定された時間だけデータ送信を禁止するため、LTE基地局10はデータ送信に対する応答信号を確実に受信することが可能になる。なお、ステップ1で送信する無線LANフレームは、Duration fieldを持つフレームであればよく、たとえばRTS(Request to Send)フレームであってもよい。
【0052】
上りリンク通信を想定した場合についても、下りリンク通信の場合と同様に動作可能である。ただし、LTEの上りリンク通信においては、LTE基地局10がデータを正しく受信できなかった(たとえばLTE端末20がLTE基地局10からの応答信号をNACKと判定した)場合や、LTE基地局10がデータを正しく受信したかどうかLTE端末20が判定できない(たとえばLTE端末20がLTE基地局10からの応答信号を受信できない)場合には、LTE端末20は予め定められたタイミング(FDD方式のLTE通信の場合、応答信号の受信タイミングから4ms後)でデータの再送を行う。この場合、再送の機会を確保するために、再送のタイミングにおいても無線LAN通信を禁止させる必要がある。そこで、再送を考慮した場合の変形例1,2を以下に示す。
【0053】
(実施例1の変形例1)
図6は、変形例1にかかる無線通信システムの動作例を示す図である。LTE端末20は、たとえば、LTE基地局10宛てのデータを含む信号を送信する少なくとも1ms前に、上記図5に示したようなMACヘッダ内にDuration fieldを含む無線LANフレームを送信する(ステップ1)。そして、LTE端末20は、LTE基地局10へのデータ送信(ステップ2)の4ms後に、LTE基地局10から応答信号を受信し(ステップ3)、応答信号をNACKと判定した場合に、応答信号の受信タイミングから4ms後にデータ再送(1回目)を行い(ステップ3)、再送に対する応答信号をデータ再送から4ms後に受信する(ステップ4)。
【0054】
ここで、図6に示すように、1回目の再送を考慮する場合、ステップ1で送信する無線LANフレームにおいて、少なくともデータ送信(ステップ2)から再送に対する応答信号受信(ステップ4)までの間(送信→応答信号受信→再送→再送に対する応答信号の受信)を無線LAN通信の送信禁止時間とするようにDuration fieldの値(たとえば13ms以上)を設定する。ステップ1で送信された無線LANフレームを受信した無線LAN基地局30および無線LAN端末40は、Duration fieldで設定された時間だけデータ送信を禁止する。2回目の再送まで考慮する場合は、ステップ1におけるDuration fieldの値にさらに8msを加えて21ms以上に設定すればよい。
【0055】
(実施例1の変形例2)
図7は、変形例2にかかる無線通信システムの動作例を示す図である。図7に示すように、LTE端末20は少なくとも応答信号受信タイミングの直後のサブフレームまでを無線LAN送信禁止時間とするようにDuration fieldの値を設定し、応答信号の受信結果次第で改めてDuration fieldをもつ無線LANフレームを送信してもよい。つまり、再送の必要がある場合のみ、無線LAN通信を禁止させるため、無線周波数帯の有効利用が可能になる。
【0056】
LTE端末20は、たとえば、LTE基地局10宛てのデータを含む信号を送信する少なくとも1ms前に、上記図5に示したようなMACヘッダ内に第1のDuration fieldを含む第1の無線LANフレームを送信する(ステップ1)。そして、LTE端末20は、LTE基地局10へのデータ送信(ステップ2)の4ms後に、LTE基地局10から応答信号を受信する(ステップ3)。ここで、第1のDuration fieldは、1回目の再送を考慮し、データ送信(ステップ2)から再送に対する応答信号受信タイミング(ステップ3)の直後のサブフレームまでの間を無線LAN通信の送信禁止時間とするように例えば6msに設定しておく。
【0057】
LTE端末20は、ステップ3で受信した応答信号をNACKと判定した場合は、改めて第2のDuration fieldを含む第2の無線LANフレームを送信し(ステップ4)、応答信号の受信タイミングから4ms後にデータ再送(1回目)を行い(ステップ5)、再送に対する応答信号をデータ再送から4ms後に受信する(ステップ6)。第2のDuration fieldは、2回目の再送を考慮し、第2の無線LANフレームの送信(ステップ5)から再送に対する応答信号受信タイミング(ステップ6)の直後のサブフレームまでの間を無線LAN通信の送信禁止時間とするように例えば8msに設定しておく。
【0058】
LTE端末20は、ステップ6で受信した応答信号をACKと判定すると、第3の無線LANフレームの送信は不要と決定する。なお、「第2の無線LANフレームの送信(ステップ5)から再送に対する応答信号受信タイミング(ステップ6)の直後のサブフレームまでの間」ではなく、再送に対する応答信号受信タイミングの直前のサブフレームから、再送に対する応答信号受信タイミングの直後のサブフレームまでの間としてもよい。これにより、無線LAN端末40のデータ送信禁止期間が最小限に抑えることができる。
【0059】
このように、Duration fieldの値を、応答信号受信タイミングの直後のサブフレームまでの期間となるように設定することで、応答信号をNACKと判定した場合または応答信号が正しく受信できなかった場合には、改めてDuration fieldを含む無線LANフレームを送信して無線LAN基地局30および無線LAN端末40のデータ送信を禁止させ、次回の再送機会を確保することができる。また、変形例1に比べて無線LAN端末40のデータ送信禁止期間が最小限に抑えられるため、効率的な通信環境を構成できることとなる。なお、次回の再送が不要な場合は、Duration fieldの値を、応答信号受信タイミングまでの期間に設定してもよい。
【0060】
以上述べたように、実施例1によれば、LTE通信と無線LAN通信が同一周波数帯で実施される場合に、FDD方式によるLTE通信を行うLTE基地局またはLTE端末が、周囲の無線LAN信号を応答信号として誤認識することなく、応答信号を正確に受信することが可能となる。
【0061】
(実施例2)
実施例2では、TDD方式によるセルラネットワークと、周囲の通信状況に応じて無線通信を実行する無線LANネットワークとが混在しうる無線環境において、セルラネットワークにおいて無線通信を実行する手法について説明する。
【0062】
図8は、TDDシステムにおけるLTEのサブフレームの構成例を示す図である。下りリンク通信と上りリンク通信とで同一の周波数帯を使うTDDシステムにおいて、図8のようなサブフレーム構成を想定した場合、下りリンク通信はサブフレーム#0,1,3,4,5,6,8,9で実施され、上りリンク通信はサブフレーム#1,2,6,7で実施される。下りリンク通信に対する応答信号はサブフレーム#2,7で送信され、上りリンク通信に対する応答信号はサブフレーム#0,1,3,4,5,6,8,9で送信される。なお、図中においてSで示されるサブフレーム#1および#6は、スペシャルサブフレームとも呼ばれ、上りパイロット送信時間スロット、下りパイロット送信時間スロット、ガードピリオドなどが含まれるサブフレームとなる。
【0063】
図9に示すように、例えば、サブフレーム♯3におけるLTE基地局10からLTE端末20への下りリンクデータ送信(ステップ2)を行う場合、LTE基地局10がLTE端末20から応答信号を受信するのは、LTEの規格に従って、データ送信後、4ms後以降かつ応答信号を送信可能なサブフレームと規定されているため、サブフレーム#7となる。ここで、LTE基地局10は、応答信号を受信するまでの期間に無線LAN基地局30および無線LAN端末40のデータ送信を禁止させるために、データ送信を行うサブフレーム♯3より前のサブフレームのうち送信可能なサブフレーム#1において、Duration fieldをもつ無線LANフレーム(例えば、図5に示すCTSフレーム)を送信する(ステップ1)。したがって、Duration fieldには6ms以上の値が設定される。なお、ステップ1で送信する無線LANフレームはRTSフレームであってもよい。
【0064】
上りリンク通信を想定した場合についても、下りリンク通信の場合と同様に動作可能である。ただし、LTEの上りリンク通信において、データの再送が必要となる場合は、上記実施例1の変形例1または変形例2と同様の動作を行うようにしてもよい。
【0065】
以上述べたように、実施例2によれば、LTE通信と無線LAN通信が同一周波数帯で実施される場合に、TDD方式によるLTE通信を行うLTE基地局またはLTE端末が、周囲の無線LAN信号を応答信号として誤認識することなく、応答信号を正確に受信することが可能となる。
【0066】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。本発明は上述した実施例並びに各実施例の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。上記実施例は例示であり、各実施例を組み合わせるなどして、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0067】
100…無線通信システム、10…LTE基地局、12…通信部、14…制御部、16…記憶部、20…LTE端末、22…通信部、24…制御部、26…記憶部、28…ユーザIF、30…無線LAN基地局、40…無線LAN端末。

図1
図2
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図11