特許第6377528号(P6377528)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6377528
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】液体処理装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/12 20060101AFI20180813BHJP
   C02F 1/32 20060101ALI20180813BHJP
   C12M 1/12 20060101ALI20180813BHJP
   H01J 65/04 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   B01J19/12 C
   C02F1/32
   C12M1/12
   H01J65/04 A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-547583(P2014-547583)
(86)(22)【出願日】2014年6月23日
(86)【国際出願番号】JP2014066582
(87)【国際公開番号】WO2014208505
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2017年6月19日
(31)【優先権主張番号】特願2013-133176(P2013-133176)
(32)【優先日】2013年6月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391031155
【氏名又は名称】株式会社日本フォトサイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100077539
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】井上 昭浩
(72)【発明者】
【氏名】山越 裕司
【審査官】 田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−034171(JP,A)
【文献】 特開平10−027577(JP,A)
【文献】 特開2005−346924(JP,A)
【文献】 特開2005−071828(JP,A)
【文献】 特開2011−078979(JP,A)
【文献】 特開平11−054090(JP,A)
【文献】 特開2006−256322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J10/00−12/02
B01J14/00−19/32
C02F1/20−1/26
C02F1/30−1/38
C12M1/00−3/10
H01J65/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理液体が収められる容器と、該容器に取り付けられて、該容器内の被処理液体に紫外線を照射する紫外線照射装置とを備えた液体処理装置において、
上記紫外線照射装置は、紫外線照射部と、回路部とからなり、
上記紫外線照射部は、
水銀若しくは水銀合金と希ガスとを含む放電媒体が封入された管体であって、凹部を有するものと、該放電媒体に高周波磁界を作用して放電を生じさせて紫外線を発生させ誘導コイルと、前記管体の前記凹部に挿入され、その周囲に上記の誘導コイルが巻回されているフェライトコアとを備える無電極紫外線放電管と
前記無電極紫外線放電管を収納する石英ガラスよりなるランプ保護管であって、前記容器内の前記被処理液体に接するように配置されるものと、
該フェライトコアにおける前記管体の前記凹部挿入側とは反対側の基部に該フェライトコアの熱を逃がすために設けられた放熱フィンを有し、
上記回路部は、上記誘導コイルに高周波電流を流す点灯回路と、上記の高周波電流を間歇的に流すよう該点灯回路を制御する制御回路と、これら点灯回路および制御回路を収納する熱伝導良好な材料によりなる筐体と、該筐体外面に取り付けられた、上記誘導コイルに間歇的に流すべき高周波電流のON及びOFF時間及び電流値をユーザ操作によって設定するための操作パネルとを有しており、上記筐体は上記フェライトコア基部に熱伝導良好に接続されている、
ことを特徴とする液体処理装置。
【請求項2】
前記紫外線照射部は、さらに、前記フェライトコアの前記基部及び前記放熱フィンを収納し、該基部及び放熱フィンに熱伝導良好に接続される基部保護管を有し、
前記回路部の前記筐体は、前記基部保護管を介して前記フェライトコア基部に熱伝導良好に接続されている、請求項1の液体処理装置。
【請求項3】
前記基部保護管は、前記容器の外部に露出し、該基部保護管と前記ランプ保護管が連結され、その連結箇所において前記容器の壁面に固定される、請求項1又は2の液体処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの液体処理装置を使用して被処理液体を処理する液体処理方法において、前記誘導コイルに高周波電流を間歇的に流すとともに、前記誘導コイルに流す間歇的高周波電流のON時間とOFF時間とを被処理液体に応じて変化させて液体処理を行うことを特徴とする液体処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紫外線の照射によって被処理液体の殺菌並びに被処理液体中の微生物や小動物等の防除などの液体処理を行う液体処理装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、紫外線を照射することによって被処理液体を殺菌したり、被処理液体中に含まれている微生物や小動物等を防除したりするなどの液体処理を行う液体処理装置および液体処理方法が知られている。この液体処理装置および液体処理方法では、無駄な紫外線照射を避けて、省電力化および照射紫外線量の適正化を図ることが重要である。
【0003】
たとえば下記特許文献1では、多数の紫外線放電管を用い、これらの一部を点灯させ、あるいは間引き点灯させたり、各放電管の放電電流を変化させて照射紫外線量を調整することによって、省電力化および照射紫外線量の適正化を図っている(例えば特許文献1の第3頁、図1等を参照)。この文献1では、流量が一定でない流水の処理を行う場合、その被処理液体の滞留時間に応じて放電管を点滅したり、放電電流を少なくするなどにより、照射紫外線量を減少させて消費電力を低減させている。
【0004】
また、紫外線放電管として、磁界によって放電励起を行う、いわゆる無電極紫外線放電管を用いた液体処理装置は、下記特許文献2、3等において知られている(例えば、特許文献2の第5〜6頁、図1、特許文献3の第5〜6頁、図1等を参照)。これらの無電極紫外線放電管を用いた液体処理装置においては、250kHz程度あるいは2.6MHzなどの高周波磁界を連続的に加えて放電ガスを励起し、連続的に紫外線を放射させ、殺菌に有効な水銀原子からの波長254nmの紫外線や、有機物分解に有効な波長185nmの紫外線を被処理液体に連続照射して、殺菌や分解の効果を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−24774号公報
【特許文献2】特開2012−40505号公報
【特許文献2】特開2012−61440号公報
【0006】
ところが、特許文献1の液体処理装置および液体処理方法では、いわゆる有電極紫外線放電管を用いているため、紫外線放電管の寿命が短いという問題がある。有電極紫外線放電管はフィラメントに電流を流して放電ガスを励起し紫外線を発生させるものであるが、そのフィラメント電流を変化させて照射紫外線量を調整すると、電極温度が変わり、寿命が短縮してしまう。これを避けるべく電極温度を維持するため、電極予熱電流を流す構成をとることも考えられるが、この予熱電流を放電電流に対応して変化させなければならず、構成が複雑化して製造コストの高額化を免れない。さらに、有電極紫外線放電管は点滅を頻繁に繰り返すと、起動時の電極消耗が激しくなり、これも寿命短縮の一因となる。
【0007】
また、従来の無電極紫外線放電管を用いた液体処理装置においては、特許文献2、3に見られるように、連続的に紫外線を照射しているため、たとえば流水を処理するのではなく、貯留液体を処理したり、流速の極めて遅い液体を処理する場合には、照射紫外線量が過剰となり、その照射のための放電電力が無駄に費やされてしまう。
【発明の概要】
【0008】
この発明は、上記に鑑み、無駄な紫外線照射を避けて、省電力化および照射紫外線量の適正化を図りつつ、同時に長寿命化を達成するよう改善した液体処理装置および液体処理方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明に係る液体処理装置は、被処理液体が収められる容器と、該容器に取り付けられて、該容器内の被処理液体に紫外線を照射する紫外線照射装置とを備えた液体処理装置において、上記紫外線照射装置は、紫外線照射部と、回路部とからなり、上記紫外線照射部は、水銀若しくは水銀合金と希ガスとを含む放電媒体が封入された管体であって、凹部を有するものと、該放電媒体に高周波磁界を作用して放電を生じさせて紫外線を発生させる誘導コイルと、前記管体の前記凹部に挿入され、その周囲に上記の誘導コイルが巻回されているフェライトコアとを備える無電極紫外線放電管と、前記無電極紫外線放電管を収納する石英ガラスよりなるランプ保護管であって、前記容器内の前記被処理液体に接するように配置されるものと、該フェライトコアにおける前記管体の前記凹部挿入側とは反対側の基部に該フェライトコアの熱を逃がすために設けられた放熱フィンとを有し、上記回路部は、上記誘導コイルに高周波電流を流す点灯回路と、上記の高周波電流を間歇的に流すよう該点灯回路を制御する制御回路と、これら点灯回路および制御回路を収納する熱伝導良好な材料によりなる筐体と、該筐体外面に取り付けられた、上記誘導コイルに間歇的に流すべき高周波電流のON及びOFF時間及び電流値をユーザ操作によって設定するための操作パネルとを有しており、上記筐体は上記フェライトコア基部に熱伝導良好に接続されている、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明に従う液体処理装置によれば、点灯回路は制御回路によって制御され、誘導コイルに流す電流が間歇的なものとされているので、紫外線照射のON・OFF時間を適宜に定めてトータルの紫外線照射量を被処理液体に応じて適切なものとすることができ、過剰な紫外線照射を避けて、無駄な消費電力を無くすことができる。無電極紫外線放電管を用いているため、紫外線照射のONとOFFとの繰り返しによる寿命短縮は無く、長寿命化が達成される。
【0011】
また、無電極紫外線放電管は、石英ガラスよりなる保護管によって覆われているため、被処理液体に直接接触することはない。そのため、万一の事故で該放電管が破損したときに、そこから漏れた水銀が被処理液体に混入することを防止することできる。また、保護管内に放電管を収めることによって、放電管と被処理液体の間の距離を適切にとることができるようになるため、放電管の温度を適正に維持し、適切な紫外線照射量を安定的に維持することが可能となる。さらに、この保護管は石英ガラスにより形成されていて、一定の紫外線量に晒されると劣化・破損するが、紫外線は間歇的に照射されるため、紫外線の照射量を抑えて、その劣化の進行を遅らせることができる。
【0012】
また、前記無電極紫外線放電管の管体は、凹部を有し、前記誘導コイルはフェライトコアの周囲に巻回されてこのフェライトコアとともに上記凹部に挿入されるので、磁束密度の高められた磁界を管体内の放電媒体に作用させることができ、効率的に紫外線を発生させることができる。
【0013】
さらに、このフェライトコアの管体凹部挿入側とは反対側の基部に該フェライトコアの熱を逃がすための放熱フィンが設けられるので、フェライトコアの温度上昇を抑えることができる。また、前記回路部には、前記誘導コイルに間歇的に流す高周波電流を設定するための操作パネルが設けられるので、間歇的な高周波電流のON時間、OFF時間等を被処理液体の容器内滞留時間等に応じて自由に設定できる。
【0014】
さらに、前記回路部において、前記点灯回路と制御回路とを熱伝導良好な材料によりなる筐体に収めるようにし、その筐体の外面に前記操作パネルを設けるので、筐体の放熱作用により内部回路の温度上昇を抑えて内部回路を熱的に保護し、その動作を安定させることができる。またこの筐体の外面に操作パネルが設けられているので、操作パネル上の操作を容易に行うことができる。
【0015】
さらに、上記筐体は上記フェライトコア基部に熱伝導良好に接続されるので、フェライトコアの放熱作用をこの筐体に行わせ、フェライトコアの温度上昇抑制に寄与できる。
【0017】
本発明に従う液体処理方法は、上述の液体処理装置を使用して被処理液体を処理する方法において、前記誘導コイルに高周波電流を間歇的に流すとともに、上記誘導コイルに流す間歇的高周波電流のON時間とOFF時間とを被処理液体に応じて変化させて液体処理を行うことを特徴とする。
【0018】
本発明の液体処理方法によれば、無電極紫外線放電管を用い、その無電極紫外線放電管からの紫外線を被処理液体に照射して該液体を処理するようにし、無電極紫外線放電管の誘導コイルに高周波電流を間歇的に流すとともに、上記誘導コイルに流す間歇的高周波電流のON時間とOFF時間とを被処理液体に応じて変化させて液体処理を行っているので、紫外線照射量を被処理液体に応じた適切なものとすることができ、無駄な紫外線照射を避けて消費電力を低減することができる。さらに、無電極紫外線放電管を用いて間歇的に紫外線照射を行うこの液体処理方法によると、放電管駆動のON・OFFの繰り返しにもかかわらず、機器の寿命の短縮化を招かず、機器の長寿命化を図りながら、有効な殺菌等の効果を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の実施形態の概念的な断面図である。
図2】同実施形態の紫外線照射装置の部分のみを概念的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1において、容器1は、被処理液体が貯蔵ないし流通させられる容器であって、液体流入口11と液体流出口12とを備えている。この容器1の上面には紫外線照射装置2が取り付けられている。紫外線照射装置2は、紫外線照射部3と回路部4とからなり、主として紫外線照射部3側が容器1内に突出している。
【0021】
さらに図2をも参照しながら説明すると、紫外線照射部3は、無電極紫外線放電管31を有しており、この放電管31を含む各部が保護管39によって覆われて保護されている。この保護管39は石英ガラスにより形成されている。
【0022】
無電極紫外線放電管31は、磁界によって放電励起を行うもので、フィラメントや電極等を有しない。磁界を加えるための誘導コイル35を備えるとともに、その磁界を強めるために、この誘導コイル35は円柱状のフェライトコア35の周囲に巻回されてなる。
【0023】
放電管31は、石英ガラスからなる管体32に、水銀(液体水銀)と希ガス(ここではネオン・アルゴン・キセノンの混合希ガス)とを含む放電媒体33がたとえば3トールで封入されたものからなる。管体32は、全体としては円柱形状になっているが、一端(図では上端)側から反対側端部(図では下方)に向けて窪んだ円柱形状の凹部34が形成されている。この凹部34に上方から下方に向けて、誘導コイル35が巻回されたフェライトコア36が挿入されている。このフェライトコア36の基部(上端側)には放熱フィン37が、フェライトコア36との間の熱伝導が良好となるように取り付けられている。このフェライトコア36の基部および放熱フィン37は、基部保護管38に熱伝導良好に固定されている。基部保護管38は石英ガラスあるいは適宜な金属により形成され、保護管39と連結されている。
【0024】
回路部4は、上記の誘導コイル35に2.6MHz(あるいは250kHz程度)の高周波電流を流す点灯回路41と、この点灯回路41を制御する制御回路42とを備え、これらが筐体43に収められて形成されている。この筐体43は、熱伝導良好な適宜な金属(あるいは他の材料)により形成されており、その一端外面(下面)が、基部保護管38の上面に密着固定され、これら基部保護管38と筐体43との間が熱伝導良好とされる。
【0025】
そして、この筐体43の他端外面(上面)には操作パネル44が配置されており、この操作パネル44には図では省略しているが、操作用のスイッチボタンやツマミや液晶表示器等の表示器などが配列されている。この操作パネル44のボタンやツマミ等を操作することによって、制御回路42に対して、誘導コイル35に流す電流の値やその電流のON時間・OFF時間等を指示し、表示器で確認して、それらの設定を行うことができるようになっている。
【0026】
このように構成される液体処理装置において、点灯回路41から高周波電流が誘導コイル35に流されると、放電管31内に磁界が形成され放電が開始する。放電管31の管体32内には水銀あるいは水銀合金と希ガスよりなる放電媒体33が封入されているため、放電による水銀のスペクトル発光が生じる。こうして発光した紫外線が放電管31の管体32および保護管39を透過して容器1内に照射され、この容器1内に液体流入口11から導入され貯留ないし流通させられる被処理液体(図では省略)への紫外線照射が行われて殺菌・減菌等の処理が行われ、処理後の被処理液体は液体流出口12から流出させられる。
【0027】
点灯回路41は制御回路42によって制御され、点灯回路41から誘導コイル35に流す電流が間歇的なものとされる。その間歇的な電流の電流値やON・OFF時間等の設定は、操作パネル44上に配列されたボタンやツマミを操作することによって行う。そのため、紫外線照射のONとOFFとが繰り返されるとともに、そのON・OFF時間を適宜に定めることができ、トータルの紫外線照射量を被処理液体に応じて適切なものとすることができる。その結果、過剰な紫外線照射を避けて、無駄な消費電力を無くすことができる。
【0028】
放電管31は、紫外線照射のONとOFFとを繰り返すことになるが、この放電管31は無電極放電管であるゆえに、有電極放電管で見られた点滅の繰り返しによる寿命短縮は無く、長寿命化が達成される。
【0029】
この放電管31は、保護管39内に収められて、該保護管39で覆われているため、被処理液体に直接接触することはない。そのため、万一の事故で放電管31が破損したときに、そこから漏れた水銀が被処理液体に混入することを防止することできる。また、保護管39内に放電管31を収めることによって、放電管31と被処理液体の間の距離を適切にとることができるようになるため、放電管31の温度を適正に維持し、適切な紫外線照射量を安定的に維持することが可能となる。
【0030】
この保護管39は紫外線透過性の良好な石英ガラスにより形成されているが、石英ガラスは紫外線(とくに波長185nmの紫外線)の照射エネルギーを受光・吸収すると、石英分子の結合が切断されて劣化が進み、最終的には破損してしまうことが知られている。波長185nmの紫外線の照射エネルギーでは、概ね1平方cmあたり700ワット・時間程度の照射エネルギーで破断に至る。しかし、ここでは、上記のように紫外線の照射は間歇的であり、ONとOFFとを繰り返すようにしているため、総照射ワット・時間を低減でき、保護管39の寿命を長くすることができる。
【0031】
誘導コイル35はフェライトコア36の周囲に巻回されているため、磁束密度を高めることができ、またこのフェライトコア36に巻回された状態で誘導コイル35を管体32の凹部34に挿入しているため、管体32内の放電媒体33を効率的に励起することができ、紫外線の発生効率を上げることができる。
【0032】
またフェライトコア36の基部には放熱フィン37が取り付けられて、フェライトコア36で発生した熱を放散させるようにしており、フェライトコア36の温度上昇を抑えることができる。フェライトコア36の基部は基部保護管38を介して回路部4の筐体43にも熱伝導良好に接続されているため、フェライトコア36の熱が筐体43に伝えられて放散され、これによっても温度上昇が抑えられる。
【0033】
放電電流(誘導コイル35に流す電流)の設定は、上記のとおり、操作パネル44により行うが、操作パネル44は回路部4の点灯回路41や制御回路42が収納される筐体43の外面(図では上面)に設けられているため、その設定操作は容易である。この筐体43は、点灯回路41と制御回路42とを収めるためのものであるが、金属ないし熱伝導良好な他の材料により形成されているため、これら内部の回路で発生した熱を外部に放散させて内部回路を熱的に保護し、その動作を安定させる作用も果たしている。
【0034】
つぎに液体の処理方法の一例について説明する。たとえば、濃縮還元果汁の場合は液糖タンクに一時的に貯留することが多い。このように、濃縮還元果汁を容器1内に一時的に貯留する場合、水銀放電による波長254nmの紫外線を連続的に照射する必要はなく、果汁液を液体流入口11を経て容器1内に導入した直後と容器1から液体流出口12を経て導出する直前の2回紫外線照射を行うとともに、その間の貯蔵中では一定間隔で紫外線照射を行えば、果汁液の殺菌および微生物の増殖抑制には十分である。
【0035】
そのため、このような濃縮還元果汁の一時的な貯蔵時には、たとえばその貯蔵中に紫外線照射を10分間行った後1時間休止するというようなON・OFF時間の設定を行う。濃縮還元果汁等の糖液を貯蔵する場合には、容器1の液面より上方の内側壁にカビ等が発生しやすいが、内側壁へも間歇的に紫外線照射して殺菌できるため、液面より上方の内側壁でのカビの発生を抑えることにとくに効果的である。
【0036】
容器1内に流入口11から被処理液体を常時流入させ流出口12から常時流出させて容器1内に被処理液体が常時流れていくような場合には、たとえば5分毎に紫外線照射をON・OFFするよう設定することもできる。被処理液体が常時流れていく場合に、容器1内での滞留時間が5秒程度と短い場合には、たとえば0.5秒間隔で紫外線照射のON・OFFを繰り返すよう設定して、被処理液体の処理を行う。
【0037】
このように被処理液体の容器1内での滞留時間に応じて、適切な紫外線照射のON・OFF時間を定めて、間歇的な紫外線照射処理を行うことができる。被処理液体の滞留時間のほか、被処理液体の内容や温度等に応じて紫外線照射のON・OFF時間を定めて、間歇的な紫外線照射処理を行うことができることも、もちろんである。
【0038】
紫外線照射のON・OFF時間を適切に設定して間歇的な紫外線照射処理を行うことにより、紫外線照射量を被処理液体に応じた適切なものとすることができ、無駄な紫外線照射を避けて消費電力を低減することができる。さらに、無電極紫外線放電管を用いて間歇的に紫外線照射を行うこの液体処理方法によると、放電管駆動のON・OFFの繰り返しにもかかわらず、機器の寿命の短縮化を招かず、機器の長寿命化を図りながら、有効な殺菌等の効果を維持することができる。
【0039】
なお、上記の例では、無電極紫外線放電管31の管体32中に水銀(液体水銀)を封入したが、そのほかに、ビスマス、スズなどの水銀合金(いわゆるアマルガム)を封入してもよい。その場合には、周囲温度が高い環境下でも安定的に波長254nmの紫外線を放射できる水銀蒸気圧が保たれる。また希ガスとして、上記では、ネオン・アルゴン・キセノンの混合希ガスを3トール封入したが、これに限定されるわけではなく、アルゴン単体あるいはネオン単体などを数トール前後もしくはそれ以下に封入することもできる。
図1
図2