(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記頂部キャップは、圧力逃し弁、少なくとも1つのねじ切り内腔、脱着式ケーブルハーネス、およびクランプ突起のうちの少なくとも1つを備える請求項1に記載の外科的挿入装置。
前記キャニスタが少なくとも1つのアクセスポートを備え、前記少なくとも1つのアクセスポートが、手アクセスポートおよび側部アクセスポートである請求項1に記載の外科的挿入装置。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】一実施形態に従う外部加圧システムまたは装置の側面図である。
【
図1B】外科装置が内部に配置されている
図1Aの外部加圧システムまたは装置の斜視図である。
【
図2A】
図1Aの外部加圧システムまたは装置の組立分解側面図である。
【
図2B】
図1Aの外部加圧システムまたは装置の組立分解斜視図である。
【
図3A】一実施形態に従う頂部キャップの組立分解側面図である。
【
図4A】一実施形態に従うポートの組立分解斜視図である。
【
図5A】一実施形態に従う基部リングおよびポートリングの上方斜視図である。
【
図5B】
図5Aの基部リングおよびポートリングの下方斜視図である。
【
図6A】一実施形態に従う切開部に位置決めされている封止可能スリーブ装置の概略上面図である。
【
図6B】一実施形態に従う切開部に位置決めされている
図6Aの封止可能スリーブ装置の概略上面図である。
【
図6C】一実施形態に従う切開部に位置決めされている
図6Aの封止可能スリーブ装置の概略上面図である。
【
図6D】一実施形態に従う切開部に位置決めされている
図6Aの封止可能スリーブ装置の概略上面図である。
【
図7A】一実施形態に従う完全に組み立てられたポートの側面図である。
【
図7B】
図7Aの完全に組み立てられたポートの斜視図である。
【
図8A】一実施形態に従うキャニスタおよびコネクタリングの結合の側面図である。
【
図8B】
図8Aのキャニスタおよびコネクタリングの結合の側面図である。
【
図9】一実施形態に従う外科装置が内部に配置されている外部加圧システムまたは装置の側面図である。
【
図10】外科装置がシステムまたは装置から出て患者の腔内に押し込まれた、
図9の外部加圧システムまたは装置の斜視図である。
【
図11】キャニスタが除去された、
図10の外部加圧システムまたは装置の斜視図である。
【
図12】一実施形態に従うバルーンシール挿入システムまたは装置の斜視図である。
【
図13A】一実施形態に従うバルーンシール挿入システムまたは装置の斜視図である。
【
図13B】
図13Aのバルーンシール挿入システムまたは装置の組立分解斜視図である。
【
図14A】一実施形態に従うポートハウジングの斜視図である。
【
図15】一実施形態に従う標準的な封止可能スリーブ装置の斜視図である。
【
図16A】一実施形態に従うバルーンシール挿入システムまたは装置の切取側面図である。
【
図17A】一実施形態に従う外科装置の第1アームが内部を通して配置されているバルーンシール挿入システムまたは装置の切取斜視図である。
【
図17B】第1アームが接続ロッドを使用して位置決めされている、
図17Aのバルーンシール挿入システムまたは装置の切取斜視図である。
【
図18】一実施形態に従うゴムシールアクセス/挿入装置の切取斜視図である。
【
図19A】一実施形態に従うゴムシールアクセス/挿入装置の組立分解側面図である。
【
図20】一実施形態に従うゴムシールアクセス/挿入装置の別個のゴムシールの組立分解斜視図である。
【
図21】一実施形態に従うゴムシールアクセス/挿入装置の上面図である。
【
図22】一実施形態に従うゴムシールアクセス/挿入装置の基部リングである。
【
図23】一実施形態に従うゴムシールアクセス/挿入装置の側面図である。
【
図24A】一実施形態に従う1つまたは複数の追加のアクセスポートを有する外部加圧システムまたは装置の側面図である。
【
図25】一実施形態に従う手が内部を通して配置されているアクセスポートの斜視図である。
【
図26】別の実施形態に従う別のアクセスポートの上面図である。
【
図27A】一実施形態に従うアクセスポートをチューブに結合するポートアダプタリングの斜視図である。
【
図27B】一実施形態に従う装置取付要素を有する装置アクセスポートの斜視図である。
【
図28A】一実施形態に従う手袋ポートの斜視図である。
【
図29A】一実施形態に従う切開部に位置決めされている封止可能スリーブ装置の概略上面図である。
【
図29B】一実施形態に従う切開部に位置決めされている
図29Aの封止可能スリーブ装置の概略上面図である。
【
図30】一実施形態に従う切開ポートの切取側面図である。
【
図31A】一実施形態に従う切開ポートの基部リングの上面図である。
【
図32】一実施形態に従うチューブブラケットの斜視図である。
【
図33】一実施形態に従う、主チューブを基部リングに結合するチューブブラケットの斜視図である。
【
図34】一実施形態に従うスリーブクランプの斜視図である。
【
図35】一実施形態に従う切開ポートの切取側面図である。
【
図36】一実施形態に従う内部結合要素を備えた切開ポートの斜視図である。
【
図37A】一実施形態に従うポートシールに結合された切開ポートの切取側面図である。
【
図37C】一実施形態に従う基部シールリングの下側の斜視図である。
【
図38A】一実施形態に従うフラップシール要素を有する切開ポートの切取側面図である。
【
図38B】一実施形態に従うフラップシール要素を有しかつポートシールに結合された切開ポートの切取側面図である。
【
図39A】別の実施形態に従う外部加圧装置の側面斜視図である。
【
図40】さらなる実施形態に従う2つのスロットを有する外部加圧装置の側面図である。
【
図41A】一実施形態に従う位置決めチューブの側面図である。
【
図42】一実施形態に従う積層された切開ポートの斜視図である。
【
図43】一実施形態に従う2つのシールを有する切開ポートの斜視図である。
【
図44】別の実施形態に従う2つのシールを有する切開ポートの斜視図である。
【
図45A】さらなる実施形態に従う切開ポートの上面図である。
【
図46A】一実施形態に従う空気バリア切開ポートシステムの上面図である。
【
図47】一実施形態に従うゴムシール切開ポートの側面斜視図である。
【
図48A】一実施形態に従う2ブラシ切開ポートの側面斜視図である。
【
図49A】一実施形態に従う3ブラシ切開ポートの上面斜視図である。
【
図50A】一実施形態に従う挿入装置の側面図である。
【
図51A】別の実施形態に従う挿入装置の側面図である。
【
図52】さらなる実施形態に従う挿入装置の側面図である。
【
図53】一実施形態に従う位置決めロッド内に配置された外科装置の側面図である。
【
図54A】一実施形態に従う内部加圧バッグ装置の側面図である。
【
図55】一実施形態に従う別の外部加圧システムまたは装置の側面図である。
【
図56A】一実施形態に従う頂部キャップの側面斜視図である。
【
図57A】一実施形態に従う頂部キャップおよびキャニスタの側面斜視図である。
【
図58A】一実施形態に従う装置アセンブリの一部が内部を通して配置されている頂部キャップの斜視図である。
【
図59A】一実施形態に従う装置アセンブリの一部が内部を通して配置されている頂部キャップの斜視図である。
【
図60】一実施形態に従う頂部キャップの切取斜視図である。
【
図61A】一実施形態に従う装置アセンブリの一部が内部を通して配置されている、キャニスタに結合された頂部キャップの側面斜視図である。
【
図62A】一実施形態に従う基部結合要素の側面斜視図である。
【
図63A】一実施形態に従う基部結合要素およびアクセスポートの側面斜視図である。
【
図63C】
図63Aの基部結合要素およびアクセスポートの一部の側面斜視図である。
【
図63D】
図63Aの基部結合要素およびアクセスポートの一部の別の側面斜視図である。
【
図64A】一実施形態に従う基部結合要素およびアクセスポートを備えた外部加圧システムまたは装置の側面図である。
【
図65A】一実施形態に従う基部結合要素およびアクセスポートを備えた外部加圧システムまたは装置の側面図である。
【
図66A】一実施形態に従うロボット装置がアクセスポートによって生成される開口部を通って下降するときの外部加圧システムまたは装置の側面図である。
【
図67A】一実施形態に従うロボット装置の前腕が上腕に対して45度または略45度の角度で位置決めされている外部加圧システムまたは装置の側面図である。
【
図68A】一実施形態に従うロボット装置の前腕が特定の位置に位置決めされている外部加圧システムまたは装置の側面図である。
【
図69A】一実施形態に従うロボット装置の前腕が処置に対して適切な開始位置に位置決めされている外部加圧システムまたは装置の側面図である。
【
図70】別の実施形態に従う可撓性容器を有する外部加圧システムまたは装置の側面図である。
【
図71A】一実施形態に従う基部結合要素の側面斜視図である。
【
図72A】一実施形態に従う取外し可能蓋およびアクセスポートを有するポート取付具の側面斜視図である。
【
図73A】一実施形態に従う取外し可能蓋およびアクセスポートを有するポート取付具の側面斜視図である。
【
図74A】一実施形態に従う取外し可能蓋およびアクセスポートを有するポート取付具の切取側面図である。
【
図75A】一実施形態に従う取外し可能蓋を備えたポート取付具を有する外部加圧挿入装置の側面斜視図である。
【
図76】一実施形態に従う圧力逃し弁を有する頂部キャップの側面斜視図である。
【
図77A】一実施形態に従う圧力逃し弁およびポートシールを有する頂部キャップの側面斜視図である。
【
図78A】アクチュエータおよびセンサパッケージを有する挿入装置の側面図である。
【
図79】一実施形態に従う頂部キャップに関連する測定機構を有する挿入装置の切取側面図である。
【
図80】一実施形態に従う切開ポートに関連する測定機構を有する挿入装置の切開ポートの切取側面図である。
【
図81】一実施形態に従うストリング測定システムを有する挿入装置の頂部キャップの上面図である。
【
図82A】一実施形態に従う実質的剛性構造の測定機構を有する挿入装置の頂部キャップの上面図である。
【
図82D】
図82Aの挿入装置のペグで固定されたボールを有する実質的剛性構造の斜視図である。
【
図83】一実施形態に従うガス注入ポートを有する切開ポートの切取側面図である。
【
図84A】一実施形態に従う球状キャニスタを有する挿入装置の切取側面図である。
【
図84B】一実施形態に従う円錐状キャニスタを有する挿入装置の切取側面図である。
【
図85A】一実施形態に従う垂直リブ構造を備えたキャニスタを有する挿入装置の切取側面図である。
【
図85B】一実施形態に従う水平リブ構造を備えたキャニスタを有する挿入装置の切取側面図である。
【
図85C】一実施形態に従うらせん状リブ構造を備えたキャニスタを有する挿入装置の切取側面図である。
【
図86A】一実施形態に従うキャニスタに解除可能に結合することができる基部結合器の側面図である。
【
図87A】一実施形態に従う頂部キャップおよび外側ハンドルセットの側面斜視図である。
【
図88A】一実施形態に従う挿入装置の側面図である。
【
図88C】
図88Aの挿入装置の可動シールおよび外側ハンドルセットの斜視図である。
【
図89】一実施形態に従う実質的非可撓性キャニスタ部および実質的可撓性キャニスタ部を有する挿入装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書に記載するさまざまな実施形態は、ガスが注入された患者の腔にアクセスするための、および/または、外科システムまたは外科装置を腔内に位置決めするためのシステム、装置および/または方法に関する。
【0022】
いくつかの実施形態は、腔に十分なガス注入を維持しながら外科システム/装置を腔内へ挿入することを可能にする。さらなる実施形態は、挿入プロセス中の外科医または外科使用者の外科装置/システムとの物理的な接触を最小限にする。他の実装形態は、患者およびシステム/装置に対する挿入プロセスの安全性を向上させる。たとえば、いくつかの実施形態は、システム/装置が患者の腔内に挿入されている際に、そのシステム/装置の視覚化を可能にして、システム/装置と患者との間で損傷をもたらす接触の発生を確実に回避する。さらに、いくつかの実施形態は、切開サイズ/長さの最小化を可能にする。さらなる実装形態は、アクセス/挿入処置の複雑性をおよび/または処置に必要なステップを低減する。他の実施形態は、扱い容易性および使用容易性を高めるために、最小の輪郭、最小のサイズを有し、または機能および外観が概して最小である装置に関する。
【0023】
本明細書で開示するさまざまな実施形態のいずれも、自動化するかまたは完全自動装置/システムにすることも可能であり、したがって、経験の浅い使用者でも戦場でまたは宇宙飛行中等において使用可能であることが理解される。
【0024】
一実施形態は、外部加圧システムまたは装置に関する。たとえば、外部加圧システムまたは装置10の一実装形態を
図1Aに示す。装置10はキャニスタ12を有し、キャニスタ12の頂部16に頂部キャップ14が結合されている。この実施形態では、キャニスタ12の基部20においてキャニスタ12にポート18が結合されている。ポート18は、患者の皮膚22の切開部に位置決めされ、それにより患者の腔(cavity)24へのアクセスを可能にする。
図1Bに示すように、装置10は、外科装置26を受け入れるように構成されており、それにより、装置26は装置10のポート18を通して患者の腔24内に挿入され得る。
【0025】
一実装形態では、キャニスタ12は、たとえばポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)等の硬質プラスチックから作製されている。別例では、キャニスタ12を、医療装置で使用することができる任意の既知の剛性材料から作製してもよい。キャニスタ12のいくつかの実施形態は、添付の図面に示したもののように透明であることが理解される。透明キャニスタ12により、使用者は、挿入中の外科装置26を見ることができる。別法では、キャニスタ12は透明ではなく、キャニスタ12内で装置26を視認することなしに装置26は挿入され得る。
【0026】
図2Aおよび
図2Bは、一実施形態に従う外部加圧装置10の組立分解図を示す。上述したように、
図3Aおよび
図3Bにも示す頂部キャップ14は、キャニスタ12の頂部16に結合されている。頂部キャップ14は、カバー32によって適所に保持されるシール30を有している。一実装形態によれば、カバーは頂部キャップ14に、ボルト、他の同様の機械的締結具、または2つのこうした要素を合わせて結合する任意の他の既知の機構、装置もしくは方法によって結合される。
【0027】
一実装形態では、
図2Bおよび
図3Bに最もよく示すように、シール30は、シール34に画定されたオリフィス34を有している。
図1Bに最もよく示すように、オリフィス34は、後にさらに詳細に説明するように、位置決めロッド28を受け入れるように構成されている。一実施形態では、シール30は、何らかのタイプのゴムから作製されている。別例では、シール30は、滑らかなロッドの周囲に流体シールを提供するために使用することができる任意の既知の材料から作製してもよく、既知の材料はゲル材料等を含み得る。さらなる代替態様では、頂部キャップ14は、位置決めロッド28等のためのオリフィスまたは他のタイプのアクセスを有するシールを提供する任意の既知の構成を有してもよい。
【0028】
図2A、
図2B、
図4Aおよび
図4Bに最もよく示すように、一実装形態に従うポート18(本明細書では「切開ポート」とも呼ぶ)は、複数の要素を有している。この特定の実施形態では、ポート18は、コネクタリング40、基部リング42、ポートリング44および封止可能スリーブ装置46を有している。封止可能スリーブ装置46は、上部スリーブリング46Aおよび下部スリーブリング46Bを有し、それらはともに可撓性スリーブ46Cによって合わせて結合されている。いくつかの実施形態では、可撓性スリーブ46Cは弾性特性を有している。
図5A及び
図5Bに最もよく示すように、ポートリング44は、ポートリング44の上部において、穴50の周囲に円形配置で画定された複数の歯または突起44Aを含む。さらに、一実施形態では、リング44は、リング44の底部から延在するリップ52を含み、そのリップ52が穴50の外縁を画定している。後述するように、このリップ52を、患者に形成した切開部内に位置決めすることができ、それにより、切開部の最小円周を画定することができる。さらに、ポートリング44の上部から3つのガイド突起54が延在しており、それらは、後述するように、ポートリング44の上部に配置されたときの基部リング42を適切に位置決めされた状態で維持するのに役立つことができる。さらに、一実施形態によれば、ポートリング44はまた、その円周に、後述するように使用中に使用者がポートリング44を把持するのを可能にする刻み目60を有することも可能である。別例では、ポートリング44は、使用者がリング44をより適切に把持するために使用することができる任意の外部の特徴または機構を有してもよい。
【0029】
同様に
図5Aおよび
図5Bに示すように、基部リング42は、リング42に画定された複数の凹部42Bを有する下側を有している。一実施形態では、後により詳細に説明するように、凹部42Bは、ポートリング44の突起44Aに対応し、それにより、基部リング42およびポートリング44を結合することができ、回転力を一方から他方に伝達することができる。別例では、基部リング42およびポートリング44の特徴は、互いに容易に結合することができる突条であり得る。さらなる代替態様では、特徴は、本明細書に記載する回転力の伝達を可能にするように互いに結合することができる、任意の既知の特徴または物理的要素であり得る。さらに、
図5Bに最もよく示すように、基部リング42の下側は、一実施形態によれば外部リップまたは突条62を有している。基部リング42がポートリング44に接触すると、突条62はポートリング44と摺動可能に接触する。一実装形態では、突条62がポートリング44と接触することにより、突条42B、44Aのみで提供するより優れたシールを提供することができる。したがって、このシールは、スリーブ装置46が回転し2つのリング42、44が互いに押し付けられる際に実際に強化することができる、二次シールであり得る。
【0030】
コネクタリング40は、後にさらに詳細に説明するように、キャニスタ12に結合可能であるように構成されている。さらに、コネクタリング40は、基部リング42に結合可能であるように構成されていることにより、ポート18の残りの部分に結合可能である。一実施形態では、
図2Bに最もよく示すように、コネクタリング40を通して、基部リング42を通して画定される複数のねじ切り穴42Aに対応するねじ切り穴40Aが画定されており、それにより、ねじ、ボルト等を、2つのリング40、42のねじ切り穴40A、42A内にかつそれらを通して挿入することができ、それにより2つのリング40、42を合わせて結合する。別例では、任意の既知の結合要素または方法を使用して2つのリング40、42を結合してもよい。
【0031】
基部リング42は、ポートリング44に結合可能である。基部リング42が、ポートリング44の上部に配置されかつそれと接触すると、突起44Aが凹部42B内に位置決めされ、基部リング42に与えられるいかなる回転力も、2つのリング42、44間のいかなるすべりもなしにポートリング44に伝達される(またはその逆もある)ように、回転摩擦が確立される。さらに、基部リング42およびポートリング44は、各リング42、44の穴48、50が同様に対応するように結合される。別例では、任意の既知の結合要素または方法を使用して、2つのリング42、44を同様に結合してもよい。
【0032】
使用時、外部加圧システム10を使用して、患者の腔内に外科装置またはシステムを挿入することができる。ここでは1つの挿入方法について説明するが、本明細書に開示する実施形態は、単一処置に限定されず、代りに、本明細書で企図されるさまざまな実装形態の趣旨にある任意の処置で使用することができることが理解される。
【0033】
一実施形態では、ポート18は以下のように切開部に配置されて、患者の体外の周囲空気から患者の腔を流体封止する、切開部のためのシールを生成する。まず、患者に、患者の標的腔へのアクセスを可能にする切開が形成される。一実施形態では、腔は腹膜腔であるが、標的はいかなる既知の腔でもあり得る。切開部が形成されると、たとえば
図6A、
図6B、
図6Cおよび
図6Dに示すように、切開部に封止可能スリーブ装置46が位置決めされる。この実施形態では、装置46は、切開部58を通して位置決めされる。装置46は、下部スリーブリング46B(
図6A〜
図6Dには示さず)が患者の体内に位置決めされ上部リング46Aが患者の体外に位置決めされ、スリーブ46Bが切開部58を通って延在するように、切開部58を通して下部スリーブリング46Bを挿入することにより、切開部に位置決めされる。一実施形態によれば、装置46の下部スリーブリング46Bは、切開部58を通して挿入することができるように変形させることができる、可撓性リング46Bである。
【0034】
一実施形態では、上述したように、切開部58に封止可能スリーブ装置46を位置決めする前に、装置46はまず、ポートリング44の穴50および基部リング42の穴48を通して同様に位置決めされる。すなわち、下部スリーブリング46Bは、変形して穴50および穴48を通して挿入され、それにより、上部スリーブリング46Aは、(ポートリング44の上部に位置決めされる)基部リング42の上部に位置決めされ、下部スリーブリング46Bは、ポートリング44の底部に位置決めされる。次いで、下部スリーブリング46Bは、上述したように患者の切開部58を通して挿入される。別例では、封止可能スリーブ装置46を、装置46が切開部58を通して位置決めされた後に、ポートリング44の穴50および基部リング42の穴48を通して位置決めしてもよい。
【0035】
図6Aに示すように、下部リング46Bが切開部58を通して挿入され、ポートリング44の穴50にさらに位置決めされると、
図6Bに示すように、上部リング46Aは、切開部58がリング46A内で中心に置かれるように、切開部58の上に位置決めされる。理解を容易にするために、これらの図にポートリング44は示されていない。次いで、封止可能スリーブ46は締め付けられて、シールを生成し、下部リング46Bを切開部58の下側にぴったりとかつ上部リング46Aを基部リング42の頂部にぴったりと位置決めする。この締付は、上部リング46Aを回転させることによって発生する。一実施形態では、上部リング46Aは、下部リング46Bより可撓性でなく(より剛体的である)、それにより、使用者は上部リング46Aを把持し回転させることができる。
図6Cは、リング46Aが回転した後の封止可能スリーブ装置46を示し、それにより、スリーブ46Cは集まってスリーブ46Cの開口部を閉鎖し始める(または「つぶれる(collapse on itself)」)。
図6Dは、使用者が、スリーブ46Cの開口部を閉鎖することによりスリーブ46Cにシールが形成される箇所まで首尾よくリング46Aを回転させた後のスリーブ装置46を示す。
【0036】
基部リング42およびポートリング44は、ポート18を位置決めしそれにより切開部58を封止するプロセス中に、互いに概して回転可能であるように意図されていることが理解される。すなわち、基部リング42が最初にポートリング44上に位置決めされたとき、2つのリング42、44は、互いに対して回転可能である。この2つのリング42、44の相対的な回転により、スリーブ装置46が回転することができ、それにより、スリーブ装置46が十分に締め付けられたときにスリーブ装置46によってシールが生成される。しかしながら、上述したように、スリーブ装置46、ポートリング44および基部リング42が切開部58に位置決めされ、封止可能スリーブ装置46が締め付けられて切開部58の穴を閉鎖すると、上述したように、スリーブ46Cの弾性により基部リング42およびポートリング44が互いに押し付けられ、基部リング42の底面およびポートリング44の上面が接触して、上述したように、ポートリング44の突条44Aが基部リング42の突条42Bと結合する。インタフェースする突条44A、42Bにより、リングが接触したときにリング42、44が回転可能に結合するが、望ましい場合は解除可能でもある、インタフェースまたは結合が提供される。2つのリング42、44を互いに押し付けるために与えられる力が大きいほど(スリーブ装置46が回転するほど)、突条44A、44Bの結合がより確実になることが理解される。
【0037】
上述したように、スリーブ装置46、ポートリング44及び基部リング42が切開部58に位置決めされると、コネクタリング40が基部リング42に結合される。上述したような一実施形態では、コネクタリング40は、ナットまたはボルトを介して基部リング42に結合される。別例では、標準的な結合装置または方法を使用してもよい。
図7Aおよび
図7Bに示すように、コネクタリング40が基部リング42に結合されると、ポート18は完全に組み立てられる。
【0038】
一実施形態によれば、上述したようにスリーブ装置46を締め付けることと組み合わせて、
図7Aに示すようにコネクタリング40を基部リング42に結合することにより、患者の体外の周囲空気から患者の腔を封止する流体シールが生成される。より詳細には、この時点で、
図6Dに最もよく示すように、封止可能スリーブ装置46がシールを提供する。当業者は、この流体シールが、ガスが注入された患者の腔の上昇した空気圧を維持するのに十分であることを理解する。
【0039】
このシールが確立されると、
図1Bに最もよく示すように医療装置/システム26が内部に配置されたキャニスタ12を、コネクタリング40に結合することができ、それにより、装置/システム26をガスが注入された患者の腔24内に挿入することができる。その結合の前に、(位置決めロッド28に結合された)装置/システム26を、キャニスタ12内に配置しなければならない。本明細書で企図される実施形態の趣旨にある任意の既知の処置を使用して、キャニスタ12内に装置/システム26を配置することができることが理解されるが、一実装形態では、ポート18にキャニスタ12を結合する前に、(
図1Aに最もよく示すように)キャニスタ12の基部20の開放端(図示せず)を通して装置/システム26を挿入し、頂部キャップ14のシール30に画定されたオリフィス34を通して位置決めロッド28を挿入する。いくつかの実施形態によれば、位置決めロッド28はその内部に1つまたは複数の内腔を有することができ、その内腔は、装置/システム26を何らかの種類の外部コントローラに接続する1つまたは複数の接続要素(ワイヤ、ひも等)を含むことができ、それにより、コントローラは、接続要素を介して装置/システム26を制御することができることが理解される。
【0040】
図1Bに最もよく示すように、位置決めロッド28がシール30のオリフィス34を通って頂部キャップ14から延出して、装置/システム26がキャニスタ12内に配置されると、キャニスタ12を、コネクタリング40に結合することができる。
図8Aおよび
図8Bに最もよく示すような一実施形態では、キャニスタ12の基部20では、コネクタリング40のスロット40Bに対応する少なくとも2つの突起12Aがキャニスタ12から延在している。より詳細には、
図8Aおよび
図8Bに示す実装形態では、キャニスタ12は、コネクタリング40の4つのスロット40Bに対応する4つの突起12A(そのうちの1つは示していない)を有している。キャニスタ12をリング40に結合するために、4つの突起12Aがスロット40B内に挿入され、キャニスタ12は左回りに回転して、
図8Bに示すように突起12Aをスロット40Bの完全に結合した位置に位置決めする。別例では、任意の既知の結合機構、装置または方法を使用して、キャニスタ12をリング40に結合してもよい。
【0041】
図9に最もよく示すようにキャニスタ12がポート18に結合されると、キャニスタ12内の流体をキャニスタ12の外側の流体から流体的に分離し封止するシールが達成されている。この時点で、キャニスタ12内の圧力は、ガスが注入された腔24の圧力に一致するまで上昇する。キャニスタ12内の圧力を、ガスが注入された腔24内の圧力と等しくすることにより、その後、キャニスタ12内に配置された装置/システム26を、腔24内の圧力の損失またはガス注入の損失をもたらすことなく、封止可能スリーブ装置46によってもたらされるシールを介して、腔24内に挿入することができる。一実施形態によれば、流体シールは、キャニスタ12とポート18との間に生成されたシールにより、さらに位置決めロッド28とシール30との間に生成されたシールにより、キャニスタ12内に維持される。より具体的には、位置決めロッド28およびシール30に関して、ロッド28は、シール30のオリフィス34の内周と接触するようにサイズが決められ、それにより、ロッド28とシール30との間の気密流体シールがもたらされることが理解される。この時点で、使用者は、装置/システム26の位置決めを調整したい場合、位置決めロッド28を使用してそれを行うことができることが理解される。
【0042】
キャニスタ12内の空気圧が、ガスが注入された腔24内の空気圧と実質的に同じになると、装置/システム26はキャニスタ12から出て、ポート18および切開部58を通り、患者の腔24内に移動する。
図1Bに最もよく示すような一実施形態によれば、遠位端部において装置/システム26に結合される位置決めロッド28を使用して、装置/システム26を、ポート18を通して腔24内に移動させることができる。すなわち、使用者は、ロッド28の近位端部を把持し、装置/システム26をキャニスタ12から出るように遠位端側にかつ腔24内に移動させるように、要求に応じて遠位方向にロッド28を移動させることができる。装置/システムが、操作アームを有するロボット装置である実装形態では、アームを含む装置を、ポート18を通して、ガスが注入された腔24内に前進させることができる。使用者は、ロッド28を回転させることにより、必要/要求に応じて装置/システム26を同様に回転させることも可能であることが理解される。このように、使用者は、処置を行うために、患者の腔24内で要求に応じて装置/システム26を位置決めすることができる。
【0043】
代替実施形態では、位置決めロッド28を、これらの図に示すものより大型のロッドとすることができ、それにより、ロッド28内に、装置および/またはカメラを挿入するために使用することができる1つまたは複数のより大きい内腔を含む複数の内腔を画定することができる。キャニスタ12を除去した後のガス注入を、こうしたロッド28を通して達成することも可能である。さらなる代替態様では、ロッドの代りに、既知のSILSポート等のポートを使用することができる。
【0044】
装置/システム26が、患者の腔24内に挿入され、要求に応じて位置決めされると、ガスが注入された腔24とキャニスタ12の内部との間に、封止可能スリーブ装置46を介して流体シールが再度確立される。その結果、キャニスタ12内部の圧力を、周囲圧力に実質的に等しくなるまで低下させることができる。低下した時点で、キャニスタ12を、コネクタリング40から分離することができる。すなわち、一実施形態によれば、キャニスタ12を右回り方向に回転させ、それにより、突起12Aがリング40のスロット40Bから外される。キャニスタ12が除去されると、
図11に最もよく示すように、上述したような封止可能スリーブ装置46を含む、ポート18要素の組合せによって流体シールが達成された状態で、ポート18自体のみが残る。したがって、使用者は、位置決めロッド28(いくつかの実施形態では、接続要素を介して装置/システムに接続された外部コントローラ(図示せず))を使用して、装置/システムを自由に位置決めし動作させることができる。たとえば、キャニスタ12を除去することにより、ロッド28に対する追加のアクセス可能性および移動の自由を提供することができる。したがって、
図11に示すようにキャニスタ12が除去されると、典型的には、システム/装置26を使用する医療処置が行われる。
【0045】
別のアクセスおよび挿入実施形態は、外科処置中に、ガスが注入された腔の相対的に高い空気圧が喪失しないように、外科装置/システムの周囲に流体シールを維持するように動作するバルーンシール挿入装置を使用して、外科装置/システムを患者の腔内に挿入し外科処置を行うバルーンシール挿入方法および装置に関する。
図12に、バルーンシール挿入装置100が、ガスが注入された患者の腔106内に外科装置102を位置決めしかつそれを動作させるために使用されている一例を示す。図示するように、挿入装置100は、患者の皮膚(概して106として示す)の上で、皮膚の切開部(図示せず)を通して位置決めされる。装置102に結合された接続ロッド104は、挿入装置100を通して位置決めされ、ガスが注入された患者の腔108内に外科装置102が位置決めされる。
【0046】
図12、
図13Aおよび
図13Bに最もよく示すように、挿入装置100は、外科処置中に流体シールを維持することができ、それは、装置100が、装置100のポートハウジング110内に画定された穴112を通って配置された拡張型シール114(本明細書では「拡張型バルーン」または「バルーン」とも呼ぶ)を有しているためである。バルーン114は、可撓性、拡張可能、かつ弾性であるため、穴112を通して配置されたいかなる外科装置の周囲にも流体シールを提供する。したがって、バルーン114は、膨張すると、「異形成形(odd geometry molding)」を提供し、それは、穴112を通して配置された任意の物体の周囲に拡張し、接触し、その形状に従うことができ、それにより、物体の形状に関らず、その物体の周囲に流体シールを生成することを意味する。
【0047】
図13Bに最もよく示すように、挿入装置100は、上述したように穴112を画定するポートハウジング110を備えている。同様に上述したように、バルーン114は、穴112内に配置される。ハウジング110は、2つのバルーン膨張/収縮ポート116A、116Bおよび腔ガス注入/ガス抜きポート118をさらに有している。さらに、ハウジング110は、結合要素122の取付を可能にするように構成された2つの取付要素120を有している。後述するように、結合要素122を使用して、ハウジング110が標準的な封止可能スリーブ46に結合される。
【0048】
ポート116A、116B、118は、ルアーロック等、さまざまなタイプの標準的な弁および/または接続部を受け入れるように構成されており、それらの各々は、要求/必要に応じて膨張または収縮を提供する外部チューブ、ホース等のためのインタフェースを提供するように構成されている。この具体的な実施形態では、2つの接続部124、126はルアーロックであり、1つの接続部128はシュレーダー弁である。一実装形態によれば、シュレーダー弁は、標準的な空気ポンプへの接続に適応するようポート116Bにおける接続部128に対して使用されるとともに、必要な場合にバルーンシール114を収縮させるように逃し弁も提供する。この装置100のさまざまな実装形態で、接続部124、126、128の代りに、医療装置で使用される他の任意の既知の弁または接続部(たとえば、標準的なUNFまたはNPTサイズの継手を使用する任意の接続部等)を使用することができることが理解される。
【0049】
さまざまなポート116A、116B、118は、外部ホース、チューブ等に結合するように意図されており、それらのうちの1つまたは複数は、さらに外部空気圧源に結合されることが理解される。外部空気圧源のうちの1つまたはすべてが、典型的には医療装置の膨張に使用されるガス注入装置または空気ポンプであり得ることがさらに理解される。一実施形態では、外部空気圧源は、空気圧のレベルを自動調節する自動調節装置である。別例では、外部空気圧源は、膨張式医療装置で使用される任意の既知の空気圧源であり得る。
【0050】
一実施形態によれば、バルーン114は、上部リング140、底部リング144、および2つのリング140、144を接続する拡張可能本体142を有している。バルーン114のこれらの部品は、バルーン114を構成する単一一体部片の部品であり得ることが理解される。別例では、バルーン114を、別個の要素から構成してもよい。
図14Bおよび
図14Cに最もよく示すように、上部リング140は、穴112の上部の上部リップ130の上に位置決めされかつそれに結合され、底部リング144は、穴112の底部分の底部リップ132の上に位置決めされかつそれに結合されている。一実装形態によれば、リング140、144をリップ130、132に、化学的に(糊または他のタイプの接着剤)または機械的に(クランプ、ねじ、または他の任意の既知の機械的取付機構)結合することができる。別例では、拡張型シール114は、医療装置で使用される任意の既知の拡張型装置または要素とすることができ、異形成形を介して流体シールを提供することができる。一実施形態では、バルーン114は、ラテックスまたは何らかのタイプのゴムから構成されている。別例では、バルーン114を、膨張可能、弾性であり、異形成形を介して流体シールを提供可能な医療装置で使用される任意の既知の材料から作製してもよい。
【0051】
一実装形態では、シール114の厚さを、シール114がいかに動作するかに影響を与えるように変更することができる。たとえば、シール114のさまざまな部品は、シール114が膨張したときに拡張する方法に影響を与えるように種々の厚さを有することができる。別例では、シール114は、物体がシール114を通して挿入されたときにシール114の抵抗に影響を与えるように変形可能な単一の厚さを有するものでもよい。別例では、厚さを、他の理由で同様に変更してもよい。さらなる代替実施形態では、少なくとも1つの拡張可能な弾性材料に加えて、シール114に追加の1種または複数種の材料を加えてもよい。たとえば、シール114が膨張したときに拡張の仕方に影響を与えるかまたはそれを制御するように、布や、弾性が低いかつ/またはそれほど拡張可能でない他のタイプの材料をシール114に含めてもよい。たとえば、シール114が垂直に(上方または下方に)拡張しないようにし、それによりシール114に対して水平に拡張する影響を与えるように、シール114の頂部および底部に布を含めてもよい。
【0052】
図示するような実施形態では、取付要素120は、ねじまたはボルト等を受け入れるように構成されたねじ切り穴である。さらに、この実装形態では、ねじ切り穴120は、ハウジング110の両側に配置されている。別例では任意の適切な既知の取付要素120を使用して、結合要素122のハウジング110への取付を可能にしてもよい。さらに、結合要素122の種々の構成および種々のタイプを可能にするように、必要に応じて、ハウジングの取付要素120の数および位置決めを変更してもよいことが、当業者であれば理解することができる。
【0053】
図14A、
図14Bおよび
図14Cは、一実施形態に従うポートハウジング110の構成に関する追加の詳細を示す。より具体的には、(ハウジング110の断面を示す)
図14Bに最もよく示すように、ポートハウジング110には、2つのバルーン膨張/収縮内腔150A、150Bが画定されている。バルーン膨張/収縮内腔150Aは、バルーン膨張/収縮ポート116Aと穴112との間の流体接続を提供し、それによりポート116Aを介する拡張型シール114の膨張または収縮を可能にする。同様に、バルーン膨張/収縮内腔150Bは、バルーン膨張/収縮ポート116Bと穴112との間の流体接続を提供し、それにより、ポート116Bを介する拡張型シール114の膨張または収縮も可能にする。
【0054】
(ハウジング110の異なる断面を示す)
図14Cに最もよく示すように、ポートハウジング110には、腔ガス注入/ガス抜き内腔152も画定されており、それは、ハウジングが患者の切開部に位置決めされたときにハウジング110の下側と流体連通する、腔ガス注入/ガス抜きポート118と患者の腔108との間の流体接続を提供する。したがって、内腔152により、ポート118を介する患者の腔108のガス注入またはガス抜きが可能になる。
【0055】
使用時、
図16Aおよび
図16Bに最もよく示すように、装置100は、標準的な封止可能スリーブ装置162と組み合わせて患者の切開部160に位置決めされる。
図15に、標準的な封止可能スリーブ装置162を示す。それは、可撓性スリーブ168によって互いに結合される上部リング164および下部リング166を有している。一実施形態によれば、装置162は、
図2A、
図2B、
図6A、
図6B、
図6Cおよび
図6Dに関して上述した封止可能スリーブ装置と実質的に同様である。
【0056】
一実装形態では、封止可能スリーブ装置162は、まず、切開部160に位置決めされる。スリーブ装置162を、上述したものと同様のステップを使用して挿入することができることが理解される。別例では、任意の既知の挿入ステップを使用して装置162を切開部に挿入することができ、それにより、
図16Aに最もよく示すように、上部リング164は切開部160の外側に位置決めされ、下部リング166は患者の腔の内側に位置決めされ、スリーブ168は切開部160自体を通して配置される。
【0057】
スリーブ装置162が切開部160に位置決めされると、
図16Aおよび
図16Bに最もよく示すように、ハウジング110はスリーブ装置162に結合される。より具体的には、一実装形態によれば、ハウジング110はスリーブ装置162の上部リング164の上に、ハウジング110の底部に画定された円形の凹部または切欠き170内に位置決めされるように位置決めされる。切欠き170の形状は、上部リング164の形状に対応し、したがって、リング164が切欠き170にぴったりと適合するように上部リング164を受け入れるように構成されている。
【0058】
リング164が切欠き170内に位置決めされると、結合要素122は、ハウジング110の取付要素120に結合され、それにより、ハウジング110をスリーブ装置162に堅固に結合する。この実施形態での結合要素122は、垂直部片122Aおよび水平部片122Bを有する要素である。垂直部片122Aは、ねじあるいはボルトまたは同様の機構を使用して取付要素120に結合される。
図16Aに最もよく示すように、垂直部片122Aが取付要素120に結合されると、水平部片122Bはハウジング110の下に、切欠き170に配置された上部リング164の下にも位置決めされるように位置決めされる。したがって、結合要素122は、上部リング164を切欠き170内に保持するかまたは係止するように動作する。その結果、上部リング164を切欠き170内に保持することにより、ハウジング110とスリーブ装置162との間に流体シールを提供することができる。別例では、ハウジング110とスリーブ装置162との間の、流体シールを提供する任意の適切な既知のインタフェースを使用することができる。
【0059】
ハウジング110およびスリーブ装置162が結合されると、ポート116Aあるいはポート116Bのいずれかまたは両方を使用して、バルーン114を膨張させることができる。バルーン114が、バルーン114の拡張可能本体142自体が接触するように十分に膨張すると、患者の腔と患者の体外の周囲空気との間に流体シールが生成される。この流体シールが確立されると、患者の腔108に、ポート118を使用して腔108内の所望の圧力までガスを注入することができ、適切な装置および/または機器を、腔108の内側の圧力の損失なしに拡張したバルーン114シールを通して腔108内に挿入することができる。
【0060】
図17Aおよび
図17Bに示すような1つの特定の例では、2つのロボットアーム180、182を有する装置/システムが、拡張型バルーン114シールを通して患者の腔108内に位置決めされる。より具体的には、
図17Aにおいて、第1ロボットアーム180は拡張型バルーン114シール内に挿入される。拡張型バルーン114の異形形成により、第1アーム180がバルーン114内に挿入されている際でも流体シールが維持される。第1アーム180が、腔108内に正しく挿入され、
図17Bに示すように要求に応じて接続ロッド184を使用して位置決めされると、第2アーム182がバルーン114シール内に挿入される。この場合もまた、バルーン114の異形形成により、流体シールを喪失することなく、したがってガスが注入された腔108の相対的に高い圧力を喪失することなく、これを行うことができる。
【0061】
図12に戻ると、この図は、2つのアーム180、182を有するロボットシステムの最終位置を示す。アーム180、182が要求に応じて位置決めされると、システムを、この時点で、使用者または外科医が所望の処置を行うように操作することができる。
【0062】
バルーンシール装置の代替実施形態は、単一装置に設けられた2つ以上のバルーンシールを有することができることが企図される。それらの2つ以上のバルーンシールを、さまざまな構成で提供することができる。たとえば、一構成では、上述したものと同様の中心シールに加えて、第2シールを、第1シールの一方の側に対してずらして設け角度をなして配置することができ、それにより、第2シールを通して挿入された任意の装置または物体が角度をなして挿入される。これらの2つ以上のバルーンシールを同じ空気圧源に空気圧によって接続することができ、別例では、各シールを、それ自体の圧力源を有し、それ自体の空気圧の独立したレベルで設定されるように、空気圧によって別個にすることができることが理解される。
【0063】
別のアクセスおよび挿入実施形態は、患者の腔内に外科装置/システムを挿入し、外科処置を、処置中にガスが注入された腔の相対的に高い空気圧が喪失しないように切開部において流体シールを維持するように動作するゴムシールアクセス/挿入装置を使用して行う、ゴムシール挿入方法および装置に関する。
図18に、ゴムシールアクセス/挿入装置200の一例を断面図で示す。図示するように、アクセス/挿入装置200は、患者の皮膚(概略的に202として示す)の上に、皮膚202の切開部206の上に位置決めされ、切開部206を通して配置される標準的な封止可能スリーブ装置204に結合される。
【0064】
図19Aおよび
図19Bに最もよく示すように、アクセス/挿入装置200は、スリーブ装置204に結合可能な基部リング210を有している。装置200はまた、基部リング210と第1上部リング214との間に位置決めされた3つのシール212A、212B、212Cも有している。いくつかの実施形態では、装置200は、シールの第1組(212A、212B、212C)および第1上部リング214のみを有している。図示するような実装形態等、代替実施形態では、装置200はまた、第1上部リング214と第2上部リング218との間に配置された3つのシール第2組216A、216B、216Cも有している。この実装形態では、第1上部リング214および第2上部リング126は基部リング210に結合され、それにより、シールの組212、216の各々および2つの上部リング214、218が流体シールを維持するように、シールの第1組212A、212B、212Cおよびシールの第2組216A、216B、216Cが適所に維持される。一実施形態によれば、一組のねじまたはボルトが、基部リング210、第1上部リング214および第2上部リング218それぞれの外周に画定された穴210A、214A、218Aを通して配置され、リング210、214、218を適所に固定するように締結される。別例では、リング210、214、218(したがってシール212、214)を適所に保持するかまたは固定する任意の既知の装置または機構を使用することができる。
【0065】
一実施形態によれば、シールの組(たとえば、212A、212B、212C)によって生成される流体シールは、こうしたシールの各々に画定された種々のタイプの開口部を有する別個のゴムシールを提供することによって生成される。たとえば、
図20に最もよく示すように、この実装形態では、シール212A、212B、212Cの各々を通して、他のシールの対応する開口部とは異なる2つの開口部が形成されている。シール212Aを通して、2つの実質的に円形の穴230A、230Bが形成されている。穴230Aの方が大きく、シール212Aにおいてより中心に位置決めされ、ロボット外科装置等の外科装置またはシステムを受け入れるように意図されている。穴230Bの方が小さく、シール212Aの縁により近く位置決めされ、トロカール、カメラまたは他の何らかの付属装置等の周辺装置または要素を受け入れるように意図されている。これらの穴230A、230Bは、それらを貫通するいかなる物体の外周にも流体シールを提供するように意図されている。
【0066】
対照的に、シール212Bを通して2つのスリット232A、232Bが形成されている。スリット232Aの方が大きく、穴230Aに対応する位置に位置決めされ、スリット232Bの方が小さく、穴230Bに対応する位置に位置決めされる。同様に、シール212Cは、穴230Aおよびスリット232Aに対応する位置に位置決めされた大きい方のスリット234Aを有し、穴230Bおよびスリット232Bに対応する位置に位置決めされた小さい方のスリット234Bをさらに有している。さらに、シール212Cのスリット234A、234Bは、シール212Bのスリット232A、232Bに対して90度の角度で位置決めされている。一実装形態によれば、シール212Bのスリット232A、232Bのシール212Cのスリット234A、234Bとの組合せにより、ガスが注入された患者の腔208の上昇した圧力に、スリットを開放しその上昇した圧力を喪失することなく耐えることができる、より強固な流体シールがもたらされる。
【0067】
図19A、
図19Bに示すように2組のシール212、216を組み込むことにより、外科装置が装置200を通して挿入されるときであっても、装置200によって生成される流体シール全体がさらに強化される。より具体的には、
図19Bに最もよく示すように、第1上部リング214は、その中心に穴214Bを画定している。第1上部リング214がシールの第1組212とシールの第2組216との間に配置されると、第1上部リング214の穴214Bは、2組のシール212、214の間に空洞を生成する。したがって、一実施形態によれば、シールの一方の組(212または214)における流体シールのいかなる損失も、流体シール全体の損失、または患者の腔208から患者の体外の周囲空気への直接の漏れ圧力をもたらすことがない。このため、第1上部リング214によって生成される空洞は、いずれのこうした漏れからの圧力損失全体も最小限にすることができる。
【0068】
一実装形態によれば、シール212A、212B、212C、216A、216B、216Cの各々は、相対的に薄いゴムシートである。別例では、シールの各々を、医療装置においてシールとしての役割を果たすことができる任意の既知の可撓性材料から作製することができる。1つの例示的な実施形態では、シールの各々は、約3.175ミリメートル(約0.125インチ)厚さである。別例では、シールの各々の厚さを、約1.5875ミリメートル(約0.0625インチ)厚さと約6.35ミリメートル(約0.25インチ)厚さとの間で変化させることができる。さらなる代替形態では、3つのシール212、216の各組を、厚さが約4.7625ミリメートル(約0.1875インチ)から約19.05センチメートル(約0.75インチ)の範囲である単一シールに置き換えることができる。いくつかの実施形態によれば単一シールのこの厚さにより、3つの薄いシールの組と実質的に同じタイプの流体シール強度を提供することができる。
【0069】
上述したように、いくつかの実施形態によれば、装置200は、1組のシール212A、212B、212Cのみと第1上部リング214のみとを有している。こうした実施形態は、上述したように第1上部リング214によって生成される空洞を有していないが、単一組のシール212を備えた装置200は、依然として十分な流体シールを提供することができる。たとえば、こうした装置200は、十分に平滑な外側の特徴および表面を有する任意のロボット装置の挿入に対して十分な流体シールを提供する。さらに、単一組のシール212を備えた装置200は、装置200全体のサイズを低減することができ、単一組のシール212を通過するのみでよいことの結果として、装置200を通して挿入された外科装置に対するいかなる外傷も低減することができる可能性がある。
【0070】
一実装形態に従う
図21は、装置200の上面図を示す。より具体的には、
図21は、シール216Aの上に位置決めされた第2上部リング218を示す。シール216Aの穴236A、236Bが同様に見える。
【0071】
使用時、ゴムシールアクセス/挿入装置200を、以下の方法で使用するために位置決めすることができる。まず、他の実施形態に関して上述したように、一実装形態によれば、切開部206内にまず封止可能スリーブ装置204が位置決めされる。スリーブ装置204を、上述したものに類似するステップを使用して挿入することができることが理解される。別例では、任意の既知の挿入ステップを使用して、
図18に最もよく示すように、上部リング240が切開部206の外側に位置合せされ、下部リング242が患者の腔の内側に位置決めされ、スリーブ244が切開部206自体を通して配置されるように、装置204を切開部内に挿入することができる。
【0072】
スリーブ装置204が切開部206内に位置決めされると、
図18および
図22に最もよく示すように、基部リング210(したがって装置200全体)がスリーブ装置204に結合される。より具体的には、一実装形態によれば、上部リング240が、基部リング210の底部に画定された円形の凹部または切欠き250内に位置決めされるように、基部リング210がスリーブ装置204の上部リング240の上に位置決めされる。切欠き250の形状は、上部リング240の形状に対応し、したがって、リング240が切欠き250内にぴったりと適合するように上部リング240を受け入れるように構成されている。
【0073】
上部リング240が切欠き250内に位置決めされると、結合要素220は、基部リング210の取付要素252に結合され、それにより、基部リング210をスリーブ装置204に堅固に結合する。この実施形態における結合要素220は、
図19Aまたは
図22に最もよく示すように、垂直部片220Aおよび水平部片220Bを有する要素である。垂直部片220Aは、ねじあるいはボルトまたは同様の機構を使用して取付要素252に結合される。
図18に最もよく示すように、垂直部片220Aが取付要素252に結合されると、水平部片220Bは、基部リング210の下に、切欠き250に配置された上部リング240の下にも位置決めされるように位置決めされる。したがって、結合要素220は、上部リング240を切欠き250に保持するかまたは係止するように動作する。その結果、上部リング240を切欠き250内に保持することにより、基部リング210とスリーブ装置204との間に流体シールを提供することができる。別例では、基部リング210とスリーブ装置204との間の、流体シールを提供する任意の適切な既知のインタフェースを使用することができる。
【0074】
図18および
図23に最もよく示すように装置200およびスリーブ装置204が結合されると、患者の腔208と患者の体外の外部空気との間に流体シールが確立されている。この時点で、患者の腔に、所望の量の空気圧までガスを注入することができる。その後、1つまたは複数の外科装置を、適切な穴/スリットにおいてシール212、216を通して、ガスが注入された患者の腔108内に挿入することができる。一実施形態では、ロボット外科装置の各アームを、シールの大きい方の穴(および大きい方のスリット)を通して腔208内に、別個にかつ連続して挿入することができる。別例では、任意の既知の装置を、本明細書において企図されるように穴およびスリットを通って適合する限り、腔208に挿入することができる。
【0075】
アクセス/挿入装置の別の実施形態は、
図1〜
図11に示しかつ詳細に上述したシステムまたは装置に類似する別の外部加圧システムまたは装置に関する。
図1〜
図11の装置のように、本装置は、患者の皮膚の切開部の上におよび/またはその中に位置決めされるポートに結合され、それにより、患者の腔へのアクセスを可能にする。しかしながら、
図24A〜
図38に示し後述するような本実装形態では、外部加圧システム/装置は、システム/装置内部の相対的に高い圧力の損失なしに加圧システム/装置の内部へのアクセスを可能にする、外科装置のみではなく、追加の機器および/または1人あるいは複数の使用者あるいは医療専門家の手を挿入するための1つまたは複数のアクセスポートを有する外部本体を有している。
【0076】
たとえば、
図24A〜
図24Fに、こうした外部加圧システムまたは装置300の一実装形態を示す。
図24C(上面図)および
図24D(斜視図)に最もよく示すように、装置300は、主チューブ(「キャニスタ」とも呼ぶ)304と、左手アクセスポート308を備えた左手チューブ306と、右手アクセスポート312を備えた右手チューブ310と、側部アクセスポート316を備えた側部アクセスチューブ314とを有する外部本体302を有している。さらに、主チューブ304は、チューブ304の頂部に結合された装置ポート318を有している。
【0077】
図24Aおよび
図24Bに最もよく示すように、主チューブ304の底部は、切開ポート320に結合可能である。その後、
図24Fに最もよく示すように、切開ポート320は標準的な封止可能スリーブ装置322に結合可能であり、標準的な封止可能スリーブ装置322を、患者の標的腔328にアクセスするために患者の皮膚326に形成された切開部324内に位置決めすることができる。切開ポート320およびその主チューブ304および封止可能スリーブ装置322両方への結合については、後に詳細に説明する。
【0078】
図示する実装形態では、左手アクセスポート308および右手アクセスポート312を、使用者または医療専門家が自身の手を、ポート308、312を介して本体302の内部に挿入するのを可能にするように構成することができる。さらに、アクセスポート316を備える側部アクセスチューブ314を、機器の保管のために、および/または別の使用者がポート316を通して自身の手を挿入することにより支援するために使用することができる。さらに、さまざまな医療装置/システムを、ポート318を通して本体302内に挿入することができるように、装置アクセスポート318を構成することができる。別例では、アクセスポート308、312、316、318のいずれも、手および/または機器/装置の挿入を可能にするように構成することができる。さらに、さまざまな代替実施形態では、本体302は、上述したもののうちのいずれかを含む、さまざまな用途に対するアクセスポートを備えた1つ、2つまたは4つ以上の追加のチューブを備えた主チューブ304を有することができることが理解される。本明細書で企図されるさまざまな実施形態は、サイズまたは形状が図示したものと異なるチューブおよび/またはポートを含むことも理解される。たとえば、いくつかの実装形態では、チューブおよび/またはポートを、正方形または楕円形の形状とすることができる。
【0079】
一実装形態では、外部本体302(主チューブ304およびアクセスチューブ306、310、314)は、たとえばポリ(メチルメタクリレート)(「PMMA」)等の硬質プラスチックから作製されている。別例では、本体302を、医療装置で使用することができる任意の既知の剛性材料から作製することができる。提供される図に示すもののように、本体302のいくつかの実施形態は透明であることが理解される。透明本体302により、使用者は、処置中に挿入されている任意の機器または装置を含むチューブ304、306、310、314の内部を見ることができる。別例では、本体302は透明でなく、機器/装置を、装置300内のそれらを視認することができずに挿入することができる。
【0080】
一実装形態によれば、封止可能スリーブ装置322は、
図24F、
図29A、
図29Bおよび
図30に最もよく示すように、上記さまざまな実施形態に記載したように標準的な市販の装置であり得る。装置322は、可撓性スリーブ424によって合わせて結合される上部リング420および下部リング422を有している。一実施形態によれば、装置322は、
図2A、
図2B、
図6A、
図6B、
図6Cおよび
図6Dに関して上述した封止可能スリーブ装置に実質的に類似している。
【0081】
一実施形態によれば、アクセスポート308、312、316、318は標準的な市販のポートであり、それらは、装置または手を含むさまざまな物体がそれらを通して手術空間内に挿入されるのを可能にする。
図25に、使用中のアクセスポート340の一例を示す。その図に示すように、ポート340により、ポート340を通して手を挿入することができる。
図26に、別の例示的なアクセスポート342を示す。このポート342は、カリフォルニア州ランチョ・サンタ・マルガリータのアプライド・メディカル社から市販されているGelSeal(登録商標)ポートである。この実施形態では、ポート342は、本体344、剛性支持リング346および可動クランプレバー348を有し、可動クランプレバー348を使用して、ポート342を締め付け、したがってポート342を、それが取り付けられるいずれの環状物体にも固定することができる。より具体的には、クランプレバー348は、3つの異なる位置で示されている。位置Aでは、レバー348は開放位置Aにあり、したがって、ポート342はその最も広い円周を有している。位置Bでは、レバー348は、開放位置Aと閉鎖位置Cとの中間であり、ポート342は、開放位置Aにあるときより小さい円周を有している。最後に、位置Cでは、レバー348は閉鎖位置Cでポート342に接して位置決めされ、ポート342はその最小の円周を有している。使用時、レバー348は、典型的には、ポート342が位置決めされるとき、位置Aにあり、その後、レバー348は位置Cに移動して、ポート342を適所に締め付ける。一実施形態では、本体344は、アプライド・メディカル社によって提供されるような製品において軟質のゲル状材料から作製される。別例では、本体344を、物体および/または手を挿入することができる任意の材料から作製することができ、それにより、物体が材料を通して挿入されるときに手術腔の相対的に高い圧力が喪失しないように流体シールが維持される。
【0082】
図27Aに示すような一実装形態によれば、アクセスポート308、312、316、318は、ポートアダプタリング350を介してチューブ304、306、310、314に結合される。ポートアダプタリング350は、本体302のチューブ304、306、310、314のうちのいずれか1つと嵌合するようにサイズが決められた第1リング部分352を有している。(この特定の説明では、例として左手アクセスチューブ306を使用する。)リング350はまた、ポート(この場合は左手アクセスポート308)と嵌合するようにサイズが決められた第2リング部分354も有している。
【0083】
一実施形態によれば、チューブ306の端部の上に第1リング部分352を位置決めし、第1リング部分352のねじ切り穴358Aを通してチューブ306のねじ切り穴358B内に挿入されるちょうねじ356を使用して第1リング部分352を適所に保持することにより、第1リング部分352がチューブ306に結合される。別例では、ボルト、クランプ等の任意の取付装置または機構を使用して、第1リング部分352をチューブ306に(さらには、チューブ304、306、310、314のいずれかに)取り付けることができる。一実施形態では、チューブ306と第1リングポート352との間に、2つの要素の間に流体シールが確立されるのを確実にするように、発泡体ガスケットまたはゴムガスケット等のガスケット(図示せず)が配置される。
【0084】
一実装形態に従うアクセスポート308は、上述したものの同様に第2リング部分354に結合される。すなわち、ポート308のクランプレバー308Aは、位置Aに配置され、ポート308は、第2リング部分354の上に位置決めされる。次いで、レバー308Aは閉鎖位置(位置C)まで移動し、それにより、ポート308は第2リング部分354の上に締め付けられる。別例では、ポート308に類似するポートを装置要素に結合する任意の既知の機構または方法を使用することができる。
【0085】
図27Bに示すような一実施形態によれば、装置アクセスポート318は、使用者が、使用前または使用中に装置300の本体302内で外科装置を容易に安定化するかまたは位置決めするのを可能にする、1つまたは複数の追加の構造を有することができる。より詳細には、いくつかの実装形態における装置アクセスポート318は、ポート318の内腔に沿って位置決めされた1つまたは複数の装置取付要素357(「装置クリップ」とも呼ぶ)を有している。装置クリップ357は、クリップ357内に位置決めロッド359等の装置を保持するように構成され、それにより、意図された処置に使用されている外科装置の一部を本体302の内部に結合する方法を提供する。一実施形態では、
図27Bに示すように、取付要素357は実際のクリップである。別例では、要素357は、位置決めロッド359等、医療装置を受け入れるように構成されたポート318の内腔に画定された、切欠きまたは他のタイプの特化して構成された凹部357であり得る。さらなる代替態様では、取付要素357は、医療装置への結合を可能にする任意の機械的あるいは構造的な機構または要素であり得る。さらなる実施形態では、こうした取付要素357を、たとえば別のアクセスポートの内部ポートまたはチューブのうちの1つの内部のいずれか等、本体302の他の場所に配置することができる。
【0086】
さまざまな代替実施形態では、上述しかつ
図24〜
図27Bに示すポートの代りに、他のタイプのアクセスポートを使用することができる。たとえば、1つの具体的な代替実装形態では、
図28Aおよび
図28Bに示す手袋ポート360等、1つまたは複数の手袋ポートを使用することができる。手袋ポート360は、手袋ポートリング364に結合された手袋要素362を有している。さまざまな実施形態では、手袋ポート360を、手袋ポートリング362において、本体302のチューブ304、306、310、314のうちの1つまたは複数に結合することができる。一実施形態では、手袋ポートリング362は、
図26に関して記載されているクランプレバーに類似するクランプレバーを介してチューブに結合される。別例では、任意の既知の結合機構を使用することができる。アクセスポート308、312、316、318とは異なり、手袋ポート360では、流体シールが外科医の腕またはそこに挿入される任意の物体の周囲に確立されることは不要である。したがって、手袋ポート360は、患者の腔と患者の体外の周囲空気との間の圧力差が維持されるのを確実にするのに役立つことができる。一実施形態では、手袋ポート360は、容積を調整するために使用することができる圧力逃し弁(図示せず)を有し、それにより、使用者が手袋要素362を使用して本体302内に自身の手を挿入するときにもたらされる容積変化を考慮することができる。
図28Bは、使用中の手袋ポート360を示す。
【0087】
上述したように、切開ポート320は、
図24Fおよび
図29に示すように、主チューブ304および封止可能スリーブ装置322の両方に結合可能であるように構成されている。
図24Aおよび
図30に最もよく示すように、切開ポート320は基部リング370を有している。基部リング370の上方部分を、後にさらに詳細に説明するようにポートシール450に結合することができる、内部結合要素372に結合することができる。さらに、基部リング370の下方部分を、リング370を封止可能スリーブ装置322に結合する外部結合要素374(いくつかの実施形態では「スリーブクランプ」とも呼ぶ)に結合することができる。さらに、基部リング370を、リング370を装置300の主チューブ304に結合する結合要素376(いくつかの実施形態では「チューブブラケット」とも呼ぶ)に結合することも可能である。
【0088】
図31Aおよび
図31Bは、一実装形態に従う基部リング370を示す。リング370は、主チューブ304の底部を受け入れかつそれに結合するように構成された湾曲凹部または切欠き378を有している。さらに、リング370は、チューブブラケット376を受け入れるように構成された3つのブラケット受入要素380を有している。さらに、
図24F、
図30および
図35に最もよく示すように、リング370の底部は、スリーブ装置322の上部リング420の上に位置決めされかつそれを受け入れるように構成された円形の凹部または内腔381を画定している。リング370はまた、内部リング382に画定された複数の穴384も有している。後に詳細に説明するように、複数の穴384は、内部結合要素372の基部プレート430の穴436に相関する。ブラケット受入要素380の各々は、突起386と、後に詳細に説明するようにチューブブラケット376が位置決めされる水平部分388およびチューブブラケット376の穴394に対応する穴390とを有している。一実施形態では、切欠き378と主チューブ304の底部との間に、それら2つの要素の間の流体シールを強化するように、シリコンガスケット、発泡体ガスケットまたはゴムガスケット等のガスケット(図示せず)が設けられる。
【0089】
図32は、一実施形態に従うチューブブラケット376を示す。チューブブラケット376は、基部リング370のブラケット受入要素380の穴390に対応する穴394が画定されている基礎部分392を有している。ブラケット376はまた、後述するように、主チューブ302の底部の穴404に対応する2つの穴398が画定されているチューブ接触部分396も有している。
【0090】
一実施形態によれば、
図33に示すように、チューブブラケット376を使用して主チューブ302が基部リング370に結合される。より具体的には、チューブブラケット376はブラケット受入要素380の上に位置決めされ、ブラケット376の基礎部分392は水平部分388の上に位置決めされ、チューブ接触部分396は突起386の上に位置決めされる。その位置で、ねじくぎ400を、ブラケット376の穴394を通してリング370の穴390内に挿入することにより、ブラケット376が基部リング370に結合される。さらに、2つのねじ402を、ブラケット376の穴398を通してチューブ302の穴404内に挿入することにより、ブラケット376が主チューブ302に結合される。したがって、チューブ302は、ブラケット376を使用して切開部320および具体的には基部リング370に接して適所に取り付けられる。
図24A〜
図24Fに示す実施形態では、チューブ302をポート320に結合するために使用される(ポート320の周囲に互いに約120度間隔を空けて配置された)3つのチューブブラケット376がある。別例では、ポート320の周囲の異なる位置に、2つのブラケットまたは4つ以上のブラケットを使用することができる。さらなる代替態様では、チューブ302をポート320に結合された状態で維持するために、任意の既知のタイプの結合機構を使用することができる。
【0091】
上述したように、切開ポート320は、スリーブクランプ374を使用して封止可能スリーブ装置322に結合される。
図34は、スリーブクランプ374の一実施形態を示す。クランプ374は、後述するように、クランプ374の頂部に画定された穴406と、(
図31Bに最もよく示すように)基部リング370のブラケット受入要素380の下に画定された切欠き410内に適合するように構成された突起408と、封止可能スリーブ装置322の上部リング420をクランプ374の適所に保持するのに役立つように構成された突起412とを有している。穴406は、ブラケット376の穴394および基部リング370の穴390に対応し、それにより、スリーブクランプ374が基部リング370のブラケット受入要素380の下に位置決めされ、ねじくぎが穴394および穴390を通して挿入されたときに、スリーブクランプ374が基部リング370に結合されるように穴406内にもねじ込まれる。
【0092】
図30および
図35に最もよく示すように、上部リング420が、基部リング370の底部の内腔318内に位置決めされるようにポート320がスリーブ装置322の上に位置決めされると、上述したように、スリーブクランプ374を基部リング370に結合することができ、封止可能スリーブ装置322の上部リング420にクランプ374が接触し、それにより、上部リング420は、図示するようにその所望の位置で保持される。さらに、クランプ374の切欠き412は、さらに、上部リング420を保持するのに役立つことができる。一実施形態では、上部リング420と基部リング370の下側との間に、発泡体ガスケット、ゴムガスケットまたはシリコーンガスケット等のガスケット(図示せず)が配置され、それにより、それら2つの要素の間により強固な流体シールが提供される。
【0093】
上述したように、一実施形態によれば、
図24A、
図30および
図36に最もよく示すように、基部リング370の上方部分を、内部結合要素372に結合することができる。内部結合要素372は、基部プレート430と基部プレート430から突出する雄要素432とを有している。基部プレート430には、複数の穴436が画定されている。これらの穴436は、基部リング370の内部リング382に画定された穴384に対応し、それにより、ねじ438(またはボルトあるいは他の任意の既知の結合機構)を使用して、図示するように基部プレート430を基部リング370の内部リング382に結合することができる。さらに、雄要素432の内部は2つの装置取付要素440(本明細書では「装置クリップ」とも呼ぶ)(
図36には1つのこうしたクリップ440のみを示す)を有している。各装置クリップ440は、外科処置の前または処置中に使用者が(本明細書の別の場所に記載するような)位置決めロッドまたは他の何らかの装置要素をクリップ440に結合するのを可能にすることができるように構成されており、それにより、装置の位置が安定化するかまたは維持される。
【0094】
図36に最もよく示すように、雄要素432は、その外周に形成されるかまたは加工された3つの切欠き434(
図36にはそのうちの1つを完全に示す)を有している。切欠き434は、垂直部分434Aと、垂直部分434Aと連通している水平部分434Bとを有している。各切欠き434は、雄要素432と結合するように意図された任意の装置の内周に形成された対応する突起を受け入れるように構成されている。したがって、装置を雄要素432に結合するために、装置は、雄要素432の上に、装置の突起が雄要素432の対応する切欠き434の上に位置決めされた状態で位置決めされる。次いで、装置は、各突起が水平部分434Bに達するまで切欠き434の垂直部分434Aに沿って移動するように、雄要素432の上に位置決めされる。水平部分434Bに達した時点で、装置を回転させ、それにより各突起を切欠き434の水平部分434Bに沿って円周方向に移動させることができ、それにより、装置が内部結合要素372の雄要素432に結合される。
【0095】
一実装形態では、
図37A、
図37Bおよび
図37Cに最もよく示すように、内部結合要素372に結合することができる要素のうちの1つは、ポートシール450である。ポートシール450は、基部シールリング454に結合されたシールクランプ452を有している。クランプ452をリング454に結合することにより、シール要素456がポートシール450内の適所に固定されるように、クランプ452とリング454との間に、シール要素456が位置決めされる。図示するような一実施形態では、シールクランプ452には、基部シールリング454の穴(図示せず)に対応する複数の穴458が画定されており、それにより、ねじくぎ460(またはボルト等)を、穴458を通してリング454の穴内に挿入することにより、2つの要素を合わせて結合することができる。別例では、他の任意の既知の取付機構を使用することができる。一実施形態では、雄要素432と基部シールリング454との間に、それら2つの要素の間の流体シールを強化するように、発泡体ガスケット、シリコーンガスケットまたはゴムガスケット等のガスケット(図示せず)を配置することができる。
【0096】
一実施形態におけるシールクランプ452は、クランプ424の上面から延在する複数の突起464を有している。これらの突起464を、使用者が容易に把持することにより、ポートシール450を雄要素432の上に配置するかまたはそこから取り除くことができる。さらに、
図37Cに最もよく示すように、基部シールリング454の下側において、リング454の内周に3つの突起462が配置されている。3つの突起462は、雄要素432の外周に画定された3つの切欠き343に対応し、それにより、上述したように基部シールリング454を雄要素432に結合することができる。
【0097】
一実装形態によれば、シール要素456(本明細書では「可撓性シール要素」または「弾性シール要素」とも呼ぶ)は、装置または他の機器がシール要素456を通して挿入されるのを可能にするように(また、後にさらに詳細に説明するように、シール要素456が位置決めロッドのようにこうした機器の上に位置決めされるのを可能にするように)構成された可撓性または弾性材料の円形シートである。一実施形態では、シール要素456は、機器を挿入することができる小さい穴(図示せず)を有する円形ゴムシートである。別例では、シール要素456は、装置または機器がシール要素456を通して挿入されるときに流体シールを維持するように構成された任意の既知の材料であり得る。
【0098】
一実施形態によれば、装置300内に異なるタイプのシール要素を組み込むことも可能である。
図38A、
図38Bおよび
図38Cに示すように、フラップシール要素470が設けられている。フラップシール要素470は、要素470の中間点で互いに接触する2つのフラップ(第1フラップ472および第2フラップ474)を有している。フラップ472、474の各々は、表面に突条または歯472A、474Aを有しており、それらは、フラップ472の突条472Aがフラップ474の突条474Aに対応し、したがって互いにインタフェースするかまたは結合するように、接触している。図示するような一実装形態では、フラップシール要素470は、基部リング370と内部結合要素372との間に配置されている。一実装形態によれば、患者の腔に向かって下方に延在するフラップ472、474および結合された突条472A、474Aの構成は、フラップ472、474が患者の腔から離れて外側に延在し流体シールが喪失するまで、フラップ472、474が相対的に高い空気圧によって強制的に外側に向けられる、機械的故障(「吹出し(blowout)」とも呼ばれる)を防止する構造的強度を提供することができる。
【0099】
図38Aに示すような一実施形態では、ポートシール450がポート320に結合されていないとき、フラップシール要素470を切開ポート320内に組み込んで使用することができる。別例では、
図38Bに示すように、ポートシール450がポート320に結合されているとき、フラップシール要素470を切開ポート320内に組み込んで使用することができる。
【0100】
アクセスおよび挿入システム、装置および方法に関して本明細書に開示されまたは企図されるさまざまな実施形態では、使用時、医療装置のみでなく、関連機器および/または1人あるいは複数の医療専門家の手が医療処置中に装置の内部にアクセスするために挿入するための1つまたは複数のポートを有する外部装置に特に関連するとともに、ガスが注入された患者の腔と実質的に同じ相対的に高い空気圧を装置内で維持することができる。一実装形態によれば、高圧は、大気圧よりおよそ18mmHg高く、それは、およそ、腹腔鏡処置の間に患者の腹腔にガスを注入するために使用される圧力量である。別例では、医療処置中に使用される任意の既知の相対的に高い圧力量を使用することができる。
【0101】
一実施形態に従う装置300を使用する方法は、以下のステップのうちの少なくともいくつかを含む。まず、他の実施形態に関して上述したように、一実装形態によれば、封止可能スリーブ装置322はまず、切開部324内に位置決めされる(
図24F、
図29A、
図29Bおよび
図30を参照)。スリーブ装置322を、上述したものと同様のステップを用いて挿入することができることが理解される。別例では、
図30に最もよく示すように、上部リング420が切開部324の外側に位置決めされ、下部リング422が患者の腔内に位置決めされ、スリーブ424が切開部324自体を通して配置されるように、任意の既知の挿入ステップを使用して、装置322を切開部324内に挿入することができる。
【0102】
次に、切開ポート320および装置300が、封止可能スリーブ装置322に結合される。
図30、
図33および
図35に最もよく示すように、切開ポート320の基部リング370がスリーブ装置322の上部リング420の上に、上部リング420が基部リング370の底部の内腔381内に位置決めされるように位置決めされる。さらに、装置本体302の主チューブ304の底部分を、基部リング370の湾曲切欠き378内に位置決めすることができる。この時点で、装置300およびスリーブ装置はともに、要求に応じて切開ポート320に対して位置決めされ、ポート320に結合されなければならない。そうするために、チューブブラケット376およびスリーブクランプ374は、上述したように基部リング370の上に位置決めされ、ねじくぎ400を使用して適所に固定される。次いで、ねじ402が同様に配置される。したがって、切開ポート320は、装置300およびスリーブ装置322両方に結合され、本体302の内部と外部との間に流体シールが生成される。
【0103】
一実施形態によれば、処置中に使用される少なくとも1つの医療装置または機器を、本体302を切開ポート320に結合する前に本体302内に配置することができる。たとえば、一実施形態では、
図24A、
図24B、
図24Dおよび
図24Fに最もよく示すように本体302内に配置された装置480を、本体302内に位置決めし、いくつかの実装形態では(
図27Bに示すように)装置クリップ357に固定することができる。より具体的には、
図24A、
図24B、
図24Dおよび
図24Fに示す特定の実施形態では、装置480は、本体302内に位置決めされる2つのアーム482A、482Bから構成されている。別例では、外科処置で使用される任意の医療装置を、同じかまたは同様の方法で本体302内に位置決めすることができる。
【0104】
一実装形態によれば、ポートシール450は、装置300の配置中のこの時点で(切開ポート320に結合される)内部結合要素372に結合されていないことが理解される。したがって、一実施形態によれば、
図24B、
図24Cおよび
図24Dに最もよく示すように、本体302がポート320に結合されている間に、ポートシール450は側部アクセスチューブ314に格納されている。別例では、医療装置を本体302内部に位置決めし本体302を切開ポート320に結合する前に、ポートシール450を内部結合要素372から分離して側部アクセスチューブ314内に配置することができる。
【0105】
装置300が切開ポート320に結合され、切開ポート320が封止可能スリーブ装置322に結合されると、装置300内の流体シールが確立され、患者の腔にガスを注入することができる。このガス注入により、患者の腔内および装置300内の圧力が上昇する(ポートシール450もフラップシール470も内部結合要素372に結合されていないためである)。
【0106】
ガス注入が達成されると、装置480は、切開ポート320を介して患者の腔内に配置される。より具体的には、使用者または医療専門家は、自身の手を左手アクセスポート308および右手アクセスポート312に挿入し、医療装置を、切開ポート320を通って腔内の位置まで移動させる。この時点で、医療装置が位置決めロッド359を有している場合、そのロッド359を、ポート320の内部結合要素372の雄要素432の内部の装置クリップ440に結合することができ、それにより、患者の腔内に医療装置を確立し、維持し、または固定することができる。別例では、装置300とは無関係の何らかのタイプの装置または方法を含む任意のタイプの機構または方法を使用して、装置をその位置に位置決めし維持することができる。
【0107】
医療装置が要求に応じて位置決めされると、ポートシール450を装置(または装置の位置決めロッド359(または複数のロッド))の上の適所に位置決めすることができる。すなわち、使用者は、手アクセスポート308、312を通して達し、シール450を側部アクセスチューブ314から取り除いて装置/ロッド359の上に配置し、それにより、装置および/またはロッド359がシール450のシール要素456を通して挿入され、その後、上述したように内部結合要素372の雄要素432に結合される。
【0108】
ポートシール450が適所におかれると、本体302を、切開ポート320から取り除くことができる。より具体的には、使用者は、ねじくぎ402を取り除き、その後、ポート320から主チューブ304を取り除くことができる。患者の腔と患者の体外の周囲空気との間の流体シールは、ポートシール450によって維持される。
【0109】
その後、使用者/医療専門家は、医療処置を行い始めることができる。
図39Aおよび
図39Bに、代替的な外部加圧装置の実施形態を示す。この実施形態では、装置500は単一チューブ502であって、そのチューブ502の頂部には単一アクセスポート504が配置されている。アクセスポート504は、医療装置または外科医の手がポート504を通して挿入されるときに流体シールを確立するのに役立つ。チューブ502の底部からは、2つのカメラポート506も延在している。一実装形態によれば、チューブ502は、本明細書の別の場所に開示した任意の切開ポートまたは任意の既知の切開ポートを含む、切開ポートに結合するように構成されている。
【0110】
図40に示すさらなる実施形態は、別の代替的な外部加圧装置510である。装置510は、切開ポート516に結合可能なチューブ514を有し、チューブ514の両側には2つのスロット511、513が形成されている。これらのスロット511、513は、チューブ514の内部とチューブ514の外部との間の流体連通を提供する。一実施形態では、ロッドスロット512は各々、位置決めロッドを受け取るように構成されている。装置510は、2つのスロットシール512をさらに有し、一方のシール512はスロット511、513の各々に配置されている。これらのスロットシール512は、スロット511、513の各々に流体シールを維持するように構成され、それにより、物体をスロット511、513のいずれかまたは両方を通して位置決めすることができ、流体シールは喪失されない。チューブ514はまた、2組の装置取付要素518A、518B(「ロッドクリップ」とも呼ぶ)も有している。ロッドクリップの各組518A、518Bは、2つの装置クリップ、すなわち水平クリップ515Aおよび角度付きクリップ515Bを有している。
【0111】
使用時、装置を、装置に結合された位置決めロッドがスロット511、513のうちの一方を通してチューブ514から延出するように、チューブ514内に位置決めすることができる。位置決めロッドを水平クリップ515Aに結合することによって、装置をチューブ514内の適所に固定することができる。次いで、患者の腔にガスを注入することができる。用意ができると、装置がチューブ514の内部を下って移動し、ポート516を通って患者の腔内に挿入されているように、位置決めロッドを、スロット(511または513)を下って移動させることができる。この時点で、位置決めロッドは、上方に角度をなし、角度付きクリップ515Bにクリップ留めされ、それにより患者の腔内部の装置の位置決めが固定される。
【0112】
別の実装形態は、
図41Aおよび
図41Bに示すように、位置決めチューブ520に関する。この実施形態では、位置決めチューブ520は、大型位置決めロッドとしても作用することができる。2つのガイドスロット522が、チューブ520内に画定されているかまたはチューブ520の内部に取り付けられている。ガイドスロット522は、各々、位置決めロッド524を受け入れるように構成されている。この実装形態では、各装置526(または装置アーム)は、位置決めロッド524のうちの1つの端部に結合され、チューブ520を通して患者の腔内に挿入され得る。チューブ520のサイズのために、装置526は一度に1つ挿入しなければならない。別例では、チューブ520を、両装置526を同時に挿入することができるようにサイズを決めることができる。チューブ520には、エアロック528もまた配置されている。エアロック528は、エアロック528が閉鎖されたときにチューブ520を2つの流体的に分離したコンパートメントに流体的に分割することができるように構成されている。
【0113】
使用時、(内部にロボットアーム526が配置されている)位置決めチューブ520を、本明細書の別の場所に記載されているさまざまな切開ポートのうちのいずれかを通して挿入することができる。チューブ520の遠位端部が患者の腔内に延在しているようにチューブ520が位置決めされると、チューブ520の頂部にシールキャップ(図示せず)を配置することにより、頂部にシールが生成される。チューブ520の内側が封止されると、位置決めロッド524を遠位端側に付勢することができ、それにより、アーム526は、チューブ520から出て患者の腔内に押し込まれる。第2アーム526が挿入される場合、エアロック528は閉鎖される。すなわち、エアロック528は閉鎖されて、チューブ520の頂部とチューブ520の底部との間に流体シールをもたらす。エアロック528が適所におかれると、シールキャップは除去され、チューブ520内に第2アーム526を位置決めすることができる。この時点で、シールキャップを交換することができ、エアロック528を解除することができ、患者の腔内に第2アーム526を挿入することができる。
【0114】
いくつかの追加の実施形態は、さまざまなタイプの切開ポートに関する。たとえば、
図42は、積層された切開ポート540を示す。ポート540は、実際には、合わせて結合される2つのアクセスポート542、544を有し、2つのアクセスポート542、544の間に空洞546がある。一実施形態では、アクセスポート542、544は、市販のGelSeal(登録商標)ポートである。2つのアクセスポート542、544間の空洞546により、ポート540の全体的な流体シールが強化される。言い換えれば、いかなる空気圧損失も空洞内で喪失され周囲空気に対して喪失されないため、空洞546は空気圧損失の量を低減し、それにより全体的な損失を低減する。
【0115】
図43に、別の切開ポート実施形態を示す。この切開ポート550は、実際には、ポート内で結合された2つのシール、すなわちゴムシール552およびフラップシール554を有している。ポート550からはまた、2つのカメラポート556も延在している。一実施形態では、ゴムシール552は、
図20に示すかつ上述した異なるディスクと同様の3つの異なるゴムディスク(図示せず)を有している。このゴムシール552のディスクは、
図20に示すディスクと同様に各ディスクに対して異なる開口部/切開部を有することができる。別例では、ゴムシール552は、本明細書の別の場所に記載した任意のゴムシールまたは可撓性シールと同様であり得る。一実施形態に従うフラップシール554は、
図38A〜
図38Cに示すフラップシールと同様である。
【0116】
図44は、別の切開ポート実施形態を示す。より具体的には、このポートは、第1ゴムシール562および第2ゴムシール564を有する2シールポート560である。ポート560はまた、基部リング570、中間リング568および頂部リング566も有している。中間リング568は、2つのシール562、564の間に、シール562、564のいずれかによるいかなる圧力損失も区分するように構成された空洞(図示せず)をもたらす。空洞の存在により、この実施形態は、
図42に示す切開ポートと非常に類似したものとなる。一実施形態によれば、各ゴムシート562、564は、約1.27センチメートル(約0.5インチ)厚さであり、その中間部を通して単一スリット(図示せず)が形成されている。別例では、各シート562、564は、その中間部を通して2つの開口部(図示せず)が形成されている。
【0117】
図45Aおよび
図45Bは、さらなる切開ポート実施形態を示す。このポートは、3枚のゴムシート(最上部シート584のみを示す)、単一リング582を有する3シートゴムシールポート580である。一実施形態では、3枚のシートの各々は、他の2枚のシートの開口部に対応する開口部を有している。さらなる実施形態では、開口部は、
図20に示しかつ上述したものと同様である。別例では、各シートは、2つの対応する開口部を有することができる。
【0118】
図46Aおよび
図46Bは、さらなる切開ポートシステム実施形態を示す。このシステムは、空気バリアポート592を有する空気バリアポートシステム590である。このポート592は、吸気ポート594に結合される4つの空気チューブ596A、596B、596C、596Dに結合されている。動作時、高圧空気が吸気ポート594に提供され、強制的に4つのチューブ596A〜596Dを通してポート592内に押し込まれる。ポート592の穴600を取り囲むチャネル(図示せず)内に空気が押し込まれるように、4つのチューブ接続部598A、598B、598C、598Dがポート592に配置されている。次いで、空気は、空気をノズルから出て穴600を横切るように放出するチャネル(図示せず)と連通する円形ノズル(図示せず)に押し通される。一実装形態によれば、穴600を横切って放出される空気流は、方向性があるとともに高速である(それらはともに、空気バリアの生成に影響を与える)。その結果、ポート592に画定された穴600に空気バリアが生成される。すなわち、穴600を横切るか穴600内における高速の空気移動により、患者の腔のガス注入を維持するために十分な流体シールが生成される。
【0119】
図47は、別の切開ポート実施形態、この場合は、基部リング614と頂部リング616との間に配置された単一のゴムシート612(他の可撓性シール材料)を有する1シートゴムシールポート610を示す。一実施形態では、シートにスリット(図示せず)が形成されており、それを通して、外科装置または他の機器を挿入することができる。別例では、シートは2つのスリットまたは他のタイプの開口部を有することができる。
【0120】
図48Aおよび
図48Bに、別の切開ポート実施形態を示す。このポートは2ブラシポート620である。このポート620は、第1ブラシホルダ624および第2ブラシホルダ626を備えた本体622を有している。第1ブラシ628は第1ブラシホルダ624内に配置され、第2ブラシ630は第2ブラシホルダ626内に配置されている。さらに、本体622の底部分に、患者の腔へのアクセスを提供することができる開口部632が形成されている。2つのブラシ628、630のブラシの毛は、ブラシシール634において混和されメッシュ状に噛み合わされ、それにより、毛のメッシュが、ガスが注入された患者の腔を維持するのに十分な流体シールを生成する。
【0121】
図49Aおよび
図49Bは、別のブラシポート、この場合は3ブラシポート640を示す。このポート640は、第1ブラシホルダ644、第2ブラシホルダ646および第3ブラシホルダ648を備えた本体642を有している。第1ブラシ650は第1ブラシホルダ644内に配置され、第2ブラシ652は第2ブラシホルダ646内に配置され、第3ブラシ654は第3ブラシホルダ648内に配置されている。さらに、本体642の底部分には、患者の腔へのアクセスを提供することができる開口部(図示せず)が形成されている。3つのブラシ650、652、654のブラシの毛は、ブラシシール656において混和されメッシュ状に噛み合わされ、それにより、毛のメッシュが、ガスが注入された患者の腔を維持するのに十分な流体シールを生成する。
【0122】
別の実装形態によれば、
図50A、
図50Bおよび
図50Cは、患者の腔内にロボット外科装置の両アームを挿入するために使用することができる挿入装置670を示す。挿入装置670は挿入チューブ672を有し、そこを通して挿入ロッド674が摺動可能に配置される。さらに、装置は第1アーム676Aおよび第2アーム676Bを有し、それらはともにチューブ672の遠位端部に結合されている。第1アーム676Aは、第1装置本体682Aの端部に結合された端部ブラケット680Aに結合され、第2アーム676Bは、第2装置本体682Bの端部に結合された端部ブラケット680Bに結合されている。さらに、挿入ロッド674は、2つの中心ブラケット(図ではブラケット678Aのみが見える)に結合され、一方の中心ブラケット678Aは第1本体682Aの中間部に結合され、第2中心ブラケット(図示せず)は第2本体682Bの中間部に結合されている。
【0123】
使用時、挿入装置670を使用して、2アーム外科装置を、患者の腔内で操作する前に、穴(切開部、ポート等)を通して患者の腔内に挿入することができる。この挿入を達成するために、挿入装置670は、最初に、外科装置がその最小の円周方向輪郭を有するように(
図50Aに最もよく示すように)挿入形態を維持し、それにより挿入装置670はより小さい穴を通過することができる。外科装置が患者の腔内に挿入されると、外科装置がその動作形態となるように、挿入装置670を(
図50Cに最もよく示すような)その展開形態まで移動させることができる。これを達成するために、使用者または外科医は、挿入ロッド674を近位方向に(外科装置から離れるように)後退させる。このロッド674の後退により、2つの中心ブラケット(本体682Aの中心ブラケット678Aのみを示す)が同じ近位方向に付勢される。2つの端部ブラケット680A、680Bが、2つのアーム676A、676Bによって実質的に同じ位置に保持されるため、結果として、2つの装置本体682A、682Bは、
図50Bに示す遷移を通して、
図50Cに示す動作形態まで移動する。この時点で、使用者または外科医は、外科装置(その2つのアーム684A、684Bを含む)を使用して、計画された外科手術または処置を行うことができる。
【0124】
本出願には、多数の装置アクセスおよび挿入装置および方法が開示されている。腔へのアクセスおよび2つのアームを有する装置の挿入を可能にするさまざまな装置および方法のすべてを、概して、各アームが個々に挿入されるのを可能にするように分離して別個のアームにすることができる装置に関して、使用することも可能である。一実施形態では、各アームを別個に挿入する1つの利点は、連続して第1アームおよび次いで第2アーム(場合によってはより多くのアーム)を挿入することを、両アームを同時に挿入することに比較してより小さい切開部を通して達成することができる可能性がある、ということである。
【0125】
図51Aおよび
図51Bは、(
図50A〜
図50Cに示す挿入装置と同じ意図での)挿入装置690の代替実施形態を示す。
図50A〜
図50Cにおける上記実施形態は、2アーム装置で使用される挿入装置を示すが、この挿入装置690は、単一アーム704でまたは別個に挿入される2つのアームで使用される。すなわち、この実施形態では、単一装置アーム704が、挿入装置690に結合される。図示するように、この装置は、(位置決めロッドまたは支持ロッドでもあり得る)挿入チューブ692を通して位置決めされる。この装置は、支持ロッド692内に摺動可能に配置された2つの可動ロッド694、696を有している。第1可動ロッド694は、その遠位端部で第1ロボットアーム704に結合され、その近位端部で制御レバー698に結合されている。第2可動ロッド696は、その遠位端部で(アーム704に結合されている)結合リンク700に、その近位端部で(レバー698に結合されている)結合リンク702に結合されている。
【0126】
使用時、レバー698を作動させて、第1ロッド694および第2ロッド696を互いに対して移動させることができる。このロッド694、696の移動を用いて、アーム704を移動させ、それにより、要求または必要に応じてアーム704を患者の腔内部で位置決めすることができる。
【0127】
支持ロッド692の断面である
図51Bに示すように、支持ロッド692が2つの別個の内腔706、708またはスロット、可動ロッド694、696の各々に対して1つを有することを示す。一実施形態では、第1可動ロッド694は第1内腔706内に位置決めされ、第2可動ロッド696は第2内腔708内に位置決めされる。
【0128】
さらなる実施形態では、支持ロッド692は、嵌合機能714において結合可能な2つの半体、すなわち右半体710および左半体712を有することができることが理解される。別例では、2つの半体を、任意の既知の機械的手段によって結合可能とすることができる。右半体710は、第1(または右)アーム704に関連する第1ロッド694および第2ロッド696を保持するように構成され、左半体は、第2(または左)アーム(図示せず)に関連する第1ロッド716および第2ロッド718を保持するように構成される。したがって、この実施形態を2つのアームで使用することができ、各アームは別個に挿入されかつ位置決めされる。
【0129】
図52は、オーバチューブ722を使用することによって2つの別個のアームを別個に挿入し位置決めすることができる別の実施形態を示す。この装置720では、第1可動ロッド724および第2可動ロッド726は、依然として、支持ロッド728内に位置決めされる。しかしながら、この実施形態では、支持ロッド728は、オーバチューブ722内に位置決めされる。オーバチューブ722は、支持ロッド728を第2支持ロッド(図示せず)または支持ロッドの別の半体に結合するために、支持ロッド728の頂部を通過することができる。この実施形態は、嵌合機能714が先の実施形態においてそのタスクを達成するのとまったく同様に2つの支持ロッドまたは支持ロッドの2つの半体を結合する別の方法である。
【0130】
当然ながら、
図53に示すように、外科装置またはロボットアームに、位置決めロッドまたは支持ロッド744内に配置することができかつロボットアーム742に結合されるモータ740が設けられているいずれの実施形態でも、別個の挿入装置は不要である。代りに、アーム742を、モータ740を作動させることによって容易に位置決めすることができ、アーム742は、原動力を、かさ歯車746を介してアーム742に伝達することができる。
【0131】
図54Aおよび
図54Bは、上述した装置とは異なるタイプのアクセス/挿入装置を示す。概して切開ポートである上記装置または患者の腔の外側に位置決めされる装置とは異なり、これらの2つの図に示す内部加圧バッグ装置750は、最初に患者の腔内に位置決めされる。装置750は、ポートシール752、外側スリーブ754および内側スリーブ756を有している。外側スリーブ754は、遠位端部758において解除可能に封止される。すなわち、後述するように、外側スリーブ754は、処置の間の所望の時点で意図的に破断するかまたは解除することができる解除可能シールを有している。
【0132】
使用時、ポートシール752が切開ポートに結合されて(それにより流体シールが生成される)内側スリーブ756および外側スリーブ754が患者の腔内部に位置決めされるように、装置750全体を切開ポート内に位置決めすることができる。装置750が位置決めされると、患者の腔にガスを注入することができ、外側スリーブ754を、ガスが注入された腔の圧力より高い圧力まで加圧することができ、それにより、外側スリーブ754がその最大拡張まで拡張する(場合によっては、それによって外側スリーブ754が実質的に剛体的になる)。この時点で、外科装置を、切開ポートを通して外側スリーブ754内に挿入し、要求に応じて位置決めすることができる。この時点で、外側スリーブ754の遠位端部において解除可能シールを解除することにより、外側スリーブ754を除去することができる。すなわち、解除可能シールは、異なる組成物を施すことにより不活性化することができる接着剤等の化学的シールであり得る。別例では、解除可能シールは、引きひもまたは同様の何かの機械的解除装置であり得る。さらなる代替態様では、解除可能シールは、シールを解除することができる任意の既知の機構または方法であり得る。シールが解除されると、
図54Bに最もよく示すように、外側スリーブ754を、内側スリーブ756および他の要素を越えて腔から引き出すことができる。
【0133】
図55は、外部加圧システムまたは装置800の別の実装形態を示す。装置800は容器802を有し、容器802の頂部に頂部キャップ804が結合されている。この実施形態では、容器802には、容器802の基部においてポート806が結合されている。ポート806は、患者の皮膚の切開部内に位置決め可能であるように構成され、それにより、患者の腔へのアクセスを提供する。
図55に示すように、装置800は、装置800のポート806を通して患者腔内に外科装置808を挿入することができるように、外科装置808を受け入れるように構成されている。
【0134】
一実施形態によれば、上述しかつ
図1A〜
図10に示すキャニスタ12とは対照的に、この装置800の容器802は、たとえばポリエチレンプラスチック、ラテックス、ナイロンまたはシリコーンゴム等の可撓性材料から作製されている。したがって、容器802を、容器802の形状に関して操作し構成可能とすることができ、より具体的には、ロボット装置を患者の腔内に挿入する間に容器802の高さを低減することができるように、長手方向に圧縮することができる。これについては、本明細書においてさらに詳細に説明する。
【0135】
図56A〜
図61Bに、頂部キャップ804をさらに詳細に示す。
図56Aおよび
図56Bに示すように、頂部キャップ804は、キャップ本体810、脱着可能ケーブルハーネス812、アクセス内腔814、支持ロッド内腔816、ねじ切り内腔818およびクランプ突起820を有している。キャップ804には、ハーネス812を受け入れるように構成されている切欠き822が画定されている。さらに、切欠き822には、5つのチャネル824Aが画定されるかまたは形成されている。チャネル824Aは、脱着可能ハーネス812に画定されたチャネル824Bと嵌合し、それにより、ハーネス812が切欠き822内で位置決めされしたがってキャップ本体810に結合されると、
図56Bに最もよく示すように、チャネル824Aおよびチャネル824Bは適合して内腔824を形成する。一実装形態では、内腔824を、異なるサイズで形成し、外部コントローラから頂部キャップ804を通って外科装置808まで延在するさまざまなケーブルおよび/または吸引洗浄チューブを受け入れるように構成することができる。
【0136】
さらに、ハーネス812の外縁を含むキャップ本体810の外縁の周囲に、溝826が形成されるかまたは画定されており、それにより、ハーネス812が本体810に結合されると、Oリングを、溝826内の本体810の外縁の周囲に配置することができる。
【0137】
図57Aおよび
図57Bは、キャニスタ802に結合されている頂部キャップ804を示す。
図57Bに最もよく示すように、可撓性キャニスタ802は本体810の周縁にわたって配置され、弾性リング(「Oリング」とも呼ぶ)828が、溝826においてキャニスタ802の周囲に配置され、それにより、キャニスタ802の一部が溝826内で本体810とリング828との間に位置決めされ、リング828はキャニスタ802を溝826内に押し込み、それにより、キャニスタ802と頂部キャップ804との間に流体シールを生成する。さらに、一代替実施形態では、流体シールの強度を増大させるために、溝826にシリコーンシーラントを塗布することができる。一実装形態によれば、Oリング828はまた、キャップ本体810およびハーネス812を互いに固定するのにも役立つことができる。さらなる代替態様では、Oリング828は、キャニスタ802および頂部キャップ804の流体封止結合を維持するために使用することができる任意の弾性部材であり得る。さらに別の代替形態では、いかなる結合機構も使用することができる。
【0138】
図58Aおよび
図58Bは、頂部キャップ804を通して配置されている装置アセンブリ808の一部を示す。より具体的には、装置808に結合された支持ロッド830は、キャップ本体810の内腔816を通して摺動可能に配置される。さらに、一実装形態によれば、装置808の一部はまた、頂部キャップ804に結合するかまたは嵌合する。より具体的には、装置808の安定化突起832が、
図58Bに最もよく示すように、本体810の下側に画定されるかまたは形成された嵌合穴834と結合可能である。安定化突起832を嵌合穴834に位置決めすることにより、内腔814から安定化突起832内にかつそこを通る通路が生成され、それにより、圧力を喪失することなく追加の装置またはカメラが装置800を通過することができる。
【0139】
図59A、
図59Bおよび
図60に示すように、頂部キャップ804は支持ロッド830に、2つのねじ切り止めねじ840によって結合されている。
図59Bに最もよく示すように、止めねじ840は、内腔818にねじ込まれる。より具体的には、止めねじ840を、支持ロッド830に接触するまでねじ切り内腔818内にねじ込むことができる。止めねじ840は、支持ロッド830に対して圧力を加えるように構成されており、それにより、支持ロッド830したがって装置808を頂部キャップ804に固定するのに役立つ摩擦抵抗が生成される。
【0140】
図60に最もよく示すように、遠位端部においてロボット装置808に結合される接続ケーブル842は、内腔824のうちの1つを通して配置される。他のケーブルを、同様に追加の内腔824を通して配置することが理解される。一実施形態によれば、ハーネス812を本体810に結合する前に、ケーブルはチャネル824Aまたは824B内に配置される。別例では、本体810およびハーネス812が互いに結合された後に、ケーブルのうちの1本または複数本を内腔824のうちの1つに挿入することができる。
【0141】
図61Aおよび
図61Bは、頂部キャップ804に結合された容器802を示す。
図62Aおよび
図62Bは、容器802の底部分に結合される基部結合要素(「基部結合器」とも呼ぶ)850を示す。基部結合器850は、上部溝852、下部溝854、および上部溝852と下部溝854との間の結合器850の一部から延在する3つの結合突起(「結合切欠き」とも呼ぶ)856を有している。
【0142】
上述した頂部キャップ804と同様に、容器802は、Oリング858を用いて基部結合器850に結合されている。より具体的には、容器802は、上部溝852の上にかつ3つの突起856に隣接しまたはそれに接して位置決めされるように、結合器850の上方部分にわたって位置決めされる。Oリング858は、容器802の一部を溝852内に押し込むように、上部溝852において容器802にわたって配置され、それにより容器802と基部結合器850との間に流体シールが生成される。
【0143】
図63A、
図63B、
図63C、
図63Dおよび
図63Eは、基部結合器850のアクセスポート806への結合を示す。アクセスポート806は、上部分(または「上部リング」)860、底部分(または「底部リング」)862および中間部分(または「首部」)864を有している。上部リング860の一部から、3つの結合突起(「結合タブ」とも呼ぶ)866が延在し、それらは、結合切欠き856と嵌合するように構成されている。
【0144】
一実施形態では、アクセスポート806は、用手補助腹腔鏡下手術で使用される既知の標準的な装置である。本技術分野において理解されるように、アクセスポート806は、切開部位において腹壁等の腔壁を通して構造化開放通路を提供する。1つの特定の例では、アクセスポート806は、エチコン・エンドー・サージェリ(Ethicon Endo−Surgery)から入手可能な、DEXTRUS(登録商標)リトラクタ等の市販のリトラクタポート806である。
【0145】
図63Aおよび
図63Bにおいて最もよく示すように、基部結合器850は、Oリング868を用いてアクセスポート806に結合されている。より具体的には、Oリング868は、結合器850の下部溝854内に配置され、上部リング860は、結合器850の下方部分および溝854内のOリング868の上に配置され、それにより、Oリング868は、結合器850と上部リング860との間で圧縮され、それによって、これらの2つの要素の間に流体シールが生成される。
【0146】
図63Cおよび
図63Dに最もよく示すように、上述したように上部リング860が結合器850の下方部分およびOリング868の上に配置されるため、アクセスポート806の結合タブ866は、基部結合器850の結合切欠き856と結合され、それにより、結合器850およびアクセスポート806の結合の安定性が向上する。
【0147】
図63Eは、上述したような、容器802の結合器850を介するアクセスポート806への結合全体を示す。さらに
図64Aおよび
図64Bは、使用時の外部加圧挿入装置800を示し、装置800は、患者の皮膚870の切開部内に位置決めされるアクセスポート806に結合されている。
【0148】
使用時、一実施形態によれば、アクセスポート806および外部加圧装置800は、以下のように外科処置に対して位置決めされる。最初の問題として、一実施形態によれば、ポート806および装置800を適切な手術位置に位置決めする前に、ロボット装置808は挿入装置800内部に配置される。すなわち、ロボット装置808は容器802内部に配置され、装置808に結合された支持ロッド830は、止めねじ840によって頂部キャップ804に固定され、装置808に結合されたいかなる接続ケーブルも頂部キャップ804の内腔824内に配置され、可撓性容器802は、Oリング828、858を介して頂部キャップ804および基部結合器850に結合され流体封止される。別例では、ロボット装置808は、ポート806および装置800を位置決めした後に挿入装置800内に配置される。それにも関らず、ポート806および装置800を位置決めする限り、いくつかの実装形態では、ポート806が最初に位置決めされる。すなわち、一実施形態では、底部リング862が、まず、患者の腔壁に先に作成された切開部を通して挿入される。リング862が切開部を通して腔内部に位置決めされると、
図64Aに最もよく示すように、リング862は、切開部の直径より大きい直径まで拡張することにより、切開部内のポート806全体を制約するのに役立つことができる。一実施形態では、容器802および結合器850は、切開部内にポート806を位置決めする前にアクセスポート806に結合される。別例では、まず、ポート806が切開部内に位置決めされ、次いで、結合器850および容器がポート806に結合される。それにも関らず、アクセスポート806および挿入装置800が位置決めされると、その後、患者の腔にガスを注入することができる。アクセスポート806によって生成される、腔と容器802の内部との間の流体連通により、挿入装置800の内部全体が、腔と同じ圧力下になる。
【0149】
一実装形態によれば、アクセスポート806および挿入装置800が正しく位置決めされると、ロボット装置808をガスが注入された患者の腔内に挿入するプロセスを、
図65A〜
図69Bに最もよく示すように以下のように行うことができる。最初に、
図65Aおよび
図65Bに最もよく示すように、ロボット装置808は、両アームが切開部に対して平行かつ垂直の状態で開始する。次いで、ロボット808は、
図66Aおよび
図66Bに示すように、アクセスポート806によって生成された開口部を通して下降する。一実施形態によれば、
図65Aおよび
図65Bを
図66Aおよび
図66Bと比較することによって最もよく示すように、ロボット808が下降すると、可撓性容器802は、容器802の可撓性材料の一部が「らせんを巻くようにつぶれる(crumple)」かまたは折目を形成し始めるのを可能にすることによって高さが縮小し、それにより、頂部キャップ804はアクセスポート806のより近くまで移動する。
【0150】
図67Aおよび
図67Bに最もよく示すように、一実施形態によれば、ロボット装置808のアームの「肘関節」が、腔壁およびアクセスポート806を通過すると、前腕は、(
図67Aに最もよく示すように)上腕に対して45度または略45度の角度に位置決めされるまで肘関節において回転する。したがって、「上腕」は、
図67Bに最もよく示すように、20度または略20度の角度に位置決めされるまで「肩関節」で回転する。この前腕および上腕の回転は、装置808が患者の標的腔内で適合し、それにより、任意の内部組織または器官とのロボット装置808の任意の接触が最小限になるかまはなくなることを確実にするのに役立つことができる。別例では、前腕および上腕を、組織または器官との接触のリスクを最小限にする任意の角度まで回転させることができる。
【0151】
図68Aおよび
図68Bに最もよく示すように、一実施形態によれば、容器802がらせんを巻くようにつぶれ続ける間に装置808のアームをさらに位置決めすることにより、装置808を患者の腔内にさらに挿入することができ、それにより挿入装置800がさらに収縮する。より具体的には、
図68Bに最もよく示すように、上腕を、45度または略45度の角度で位置決めされるまでさらに回転させることができる。器官または組織との接触を回避するようにアームを位置決めし、容器802がらせんを巻くようにつぶれさせる一方で装置808をさらに腔内に移動させるこのプロセスは、装置808の肩関節が腔壁およびアクセスポート806を通過するまで続く。
【0152】
通過した時点で、
図69Aおよび
図69Bに最もよく示すように、前腕を中心に戻るように回転させることができ、上腕をさらに上方に回転させることができ、アームは、外科処置に対して適切な開始位置に残る。所望の開始位置になると、たとえば、オートメイテッド・メディカル・プロダクツ社から市販されているIron Intern(登録商標)等、既知の外部締付機構を使用して、装置808を適所に係止するかまたは他の方法で安定化することができる。
【0153】
図70は、外部加圧システムまたは装置900の別の実装形態を示す。装置900は容器902を有し、容器902の頂部に頂部キャップ904が結合されている。この実施形態では、容器902の基部において容器902にポート906が結合されている。ポート906は、患者の皮膚の切開部内に位置決め可能であるように構成され、それにより、患者の腔へのアクセスを提供する。
図70に示すように、装置900は外科装置908を、装置908を、装置900のポート906を通して患者の腔内に挿入することができるように受け入れるように構成されている。
【0154】
一実施形態によれば、上述し
図55〜
図69Bに示す容器802のように、この装置900内の容器902は、たとえばポリエチレンプラスチック、ラテックス、ナイロンまたはシリコーンゴム等、可撓性材料から作製されている。
【0155】
この実施形態では、頂部キャップ904、容器902およびロボット装置908は、図示し上述した頂部キャップ804および容器802と実質的に同様である。上述したさまざまな特徴および要素のすべては、これらの頂部キャップ904、容器902および装置908の実施形態に同様に当てはまる。
【0156】
図71Aおよび
図71Bは、容器902の底部分に結合される基部結合要素(「基部結合器」とも呼ぶ)920を示す。基部結合器920は、溝922と、結合器920から延在する3つの結合突起924とを有している。一実装形態によれば、結合突起924の各々は、ちょうねじ928を受け入れるように構成された内腔926を有している。容器902は、Oリング930を使用して基部結合器920に結合される。より具体的には、容器902は、溝922の上にかつ3つの突起924に隣接するかまたはそれに接して位置決めされるように、結合器920の上方部分にわたって位置決めされる。Oリング930は、容器902の一部を溝922内に押し込むように、溝922において容器902の上に位置決めされ、それにより、容器902と基部結合器920との間に流体シールを生成する。
【0157】
この実施形態では、挿入装置900は、ポート取付具940を有し、それは、結合器920とポート906との間で位置決めされるように、基部結合器920およびアクセスポート906に結合可能である。ポート取付具940は取外し可能蓋944を有し、それは、ポート取付具940の適所にあるときに流体シールを維持し、それにより、挿入装置900がまだアクセスポート906に結合されていないときであっても、患者の腔のガス注入を維持することを可能にする。
【0158】
図72Aおよび
図72Bは、ポート取付具940のアクセスポート906への結合を示す。ポート取付具940は、記載し上述した結合切欠き856と同様の3つの結合切欠き942を有している。さらに、ポート取付具940は、取外し可能蓋944(「取外し可能シール要素」、「取外し可能蓋シール要素」または「取外し可能シール要素」とも呼ぶ)を有し、それは、ポート取付具940に対してその閉鎖位置に位置決めされたときに流体シールを提供する。
図72Aおよび
図72Bに示す実施形態では、取外し可能蓋944は摺動可能な蓋944である。
【0159】
記載し上述したアクセスポート806と同様に、(
図72Aに最もよく示すような)このアクセスポート906は、上部リング946を有し、上部リング946の一部から3つの結合突起(「結合タブ」とも呼ぶ)948が延在しており、それらは、ポート取付具940の結合切欠き942と嵌合するように構成されている。
【0160】
図72Aに最もよく示すように、ポート取付具940は、ポート取付具940とアクセスポート906との間に配置することができるOリング950を有しており、それにより、Oリング950は、2つの要素が互いに結合されたときに流体シールを生成する。
【0161】
使用時、ポート取付具940を、上部リング946の頂部においてポート取付具940の底部分を、それらの2つの要素の間にOリング950を配置して、ポート取付具940の結合切欠き942が上部リング946の結合突起948と嵌合するように位置決めすることにより、アクセスポート906に結合することができる。
【0162】
ポート取付具940はまた、ポート取付具940の頂部に形成された溝954内に配置されるように構成される別のOリング952も有している。一実施形態では、ポート取付具940が基部結合器920に結合されたときに気密シールを生成するのに役立つように、溝954内にOリング952を配置することができる。
【0163】
さらに、ポート取付具940はまた、取付具940の頂部に3つのねじ切り内腔956も有している。一実施形態では、これらの内腔956は、基部結合器920の内腔926を通して配置されるちょうねじ928を受け入れるように構成されており、それにより、基部結合器920を、ねじ928を介してポート取付具940に結合することができる。当然ながら、ちょうねじ以外の他の結合機構を使用することができることが理解される。さまざまな代替実施形態では、任意の既知の取付あるいは結合機構または要素を使用することができる。いくつかの限定しない例として、磁石、クイッククランプ、直角機構、スナップイン機構等が挙げられる。
【0164】
図73Aおよび
図73Bに最もよく示すように、摺動可能な蓋944を、(
図73Bに示すような)閉鎖位置と(
図73Aに示すような)開放位置との間で移動させることができる。この実施形態では、摺動可能な蓋944は、ポート取付具940内に、ポート取付具940内の蓋スロット958を介して位置決めされている。開放位置では、装置またはロボット装置を、ポート取付具940およびアクセスポート906に通すことができる。閉鎖位置では、蓋944とポート取付具940との間に流体シールが確立され、それにより、挿入アセンブリ900を取り付ける前に患者の腔にガスを注入することが可能になる。取外し可能蓋944のこの実施形態は摺動可能な蓋944であるが、流体シールを確立する他の任意の既知の方法または装置を使用することができる。限定しない例としては、機械式絞り、リーフシャッタ、または取外し可能流体シールを提供する他の任意の既知の方法が挙げられる。
【0165】
図74Aおよび
図74Bは、基部結合器920、ポート取付具940およびアクセスポート906を含む、上述したような下方サブアセンブリ全体の断面図を示す。より具体的には、
図74Aは、摺動可能な蓋944が閉鎖位置でポート取付具940に完全に挿入され、それにより流体シールを生成する、アクセスポート906に結合されたポート取付具940を示す。
図74Bは、基部結合器920、ポート取付具940およびアクセスポート906を含む、3つの要素すべてが互いに結合された状態を示す。
【0166】
図75A、
図75Bおよび
図75Cは、一実施形態に従う使用時の外部加圧挿入装置900を示す。上述したようにアクセスポート906が切開部内に位置決めされると、
図75Aに最もよく示すように、ポート取付具940をポート906に結合することができる。摺動可能な蓋944が閉鎖位置にあると、ポート取付具940とポート906との間に流体シールが確立され、それにより、患者の腔に、所望のガス注入圧力までガスを注入することができる。その後、
図75Bに最もよく示すように、ポート取付具940に挿入装置900を結合することができる。基部結合器920がポート取付具940に結合されて2つの要素の間に流体シールが確立されると、
図75Cに最もよく示すように、摺動可能な蓋944をその開放位置まで移動させる(または完全に取り除く)ことができ、それにより、患者の腔と挿入装置900の内部との間に流体連通が提供され、装置900および腔における圧力が等化される。ロボット装置908を、上述したものと同じステップのうちのいずれかを介して挿入することができる。装置908が所望の外科処置を完了し、異なるロボット装置または他のタイプの装置を使用する必要がある場合、ロボット装置908を腔から取り除くことができ、摺動可能な蓋944を閉鎖位置で交換することができ、基部結合器920をポート取付具940から取り除くことができる。これにより、装置交換中であっても、腔内で圧力を維持することができる。
【0167】
図76は、圧力逃し弁962を有する頂部キャップ960を有する代替実施形態を示す。ロボット装置808、908の挿入装置実施形態800、900から出ていずれかを上述したように挿入装置800および900に対して腔内に下降させるプロセス中、容器802、902の容積が低減して変化するため、患者の腔内に圧力が上昇する。圧力逃し弁962を、内部ガス注入圧力が典型的な値を超えて上昇する場合に圧力を放出するように構成することができ、それにより、付添人が腔と挿入装置800、900との間で圧力が等化するのを待つ必要がないように、ロボット装置808、908の挿入のプロセスを支援する。
【0168】
図77Aおよび
図77Bに、圧力逃し弁1002を有する頂部キャップ1000の別の実装形態を示す。このキャップ1000はまた、標準的な腹腔鏡装置等の1つまたは複数の外科装置または器具を受け入れるように構成することができる二重ポートシール要素1004も有している。別例では、頂部キャップは、圧力逃し弁1002または二重シール要素1004のうちの一方のみを有することが企図される。
【0169】
図77Bに最もよく示すように、一実装形態によれば、圧力逃し弁1002は、調整要素(調整「ドア」、「壁」あるいは「ボタン」または「ブロック」とも呼ぶ)1006を有し、それは、引張ばね1008の一端に動作可能に結合され(またはそれに接して位置決めされ)、ボルト、ねじ、または調整要素1006を適所に保持するように構成された他の標準的な装置または要素等の保持機構を受け入れるように構成された2つの穴1010A、1010Bを有している。ばね1008の他端は、頂部キャップ1000の下側の開口部1014のリム1016に接して位置決めされる弁ボール1012に結合されている。ばね1008は、ボール1012を開口部1014に向かって付勢するように構成されており、それにより、(リム1016の内径より外径が大きい)ボール1012は、開口部1014のリム1016と接触し、それによりボール1012とリム1016との間に流体シールを確立する。この実施形態では、調整ブロック1006は、保持機構を使用してブロック1006をボール1012に向かうかまたはボール1012から離れる方向に移動させるように調整され、それにより、ばね1008によってボール1012に対して加えられる力がそれぞれ増大または低減する(したがって、ボール1012と開口部1014のリム1016との間のシールの強度がそれぞれ増大または低減する)。したがって、調整ブロック1006を使用して、標的最大圧力閾値に基づいてシールの強度を調整することができ、それにより、標的最大圧力閾値に達すると(上述したようにロボット装置808、908のいずれかを挿入装置実施形態800、900から出るように下降させている間等)、ボール1012はリム1016から離れるように付勢され、リム1016とボール1012との間のシールは破断され、それにより、弁1002を通して漏出するガスによって圧力が低下する。
【0170】
代替実施形態では、医療装置で使用される任意の既知の圧力逃し弁を、頂部キャップ1000に組み込むことができる。
図77Bを続けると、この実施形態の二重ポートシール要素1004は2つのシール要素、すなわち開口部1020を画定する弾性円形シール1018および円形シール1018と流体連通するフラップシール1022を有している。弾性円形シール1018は、開口部1020を通して位置決めされた標準的な腹腔鏡装置の平滑な表面の周囲に強固なシールを形成するように構成されている。一実装形態では、フラップシール1022は、二重ポートシール要素1004を通していかなる装置も配置されていないときに流体シールを提供する二次シールである。すなわち、二重ポートシール要素1004にいかなる装置も配置されていないとき、2つのフラップ1024A、1024Bは、ガスが注入された患者の腔内の圧力によって互いに接触するように付勢され、それにより、2つのフラップ1024A、1024Bが流体シールを形成する。
【0171】
代替実施形態では、腹腔鏡装置が内部に配置されている、流体シールを確立するために使用される任意の既知のポートシール要素を使用することができる。
さまざまな追加の実装形態によれば、本明細書において開示されまたは企図されている挿入装置を、患者の腔内に挿入されている外科装置の挿入深さを測定する1つまたは複数のセンサまたは他のタイプの測定機構を有することができる。
【0172】
一例として、
図78A、
図78Bおよび
図78Cは、可撓性容器1038とアクチュエータおよびセンサパッケージ1032とを有する自動挿入装置1030を示す。アクチュエータは、たとえばモータおよびギア、モータおよびタイミングベルト、リニアスクリュー、空気圧技術、液圧技術等を含む、任意の既知の作動装置であり得る。センサは、たとえば、ポテンショメータ、エンコーダ、光センサ等を含む任意の既知の検知装置であり得る。作動すると、アクチュエータおよびセンサパッケージ1032は、切開部を通して外科装置1034を下降させる。すなわち、
図78Bに示すように、装置1030の上部分は装置1030の底部分に向かって付勢され、それにより、装置1030の高さ全体が低減し、外科装置1034は、挿入装置1030の底部分から出て遠位方向に移動する。挿入が行われる際、パッケージ1032のセンサは、外科装置1034が患者の腔内に挿入された距離を読み取るように構成されている。この距離に基づいて、一実施形態では、外科装置1034の制御プログラムは、外科装置1034のモータを作動させて、アームを、いかなる器官または腔壁にも接触しないように望ましい位置まで移動させることができる。その後、プロセスを反転させて、外科装置1034を切開部から取り除くことができる。別の実装形態では、追加のアクチュエータ1036を使用して、患者の腔の複数の象限にアクセスするために挿入プロセス中または外科手術中に外科装置1034を全体的に位置決めすることができる。このアクチュエータ1034は、挿入装置1030の上方部分をアクセスポートに対して回転させる。この回転は、容器1038の可撓性の性質のために可能である。
【0173】
図79は、挿入装置1050を使用して患者の腔内に挿入されている外科装置の挿入深さを測定する1つまたは複数の測定機構1054を有する挿入装置1050の別の実施形態を示す。この実施形態では、外科装置の挿入深さは、頂部キャップ1052とポート1056との間の相対的な距離を測定することによって求められる。さらに、この実施形態では、測定機構1054は、頂部キャップ1052に結合され、組み込まれ、または他の方法で関連付けられるセンサ1054である。別例では、頂部キャップ1052は、2つ以上のセンサ1054を有することができる。一実施形態によれば、センサ1054は、超音波または赤外線エネルギーを使用し、エネルギーをポート1056に向かって送信する。エネルギーは、ポート1056によって反射されてセンサ1054に戻る。この実施形態では、センサ1054は、ポート1056から反射されたエネルギーを利用して頂部キャップ1052とポート1056との間の距離を求めることができる距離計である。その後、頂部キャップ1502とポート1056との間の距離を使用して、外科装置の挿入深さを計算することができる。
【0174】
連続的なセンサシステムを使用する代替実施形態では、挿入装置1050は、頂部キャップ1052に関連するセンサ1054のみでなく、ポート1056に関連するセンサ(図示せず)も有している。この実装形態では、センサ1054は、ポート1056に関連するセンサによって受信されるエネルギーを放出し、それが、ポート1056に関連するセンサをトリガして、頂部キャップ1052に関連するセンサ1054に戻るようにエネルギーを送信させる。その後、センサ1054または別個のコントローラが、頂部キャップ1052とポート1056との間の距離を計算することができ、その後、その距離を使用して外科装置の挿入深さを計算することができる。
【0175】
さらなる代替形態では、頂部キャップ1052の測定機構1054はカメラ1054である。カメラ1054は、外科装置の既知の特徴に対する既知の画像処理技法を利用して、装置の挿入深さを求めることができる。
【0176】
図80は、外科装置の挿入深さを測定する1つまたは複数の測定機構1062を有する挿入装置のポート1060に関連する別の実施形態を示す。この実装形態では、外科装置(図示せず)がポート1060を通して患者の腔内に押し込まれると、ポート1060に関連する測定機構1060を使用して、外科装置の特性を検出することができる。それらの特性を使用して、外科装置の挿入深さを推定するかまたは確定することができる。一実施形態では、測定機構1062は、画像処理を使用してポート1060の開口部1064を通過している外科装置の部分を取り込みかつ認識することができるカメラ1062である。別例では、外科装置に、画像処理技術によって容易に認識される何らかのタイプのマーカで印をつけることができる。装置部分またはマーカが認識されると、カメラ1062または別個のプロセッサあるいはコントローラが、その情報に基づいて外科装置の挿入深さを計算することができる。
【0177】
さらなる実装形態では、測定機構1062は、ポート1060を通過する外科装置(図示せず)に結合されるかまたは埋め込まれる1つまたは複数のRFIDマーカ(図示せず)を検知することができるRFIDセンサ1062である。別例では、この実施形態におけるRFIDマーカはまた、双方向通信システムで使用することができる追加の情報を含むことも可能である。すなわち、外科装置に関連するマーカのうちの1つまたは複数を、同じRFリンクを介してセンサおよび/またはコントローラに情報を送信するように構成することができる。
【0178】
図81は、頂部キャップとポートとの間の相対距離を測定して外科装置の挿入深さを求める測定機構を有する、挿入装置の別の実施形態を示す。この実施形態は、いくつかの実施形態ではストリングポテンショメータシステム1072であるストリング測定システム1072を有する頂部キャップ1070に関する。ストリング測定システム1072は、ストリングが頂部キャップ1070から挿入装置(図示せず)の底部のポート(図示せず)まで延在し、回転式ドラムから延在するストリングの量が測定されるシステムである。この実施形態では、システム1072は、回転式センサ1074、回転式ドラム1076、ばね式ストリングディスペンサ1078、およびディスペンサからドラム1076の周囲に延在するストリング(図示せず)を有している。一実施形態によれば、センサ1074はポテンショメータ1074であり、いくつかの具体的な実施形態では、センサ1074はマルチターンポテンショメータ1074である。回転式センサ1074は回転式ドラム1076に結合され、それにより、ドラム1076が回転すると回転式センサ1074は回転する。図示するような一実施形態では、ドラム1076は、測定ストリングドラム半体1076Aおよびばね式ストリングドラム半体1076Bを有する二重ドラム1076である。より具体的には、挿入装置(図示せず)のポート(図示せず)まで下方に延在するストリングは、測定ストリングドラム半体1076Aの周囲に巻き付き、一方で、他端においてばね式ストリングディスペンサ1078に結合される別個のばね式ストリング(図示せず)は、ばね式ストリングドラム半体1076Bの周囲に巻き付く。
【0179】
別例では、システム1072は、単一ストリング(図示せず)を有することができる。たとえば、一実施形態では、ストリング(図示せず)は回転式センサ1074に直接結合される。さらなる実施形態では、ストリング測定システム1072を使用して、挿入装置(または挿入装置のキャニスタ)の傾きを測定することができる。一実装形態によれば、ストリング測定システム1072は、3つのストリングを使用して傾きを測定する。
【0180】
使用時、センサ1074は、ドラム1076の回転数を検知することによって頂部キャップ1070とポート(図示せず)との間の距離を検出することができ、それは、回転数が、ポート(図示せず)まで下方に延在するストリングの長さに直接関連し、したがって、頂部キャップ1070とポート(図示せず)との間の距離に直接関連するためである。この情報を使用して、外科装置の挿入深さを計算することができる。
【0181】
代替実施形態では、2つ以上の測定機構を挿入装置に組み込むことができる。すなわち、外科装置の挿入深さを測定するために、第1測定機構を挿入装置に組み込むことができ、挿入装置における「傾き」の量を測定するために、第2測定機構を組み込むことができる。これは、深さおよび/または傾きを測定することができる測定装置に任意の組合せであり得ることが理解される。本明細書に記載するような傾きを測定する任意の既知の装置を、本明細書において企図される挿入装置内で使用することができることがさらに理解される。これに関して、「傾き」は、切開ポートの半径に対して平行な面に関するキャニスタの長手方向軸の角度を意味するように意図されている。本明細書におけるキャニスタおよび挿入装置のいくつかの実施形態は、こうした傾きを可能にするように構成され、この傾きを利用して、処置の前または処置中にキャニスタの内部から出た外科装置を腔内でより適切に位置決めすることができる。
【0182】
図82A、
図82B、
図82C、
図82Dおよび
図82Eは、頂部キャップとポートとの間の相対的な距離を測定して外科装置の挿入深さを求める測定機構を有する挿入装置のさらに別の実装形態を示す。この実施形態は、実質的剛性構造測定システム1092を有する頂部キャップ1090に関する。測定システム1092は、実質的剛性構造1094が、頂部キャップ1090から挿入装置の底部のポート1096まで延在し、構造1094の変位を測定して頂部キャップ1090とポート1096との間の距離が求められ、その距離を用いて外科装置の挿入深さを計算することができる、システムである。
【0183】
この実施形態では、
図82Aに示すように、実質的剛性構造は、頂部に結合器1098を有する角棒1094である。棒1094は、(
図82Aに最もよく示すように)頂部キャップ1090のシール1100を通り、(
図82Bに最もよく示すように)頂部キャップ1090の下側の穴1102を通し、(
図82Eに最もよく示すように)ポート1096の穴1104を通って延在する。一実施形態では、頂部キャップ1090の穴1102は正方形であり、したがって、角棒1094は、頂部キャップ1090に対して回転することができない(したがって、挿入装置に対して回転することができない)。一実装形態によれば、頂部キャップ1090のシール1100は弾性シール1100である。別例では、シール1100は、棒1094が内部に配置されたときの挿入装置の圧力を維持することができる任意のシールである。
【0184】
一実施形態では、角棒1094の変位の実際の測定は、
図81に関して上述したシステム等のストリング測定システムを使用して達成される。角棒1094の上端の結合器1098は、ストリング(図示せず)に結合可能であり、ストリングは、さらにストリング測定システム1108のドラム1106に結合されるように構成されている。一実施形態では、ストリング測定システム1108は、上記の同様のシステムと同様に動作する。
【0185】
図82C、
図82Dおよび
図82Eに最もよく示すように、角棒1094の底部は、ポート1096の下側に画定された空洞1112内に位置決めされる4つのペグを有するペグ付きボール1110を介して、ポート1096内に拘束され、空洞1112は、ポート1096の上側の穴1104と流体連通している。空洞1112は、ボール1110が、角度のずれは可能にするが棒1094の長手方向軸を中心とする回転は可能にしないように空洞1112内で移動することができるように、図示するようにペグ付きボール1110の形状と一致する(空洞1112の4つのスロットがボール1110の4つのペグと一致する)ように構成されている。一実施形態によれば、この制約と頂部キャップ1090における回転の制約との組合せにより、外科装置を体内にうまく移動させることができ(すなわち、挿入装置は、本明細書の別の場所に記載されているように傾けることが可能であり、それにより、外科装置を操縦し位置決めすることができる)が、挿入箇所と整列されるロボットの中心線を維持する。
【0186】
代替実施形態では、実質的剛性構造は、角以外の別の形状である。さらなる実装形態では、構造は、頂部キャップに対して回転することができないように、頂部キャップの穴と一致することができる任意の形状を有することができる。別例では、実質的剛性構造を、2本以上の棒から構成することができる。たとえば、1つの代替実施形態では、頂部キャップからポートまで延在する2つの実質的剛性構造があり得る。さらなる代替形態では、3つ以上の構造がある。
【0187】
本明細書に開示する実施形態の範囲および趣旨にある測定機構のさまざまな他の実装形態を構想することができる。たとえば、上述したさまざまな実施形態は、頂部キャップとポートとの間の相対的な距離の測定に関するが、他の代替実施形態は、挿入装置の頂部と底部との間の相対的な角度および直線変位を測定することができる。さらに、上述したさまざまな実施形態は、(赤外線または超音波エネルギー等)特定のタイプのエネルギーを放出したり検知したりするように構成されたセンサに関するが、センサで作用する任意のタイプの無線技術を使用することができることが理解される。
【0188】
これらの測定技術のいずれも、本明細書に開示する挿入装置実施形態のいずれにも組み込むことができることが理解される。
図83は、上述した挿入装置のいずれかで使用することができる切開ポート1120の代替実施形態を示す。この実装形態では、切開ポート1120は、
図72A〜
図75Cに示す蓋と同様の摺動可能な蓋1122を有している。さらに、ポート1120はまた、切開ポート1120の内腔または開口部と流体連通するガス注入ポート1124も有している。この実施形態では、ガス注入ポート1124は、摺動可能な蓋1122の下方にあるようにポート1120に位置決めされる流量弁ポート1124である。一実装形態では、ガス注入ポート1124を用いて、患者の腔にガスが注入されるか、または処置中に補助的なガス注入が提供される。使用時、蓋1122は、閉鎖位置に位置決めされて、腔内で(かつ、別の場所で上述したように挿入装置内で)流体シールを確立し、その後、ガス注入ポート1124を介して患者の腔にガスが追加される。
【0189】
図84Aおよび
図84Bは、上述した円柱状キャニスタとは異なり、異なる形状のキャニスタを有する代替的な挿入装置実施形態を示す。より詳細には、
図84Aは、形状が球状の可撓性キャニスタ1132を備える挿入装置1130である。さらに、
図84Bは、形状が円錐形の可撓性キャニスタ1142を備えた挿入装置1140である。一実施形態によれば、圧縮中、球状キャニスタ1132及び円錐形キャニスタ1142は、潰れるかあるいは圧縮するか、または他の方法で、キャニスタ1132、1142の壁が拡張するかまたは外側に移動するように頂部キャップが切開ポートに向かって移動するのを可能にする。すなわち、キャニスタ1132、1142は内側に屈曲せず、それにより、キャニスタ1132、1142のつぶれまたは圧縮中にキャニスタ1132、1142内に配置された外科装置を干渉しない。
【0190】
図85A、
図85Bおよび
図85Cは、リブ構造で補強されるキャニスタを有する代替的な挿入装置実施形態を示す。より具体的には、
図85Aは、垂直リブ構造1154を有する可撓性キャニスタ1152を備えた挿入装置1150である。
図85Bは、水平リブ構造1164を有する可撓性キャニスタ1162を備えた挿入装置1160である。さらに、
図85Cは、らせん状リブ構造1174を有する可撓性キャニスタ1172を備えた挿入装置1170である。一実施形態によれば、これらの例示的な実施形態におけるリブ構造は、キャニスタ内の可撓性材料がその中で圧力を維持する間、各キャニスタの構造を生成する。別例では、リブ構造のいずれの組合せもキャニスタに組み込むことも可能である。一実装形態では、リブ構造は、使用中のキャニスタの望ましくない屈曲またはつぶれの量を低減するように、互いに対する補強を提供する。
【0191】
図86A、
図86B、
図86C、
図86Dは、切開装置のキャニスタ1184に解除可能に結合される(切開ポート1180の)基部結合器1182の実施形態を示す。この実施形態では、外科装置(図示せず)を、処置の前にキャニスタ1184内に位置決めし、その後、切開ポート1180に解除可能に結合することができる。結合器1182は、少なくとも1つの固定支持体1186および少なくとも1つの解除可能ラッチ1188を有している。一実施形態によれば、2つの固定支持体1186(1つは見えない)がある。キャニスタ1184は、その底部に、結合器1182と結合することができるリップ1190を有している。使用時、キャニスタ1184は、
図86Bおよび
図86Cに示すように、傾いた姿勢で結合器1182の頂部に接して位置決めされ、それにより、リップ1190は2つの固定支持体1186の下に位置決めされる。次いで、キャニスタ1184の底部全体は、結合器1182と接触するように配置され、それにより、リップ1190と結合器1182との間にシールが生成される。リップ1190が正しく位置決めされると、
図86Dに最もよく示すように、リップ1190が、2つの固定支持体1186およびラッチ1188を介して結合器1182に接してその適所に保持されるように、掛止位置まで移動する。
【0192】
図87A、
図87Bおよび
図87Cは、頂部キャップ1200を有し、頂部キャップ1200が、頂部キャップ1200およびハンドルセット1202を可撓性キャニスタ1204に対して移動することができるように、外側ハンドルセット1202に結合される、挿入装置の実施形態を示す。外側ハンドルセット1202は外側リング1206を有し、それは頂部キャップ1200の外周に、それらの2つの要素の間に流体シールが確立されるように位置決めされる。一実施形態では、流体シールは、頂部キャップ1200と外側リング1206との間に配置されたゴムシール1210によって強化される。さらに、セット1202はまた、使用者または医療専門家がセット1202を容易に把持することができるようにリング1206に結合された2つのハンドル1208も有している。より具体的には、
図87Bに最もよく示すように、頂部キャップ1200および外側ハンドルセット1202は、可撓性キャニスタ1204の壁にわたって下方に移動し、それにより、キャニスタ1204壁は、頂部キャップ1200とハンドルセット1202との間に配置される。したがって、上記いくつかの実施形態とは異なり、頂部キャップ1200は、キャニスタ1204の頂部に固定されず、頂部キャップ1200を、装置の圧縮中にキャニスタ壁1204のいかなる束化(bunching)も低減するように、キャニスタ1204の壁を頂部キャップ1200のシールおよび外側ハンドルセット1202を通って引っ張る一方で、キャニスタ1204の底部に向かって遠位方向に移動させることができる。使用時、頂部キャップ1200は、可撓性キャニスタ1204内を自由に摺動し、頂部キャップ1200の位置および向きの直接的な制御を提供するハンドル1208を有する外側ハンドルセット1202を介して制御される。
【0193】
図88A、
図88B、
図88Cおよび
図88Dは、(
図88Aおよび
図88Bに最もよく示すような)頂部キャップ1222、(
図88Cに最もよく示すような)可動シール1224、可動シール1224に結合された(
図88Aおよび
図88Cに最もよく示すような)外側ハンドルセット1226、および(
図88Aおよび
図88Dに最もよく示すような)切開ポート1228を有する挿入装置1220の代替実施形態を示す。この実施形態は、この装置1220の頂部キャップ1222が可動性ではなく、代りに
図88Aに示すように装置1220の近位端部に結合されているという点で、先の実施形態とは異なっている。さらに、この実施形態は、上述しかつ
図87A〜
図87Cに示す頂部キャップ1200と同様に、装置1220の長さに沿って移動することができる可動シール1224を有している。さらに、外側ハンドルセット1226は、頂部キャップ1222の代りに可動シール1224に結合されている。
【0194】
一実施形態によれば、この装置1220の頂部キャップ1222は、装置1220の主要なシールであり、それにより、可動シール1224が、装置1220の長さに沿って移動する際に流体シールを維持することは必須ではない。したがって、頂部キャップ1222は、シールとワイヤ、吸引、洗浄および補助装置用のアクセス開口部とを含む、上述した頂部キャップ実施形態のいずれかの封止機構および要素のすべてを有することができる。一実装形態によれば、可動シール1224は、主に外側ハンドルセット1226とともに使用されて、外科装置を患者の腔内に位置決めする。可動シール1224および外側ハンドルセット1226は、一実施形態によれば、上述した外側ハンドルセット1202および頂部キャップ1200と同様にかつ同様の要素で、互いに結合される。外側ハンドルセット1226が移動すると、可動シール1224も同様に移動し、ハンドルセット1226およびシール1224を、上記頂部キャップ1200およびハンドルセット1202と同様にキャニスタ壁に対して移動させることができる。
【0195】
一実装形態によれば、可動シール1224の外周は非円形であり、それにより、シール1224を外側ハンドルセット1226に結合することにより、可動シール1224がハンドルセット1226に対していかなる軸方向の移動も抑制する。一例として、シール1224の外周は、六角形または楕円形の形状を有することができる。別例では、こうした軸方向移動を抑制する任意の機構または要素を使用することができる。
【0196】
一実施形態では、可動シール1224および外側ハンドルセット1226のインタフェース(キャニスタがそこに位置決めされかつそこを通過しなければならない)は、流体シールを提供する必要はない。さらに、いくつかの実装形態では、玉軸受または移動を伝導する面等の追加の機構または要素をインタフェースに組み込むことができ、それにより、キャニスタ壁がインタフェースを容易に通過する可能性が増大する。これらの機構または要素を、シール1224あるいはハンドルセット1226または両方に組み込むことができることが理解される。
【0197】
図89は、実質的非可撓性キャニスタ部分1242を有し、それは可撓性キャニスタ部分1244に結合され、可撓性キャニスタ部分1244はさらに切開ポート1246に結合される、挿入装置1240の代替実施形態を示す。この実施形態では、頂部キャップ(図示せず)を、上述したものと同様の外側ハンドルセットに結合することができ、それにより、頂部キャップは、非可撓性キャニスタ部分1242に沿って容易に移動することができる。可撓性キャニスタ部分1244は、必要に応じて外科装置の移動を可能にする可撓性接続部またはインタフェース(「玉継手のような」インタフェースとも述べることができる)を提供する。すなわち、可撓性キャニスタ部分1244は、上述したように挿入装置1240を傾ける可能性を増大させ、それにより、挿入中、および行われている任意の処置中に、外科装置を移動させる可能性を増大させる。一実装形態では、頂部キャップおよび外側ハンドルセットの結合は、必要な封止を回避するように磁気接続であり得る。別例では、異なるキャニスタ形状およびサイズを構想することができる。さらに、可撓性キャニスタ部分を、装置の別の場所に配置することができる。さらなる代替形態では、2つ以上の可撓性キャニスタ部分を設けることができる。
【0198】
上述したさまざまな実施形態のすべてに関して、患者の体内に挿入されている医療装置は、患者の腔内で処置を行う任意の既知の医療装置または外科装置であることが理解される。いくつかの実施形態では、医療装置は、1つまたは2つのアームを有するロボット外科装置であることが理解される。さまざまな代替形態では、ロボット外科装置またはシステムは、3つ以上のアームを有するかまたは使用することができる。さらなる代替形態では、装置(または追加の装置)は、カメラまたはカメラシステムであり得る。さらに他の代替形態は、1つまたは複数の医療装置またはロボット装置とともに挿入することができる補助装置の使用を含む。
【0199】
本発明を、好ましい実施形態に関して説明したが、当業者は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく形態および詳細に変更を行うことができることを理解するであろう。