(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
記憶した測定情報を各基準点毎に読み出し、読み出した測定情報に含まれる空間の測定箇所の座標と前記基準点の座標との間をスキャンした軌跡を生成し、生成した軌跡が通過した空間を特定し、特定した各基準点の空間の和集合をとることで前記空間が存在する範囲を空きスペースと特定する請求項7に記載の空間情報可視化方法。
前記空間を所定の細度で細分してセルとし、前記セルの単位に空きセルを特定し、各基準点の空きセルの和集合をとることで前記空きセルが存在する範囲を空きスペースと特定する請求項7に記載の空間情報可視化方法。
前記第1範囲、前記第2範囲および前記第3範囲を、それぞれ別個の色および/または線で描画することで視覚的に区別した3次元画像または2次元画像を生成する請求項7に記載の空間情報可視化方法。
指定された調査範囲および調査方向に従い前記空間の情報を部分的に取り出しまたは投射して前記第1範囲、前記第2範囲および前記第3範囲のうち少なくとも前記第2範囲を他の範囲と視覚的に区別した立体画像または平面画像を生成する請求項7に記載の空間情報可視化方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、実施形態を詳細に説明する。
【0017】
まず、
図1を参照して内部に物体がある空間の用語の定義について説明する。
図1に示すように、ある測定点(以下「計測位置11」と称す)からレーザを周囲に照射し遮蔽物10や壁面にレーザが当った位置を測定するものとする。レーザが遮蔽物10に当った部分は測定箇所12である。計測位置11と測定箇所12との間は遮蔽物10が存在しない範囲、つまり空きスペース13である。レーザが遮蔽物10に当ったその先の部分(遮蔽物10の内部とその後ろ側)は計測が実施されていない範囲、つまり未計測範囲14である。
【0018】
(第1実施形態)
図2を参照して空間情報可視化システムの第1の実施形態を説明する。
【0019】
図2に示すように、第1実施形態は、空間情報可視化装置およびコンピュータとしてのパーソナルコンピュータ2(以下「PC2」と称す)、空間スキャナとしての3次元計測装置3、3次元データ処理装置4、PC2に接続された表示装置7および入力装置8などを有する。
【0020】
3次元計測装置3は、例えば3Dレーザスキャナであり、レーザを照射してレーザが返ってくるまでの時間を計測することで、測定対象の構造物の表面を非接触計測により計測し、対象構造物の表面の位置および形状を算出するための計測データを取得する。
【0021】
3次元計測装置3は、非接触計測により自身の基準位置を基に測定対象の構造物の表面上までの距離を測定して、それらの計測データ(例えば点群データ)を得る。なおレーザの照射角度から測定対象の構造物の3次元空間上の位置(x,y,x座標)を算出することができる。
【0022】
3次元計測装置3としては、レーザ以外に、例えば光から電波までの含む指向性を持つ電磁波、および超音波、ステレオビジョンを用いてもよい。
【0023】
表示装置7は、PC2が3次元データ処理装置4から読み出した測定データや、計測範囲内の分類結果、その他のデータを表示する。表示装置7は、例えばモニタなどである。
【0024】
入力装置8は例えばキーボード、マウスなどであり、この他、例えばタッチパネル等であってもよい。入力装置8はPC2の設定入力および入力操作などを行う装置である。入力装置8は例えば計測範囲内の調査方向や調査範囲の設定のための数値や方向の指示をPC2へ入力する。
【0025】
調査方向とは3次元空間を2次元平面に投影するための方向であり、例えばx−y平面、y−z平面、z−x平面などの面の方向である。調査範囲は調査対象の面に対する法線方向、例えばx−y平面(建物の床面)であれば、その上下の高さの範囲であり、床面の上0.15m〜2.5mなどというように指定するものとする。
【0026】
なお入力装置8は予め調査方向や調査範囲の情報をファイル化したものをインプット情報としてメモリなどに記憶しておき、それを読み込む装置であってもよい。
【0027】
3次元データ処理装置4はデータ合成部5およびデータベース6(以下「DB6」と称す)を有する。データ合成部5は3次元計測装置3により得られた異なる計測位置の計測データを同一座標系に変換し、変換したデータを合成して3次元形状データを生成しDB6に記憶する。
【0028】
DB6には3次元計測装置3により各基準位置毎に計測された測定データおよび座標データ(計測情報)とこれらデータの座標系を変換おび合成した空間の3次元形状データ(空間情報)が記憶される。
【0029】
すなわちこのDB6はある空間の設計寸法と空間内の異なる基準位置(基準点)に配置した3次元計測装置3により測定された空間の測定箇所の座標を示す測定情報が基準点毎に記憶された記憶部である。
【0030】
PC2はメモリやハードディスク装置などの記憶装置と、CPUなどの演算装置と、3次元データ処理装置4や他のコンピュータとデータのやりとり(通信)を行うためのネットワークインターフェース(LANインターフェースなど)、外部機器(表示装置7や入力装置8)の接続用の入出力インターフェースなどを備える。
【0031】
PC2ではハードディスク装置にインストールされたソフトウェア(空間情報可視化プログラム)が3次元データ処理装置4に記憶されている3次元形状データを用いて測定対象の空間の空きスペース13の判定およびデータ化、調査方向と調査範囲の設定、空間の可視化などを行う。
【0032】
PC2は、ソフトウェア(空間情報可視化プログラム)の機能構成として、空きスペース特定部31、空間情報生成部32、空間情報記憶部33、調査パラメータ設定部34、可視化部35などを有する。
【0033】
空きスペース特定部31はDB6より各基準点毎に読み出した測定情報に含まれる空間の測定箇所12の座標と空間情報(基準位置(基準点))の座標と空間の輪郭の設計寸法)とを基に、測定済みの空間である測定箇所12の範囲内に存在する空きスペース13(第2範囲)を特定する。なお測定済みの空間である測定箇所12を第1範囲といい、空きスペース13を第2範囲といい、未計測範囲14を第3範囲という。
【0034】
より詳細に説明すると、空きスペース特定部31はDB6より各基準点毎に読み出した測定情報に含まれる空間の測定箇所12の座標と基準位置(基準点)の座標との間を結ぶレーザ照射の軌跡を生成し、生成した軌跡が通過した空間を特定し、特定した空間の和集合をとることで空間が存在する範囲を空きスペースと特定する。
【0035】
空間情報生成部32は空きスペース特定部31により特定された空きスペース13(第2範囲)と測定箇所12(第1範囲)と未計測範囲14(第3範囲)との属性情報を3次元形状データに付与して空間情報記憶部33に記憶する。
【0036】
すなわち空きスペース特定部31および空間情報生成部32は、DB6より各基準点毎に読み出した測定情報に含まれる空間の測定箇所の座標と基準位置(基準点)の座標と空間の輪郭の設計寸法とを基に、測定済みの空間である測定箇所12(第1範囲)とこの測定箇所12の範囲内(第1範囲内)に存在する空きスペース13(第2範囲)と空間の設計寸法から空間の測定箇所までの未測定の空間である未計測範囲14(第3範囲)とを区別した空間の情報を生成する空間情報生成部として機能する。空間の輪郭の設計寸法とは例えば部屋であれば部屋の内寸、通路であれば壁面や柱の寸法である。
【0037】
空間情報記憶部33には、測定箇所12、空きスペース13、未計測範囲14などといった属性情報が付与された3次元形状データが記憶される。
【0038】
調査パラメータ設定部34は入力装置8からの入力また指定された調査範囲および調査方向などの調査パラメータをメモリなどに設定する。
【0039】
可視化部35は調査パラメータ設定部34によりメモリなどに設定された調査パラメータと空間情報とを読み出し、調査範囲および調査方向に従い3次元形状データ(空間の情報)を部分的に取り出しまたは投射(投影または射影などともいう)し、測定箇所12、空きスペース13、未計測範囲14のうち少なくとも空きスペース13を他の範囲と視覚的に区別した空間画像(立体画像または3D画像ともいう)または平面画像(2D画像ともいう)を生成する画像生成部として機能する。
【0040】
すなわち、可視化部35は、3次元形状データ(空間の情報)に含まれる測定箇所12、空きスペース13、未計測範囲14のうち少なくとも空きスペース13を他の範囲と視覚的に区別した空間画像または平面画像を生成する機能を有する。
【0041】
設計者9aはPC2により可視化された表示装置7の画面の画像を確認し、その空間への物の収まり具合や人や機器の通過可否の判定を行う。
【0042】
以下、
図3乃至
図14を参照して第1実施形態の処理動作を説明する。
図3は3次元形状データから空間をデータ化し、可視化することで物の収まり具合および物の通過可否を判定するまでのフローチャートである。
【0043】
PC2では、空きスペース特定部31が、測定データおよび座標データ(計測情報)と3次元形状データ(空間情報)を読み出す(ステップS101)。
【0044】
続いて空きスペース特定部31は、基準位置(基準点)と測定箇所の座標の組み合わせデータを読み出し(ステップS102)、基準位置(基準点)と測定箇所を結ぶレーザの軌跡を生成する(ステップS103)。軌跡は一本の線であってもレーザの拡散を考慮した幅を持つ形状(円錐形状など)であってもよい。
【0045】
空きスペース特定部31は、生成した軌跡が通過している3次元形状データ(空間情報)上の空間の座標を特定する(ステップS104)。
【0046】
これを他の測定箇所についても順次行い、特定した空間の座標で囲まれる範囲を空きスペースと判定し(ステップS105)、判定結果を空間情報記憶部33に記憶し和集合済みとする(ステップS106)。
【0047】
すなわち
図4Aに示すように、計測範囲41内においてある計測位置11から計測された3次元形状データ(空間の情報)を用いて、
図4Bに示すように、計測位置11から非接触で計測された測定箇所12までの範囲を空きスペース13と判定し、それをデータ化、つまり3次元形状データ(空間の情報)の該当箇所に空きスペース13としての属性情報を付与する。
【0048】
なお
図5Aに示すように、計測範囲41内において異なる複数の計測位置11a〜11cから計測した計測データを用いて生成した軌跡が通過している3次元形状データ(空間情報)上の空間を求めることで、
図5Bに示すように、未計測範囲14aを少なくし、空きスペース13として判定する領域を広げることもできる。
【0049】
空きスペース13の情報を付与した3次元形状データ(空間の情報)を可視化する場合、調査範囲と調査方向を指定および設定する。
【0050】
この場合、設計者9aが入力装置8より調査範囲のパラメータとして例えば幅、高さ、奥行き、位置などの値を入力し、また調査方向のパラメータとして例えばx−y平面を指定入力し、PC2に調査範囲と調査方向を設定すると(ステップS107)、PC2では、可視化部35が、調査範囲と調査方向のパラメータと3次元形状データ(空間の情報)を読み出し(ステップS108)、3次元形状データ(空間の情報)のうちの調査範囲と調査方向を決定する。
【0051】
ここでは、例えば
図6に示すように、計測範囲41について、指定された調査方向62のx−y平面を設定し、そのx−y平面の法線方向に沿って調査範囲61、例えば高さなどを設定する。ここで調査方向62とは設定した平面の法線方向である。また調査範囲61は計測範囲41内において、調査方向62(設定したx−y平面の法線方向)に沿った範囲であり、範囲は任意に設定できる。
【0052】
なお図中、符号2Dは円柱状の遮蔽物の直径を示す。符号aは直方体の遮蔽物の高さを示す。符号bは直方体の遮蔽物の幅を示す。符号cは円柱状の遮蔽物のx軸上の位置を示す。符号dは円柱状の遮蔽物のy軸上の位置を示す。
【0053】
可視化部35は、決定した調査方向62に空きスペース13を積集合することで、調査範囲61の調査方向62に沿った空きスペース13の場所(幅)を算出し、その場所(幅)を調査方向62に投射した平面画像のうち空きスペースとされた画素を特定し(ステップS109)、調査範囲の空間に対して測定箇所12と空きスペース13と未計測範囲14とを別個に色付け(別個の色で着色)した画像を生成し表示装置7へ出力することで(ステップS110)、表示装置7の画面に画像を表示して可視化する。
【0054】
なお調査方向62に空きスペース13と未計測範囲14が存在する場合は空きスペース13と未計測範囲14の割合に応じて「空きスペースと未計測範囲を含む範囲1001」(
図10B参照)として可視化することで他の範囲(測定箇所12など)と区別する。測定箇所12については測定箇所あり71の範囲を他の範囲と異なる色で描画して可視化することで、他の範囲を区別するものとする。
【0055】
図7Aは計測範囲41について調査方向62をx−y平面の法線方向、調査範囲61を0≦z≦1に設定した立体画像の例、
図7Bは
図7Aの立体画像を調査方向に投射して可視化した平面画像の例である。
【0056】
図8Aは計測範囲41について調査方向62をx−y平面の法線方向、調査範囲61を0≦z≦a1に設定した立体画像の例、
図8Bは
図8Aの立体画像を調査方向に投射して可視化した平面画像の例である。
【0057】
図9Aは計測範囲41について調査方向62をx−y平面の法線方向、調査範囲61をa2≦z≦1に設定した立体画像の例、
図9Bは
図9Aの立体画像を調査方向に投射した平面画像の例である。
【0058】
図10Aは計測範囲41について調査方向62をy−z平面の法線方向、調査範囲61を0≦x≦1に設定した立体画像の例、
図10Bは
図10Aの立体画像を調査方向に投射して可視化した平面画像の例である。
【0059】
図11Aは計測範囲41について調査方向62をy−z平面の法線方向、調査範囲61を0≦x≦c−Dに設定した立体画像の例、
図11Bは
図11Aの立体画像を調査方向に投射した平面画像の例である。符号Dは円柱状の遮蔽物の半径を示す。
【0060】
図12Aは計測範囲41について調査方向62をy−z平面の法線方向、調査範囲61をc+D≦x≦1に設定した立体画像の例、
図12Bは
図12Aの立体画像を調査方向に投射して可視化した平面画像の例である。
【0061】
上記
図7A乃至
図12Bにそれぞれ示したように、調査範囲61内を上記の4種類に分類および可視化することで、その可視化した画像を表示装置7の画面でみた作業員は、調査範囲61内の空きスペース13の位置を正確に把握することができる。
【0062】
以上説明したように測定対象の範囲を指定して空きスペース13の可視化を行うことで、物の収まり具合や物の通過の可否を人の目で視覚的に判定することができる。
【0063】
ここで、
図13A〜
図13C、
図14A〜
図14Cを参照して空きスペース13への物(判定対象物)1301の収まり具合や物の通過の可否をPC2に判定させる方法を説明する。
【0064】
図13Aに示すように、調査範囲61内で空きスペース13として判定された範囲に対して、物(判定対象物)1301の収まり具合や物の通過の可否を判定する。なお未計測範囲14はさらに測定することで空きスペース13として扱える可能性のある範囲である。
【0065】
(例1)
例1として、例えば
図13Bに示したような直方体(外形寸法として幅α=1/2、高さβ=1/2、奥行きγ=1)の形状の物(判定対象物)1301を、調査範囲61内に設置する場合、上記
図7乃至
図12の空間の情報より、調査範囲61について物(判定対象物)1301の位置を変えながら、空きスペース13の範囲内に収まるよう物(判定対象物)1301を配置する。
【0066】
この結果、
図13Cに示すように、x−y平面に投射した平面画像に対して、y軸方向に奥行きγを向けて物(判定対象物)1301を配置した第1パターンAと、x−y平面に投射した平面画像に対して、x軸方向に奥行きγを向けて物(判定対象物)1301を配置した第2パターンBとの2つのパターンが得られる。
【0067】
(例2)
例2として、例えば直方体(外形寸法として幅α=1/2、高さβ=1/2、奥行きγ=1)の形状の物(判定対象物)を、調査範囲61内のy−z平面の法線方向に通過させたい場合の通過経路の求めた方を
図14A乃至
図14Cに示す。
【0068】
図14Aに示すように、ある空間について、調査方向62:y−z平面の法線方向、調査範囲61:0≦x≦1とした場合に、
図14Bに示すような直方体(外形寸法として幅α=1/2、高さβ=1/2、奥行きγ=1)の形状の物(判定対象物)1301の通過経路は、
図14Cに示す1つのパターンCとなることが分かる。
【0069】
このようにこの第1実施形態によれば、3次元計測装置3により得られた3次元形状データ(空間情報)から3次元計測装置3のレーザの軌跡を求めて、軌跡のある箇所を空きスペース13として計測した3次元空間を区別し、3次元空間の調査範囲や調査方向を指定して平面画像または立体画像を生成する際に、空間内の物体が存在する測定箇所12と空きスペース13とを色分けして分かりやすく可視化することで、計測範囲内の空間の情報を短時間でかつ正確に表現することができる。この結果、測定対象の空間への物(判定対象物)1301の収まり具合や物(判定対象物)1301の通過の可否を容易に判定できるようになる。
【0070】
(第2実施形態)
図15乃至
図22を参照して空間情報可視化システムの第2実施形態を説明する。なお第1実施形態と同じ構成には同一の符号を付しその説明は省略する。この第2実施形態では、空間を格子状に区切りセルの単位で取り扱うものとする。
【0071】
この第2実施形態を説明するにあたり、まず
図15を参照して内部に物がある空間の用語の定義について説明する。
【0072】
図15に示すように、ある空間を任意の大きさ(細かさ)で格子状に分割した一つをセル15という。計測位置11から非接触に計測された測定箇所12までの間でレーザが通過したセル15を空きセル16という。遮蔽物10が存在するセル、つまり測定箇所12を含むセル15は空きセル16とは言わない。空きセル16の和集合をとった範囲を空きセル16の集合を空きスペースという。
【0073】
図16に示すように、この第2実施形態は、空間分割部36と空きセル特定部37とを有する。
【0074】
空間分割部36は測定対象の空間を所定の細度で細分してセルとする。空きセル特定部37はセルの単位に遮蔽物10が存在しない空きセルを特定し、各基準位置(基準点)の空きセルの和集合をとることで空きセルが存在する範囲を空きスペースとして特定する。
【0075】
以下、
図17乃至
図22を参照して第2実施形態の処理動作を説明する。
図17は3次元形状データを格子状に分割してセルとし、セルの単位に空きセルを特定し、空きセルの和集合である空きスペースを特定して可視化するまでのフローチャートである。
【0076】
PC2では、空間分割部36が、測定データおよび座標データ(計測情報)と計測範囲の3次元形状データ(空間の情報)を読み出す(ステップS201)。
【0077】
続いて空間分割部36は、予めメモリなどに設定されているセルの設定情報(空間を分割する細かさやセルの大きさなど)をメモリから読み出し(ステップS202)、
図18に示すように、構造物、機器などの物体1702が存在する計測範囲を、セルの設定情報に従い格子状に分割し複数のセル1701を生成する(ステップS203)。
【0078】
続いて、空きセル特定部37は基準位置(基準点)と測定箇所の座標の組み合わせデータをDB6より読み出し(ステップS204)、基準位置(基準点)と測定箇所を結ぶレーザの軌跡を生成する(ステップS205)。軌跡は一本の線であってもレーザの拡散を考慮した幅を持つ形状(円錐形状など)であってもよい。
【0079】
空きセル特定部37は、生成した軌跡が通過している3次元形状データ(空間の情報)上のセルの座標を特定する(ステップS206)。
【0080】
すなわち、測定対象が例えば
図19Aに示すように、物体1702が存在する計測範囲の空間の場合に、
図19B、
図19Cに示すように、計測位置11から非接触に計測された測定箇所12までの間で、レーザが通過した軌跡1704を求め、その軌跡1704の座標が含まれるセル1701を空きセル1703と判定する。
【0081】
セル1701内に測定箇所12(例えば点群など)が存在する場合は空きセル1703と判定しない。なお異なる複数の計測位置11から同じ空間を計測し、レーザの軌跡を増やすことで、空きセル1703の数を増やすことができる。
【0082】
この空きセル1703の特定処理を他の測定位置についても順次行い、特定した座標を持つ空きセル1703の和集合をとった範囲を空きスペース13(
図20参照)と判定し(ステップS207)、空きスペース13の属性情報を付与した3次元形状データ(空間の情報)を空きスペースの判定結果として空間情報記憶部33に記憶し和集合済みとする(ステップS208)。
【0083】
すなわちこの処理では、特定した空きセル1703のデータの和集合をとることで、
図20に示すように、計測範囲14内の空きスペース13を特定する。この際、測定箇所12が存在するセル1901、空きスペース13および未計測範囲を示すセル1902をそれぞれ別個の色で描画して可視化することで、それぞれの範囲(領域)を人の目で見て識別できるようにする。
【0084】
次に、空きスペース13の情報を付与した3次元形状データ(空間の情報)を可視化する場合、調査範囲と調査方向を指定および設定する(ステップS209)。
【0085】
この場合、設計者9aが入力装置8より調査範囲のパラメータとして例えば幅、高さ、奥行き、位置などの値を入力し、また調査方向のパラメータとして例えばx−y平面を指定入力し、PC2に調査範囲と調査方向を設定する。
【0086】
すると、PC2では、可視化部35が、調査範囲と調査方向のパラメータと3次元形状データ(空間の情報)を読み出し(ステップS210)、3次元形状データ(空間の情報)のうちの調査範囲と調査方向を決定する。
【0087】
ここでは、
図20に示す計測範囲41について、入力装置8より任意の方向に調査する平面と調査範囲を指定することで、調査パラメータ設定部34は、
図21に示すようなx−y平面の調査方向62と、「0」〜「5a」といった調査範囲61を設定する。ここで、調査方向62とは設定した平面の法線方向であり、この例の場合z軸の方向(高さ)となる。また、調査範囲61とは計測範囲14内において、調査方向62(設定した平面の法線方向)に沿って任意に範囲(高さ方向ならば下端と上端の2つ)を設定できる。
【0088】
そして、可視化部35は、決定した調査方向62に空きセル1903を積集合することで、調査範囲61の調査方向62に沿った空きスペース13の場所(高さの幅)を算出し、その場所(高さの幅)を調査方向62に投射した平面画像のうち空きセル1903とされた画素を特定し(ステップS211)、調査範囲の平面画像に対して測定箇所と空きスペース13と未計測範囲14とを別個に色付け(別個の色で着色)した画像を生成し表示装置7へ出力することで(ステップS110)、表示装置7の画面に画像を表示して可視化する。
【0089】
そして、可視化部35は、
図21に示すように、特定した空きスペース13を調査方向62に沿って積集合をとることで、調査範囲61の調査方向62に沿った空きセル1903の場所(高さの幅)を算出し、その場所(高さの幅)を調査方向62に投射した平面画像のうち空きセル1903とされた画素を特定し(ステップS211)、
図22Aに示すように、z軸方向の「0」〜「5a」までの調査範囲に対して空きセル1903と未計測範囲1902と測定箇所ありのセル1901とを色分けした平面画像を生成し、表示装置7へ出力して可視化する(ステップS212)。
【0090】
図22Aは調査方向62をx-y平面の法線方向、調査範囲61を0≦z≦5aに設定した例である。この他、調査方向62をy-z平面とした場合は、
図22Bに示すように、0≦x≦5aの調査範囲61で、それぞれのセル1901〜1903が異なる色や線で描画されて可視化される。
【0091】
調査方向62に空きセル1903と未計測範囲のセル1902が存在する場合は空きセル1903と未計測範囲のセル1902との割合に応じて可視化することでそれぞれの範囲を区別する。
【0092】
例えば
図21に示した調査範囲61の空間のうち、
図22Aに示す列2101には一列のセル5個のうち、空きセルが4個と未計測範囲を示すセル1個が存在し、未計測範囲率が1/5であることが分かる。またその上のセルの列2102には、空きセルが3個と測定箇所ありを示すセル71が1個と未計測範囲を示すセルが2個存在し、未計測範囲率は2/5であることが分かる。
【0093】
このようにして調査範囲61の空きスペース13を他の範囲とは異なる色で可視化することで、物の収まり具合や物の通過の可否を視覚的に判断することができる。
【0094】
このようにこの第2実施形態によれば、測定範囲を格子状に分割してセルを生成し、測定データから求めた軌跡を通過するセルを空きセルとして特定することで、第1実施形態に比べて情報処理量が極端に少なくなり、高速にかつ確実に空きスペースを可視化することができる。
【0095】
(第3実施形態)
図23乃至
図26を参照して空間情報可視化システムの第3実施形態を説明する。なお第3実施形態において第1実施形態および第2実施形態と同じ構成には同一の符号を付しその説明は省略する。
図23は空間情報可視化システムの第3実施形態の構成を示す図である。
【0096】
図23に示すように、この第3実施形態は、3次元計測装置3を搭載した移動ロボットとしての遠隔操作ロボット42と、この遠隔操作ロボット42を遠隔操作する遠隔操作装置40とを備える。
【0097】
遠隔操作ロボット42は、
図24に示すように、電動の荷物車に3次元計測装置3を搭載したものであり、高さh、全長l、全幅wの寸法を有しており、これらの外形データが予め遠隔操作装置40の制御部45のメモリに記憶されているものとする。なお、
図24(a)は、遠隔操作ロボット42の側面図、
図24(b)は、その上面図である。
【0098】
遠隔操作装置40は通信部としての無線部46と制御部45と表示装置43および入力装置44などを有する。
【0099】
入力装置44は例えばラジコン操縦機(プロポなど)のレバー操作型の操作装置であり、遠隔操作者9bが操作したり、また移動ルートの計算を指示する。
【0100】
無線部46は遠隔操作装置40と無線で通信する。なお遠隔操作装置40と遠隔操作ロボット42とを通信ケーブルで接続し有線で通信してもよい。
【0101】
制御部45は入力装置44からの指示によりメモリの遠隔操作ロボット42の外形データやPC2から通知される空きスペース13を含む空間の3次元形状データなどを基に遠隔操作装置40が空きスペース13(第2範囲)(
図26参照)を通過可能な移動ルートを計算し、計算した移動ルートを、無線部46を通じて遠隔操作ロボット42に指示する。
【0102】
なお移動ルートの計算をPC2側で行い、計算結果の移動ルートをPC2から遠隔操作装置40に通知するようにしてもよい。また表示装置43に表示された空きスペース13の画像から遠隔操作者9bが移動ルートを判断し、入力装置44から指示操作してもよい。
【0103】
以下、
図25乃至
図26を参照して第3実施形態の処理動作を説明する。
図25は遠隔操作ロボット42に設置された3次元計測装置3により計測された計測データから空きスペース13を特定し、3次元形状データ(空間の情報)に属性を付与することで、調査範囲内61の空きスペース13の位置を特定し、遠隔操作ロボット42の通過可否を判定するまでのフローチャートである。
【0104】
この場合、遠隔操作ロボット42を測定対象の3次元空間内の測定位置へ移動し、遠隔操作ロボット42に搭載された3次元計測装置3がその3次元空間を測定し測定データを得る(
図25のステップS301)。
【0105】
そして3次元計測装置3が得た測定データを3次元データ処理装置4のデータ合成部5にて座標変換および合成し3次元形状データ(空間の情報)を生成してDB6に記憶する。
【0106】
PC2では、第1実施形態で説明した処理手順を実行することで、空きスペース13を含む測定範囲を平面画像として可視化する(ステップS101〜S110)。空間を可視化するにあたり平面画像だけでなくも3次元形状のままの画像(立体画像または空間画像という)を生成し可視化してもよい。
【0107】
詳細には、DB6から3次元形状データ(空間の情報)を読み出し、計測位置11から非接触に計測された測定箇所12までの範囲を空きスペース13と特定し、それをデータ化する。なお遠隔操作ロボット42を他の位置に移動させて計測を複数回行って空きスペース13を増やすことができる。
【0108】
計測範囲41内の空きスペース13の和集合をとることで空きスペース13を特定する。そして、計測範囲41について、任意の方向に平面を設定し、調査方向62を設定する。また、その平面の法線方向に沿って調査範囲61を設定する。そして、特定した空きスペースを調査方向62に積集合することで、調査範囲61の調査方向62に沿った空きスペース13の場所(調査範囲がx-y平面ならば高さ方向の幅)を算出し、空きスペース13を含む調査範囲61の空間を可視化する。
【0109】
続いて、制御部45は入力装置44からの指示によりメモリの遠隔操作ロボット42の外形データやPC2から通知される空きスペース13を含む空間の3次元形状データなどを基に遠隔操作装置40が空きスペース13(第2範囲)(
図26参照)を通過可能な移動ルートを計算し(ステップS302)、計算した移動ルートを無線部46を通じて遠隔操作ロボット42に指示する(ステップS303)。
【0110】
なお遠隔操作ロボット42が通過可能な空きスペース13が存在せず、遠隔操作ロボット42の通過が不可能な場合は、調査方向62および調査範囲61の設定の見直しを行い、新たな空間の情報を取得する。
【0111】
通過可否の判定により、通過可能の場合は移動し、移動後は必要に応じて、新たな計測位置11での3次元計測を行い、空きスペース13を特定し移動ルートの計算を繰り返し行うものとする。
【0112】
このようにして、
図26に示すように、遠隔操作ロボット42が移動した計測位置11において、空きスペース13を含む空間の可視化と計算した移動ルート52、53の可視化を行うことで、遠隔操作者9bが遠隔操作装置40を操作しつつ遠隔操作ロボット42の通過可否を視覚的に判定することができるようになる。
【0113】
このようにこの第3実施形態によれば、遠隔操作ロボット42に3次元計測装置3を搭載して空間を移動しつつ所望の計測位置11に停止させて、空間を計測して空きスペース13を含む空間を可視化すると共に、同時に計算した移動ルート52、53の可視化を行うことで、遠隔操作ロボット42の通過可否を視覚的に判断することができる。
また現場の空間の3次元形状データを測定しつつ遠隔操作ロボット42を所望の場所まで移動させて作業を行わせるといったことに利用することができる。
【0114】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0115】
上記実施形態では、3次元計測装置3にて測定した測定データを利用して空きスペース13を含む空間を可視化したが、この他、例えば従来の3次元CADモデル再構成技術を用いて得たデータを基に、第1実施形態乃至第3実施形態と同様な方法で空きスペース13を特定し空間を可視化してもよい。
また上記実施形態では、3次元データ処理装置4のDB6に測定情報や空間の情報を記憶したが、測定情報や空間の情報をPC2のハードディスク装置に記憶してもよい。
【0116】
また上記実施形態に示した各構成要素を、コンピュータのハードディスク装置などのストレージにインストールしたプログラムで実現してもよく、また上記プログラムを、コンピュータ読取可能な電子媒体:electronic mediaに記憶しておき、プログラムを電子媒体からコンピュータに読み取らせることで本発明の機能をコンピュータが実現するようにしてもよい。電子媒体としては、例えばCD−ROM等の記録媒体やフラッシュメモリ、リムーバブルメディア:Removable media等が含まれる。さらに、ネットワークを介して接続した異なるコンピュータに構成要素を分散して記憶し、各構成要素を機能させたコンピュータ間で通信することで実現してもよい。
【0117】
すなわち、コンピュータを、ある空間の設計寸法と前記空間内の異なる基準点に配置した空間スキャナにより測定された空間の測定箇所の座標を示す測定情報が前記基準点毎に記憶された記憶部と、前記記憶部より各基準点毎に読み出した測定情報に含まれる空間の測定箇所の座標と前記基準点の座標と前記空間の設計寸法とを基に、測定済みの空間である第1範囲内に存在する空きスペースである第2範囲を特定する空きスペース特定部と、前記第1範囲と前記第2範囲と前記空間の設計寸法から前記空間の測定箇所までの未測定の空間である第3範囲とを区別した空間の情報を生成する空間情報生成部と、前記空間の情報に含まれる前記第1範囲、前記第2範囲および前記第3範囲を視覚的に区別した立体画像または平面元画像を生成する画像生成部として機能させるプログラムとしてもよい。
【0118】
前記空きスペース特定部は、前記記憶部より各基準点毎に読み出した測定情報に含まれる空間の測定箇所の座標と前記基準点の座標との間をスキャンした軌跡を生成し、生成した軌跡が通過した空間を特定し、特定した各基準点の空間の和集合をとることで前記空間が存在する範囲を空きスペースと特定する。
【0119】
前記空きスペース特定部は、前記空間を所定の細度で細分してセルとし、前記セルの単位に空きセルを特定し、各基準点の空きセルの和集合をとることで前記空きセルが存在する範囲を空きスペースと特定する。
【0120】
前記画像生成部は、指定された調査範囲および調査方向に従い前記空間の情報を部分的に取り出しまたは投射して前記第1範囲、前記第2範囲および前記第3範囲のうち少なくとも前記第2範囲を他の範囲と視覚的に区別した立体画像または平面画像を生成する。
【0121】
前記画像生成部は、前記第1範囲、前記第2範囲および前記第3範囲を、それぞれ別個の色および/または線で描画することで視覚的に区別した3次元画像または2次元画像を生成する。
【0122】
前記空間スキャナを搭載した移動ロボットに対して、前記移動ロボットが前記第2範囲を通るよう計算した移動ルートを有線通信または無線通信で指示する制御部として前記コンピュータを機能させる。