特許第6377611号(P6377611)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6377611
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】シュリンクラベル
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/02 20060101AFI20180813BHJP
   G09F 3/04 20060101ALI20180813BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20180813BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   B32B7/02 106
   G09F3/04 C
   B32B27/32 E
   B32B27/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2015-524132(P2015-524132)
(86)(22)【出願日】2014年6月27日
(86)【国際出願番号】JP2014067163
(87)【国際公開番号】WO2014208721
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2017年5月24日
(31)【優先権主張番号】特願2013-137596(P2013-137596)
(32)【優先日】2013年6月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100101362
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 幸久
(72)【発明者】
【氏名】阪野 真志
(72)【発明者】
【氏名】亀尾 崇宏
(72)【発明者】
【氏名】疋田 英司
(72)【発明者】
【氏名】永島 崇平
【審査官】 大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−272775(JP,A)
【文献】 特開2010−100002(JP,A)
【文献】 特開2008−062493(JP,A)
【文献】 特開2004−216825(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0212338(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0288651(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0095338(US,A1)
【文献】 特開2006−116874(JP,A)
【文献】 特開2000−239476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B29C 55/00−55/30
B29C 61/00−61/10
B29C 47/00−47/96
B65D 23/00−25/56
G09F 3/02,3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シュリンクフィルムを有するシュリンクラベルであって、
前記シュリンクフィルムが、基層部と、前記基層部の両面側に設けられた表面層を有し、
前記表面層中の、非晶性環状オレフィン系重合体の含有量が50重量%以上であり、
前記基層部が、層を9〜65層含み、前記層として、ポリオレフィン系樹脂としてポリエチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂の少なくともいずれか一方の樹脂を含むポリオレフィン系樹脂を50重量%以上含有する層(樹脂層(A))を少なくとも4層有することを特徴とするシュリンクラベル。
【請求項2】
前記樹脂層(A)が、下記(I)〜(III)の少なくとも一つを満たす樹脂層である請求項1に記載のシュリンクラベル。
(I)直鎖状低密度ポリエチレンを樹脂層(A)の総重量に対して50重量%以上含有する樹脂層
(II)メタロセン触媒系ポリプロピレンを樹脂層(A)の総重量に対して50重量%以上含有する樹脂層
(III)直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒系ポリプロピレンを含有し、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒系ポリプロピレンの含有量の合計が樹脂層(A)の総重量に対して50重量%以上である樹脂層
【請求項3】
前記基層部が、基層部中の層としてさらに樹脂層(B)を4層以上有し、前記樹脂層(B)が、ポリオレフィン系樹脂、非晶性環状オレフィン系重合体、及びアイオノマーからなる群より選択される少なくとも一つの樹脂を含有する樹脂層である請求項1又は2に記載のシュリンクラベル。
【請求項4】
前記樹脂層(B)が、下記(i)〜(v)の少なくとも一つを満たす樹脂層である請求項3に記載のシュリンクラベル。
(i)アイオノマーを樹脂層(B)の総重量に対して50重量%以上含有する樹脂層
(ii)非晶性環状オレフィン系重合体を樹脂層(B)の総重量に対して50重量%以上含有する樹脂層
(iii)非晶性環状オレフィン系重合体を樹脂層(B)の総重量に対して10〜70重量%含有し、直鎖状低密度ポリエチレンを樹脂層(B)の総重量に対して30〜90重量%含有する樹脂層
(iv)非晶性環状オレフィン系重合体を樹脂層(B)の総重量に対して10〜70重量%含有し、メタロセン触媒系ポリプロピレンを樹脂層(B)の総重量に対して30〜90重量%含有する樹脂層
(v)非晶性環状オレフィン系重合体を樹脂層(B)の総重量に対して10〜70重量%含有し、直鎖状低密度ポリエチレンを樹脂層(B)の総重量に対して10〜85重量%含有し、メタロセン触媒系ポリプロピレンを樹脂層(B)の総重量に対して1〜80重量%含有する樹脂層
【請求項5】
前記樹脂層(B)が、非晶性環状オレフィン系重合体、アイオノマー、又はその両方を含有する樹脂層であり、前記樹脂層(B)中の非晶性環状オレフィン系重合体及びアイオノマーの合計の含有量が、前記樹脂層(A)中の非晶性環状オレフィン系重合体及びアイオノマーの合計の含有量よりも多い請求項3又は4に記載のシュリンクラベル。
【請求項6】
前記樹脂層(B)が、ポリオレフィン系樹脂を含有する樹脂層であり、前記樹脂層(B)のポリオレフィン系樹脂の密度が、前記樹脂層(A)のポリオレフィン系樹脂の密度よりも大きい請求項3〜5のいずれか1項に記載のシュリンクラベル。
【請求項7】
前記基層部が、前記樹脂層(A)と前記樹脂層(B)とが隣接して形成される界面を2以上有する請求項3〜6のいずれか1項に記載のシュリンクラベル。
【請求項8】
前記基層部が、前記樹脂層(A)及び前記樹脂層(B)を、交互に、合計して9〜65層含む請求項3〜のいずれか1項に記載のシュリンクラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュリンクラベルに関する。より詳しくは、例えば、食品、トイレタリー、医薬品、飲料用等の容器に装着される用途に適したシュリンクラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、お茶や清涼飲料水等の飲料用容器として、PETボトルなどのプラスチック製ボトルや、ボトル缶等の金属製ボトル等が広く用いられている。これらの容器には、表示や装飾性、機能性の付与のためプラスチックラベルを装着する場合が多く、例えば、装飾性、加工性(容器への追従性)、広い表示面積等のメリットから、シュリンクフィルム(熱収縮性フィルム)に印刷層が設けられたシュリンクラベル等が広く使用されている。
【0003】
上記シュリンクフィルムとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリスチレンやポリオレフィンなどの素材がそれぞれの特徴に応じて用いられている。これらの中でも、オレフィン系シュリンクフィルムは、焼却時に有害ガスを発生しない、密度(比重)が小さく軽量で、回収時に密度の違いを利用してPETボトルなどとの分別が容易であるなどの利点を有する。しかし反面、例えば、ポリプロピレンフィルム単独では、低温収縮性、筒状にするためのシール性、印刷性に劣るなどの欠点を有しており、これらの改良のため、プロピレン系共重合体からなるフィルム層の両側に環状オレフィン樹脂を含んでなる表面層を有する積層シュリンクフィルムが用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。また、上記フィルムの表層環状オレフィン樹脂層の油脂による白化を防止するために、表層にポリエチレンを含有したシュリンクフィルムが知られている(例えば、特許文献3参照)。さらに、層間接着強度、収縮特性を向上させるため、プロピレン系共重合体にポリエチレンや環状オレフィン系重合体を添加したシュリンクフィルムも知られている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−159946号公報
【特許文献2】特開2002−215044号公報
【特許文献3】特開2002−234115号公報
【特許文献4】特開2004−170468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、低コスト化、省資源化の観点から、シュリンクラベルは薄肉化(薄膜化)が要求されている。しかしながら、シュリンクラベルは薄肉化に伴い、剛性や腰(ラベル硬さ)が低下するため、ラベラーを用いてラベルをボトルに装着する際に装着不良を起こす不具合を発生しやすかった。また、シュリンクラベルを薄肉化するためにシュリンクフィルムを薄肉化すると、延伸適性が低下する、延伸後において破断しやすくなる、自然収縮が起こりやすくなるなどの傾向があった。このため、薄肉化しても、剛性に優れ、延伸適性に優れるオレフィン系シュリンクラベルが求められているのが現状である。さらに、シュリンクラベルは、透明性に優れること、熱収縮率が高いことが求められている。
【0006】
即ち、本発明の目的は、延伸適性に優れるオレフィン系シュリンクフィルムを有し、剛性、透明性、及び熱収縮性に優れる(即ち、熱収縮率が高い)、低比重のオレフィン系シュリンクラベルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、シュリンクフィルムを有するシュリンクラベルであって、上記シュリンクフィルムが、基層部と、前記基層部の両面側に、非晶性環状オレフィン系重合体を主成分とする表面層を有し、前記基層部が、層を5〜65層含み、前記層としてポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂層を少なくとも有することにより、延伸適性に優れるオレフィン系シュリンクフィルムを有し、剛性、透明性、及び熱収縮性に優れる、低比重のオレフィン系シュリンクラベルを得ることができることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、シュリンクフィルムを有するシュリンクラベルであって、前記シュリンクフィルムが、基層部と、前記基層部の両面側に設けられた表面層を有し、前記表面層中の、非晶性環状オレフィン系重合体の含有量が50重量%以上であり、前記基層部が、層を5〜65層含み、前記層として、ポリオレフィン系樹脂を50重量%以上含有する層(樹脂層(A))を少なくとも有することを特徴とするシュリンクラベルを提供する。
【0009】
さらに、本発明は、前記基層部が、前記樹脂層(A)を2層以上有する前記のシュリンクラベルを提供する。
【0010】
さらに、本発明は、前記基層部が、基層部中の層としてさらに樹脂層(B)を有し、前記樹脂層(B)が、非晶性環状オレフィン系重合体、アイオノマー、又はその両方を含有する樹脂層であり、前記樹脂層(B)中の非晶性環状オレフィン系重合体及びアイオノマーの合計の含有量が、前記樹脂層(A)中の非晶性環状オレフィン系重合体及びアイオノマーの合計の含有量よりも多い前記のシュリンクラベルを提供する。
【0011】
さらに、本発明は、前記基層部が、基層部中の層としてさらに樹脂層(B)を有し、前記樹脂層(B)が、ポリオレフィン系樹脂を含有する樹脂層であり、前記樹脂層(B)のポリオレフィン系樹脂の密度が、前記樹脂層(A)のポリオレフィン系樹脂の密度よりも大きい前記のシュリンクラベルを提供する。
【0012】
さらに、本発明は、前記基層部が、前記樹脂層(A)と前記樹脂層(B)とが隣接して形成される界面を2以上有する前記のシュリンクラベルを提供する。
【0013】
さらに、本発明は、前記基層部が、基層部中の層としてさらに樹脂層(B)を有し、前記樹脂層(A)及び前記樹脂層(B)を、交互に、合計して5〜65層含む前記のシュリンクラベルを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシュリンクラベルは、層を5〜65層含み、前記層として樹脂層(A)を少なくとも含む基層部と、前記基層部の両面側に設けられた、非晶性環状オレフィン系重合体を主成分とする表面層を有するシュリンクフィルムをラベル基材としている。なお、樹脂層(A)は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂層である。これにより、本発明のシュリンクラベルは、低比重であり、薄肉化しても剛性に優れる。また、透明性、熱収縮性に優れる。さらに、上記シュリンクフィルムが延伸適性に優れ、本発明のシュリンクラベルは自然収縮しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のシュリンクラベルの一例を示す概略図(部分断面図)である。
図2】本発明のシュリンクラベルの他の一例を示す概略図(部分断面図)である。
図3】本発明のシュリンクラベルの他の一例を示す概略図(部分断面図)である。
図4】本発明のシュリンクラベルの他の一例を示す概略図(部分断面図)である。
図5】本発明のシュリンクラベルの一実施形態に係る筒状シュリンクラベルの一例を示す概略図である。
図6】本発明のシュリンクラベルの一実施形態に係る筒状シュリンクラベルの一例を示す概略図(図5のA−A’断面の要部拡大図)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のシュリンクラベルは、シュリンクフィルムを有するシュリンクラベルである。なお、本明細書では、上記シュリンクフィルム(即ち、本発明のシュリンクラベルに含まれるシュリンクフィルム)を「本発明のシュリンクフィルム」と称する場合がある。本発明のシュリンクラベルは、本発明の効果を損なわない範囲内で、本発明のシュリンクフィルム以外の層を含んでいてもよい。
【0017】
[シュリンクフィルム]
本発明のシュリンクフィルムは、基層部の両面側に積層された、表面層を有する。即ち、本発明のシュリンクフィルムは、基層部と、上記基層部の両面側にそれぞれ設けられた表面層とを含む。具体的には、本発明のシュリンクフィルムは、表面層/基層部/表面層の層構成を有し、基層部と表面層との間に接着層などを有していてもよいが、好ましくは、基層部と表面層とは直接積層されている。なお、本発明のシュリンクフィルム中の、基層部の両面側にある表面層は、同一の層であってもよいし、本願で規定する表面層の範囲内で、互いに異なる層(層を構成する樹脂組成や層厚みが異なる層)であってもよい。本発明のシュリンクフィルムは、本発明の目的を損なわない範囲で、表面層の外面に帯電防止コート層やアンカーコート層が設けられていてもよい。
【0018】
<表面層>
本発明のシュリンクフィルムにおける表面層(即ち、基層部の両面側にそれぞれ設けられた表面層)は、層中に非晶性環状オレフィン系重合体を50重量%以上含む層である。上記表面層を有することにより、本発明のシュリンクフィルムは、自然収縮がしにくく、延伸適性に優れ、表面層としての透明性に優れ、さらに、印刷適性に優れる。また、筒状シュリンクラベルを作製する際のシール性に優れる。また、本発明のシュリンクフィルムがシュリンクラベルの最表面となる場合には、耐摩耗性に優れる。さらに、本発明のシュリンクラベルの熱収縮率が向上する。
【0019】
上記表面層は、非晶性環状オレフィン系重合体を必須成分として含む。上記非晶性環状オレフィン系重合体は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。また、上記表面層は、上記非晶性環状オレフィン系重合体以外の樹脂を含んでもよい。
【0020】
上記非晶性環状オレフィン系重合体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンと少なくとも1種の環状オレフィンとの共重合体(「環状オレフィン共重合体」と称することがある)、及び、環状オレフィンの開環重合体又はその水添物(「環状オレフィンの開環重合体又はその水添物」と称することがある)が挙げられる。なお、上記環状オレフィン共重合体及び環状オレフィンの開環重合体又はその水添物には、それぞれ、そのグラフト変性物も含まれる。
【0021】
上記表面層に用いられる非晶性環状オレフィン系重合体に用いられる環状オレフィンとしては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(ノルボルネン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、ヘプタシクロ−5−イコセン、ヘプタシクロ−5−ヘンイコセン、トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロペンタデカジエン、ペンタシクロ[4.7.0.12,5.08,13.19,12]−3−ペンタデセン、ノナシクロ[9.10.1.14,7.113,20.115,18.02,10.012,21.014,19]−5−ペンタコセンなどの多環式環状オレフィンなどが挙げられる。中でも、ノルボルネンが好ましい。これらの環状オレフィンは、環に、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル基などのエステル基、メチル基などのアルキル基、ハロアルキル基、シアノ基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
【0022】
上記環状オレフィン共重合体は、例えば、上記α−オレフィンと上記環状オレフィンとを、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒中、いわゆるチーグラー触媒やメタロセン触媒などの触媒を用いて重合することにより得ることができる。このような環状オレフィン共重合体は市販されており、例えば、三井化学(株)製「アペル」、ポリプラスチック(株)製「TOPAS」などが使用できる。
【0023】
上記環状オレフィンの開環重合体又はその水添物は、例えば、1種又は2種以上の上記環状オレフィンを、モリブデン化合物やタングステン化合物を触媒としたメタセシス重合(開環重合)に付し、通常、得られたポリマーをさらに水添することにより製造できる。このような環状オレフィンの開環重合体又はその水添物は市販されており、例えば、JSR(株)製「アートン」、日本ゼオン(株)製「ゼオネックス」、「ゼオノア」などが使用できる。
【0024】
上記表面層に用いられる非晶性環状オレフィン系重合体としては、環状オレフィン共重合体がより好ましい。環状オレフィン共重合体は、ポリオレフィン系樹脂を混合する場合、ポリオレフィン系樹脂との混合性、相溶性が高く、透明性、耐衝撃性により優れたシュリンクフィルムが得られる。
【0025】
上記表面層に用いられる非晶性環状オレフィン系重合体のガラス転移温度(Tg)は、延伸適性の観点から、50〜80℃が好ましく、より好ましくは60〜80℃、さらに好ましくは60〜75℃であり、最も好ましくは65〜75℃(特に70℃程度)である。非晶性環状オレフィン系重合体のガラス転移温度は、モノマー成分(例えば、環状オレフィンなど)の種類やその配合割合などにより調整することができる。
【0026】
上記表面層に用いられる非晶性環状オレフィン系重合体が環状オレフィン共重合体である場合、モノマー成分である環状オレフィン(例えば、ノルボルネンなど)に由来する構成単位の含有率は、収縮特性の観点から、表面層中に含まれる全ての環状オレフィン共重合体(100重量%)に対して、50〜75重量%が好ましく、さらに好ましくは60〜70重量%である。例えば、環状オレフィン共重合体中のノルボルネン含有率(Norbornene content in COC)が上記範囲であるものが好ましい。
【0027】
上記非晶性環状オレフィン系重合体の密度は、特に限定されないが、シュリンクフィルムを低比重とする観点から、0.90〜1.10g/cm3が好ましく、より好ましくは0.95〜1.05g/cm3である。なお、表面層中に2種以上の非晶性環状オレフィン系重合体が含まれる場合、非晶性環状オレフィン系重合体の密度は、表面層中に含まれる全ての非晶性環状オレフィン系重合体の混合した後の密度である。
【0028】
上記表面層中の上記非晶性環状オレフィン系重合体の含有量は、表面層の総重量(100重量%)に対して、50重量%以上であり、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上である。上記含有量の上限は、100重量%であってもよいが、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。上記含有量が50重量%未満では、シュリンクラベルの延伸適性、熱収縮率、印刷適性が低下するおそれがある。また、筒状シュリンクラベルを作製する際のシール性が低下するおそれがある。上記非晶性環状オレフィン系重合体の含有量は、表面層中に含まれる全ての非晶性環状オレフィン系重合体の含有量の合計量である。
【0029】
上記表面層は、特に限定されないが、表面層の透明性を維持しながら、油脂等による白化防止(指紋白化防止)、シュリンクラベルの比重を小さくする観点から、ポリエチレン系樹脂を含有することが好ましい。上記ポリエチレン系樹脂は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0030】
上記ポリエチレン系樹脂(以下、単に「ポリエチレン」と称する場合がある)としては、例えば、エチレンの単独重合体;エチレンと1種以上のオレフィン(エチレン以外のオレフィン)を必須の単量体成分として構成される共重合体(エチレン共重合体)等が挙げられる。上記エチレン共重合体としては、中でも、エチレンと1種以上のα−オレフィンを必須の単量体成分として構成される共重合体(エチレン−α−オレフィン共重合体)が好ましい。上記エチレン共重合体は、分子中(1分子中)にエチレンに由来する構成単位およびオレフィンに由来する構成単位を少なくとも含む共重合体である。また、上記エチレン−α−オレフィン共重合体は、分子中(1分子中)にエチレンに由来する構成単位およびα−オレフィンに由来する構成単位を少なくとも含む共重合体である。上記エチレン共重合体の共重合成分として用いられるα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどの炭素数3〜20のα−オレフィンが好ましい。上記α−オレフィンは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0031】
上記エチレン共重合体は、特に限定されないが、エチレンに由来する構成単位の含有量が、表面層中に含まれる全てのエチレン共重合体の総重量(100重量%)に対して、50重量%以上であることが好ましく、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは85重量%以上である。
【0032】
上記ポリエチレン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレンなどが挙げられる。中でも、低比重、透明性、熱収縮性の観点から、LDPE、LLDPEが好ましく、透明性の観点から、特にLDPE、又は、LDPEとLLDPEの併用が好ましい。上記LDPE、LLDPEは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0033】
上記ポリエチレン系樹脂は、メタロセン触媒を用いて重合して得られたポリエチレン系樹脂(メタロセン触媒系ポリエチレン系樹脂)であってもよい。上記メタロセン触媒としては、公知乃至慣用のオレフィン重合用メタロセン触媒を用いることができる。上記ポリエチレン系樹脂の重合方法(共重合方法)としては、特に限定されず、スラリー法、溶液重合法、気相法などの公知の重合方法が挙げられる。
【0034】
上記ポリエチレン系樹脂としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、宇部丸善ポリエチレン(株)製「ユメリット 2040FC」、「ユメリット 1540F」、(株)プライムポリマー製「エボリュー SP2040」、「エボリュー SP0540」、日本ポリエチレン(株)製「カーネル KF260T」、「カーネル KF360T」、「カーネル KF380」、「カーネル KS340T」(以上、メタロセン触媒系LLDPE)などのポリエチレン系樹脂が市場で入手可能である。
【0035】
上記ポリエチレン系樹脂の密度は、特に限定されないが、シュリンクフィルムを低比重とする観点から、0.850〜0.935g/cm3が好ましく、より好ましくは0.870〜0.925g/cm3、さらに好ましくは0.895〜0.920g/cm3である。なお、表面層中に2種以上のポリエチレン系樹脂が含まれる場合、ポリエチレン系樹脂の密度は、表面層中に含まれる全てのポリエチレン系樹脂の混合した後の密度である。
【0036】
上記ポリエチレン系樹脂の含有量は、特に限定されないが、表面層の総重量(100重量%)に対して、50重量%未満であることが好ましく、より好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは10〜20重量%である。
【0037】
上記表面層は、中でも、表面層の総重量(100重量%)に対して、非晶性環状オレフィン系重合体を70重量%以上、ポリエチレン系樹脂を10〜30重量%含有する樹脂層が特に好ましい。
【0038】
上記表面層は、本発明の効果を損なわない範囲内で、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、着色剤、ピニング剤(アルカリ土類金属)などの添加剤を含有してもよい。また、表面層は、フィルム製造時のフィルム片を再ペレット化してなる回収原料を含有していてもよい。
【0039】
上記表面層の密度は、特に限定されないが、0.85〜1.10g/cm3が好ましく、より好ましくは0.90〜1.05g/cm3である。上記密度が0.85g/cm3以上であると、より高い剛性のシュリンクラベルの得ることができ、好ましい。一方、上記密度が1.10g/cm3以下であると、より低比重のシュリンクラベルを得ることができ、好ましい。
【0040】
<基層部>
本発明のシュリンクフィルムにおける基層部は、層を5〜65層含む。また、上記基層部は、上記層として、ポリオレフィン系樹脂を50重量%以上含有する層(樹脂層(A))を少なくとも有する。上記基層部を設けることにより、本発明のシュリンクフィルムは、薄肉化しても、延伸適性に優れるシュリンクフィルムを有し、剛性、透明性、及び熱収縮性に優れる低比重のシュリンクラベルとすることができる。
【0041】
上記基層部は、中でも、樹脂層を5〜65層含むことが好ましく、基層部中の層の全てが樹脂層であることが特に好ましい。
【0042】
上記基層部は、基層部中の層として、樹脂層(B)を有することが好ましい。上記基層部は、特に限定されないが、基層部中の層として、上記樹脂層(A)、上記樹脂層(B)以外の層(E層)を有していてもよい。上記E層としては、特に限定されないが、密度が1.10g/cm3以下(好ましくは1.05g/cm3以下)の樹脂層が好ましい。
【0043】
なお、本明細書において、上記基層部に含まれる、「ポリオレフィン系樹脂を50重量%以上含有する層」を、「樹脂層(A)」と称する場合がある。即ち、上記基層部は、樹脂層(A)を少なくとも含む。また、本明細書において、「基層部」とは、本発明のシュリンクフィルム中の表面層にはさまれた部分である。本発明のシュリンクフィルム中に複数の樹脂層(A)がある場合、本発明のシュリンクフィルム中の複数の樹脂層(A)のうちの、全ての層又は一部の層は、同一の層であってもよいし、本願で規定する樹脂層(A)の範囲内で、互いに異なる層(層を構成する樹脂組成や層厚みが異なる層)であってもよい。同様に、本発明のシュリンクフィルム中に複数の樹脂層(B)がある場合、複数の樹脂層(B)のうちの、全ての層又は一部の層は、同一の層であってもよいし、互いに異なる層(層を構成する樹脂組成や層厚みが異なる層)であってもよい。なお、樹脂層(A)及び樹脂層(B)は異なる層である。また、上記基層部が樹脂層(B)を有する場合、上記基層部の最外層、即ち、表面層と積層される層は、特に限定されず、樹脂層(A)であってもよいし、樹脂層(B)であってもよい。
【0044】
(樹脂層(A))
樹脂層(A)は、ポリオレフィン系樹脂を50重量%以上含む樹脂層である。樹脂層(A)は比較的柔らかい樹脂層であるため、基層部が樹脂層(A)を有し、かつ、層が多層積層されることにより、本発明のシュリンクラベルは剛性に優れ、かつ、熱収縮性に優れる。
【0045】
樹脂層(A)は、ポリオレフィン系樹脂を50重量%以上含有する樹脂層であり、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。上記含有量の上限は、特に限定されないが、100重量%であってもよい。上記含有量が50重量%以上であることにより、低比重のシュリンクラベルを得ることができる。なお、ポリオレフィン系樹脂の含有量(重量%)は、樹脂層(A)の総重量(100重量%)に対する含有量である。なお、樹脂層(A)中に2種以上のポリオレフィン系樹脂が含まれる場合、ポリオレフィン系樹脂の含有量は、樹脂層(A)中に含まれる全てのポリオレフィン系樹脂の含有量の合計量である。なお、本明細書では、「ポリオレフィン系樹脂を50重量%以上含む樹脂層」を、「ポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂層」と称する場合がある。
【0046】
上記ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンを必須の単量体成分として構成される重合体(オレフィン系エラストマーを含む)であり、即ち、分子中(1分子中)にオレフィンを少なくとも含む重合体である。上記オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンが挙げられる。
【0047】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、エチレンを必須の単量体成分として構成される重合体(ポリエチレン系樹脂)、プロピレンを必須の単量体成分として構成される重合体(ポリプロピレン系樹脂)の他、例えば、エチレン−酢酸ビニル系共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸系共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸系共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)等のエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのエチレン−カルボン酸系共重合体、エチレン−カルボン酸エステル系共重合体などが挙げられる。中でも、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が好ましく、より好ましくはポリエチレン系樹脂である。なお、本明細書では、ポリオレフィン系樹脂には、非晶性環状オレフィン系重合体及びアイオノマーは含まれないものとする。
【0048】
また、上記ポリオレフィン系樹脂としては、α−オレフィンの単独重合体(例えば、ホモポリプロピレンなど)、2種以上のα−オレフィンを必須の単量体成分として構成される共重合体(オレフィン共重合体)などが挙げられる。また、これらのポリオレフィン系樹脂は1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0049】
上記ポリエチレン系樹脂(即ち、樹脂層(A)に含まれるポリエチレン系樹脂)としては、特に限定されないが、例えば、エチレンの単独重合体、エチレン共重合体などが挙げられる。上記エチレン共重合体としては、中でも、エチレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。上記エチレン共重合体は、分子中(1分子中)にエチレンに由来する構成単位およびオレフィンに由来する構成単位を少なくとも含む共重合体である。上記エチレン共重合体の共重合成分として用いられるα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどの炭素数3〜20のα−オレフィンが好ましい。上記α−オレフィンは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0050】
上記エチレン共重合体は、特に限定されないが、エチレンに由来する構成単位の含有量が、樹脂層(A)中に含まれる全てのエチレン共重合体の総重量(100重量%)に対して、50重量%以上であることが好ましく、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは85重量%以上である。
【0051】
上記ポリエチレン系樹脂(即ち、樹脂層(A)に含まれるポリエチレン系樹脂)としては、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンなどが挙げられる。上記ポリエチレン系樹脂としては、特に限定されないが、中でも、低密度、透明性、熱収縮性の観点から、LDPE、LLDPEが好ましい。上記ポリエチレン系樹脂は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0052】
上記ポリプロピレン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ホモポリプロピレン、プロピレン共重合体などが挙げられる。上記プロピレン共重合体としては、中でも、プロピレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。上記プロピレン共重合体は、分子中(1分子中)にプロピレンに由来する構成単位およびオレフィンに由来する構成単位を少なくとも含む共重合体である。上記プロピレン−α−オレフィン共重合体の共重合成分として用いられるα−オレフィンとしては、例えば、エチレンや、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどの炭素数4〜20のα−オレフィンが挙げられる。上記α−オレフィンは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。上記プロピレン共重合体(プロピレン−α−オレフィン共重合体等)は、ブロック共重合体であってもよいし、ランダム共重合体であってもよく、グラフト共重合体であってもよい。
【0053】
上記プロピレン共重合体は、特に限定されないが、プロピレンに由来する構成単位の含有量が、樹脂層(A)中に含まれる全てのプロピレン共重合体の総重量(100重量%)に対して、50重量%以上であることが好ましく、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上である。
【0054】
上記プロピレン共重合体としては、上記の中でも、プロピレン−エチレン共重合体が特に好ましい。上記プロピレン−エチレン共重合体において、エチレンとプロピレンの比率は、例えば、前者/後者(重量比)=1/99〜30/70(好ましくは2/98〜25/75、より好ましくは3/95〜20/80)程度の範囲から選択することができる。上記プロピレン−エチレン共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態であってもよく、エチレン及びプロピレン以外の他のα−オレフィンがさらに共重合されていてもよい。また、上記プロピレン共重合体(特に、プロピレン−エチレン共重合体)としては、低温収縮性やシュリンクラベルの腰の強さの観点から、アイソタクチックインデックスが90%以上のものが好ましい。
【0055】
上記プロピレン−エチレン共重合体の中でも、ポリプロピレンを主鎖としポリエチレン系樹脂がグラフト共重合された変性ポリプロピレン系樹脂である、プロピレン−エチレングラフト共重合体が特に好ましい。上記ポリオレフィン系樹脂として上記プロピレン−エチレングラフト共重合体を用いると、シュリンクフィルム(又はシュリンクラベル)の自然収縮を抑制でき、また、シュリンク加工時の熱収縮率が向上し、好ましい。
【0056】
上記ポリオレフィン系樹脂は、製膜加工適性の観点から、メタロセン触媒系ポリオレフィン系樹脂が好ましく、特に好ましくは、メタロセン触媒系ポリエチレン、メタロセン触媒系ポリプロピレンである。上記メタロセン触媒としては、公知乃至慣用のオレフィン重合用メタロセン触媒を用いることができる。上記ポリオレフィン系樹脂の重合方法(共重合方法)としては、特に限定されず、スラリー法、溶液重合法、気相法などの公知の重合方法が挙げられる。
【0057】
上記ポリオレフィン系樹脂は、上記の中でも、メタロセン触媒系ポリエチレン、メタロセン触媒系ポリプロピレンが好ましく、メタロセン触媒系エチレン−α−オレフィン共重合体(特に、メタロセン触媒系エチレン−α−オレフィンランダム共重合体が好ましく、中でも、メタロセン触媒系エチレン−プロピレンランダム共重合体)、メタロセン触媒系プロピレン−エチレングラフト共重合体がより好ましい。
【0058】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、宇部丸善ポリエチレン(株)製「ユメリット 2040FC」、「ユメリット 1540F」、(株)プライムポリマー製「エボリュー SP2040」、「エボリュー SP0540」、日本ポリエチレン(株)製「カーネル KF260T」、「カーネル KF360T」、「カーネル KF380」、「カーネル KS340T」(以上、メタロセン触媒系LLDPE)、日本ポリプロ(株)製「ウィンテック WFX6」、「ウィンテック 1987FC」(以上、メタロセン触媒系プロピレン−エチレンランダム共重合体)、三菱化学(株)製「ゼラス #7000」、「ゼラス #5000」(以上、ポリプロピレン系樹脂)、エクソンモービルケミカル社製「Vistamaxx 3020FL」、「Vistamaxx 3980FL」(以上、プロピレン−エチレングラフト共重合体)などのポリオレフィン系樹脂が市場で入手可能である。
【0059】
上記ポリオレフィン系樹脂の密度は、特に限定されないが、シュリンクフィルムを低比重とする観点から、0.850〜0.935g/cm3が好ましく、より好ましくは0.870〜0.925g/cm3、さらに好ましくは0.895〜0.920g/cm3である。なお、樹脂層(A)中に2種以上のポリオレフィン系樹脂が含まれる場合、ポリオレフィン系樹脂の密度は、樹脂層(A)中に含まれる全てのポリオレフィン系樹脂の混合した後の密度である。
【0060】
樹脂層(A)は、特に限定されないが、上記ポリオレフィン系樹脂以外に、さらに、非晶性環状オレフィン系重合体、アイオノマーを含んでもよい。なお、樹脂層(A)が非晶性環状オレフィン系重合体、アイオノマーを含む場合、樹脂層(A)に含まれるポリオレフィン系樹脂は、特に限定されないが、ポリエチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂(特に、プロピレン−エチレン共重合体が好ましい)であることが好ましい。非晶性環状オレフィン系重合体、アイオノマーは、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂との相溶性が高く、また、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂に比べて密度が大きいという性質を有する。ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂層が非晶性環状オレフィン系重合体、アイオノマーを含有すると、シュリンクフィルムの透明性を低下させずに、自然収縮を抑制し、延伸適性を向上させたり、シュリンクラベルの剛性を向上させたり、熱収縮率を向上させたりすることができ、好ましい。なお、本明細書では、上記「非晶性環状オレフィン系重合体」及び「アイオノマー」を総称して、「成分(C)」と称する場合がある。樹脂層(A)に含まれていてもよい成分(C)としては、中でも、非晶性環状オレフィン系重合体が好ましい。
【0061】
上記非晶性環状オレフィン系重合体(即ち、樹脂層(A)に含まれていてもよい非晶性環状オレフィン系重合体)としては、特に限定されないが、上述の表面層に含まれる非晶性環状オレフィン系重合体として例示及び説明された非晶性環状オレフィン系重合体などが挙げられる。上記非晶性環状オレフィン系重合体は、表面層中に含まれる非晶性環状オレフィン系重合体と同一の非晶性環状オレフィン系重合体であってもよいし、異なる非晶性環状オレフィン系重合体であってもよいが、同一の非晶性環状オレフィン系重合体であることが好ましい。
【0062】
上記非晶性環状オレフィン系重合体に用いられる環状オレフィンとしては、例えば、上述の表面層に含まれる非晶性環状オレフィン系重合体に用いられる環状オレフィンとして例示及び説明された環状オレフィンなどが挙げられる。中でも、ノルボルネンが好ましい。これらの環状オレフィンは、環に、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル基などのエステル基、メチル基などのアルキル基、ハロアルキル基、シアノ基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
【0063】
上記非晶性環状オレフィン系重合体としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、上述の表面層に含まれる非晶性環状オレフィン系重合体の市販品として例示及び説明された非晶性環状オレフィン系重合体が市場で入手可能である。
【0064】
上記アイオノマーとしては、上記エチレン−カルボン酸エステル系共重合体をベースポリマーとし、該ベースポリマーに含まれるカルボキシル基の一部又は全部が金属イオンにより架橋された構造のアイオノマーを用いることができる。
【0065】
上記アイオノマーに含まれる金属イオンとしては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等の1価金属イオン;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、亜鉛等の2価金属イオン;アルミニウム、鉄等の3価金属イオンなどが挙げられる。上記アイオノマーに含まれる金属イオンは、1種でもよいし、2種以上であってもよい。
【0066】
上記アイオノマーとしては、特に限定されないが、公知乃至慣用のアイオノマーを使用することができる。上記アイオノマーとしては、市販品を用いてもよい。市販品としては、三井・デュポンポリケミカル(株)製、商品名「ハイミラン」などが市場で入手可能である。
【0067】
樹脂層(A)が、成分(C)を含有する樹脂層である場合、樹脂層(A)中の、成分(C)の含有量は、特に限定されないが、低比重の観点から、樹脂層(A)の総重量(100重量%)に対して、50重量%以下(例えば、0〜50重量%)が好ましく、より好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは10〜25重量%である。なお、本明細書では、成分(C)の含有量とは、非晶性環状オレフィン系重合体とアイオノマーの合計の含有量である。
【0068】
樹脂層(A)は、熱収縮率、剛性の向上と自然収縮の防止の観点から、石油樹脂などの粘着付与剤を含んでいてもよい。上記粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂(ロジン、重合ロジン、水添ロジン及びそれらの誘導体、樹脂酸ダイマーなど)、テルペン系樹脂(テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペン−フェノール樹脂など)、石油樹脂(脂肪族系、芳香族系、脂環族系)などが挙げられる。中でも、石油樹脂が好ましい。粘着付与剤は1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。粘着付与剤を添加する場合の添加量は、樹脂層(A)の総重量(100重量%)に対して、5〜30重量%が好ましく、より好ましくは10〜25重量%である。添加量が30重量%以下であると、シュリンクフィルムが脆くなりにくいため、好ましい。また、5重量%以上であると、添加の効果が十分に得られるため、好ましい。
【0069】
また、樹脂層(A)は、本発明の効果を損なわない範囲内で、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、着色剤、ピニング剤(アルカリ土類金属)などの添加剤を含有してもよい。また、樹脂層(A)は、フィルム製造時のフィルム片を再ペレット化してなる回収原料を含有していてもよい。
【0070】
樹脂層(A)は、上記の中でも、(I)LLDPE(好ましくはメタロセン触媒系LLDPE)を樹脂層(A)の総重量(100重量%)に対して50重量%以上(シュリンクフィルムの透明性の観点から、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上)含有する樹脂層、(II)メタロセン触媒系ポリプロピレン(好ましくはメタロセン触媒系プロピレン−エチレングラフト共重合体)を樹脂層(A)の総重量(100重量%)に対して50重量%以上(シュリンクフィルムの透明性の観点から、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上)含有する樹脂層、(III)LLDPE(好ましくはメタロセン系触媒系LLDPE)及びメタロセン触媒系ポリプロピレン(好ましくはメタロセン触媒系プロピレン−エチレングラフト共重合体)を含有し、LLDPE及びメタロセン触媒系ポリプロピレンの含有量の合計が樹脂層(A)の総重量(100重量%)に対して50重量%以上(好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上)である樹脂層が特に好ましい。なお、上記(I)及び(III)の樹脂層(A)は、さらにLDPEを含んでいてもよい。また、上記(II)及び(III)の樹脂層(A)は、さらに石油樹脂を含んでいてもよい。
【0071】
樹脂層(A)が上記(I)又は上記(II)の樹脂層である場合、特に限定されないが、シュリンクフィルムの透明性の観点から、樹脂層(A)の総厚み(全ての樹脂層(A)の厚みの合計)が、基層部の厚みに対して、50%以上であることが好ましく、より好ましくは55%以上、さらに好ましくは60%以上である。
【0072】
基層部が樹脂層(A)及び樹脂層(B)を有し、樹脂層(A)が上記(I)又は上記(II)の樹脂層である場合、特に限定されないが、シュリンクフィルムの透明性の観点から、樹脂層(A)の総厚み(全ての樹脂層(A)の厚みの合計)が樹脂層(B)の総厚み(全ての樹脂層(B)の厚みの合計)よりも大きいことが好ましい。
【0073】
樹脂層(A)の密度は、特に限定されないが、0.850〜0.935g/cm3が好ましく、より好ましくは0.870〜0.925g/cm3、さらに好ましくは0.895〜0.920g/cm3である。上記密度が0.850g/cm3以上であると、より高い剛性のシュリンクラベルを得ることができ、好ましい。一方、上記密度が0.935g/cm3以下であると、より低比重のシュリンクラベルを得ることができ、好ましい。
【0074】
(樹脂層(B))
樹脂層(B)は、樹脂を必須成分として含有し、本発明の目的を損なわない範囲内の層であれば特に限定されない。樹脂層(B)は、樹脂層(A)に比べて硬い樹脂層であることが好ましい。基層部にこのような樹脂層(B)を用いることにより、さらに剛性に優れるシュリンクフィルムが得られる。樹脂層(B)が含有する樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、非晶性環状オレフィン系重合体、アイオノマー、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂などが挙げられる。中でも、ポリオレフィン系樹脂、非晶性環状オレフィン系重合体、アイオノマーが好ましい。また、樹脂層(B)は、非晶性環状オレフィン系重合体、アイオノマー、又はその両方を含有する樹脂層であることが好ましい。
【0075】
上記ポリオレフィン系樹脂、非晶性環状オレフィン系重合体、アイオノマー(即ち、樹脂層(B)に含まれてもよいポリオレフィン系樹脂、非晶性環状オレフィン系重合体、アイオノマー)としては、特に限定されないが、上述の樹脂層(A)に含まれるポリオレフィン系樹脂、非晶性環状オレフィン系重合体、アイオノマーとして例示及び説明されたポリオレフィン系樹脂、非晶性環状オレフィン系重合体、アイオノマーが使用できる。
【0076】
樹脂層(B)が、非晶性環状オレフィン系重合体、アイオノマー、又はその両方を含有する樹脂層(即ち、成分(C)を含有する樹脂層)である場合、樹脂層(B)中の、非晶性環状オレフィン系重合体及びアイオノマーの合計の含有量(即ち、成分(C)の含有量)は、特に限定されないが、剛性向上の観点から、樹脂層(B)の総重量(100重量%)に対して、5重量%以上が好ましく、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは15重量%以上である。また、上記含有量の上限は、特に限定されないが、100重量%以下が好ましい。なお、樹脂層(B)がポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂層(即ち、ポリオレフィン系樹脂を50重量%以上含有する樹脂層)である場合、上記含有量の上限は、特に限定されないが、低比重と剛性向上の観点から、樹脂層(B)の総重量(100重量%)に対して、45重量%以下が好ましく、より好ましくは40重量%以下である。
【0077】
また、樹脂層(B)は、本発明の効果を損なわない範囲内で、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、着色剤、ピニング剤(アルカリ土類金属)、粘着付与剤などの添加剤を含有してもよい。また、樹脂層(B)は、フィルム製造時のフィルム片を再ペレット化してなる回収原料を含有していてもよい。
【0078】
樹脂層(B)は、上記の中でも、(i)アイオノマーを樹脂層(B)の総重量(100重量%)に対して50重量%以上(好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上)含有する樹脂層、(ii)非晶性環状オレフィン系重合体を樹脂層(B)の総重量(100重量%)に対して50重量%以上(好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上)含有する樹脂層、(iii)非晶性環状オレフィン系重合体を樹脂層(B)の総重量(100重量%)に対して10〜70重量%(好ましくは15〜60重量%、より好ましくは18〜50重量%)含有し、LLDPE(好ましくはメタロセン触媒系LLDPE)を樹脂層(B)の総重量(100重量%)に対して30〜90重量%(好ましくは40〜85重量%、より好ましくは50〜82重量%)含有する樹脂層、(iv)非晶性環状オレフィン系重合体を樹脂層(B)の総重量(100重量%)に対して10〜70重量%(好ましくは15〜60重量%、より好ましくは18〜50重量%)含有し、メタロセン触媒系ポリプロピレン(好ましくはメタロセン触媒系プロピレン−エチレングラフト共重合体)を樹脂層(B)の総重量(100重量%)に対して30〜90重量%(好ましくは40〜85重量%、より好ましくは50〜82重量%)含有する樹脂層、(v)非晶性環状オレフィン系重合体を樹脂層(B)の総重量(100重量%)に対して10〜70重量%(好ましくは15〜60重量%、より好ましくは18〜50重量%)含有し、LLDPE(好ましくはメタロセン触媒系LLDPE)を樹脂層(B)の総重量(100重量%)に対して10〜85重量%(好ましくは15〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%)含有し、メタロセン触媒系ポリプロピレン(好ましくはメタロセン触媒系プロピレン−エチレングラフト共重合体)を樹脂層(B)の総重量(100重量%)に対して1〜80重量%(好ましくは2〜70重量%、より好ましくは5〜50重量%)含有する樹脂層が特に好ましい。なお、上記(iii)及び(v)の樹脂層(B)は、さらにLDPEを含んでいてもよい。
【0079】
樹脂層(B)の密度は、特に限定されないが、0.860〜0.980g/cm3が好ましく、より好ましくは0.875〜0.960g/cm3、さらに好ましくは0.900〜0.945g/cm3である。上記密度が0.860g/cm3以上であると、より高い剛性のシュリンクラベルを得ることができ、好ましい。一方、上記密度が0.980g/cm3以下であると、より低比重のシュリンクラベルを得ることができ、好ましい。
【0080】
(樹脂層(A)と樹脂層(B)の組み合わせ)
基層部が樹脂層(B)を有する場合、樹脂層(A)と樹脂層(B)の好ましい組み合わせとしては、樹脂層(A)が上記(I)〜(III)のいずれかの樹脂層であり、樹脂層(B)が上記(i)〜(v)のいずれかの樹脂層である組み合わせが挙げられる。中でも、透明性の観点から、樹脂層(A)が上記(I)の樹脂層であり、樹脂層(B)が上記(iii)の樹脂層である組み合わせ;樹脂層(A)が上記(I)の樹脂層であり、樹脂層(B)が上記(v)の樹脂層である組み合わせ;樹脂層(A)が上記(II)の樹脂層であり、樹脂層(B)が上記(iv)の樹脂層である組み合わせ;樹脂層(A)が上記(II)の樹脂層であり、樹脂層(B)が上記(v)の樹脂層である組み合わせがより好ましい。
【0081】
樹脂層(B)が成分(C)を含有する樹脂層である場合、樹脂層(B)中の成分(C)の含有量は、特に限定されないが、樹脂層(A)よりも硬い樹脂層(B)を得る観点から、樹脂層(A)中の成分(C)の含有量よりも多いことが好ましい。この場合、樹脂層(A)は、成分(C)を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。なお、樹脂層(A)中の成分(C)の含有量(重量%)は、樹脂層(A)の総重量(100重量%)に対する含有量であり、樹脂層(B)中の成分(C)の含有量(重量%)は、樹脂層(B)の総重量(100重量%)に対する含有量である。なお、樹脂層(A)中、又は樹脂層(B)中に2種以上の成分(C)が含まれる場合、成分(C)の含有量は、樹脂層(A)層中に含まれる全ての成分(C)、又は樹脂層(B)中に含まれる全ての成分(C)の含有量の合計量である。
【0082】
なお、樹脂層(B)中の成分(C)の含有量が、樹脂層(A)中の成分(C)の含有量よりも多いことには、樹脂層(B)が成分(C)を含み、樹脂層(A)中の成分(C)の含有量が0重量%である場合が含まれる。具体的には、樹脂層(A)が成分(C)を含有せず、樹脂層(B)が成分(C)を含有する場合;樹脂層(A)及び樹脂層(B)が共に成分(C)を含有し、成分(C)の含有量が樹脂層(A)よりも樹脂層(B)の方が多い場合が挙げられる。
【0083】
樹脂層(A)中の成分(C)の含有量と、樹脂層(B)中の成分(C)の合計の含有量の差[(樹脂層(B)中の成分(C)の含有量)−(樹脂層(A)中の成分(C)の含有量)]は、特に限定されないが、樹脂層(A)と樹脂層(B)の界面の安定性の観点から、5重量%以上が好ましく、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは15重量%以上である。
【0084】
なお、樹脂層(B)がポリオレフィン系樹脂を含有する樹脂層である場合、特に限定されないが、樹脂層(A)よりも硬い樹脂層(B)を得る観点から、樹脂層(B)のポリオレフィン系樹脂の密度が、樹脂層(A)のポリオレフィン系樹脂の密度よりも大きいことが好ましい。樹脂層(A)のポリオレフィン系樹脂と樹脂層(B)のポリオレフィン系樹脂の密度の差は、特に限定されないが、0.005g/cm3以上が好ましい。上記密度の差(即ち、樹脂層(A)のポリオレフィン系樹脂と樹脂層(B)のポリオレフィン系樹脂の密度の差)は、樹脂層(B)がポリオレフィン系樹脂を50重量%以上含有する樹脂層である場合に、0.005g/cm3以上であることが特に好ましい。また、上記密度の差は、特に限定されないが、樹脂層(A)中のポリオレフィン系樹脂の含有量と、樹脂層(B)中のポリオレフィン系樹脂の含有量の差が20重量%未満(好ましくは、10重量%未満)の場合に、0.005g/cm3以上であることが特に好ましい。
【0085】
また、特に限定されないが、樹脂層(A)よりも硬い樹脂層(B)を得る観点から、樹脂層(B)の密度が、樹脂層(A)の密度よりも大きいことが好ましい。樹脂層(A)と樹脂層(B)の密度の差は、特に限定されないが、0.005g/cm3以上が好ましい。
【0086】
上記の中でも、低比重とする観点から、樹脂層(A)及び樹脂層(B)の組み合わせとして特に好ましい具体的態様を以下に説明する。
【0087】
(具体的態様(1))
具体的態様(1)は、樹脂層(A)が、ポリオレフィン系樹脂を50重量%以上含有し、成分(C)を含有しない樹脂層であり、樹脂層(B)が、ポリオレフィン系樹脂を50重量%以上含有し、さらに成分(C)を含有する樹脂層である組み合わせを例示する。
【0088】
具体的態様(1)における樹脂層(A)中のポリオレフィン系樹脂の含有量は、樹脂層(A)の総重量(100重量%)に対して、50重量%以上(例えば、50〜100重量%)であり、好ましくは80〜100重量%である。
【0089】
具体的態様(1)における樹脂層(A)のポリオレフィン系樹脂の密度は、特に限定されないが、0.850〜0.935g/cm3が好ましく、より好ましくは0.870〜0.925g/cm3、さらに好ましくは0.895〜0.920g/cm3である。
【0090】
具体的態様(1)における樹脂層(B)中のポリオレフィン系樹脂の含有量は、樹脂層(B)の総重量(100重量%)に対して、50重量%以上であり、好ましくは55重量%以上であり、より好ましくは60重量%以上である。また、上記含有量の上限は、100重量%未満、好ましくは95重量%以下であり、より好ましくは90重量%以下である。
【0091】
具体的態様(1)における樹脂層(B)中の成分(C)の含有量は、特に限定されないが、シュリンクラベルを低比重とする観点から、樹脂層(B)の総重量(100重量%)に対して、50重量%以下(例えば、0重量%を超えて50重量%以下)が好ましく、より好ましくは5〜45重量%、さらに好ましくは10〜40重量%である。
【0092】
具体的態様(1)における樹脂層(B)のポリオレフィン系樹脂の密度は、特に限定されないが、0.850〜0.935g/cm3が好ましく、より好ましくは0.870〜0.925g/cm3、さらに好ましくは0.895〜0.920g/cm3である。なお、樹脂層(B)中に2種以上のポリオレフィン系樹脂が含まれる場合、ポリオレフィン系樹脂の密度は、樹脂層(B)中に含まれる全てのポリオレフィン系樹脂の混合した後の密度である。
【0093】
(具体的態様(2))
具体的態様(2)は、樹脂層(A)及び樹脂層(B)が、ポリオレフィン系樹脂を50重量%以上含有する樹脂層であり、樹脂層(A)及び樹脂層(B)がさらに成分(C)を含有し、樹脂層(B)中の成分(C)の含有量が、樹脂層(A)中の成分(C)の含有量よりも多い組み合わせを例示する。
【0094】
具体的態様(2)における樹脂層(A)中のポリオレフィン系樹脂の含有量は、樹脂層(A)の総重量(100重量%)に対して、50重量%以上(例えば、50重量%以上100重量%未満)であり、好ましくは70〜95重量%、より好ましくは75〜90重量%である。
【0095】
具体的態様(2)における樹脂層(A)中の成分(C)の含有量は、特に限定されないが、シュリンクラベルを低比重とする観点から、樹脂層(A)の総重量(100重量%)に対して、0重量%超が好ましく、より好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上である。また、上記含有量の上限は、特に限定されないが、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは25重量%以下ある。
【0096】
具体的態様(2)における樹脂層(A)のポリオレフィン系樹脂の密度は、特に限定されないが、0.850〜0.935g/cm3が好ましく、より好ましくは0.870〜0.925g/cm3、さらに好ましくは0.895〜0.920g/cm3である。
【0097】
具体的態様(2)における樹脂層(B)中のポリオレフィン系樹脂の含有量は、樹脂層(B)の総重量(100重量%)に対して、50重量%以上(例えば、50重量%以上100重量%未満)であり、好ましくは55〜90重量%である。
【0098】
具体的態様(2)における樹脂層(B)中の成分(C)の含有量は、特に限定されないが、樹脂層(B)の総重量(100重量%)に対して、5重量%超が好ましく、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは15重量%以上である。また、上記含有量の上限は、特に限定されないが、50重量%以下が好ましく、より好ましくは45重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下である。
【0099】
具体的態様(2)における樹脂層(B)のポリオレフィン系樹脂の密度は、特に限定されないが、0.850〜0.935g/cm3が好ましく、より好ましくは0.870〜0.925g/cm3、さらに好ましくは0.895〜0.920g/cm3である。
【0100】
具体的態様(2)における樹脂層(A)中の成分(C)の含有量と、樹脂層(B)中の成分(C)の含有量の差[(樹脂層(B)中の成分(C)の含有量)−(樹脂層(A)中の成分(C)の含有量)]は、特に限定されないが、樹脂層(A)と樹脂層(B)の密度差を大きくする観点から、5重量%以上が好ましく、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは15重量%以上である。
【0101】
(具体的態様(3))
具体的態様(3)は、樹脂層(A)及び樹脂層(B)が、ポリオレフィン系樹脂を50重量%以上含有し、樹脂層(A)及び樹脂層(B)中のポリオレフィン系樹脂の含有量の差が20重量%未満(好ましくは、10重量%未満)であり、樹脂層(B)のポリオレフィン系樹脂の密度が、樹脂層(A)のポリオレフィン系樹脂の密度よりも大きい組み合わせを例示する。
【0102】
具体的態様(3)における樹脂層(A)中のポリオレフィン系樹脂の含有量は、樹脂層(A)の総重量(100重量%)に対して、50重量%以上であり、好ましくは70重量%以上、より好ましくは75重量%以上である。また、上記含有量の上限は、特に限定されないが、100重量%以下が好ましく、より好ましくは95重量%以下、さらに好ましくは90重量%以下である。
【0103】
具体的態様(3)における樹脂層(A)は、成分(C)を含んでもよい。具体的態様(3)における樹脂層(A)が成分(C)を含む場合、樹脂層(A)中の成分(C)の含有量は、特に限定されないが、シュリンクラベルを低比重とする観点から、樹脂層(A)の総重量(100重量%)に対して、50重量%以下(例えば、0〜50重量%)が好ましく、より好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは10〜25重量%である。
【0104】
具体的態様(3)における樹脂層(A)のポリオレフィン系樹脂の密度は、特に限定されないが、0.850〜0.935g/cm3が好ましく、より好ましくは0.870〜0.925g/cm3、さらに好ましくは0.890〜0.920g/cm3である。
【0105】
具体的態様(3)における樹脂層(B)中のポリオレフィン系樹脂の含有量は、樹脂層(B)の総重量(100重量%)に対して、50重量%以上であり、好ましくは70重量%以上、より好ましくは75重量%以上である。また、上記含有量の上限は、特に限定されないが、100重量%以下が好ましく、より好ましくは95重量%以下、さらに好ましくは90重量%以下である。
【0106】
具体的態様(3)における樹脂層(B)は、成分(C)を含んでもよい。具体的態様(3)における樹脂層(B)が成分(C)を含む場合、樹脂層(B)中の成分(C)の含有量は、特に限定されないが、シュリンクラベルを低比重とする観点から、樹脂層(B)の総重量(100重量%)に対して、50重量%以下(例えば、0〜50重量%)が好ましく、より好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは10〜25重量%である。
【0107】
具体的態様(3)における樹脂層(B)のポリオレフィン系樹脂の密度は、特に限定されないが、0.850〜0.935g/cm3が好ましく、より好ましくは0.870〜0.930g/cm3、さらに好ましくは0.895〜0.925g/cm3である。
【0108】
具体的態様(3)における樹脂層(A)のポリオレフィン系樹脂と樹脂層(B)のポリオレフィン系樹脂の密度の差は、特に限定されないが、0.005g/cm3以上が好ましい。
【0109】
(具体的態様(4))
具体的態様(4)は、樹脂層(A)が、ポリオレフィン系樹脂(好ましくは、ポリエチレン系樹脂)を90重量%以上含有する樹脂層であり、樹脂層(B)が、成分(C)を55重量%以上含有する樹脂層である組み合わせを例示する。
【0110】
具体的態様(4)における樹脂層(A)中のポリオレフィン系樹脂(好ましくは、ポリエチレン系樹脂)の含有量は、樹脂層(A)の総重量(100重量%)に対して、90重量%以上(例えば、90〜100重量%)であり、好ましくは95〜100重量%である。
【0111】
具体的態様(4)における樹脂層(B)中の成分(C)の含有量は、樹脂層(B)の総重量(100重量%)に対して、55重量%以上が好ましく、より好ましくは65重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。また、上記含有量の上限は、特に限定されないが、100重量%未満が好ましく、より好ましくは95重量%以下、さらに好ましくは90重量%以下である。
【0112】
具体的態様(4)における樹脂層(B)は、ポリオレフィン系樹脂を含んでもよい。具体的態様(4)における樹脂層(B)が成分(C)を含む場合、樹脂層(B)中のポリオレフィン系樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂層(B)の総重量(100重量%)に対して、0重量%を超えて50重量%未満が好ましく、より好ましくは5〜45重量%、さらに好ましくは10〜35重量%である。
【0113】
具体的態様(4)における樹脂層(A)のポリオレフィン系樹脂の密度は、特に限定されないが、0.850〜0.935g/cm3が好ましく、より好ましくは0.870〜0.930g/cm3、さらに好ましくは0.895〜0.925g/cm3、特に好ましくは0.898〜0.920g/cm3である。
【0114】
(基層部の層構成、物性等)
上記基層部中に含まれる層の層数は、5〜65層であり、好ましくは9〜33層である。上記層数が5層未満では、基層部の多層化によるシュリンクラベルの剛性の向上の効果が小さく、シュリンクラベルの腰が弱くなる。また、延伸適性の向上の効果が小さくなる。さらに、樹脂層(A)や樹脂層(B)の厚み(1層あたりの厚み)が十分薄くならないため、透明性が低下する場合がある。一方、上記層数が65層を超えると、シュリンクフィルムの厚み(総厚み)をシュリンクラベルに適した範囲にする場合に、樹脂層(A)(及び/又は樹脂層(B))の厚み(1層あたりの厚み)が薄くなりすぎて、樹脂層(A)(及び/又は樹脂層(B))を用いることの効果が小さくなり、シュリンクフィルム及びシュリンクラベルの剛性が低下し、腰が弱くなる。また、シュリンクフィルムの透明性が低下する場合がある。
【0115】
上記基層部は、上記層として、樹脂層(A)を1層以上含み、好ましくは2層以上、より好ましくは4層以上含む。上記樹脂層(A)の層数の上限は、特に限定されないが、65層以下であればよく、好ましくは33層以下、より好ましくは17層以下である。
【0116】
上記基層部は、特に限定されないが、上記層として、樹脂層(B)を1層以上含むことが好ましく、より好ましくは2層以上、さらに好ましくは4層以上である。上記樹脂層(B)の層数の上限は、特に限定されないが、64層以下であればよく、好ましくは33層以下、より好ましくは17層以下である。
【0117】
上記基層部が上記樹脂層(B)を有する場合、上記基層部は、上記樹脂層(A)と上記樹脂層(B)とが隣接する積層構成を有することが好ましい。
【0118】
上記基層部が上記樹脂層(B)を有する場合、上記基層部において、上記樹脂層(B)は、特に限定されないが、2以上の樹脂層(A)間に介在していることが好ましく、基層部中の全ての樹脂層(A)間に介在していることがより好ましい。この場合、上記基層部は、「樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)」の積層構成を有し、樹脂層(A)と樹脂層(B)とが隣接して形成される界面を2以上有する。特に、上記基層部において、樹脂層(A)及び樹脂層(B)は、特に限定されないが、交互に積層されていることが好ましく、他の層を介さずに、交互に直接積層されていることがより好ましい。即ち、上記基層部は、層として、樹脂層(A)及び樹脂層(B)を、交互に、合計して5〜65層含むことが最も好ましい。
【0119】
上記基層部が樹脂層(B)を有する場合、上記基層部中に含まれる樹脂層(A)又は樹脂層(B)の各層数は、特に限定されないが、2〜33層が好ましく、より好ましくは4〜17層である。
【0120】
上記基層部が樹脂層(B)を有する場合、上記基層部は、特に限定されないが、樹脂層(A)と樹脂層(B)とが隣接(直接積層)して形成される界面を2以上有することが好ましく、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上である。また、上記界面の数の上限は64であり、好ましくは33、より好ましくは17である。上記界面は、基層部が上記界面を2以上有すると、シュリンクフィルムが低比重でありながら、より高い剛性を有することとすることができ、好ましい。
【0121】
上記基層部は、樹脂層(A)を少なくとも1層ずつ含めばよい。上記基層部が樹脂層(A)及び樹脂層(B)のみから形成されている場合の上記基層部の積層構成は、特に限定されないが、具体的には、「樹脂層(A)/樹脂層(B)」を繰り返し単位として繰り返す積層構成となっていることが好ましい。上記積層構成としては、具体的には、例えば、[樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(B)/・・・・/樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)]、[樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)/・・・・/樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(B)]、[樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(B)/・・・・/樹脂層(A)/樹脂層(B)]、[樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)/・・・・/樹脂層(B)/樹脂層(A)]などが挙げられる。また、基層部の両面の最外層は、樹脂層(A)でもよいし、樹脂層(B)でもよい。また、上記積層構成の各層間に、上記E層が介在していてもよい。
【0122】
特に限定されないが、上記基層部においては、全ての樹脂層(A)が同じ原料から形成されていることが好ましく、なおかつ、全ての樹脂層(B)が同じ原料から形成されていることが好ましい。即ち、樹脂層(A)同士、樹脂層(B)同士は、それぞれ、同じ原料から形成されていることが好ましい。特に、全ての樹脂層(A)は同じ組成の層であることが好ましく、なおかつ、全ての樹脂層(B)は同じ組成の層であることが好ましい。
【0123】
上記基層部中のポリオレフィン系樹脂の含有量は、特に限定されないが、基層部の総重量(100重量%)に対して、50重量%以上が好ましく、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。上記含有量の上限は特に限定されず、100重量%であってもよい。
【0124】
[本発明のシュリンクフィルムの構成、物性など]
本発明のシュリンクフィルムは、上記基層部と、2層の上記表面層を含む。上記表面層は、上記基層部の両面側に積層され、一面側と他面側とにそれぞれ設けられている。
【0125】
本発明のシュリンクフィルムの厚み(総厚み)は、特に限定されないが、10〜100μmが好ましく、より好ましくは15〜50μm、さらに好ましくは20〜45μmである。上記厚みが10μm以上であると、シュリンクラベルの剛性を向上させる効果が十分に得られるため、好ましい。
【0126】
上記表面層の厚み(1層の厚み)は、特に限定されないが、1〜15μmが好ましく、より好ましくは2〜10μm、さらに好ましくは2.5〜8μmである。上記厚みが1μm以上であると、シュリンクラベルの剛性を向上させる効果が得られやすくなるため、好ましい。上記厚みが15μm以下であると、常温時のフィルムの伸度が著しく低下することを抑制できる観点から、好ましい。なお、本発明のシュリンクフィルム中の一面側と他面側の表面層の厚みは、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0127】
上記基層部の厚みは、特に限定されないが、8〜90μmが好ましく、より好ましくは10〜45μm、さらに好ましくは11〜40μmである。上記厚みが8μm以上であると、シュリンクラベルの剛性をより適度にすることができ、好ましい。
【0128】
樹脂層(A)の厚み(1層の厚み)は、特に限定されないが、0.3μm以上(例えば、0.3〜15μm)が好ましく、より好ましくは0.5μm以上(例えば、0.5〜10μm)である。上記厚みが0.3μm以上であると、シュリンクラベルの剛性を向上させる効果が十分に得られるため、好ましい。なお、本発明のシュリンクフィルム中の複数の樹脂層(A)が存在する場合、本発明のシュリンクフィルム中の複数の樹脂層(A)の厚みは、それらのうちの全て又は一部が同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。例えば、表面層と接する基層部の樹脂層(A)は、基層部内の樹脂層(A)(例えば、樹脂層(B)間の樹脂層(A))よりも薄くなっていてもよい。具体的には、表面層と接する基層部の樹脂層(A)の厚み(1層の厚み)は、特に限定されないが、0.2μm以上(例えば、0.2〜10μm)が好ましく、より好ましくは0.3μm以上(例えば、0.3〜5μm)である。
【0129】
上記基層部が樹脂層(B)を有する場合、樹脂層(B)の厚み(1層の厚み)は、特に限定されないが、0.3μm以上(例えば、0.3〜15μm)が好ましく、より好ましくは0.5μm以上(例えば、0.5〜10μm)である。上記厚みが0.3μm以上であると、シュリンクラベルの剛性を向上させる効果が十分に得られるため、好ましい。なお、本発明のシュリンクフィルム中の複数の樹脂層(B)が存在する場合、本発明のシュリンクフィルム中の複数の樹脂層(B)の厚みは、それらのうちの全て又は一部が同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。例えば、表面層と接する基層部の樹脂層(B)は、基層部内の樹脂層(B)(例えば、樹脂層(A)間の樹脂層(B))よりも薄くなっていてもよい。具体的には、表面層と接する基層部の樹脂層(B)の厚み(1層の厚み)は、特に限定されないが、0.2μm以上(例えば、0.2〜10μm)が好ましく、より好ましくは0.3μm以上(例えば、0.3〜5μm)である。
【0130】
本発明のシュリンクフィルム中の、表面層の厚み(2層の厚みの合計)と基層部の厚みの比[(表面層の厚み):(基層部の厚み)]は、特に限定されないが、1:1〜1:14が好ましく、1:1〜1:8がより好ましく、特に好ましくは1:1〜1:4である。上記の比が1:1よりも基層部が厚いと、多層化による剛性、透明性の向上効果が発現されやすいため、好ましい。上記の比が1:14よりも表面層が厚いと、シュリンクラベルの剛性を向上させる効果が十分に得られるため、好ましい。
【0131】
上記基層部が、層として、樹脂層(A)及び樹脂層(B)を、交互に、合計して5〜65層含む構成を有し、且つ、表面層を積層する基層部の樹脂層が樹脂層(A)の場合、樹脂層(A)の厚み(全ての樹脂層(A)の厚みの合計)と樹脂層(B)の厚み(全ての樹脂層(B)の厚みの合計)の比[(樹脂層(A)の厚み):(樹脂層(B)の厚み)]は、低比重、透明性、熱収縮性、延伸適性、剛性向上の観点から、特に限定されないが、10:1〜1:10が好ましく、より好ましくは5:1〜1:8であり、特に好ましくは1:1〜1:5である。
【0132】
本発明のシュリンクフィルムは、シュリンク特性を発揮する観点から、1軸、2軸又は多軸に配向したフィルムであることが好ましい。さらに、全てのフィルム層(表面層、樹脂層(A)、樹脂層(B))が1軸、2軸又は多軸に配向したフィルムであることが好ましい。シュリンクフィルムとしては、特に1軸配向フィルム又は2軸配向フィルムが用いられることが多く、中でも、フィルムの1軸方向に強く配向しているフィルム(実質的に1軸延伸されたフィルム)が一般的に用いられる。特に幅方向に1軸延伸されたフィルムが好ましい。
【0133】
本発明のシュリンクフィルム(シュリンク加工前)の、主配向方向の、90℃、10秒(温水処理)における熱収縮率(「熱収縮率(90℃、10秒)」と称する場合がある)は、特に限定されないが、45%以上(例えば、45〜80%)が好ましい。熱収縮率(90℃、10秒)が45%以上であると、シュリンクラベルを容器に熱で密着させるシュリンク加工工程において、収縮が十分となるため、容器の形に追従困難となること(特に複雑な形状の容器に対して仕上がりが悪くなること)を防ぐことができ、好ましい。なお、上記「主配向方向」とは主に延伸処理が施された方向(最も熱収縮率が大きい方向)であり、一般的には長手方向又は幅方向であり、例えば、幅方向に実質的に1軸延伸されたフィルム(実質的に幅方向の1軸配向フィルム)の場合には幅方向である。
【0134】
なお、本発明のシュリンクフィルム(シュリンク加工前)の、主配向方向と直交する方向の熱収縮率(90℃、10秒)は、特に限定されないが、−5〜10%が好ましい。
【0135】
本発明のシュリンクフィルムのヘイズ(ヘーズ)値[JIS K 7136準拠、厚み40μm換算、単位:%]は、10%未満が好ましく、より好ましくは7%未満、さらに好ましくは6%以下である。ヘイズ値が10%以上の場合には、シュリンクフィルムの内側(シュリンクラベルを容器に装着した時に容器側になる面側)に印刷を施し、シュリンクフィルムを通して印刷を見せるシュリンクラベルの場合、製品とした際に、印刷が曇り、装飾性が低下することがある。ただし、ヘイズ値が10%以上の場合であっても、シュリンクフィルムを通して印刷を見せる上記用途以外の用途においては十分に使用可能である。
【0136】
本発明のシュリンクフィルムの密度は、特に限定されないが、シュリンクラベルを低比重とする観点から、1g/cm3未満(例えば、0.90g/cm3以上1g/cm3未満)が好ましく、より好ましくは0.97g/cm3以下、さらに好ましくは0.95g/cm3以下である。
【0137】
[シュリンクラベル]
本発明のシュリンクラベルは、本発明のシュリンクフィルムを少なくとも有するシュリンクラベルである。本発明のシュリンクラベルは、本発明のシュリンクフィルム以外の層を有していてもよい。
【0138】
(本発明のシュリンクフィルム以外の層)
本発明のシュリンクラベルに含まれる、本発明のシュリンクフィルム以外の層としては、特に限定されないが、印刷層、不織布や発泡シートなどの他のフィルム層、シュリンクラベルの被着体や他のフィルム層と接着するための接着剤層(感圧性接着剤層、感熱性接着剤層等)、保護層、アンカーコート層、プライマーコート層、コーティング層、帯電防止層、アルミニウム蒸着層などが挙げられる。
【0139】
(印刷層)
上記印刷層としては、特に限定されず、例えば、シュリンクラベルにおいて用いられる公知の印刷層等が挙げられる。また、上記印刷層としては、例えば、商品名、イラスト、取り扱い注意事項等の図やデザインなどの意匠印刷層(カラー印刷層等)、白などの単一色で形成された背景印刷層などが挙げられる。上記印刷層は、特に限定されないが、本発明のシュリンクフィルムの片面側のみに設けられていてもよいし、本発明のシュリンクフィルムの両面側に設けられていてもよい。また、上記印刷層は、本発明のシュリンクフィルムの表面(印刷層が設けられる側の表面)の全面に設けられていてもよいし、一部に設けられていてもよい。さらに、上記印刷層は、特に限定されないが、単層であってもよいし、複層であってもよい。
【0140】
上記印刷層は、特に限定されないが、バインダー樹脂を必須成分として含むことが好ましい。さらに、必要に応じて、青、赤、黄、黒、白等の着色顔料を含むことが好ましい。上記バインダー樹脂、上記着色顔料は、それぞれ、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0141】
上記バインダー樹脂としては、特に限定されず、例えば、公知の印刷層、印刷インキにおいてバインダー樹脂として用いられる樹脂を用いることができる。上記バインダー樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース系樹脂(ニトロセルロース系樹脂を含む)、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂などが挙げられる。上記着色顔料としては、特に限定されず、例えば、公知の印刷層、印刷インキにおいて用いられる着色顔料を用いることができる。上記着色顔料は、例えば、酸化チタン(二酸化チタン)等の白顔料、銅フタロシアニンブルー等の藍顔料、カーボンブラック、アルミフレーク、雲母(マイカ)、その他着色顔料等を用途に合わせて選択、使用できる。また、上記着色顔料として、その他にも、光沢調整などの目的で、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アクリルビーズ等の体質顔料も使用できる。
【0142】
上記印刷層の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.1〜10μmが好ましく、より好ましくは0.3〜5μmである。上記厚みが0.1μm未満では、印刷層を均一に設けることが困難である場合があり、部分的な「かすれ」が起こり、装飾性が損なわれる場合や、デザイン通りの印刷が困難となる場合がある。また、上記厚みが10μmを超えると、印刷インキを多量に消費するため、コストが高くなったり、均一に塗布することが困難となったり、印刷層がもろくなり剥離しやすくなったりする場合や、シュリンク加工時にシュリンクフィルムの熱収縮に印刷層が追従しにくくなる場合がある。
【0143】
図1〜4は、それぞれ、本発明のシュリンクラベルの一例を示す概略図(部分断面図)である。図1に記載の本発明のシュリンクラベル3は、本発明のシュリンクフィルム1と、本発明のシュリンクフィルム1の片面側に設けられた、印刷層2を含む。本発明のシュリンクフィルム1は、基層部12と、基層部12の両面側にそれぞれ1層ずつ設けられた表面層11とを含む。基層部12は、その最外層(表面層11と接する層)を樹脂層(A)12aとし、樹脂層(A)12aと樹脂層(B)12bとが、交互に、合計9層積層されて形成されている。表面層11と基層部12とは他の層を介することなく直接積層されている。具体的には、表面層11と基層部12の最外層となる樹脂層(A)12aとが他の層を介することなく直接積層されている。
【0144】
図2に記載の本発明のシュリンクラベル3は、本発明のシュリンクフィルム1と、本発明のシュリンクフィルム1の片面側に設けられた、印刷層2を含む。本発明のシュリンクフィルム1は、基層部12と、基層部12の両面側にそれぞれ1層ずつ設けられた表面層11とを含む。なお、図2に記載の本発明のシュリンクラベル3は、基層部12が、図1との関係において、樹脂層(A)12aと樹脂層(B)12bの位置関係が逆のシュリンクラベルである。即ち、基層部12は、その最外層(表面層11と接する層)を樹脂層(B)12bとし、樹脂層(A)12aと樹脂層(B)12bとが、交互に、合計9層積層されて形成されている。表面層11と基層部12とは他の層を介することなく直接積層されている。具体的には、表面層11と基層部12の最外層となる樹脂層(B)12bとが他の層を介することなく直接積層されている。
【0145】
図3に記載の本発明のシュリンクラベル3は、図1と同様の本発明のシュリンクフィルム1と、本発明のシュリンクフィルム1の両面側に設けられた印刷層2を含む。また、図4に記載の本発明のシュリンクラベル3は、本発明のシュリンクフィルム1と、その片面側に設けられた印刷層2とを含み、本発明のシュリンクフィルム1は表面層11と基層部12とを有し、基層部12は、その最外層(表面層11と接する層)を樹脂層(A)12aとし、樹脂層(A)12aと樹脂層(B)12bとが、交互に、合計17層積層されて形成されている。図4においても、表面層11と基層部12とは他の層を介することなく直接積層されており、表面層11と基層部12の最外層となる樹脂層(A)12aとが他の層を介することなく直接積層されている。なお、図3及び図4に記載の本発明のシュリンクラベル3において、樹脂層(A)12aと樹脂層(B)12bは、逆の位置関係であってもよい。
【0146】
本発明のシュリンクラベルの厚み(総厚み)は、特に限定されないが、10〜110μmが好ましく、より好ましくは15〜60μm、さらに好ましくは20〜50μmである。本発明のシュリンクラベルの厚みが10μm以上であると、シュリンクラベルの剛性を向上させる効果が十分に得られるため、好ましい。
【0147】
本発明のシュリンクラベルの密度は、特に限定されないが、シュリンクラベルを低比重とする観点から、1g/cm3未満が好ましく、より好ましくは0.99g/cm3未満、さらに好ましくは0.98g/cm3未満である。また、上記密度の下限は、例えば、0.92g/cm3以上である。
【0148】
本発明のシュリンクラベルは、例えば、ラベル両端を溶剤や接着剤でシールし筒状にして容器に装着されるタイプの筒状シュリンクラベルや、ラベルの一端を容器に貼り付け、ラベルを巻き回した後、他端を一端に重ね合わせて筒状にする巻き付け方式のシュリンクラベルとして用いることができる。本発明のシュリンクフィルムは、筒状シュリンクラベルを容器に装着する際のシール性に優れる観点から、上記の中でも、筒状シュリンクラベルに特に好ましく用いられる。即ち、本発明のシュリンクラベルは、筒状シュリンクラベルであることが好ましい。
【0149】
上記筒状シュリンクラベルは、背景印刷層、意匠印刷層、及び本発明のシュリンクフィルムをこの順に有するシュリンクラベルを、上記背景印刷層が内側となるように筒状にし、シュリンクラベルの両端部(両端)を重ね合わせてシール部が形成された筒状シュリンクラベル(以下、「本発明の筒状シュリンクラベル」と称する場合がある)が好ましい。本発明の筒状シュリンクラベルにおいて、本発明のシュリンクフィルムは、筒状シュリンクラベルの少なくとも周方向に配向していることが好ましい。また、上記シール部は、溶剤又は接着剤で接合されていることが好ましい。また、本発明の筒状シュリンクラベルは、シール部の接着性の観点から、上記シール部では、本発明のシュリンクフィルム同士が溶剤又は接着剤で接合されていることが好ましい。上記シール部で本発明のシュリンクフィルム同士が接合されるようにするには、上記シール部の上記溶剤又は接着剤で接合される部分(上記シュリンクラベルの一方の端部)には上記背景印刷層及び上記意匠印刷層を設けず、シュリンクフィルムの露出面同士を接合することによって達成することができる。特に、上記背景印刷層及び上記意匠印刷層を有していない部分において本発明のシュリンクフィルム同士を溶剤によって接着してなるシール部を有することが好ましい。なお、上記両端部のうち、接合されない部分は、印刷層などを有していても接着性に影響はないため、上記背景印刷層や上記意匠印刷層を有していてもよい。
【0150】
上記意匠印刷層としては、例えば、商品名、イラスト、取り扱い注意事項等を表示した層が挙げられる。上記意匠印刷層としては、特に限定されないが、例えば、上記印刷層などが使用できる。より具体的には、意匠印刷層は、所望のデザインとなるように着色顔料の異なる複数の印刷層によって形成されている。
【0151】
上記意匠印刷層の厚みは、特に限定されないが、0.1〜8μmが好ましい。
【0152】
上記背景印刷層は、本発明の筒状シュリンクラベルを筒の外側から観察したときの意匠印刷層の背景となる印刷層である。上記背景印刷層としては、特に限定されないが、例えば、上記印刷層などが使用できる。中でも、意匠印刷層の背景となる観点から、着色顔料として酸化チタンを含有する白色の印刷層などの背景印刷層が好ましい。
【0153】
上記背景印刷層の厚みは、特に限定されないが、0.5〜10μmが好ましい。
【0154】
図5及び図6は、それぞれ、本発明のシュリンクラベルの一実施形態に係る筒状シュリンクラベルの一例を示す概略図である。図5に記載の本発明の筒状シュリンクラベル4は、矩形状に形成された本発明のシュリンクラベルの一端部の外側に他端部を重ね合わせて筒状とし、他端部の内面と一端部の外面とを溶剤又は接着剤で接合しシール部41が形成されている。本発明のシュリンクラベルは、本発明のシュリンクフィルムを含み、本発明のシュリンクフィルムは前記筒状シュリンクラベルの周方向Dに少なくとも配向し、当該方向に熱収縮可能である。尚、本発明のシュリンクフィルムは、周方向が主配向方向となるように装着されていることが好ましい。
【0155】
図6は、図5におけるA−A’断面の要部拡大図であり、シール部41では、シュリンクラベルの両端部が溶剤又は接着剤53で接合されている。具体的には、本発明のシュリンクラベルは、本発明のシュリンクフィルムの一方の面(筒状の内面側の面)の他端部の端から所定幅の領域を除いて意匠印刷層52と背景印刷層51とが形成され、背景印刷層51、意匠印刷層52、本発明のシュリンクフィルム1がこの順に積層されている。本発明のシュリンクラベルの他端部の端から所定幅の領域は、意匠印刷層52及び背景印刷層51が形成されておらず、本発明のシュリンクフィルムが露出し、フィルム露出面が形成され、シール部41は、本発明のシュリンクラベルの他端部の内面側に形成されたフィルム露出面と、一端部の外面(フィルム露出面)とを、溶剤又は接着剤53で接合されている。
【0156】
本発明のシュリンクラベルに用いられる、本発明のシュリンクフィルムは、基層部と、上記基層部の両面側に設けられた表面層とを有し、上記表面層は非晶性環状オレフィン系重合体を主成分とする層である。また、上記基層部は、層を5〜65層含み、当該層として、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂層(A)を少なくとも有する。これにより、シュリンクフィルム(又は、シュリンクラベル)は、薄肉でありながら剛性に優れ、腰が強い。また、本発明のシュリンクフィルムは、上記の多層構造を有していることにより、延伸後の破断、自然収縮に対する耐性などの延伸適性に優れる、低比重のシュリンクフィルム(又は、シュリンクラベル)とすることができる。さらに、熱収縮性、透明性にも優れる。
【0157】
[本発明のシュリンクラベルの製造方法]
本発明のシュリンクラベルの製造方法は、本発明のシュリンクフィルムを作製する工程を少なくとも含む。本明細書では、上記「本発明のシュリンクフィルムを作製する工程」を「フィルム作製工程」と称する場合がある。本発明のシュリンクラベルの製造方法は、さらに、本発明のシュリンクフィルム以外の層を形成する工程などの他の工程(上記フィルム作製工程以外の工程)を含んでいてもよい。
【0158】
(フィルム作製工程)
上記フィルム作製工程において、本発明のシュリンクフィルムは、溶融製膜などの慣用の方法によって作製することができる。中でも、溶融製膜法(特に、Tダイ法)が好ましい。また、積層の方法としては、慣用の方法、例えば、共押出法(フィードブロック法、マルチマニホールド法等)、ドライラミネート法などを用いることができる。中でも、共押出法が好ましく、フィードブロック法が好ましい。さらに、レイヤー・マルチプライヤー(layer multiplier)を用いて、特にフィードブロックとレイヤー・マルチプライヤーを組み合わせて用いて、基層部の多層化を行うことが好ましい。上記レイヤー・マルチプライヤーは、フィルム層を多層化する装置である。上記レイヤー・マルチプライヤーでフィルム層を多層化する方法としては、特に限定されないが、フィルム層を幅方向に分割した後、分割したフィルム層を厚み方向に積層する方法が挙げられる。本明細書では、上記「レイヤー・マルチプライヤー」を、単に「マルチプライヤー」と称する場合がある。上記マルチプライヤーは、例えば、EDI社、クローレン社より入手できる。
【0159】
上記共押出法(フィードブロック法)の具体的な一例を下記に説明する。例えば、それぞれ所定の温度に設定した複数の押出機に、基層部を形成する原料、表面層を形成する原料をそれぞれ投入し、Tダイから共押出する。この際、フィードブロックとマルチプライヤーを組み合わせて用いて、基層部を多層化し、所定の積層構成とすることが好ましい。また必要に応じて、ギアポンプを用いて供給量を調節してもよい。さらにフィルターを用いて、異物を除去するとフィルム破れが低減できるため好ましい。なお、押出温度は、用いる原料の種類によっても異なり、特に限定されないが、150〜250℃が好ましい。上記共押出したポリマーを、冷却ドラムなどを用いて急冷することにより、積層未延伸フィルム(シート)を得ることができる。
【0160】
上記フィルム作製工程では、シュリンク特性を発揮する観点から、上記積層未延伸フィルムの延伸を行うこと(延伸を行う段階を有すること)が好ましい。上記延伸としては、長手方向(フィルムの製造ライン方向。縦方向又はMD方向とも称する)および幅方向(長手方向と直交する方向。横方向又はTD方向とも称する)の2軸延伸、長手方向又は幅方向の1軸延伸等を用いることができる。延伸方式は、ロール方式、テンター方式、チューブ方式の何れの方式を用いてもよい。より具体的には、例えば、ロール方式により長手方向に延伸温度65〜100℃、延伸倍率1.05〜1.50倍で延伸した後、テンター方式により幅方向に延伸温度60〜100℃(好ましくは70〜100℃)、延伸倍率3〜7倍(好ましくは4〜5.5倍)で延伸する。
【0161】
上記フィルム作製工程において、本発明のシュリンクフィルムの表面には、必要に応じて、コロナ放電処理やプライマー処理等の慣用の表面処理が施されていてもよい。特に、本発明のシュリンクラベルがシュリンクフィルムの表面に印刷層を有する場合、印刷層を形成するシュリンクフィルムの表面に表面処理が施されていることが好ましい。具体的には、シュリンクフィルムの一方の表面に印刷層を設ける場合は、シュリンクフィルムの当該一方の表面に表面処理が施されていることが好ましく、シュリンクフィルムの両方の表面に印刷層を設ける場合は、シュリンクフィルムの当該両方の表面に表面処理が施されていることが好ましい。
【0162】
上記フィルム作製工程は、特に限定されないが、基層部が、樹脂層(A)と樹脂層(B)から形成される場合、樹脂層(A)を構成する原料(「原料(a)」と称する場合がある)と、樹脂層(B)を構成する原料(「原料(b)」と称する場合がある)と、上記表面層を構成する原料(「原料(c)」と称する場合がある)とをそれぞれ溶融する第1の段階;上記第1の段階で溶融された、原料(a)と、原料(b)とを積層し、さらに多層化して積層体を形成する第2の段階;及び、上記第2の段階で形成された積層体の両面側に、上記第1の段階で溶融された、原料(c)を1層ずつ積層する第3の段階を少なくとも含むことが好ましい。さらに、他の段階(第1の段階、第2の段階、及び第3の段階以外の段階)を含んでいてもよい。上記他の段階は、例えば、第1の段階の前、第3の段階の後、第1の段階と第2の段階との間、第2の段階と第3の段階との間などのいずれの位置に設けられてもよい。
【0163】
上記原料(a)としては、樹脂層(A)の原料が挙げられる。
上記原料(b)としては、樹脂層(B)の原料が挙げられる。
上記原料(c)としては、表面層の原料が挙げられる。
【0164】
上記第1の段階においては、公知慣用の押出機を用いて、原料(a)、原料(b)、原料(c)をそれぞれ、溶融(又は溶融混練)することが好ましい。例えば、それぞれ所定の温度に設定した3台の押出機に、原料(a)、原料(b)、原料(c)をそれぞれ投入して、溶融(又は溶融混練)を行うことができる。原料(a)の押出温度は、特に限定されないが、150〜250℃が好ましい。原料(b)の押出温度は、特に限定されないが、150〜250℃が好ましい。原料(c)の押出温度は、特に限定されないが、200〜250℃が好ましい。
【0165】
上記第2の段階において、上記第1の段階において溶融された、原料(a)と、原料(b)とを積層し、さらに多層化する際には、フィードブロックとマルチプライヤーを組み合わせて用いることが好ましい。上記フィードブロックやマルチプライヤーは、それぞれ、1のみを用いてもよいし、2以上を用いてもよい。上記第2の段階により、上記第1の段階において溶融された、原料(a)と、原料(b)が積層され、さらに多層化された積層体が得られる。上記積層体において、原料(a)から形成された層の層数と原料(b)から形成された層の層数の合計は5〜65層が好ましく、より好ましくは9〜33層である。上記第2の段階において得られた積層体は、本発明のシュリンクフィルムの基層部を形成する。
【0166】
上記第2の段階において、原料(a)と、原料(b)を積層し、さらに多層化された積層体は、具体的には、例えば、上記第1の段階で溶融された原料(a)及び原料(b)を、フィードブロックを用いて押出し、[原料(a)/原料(b)/原料(a)]の構成を有する積層体(「積層体1」と称する場合がある)を作製し、次いで上記積層体1を1つの単位として、マルチプライヤーを用いて積層し、[原料(a)/原料(b)/原料(a)/原料(a)/原料(b)/原料(a)/・・・・/原料(a)/原料(b)/原料(a)]の構造を有する積層体(「積層体2」と称する場合がある)を得ることができる。
【0167】
また、上記第2の段階において、原料(a)と、原料(b)を積層し、さらに多層化された積層体は、具体的には、例えば、上記第1の段階で溶融された原料(a)及び原料(b)を、フィードブロックを用いて押出し、[原料(b)/原料(a)/原料(b)]の構成を有する積層体(「積層体3」と称する場合がある)を作製し、次いで上記積層体3を1つの単位として、マルチプライヤーを用いて積層し、[原料(b)/原料(a)/原料(b)/原料(b)/原料(a)/原料(b)/・・・・/原料(b)/原料(a)/原料(b)]の構造を有する積層体(「積層体4」と称する場合がある)を得ることもできる。
【0168】
また、上記第2の段階において、原料(a)と、原料(b)を積層し、さらに多層化された積層体は、具体的には、例えば、上記第1の段階で溶融された原料(a)及び原料(b)を、フィードブロックを用いて押出し、[原料(a)/原料(b)]の構成を有する積層体(「積層体5」と称する場合がある)を作製し、次いで上記積層体5を1つの単位として、マルチプライヤーを用いて積層し、[原料(a)/原料(b)/原料(a)/原料(b)/・・・・/原料(a)/原料(b)]の構造を有する積層体(「積層体6」と称する場合がある)を得ることもできる。なお、上記積層体6は、逆から追えば、[原料(b)/原料(a)/原料(b)/原料(a)/・・・・/原料(b)/原料(a)]の構造を有する積層体でもある。
【0169】
上記第3の段階において、上記第2の段階で形成された積層体(例えば、積層体2、4、又は6)の両面側に、上記第1の段階で溶融された、原料(c)を積層する際には、フィードブロックを用いることが好ましい。積層された原料(c)は、本発明のシュリンクフィルムの表面層を形成する。上記第3の段階により、上記第2の段階において形成された積層体の両面側に、上記第1の段階において溶融された、原料(c)がそれぞれ1層ずつ積層された、積層体が得られる。
【0170】
特に限定されないが、上記第1の段階、第2の段階、及び第3の段階を経て形成された積層体をTダイから共押出し、冷却ドラムなどを用いて急冷することにより、積層未延伸フィルム(シート)を得ることができる。
【0171】
なお、[原料(a)/原料(b)/原料(a)/原料(a)/原料(b)/原料(a)/・・・・/原料(a)/原料(b)/原料(a)]の構造を有する上記積層体2は、[樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)/・・・・/樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)]の構造を有する基層部となるはずであるが、実際は、積層体2の同一素材を積層した[原料(a)/原料(a)]の部分は1つの樹脂層(A)となるため、[樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(B)/・・・・/樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)]の構造を有する基層部となる。同様に、上記積層体4の同一素材を積層した[原料(b)/原料(b)]の部分は1つの樹脂層(B)となるため、上記積層体4に由来する基層部は、[樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(B)/・・・・/樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(B)]の構造を有する基層部となるはずであるが、実際は、[樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)/・・・・/樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(B)]の構造を有する基層部となる。
【0172】
上記他の段階としては、特に限定されないが、延伸を行う段階、表面処理を行う段階などが挙げられる。例えば、上記第3の段階で作製された上記積層未延伸フィルムは、特に限定されないが、その後さらに、延伸を行う段階を有することが好ましい。
【0173】
(他の工程)
本発明のシュリンクラベルの製造方法において、特に限定されないが、フィルム作成工程の他の工程として、意匠印刷層を設ける工程、背景印刷層を設ける工程などを有していてもよい。
【0174】
上記意匠印刷層を設ける工程では、本発明のシュリンクフィルムの少なくとも一方の表面上に、印刷インキを塗布し、乾燥等によって固化させることにより意匠印刷層が形成される。上記の意匠印刷層を設ける工程は、周知慣用の印刷方法を用いることができ、中でも、グラビア印刷法またはフレキソ印刷法が好ましい。
【0175】
上記印刷インキは、例えば、上記バインダー樹脂、上記顔料、溶剤及びその他添加剤などを、必要に応じて、混合することにより製造される。混合は、公知慣用の混合方法により行うことができ、特に限定されないが、例えば、ペイントシェイカー、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、ポニーミキサー、ディゾルバー、タンクミキサー、ホモミキサー、ホモディスパーなどのミキサーや、ロールミル、サンドミル、ボールミル、ビーズミル、ラインミルなどのミル、ニーダーなどの混合装置が用いられる。混合の際の混合時間(滞留時間)は、特に限定されないが、10〜120分が好ましい。得られた印刷インキは、必要に応じて、濾過してから用いてもよい。上記各成分(バインダー樹脂、顔料、溶剤、その他の添加剤)は、それぞれ、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0176】
上記溶剤(溶媒)としては、グラビア印刷やフレキソ印刷等に使用される印刷インキに通常用いられる有機溶剤等を用いることができる。上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール;エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステルなどが挙げられる。上記溶剤は、印刷インキを本発明のシュリンクフィルムに塗布した後、乾燥により除去することができる。なお、上記溶剤(溶媒)には、「分散媒」の意味も含む。
【0177】
上記背景印刷層を設ける工程は、特に限定されないが、上記意匠印刷層を設ける工程の後に有することが好ましい。特に限定されないが、上記背景印刷層を設ける工程では、本発明のプラスチックフィルムの、上記意匠印刷層を有する側の表面上に、印刷インキを、塗布し、例えば、乾燥固化することにより背景印刷層が形成される。上記の背景印刷層を設ける工程は、周知慣用の印刷方法を用いることができ、中でも、グラビア印刷法またはフレキソ印刷法が好ましい。
【0178】
上記印刷インキは、上記バインダー樹脂、上記顔料、上記溶剤及び上記その他添加剤などを、必要に応じて、溶剤に混合することにより製造される。上記背景印刷層が白色の印刷層の場合、上記顔料としては、中でも、酸化チタンが好ましい。
【0179】
(筒状シュリンクラベルの製造方法)
筒状シュリンクラベルの製造方法は、特に限定されないが、例えば、シュリンクラベル(本発明のシュリンクラベル)の主配向方向が周方向となるように円筒状に成形する。具体的には、主配向方向に所定幅を有するシュリンクラベルの主配向方向の両端を重ね合わせて筒状に形成し、ラベルの一方の側縁部(他端部)に、その端から帯状に約2〜4mm幅で、テトラヒドロフラン(THF)などの溶剤や接着剤(以下、「接着剤等」と称する場合がある)を内面に塗布し、該接着剤等塗布部を、他方の側縁部(一端部)の外面に接着し、筒状のシュリンクラベルを得る。
【0180】
なお、筒状シュリンクラベルにラベル切除用のミシン目を設ける場合は、所定の長さ及びピッチのミシン目を周方向と直交する方向に形成する。ミシン目は慣用の方法(例えば、周囲に切断部と非切断部とが繰り返し形成された円板状の刃物を押し当てる方法やレーザーを用いる方法等)により施すことができる。ミシン目を施す工程段階は、筒状加工工程の前後など、適宜選択ことができる。
【0181】
[ラベル付き容器]
本発明のシュリンクラベルは、特に限定されないが、飲料用容器などの容器に装着して、ラベル付き容器として用いられる。なお、本発明のシュリンクラベルは、容器以外の被着体に用いられてもよい。例えば、本発明のシュリンクラベル(特に、筒状シュリンクラベル)を容器の周りに、本発明のシュリンクラベルが筒状となるように配置し、熱収縮させることによって容器に装着することにより、ラベル付き容器(本発明のシュリンクラベルを有するラベル付き容器)が得られる。上記容器には、例えば、PETボトルなどのソフトドリンク用ボトル、宅配用牛乳瓶、調味料などの食品用容器、アルコール飲料用ボトル、医薬品容器、洗剤、スプレーなどの化学製品の容器、トイレタリー用の容器、カップ麺容器などが含まれる。上記容器の形状としては、特に限定されないが、例えば、円筒状、角形等のボトルタイプや、カップタイプなどの様々な形状が挙げられる。また、上記容器の材質としては、特に限定されないが、例えば、PETなどのプラスチック、ガラス、金属などが挙げられる。
【0182】
上記ラベル付き容器は、例えば、筒状シュリンクラベルを、所定の容器に外嵌した後、加熱処理によって筒状シュリンクラベルを熱収縮させ、容器に追従密着させること(シュリンク加工)によって作製できる。上記加熱処理の方法としては、例えば、熱風トンネルやスチームトンネルを通過させる方法、赤外線などの輻射熱で加熱する方法等が挙げられる。特に、80〜100℃のスチームで処理する(スチームおよび湯気が充満した加熱トンネルを通過させる)方法が好ましい。また、101〜140℃のドライスチームを用いることもできる。上記加熱処理は、特に限定されないが、シュリンクフィルムの温度が85〜100℃(特に、90〜97℃)となる温度範囲で実施することが好ましい。本発明のシュリンクフィルムは、特に高温で加熱処理を行うことができるため、高収縮を要する容器に対する使用が可能となる。また、加熱処理の処理時間は、生産性、経済性の観点から、4〜20秒が好ましい。
【実施例】
【0183】
以下に、実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、表1に、実施例で用いた、表面層用原料(原料(c))、樹脂層(A)用原料(原料(a))、樹脂層(B)用原料(原料(b))の組成、実施例及び比較例で作製したシュリンクフィルム及びシュリンクラベルの構成及び評価結果などを示した。
【0184】
実施例1
(原料)
樹脂層(A)を構成する原料(樹脂層(A)用原料)として、ポリエチレン系樹脂A(日本ポリエチレン(株)製、商品名「カーネル KF360T」)100重量%を用いた。
樹脂層(B)を構成する原料(樹脂層(B)用原料)として、ポリエチレン系樹脂A(日本ポリエチレン(株)製、商品名「カーネル KF360T」)80重量%、非晶性環状オレフィン系重合体(ポリプラスチック(株)製、商品名「TOPAS」)20重量%を用いた。
表面層を構成する原料(表面層用原料)として、非晶性環状オレフィン系重合体(ポリプラスチック(株)製、商品名「TOPAS」)85重量%、ポリエチレン系樹脂A(日本ポリエチレン(株)製、商品名「カーネル KF360T」)15重量%を用いた。
【0185】
(シュリンクフィルム)
220℃に加熱した押出機aに上記樹脂層(A)用原料、220℃に加熱した押出機bに上記樹脂層(B)用原料、250℃に加熱した押出機cに上記表面層用原料を投入した。上記3台の押出機を用いて、溶融押出を行った。溶融した樹脂層(A)用原料及び溶融した樹脂層(B)用原料を、合流方式が2種3層型のフィードブロックと8分割のマルチプライヤー(EDI社製)とを組み合わせた積層装置を用いて、樹脂層(A)用原料/樹脂層(B)用原料/樹脂層(A)用原料(A/B/A)の2種3層構成をひとつの繰り返し単位として分割・合流・積層させ、積層体(I)(前記2種3層構成の繰り返し単位が8つ積層(繰り返し数8)されたもの)とし、溶融した表面層用原料を、上記積層体(I)の両面側(表面層)となるように、フィードブロックを用いて合流・積層させ、積層体(II)とした。さらに、上記積層体(II)を、Tダイより押出した後、25℃に冷却したキャスティングドラム上で急冷して、19層の積層未延伸フィルム(基層部は、2種3層構成の繰り返し単位を繰り返し数8で積層しているため24層となるが、実際は樹脂層(A)用原料同士が重なる部分は1つの層となるため、(A/B/A/B/A/B/A/B/A/B/A/B/A/B/A/B/A)の17層構成)を得た。
次に、該積層未延伸フィルムを、幅方向に85℃で4倍テンター延伸することにより、幅方向に主に延伸され、当該方向に熱収縮性を有する延伸フィルム(シュリンクフィルム)の長尺体を得た。
【0186】
(シュリンクラベル)
上記で得られたシュリンクフィルムの長尺体に対して、グラビア印刷機によって意匠印刷層及び白色の背景印刷層を形成して、シュリンクラベルの長尺体を得た。
【0187】
(筒状シュリンクラベル)
次いで、上記シュリンクラベルの長尺体を、スリットして所定幅とした後、幅方向が周方向となるように一端部と他端部とを重ね合わせて筒状にし、当該一端部と他端部のシュリンクフィルム面同士を溶剤でシールし、シュリンクラベルの筒状長尺体を得た。さらに、上記シュリンクラベルの筒状長尺体(ラベル連続体)を、個々のラベルサイズにカットして、筒状シュリンクラベルを得た。
【0188】
実施例2〜11、比較例1
表1に示すとおり、原料(a)、原料(b)、原料(c)の組成や成分比、基層部の層構成などを変更して、実施例1と同様にして、シュリンクフィルム、シュリンクラベル、及び筒状シュリンクラベルを得た。なお、実施例2、6、9、及び10では、繰り返し単位として、樹脂層(B)用原料/樹脂層(A)用原料/樹脂層(B)用原料(B/A/B)の2種3層構成を用いた。また、ポリエチレン系樹脂Aの密度は0.898g/cm3であり、ポリエチレン系樹脂Cの密度は0.913g/cm3であり、ポリプロピレン系樹脂Aの密度は0.874g/cm3であった。
【0189】
(評価)
実施例及び比較例で得られたシュリンクフィルムについて、以下の評価を行った。評価結果は表1に示した。
【0190】
(1)圧縮強度(剛性)(リングクラッシュ法)
実施例及び比較例で得られたシュリンクフィルム(シュリンク加工前)を用いて評価を行った。JIS P 8126に準拠して、シュリンクラベルの圧縮強度を、以下の条件で、測定した。測定方向はシュリンクフィルムの長手方向である。
測定装置 : 島津製作所(株)製オートグラフ(AGS−50G:ロードセルタイプ500N)
サンプルサイズ : 15mm(長手方向)×152.4mm(幅方向:主配向方向)
試験回数: 5回
そして、圧縮強度を以下の基準で評価した。
圧縮強度が良好(○): 1.3N以上
圧縮強度が不良(×): 1.3N未満
【0191】
(2)破断強度(延伸適性)
実施例及び比較例で得られたシュリンクフィルムの延伸前のフィルム(未延伸フィルム)を、幅方向に85℃で4倍テンター延伸した時の破断の有無を確認した。そして、延伸適性を以下の基準で評価した、
延伸適性が良好(○): 破断なし
延伸適性が不良(×): 破断あり
【0192】
(3)ヘイズ値(透明性)
実施例及び比較例で作製したシュリンクラベルから、100mm(長手方向;主配向方向に対して直交方向)×150mm(幅方向;主配向方向)の大きさのラベル片を切り出し、測定用サンプルを得た。
(株)東洋精機製作所製「ヘイズ−ガード II」を用いて、JIS K 7136に準拠して、上記測定用サンプルのヘイズ値を測定した。
そして、透明性を以下の基準で評価した、
透明性が良好(○): ヘイズ値が6%以下
透明性が不良(×): ヘイズ値が6%超え
【0193】
(4)熱収縮率(90℃10秒)
熱収縮率(90℃10秒)の測定を例に説明する。
実施例及び比較例で得られたシュリンクフィルム(シュリンク加工前)から、測定方向(主配向方向:基材フィルムの長手方向または幅方向)に長さ120mm(標線間隔100mm)、サンプルの幅5mmの長方形のサンプル片を作製する。
サンプル片を90℃の温水中で、10秒熱処理(無荷重下)し、熱処理前後の標線間隔の差を読み取り、以下の計算式で熱収縮率を算出する。
収縮率(%) = (L0−L1)/L0×100
0 : 熱処理前のサンプルの寸法(主配向方向:長手方向又は幅方向)
1 : 熱処理後のサンプルの寸法(L0と同じ方向)
主配向方向の熱収縮率(収縮率)から以下の基準で収縮特性を評価した。なお、実施例では主配向方向はシュリンクフィルムの幅方向であった。
優れた熱収縮性(○): 収縮率が50%以上
熱収縮性が良好(△): 収縮率が40%以上50%未満
熱収縮性が不良(×): 収縮率が40%未満
【0194】
【表1】
【0195】
表1からもわかるとおり、本発明のシュリンクラベル(実施例1〜11)のシュリンクフィルムは、延伸適性に優れていた。また、シュリンクラベルは、低比重であり、透明性、剛性に優れていた。一方、基層部の樹脂層(A)と樹脂層(B)の合計の層数が3層であるシュリンクラベル(比較例1)は、実施例に比べて剛性、透明性が劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0196】
本発明のシュリンクラベルは、上記特定の構成を有することにより、低比重であり、薄肉化しても剛性に優れる。また、透明性、熱収縮性に優れる。さらに、上記シュリンクフィルムが延伸適性に優れ、本発明のシュリンクラベルは自然収縮しにくい。このため、本発明のシュリンクラベルは、飲料用容器などの容器に装着して、ラベル付き容器として用いられる。なお、本発明のシュリンクラベルは、容器以外の被着体に用いられてもよく、例えば、本発明のシュリンクラベル(特に、筒状シュリンクラベル)を容器の周りに、本発明のシュリンクラベルが筒状となるように配置し、熱収縮させることによって容器に装着することにより、ラベル付き容器(本発明のシュリンクラベルを有するラベル付き容器)が得られる。
【符号の説明】
【0197】
1 本発明のシュリンクフィルム
11 表面層
12 基層部
12a 樹脂層(A)
12b 樹脂層(B)
2 印刷層
3 本発明のシュリンクラベル
4 本発明の筒状シュリンクラベル
41 シール部
D 周方向
51 背景印刷層
52 意匠印刷層
53 溶剤又は接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6